説明

冷凍揚げ食品およびその製造方法

【課題】パン風のサクサク感のある生地と、油で揚げられた各種のおいしい具とを楽しむことのできる冷凍揚げ食品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る冷凍揚げ食品10の製造方法は、穀物粉を主とする材料と水を練り合わせて所要形状のシート状の生地12を作製する工程と、各種具材を混合し、該混合具材をシート状の生地12よりも小さい所要形状の具14に成形する工程と、所要形状に成形した具14の全表面に水分含有のころも16を付着する工程と、ころも16を付着した具14をシート状の生地12の片面側に、生地周縁部が具14の外方に露出するようにして載せる工程と、生地片面側に具14を載せた食材を冷凍する工程とを有し、介在するころも16によって生地12と具14を結着することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍揚げ食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、所要形状に形成したピザ生地上に、ピザ材料を載せ、ピザ生地およびピザ材料の片面側の全面に、水分含有のころもを付着し、ころもを粘着材として、上記片面側の全面にパン粉を付着した食材を冷凍した冷凍揚げ食品が記載されている。あるいは上記食材を油で揚げてから冷凍した冷凍揚げ食品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−289882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された冷凍揚げ食品は、油で揚げることによってピザに近似した外観や風味を呈するピザ食品を得ることができる。このため、オーブンが無くとも、油と加熱装置でピザ風食品を提供でき、屋台やキャンプ等でも手軽にピザ風食品を提供できるという利点がある。
しかしながら上記特許文献1に記載された冷凍揚げ食品の場合、ピザ材料(具)にころもとパン粉が付着され、油で揚げられることによって、天ぷら風の、一風変わったピザ材料(具)として食することができるが、ピザ生地にまでころもとパン粉が付着しているため、このピザ生地が油で揚げられると、ころもとパン粉によって水分と油が保持された状態となり、ピザ生地としてのさくさく感と風味が損なわれるという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、パン風のサクサク感のある生地と、油で揚げられた各種のおいしい具とを楽しむことのできる冷凍揚げ食品とその製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明に係る冷凍揚げ食品の製造方法は、穀物粉を主とする材料と水を練り合わせて所要形状のシート状の生地を作製する工程と、各種具材を混合し、該混合具材を前記シート状の生地よりも小さい所要形状の具に成形する工程と、該所要形状に成形した具の全表面に水分含有のころもを付着する工程と、該ころもを付着した具を前記シート状の生地の片面側に、生地周縁部が具の外方に露出するようにして載せる工程と、該生地片面側に具を載せた食材を冷凍する工程とを有し、介在するころもによって生地と具を結着することを特徴とする。
【0007】
前記冷凍工程の前に、生地片面側に載せられて露出している前記具の表面のみにトッピング材を付着させて食材を形成することができる。
前記トッピング材に、ごま、粒状アーモンド、パン粉、とろろ昆布、とうがらし、各種振りかけから選ばれる1種以上のトッピング材を用いることができる。
前記生地に、ドライイーストもしくはベーキングパウダーを混入したピザ生地を用いることができる。
【0008】
前記具に、マッシュポテト、ひき肉、肉、魚介類、カボチャその他の野菜、ホワイトクリーム、チーズから選ばれる1種以上のフライ材料が主材料である具を用いることができる。
また、前記食材を油で揚げてから冷凍するようにしてもよい。
また、本発明に係る冷凍揚げ食品は、上記製造方法によって製造した冷凍揚げ食品である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パン風のサクサク感のある生地と、油で揚げられた各種のおいしい具とを楽しむことのできる冷凍揚げ食品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】冷凍揚げ食品の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本実施の形態における冷凍揚げ食品10の説明断面図である。
以下、製造方法とともに、冷凍揚げ食品10について説明する。
12は、小麦粉等の穀物粉を主とする材料と水を練り合わせてシート状に形成された生地である。
穀物粉は小麦粉に限定されるものではなく、とうもろこし粉、そば粉、米粉等、あるいはこれらの混合粉を用いることができる。
【0012】
生地12は、好適には、ドライイーストあるいはベーキングパウダーを混入したピザ生地を用いることができる。ドライイーストあるいはベーキングパウダーを混入させることによって、揚げた際に、パンのように膨らみ、揚げパン風なサクサク感とおいしさが得られる。ピザ生地としては、例えば、小麦粉(強力粉、薄力粉)、ドライイースト、オリーブオイル、水、塩等を用いて通常のごとく作製できる。
【0013】
生地12上には、生地12よりも小さい外形に成形された具14が載せられる。
具14としては、コロッケなどのフライ材料、すなわち、マッシュポテト、ひき肉、肉、魚介類、カボチャその他の野菜、ホワイトクリーム、チーズなど、あるいはこれらを混合した材料などを用いることができる。なお、これらに限定されないことはもちろんである。
【0014】
具14は、上記各種の具材料(あらかじめ調理する。あるいは食材によっては生でもよい。)を調味料などと混合し、成形機(図示せず)により、生地12よりは小さい外形となるように、且つ所要厚さとなるように成形する。
そして、このように所要形状に成形した具14を、小麦粉を水で溶いたもので代表されるころも(卵を含有させてもよい)液に浸漬し、具14の表面全体にころも16を付着させる。
【0015】
ころも16は上記材料のものに限定されるものではない。ころも16は、水分を含有して、生地12と具14とを結着させることのできる、粘着性を有する材料のものであればよい。このように、ころも16に、生地12と具14とを結着させることのできる材料を用いることによって、用いる具14の材料の選択枝が格段に広がった。この点、特許文献1に示されるものでは、ピザ材料自体がピザ生地に対して付着性を有するものを用いているのであり、用いられるピザ材料が限定される。
【0016】
次いで、ころも16が付着された具14をシート状の生地12の片面側に、生地12の周縁部が具14の外方に露出するようにして載せる。
このように生地12上に具14が載せられた食材を冷凍機(図示せず)にて冷凍することによって冷凍揚げ食品が得られる。
【0017】
なお、上記のように生地12上に、ころも16が付着された具14が載せられたものに、トッピング材としてパン粉18を振り掛けた食材を作成し、この食材を冷凍して冷凍揚げ食品としてもよい。
トッピング材としては、ごま、粒状アーモンド、パン粉、とろろ昆布、とうがらし、各種振りかけ、およびこれらの混合物などを用いることができる。
【0018】
トッピング材18は、ころも16が付着されている具14の露出した表面にのみ付着し、ころも16が付着されていない生地12上には付着しない。
このように、生地12には、ころも16およびトッピング材18が付着されていないことから、油で揚げた際に、からっと揚がり、揚げパン風の、サクサク感のあるおいしい生地となるのである。すなわち、生地12には、ころも16およびパン粉などのトッピング材18が付着されていないことから、油で揚げた際、生地12中の水分が適当に抜け、またころも16およびトッピング材18に油が保持されないことからサクサク感が得られるのである。
【0019】
一方、具14には、ころも16、もしくはころも16とトッピング材18とが付着されていることから、油で揚げた際には、水分が適当に保持され、ホクホク感のあるジューシーなコロッケ風の具14となる。
したがって、食べ始めには、具14の外方に突出している生地12の周縁部のサクサク感から始まり、具14に至った場合には、ホクホク感のある具14とサクサク感のある生地12とがミックスしたボリューム感のある優れた食感が得られるおいしい食品となるのである。
また、厚みのある生地12によって食品全体の形状が保持されることから、形崩れのしやすいコロッケと比較して、扱いやすく、また食べやすい食品となる。
【0020】
上記実施の形態では、食する際に、適宜解凍して油で揚げる揚げ食品として示したが、ころも16を付着した食材の段階で、あるいは、ころも16さらにはトッピング材18を付着した食材の段階で油で揚げ、これを冷凍するようにしてもよい。
このようにあらかじめ油で揚げてから冷凍する冷凍揚げ食品とすることによって、食する際には油で揚げる必要がなく、電子レンジで加熱したり、あるいはコンビニエンスストアなどでは、保温庫で保温して、直ちに顧客に提供できるようにしておくなどすることができる。
【実施例】
【0021】
生地の作製:
小麦粉(強力粉) 150g
小麦粉(薄力粉) 150g
食塩 少量
ドライイースト 小さじ1杯
水 150g
オリーブオイル 適量
を混合し、練り合わせた後一昼夜熟成させた。
この混合物を適量ずつ引き伸ばし、厚さ約3mm、直径約7cmの生地(ピザ生地)を得た。
【0022】
具の作製:
マッシュポテトおよびチーズを混合して、成形機により、厚さ約1cm、直径約5cmの大きさに成形した具(コロッケの具と同じ)を作製した。
【0023】
食材の作製:
上記具を、小麦粉を溶いたころも液に浸漬し、具の全表面にころもを付着させた。
このころもを付着させた具を生地上に載せて食材を形成した。この食材において、生地の周縁部は具の外方に突出するものとなる。
なお、食材の一部には、パン粉を振り掛け、ころもの付着している具の表面にパン粉を付着させた食材を作製した。
さらに、ころもを付着させただけの食材、およびさらにパン粉を振り掛けた食材の一部を油で揚げた食材も作製した。
【0024】
冷凍:
上記、ころもを付着させただけの食材、さらにパン粉を付着させた食材、および油で揚げた食材を冷凍庫に入れ、−18℃で凍らせて冷凍揚げ食品とした。
【0025】
解凍:
上記、ころもを付着させただけの食材、さらにパン粉を付着させた食材を解凍し、油で揚げて食したところ、生地部分はサクサク感のするおいしい生地となり、また具の部分は水分が保持され、ジューシーなほくほく感のあるおいしい具となった。
また、油で揚げて冷凍した食品は、解凍後、電子レンジで加熱して食したところ、やはり、生地部分はサクサク感のするおいしい生地となり、また具の部分は水分が保持され、ジューシーなほくほく感のあるおいしい具となった。
【0026】
なお、生地には上記した種々の穀物粉を主材料として用いることができる。
また、具にも上記した種々の具材料を用いることができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0027】
10 冷凍揚げ食品
12 シート状の生地
14 具
16 ころも
18 トッピング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物粉を主とする材料と水を練り合わせて所要形状のシート状の生地を作製する工程と、
各種具材を混合し、該混合具材を前記シート状の生地よりも小さい所要形状の具に成形する工程と、
該所要形状に成形した具の全表面に水分含有のころもを付着する工程と、
該ころもを付着した具を前記シート状の生地の片面側に、生地周縁部が具の外方に露出するようにして載せる工程と、
該生地片面側に具を載せた食材を冷凍する工程とを有し、
介在するころもによって生地と具を結着することを特徴とする冷凍揚げ食品の製造方法。
【請求項2】
前記冷凍工程の前に、生地片面側に載せられて露出している前記具の表面のみにトッピング材を付着させて食材を形成することを特徴とする請求項1記載の冷凍揚げ食品の製造方法。
【請求項3】
前記トッピング材に、ごま、粒状アーモンド、パン粉、とろろ昆布、とうがらし、各種振りかけから選ばれる1種以上のトッピング材を用いることを特徴とする請求項1または2項記載の冷凍揚げ食品の製造方法。
【請求項4】
前記生地に、ドライイーストもしくはベーキングパウダーを混入したピザ生地を用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の冷凍揚げ食品の製造方法。
【請求項5】
前記具に、マッシュポテト、ひき肉、肉、魚介類、カボチャその他の野菜、ホワイトクリーム、チーズから選ばれる1種以上のフライ材料が主材料である具を用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の冷凍揚げ食品の製造方法。
【請求項6】
前記食材を油で揚げてから冷凍することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の冷凍揚げ食品の製造方法。
【請求項7】
穀物粉を主とする材料と水を練り合わせてシート状に形成された生地と、
各種具材が混合されて前記シート状の生地よりも小さい所要形状に形成され、全表面に水分含有のころもが付着された具とを具備し、
該ころもが付着された具が前記シート状の生地の片面側に、生地周縁部が具の外方に露出するようにして載せられた食材が冷凍され、介在するころもによって生地と具が結着されて成る冷凍揚げ食品。
【請求項8】
前記生地片面側に載せられて露出している前記具の表面のみにトッピング材が付着されて前記食材が形成されていることを特徴とする請求項7記載の冷凍揚げ食品。
【請求項9】
前記トッピング材に、ごま、粒状アーモンド、パン粉、とろろ昆布、とうがらし、各種振りかけから選ばれる1種以上のトッピング材が用いられていることを特徴とする請求項7または8項記載の冷凍揚げ食品。
【請求項10】
前記生地に、ドライイーストもしくはベーキングパウダーを混入したピザ生地が用いられていることを特徴とする請求項7〜9いずれか1項記載の冷凍揚げ食品。
【請求項11】
前記具に、マッシュポテト、ひき肉、肉、魚介類、カボチャその他の野菜、ホワイトクリーム、チーズから選ばれる1種以上のフライ材料が主材料である具が用いられていることを特徴とする請求項7〜10いずれか1項記載の冷凍揚げ食品。
【請求項12】
前記食材が油で揚げられてから冷凍されていることを特徴とする請求項7〜11いずれか1項記載の冷凍揚げ食品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−24018(P2012−24018A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165543(P2010−165543)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(391064647)株式会社大福食品工業 (4)
【Fターム(参考)】