冷凍カニパックの製造方法
【課題】従来の方法に比べて、電子レンジでの熱処理後の温度むらを軽減できると共に、電子レンジでの熱処理時の取り扱いを容易にすることが可能な冷凍カニパックの製造方法を提供する。
【解決手段】カニ100を急速冷凍すると共にグレージング処理を施して表面を氷で覆い、電子レンジの波長帯のマイクロ波を減衰させるマイクロ波シールドシート41、42でカニ100の脚を少なくとも部分的に覆い、少なくともカニ100の両脚の対向する部分と胴体の一部からなる部分を外側から熱収縮固定部材20で取り囲むと共に熱収縮させて固定し、熱収縮固定部材20で脚が固定されたカニ100を電子レンジ対応収容パック30に収容して封印し、封印されたカニ100を冷却保存して、冷凍ガニパック1を製造する構成を有している。
【解決手段】カニ100を急速冷凍すると共にグレージング処理を施して表面を氷で覆い、電子レンジの波長帯のマイクロ波を減衰させるマイクロ波シールドシート41、42でカニ100の脚を少なくとも部分的に覆い、少なくともカニ100の両脚の対向する部分と胴体の一部からなる部分を外側から熱収縮固定部材20で取り囲むと共に熱収縮させて固定し、熱収縮固定部材20で脚が固定されたカニ100を電子レンジ対応収容パック30に収容して封印し、封印されたカニ100を冷却保存して、冷凍ガニパック1を製造する構成を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活きカニからパック内に収容された冷凍ガニを製造する冷凍カニパックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍ガニのパック方法として、急速冷凍したものを所定のフィルムで包装するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の技術は、酸素、空気等を脱気し、又は窒素ガス等の雰囲気が形成されるようにフィルム内に包装して密閉するものである。また、電子レンジでの冷凍ガニの解凍又は加熱は、従来、そのまま又はフィルムを外して行われている。
【0003】
ここで、冷凍ガニは、活カニと違って長期保存が可能なので、海外等の遠隔地でも食べられることに加え、冷凍設備があって生けすのない飲食店や家庭においても鮮度よく食べることを可能にする。また、業者側においても、冷凍保存されているため、製品のロスがなく、管理しやすいという長所がある。
【特許文献1】特開平05−084038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の冷凍カニパックの製造方法では、一尾ごと、パックされた状態でそのまま又はフィルムを外して電子レンジで解凍又は加熱するのでは、温度むらができてしまうという問題を有していた。その結果、加熱して食べようとするときに、脚の部分の身が乾燥してぱさぱさ又はカラカラにであったり、また逆に甲羅内が加熱不足であったりして、美味しく食べることができないことがしばしば起こっていた。
【0005】
また、電子レンジで解凍する場合は温度むらができてしまうために自然解凍にすることが多く、自然解凍に例えば6時間〜8時間等の長時間を要することになったり、冷たいうちに調理することとなったりしていた。さらに、電子レンジで一尾ごと調理する場合、調理中の放電についても考慮する必要があった。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明の目的は、従来の方法に比べて、電子レンジでの熱処理後の温度むらを軽減できると共に、電子レンジでの熱処理時の取り扱いを容易にすることが可能な冷凍カニパックの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、カニを急速冷凍すると共にグレージング処理を施して表面を氷で覆い、電子レンジの波長帯のマイクロ波を減衰させるマイクロ波シールドシートで前記カニの脚を少なくとも部分的に覆い、少なくとも前記カニの両脚の対向する部分と胴体の一部からなる部分を外側から熱収縮固定部材で取り囲むと共に熱収縮させて固定し、前記熱収縮固定部材で脚が固定されたカニを電子レンジ対応収容パックに収容して封印し、封印された前記カニを冷却保存することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の冷凍カニパックの製造方法において、前記熱収縮固定部材が、電子レンジでの熱処理時の放電が回避される距離以上に前記カニの両脚の対向する部分が離れるように固定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の冷凍カニパックの製造方法において、前記熱収縮固定部材が、複数の貫通孔を有する袋からなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の冷凍カニパックの製造方法において、前記熱収縮固定部材が、熱収縮するテープ又は環状リボンからなることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の冷凍カニパックの製造方法において、前記電子レンジ対応収容パックが、カニを収容する収容空間に通じた縁側に圧力弁を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、カニを急速冷凍すると共にグレージング処理を施して表面を氷で覆い、電子レンジの波長帯のマイクロ波を減衰させるマイクロ波シールドシートでカニの脚を少なくとも部分的に覆い、少なくともカニの両脚の対向する部分と胴体の一部からなる部分を外側から熱収縮固定部材で取り囲むと共に熱収縮させて固定し、熱収縮固定部材で脚が固定されたカニを電子レンジ対応収容パックに収容して封印し、封印されたカニを冷却保存するため、従来の方法に比べて、電子レンジでの熱処理後の温度むらを軽減できると共に、電子レンジでの熱処理時の取り扱いを容易にすることが可能な冷凍カニパックの製造方法を実現することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、上記請求項1の効果に加えて、熱収縮固定部材が、電子レンジでの熱処理時の放電が回避される距離以上にカニの両脚の対向する部分が離れるように固定するため、電子レンジでの調理中の放電、発火等を防止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項1又は請求項2の効果に加えて、熱収縮固定部材が、複数の貫通孔を有する袋からなるため、熱収縮時に内部の空気の排出を容易にすることができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、上記請求項1又は請求項2の効果に加えて、熱収縮固定部材が、熱収縮するテープ又は環状リボンからなるため、熱収縮時に内部の空気の排出を不要にすることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、上記請求項1乃至請求項4のいずれか一項の効果に加えて、電子レンジ対応収容パックが、カニを収容する収容空間に通じた縁側に圧力弁を有するため、電子レンジ内での破裂等の事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法によって製造される冷凍毛ガニパックの一例を示す模式図である。冷凍毛ガニパック1は、図1に示すように、冷凍毛ガニ100の左右の脚の部分を覆うマイクロ波シールドシート11、12と、熱収縮して冷凍毛ガニ100を外側から固定する熱収縮固定部材20と、これらを収容する電子レンジ対応収容パック30とを備える。
【0018】
まず、本発明の説明に先立ち、冷凍毛ガニ100における各部位について図2及び図3を参照して説明する。図2は、毛ガニの各部位を説明する上面図であり、図3は、毛ガニの各部位を説明する底面図である。図2及び図3に示すように、毛ガニ100は、甲110、腹節又は腹部120、左右の鋏脚131、132、及び左右それぞれ4本の歩脚141、142を有する。ここで、対向する鋏脚131、132間又は歩脚141、142間の最短距離が、通常、電子レンジでの解凍又は加熱時における放電現象及び火花の発生を左右する。
【0019】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る左右のマイクロ波シールドシートの平面図である。マイクロ波シールドシート11、12は、図4に示すように例えば矩形状の形状を有し、マイクロ波を減衰させる例えばアルミ箔等の金属箔からなる。図5は、冷凍毛ガニの左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す上面図であり、図6は、冷凍毛ガニの鋏脚及び歩脚の歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す底面図である。マイクロ波シールドシート11、12は、図5及び図6に示すように、鋏脚131、132及び歩脚141、142を包み込むように冷凍毛ガニ100に取り付けられる。マイクロ波シールドシート11、12の厚さは、殻110内と脚131、132、141、142内とが加熱又は解凍むらが起こらないように又は抑制されるように調節されている。
【0020】
図7は、熱収縮固定部材内に収容された冷凍毛ガニの一例を示す模式図であり、(a)は熱収縮固定部材の開口部をシールする前の状態を示す上面図であり、開口部をシールした後の状態を示す底面図である。熱収縮固定部材20は、図7に示すように、マイクロ波を透過させる絶縁性の樹脂等の材料からなり、袋状の形状を有する。熱収縮固定部材20は、また、図中に矢印Enで示す方向から冷凍毛ガニ100を入れる開口部21と複数の貫通孔22とを有する。このように構成することによって、熱収縮させたときに内部の空気を容易に排出できる。また、熱収縮固定部材20の材料が例えば熱湯等で収縮するように構成するのは、取り扱いが容易になり好ましい。
【0021】
図8は、図1におけるA−A線断面図である。電子レンジ対応収容パック30は、図8に示すように、冷凍毛ガニ100を収容可能な大きさで、収容空間31に繋がる縁側に圧力弁32が配置されていると共に圧力弁32として機能するための切り込み指示ライン33が表示されているものとする。電子レンジ対応収容パック30をこのように構成することによって、加熱時の破裂等を防止することが可能になる。
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、活きた毛ガニを活〆にして塩分濃度3%の再沸騰したお湯内で20分茹で、次に取り上げてゴムバンドで形を整えた後、2時間程度、急速冷凍して内部まで凍らせる(工程A1)。
【0023】
次に、工程A1で得られた冷凍毛ガニ100を0℃近傍、即ち氷点近傍の冷水に浸し、冷凍毛ガニ100の表面に氷の膜を形成する、所謂グレージング処理を行う(工程A2)。工程A1及び工程A2での処理によって、まず、後述する冷凍保存における冷凍乾燥、冷凍焼け、冷凍乾燥による水分放出等が防止又は緩和される。また、冷凍毛ガニ100の表面に水分を確保できるため、電子レンジでの加熱時の保湿効果が得られる。さらに、冷凍毛ガニ100が含む塩分を閉じ込めることができるため、加熱後の塩分調節に寄与する。
【0024】
工程A2で得られた冷凍毛ガニ100における左右の鋏脚131、132と左右の歩脚141、142を図4及び図5に示すように左右のマイクロ波シールドシート11、12で包む(工程A3)。
【0025】
次に、工程A3で得られた冷凍毛ガニ100を熱収縮固定部材20内に収納しシールする(工程A4)。
【0026】
次に、工程A4で得られた冷凍毛ガニ100を熱湯に1〜2回浸し、もって熱収縮固定部材20を熱収縮させて冷凍毛ガニ100の表面に密着させると共に左右の鋏脚131、132と左右の歩脚141、142を固定し(工程A5)、図9及び図10に示す熱収縮固定部材内に収容された冷凍毛ガニを得る。図9は、本発明の第1の実施の形態に係る熱収縮固定部材が熱収縮して固定された冷凍毛ガニの状態を示すと共に、左右の鋏脚間の最短距離Lを示す底面図である。図10は、図9における冷凍毛ガニの一部を破断した状態でのイ矢視図である。ここで、冷凍毛ガニ100の左右の鋏脚131、132間の距離は、電子レンジで加熱したときに放電が回避できる最短距離以上の所定の距離L程度になるように保持される。このように固定することによって、左右の鋏脚131、132と左右の歩脚141、142が絶縁性の材料を介して固定され、放電、発火等を回避できる。
【0027】
次に、図1及び図8に示すように工程A5で得られた冷凍毛ガニを電子レンジ対応収容パック30内に収容すると共にシールを施して密閉し(工程A6)、例えば−20℃以下の温度で冷凍保存し、毛ガニを内部まで徐々に完全に凍結させる(工程A7)。
【0028】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法によって製造される冷凍毛ガニパックの一例を示す模式図である。冷凍毛ガニパック2は、図11に示すように、冷凍毛ガニ100の左右の脚の部分及び甲羅を覆うマイクロ波シールドシート40と、テープ状又は環状リボン状の形状を有し熱収縮して冷凍毛ガニ100を外側から固定する熱収縮固定部材50と、これらを収容する電子レンジ対応収容パック30とを備える。以下、同様の構成部材については同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロ波シールドシートの平面図であり、図13は、図12のB―B線における要部拡大断面図である。マイクロ波シールドシート40は、図12及び図13に示すように、マイクロ波を減衰させる例えば矩形状のマイクロ波シールド部41、42と、マイクロ波を透過させシールド部41、42間を接続するマイクロ波透過接続部43とを有する。シールド部41、42は、それぞれ、例えば、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロ波シールドシート11、12と同様に構成される。また、マイクロ波透過接続部43は、例えば樹脂等の材料からなり、フィルム状の形状を有する。マイクロ波透過接続部43は、また、熱接着又は接着剤を介してシールド部41、42に接続される。
【0030】
図14は、冷凍毛ガニの甲羅、左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す上面図であり、図15は、冷凍毛ガニの甲羅、左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す底面図である。マイクロ波シールドシート40は、図14及び図15に示すように、マイクロ波透過接続部43が甲羅110を覆い、シールド部41、42が少なくとも鋏脚131、132及び歩脚141、142の所定部分を包み込むように冷凍毛ガニに取り付けられる。
【0031】
以下、本発明の第2の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、上記で説明した工程A1及び工程A2での処理と同様の処理を行い、グレージング処理された毛ガニを作成する(工程B1及び工程B2)。
【0032】
次に、マイクロ波シールドシート40を、マイクロ波透過接続部43が甲羅110を覆い、シールド部41、42が上記のように鋏脚131、132及び歩脚141、142を包み込むように、冷凍毛ガニに取り付ける(工程B3)。
【0033】
次に、工程B3で得られた冷凍毛ガニ100に熱収縮固定部材50を図16及び図17に示すように取り付けて固定する(工程B4)。図16は、本発明の第2の実施の形態に係る熱収縮固定部材が熱収縮して固定された冷凍毛ガニの状態を示すと共に、左右の鋏脚間の最短距離Lを示す底面図である。図17は、図16における冷凍毛ガニの一部を破断した状態でのイ矢視図である。ここで、熱収縮固定部材50は、図16及び図17に示すように、甲羅110の中央、即ち、両方の脚131、132、141、142に挟まれた領域に沿って、胴体110、120に対して脚131、132、141、142が固定されるように取り付けられて固定される。
【0034】
次に、工程B4で得られた冷凍毛ガニ100を熱湯に1〜2秒浸し、もって熱収縮固定部材50を熱収縮させて冷凍毛ガニ100の表面に密着させると共に左右の鋏脚131、132と左右の歩脚141、142を固定し(工程B5)、図16及び図17に示す熱収縮固定部材内に収容された冷凍毛ガニを得る。ここで、冷凍毛ガニ100の左右の鋏脚131、132間の距離は、上記の工程A5と同様に、電子レンジで加熱したときに放電が回避できる最短距離以上の所定の距離L程度になるように保持される。
【0035】
次に、図11及び図18に示すように工程B5で得られた冷凍毛ガニを電子レンジ対応収容パック内に収容すると共にシールを施して密閉し(工程B6)、例えば−20℃以下の温度で冷凍保存し、毛ガニを内部まで徐々に完全に凍結させる(工程B7)。ここで、図18は、図11におけるC―C線断面図である。
【0036】
以下、本発明の第3の実施の形態に係る冷凍ガニの調理方法について、図面を参照して説明する。
まず、冷凍毛ガニパック1、2の電子レンジ対応収容パック30に切り込み指示ライン33に沿って圧力弁32に達するように切り込みを入れる(工程C1)。
【0037】
次に、工程C1で得られた冷凍毛ガニパック1、2を電子レンジに入れて、解凍又は加熱に応じて所定の電力下で所定の時間熱処理する(工程C2)。ここで、熱処理の時間は、加熱の場合は、例えば、500W下では15分程度、600W下では12分程度である。
【0038】
次に、工程C2で熱処理された冷凍毛ガニパック1、2を、例えば2分等の所定の時間蒸らす(工程C3)。ここで、熱処理の時間は、加熱の場合は、例えば、500W下では15分程度、600W下では12分程度である。図19は本発明の第1の実施の形態に係る冷凍毛ガニパックを加熱して蒸らした後の状態を説明する縦断面図であり、図20は本発明の第2の実施の形態に係る冷凍毛ガニパックを加熱して蒸らした後の状態を説明する縦断面図である。図19及び図20に示すように、電子レンジ対応収容パック30内には、グレージング処理による氷が毛ガニから解けることによる水分、毛ガニから出たエキス等の、カニ汁が毛ガニを浸すように収容される。
【0039】
このように、マイクロ波シールドシートが冷凍毛ガニの熱処理の均一性に寄与するため、マイクロ波シールドシートなければ脚の部分が乾燥してしまいカラカラになることや、逆に、甲羅の中が凍ったままとなることなどが回避できる。また、毛ガニの周囲にグレージングの氷による水分量等の多すぎない水分量で適切な塩分濃度のカニ汁を供給でき、電子レンジを利用して短時間により美味しく食することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法によって得られる冷凍毛ガニパックの一例を示す模式図である。
【図2】毛ガニの各部位を説明する上面図である。
【図3】毛ガニの各部位を説明する底面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る左右のマイクロ波シールドシートの平面図である。
【図5】冷凍毛ガニの左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す上面図である。
【図6】冷凍毛ガニの鋏脚及び歩脚の歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す底面図である。
【図7】熱収縮固定部材内に収容された冷凍毛ガニの一例を示す模式図であり、(a)は熱収縮固定部材の開口部をシールする前の状態を示す上面図であり、(b)は開口部をシールした後の状態を示す底面図である。
【図8】図1におけるA−A線断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る熱収縮固定部材が熱収縮して固定された冷凍毛ガニの状態を示すと共に、左右の鋏脚間の最短距離Lを示す底面図である。
【図10】図9における冷凍毛ガニの一部を破断した状態でのイ矢視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法によって得られる冷凍毛ガニパックの一例を示す模式図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るマイクロ波シールドシートの平面図である。
【図13】図12のB―B線における要部拡大断面図である。
【図14】冷凍毛ガニの甲羅、左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す上面図である。
【図15】冷凍毛ガニの甲羅、左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す底面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る熱収縮固定部材が熱収縮して固定された冷凍毛ガニの状態を示すと共に、左右の鋏脚間の最短距離Lを示す底面図である。
【図17】図16における冷凍毛ガニの一部を破断した状態でのイ矢視図である。
【図18】図11におけるC―C線断面図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る冷凍毛ガニパックを加熱して蒸らした後の状態を説明する縦断面図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る冷凍毛ガニパックを加熱して蒸らした後の状態を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1、2 冷凍毛ガニパック
11、12、40 マイクロ波シールドシート
20、50 熱収縮固定部材
21 開口
22 貫通孔
23 シール痕
30 電子レンジ対応収容パック
31 収容空間
32 圧力弁
33 切り込み指示ライン
41、42 マイクロ波シールド部
43 マイクロ波透過接続部
100 冷凍毛ガニ
110 甲
111 甲羅の頭部側部位
120 腹節又は腹部
131、132 鋏脚
141、142 歩脚
200、210 カニ汁
【技術分野】
【0001】
本発明は、活きカニからパック内に収容された冷凍ガニを製造する冷凍カニパックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍ガニのパック方法として、急速冷凍したものを所定のフィルムで包装するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の技術は、酸素、空気等を脱気し、又は窒素ガス等の雰囲気が形成されるようにフィルム内に包装して密閉するものである。また、電子レンジでの冷凍ガニの解凍又は加熱は、従来、そのまま又はフィルムを外して行われている。
【0003】
ここで、冷凍ガニは、活カニと違って長期保存が可能なので、海外等の遠隔地でも食べられることに加え、冷凍設備があって生けすのない飲食店や家庭においても鮮度よく食べることを可能にする。また、業者側においても、冷凍保存されているため、製品のロスがなく、管理しやすいという長所がある。
【特許文献1】特開平05−084038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の冷凍カニパックの製造方法では、一尾ごと、パックされた状態でそのまま又はフィルムを外して電子レンジで解凍又は加熱するのでは、温度むらができてしまうという問題を有していた。その結果、加熱して食べようとするときに、脚の部分の身が乾燥してぱさぱさ又はカラカラにであったり、また逆に甲羅内が加熱不足であったりして、美味しく食べることができないことがしばしば起こっていた。
【0005】
また、電子レンジで解凍する場合は温度むらができてしまうために自然解凍にすることが多く、自然解凍に例えば6時間〜8時間等の長時間を要することになったり、冷たいうちに調理することとなったりしていた。さらに、電子レンジで一尾ごと調理する場合、調理中の放電についても考慮する必要があった。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明の目的は、従来の方法に比べて、電子レンジでの熱処理後の温度むらを軽減できると共に、電子レンジでの熱処理時の取り扱いを容易にすることが可能な冷凍カニパックの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、カニを急速冷凍すると共にグレージング処理を施して表面を氷で覆い、電子レンジの波長帯のマイクロ波を減衰させるマイクロ波シールドシートで前記カニの脚を少なくとも部分的に覆い、少なくとも前記カニの両脚の対向する部分と胴体の一部からなる部分を外側から熱収縮固定部材で取り囲むと共に熱収縮させて固定し、前記熱収縮固定部材で脚が固定されたカニを電子レンジ対応収容パックに収容して封印し、封印された前記カニを冷却保存することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の冷凍カニパックの製造方法において、前記熱収縮固定部材が、電子レンジでの熱処理時の放電が回避される距離以上に前記カニの両脚の対向する部分が離れるように固定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の冷凍カニパックの製造方法において、前記熱収縮固定部材が、複数の貫通孔を有する袋からなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の冷凍カニパックの製造方法において、前記熱収縮固定部材が、熱収縮するテープ又は環状リボンからなることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の冷凍カニパックの製造方法において、前記電子レンジ対応収容パックが、カニを収容する収容空間に通じた縁側に圧力弁を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、カニを急速冷凍すると共にグレージング処理を施して表面を氷で覆い、電子レンジの波長帯のマイクロ波を減衰させるマイクロ波シールドシートでカニの脚を少なくとも部分的に覆い、少なくともカニの両脚の対向する部分と胴体の一部からなる部分を外側から熱収縮固定部材で取り囲むと共に熱収縮させて固定し、熱収縮固定部材で脚が固定されたカニを電子レンジ対応収容パックに収容して封印し、封印されたカニを冷却保存するため、従来の方法に比べて、電子レンジでの熱処理後の温度むらを軽減できると共に、電子レンジでの熱処理時の取り扱いを容易にすることが可能な冷凍カニパックの製造方法を実現することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、上記請求項1の効果に加えて、熱収縮固定部材が、電子レンジでの熱処理時の放電が回避される距離以上にカニの両脚の対向する部分が離れるように固定するため、電子レンジでの調理中の放電、発火等を防止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項1又は請求項2の効果に加えて、熱収縮固定部材が、複数の貫通孔を有する袋からなるため、熱収縮時に内部の空気の排出を容易にすることができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、上記請求項1又は請求項2の効果に加えて、熱収縮固定部材が、熱収縮するテープ又は環状リボンからなるため、熱収縮時に内部の空気の排出を不要にすることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、上記請求項1乃至請求項4のいずれか一項の効果に加えて、電子レンジ対応収容パックが、カニを収容する収容空間に通じた縁側に圧力弁を有するため、電子レンジ内での破裂等の事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法によって製造される冷凍毛ガニパックの一例を示す模式図である。冷凍毛ガニパック1は、図1に示すように、冷凍毛ガニ100の左右の脚の部分を覆うマイクロ波シールドシート11、12と、熱収縮して冷凍毛ガニ100を外側から固定する熱収縮固定部材20と、これらを収容する電子レンジ対応収容パック30とを備える。
【0018】
まず、本発明の説明に先立ち、冷凍毛ガニ100における各部位について図2及び図3を参照して説明する。図2は、毛ガニの各部位を説明する上面図であり、図3は、毛ガニの各部位を説明する底面図である。図2及び図3に示すように、毛ガニ100は、甲110、腹節又は腹部120、左右の鋏脚131、132、及び左右それぞれ4本の歩脚141、142を有する。ここで、対向する鋏脚131、132間又は歩脚141、142間の最短距離が、通常、電子レンジでの解凍又は加熱時における放電現象及び火花の発生を左右する。
【0019】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る左右のマイクロ波シールドシートの平面図である。マイクロ波シールドシート11、12は、図4に示すように例えば矩形状の形状を有し、マイクロ波を減衰させる例えばアルミ箔等の金属箔からなる。図5は、冷凍毛ガニの左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す上面図であり、図6は、冷凍毛ガニの鋏脚及び歩脚の歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す底面図である。マイクロ波シールドシート11、12は、図5及び図6に示すように、鋏脚131、132及び歩脚141、142を包み込むように冷凍毛ガニ100に取り付けられる。マイクロ波シールドシート11、12の厚さは、殻110内と脚131、132、141、142内とが加熱又は解凍むらが起こらないように又は抑制されるように調節されている。
【0020】
図7は、熱収縮固定部材内に収容された冷凍毛ガニの一例を示す模式図であり、(a)は熱収縮固定部材の開口部をシールする前の状態を示す上面図であり、開口部をシールした後の状態を示す底面図である。熱収縮固定部材20は、図7に示すように、マイクロ波を透過させる絶縁性の樹脂等の材料からなり、袋状の形状を有する。熱収縮固定部材20は、また、図中に矢印Enで示す方向から冷凍毛ガニ100を入れる開口部21と複数の貫通孔22とを有する。このように構成することによって、熱収縮させたときに内部の空気を容易に排出できる。また、熱収縮固定部材20の材料が例えば熱湯等で収縮するように構成するのは、取り扱いが容易になり好ましい。
【0021】
図8は、図1におけるA−A線断面図である。電子レンジ対応収容パック30は、図8に示すように、冷凍毛ガニ100を収容可能な大きさで、収容空間31に繋がる縁側に圧力弁32が配置されていると共に圧力弁32として機能するための切り込み指示ライン33が表示されているものとする。電子レンジ対応収容パック30をこのように構成することによって、加熱時の破裂等を防止することが可能になる。
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、活きた毛ガニを活〆にして塩分濃度3%の再沸騰したお湯内で20分茹で、次に取り上げてゴムバンドで形を整えた後、2時間程度、急速冷凍して内部まで凍らせる(工程A1)。
【0023】
次に、工程A1で得られた冷凍毛ガニ100を0℃近傍、即ち氷点近傍の冷水に浸し、冷凍毛ガニ100の表面に氷の膜を形成する、所謂グレージング処理を行う(工程A2)。工程A1及び工程A2での処理によって、まず、後述する冷凍保存における冷凍乾燥、冷凍焼け、冷凍乾燥による水分放出等が防止又は緩和される。また、冷凍毛ガニ100の表面に水分を確保できるため、電子レンジでの加熱時の保湿効果が得られる。さらに、冷凍毛ガニ100が含む塩分を閉じ込めることができるため、加熱後の塩分調節に寄与する。
【0024】
工程A2で得られた冷凍毛ガニ100における左右の鋏脚131、132と左右の歩脚141、142を図4及び図5に示すように左右のマイクロ波シールドシート11、12で包む(工程A3)。
【0025】
次に、工程A3で得られた冷凍毛ガニ100を熱収縮固定部材20内に収納しシールする(工程A4)。
【0026】
次に、工程A4で得られた冷凍毛ガニ100を熱湯に1〜2回浸し、もって熱収縮固定部材20を熱収縮させて冷凍毛ガニ100の表面に密着させると共に左右の鋏脚131、132と左右の歩脚141、142を固定し(工程A5)、図9及び図10に示す熱収縮固定部材内に収容された冷凍毛ガニを得る。図9は、本発明の第1の実施の形態に係る熱収縮固定部材が熱収縮して固定された冷凍毛ガニの状態を示すと共に、左右の鋏脚間の最短距離Lを示す底面図である。図10は、図9における冷凍毛ガニの一部を破断した状態でのイ矢視図である。ここで、冷凍毛ガニ100の左右の鋏脚131、132間の距離は、電子レンジで加熱したときに放電が回避できる最短距離以上の所定の距離L程度になるように保持される。このように固定することによって、左右の鋏脚131、132と左右の歩脚141、142が絶縁性の材料を介して固定され、放電、発火等を回避できる。
【0027】
次に、図1及び図8に示すように工程A5で得られた冷凍毛ガニを電子レンジ対応収容パック30内に収容すると共にシールを施して密閉し(工程A6)、例えば−20℃以下の温度で冷凍保存し、毛ガニを内部まで徐々に完全に凍結させる(工程A7)。
【0028】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法によって製造される冷凍毛ガニパックの一例を示す模式図である。冷凍毛ガニパック2は、図11に示すように、冷凍毛ガニ100の左右の脚の部分及び甲羅を覆うマイクロ波シールドシート40と、テープ状又は環状リボン状の形状を有し熱収縮して冷凍毛ガニ100を外側から固定する熱収縮固定部材50と、これらを収容する電子レンジ対応収容パック30とを備える。以下、同様の構成部材については同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロ波シールドシートの平面図であり、図13は、図12のB―B線における要部拡大断面図である。マイクロ波シールドシート40は、図12及び図13に示すように、マイクロ波を減衰させる例えば矩形状のマイクロ波シールド部41、42と、マイクロ波を透過させシールド部41、42間を接続するマイクロ波透過接続部43とを有する。シールド部41、42は、それぞれ、例えば、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロ波シールドシート11、12と同様に構成される。また、マイクロ波透過接続部43は、例えば樹脂等の材料からなり、フィルム状の形状を有する。マイクロ波透過接続部43は、また、熱接着又は接着剤を介してシールド部41、42に接続される。
【0030】
図14は、冷凍毛ガニの甲羅、左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す上面図であり、図15は、冷凍毛ガニの甲羅、左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す底面図である。マイクロ波シールドシート40は、図14及び図15に示すように、マイクロ波透過接続部43が甲羅110を覆い、シールド部41、42が少なくとも鋏脚131、132及び歩脚141、142の所定部分を包み込むように冷凍毛ガニに取り付けられる。
【0031】
以下、本発明の第2の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、上記で説明した工程A1及び工程A2での処理と同様の処理を行い、グレージング処理された毛ガニを作成する(工程B1及び工程B2)。
【0032】
次に、マイクロ波シールドシート40を、マイクロ波透過接続部43が甲羅110を覆い、シールド部41、42が上記のように鋏脚131、132及び歩脚141、142を包み込むように、冷凍毛ガニに取り付ける(工程B3)。
【0033】
次に、工程B3で得られた冷凍毛ガニ100に熱収縮固定部材50を図16及び図17に示すように取り付けて固定する(工程B4)。図16は、本発明の第2の実施の形態に係る熱収縮固定部材が熱収縮して固定された冷凍毛ガニの状態を示すと共に、左右の鋏脚間の最短距離Lを示す底面図である。図17は、図16における冷凍毛ガニの一部を破断した状態でのイ矢視図である。ここで、熱収縮固定部材50は、図16及び図17に示すように、甲羅110の中央、即ち、両方の脚131、132、141、142に挟まれた領域に沿って、胴体110、120に対して脚131、132、141、142が固定されるように取り付けられて固定される。
【0034】
次に、工程B4で得られた冷凍毛ガニ100を熱湯に1〜2秒浸し、もって熱収縮固定部材50を熱収縮させて冷凍毛ガニ100の表面に密着させると共に左右の鋏脚131、132と左右の歩脚141、142を固定し(工程B5)、図16及び図17に示す熱収縮固定部材内に収容された冷凍毛ガニを得る。ここで、冷凍毛ガニ100の左右の鋏脚131、132間の距離は、上記の工程A5と同様に、電子レンジで加熱したときに放電が回避できる最短距離以上の所定の距離L程度になるように保持される。
【0035】
次に、図11及び図18に示すように工程B5で得られた冷凍毛ガニを電子レンジ対応収容パック内に収容すると共にシールを施して密閉し(工程B6)、例えば−20℃以下の温度で冷凍保存し、毛ガニを内部まで徐々に完全に凍結させる(工程B7)。ここで、図18は、図11におけるC―C線断面図である。
【0036】
以下、本発明の第3の実施の形態に係る冷凍ガニの調理方法について、図面を参照して説明する。
まず、冷凍毛ガニパック1、2の電子レンジ対応収容パック30に切り込み指示ライン33に沿って圧力弁32に達するように切り込みを入れる(工程C1)。
【0037】
次に、工程C1で得られた冷凍毛ガニパック1、2を電子レンジに入れて、解凍又は加熱に応じて所定の電力下で所定の時間熱処理する(工程C2)。ここで、熱処理の時間は、加熱の場合は、例えば、500W下では15分程度、600W下では12分程度である。
【0038】
次に、工程C2で熱処理された冷凍毛ガニパック1、2を、例えば2分等の所定の時間蒸らす(工程C3)。ここで、熱処理の時間は、加熱の場合は、例えば、500W下では15分程度、600W下では12分程度である。図19は本発明の第1の実施の形態に係る冷凍毛ガニパックを加熱して蒸らした後の状態を説明する縦断面図であり、図20は本発明の第2の実施の形態に係る冷凍毛ガニパックを加熱して蒸らした後の状態を説明する縦断面図である。図19及び図20に示すように、電子レンジ対応収容パック30内には、グレージング処理による氷が毛ガニから解けることによる水分、毛ガニから出たエキス等の、カニ汁が毛ガニを浸すように収容される。
【0039】
このように、マイクロ波シールドシートが冷凍毛ガニの熱処理の均一性に寄与するため、マイクロ波シールドシートなければ脚の部分が乾燥してしまいカラカラになることや、逆に、甲羅の中が凍ったままとなることなどが回避できる。また、毛ガニの周囲にグレージングの氷による水分量等の多すぎない水分量で適切な塩分濃度のカニ汁を供給でき、電子レンジを利用して短時間により美味しく食することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法によって得られる冷凍毛ガニパックの一例を示す模式図である。
【図2】毛ガニの各部位を説明する上面図である。
【図3】毛ガニの各部位を説明する底面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る左右のマイクロ波シールドシートの平面図である。
【図5】冷凍毛ガニの左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す上面図である。
【図6】冷凍毛ガニの鋏脚及び歩脚の歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す底面図である。
【図7】熱収縮固定部材内に収容された冷凍毛ガニの一例を示す模式図であり、(a)は熱収縮固定部材の開口部をシールする前の状態を示す上面図であり、(b)は開口部をシールした後の状態を示す底面図である。
【図8】図1におけるA−A線断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る熱収縮固定部材が熱収縮して固定された冷凍毛ガニの状態を示すと共に、左右の鋏脚間の最短距離Lを示す底面図である。
【図10】図9における冷凍毛ガニの一部を破断した状態でのイ矢視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る冷凍カニパックの製造方法によって得られる冷凍毛ガニパックの一例を示す模式図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るマイクロ波シールドシートの平面図である。
【図13】図12のB―B線における要部拡大断面図である。
【図14】冷凍毛ガニの甲羅、左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す上面図である。
【図15】冷凍毛ガニの甲羅、左右の鋏脚及び歩脚の表裏をマイクロ波シールドシートで包んだ状態を示す底面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る熱収縮固定部材が熱収縮して固定された冷凍毛ガニの状態を示すと共に、左右の鋏脚間の最短距離Lを示す底面図である。
【図17】図16における冷凍毛ガニの一部を破断した状態でのイ矢視図である。
【図18】図11におけるC―C線断面図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る冷凍毛ガニパックを加熱して蒸らした後の状態を説明する縦断面図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る冷凍毛ガニパックを加熱して蒸らした後の状態を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1、2 冷凍毛ガニパック
11、12、40 マイクロ波シールドシート
20、50 熱収縮固定部材
21 開口
22 貫通孔
23 シール痕
30 電子レンジ対応収容パック
31 収容空間
32 圧力弁
33 切り込み指示ライン
41、42 マイクロ波シールド部
43 マイクロ波透過接続部
100 冷凍毛ガニ
110 甲
111 甲羅の頭部側部位
120 腹節又は腹部
131、132 鋏脚
141、142 歩脚
200、210 カニ汁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニを急速冷凍すると共にグレージング処理を施して表面を氷で覆い、電子レンジの波長帯のマイクロ波を減衰させるマイクロ波シールドシートで前記カニの脚を少なくとも部分的に覆い、少なくとも前記カニの両脚の対向する部分と胴体の一部からなる部分を外側から熱収縮固定部材で取り囲むと共に熱収縮させて固定し、前記熱収縮固定部材で脚が固定されたカニを電子レンジ対応収容パックに収容して封印し、封印された前記カニを冷却保存することを特徴とする冷凍カニパックの製造方法。
【請求項2】
前記熱収縮固定部材が、電子レンジでの熱処理時の放電が回避される距離以上に前記カニの両脚の対向する部分が離れるように固定することを特徴とする請求項1に記載の冷凍カニパックの製造方法。
【請求項3】
前記熱収縮固定部材が、複数の貫通孔を有する袋からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍カニパックの製造方法。
【請求項4】
前記熱収縮固定部材が、熱収縮するテープ又は環状リボンからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍カニパックの製造方法。
【請求項5】
前記電子レンジ対応収容パックが、カニを収容する収容空間に通じた縁側に圧力弁を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の冷凍カニパックの製造方法。
【請求項1】
カニを急速冷凍すると共にグレージング処理を施して表面を氷で覆い、電子レンジの波長帯のマイクロ波を減衰させるマイクロ波シールドシートで前記カニの脚を少なくとも部分的に覆い、少なくとも前記カニの両脚の対向する部分と胴体の一部からなる部分を外側から熱収縮固定部材で取り囲むと共に熱収縮させて固定し、前記熱収縮固定部材で脚が固定されたカニを電子レンジ対応収容パックに収容して封印し、封印された前記カニを冷却保存することを特徴とする冷凍カニパックの製造方法。
【請求項2】
前記熱収縮固定部材が、電子レンジでの熱処理時の放電が回避される距離以上に前記カニの両脚の対向する部分が離れるように固定することを特徴とする請求項1に記載の冷凍カニパックの製造方法。
【請求項3】
前記熱収縮固定部材が、複数の貫通孔を有する袋からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍カニパックの製造方法。
【請求項4】
前記熱収縮固定部材が、熱収縮するテープ又は環状リボンからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍カニパックの製造方法。
【請求項5】
前記電子レンジ対応収容パックが、カニを収容する収容空間に通じた縁側に圧力弁を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の冷凍カニパックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−60871(P2009−60871A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232970(P2007−232970)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(507301512)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(507301512)
【Fターム(参考)】
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