説明

冶金用フェロコークスの製造方法

【課題】炭材と鉄鉱石とからなる成型物を乾留してフェロコークスを製造する際に、高炉内でのフェロコークス中のコークスのCO2反応性を高め、これにより熱保存帯温度を低下させて、還元材比を低下させることのできる、冶金用フェロコークスの製造方法を提供すること。
【解決手段】炭材と鉄鉱石とからなる混合物を成型して成型物を形成し、前記成型物を乾留してフェロコークスを製造する方法であって、前記乾留時のフェロコークスの最高温度が800℃以上、900℃以下であることを特徴とする冶金用フェロコークスの製造方法を用いる。乾留時のフェロコークスの最高温度が800℃以上、850℃以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭材と鉄鉱石との混合物を成型し、生成された成型物を乾留することによってフェロコークスを製造する冶金用フェロコークスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の還元材比を低下させるためには、高炉内に形成される熱保存帯の温度を低下させることが有効である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
熱保存帯温度を低下させる方法としては、下記(1)式に示すコークスのガス化反応(吸熱反応)の開始温度を下げる方法が挙げられる。
C+CO2 → 2CO ・・・ (1)
炭材(石炭)と鉄鉱石とを混合して成型した成型物を乾留して製造されるフェロコークスは、還元された鉄鉱石の触媒効果でフェロコークス中のコークスのCO2反応性を高めることができ、それに伴う熱保存帯温度の低下によって還元材比を低下させることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このようなフェロコークスを製造する技術として、原料石炭に粉鉄鉱石を配合し、混合して得られた混合物を通常の室炉式コークス炉で乾留する方法が検討されてきた。例えば、(a)石炭と粉鉄鉱石との粉混合物を室炉式コークス炉に装入する方法、(b)石炭と鉄鉱石を冷間、すなわち室温で成型し、その成型物を室炉式コークス炉に装入する方法(例えば、非特許文献2参照。)である。
【0005】
また、石炭と鉄鉱石の成型物を、室炉式コークス炉ではなく竪型の乾留炉で乾留する方法も提案されている(非特許文献3参照。)。
【0006】
尚、酸化鉄でもコークスのCO2反応性を高める効果が発現するため、鉄鉱石がすべて金属鉄まで還元されなくても、CO2反応性を高める効果はあると推定される(非特許文献4参照。)。
【0007】
一方で、高炉に装入される通常のコークスについては、乾留温度が低いほどCO2反応性が向上すると考えられる(例えば、非特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−28594号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】日本鉄鋼協会 「鉄と鋼」87、2001年、p.357
【非特許文献2】燃料協会 「コークス技術年報」1958年、p.38
【非特許文献3】「JFE技報」22、2008年、p.20
【非特許文献4】「Fuel」65、1986年、p.1476
【非特許文献5】日本鉄鋼協会 「鉄と鋼」68、1982年、S−744
【非特許文献6】「川崎製鉄技報」6、1974年、p.16
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
高炉の還元材比をよりいっそう低下させるためには、上記のようにフェロコークスを高炉で使用して、還元された鉄鉱石の触媒効果でフェロコークス中のコークスのCO2反応性を高め、熱保存帯温度を低下させる必要がある。しかし、フェロコークス中のコークスのCO2反応性を高める最適なフェロコークスの製造条件は明らかになっていない。さらに、コークスのCO2反応性に関しても、高炉内条件を考慮した条件で評価することが望ましい。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、炭材と鉄鉱石とからなる混合物を乾留することによってフェロコークスを製造する際に、高炉内でのフェロコークス中のコークスのCO2反応性を高め、これにより熱保存帯温度を低下させて、還元材比を低下させることのできる、冶金用フェロコークスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)炭材と鉄鉱石とからなる混合物を成型して成型物を形成し、前記成型物を乾留してフェロコークスを製造する方法であって、前記乾留時のフェロコークスの最高温度が800℃以上、900℃以下であることを特徴とする冶金用フェロコークスの製造方法。
(2)前記乾留時のフェロコークスの最高温度が800℃以上、850℃以下であることを特徴とする、(1)に記載の冶金用フェロコークスの製造方法。
(3)前記フェロコークスが15mm以上、35mm以下の粒径を有することを特徴とする(1)または(2)に記載のフェロコークス製造方法。
(4)前記フェロコークスの粒径が、15mm以上、28mm以下であることを特徴とする(3)に記載のフェロコークス製造方法。
(5)前記フェロコークスが、5〜40質量%の鉄分を有することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれか1つに記載のフェロコークス製造方法。
(6)前記成型物の乾留が竪型炉において行われ、前記成型物を加熱するガスとして前記竪型炉の炉頂ガスを使用することを特徴とする(1)ないし(5)のいずれか1つに記載のフェロコークス製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高炉内でのCO2反応性が高いフェロコークスを製造でき、熱保存帯温度の低下により、高炉の還元材比をより低減することが可能となる。また、フェロコークスを製造する際に必要以上に乾留温度を高くすることがなくなるため、所要熱量の適正化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フェロコークスの形状を示す模式図である。
【図2】フェロコークス乾留温度とフェロコークス中鉄の還元率の関係を示すグラフである。
【図3】昇温過程における粒子表層と中心が同一温度になる時間差を示すグラフである。
【図4】粒子表層と中心とが同一温度になるために必要な降下速度を示すグラフである。
【図5】鉱石粒度分布を示すグラフである。
【図6】フェロコークス粒径と、鉱石とフェロコークスの混合層の通気抵抗の関係を示すグラフである。
【図7】フェロコークス反応試験条件を示すグラフである。
【図8】フェロコークス乾留温度とカーボンのCO2反応率の関係を示すグラフである。
【図9】フェロコークス中鉄分と反応開始温度の関係を示すグラフである。
【図10】フェロコークス使用時の、フェロコークス乾留温度と高炉の還元材比の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、炭材と鉄鉱石とからなる混合物を成型した成型物を乾留して製造する高炉操業に用いるフェロコークスについて、フェロコークス中のコークスのCO2反応性を高めるために、フェロコークスの製造方法について検討し、以下のように考えた。
【0016】
(A)乾留時のフェロコークスの温度が高いほど混合された鉄鉱石の還元が進行するため、触媒効果が高まる。
【0017】
(B)一方、一般にコークスは乾留時のコークスの温度が低いほどCO2反応性が向上すると考えられるため、フェロコークスの鉄以外の部分である、炭材が乾留したコークス部分についても着目し、フェロコークス中のコークス部分も乾留温度が低いほど反応性が向上する。
【0018】
すなわち、フェロコークスを製造する際の乾留時のフェロコークスの温度が高くなると、還元鉄の触媒効果の観点からはコークスのCO2反応性が向上する可能性が、コークス性状の観点からはコークスのCO2反応性が低下する可能性があることになる。従って、コークスのCO2反応性を高めるために、フェロコークスの製造条件には最適な温度範囲が存在するのではないかと考えられる。
【0019】
そこで、本発明者らは、温度条件を変更して乾留したフェロコークスに対し、高炉内のガスおよび温度を再現した条件によりコークスのCO2反応性を評価する実験を行なうことで、コークスのCO2反応性を高めるフェロコークスの乾留条件を導出した。その過程を以下に説明する。
【0020】
フェロコークスは、石炭と鉄鉱石の混合物(石炭は90、80、70、60mass%、鉄鉱石は10、20、30、40mass%)をブリケットマシンで成型した成型物(ブリケット)をバッチ式の加圧乾留炉で乾留して製造した。ブリケットの形状を図1に示す。図1において、上がブリケットの平面図、下が正面図であり、L=30mm、B=25mm、T=18mmである。Lは長さ(length)、Bは幅(breadth)、Tは厚さ(thickness)であり、フェロコークスの粒径は(長さ×幅×厚さ)1/3、すなわち、(L×B×T)1/3で表される。
【0021】
乾留時のフェロコークスの温度(フェロコークス乾留温度)は、750、800、850、900、950℃であった。なお、前記フェロコークス乾留温度は乾留時の最高温度であり、ブリケットの中心部の温度を測定したものである。これらの最高温度までは5℃/分で昇温し、最高温度で90分保持した。また、雰囲気は水素30%、一酸化炭素11%、二酸化炭素17%、窒素21%、水蒸気5%、メタン16%(各々はvol%)の混合ガスとした。これは、実際のフェロコークス製造において、竪型炉を用いたガス−固体の向流移動層による連続的な製造を前提とし、さらにガスとして炉頂ガスを利用するプロセスを想定したものである。各フェロコークス乾留温度におけるフェロコークス中鉄鉱石の還元率を図2に示す。フェロコークス乾留温度の上昇に伴い、還元率が増加している。
【0022】
次に、フェロコークスの粒径が生産性に及ぼす影響に関して検討した。乾留時、特に製品の性状に大きな影響を及ぼす最高温度に関しては、ブリケット内の温度を均一に保持することが望ましい。ガスと固体の向流移動層である竪型乾留炉を用いる際には、ブリケット内で温度が均一となる時間を確保するように操業条件を設定する必要がある。
【0023】
図3にブリケット体積を変化させ、25℃から850℃まで昇温速度5℃/分で昇温させた際の、表層が850℃に達してから中心が850℃に達するまでの時間差を測定した結果を示す。ブリケット体積6cm3を基準条件とし、ブリケット体積6cm3の場合に対する相対値で整理した。雰囲気は水素30%、一酸化炭素11%、二酸化炭素17%、窒素21%、水蒸気5%、メタン16%(各々はvol%)の混合ガスであり、ブリケット表層および中心の温度を測定した。ブリケット体積が大きくなるほど、ブリケット全体が均一温度になる時間が増大する。
【0024】
次に、ブリケット全体を均一温度とするために必要な乾留炉の操業条件を検討した。ブリケット体積6cm3の条件を基準とすると、体積が6cm3より大きなブリケットについて粒子全体を均一温度に保持する時間、すなわちブリケット中心が850℃に達した後に粒子全体を850℃に保持する時間を同じとするためには、図3に示した時間が6cm3のブリケット全体が850℃になる時間に比べて余分に必要となる。時間を調整する手段としては、ブリケット降下速度の変更が挙げられる。体積6cm3のブリケットで、850℃のゾーン長さ1.5mの通過時間が90分となる、1m/時のブリケット降下速度を基準とした場合の、ブリケット体積と、ブリケット全体が850℃で乾留される時間が同等となるために必要なブリケット降下速度の関係を図4に示す。ブリケット体積が大きくなるほど降下速度を下げる必要があり、これは生産速度の低下を意味し、体積6cm3を基準にした場合、体積14cm3以上になると生産速度が5%以上減少する。なお、前述のようにフェロコークスの粒径は(長さ×幅×厚さ)1/3で示すと、体積6cm3の粒径は23.8mmに、14cm3の粒径は28.3mmに、18cm3の粒径は30.6mmに相当する。以上のように生産性に関しては小さい粒径のブリケットほど有利となるが、高炉での使用を前提とすると、通気性の観点で粒径に下限を規定することが望ましい。
【0025】
フェロコークスは、焼結鉱、ペレット、塊鉱石等から構成される鉄原料に混合して使用することが望ましい。焼結鉱、ペレット、塊鉱石等から構成される鉄原料を、以下、鉱石という。この際、鉱石とフェロコークスの混合層の通気性を維持することが、操業上重要となるため、鉱石とフェロコークスの混合層の通気抵抗に及ぼすフェロコークス粒径の影響を調査した。鉱石中のフェロコークス比率を21vol%(フェロコークス比率35mass%に相当)とした。鉱石の粒度分布を図5に示す。鉱石中に混合するフェロコークスの粒径による通気抵抗の変化を、下記式(2)を用いて計算した。
通気抵抗指数=(1/Φdp)1.3・(1−ε)1.3/ε3 ・・・ (2)
ここで、Φは形状係数(0.7とした。)、dpは鉱石/フェロコークス混合層の平均粒子径、εは鉱石/フェロコークス混合層の空隙率である。混合層の平均径は想定するフェロコークス粒径に応じて図5に示した粒度分布を補正して算出し、空隙率は補正後の粒度分布から推定した(非特許文献3参照。)。結果を図6に示す。フェロコークスの粒径が15〜35mmの間では通気抵抗が低く、その変化も小さいことがわかる。フェロコークスの粒径が15mmを下回ると混合層の平均径が低下することにより通気抵抗が上昇する。一方、フェロコークスの粒径が大きい条件でも通気抵抗が上昇するが、これは粒度分布が広がることにより空隙率が低下することに起因する。以上から、通気抵抗上昇を回避するためには、フェロコークス粒径が15〜35mmであるのが好ましいことが明らかになった。成型器を用いて製造される図1に示したような形状のフェロコークスであれば、先に定義したフェロコークスの粒径(=(L×B×T)1/3)が15〜35mmであることが望ましい。より望ましくは、20〜35mmである。
【0026】
以上より、フェロコークスの粒径に関しては、乾留炉の生産性確保の観点からは28mm以下、高炉使用時の通気性の観点からは15〜35mmが望ましい。生産性確保と通気性の両方を考慮すると、15〜28mmの範囲が望ましい。
【0027】
なお、ブリケットはブリケットマシンのモールドの形状に応じて、マセック型、印籠型、玉子型、楕円型 等の呼び名があるが、いずれにおいても直交する3つの対称軸(前出のL、B、T)を有するため、先に示した粒径(=(L×B×T)1/3)によってその特性が規定される。
【0028】
次に、750、800、850、900、950℃のフェロコークス乾留温度で製造したフェロコークスを、高炉内条件を模擬した条件で反応させる試験を行った。ブリケット形状は図1においてL=30mm、B=25mm、T=18mmとした。反応条件を図7に示す。図7において、太線で示した部分が、高炉の炉頂から1200℃の温度域へと装入物が炉内を降下する際に受ける履歴を再現した条件に相当する。
【0029】
図7の条件で1200℃まで反応させた後のフェロコークスについて、フェロコークス乾留温度とフェロコークス中カーボンの反応率の関係を図8に示す。フェロコークス乾留温度が750℃および950℃では反応率が低位となり、850℃で極大値を持つ結果となった。フェロコークス乾留温度が750℃の場合は図2に示すようにフェロコークス中鉄鉱石の還元率が20%と低く、還元鉄の触媒効果が小さいために反応性が低くなったものと推察される。また、図2に示すようにフェロコークス乾留温度の上昇に伴いフェロコークス中鉄鉱石の還元率は上昇するが、コークス部の反応性が低下する影響により、950℃では反応性が低下したものと推定される。
【0030】
また、鉄分を0〜40質量%に変更し、乾留温度850℃で製造したフェロコークスの上記試験における反応開始温度を図9に示す。ここで、フェロコークス中カーボンの反応率が0.8%に達した温度を反応開始温度と定義した。図9によれば、フェロコークス中の鉄分含有量が増えるに従い、反応性が向上し反応開始温度が低下する効果が発現する。そして、鉄分含有量5質量%から大きな効果が発現し、40質量%以上では効果が飽和する。このことから、5〜40質量%が望ましい鉄分含有量であると言える。したがって、フェロコークス中の鉄分含有量は5〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40質量%である。
【0031】
以上のことから、炭材と鉄鉱石とからなる混合物を乾留してフェロコークスを製造する際には、乾留時のフェロコークスの温度を800〜900℃の範囲内、望ましくは800〜850℃の範囲内、特に望ましくは850℃近傍とすることにより、CO2反応性の高いフェロコークスを製造することができることが明らかになった。
【0032】
フェロコークスの粒径に関しては、乾留炉の生産性確保の観点からは28mm以下、高炉使用時の通気性の観点からは15〜35mmが望ましい。生産性確保と通気性の両方を考慮すると、15〜28mmが望ましい。
【0033】
フェロコークス中の鉄分は5〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40質量%である。炭材としては、石炭を用いることが好ましい。石炭の他に、バイオマス等を用いることもできる。
【実施例1】
【0034】
各乾留温度条件で製造したフェロコークスの高炉使用試験を実施した。
【0035】
フェロコークスは、石炭と鉄鉱石の混合物(石炭は70mass%、鉄鉱石は30mass%)をブリケットマシンで成型したブリケットを、ガス加熱式の竪型の乾留炉で連続的に乾留した。ガスは乾留炉の炉頂ガスの一部を加熱したものを用い(水素30vol%、一酸化炭素11vol%、二酸化炭素17vol%、窒素21vol%、水蒸気5vol%、「メタン+エタン」16vol%)、乾留炉内を上昇するガスと、炉内を連続的に降下するブリケットとで向流移動層を形成することによりブリケットの昇温を行った。ブリケットの寸法は図1に示した形状(L=30mm、B=25mm、T=18mm)とした。竪型乾留炉において、炉頂から装入されたブリケットは1時間程度で600℃近傍まで昇温されるが、600℃から最高温度までは2℃/分〜5℃/分で昇温させ、最高温度で1.5時間保持した。この最高温度をフェロコークス乾留温度とした。ここで、例えば非特許文献6に示すように、竪型の乾留炉においてはガス温度と固体温度に差が生じる。この差を勘案し、向流移動層の伝熱シミュレーションを行い、固体温度が所定条件となるように、ガス条件の調整を行った。
【0036】
フェロコークス製造条件(フェロコークス乾留温度)、フェロコークス中の鉄還元率、操業条件(フェロコークス使用量、室炉コークス比、微粉炭比)および高炉操業結果(還元材比)を表1に、フェロコークス乾留温度と高炉還元材比との関係を図10に示す。表1において、ベースはフェロコークスを使用しない通常の高炉操業の場合、ケース1〜5がフェロコークスを鉱石層に均一に混合して高炉炉頂から装入した操業を行った場合である。
【0037】
【表1】

【0038】
表1によれば、フェロコークスを使用しない条件(ベース)に対し、フェロコークスを使用することで還元材比を低減することができることが分かる。特に、乾留時のフェロコークスの温度(フェロコークス乾留温度)が800〜900℃間では、還元材比を30kg/t以上も低減させることが可能となった。これは、乾留温度が高いほどフェロコークス中鉄の還元率が上昇するために触媒としての機能が高まる効果と、乾留温度が高いほどコークス部の反応性が低下する効果の相互作用によるものと推定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭材と鉄鉱石とからなる混合物を成型して成型物を形成し、前記成型物を乾留してフェロコークスを製造する方法であって、前記乾留時のフェロコークスの最高温度が800℃以上、900℃以下であることを特徴とする冶金用フェロコークスの製造方法。
【請求項2】
前記乾留時のフェロコークスの最高温度が800℃以上、850℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の冶金用フェロコークスの製造方法。
【請求項3】
前記フェロコークスが15mm以上、35mm以下の粒径を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェロコークス製造方法。
【請求項4】
前記フェロコークスの粒径が、15mm以上、28mm以下であることを特徴とする請求項3に記載のフェロコークス製造方法。
【請求項5】
前記フェロコークスが、5〜40質量%の鉄分を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のフェロコークス製造方法。
【請求項6】
前記成型物の乾留が竪型炉において行われ、前記成型物を加熱するガスとして前記竪型炉の炉頂ガスを使用することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のフェロコークス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−202159(P2011−202159A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43509(P2011−43509)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】