説明

写真自動販売装置、写真シールの製造方法、写真シール、及び写真自動販売装置用プログラム

【課題】編集画像の煩雑な保存や処理をしなくしても特殊色を印刷できる写真自動販売装置を提供する。
【解決手段】写真画像P1はカメラ10で生成され、編集画像P2は撮影処理と画像編集処理で生成される。編集画像P2には背景画像P20と落書き画像P21,P22とが含まれる。写真画像P1及び編集画像P2は合成され、普通色合成画像P3が生成される。ホログラム印刷データHLは編集画像P2に基づいて生成される。ホログラム印刷データHLは編集画像のある領域で「1」となり、編集画像のない領域で「0」となる。ここで生成された普通色合成画像P3に基づいて普通色印刷が行われ、ホログラム印刷データHLに基づいてホログラム印刷が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真自動販売装置、写真シールの製造方法、写真シール、及び写真自動販売装置用プログラムに関し、さらに詳しくは、利用者を撮影して得た写真画像をシール紙に印刷して写真シールを製造する写真自動販売装置、写真シールの製造方法、写真シール、及び写真自動販売装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンタなどの遊戯施設には、利用者を被写体としてカメラで撮影し、その写真画像をシール紙に印刷して販売する写真自動販売装置が設置されている。これらの写真自動販売装置は、利用者を撮影して写真画像を取得する撮影装置と、写真画像をタブレットディスプレイなどに表示し、その写真画像に付属のタッチペンで文字や図形などを落書きして編集画像を入力する画像編集装置とを備えたものが一般的になっている。画像編集装置で入力された編集画像は写真画像と合成され、その合成画像がプリンタでシール紙に印刷され、利用者に提供される。
【0003】
画像の編集においては、ペン、スタンプ、フレーム、背景画像などの落書き素材を入力する機能が備わり、この機能を利用して利用者は撮影した画像に編集を施す。このような編集により、利用者の個性を発揮でき、表現力のある写真シールを作成することができる。
【0004】
写真自動販売装置においては、利用者がより表現力のある写真シールを作成できるよう様々な工夫が施されている。その工夫のうちの1つに、普通色印刷と特殊色印刷の2つの印刷工程を設け、普通色印刷と重ねて、金、銀、ラメなど、金属性光沢のある特殊色印刷を行うことにより、普通色の落書き素材と異なり、キラキラと輝く落書き素材を提供する機能がある。
【0005】
具体的には、以下の技術が知られている。
【0006】
まず、特開2003−110971号公報(特許文献1)に記載の画像印刷装置においては、画像データ内の標準色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)で指定されている画像データを第1の印字ヘッドで印刷させ、画像データに特殊色で指定されている部分があるか否かを判断し、画像データに特殊色で指定されている部分があると判断した場合、画像データの特殊色を第2の印字ヘッドで上書き印刷させ、画像データに特殊色で指定されている部分がないと判断した場合、第2の印字ヘッドによる印刷を行わないようになっている(段落0122〜0124参照)。また、特殊色印刷を行うか否かをユーザに選択させるようにもなっている(段落0114参照)。つまり、この技術は、画像データが標準色と特殊色で構成されていることが前提となっている。
【0007】
また、特開2003−260820号公報(特許文献2)に記載の画像印刷装置は、カラー印刷部に加え、特殊色印刷部を有し、カラー印刷部又は特殊色印刷部を用いて、編集手段により編集が施された編集済み画像を所定の印刷媒体に印刷する印刷手段を備え、この印刷手段は、編集画像を構成する色に対応する印刷部を用いて、編集画像を印刷媒体に印刷するようになっている(段落0006参照)。つまり、この技術も特許文献1と同様に、編集画像がカラー色と特殊色で構成されていることが前提となっている。
【0008】
また、特開2003−103888号公報(特許文献3)に記載の画像印刷装置においては、特殊色のインクの無駄を抑制し、ランニングコストを抑えるために(段落0014参照)、シール台紙内の特殊色を印刷する範囲を限定する範囲限定手段を備え、第1の印刷手段による印刷後、第2の印刷手段は、シール台紙の、範囲限定手段により限定された特殊色を印刷する範囲を特殊色のリボンシートを用いて上書き印刷するようになっている(段落0034参照)。特殊色を印刷する範囲は、シール台紙の印刷可能範囲よりも小さく限定されたり、シール台紙の上部半分に限定されたりする(段落0037参照)。つまり、この技術は、複数の写真画像を印刷するためのシール台紙の全面に対して特殊色を印刷する範囲を限定するものである。
【0009】
また、特開2004−153379公報(特許文献4)に記載の写真プリント提供装置においては、撮影画像の編集入力箇所に一次編集を行い、一次編集された撮影画像を第1印刷ヘッドで印刷し、上記一次編集された撮影画像が印刷された印刷媒体の一次編集画像の上に、印刷結果が半透明を呈するインクにより二次編集画像を第2印刷ヘッドで印刷することにより、様々な色柄表現が可能となっている(段落0013参照)。つまり、この技術は、編集画像を普通色と半透明色の重なりで表現しようとするものである。
【0010】
しかし、上記特許文献1〜4に記載の技術はいずれも、上述のとおり、編集画像が普通色と特殊色で構成されていることが前提となっており、「落書き」という範疇での表現力を高めるために特殊印刷を行っているに過ぎない。したがって、編集画像のうち普通色部分を普通色インクで印刷し、特殊色部分を特殊色インクで印刷するためには、まずは編集画像を普通色部分と特殊色部分に分離するという処理が必要である。さらに、このような分離処理を可能とするためには、編集画像全部を1枚の画像レイヤで保存するのではなく、編集画像の普通色部分と特殊色部分を別々に2枚の画像レイヤで保存する必要がある。
【0011】
このような編集画像を特殊表現する方法では、写真画像の一部が特殊表現されるだけに止まり、特殊印刷の表現力を十分に発揮できているものではなく、写真画像全体の表現力を高めているものではなかった。そのため、従来の写真シールのイメージを覆すほど表現力に優れた斬新な写真シールを提供することはできなかった。
【特許文献1】特開2003−110971号公報
【特許文献2】特開2003−260820号公報
【特許文献3】特開2003−103888号公報
【特許文献4】特開2004−153379公報
【特許文献5】特願2005−281417号(未公開先願)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、編集画像の煩雑な保存や処理をしなくしても特殊色を印刷できる写真自動販売装置、写真シールの製造方法、写真シール、及び写真自動販売装置用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0013】
本発明による写真自動販売装置は、撮影手段と、編集手段と、合成手段と、データ生成手段と、普通色印刷手段と、特殊色印刷手段とを備える。撮影手段は、被写体を撮影して写真画像を生成する。編集手段は、撮影手段により生成された写真画像に合成すべき編集画像を生成する。合成手段は、撮影手段により生成された写真画像に編集手段により生成された編集画像を合成して合成画像を生成する。データ生成手段は、撮影手段により生成された写真画像のうち被写体の全部又は一部を除く領域を特定する特殊色印刷データを生成する。普通色印刷手段は、合成手段により生成された合成画像に基づいて普通色を印刷媒体上に印刷する。特殊色印刷手段は、普通色印刷手段により印刷された普通色合成画像上にデータ生成手段により生成された特殊色印刷データに基づいて特殊色を印刷する。
【0014】
ここで、撮影手段は、典型的には、デジタルカメラ、一眼レフカメラ、ビデオカメラなどであるが、メモリカード等の記憶媒体又は通信回線を通じて外部から画像の入力を受け付ける手段でもよい。また、特殊色は、典型的には、ホログラムであるが、金属色(ラメ)、蛍光色などである。また、普通色印刷手段及び特殊色印刷手段は、1台のプリンタに内蔵される2つのプリンタヘッドで構成されてもよく、また、各々が1つのプリンタヘッドを内蔵する2台のプリンタで構成されてもよい。
【0015】
本発明によれば、写真画像のうち被写体の全部又は一部を除く領域を特定する特殊色印刷データを生成し、普通色合成画像上に特殊色印刷データに基づいて特殊色を印刷するようにしているため、編集画像の煩雑な保存や処理をしなくしても特殊色を印刷できる。
【0016】
好ましくは、データ生成手段は、特殊色印刷データが特定する領域として編集手段により生成された編集画像の領域を設定する。
【0017】
好ましくは、編集手段は、撮影手段により生成された写真画像のうち被写体以外の領域に所定の背景画像を編集画像として入力する手段と、利用者の操作に応じて所望の画像を編集画像として入力する手段とを含む。
【0018】
好ましくは、写真自動販売装置はさらに、特殊色印刷手段により特殊色を印刷するか否かを利用者の操作に応じて選択する選択手段を備える。特殊色印刷手段は、選択手段により特殊色を印刷することが選択された場合に特殊色を印刷し、選択手段により特殊色を印刷しないことが選択された場合に特殊色を印刷しない。
【0019】
本発明による写真シールの製造方法は、撮影工程と、編集工程と、合成工程と、データ生成工程と、普通色印刷工程と、特殊色印刷工程とを含む。撮影工程は、被写体を撮影して写真画像を生成する。編集工程は、撮影工程により生成された写真画像に合成すべき編集画像を生成する。合成工程は、撮影工程により生成された写真画像と編集工程により生成された編集画像とを合成して合成画像を生成する。データ生成工程は、撮影工程により生成された写真画像のうち被写体の全部又は一部を除く領域を特定する特殊色印刷データを生成する。普通色印刷工程は、合成工程により生成された合成画像に基づいて普通色をシール紙上に印刷する。特殊色印刷工程は、普通色印刷工程により印刷された普通色合成画像上にデータ生成工程により生成された特殊色印刷データに基づいて特殊色を印刷する。
【0020】
本発明による写真シールは、上記製造方法を用いて製造される。
【0021】
本発明による写真自動販売装置用プログラムは、撮影ステップと、編集ステップと、合成ステップと、データ生成ステップと、普通色印刷ステップと、特殊色印刷ステップとをコンピュータに実行させるためものである。撮影ステップは、被写体を撮影して写真画像を生成するようにカメラを制御する。編集ステップは、撮影ステップにより生成された写真画像に合成すべき編集画像を生成する。合成ステップは、撮影ステップにより生成された写真画像と編集ステップにより生成された編集画像とを合成して合成画像を生成する。データ生成ステップは、撮影ステップにより生成された写真画像のうち被写体の全部又は一部を除く領域を特定する特殊色印刷データを生成する。普通色印刷ステップは、合成ステップにより生成された合成画像に基づいて普通色をシール紙上に印刷するようにプリンタを制御する。特殊色印刷ステップは、普通色印刷ステップにより印刷された普通色合成画像上にデータ生成ステップにより生成された特殊色印刷データに基づいて特殊色を印刷するようにプリンタを制御する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
[第1の実施の形態]
1.外観構成
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施の形態による写真自動販売装置1は、撮影を行う撮影空間2と、撮影により得られた写真画像の編集を行う編集空間3とに分かれる。撮影空間2には、撮影装置4及び背面パネル5が互いに対向して設置され、編集空間3には、画像編集装置8が撮影装置4に隣接して設置される。撮影空間2及び編集空間3はサイドカーテン9などにより外部と区分されている。
【0024】
背面パネル5の上方よりも少し前方には、背景カーテンユニット6が装備される。背景カーテンユニット6には、複数の背景カーテン7がそれぞれ巻き取られて収納される。背景カーテン7は様々な色や柄を有し、撮影時には所望の1枚が降下され、被写体の背景を形成する。背景カーテン7はモータ等で回転されて自動的に降下されるようにしてもよいが、利用者の手動操作で引き出されて降下されるようにしてもよい。ここでは、クロマキー処理を可能とするために、青又は緑一色の背景カーテンが用いられる。
【0025】
写真自動販売装置1の側面には、コインを投入するためのコイン投入口31と、撮影空間2で撮影しかつ編集空間3で編集した画像をシール紙に印刷して排出するプリント排出口51とが設けられる。
【0026】
この写真自動販売装置1を利用する場合、まず利用者はコイン投入口31にコインを投入する。コインを受け付けると、写真自動販売装置1は利用可能な状態にあればその旨を案内する。利用者はその案内に従って、開放されている後方側面から撮影空間2に入り、撮影装置4に向かって撮影操作を行う。撮影終了後、利用者は編集空間3に移動し、今度は画像編集装置8に向かって画像編集操作、具体的には、フレーム、スタンプ、ペン書きの文字や図形などの落書き画像を入力する。
【0027】
図3を参照して、撮影装置4の正面中央にはカメラ10が設けられ、その下方には撮影操作モニタ11が設けられ、さらにそれらの周りには照明装置13が設けられる。
【0028】
カメラ10は利用者を被写体として撮影するもので、一般にデジタルカメラが用いられる。カメラ10は複数台設けたり、移動や角度調節をできるようにしたりしてもよい。
【0029】
撮影操作モニタ11は、カメラ10で撮影されている映像をリアルタイムで表示する。さらに、その画面上には透明なタッチパネル12(図5参照)が貼り付けられており、撮影操作モニタ11は、タッチパネル12に対する利用者の入力操作を受け付ける。
【0030】
照明装置13は、カメラ10の上下左右及び天井に設けられ、被写体を前方から照明する。照明装置13はその内部に、蛍光灯などの常灯照明と、ストロボなどの閃光照明(フラッシュ)とを有する。ストロボは、利用者から撮影の開始が指示され、カメラ10が撮影している映像を静止画として取り込む瞬間に発光し、被写体を強く照明する。
【0031】
照明装置は上記以外に、被写体の側方及び後方にも設けられ、被写体をあらゆる方向から照明する。
【0032】
図4を参照して、画像編集装置8は撮影装置4と背中合わせに設置される。画像編集装置8は、撮影装置4で得られた写真画像を編集処理するための装置である。画像編集装置8の正面中央には編集操作モニタ40が設けられる。
【0033】
編集操作モニタ40は、カメラ10で撮影された写真画像の中から選択された1又は複数の写真画像を表示する。さらに、その画面上には透明なタッチパネル41(図5参照)が貼り付けられており、編集操作モニタ40は、タッチパネル41に対する利用者の編集操作を受け付ける。編集操作モニタ40の両側には、落書き画像をタッチパネル41上で入力するためのタッチペン42が設けられる。画像編集装置8は、利用者の編集操作に応じて写真画像に対して画像編集処理を実行する。
【0034】
編集終了後、写真自動販売装置1は編集画像と写真画像の合成画像をシール紙に印刷してプリント排出口51から排出し、利用者に提供する。
【0035】
2.機能構成
図5を参照して、写真自動販売装置1は、撮影処理を実行する撮影用コンピュータ装置101aと、画像編集処理を実行する画像編集用コンピュータ装置101bと、動作中のコンピュータ装置101a,101bからの指示を受け付けて、接続されている各種装置を制御する制御基板102とを備える。撮影用コンピュータ装置101aと画像編集用コンピュータ装置101bとは互いに接続され、画像データなどの授受をピアツーピアで行う。これらは写真自動販売装置1の制御手段として機能する。
【0036】
コンピュータ装置101a,101bは、CPU(Central Processing Unit)103a,103bと、本装置に所定の処理を実行させるための制御プログラム、処理に必要なグラフィックデータ、音声データ、撮影された写真画像、写真画像を編集するための落書き画像、入力された編集画像を記憶するハードディスクドライブ(HDD)104a,104b、制御プログラムの一時的な作業領域となるメモリ105a,105bとを含む。
【0037】
撮影用コンピュータ装置101aは、撮影空間2での撮影処理を実行する。具体的には、撮影処理のプログラムの実行や、利用者の指等のタッチによりタッチパネル12で受け付けた入力操作にしたがった指示信号に基づいて、制御基板102に対して制御信号を送信する。また、撮影用コンピュータ装置101aは、カメラ10、撮影操作モニタ11、制御基板102と接続され、それらを制御する。
【0038】
画像編集用コンピュータ装置101bは、編集空間3での画像編集処理及び印刷処理を実行する。具体的には、画像編集用コンピュータ装置101bは、制御プログラムを実行し、タッチパネル41に対するタッチペン42による入力操作に応じて制御信号を制御基板102に送信する。画像編集用コンピュータ装置101bは、プリンタ55、編集操作モニタ40、制御基板102に接続され、それらを制御する。
【0039】
画像編集用コンピュータ装置101b内のHDD104bは、制御プログラムを記憶する。HDD104bはまた、後述する画像編集処理に利用する背景画像、スタンプ画像等の落書き画像を記憶する。
【0040】
プリンタ55は、写真画像に編集画像を合成した合成画像をシール紙等の印刷媒体に印刷する。この実施の形態のプリンタ55は画像をシール紙に印刷するが、印刷媒体はシール紙に限定されることなく、他の印刷媒体でもよい。
【0041】
タッチパネル12は、撮影操作モニタ11の上に積層されている。タッチパネル12は、利用者の指等の接触を検知し、それに応じた指示信号を撮影用コンピュータ装置101aに送信する。撮影操作モニタ11は、撮影用コンピュータ装置101aから送信された画像、具体的には、カメラ10で撮像された写真画像、撮影のための案内、選択肢など表示する。
【0042】
タッチパネル41は、編集操作モニタ40の上に積層されている。タッチパネル41は、左右のタッチペン42の接触を検知し、それに応じた指示信号を画像編集用コンピュータ装置101bに送信する。編集操作モニタ40は、画像編集用コンピュータ装置101bから送信された編集画像を写真画像上に重ねて表示する。
【0043】
制御基板102は、コンピュータ装置101a,101bの他に、ストロボ制御部110、ストロボ15、蛍光灯14、サービスパネル113、印刷中LED52、印刷エラーLED53、コイン制御部112、及び音声制御部111に接続される。
【0044】
ストロボ制御部110はカメラ10に接続され、カメラ10のシャッタタイミングに応じて発光するようにストロボ15を制御する。音声制御部111は制御基板102を介して撮影用コンピュータ装置101a及び画像編集用コンピュータ装置101bに接続される。撮影用スピーカ16は、撮影空間2に配備され、撮影用コンピュータ装置101aから制御基板102を介して与えられる指示信号に基づいて、撮影プレイのための操作方法などの案内やBGMなどを出力する。編集用スピーカ46は、編集空間3に配備され、画像編集用コンピュータ装置101bから制御基板102を介して与えられる指示信号に基づいて、編集プレイのための操作方法などの案内やBGMなどを出力する。
【0045】
なお、画像編集装置8は、上記構成のうち、少なくとも画像編集用コンピュータ装置101bと、編集操作モニタ40と、タッチパネル41と、タッチペン42とを備える。
【0046】
3.動作
上述した写真自動販売装置1の動作は次の通りである。
【0047】
3−1.撮影空間での動作(撮影処理)
まず、撮影空間2での写真自動販売装置1の動作を説明する。撮影用コンピュータ装置101aのCPU103aは、HDD104aに記憶された制御プログラムをメモリ105aに読出して実行することにより、この撮影処理を実現する。
【0048】
図6を参照して、CPU103aは、写真自動販売装置1の利用を促すタイトルデモ画面を撮影操作モニタ11に表示し(S11)、その間にコイン制御部112においてコインの投入を監視する(S12)。タイトルデモ画面の表示中に所定枚数のコインが投入されると(S12でYES)、CPU103aは、あらかじめ用意された複数の背景画像の中から1つを利用者の操作に応じて選択する(S13)。カメラ10で撮影されている映像(動画)はリアルタイムで撮影操作モニタ11に表示されるが、クロマキー処理等により被写体の部分のみが切り出され、それ以外の部分に選択された背景画像が嵌め込まれる。続いて、CPU103aは所定の撮影を実行する(S14)。具体的には、カメラ10が利用者を被写体として背景カーテン7とともに撮影して写真画像(静止画)を生成する。
【0049】
利用者は、撮影操作モニタ11に表示される案内に従って複数回の撮影を行う。CPU103aは、撮影回数が所定回数(たとえば10回)に達したか否かを判定する(S15)。所定回数撮影していない場合(S15でNO)、CPU103aはステップS13に戻って背景画像の選択と撮影を繰り返す。一方、所定回数撮影した場合(S15でYES)、CPU103aは、プレイ開始(コイン投入時)から所定時間(たとえば140秒)が経過したか否かを判定する(S16)。所定時間が経過していない場合(S16でNO)、CPU103aはおまけ撮影を実行する(S17)。おまけ撮影は、通常の撮影を早く終えた利用者又は後述する画像編集処理との時間調整のため、たとえば上述と同様に、背景画像の選択と撮影を所定回数(たとえば2回)繰り返す。
【0050】
所定時間が経過した場合又はおまけ撮影後、CPU103aは、撮影で得られた全ての写真画像を撮影操作モニタ11に一覧で表示し、その中から所定枚数(たとえば4〜6枚)の写真画像を利用者の操作に応じて選択する(S18)。ここで選択された写真画像が後述する編集処理の対象となる。
【0051】
CPU103aは撮影で得られた複数の写真画像のデータを画像編集用コンピュータ装置101bに転送した後、撮影終了の案内を撮影操作モニタ11に表示するとともに(S19)、編集空間3で画像編集するよう促す案内を撮影操作モニタ11に表示する(S20)。その後、CPU103aはステップS11に戻って再びタイトルデモ画面を表示する。
【0052】
3−2.編集空間での動作(画像編集処理及び印刷処理)
次に、編集空間3での写真自動販売装置1の動作を説明する。画像編集用コンピュータ装置101bのCPU103bはHDD104bに記憶された制御プログラムをメモリ105bに読出して実行することにより、画像編集処理及び印刷処理を実現する。
【0053】
図7を参照して、CPU103bは、撮影プレイから始めるよう促すデモ画面を編集操作モニタ40に表示しながら(S21)、撮影用コンピュータ装置101aから編集対象となった写真画像のデータが転送されて来るかを監視する。そして、CPU103bは、転送されて来る全ての写真画像の準備(たとえばサイズ加工、色調補正等の画像処理)が完了するのを待つ(S22)。
【0054】
準備が完了すると(S22でYES)、CPU103bは、画像編集(落書き)処理を実行する(S23)。画像編集処理では、撮影された写真画像を編集操作モニタ40に表示し、利用者はタッチペン42を使って写真画像に好みの落書きをする。CPU103bは、落書き開始からの時間の経過を監視し、所定の制限時間(たとえば180秒)が経過した場合、又は落書き画像入力を終了するための「おしまい」ボタンが操作された場合、落書き画像入力の受け付けを終了し、写真画像ごとに入力された落書き画像(背景画像を含む)を編集画像として固定し、画像編集処理(S23)を終了させる。画像編集処理が終了すると、固定された編集画像と写真画像とを合成し、写真画像と同じ数の普通色合成画像を生成する(S231)。
【0055】
続いて、CPU103bは、図8に示すように、ホログラム印刷(ホロ印刷)をするか否かの選択を促す画面を編集操作モニタ40に表示し、利用者の選択を受け付ける(S24)。CPU103bは、ホログラム印刷をする場合(S25でYES)、ホログラム印刷データの作成を開始するが(S26)、ホログラム印刷をしない場合(S25でNO)、そのステップS26をスキップする。ホログラム印刷データを作成する処理の詳細は後述する。
【0056】
続いて、CPU103bは、利用者の操作に応じて印刷用の分割レイアウトを選択する(S27)。プレイ時間を短縮するために、ホログラム印刷データの作成処理と分割レイアウトの選択処理は並行して行われる。分割レイアウトは、1枚のシール紙に印刷すべき編集済み写真画像の枚数、配置及びサイズをあらかじめ定めたものである。分割レイアウトの選択処理は、あらかじめ定められた複数の分割レイアウトの中からいずれか1つを選択する。
【0057】
分割レイアウトの選択後、CPU103bは、プリンタ55への印刷を指示するための印刷処理を開始させ(S28)、印刷待ち処理を行う(S29)。印刷処理と印刷待ち処理も並行して行われる。印刷処理の詳細は後述する。印刷待ち処理では、印刷が完了すると見込まれる時間(たとえば90秒)、利用者の退屈感を紛らわすために、所定のプレイ(携帯電話に画像を送信するための電子メールアドレスの入力、写真画像の閲覧、携帯電話の電子メールで使用する画像の作成など)を提供する。所定時間が経過すると、CPU103bは、編集の終了を知らせるとともに、写真シールを横のプリント排出口51から取り出すよう促す画面を編集操作モニタ40に表示する(S30)。以上の結果、製造された写真シールはプリント排出口51から利用者に提供される。
【0058】
3−2−1.ホログラム印刷データ作成処理の詳細
図9を参照して、写真画像P1はカメラ10で生成され、編集画像P2は撮影処理及び画像編集処理で生成される。この編集画像P2には、ステップS13で選択された背景画像P20と、ステップS23で普通ペン(金属色を含まない普通色のみの線を描ける落書き素材)を用いて入力された落書き画像P21,P22とが含まれる。落書き画像P21は被写体のない領域に入力されているが、落書き画像P22は被写体の上に重ねて入力されている。ここでは普通ペンを用いて落書き画像P21,P22を入力した場合を例に説明するが、普通ペンの代わりに、スタンプ、フレーム等の落書き素材を用いて落書き画像を入力してもよい。ただし、ここで用いられる落書き素材は普通色のみで構成され、金属色のみで構成される「ラメペン」、普通色と金属色で構成される「まざりペン」などは用いられない。
【0059】
写真画像P1及び編集画像P2は合成され、普通色合成画像P3が生成される。一方、ホログラム印刷データHLは編集画像P2に基づいて生成される。このホログラム印刷データHLは編集画像に画像がある領域(図9上のハッチング領域)で「1」となり、編集画像に画像がない領域(落書き画像P22が上書きされていない被写体の領域)で「0」となる。図9上では落書き画像P21,P22は概略的に長方形で示されているが、実際には、文字を構成する線であったり、スタンプやフレームを構成する種々の図形であったりする。ホログラム印刷データHLはその線上のみで「1」となってもよいが、その線を中心とする所定幅で「1」となってもよい。後に詳述するが、ここで生成された普通色合成画像P3に基づいて普通色印刷が行われ、ホログラム印刷データHLに基づいてホログラム印刷が行われる。また、図9は各画像の関連を示したものに過ぎず、印刷のためにプリンタ55に送られる画像は、個々の写真画像に対応した合成画像又はホロ印刷データではなく、所定の分割レイアウトに従って生成された、写真シールと略同じ大きさの、普通色印刷用画像及びホログラム印刷用画像(後述)である。
【0060】
ホログラム印刷データ作成処理の詳細を図10に示す。ここで、nは現在処理対象となっている編集画像の連続番号であり、yは編集画像の縦方向の座標であり、xは編集画像の横方向の座標であり、Nは処理対象となる編集画像の総数であり、Xは編集画像の横方向の画素数であり、Yは編集画像の縦方向の画素数である。
【0061】
図10を参照して、CPU103bは、n,y,xをそれぞれ0に初期化する(S261〜S263)。続いて、CPU103bはホログラムデータ代入処理を実行し、当該画素に対応するホログラム印刷データを「0」又は「1」に設定する(S264)。CPU103bは、xをインクリメントし(S265)、x>Xになるまで(S266でNO)ホログラムデータ代入処理S264を繰り返す。CPU103bはまた、yをインクリメントし(S267)、y>Yになるまで(S268でNO)ステップS263〜S266を繰り返し、ホログラムデータ代入処理S264を繰り返す。CPU103bはまた、nをインクリメントし(S269)、n>Nになるまで(S270でNO)ステップS262〜S268を繰り返す。これにより、全編集画像の全画素についてホログラムデータ代入処理S264が実行される。
【0062】
3−2−1−1.ホログラムデータ代入処理の詳細
次に、ホログラムデータ代入処理の詳細を説明する。この処理には、画像編集処理(S23)中において、ホログラムレイヤを設定する場合と、しない場合とがある。
【0063】
(a)ホログラムレイヤを設定しない場合
まずは、ホログラム印刷データHLを作成する前提となる画像編集処理(S23)における落書き画像入力について説明する。
【0064】
図11を参照して、人レイヤM、人下レイヤDN及び人上レイヤUPをメモリ105bに設定する。人下レイヤDNは、人レイヤMよりも表示又は合成の優先度が低い。人上レイヤUPは、人レイヤMよりも表示又は合成の優先度が高い。レイヤM、DN及びUPは写真画像P1ごとに1組ずつ用意する。また、画像入力後にその入力をキャンセルするための「戻る」(又は「UNDO」)機能、及び、キャンセルを取り消すための「進む」(又は「REDO」)機能のために、撮影ごとに生成されるレイヤの組を複数(たとえば5組)生成してもよい。また、人下レイヤDN及び人上レイヤUPは、ペン、スタンプ、背景、フレームなど、落書き素材ごとに複数のレイヤで構成してもよい。
【0065】
まず、クロマキー処理等により写真画像P1から人マスクMMを生成する。人マスクMMを構成する各画素データMM(n,x,y)は、被写体が写っている領域で「1」となり、被写体が写っていない領域で「0」となる。
【0066】
人マスクMMの作成と同時に又は人マスクMMを参照して、写真画像P1のうち被写体以外の領域を透明にし、人レイヤMに入力する。また、人マスクMMを参照して、選択された背景画像P20の中から被写体以外の領域のみを切り出し、人下レイヤDNに入力する。
【0067】
続いて、落書き画像入力の受け付けが開始される。通常のペンやスタンプ等を用いて被写体の前に描かれた落書きは人上レイヤUPに入力される。また、人下ペンや人下スタンプ等を用いて被写体の後に描かれた落書きは人下レイヤDNに入力される。この場合、人マスクMMを参照し、被写体の領域には画像が入力されないように制御する。タッチペン42でなぞることにより画像を消去する「消しゴム」ボタンが操作された場合、そのタッチペン42でなぞった位置に対応する画像を各レイヤから消去する。「戻る」又は「進む」ボタンが操作された場合、その前又は先の画像が保持されているレイヤの組を読み出し、現レイヤの組に設定する。落書き入力を初めからやり直す「初めから」ボタンが操作された場合、落書き画像入力前の状態に設定する。
【0068】
所定の制限時間が経過した場合、又は落書き画像入力を終了するための「おしまい」ボタンが操作された場合、落書き画像入力の受け付けを終了する。そして、落書き画像が入力された人上レイヤUP及び人下レイヤDNをそれぞれ画像ファイルに保存し、その画像ファイルを参照して以降のホログラム印刷データHLを作成する。
【0069】
ホログラム印刷データHLは人上レイヤUP及び人下レイヤDNに基づいて生成される。具体的には、図12を参照して、人下レイヤDNを構成する各画素データDN(n,x,y)に画像があるか否かを判定する(S2641)。画像がある場合(S2641でYES)、つまり当該画素のR(赤成分)、G(緑成分)及びB(青成分)の全てが0でない場合、当該画素に対応するホログラム印刷データHL(n,x,y)に「1」を代入する(S2642)。一方、画像がない場合(S2641でNO)、つまり当該画素のR、G及びBの全てが0の場合、当該画素に対応するホログラム印刷データHL(n,x,y)に「0」を代入する(S2643)。
【0070】
続いて、人上レイヤUPを構成する各画素データUP(n,x,y)に画像があるか否かを判定する(S2644)。画像がある場合(S2644でYES)、当該画素に対応するホログラム印刷データHL(n,x,y)に「1」を代入する(S2645)。画像がない場合(S2644でNO)、そのステップS2645をスキップする。
【0071】
ここで、図13に示すように、落書き画像の一部が透明になっている場合、その透明部分に画像があると判定しても、ないと判定してもよい。透明部分にもホログラムを印刷する場合はその透明部分に画像があると判定し、透明部分にはホログラムを印刷しない場合はその透明部分に画像がないと判定すればよい。透明部分における画素のR、G及びBは全て0であるから、通常は透明部分に画像はないと判定される。したがって、透明部分に画像があると判定させるためには、透明部分の画素について、視覚できない程度の色、たとえばR、G及びBのうちいずれか1つをあらかじめ「1」に設定しておけばよい。また、このような色(たとえばR=0、G=0、B=1)を含む画像を画面に表示する場合には、その画像の背後に入力されている画像が見えるように透過処理を行ってもよい。また、印刷する場合には、印刷用画像を作成する場合に、もとのR=0、G=0、B=0に変換するなどの処理を行ってもよい。また、全ての透明部分にホログラムを印刷するように落書き画像を統一してもよいし、全ての透明部分にホログラムを印刷しないように落書き画像を統一してもよいし、あるいはこれらを混在してもよい。
【0072】
(b)ホログラムレイヤを設定する場合
まずは、ホログラム印刷データHLを作成する前提となる画像編集処理(S23)における落書き画像入力について説明する。
【0073】
図14を参照して、この場合、人上レイヤUPに対応して人上ホログラムレイヤUPHを設定する。人上レイヤUPに落書き画像が入力されるたびに、その入力された落書き画像の座標に対応する位置の人上ホログラムレイヤUPHにも後述の形状マスクを参照して「1」が入力される。
【0074】
また、後述するホログラム印刷データHLを作成するときに人マスクMMを参照するようにしているため、人下レイヤDNには被写体以外の領域にも落書き画像が入力される。人マスクMMの参照は、人レイヤよりも優先度の低いレイヤが設定されている場合は、「(a)ホログラムレイヤを設定しない場合」のように、落書き画像入力のときに行ってもよく、また本例のように、ホログラム印刷データHLを作成するときに行ってもよい。また、後述のように人レイヤよりも優先度の低いレイヤが設定されていない場合は参照する必要がない。
【0075】
上述同様、落書き画像入力の受け付けを終了すると、人上ホログラムレイヤUPHを画像ファイルに保存し、その画像ファイルを参照して以降のホログラム印刷データHLを作成するようにしてもよいし、落書き画像の入力時に直接画像ファイルに書き込むようにしてもよい。
【0076】
ホログラム印刷データHLは人上ホログラムレイヤUPH及び人マスクMMに基づいて生成される。具体的には、図15を参照して、人マスクMMの当該画素データMM(n,x,y)が「0」の場合(S2646でNO)、つまり被写体がない場合、当該画素に対応するホログラム印刷データHL(n,x,y)に「1」を代入する(S2647)。一方、人マスクMMの当該画素データMM(n,x,y)が「1」の場合(S2646でYES)、つまり被写体がある場合、ホログラム印刷データHL(n,x,y)に「0」を代入する(S2648)。そして、当該画素に対応する人上ホログラムレイヤUPH(n,x,y)に画像がある場合(S2649でYES)、ホログラム印刷データHL(n,x,y)に「1」を代入する(S2650)。一方、人上ホログラムレイヤUPH(n,x,y)に画像がない場合(S2649でNO)、ホログラム印刷データHL(n,x,y)はそのまま「0」となる。
【0077】
上述したレイヤの構成はあくまで一例に過ぎない。人下ペンや人下スタンプがない場合、たとえば下から順に、人マスクMMで抜かない写真画像を設定した人レイヤ、人マスクMMで抜いた背景レイヤ、及び、ペンやスタンプを入力する人上レイヤで構成してもよい。
【0078】
4.印刷処理の詳細
次に、印刷処理に関連し、プリンタ55の詳細を説明する。図17を参照して、プリンタ55は、普通色印刷用の昇華型プリンタヘッド65と、ホログラム印刷用の転写型プリンタヘッド66と、プリンタヘッド65及び66をそれぞれ制御するコントローラ67及び68と、プリンタヘッド65及び66で印刷する画像をそれぞれ記憶するバッファメモリ69及び70とを備える。ここでは普通色印刷用に熱により画像を形成するプリンタを用いているが、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなどを代わりに用いてもよい。
【0079】
図18を参照して、印刷媒体71は最初に昇華型プリンタヘッド65下に搬送され、次に転写型プリンタヘッド66下に搬送される。昇華型プリンタヘッド65は、ヘッドに加えられた熱により、普通色インクリボン72の基材に塗布された染料インクを印刷媒体71の受容層に染み込ませて画像を形成する。染料インクには、シアン、マゼンダ及びイエローの普通色インクが用いられる。普通色インクリボン72には染料インクで印刷した画像を保護するための保護シートが基材に貼付されており、染料インクの印刷後に、プリンタヘッド65のヘッドに加えられた熱により、当該保護シートを基材から剥離させて印刷媒体に転写する。転写型プリンタヘッド66は、ヘッドに加えられた熱により、ホログラムインクリボン73の基材に展着しているホログラム膜を剥離し、印刷媒体71に転写し、画像を形成する。
【0080】
次に図19を参照し、印刷処理の詳細を説明する。
【0081】
ホログラム印刷をする場合(S31でYES)、CPU103bは、既に並行して実行されているホログラム印刷データ作成処理により、印刷対象となる全画像のホログラム印刷データが完成するのを待つ(S32)。ここでは全画像についてホログラムを印刷する場合を例に説明するが、分割レイアウトの選択時にホログラムを印刷する画像と印刷しない画像とを選択できるようにしてもよい。
【0082】
ホログラム印刷データの完成後(S32でYES)、CPU103bは、印刷対象となる全画像のサイズや向き等を加工して、それぞれの普通色合成画像P3が1枚の印刷媒体上に、選択された分割レイアウトに従って並べられた普通色印刷用画像、及びそれぞれの普通色合成画像P3に対応したホログラム印刷データが1枚の印刷媒体上に、選択された分割レイアウトに従って並べられたホログラム印刷用画像を作成し(S33,34)、作成した普通色印刷用画像及びホログラム印刷用画像をプリンタ55に送信する(S35,S36)。そして、CPU103bは、プリンタ55に印刷開始の指示をする(S37)。これにより、プリンタ55は、普通色印刷用画像を印刷媒体上に印刷し、その上にホログラム印刷用画像を印刷する。印刷が完了すると(S38でYES)、上述した一連の印刷処理は終了する。
【0083】
以上、本発明の第1の実施の形態によれば、ホログラム印刷データHLを生成し、普通色合成画像P3上にホログラム印刷データHLに基づいてホログラムを印刷するようにしているため、編集画像P2の煩雑な保存や処理をしなくしてもホログラムを印刷することができる。ここでの編集画像P2は、落書き画像P20〜P22が普通色で構成されるため、普通色のみで構成され、金属色等の特殊色を含まない。したがって、編集画像又は落書き画像を普通色部分と特殊色部分に分離するという処理は全く不要である。
【0084】
また、写真画像の一部を特殊表現するだけに止まらず、写真画像全体の表現力を高めているため、従来の写真シールのイメージと全く異なり、表現力に優れた斬新な写真シールを製造することができる。具体的には、被写体と重なっているか否かに関係なく、落書き画像P21,P22の全領域についてホログラム印刷が行われるので、落書き画像P21,P22が一様に装飾される。
【0085】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態ではホログラム印刷データHLを編集画像P2に基づいて作成しているが、図20に示すように写真画像P1に基づいて作成してもよい。具体的には、図21及び図22を参照して、人マスクMMの当該画素データMM(n,x,y)が「1」の場合(S2651でYES)、つまり被写体がある場合、当該画素に対応するホログラム印刷データHL(n,x,y)に「0」を代入する(S2652)。一方、人マスクMMの当該画素データMM(n,x,y)が「0」の場合(S2651でNO)、つまり被写体がない場合、ホログラム印刷データHL(n,x,y)に「1」を代入する(S2653)。
【0086】
この場合、落書き画像を入力した領域には原則としてホログラム印刷を行う。この点は上記第1の実施の形態と同じである。ただし、落書き画像を入力した領域であっても被写体と重なる領域には例外としてホログラム印刷を行わない。この点は上記第1の実施の形態と異なる。
【0087】
[第3の実施の形態]
上記第1の実施の形態ではホログラム印刷データHLを編集画像P2に基づいて作成し、上記第2の実施の形態では写真画像P1に基づいて作成しているが、図23に示すように合成画像P3に基づいて作成してもよい。具体的には、図24及び図25を参照して、普通色合成画像P3の当該画素データG(n,x,y)と背景画像P20の当該画素データBG(n,x,y)とが一致するか否かを判定する(S2656)。画素データG(n,x,y)と画素データBG(n,x,y)とが一致する場合(S2656でYES)、つまり背景画像しかない場合、当該画素に対応するホログラム印刷データHL(n,x,y)に「1」を代入する(S2657)。一方、画素データG(n,x,y)と画素データBG(n,x,y)とが一致しない場合(S2656でNO)、つまり背景画像以外の画像がある場合、当該画素に対応するホログラム印刷データHL(n,x,y)に「0」を代入する(S2658)。
【0088】
この場合、背景画像P20を入力した領域には原則としてホログラム印刷を行う。この点は上記第1及び第2の実施の形態と同じである。ただし、背景画像P20を入力した領域であっても落書き画像P21,P22を入力した領域には例外としてホログラム印刷を行わない。この点は上記第1及び第2の実施の形態と異なる。たとえば図23に示すように、落書き「なかよし」のうちの文字「な」を背景画像P20の上に描いた場合、文字「な」の線上のホログラム印刷データHLは「0」になる。
【0089】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施の形態による写真自動販売装置の内部構成を示す断面側面図である。
【図2】図1に示した写真自動販売装置の外観構成を示す側面図である。
【図3】図1及び図2に示した写真自動販売装置における撮影装置の正面図である。
【図4】図1〜図3に示した写真自動販売装置における画像編集装置の斜視図である。
【図5】図1〜図4に示した写真自動販売装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】図1〜図5に示した写真自動販売装置の撮影処理の動作を示すフロー図である。
【図7】図1〜図5に示した写真自動販売装置の画像編集処理の動作を示すフロー図である。
【図8】図7に示した画像編集処理で表示されるホログラム印刷の選択画面を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態により作成されるホログラム印刷データと他の各画像との関連を示す図である。
【図10】図7に示した画像編集処理におけるホログラム印刷データ作成処理の詳細を示すフロー図である。
【図11】図9に示したホログラム印刷データ作成処理の概要であってホログラムレイヤを設定しない場合を示す図である。
【図12】図10中のホログラムデータ代入処理の詳細であって図11に示した方法でホログラムデータを作成する場合を示すフロー図である。
【図13】図11に示した方法でホログラムデータを作成する場合において、入力された落書き画像の透明部分をホログラム印刷するときと、ホログラム印刷しないときとを示す図である。
【図14】図9に示したホログラム印刷データ作成処理の概要であってホログラムレイヤを設定する場合を示す図である。
【図15】図10中のホログラムデータ代入処理の詳細であって図14に示した方法でホログラムデータを作成する場合を示すフロー図である。
【図16】図14に示した方法でホログラムデータを作成する場合において、入力された落書き画像の透明部分をホログラム印刷するときと、ホログラム印刷しないときとを示す図である。
【図17】図5中のプリンタの詳細を示す機能ブロック図である。
【図18】図17に示したプリンタの印刷工程を示す側面図である。
【図19】図7中のステップS28で開始される印刷処理の詳細を示すフロー図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態により作成されるホログラム印刷データと他の各画像との関連を示す図である。
【図21】図20に示したホログラム印刷データ作成処理の概要を示す図である。
【図22】図10中のホログラムデータ代入処理の詳細であって図21に示した方法でホログラムデータを作成する場合を示すフロー図である。
【図23】本発明の第3の実施の形態により作成されるホログラム印刷データと他の各画像との関連を示す図である。
【図24】図23に示したホログラム印刷データ作成処理の概要を示す図である。
【図25】図10中のホログラムデータ代入処理の詳細であって図24に示した方法でホログラムデータを作成する場合を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0091】
1 写真自動販売装置
4 撮影装置
8 画像編集装置
10 カメラ
40 編集操作モニタ
55 プリンタ
65 昇華型プリンタヘッド
66 転写型プリンタヘッド
71 印刷媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して写真画像を生成する撮影手段と、
前記撮影手段により生成された写真画像に合成すべき編集画像を生成する編集手段と、
前記撮影手段により生成された写真画像と前記編集手段により生成された編集画像とを合成して合成画像を生成する合成手段と、
前記撮影手段により生成された写真画像のうち被写体の全部又は一部を除く領域を特定する特殊色印刷データを生成するデータ生成手段と、
前記合成手段により生成された合成画像に基づいて普通色を印刷媒体上に印刷する普通色印刷手段と、
前記普通色印刷手段により印刷された普通色合成画像上に前記データ生成手段により生成された特殊色印刷データに基づいて特殊色を印刷する特殊色印刷手段とを備えることを特徴とする写真自動販売装置。
【請求項2】
請求項1に記載の写真自動販売装置であって、
前記データ生成手段は、前記特殊色印刷データが特定する領域として前記編集手段により生成された編集画像の領域を設定する、ことを特徴とする写真自動販売装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の写真自動販売装置であって、
前記編集手段は、
前記撮影手段により生成された写真画像のうち被写体以外の領域に所定の背景画像を前記編集画像として入力する手段と、
利用者の操作に応じて所望の画像を前記編集画像として入力する手段とを含む、ことを特徴とする写真自動販売装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の写真自動販売装置であってさらに、
前記特殊色印刷手段により特殊色を印刷するか否かを利用者の操作に応じて選択する選択手段を備え、
前記特殊色印刷手段は、前記選択手段により特殊色を印刷することが選択された場合に特殊色を印刷し、前記選択手段により特殊色を印刷しないことが選択された場合に特殊色を印刷しない、ことを特徴とする写真自動販売装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の写真自動販売装置であって、
前記特殊色はホログラムであることを特徴とする写真自動販売装置。
【請求項6】
被写体を撮影して写真画像を生成する撮影工程と、
前記撮影工程により生成された写真画像に合成すべき編集画像を生成する編集工程と、
前記撮影工程により生成された写真画像と前記編集工程により生成された編集画像とを合成して合成画像を生成する合成工程と、
前記撮影工程により生成された写真画像のうち被写体の全部又は一部を除く領域を特定する特殊色印刷データを生成するデータ生成工程と、
前記合成工程により生成された合成画像に基づいて普通色をシール紙上に印刷する普通色印刷工程と、
前記普通色印刷工程により印刷された普通色合成画像上に前記データ生成工程により生成された特殊色印刷データに基づいて特殊色を印刷する特殊色印刷工程とを含むことを特徴とする写真シールの製造方法。
【請求項7】
被写体を撮影して写真画像を生成する撮影工程と、
前記撮影工程により生成された写真画像に合成すべき編集画像を生成する編集工程と、
前記撮影工程により生成された写真画像と前記編集工程により生成された編集画像とを合成して合成画像を生成する合成工程と、
前記撮影工程により生成された写真画像のうち被写体の全部又は一部を除く領域を特定する特殊色印刷データを生成するデータ生成工程と、
前記合成工程により生成された合成画像に基づいて普通色をシール紙上に印刷する普通色印刷工程と、
前記普通色印刷工程により印刷された普通色合成画像上に前記データ生成工程により生成された特殊色印刷データに基づいて特殊色を印刷する特殊色印刷工程とを含む製造方法を用いて製造されたことを特徴とする写真シール。
【請求項8】
被写体を撮影して写真画像を生成するようにカメラを制御する撮影ステップと、
前記撮影ステップにより生成された写真画像に合成すべき編集画像を生成する編集ステップと、
前記撮影ステップにより生成された写真画像と前記編集ステップにより生成された編集画像とを合成して合成画像を生成する合成ステップと、
前記撮影ステップにより生成された写真画像のうち被写体の全部又は一部を除く領域を特定する特殊色印刷データを生成するデータ生成ステップと、
前記合成ステップにより生成された合成画像に基づいて普通色をシール紙上に印刷するようにプリンタを制御する普通色印刷ステップと、
前記普通色印刷ステップにより印刷された普通色合成画像上に前記データ生成ステップにより生成された特殊色印刷データに基づいて特殊色を印刷するようにプリンタを制御する特殊色印刷ステップとをコンピュータに実行させるための写真自動販売装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−244955(P2008−244955A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83611(P2007−83611)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(591237685)株式会社メイクソフトウェア (137)
【Fターム(参考)】