説明

冷凍装置、冷凍装置の制御方法および制御プログラム

【課題】冷却器への着霜を抑制し、除霜運転のインターバルを長くする。
【解決手段】冷却用熱交換器の伝熱管の所定位置より冷媒下流側のフィンのフィンピッチを、所定位置より冷媒上流側のフィンのフィンピッチより密に形成した冷凍装置を制御するに際し、所定位置における冷媒の温度を検出あるいは推定し、所定位置における冷媒の温度が所定の着霜防止温度より高くなるように、膨張弁により冷媒の流量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置、冷凍装置の制御方法および制御プログラムに係り、詳しくは、冷却器への着霜を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等の大規模小売店舗では、精肉や鮮魚を始め、冷凍食品やアイスクリーム等、種々の食品が販売されている。これらの食品は、適切な温度管理を行いながら、顧客が容易に手にとれるように、冷凍装置としての冷蔵あるいは冷凍ショーケース(以下、低温ショーケースで総称する)内に収納・陳列される。
低温ショーケースは、食品が収納されるショーケース本体と、圧縮機や減圧装置、凝縮器、蒸発器(冷却器)等により構成された冷媒回路を備えた冷凍機と、を備えており、ショーケース本体内の食品に冷却器用ファンによって冷気が供給される構造になっている。
【0003】
この種の低温ショーケースでは、運転中における冷凍機の蒸発器に着霜することがある。そのため、ホットガスや除霜ヒータを用いての除霜運転が行われるが(例えば、特許文献1参照)、スーパー等の開店時には、可能な限りこの除霜運転を行いたくないというユーザーからの要望がある。この要望に応えるため、冷却器を大型化し、除霜インターバルを可能な限り長くすることが行われている。
【特許文献1】特開2006−207885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、除霜インターバルを長くすることはできても、冷却器が大型化する分だけ、除霜運転に要する運転時間が長くなるという問題があった。
そこで、例えば、大型化した冷却器を二分割し、この二分割した冷却器のそれぞれに除霜ヒータ等の除霜手段を付設して、除霜運転時間を短縮することが提案される。しかし、二つの冷却器を鉛直方向に延びる冷却ダクト内に上下直列に設置する場合、例えば下流側冷却器の霜や氷が上流側冷却器の上に落下し、上流側冷却器の除霜時間が長くなる等の問題がある。
【0005】
また、除霜インターバルを長くするため、冷却器の冷気の上流側のフィンピッチを粗く形成することが行われている。しかしながら、従来の構成では、液冷媒を冷却器の冷気の下流側に導入し、順に上流側に流して、冷却器の冷気の上流側から導出させるように構成しているので、冷却器の狭いフィンピッチの最も上流側に着霜し、かえって冷却能力を低下させてしまうという問題点があった。
上記課題を解決するため、本発明の目的は、冷却器への着霜を抑制し、除霜運転のインターバルを長くすることのできる冷凍装置、冷凍装置の制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記冷媒の流量を調整するための膨張弁と、伝熱管および複数のフィンを有し、冷媒を蒸発させるための蒸発器と、冷却対象の空気を流すためのファンと、を備えた冷凍装置において、前記冷却用熱交換器の伝熱管の所定位置より冷媒下流側の前記フィンのフィンピッチを、前記所定位置より冷媒上流側の前記フィンのフィンピッチより密に形成し、前記所定位置における前記冷媒の温度が所定の着霜防止温度より高くなるように、前記膨張弁により前記冷媒の流量を調整することを特徴としている。
【0007】
この場合において、前記所定位置より冷媒下流側における隣接する前記伝熱管同士のピッチを前記所定位置より前記冷媒上流側における隣接する前記伝熱管同士のピッチより密に形成してもよい。
また、前記ファンにより前記冷却対象の空気を、前記蒸発器の前記冷媒下流側から前記冷媒上流側に向かって流すようにしてもよい。
また、前記所定位置における前記冷媒の温度を検出する温度センサを備えるようにしてもよい。
また、前記冷却対象の空気の湿度を検出する湿度センサを備え、前記検出した湿度が所定の基準湿度よりも高い場合に前記着霜防止温度をより高い温度に設定するようにしてもよい。
また、前記ファンは、冷凍装置本体の冷却ダクト内に配置され、前記冷却対象の空気を循環させるよう構成されているようにしてもよい。
【0008】
また、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記冷媒の流量を調整するための膨張弁と、伝熱管および複数のフィンを有し、冷媒を蒸発させるための蒸発器と、冷却対象の空気を流すためのファンと、を備え、前記冷却用熱交換器の伝熱管の所定位置より冷媒下流側の前記フィンのフィンピッチを、前記所定位置より冷媒上流側の前記フィンのフィンピッチより密に形成した冷凍装置を制御する冷凍装置の制御方法において、前記所定位置における前記冷媒の温度を検出する防霜温度検出過程と、前記所定位置における冷媒の温度が所定の着霜防止温度より高くなるように、前記膨張弁により前記冷媒の流量を調整する冷媒流量調整過程と、を備えたことを特徴としている。
この場合において、前記冷却対象の空気の湿度を検出する検出過程と、前記検出した湿度が所定の基準湿度よりも高い場合に前記着霜防止温度をより高い温度に設定する過程とを備えてもよい。
【0009】
また、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記冷媒の流量を調整するための膨張弁と、伝熱管および複数のフィンを有し、冷媒を蒸発させるための蒸発器と、冷却対象の空気を流すためのファンと、前記冷却用熱交換器の伝熱管の所定位置において前記冷媒の温度を検出する防霜センサと、を備え、より冷媒下流側の前記フィンのフィンピッチを、前記所定位置より冷媒上流側の前記フィンのフィンピッチより密に形成した冷凍装置を、コンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、前記所定位置における前記冷媒の温度を検出させ、前記所定位置における冷媒の温度が所定の着霜防止温度より高くなるように、前記膨張弁により前記冷媒の流量を調整させる、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着霜が起こりにくいと想定される蒸発器の所定位置よりも下流側のフィンピッチを密にし、かつ、所定位置における冷媒温度を着霜が起きにくい温度以上としているので、冷媒下流側における着霜の防止と熱交換効率の向上との両立を図りつつ、冷媒上流側においても着霜を抑制して、除霜運転のインターバルを大きくとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
[1]第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷凍装置としての冷蔵ショーケースの縦断面図である。
冷蔵ショーケース1は、前面が開放された多段オープン型で、かつ、内蔵した冷却ユニットから液冷媒が供給される冷却ユニット内蔵型となっている。ショーケース本体2は、その開口に4段の陳列棚3が設けられるとともに、陳列棚3の前部には内層エアカーテン(その流れをA方向の矢印で示す)と、外層エアカーテン(その流れをB方向の矢印で示す)とが形成されている。
ショーケース本体2には、陳列棚3を囲むかたちで冷却ダクト4が形成されており、冷却ダクト4の下部には冷却器用ファン5が配置されている。また、冷却ダクト4の垂直部には、冷却用熱交換器としての蒸発器6が配置されている。これらの冷却ダクト4、冷却器用ファン5、蒸発器6、冷気吸込口7および冷気吹出口8により冷却風が循環され陳列棚3周囲に供給されている。
また、ショーケース本体2には、冷却ダクト4を囲むように送風ダクト9が形成されており、その内部には図示しないエアカーテン用ファンが配設され、これと空気吸込口10および空気吹出口11によりエアカーテンを生成することとなっている。
また、ショーケース本体2の下側部分であって、断熱壁部の下方には、圧縮機42、熱交換器である凝縮器43などが配設されている。この凝縮器43は、前面パネル40の吸気穴から取り込んだ外気によって冷却され、熱交換後の空気は、背面パネル41の排気穴から後方に吹き出される。
【0012】
図2は、蒸発器周辺の構成説明図である。
蒸発器6の冷媒上流側には、減圧装置としての電子膨張弁15が接続されており、電子膨張弁15の冷媒下流側の蒸発器6の入口管には入口温度センサ16が配設され、蒸発器6の出口管には出口温度センサ17が配設されている。
さらに、蒸発器6を構成する伝熱管18の所定位置には、防霜センサ(温度センサ)19が取り付けられている。
そして、この防霜センサ19の取付位置よりも冷媒下流側に位置する蒸発器6のフィンのフィンピッチ(以下、第1フィンピッチという)は、防霜センサ19の取付位置よりも冷媒上流側に位置するフィンのフィンピッチ(以下、第2フィンピッチという)より密に形成されている。
【0013】
具体的には、防霜センサ19の取付位置よりも冷媒下流側に位置するフィンの第1フィンピッチは、およそ2〜5mmとされ、防霜センサの取付位置よりも冷媒下流側に位置するフィンの第2フィンピッチは、およそ10mmとされている。
この場合において、蒸発器6の防霜センサ19の取付位置に対して冷媒下流側に位置する部分は、冷却風の流れFWに対して上流側に配置され、防霜センサ19の取付位置に対して冷媒上流側に位置する部分は、冷却風の流れFWに対して下流側に配置されている。
【0014】
図3は、第1実施形態の冷凍サイクルとその制御系統とを示す概略構成図である。
図3に示したように、冷凍サイクルは、蒸発器6、電子膨張弁15、圧縮機42、凝縮器43、受液器44等から構成されている。凝縮器43の近傍には、凝縮器43において熱交換を促進するための凝縮器用ファン45が配置され、蒸発器6の近傍には、除霜を行うための除霜用ヒータ21が配置されている。また、冷媒配管51〜56は、液冷媒またはガス冷媒が流れることとなる。
冷蔵ショーケース1の上側部分には、冷却器用ファン5、電子膨張弁15、除霜用ヒータ21を駆動制御するショーケース側のコントロールユニット(CU)25が設置されている。
ショーケース側のコントロールユニット(CU)25は、CPUを始め、入出力インタフェースやROM,RAM,タイマカウンタ等を備えたマイクロコンピュータとして構成されており、その入力インタフェースには、入口温度センサ16からの入口温度検出信号TI、出口温度センサ17からの出口温度検出信号TO及び防霜センサからの防霜温度検出信号TFなどを始めとした種々のセンサの出力信号が入力されている。
【0015】
一方、冷蔵ショーケース1の下側部分には、圧縮機42や凝縮器用ファン45等を駆動制御する冷却ユニット側コントロールユニット(CU)60が設置されている。冷却ユニット側コントロールユニット(CU)60は、CPUを始め、入出力インタフェースやROM,RAM,タイマカウンタ等を備えたマイクロコンピュータとして構成されている。また、ショーケース側のコントロールユニット(CU)25と冷却ユニット側コントロールユニット(CU)60とは通信ライン61により接続されており、相互に信号の授受を行う。
次に実施形態の動作について説明する。
冷凍サイクルの運転が開始されると、図3に示すように、受液器44内のガス冷媒が実線矢印で示すように冷媒配管58を介して圧縮機42に吸引される。ガス冷媒は、圧縮機42内で圧縮されて高温・高圧となった後、冷媒配管51を介して凝縮器43に流入し、凝縮器43内を流通する間に凝縮・液化する。しかる後、液冷媒は、冷媒配管52から冷媒配管53に分流し、冷媒配管53に介装された電子膨張弁15により減圧され、蒸発器6に流入する。
そして液冷媒は、蒸発器6内で蒸発・気化した後、冷媒配管54,55を介して受液器44に環流し、受液器44に貯留された後、再び冷媒配管58を介して圧縮機42に吸引される。
【0016】
本第1実施形態の場合、陳列棚3周辺の冷気は、冷却器用ファン5により冷気吸込口7から冷却ダクト4内に吸い込まれた後、外気を含む最も湿った高温の冷却風は、第1フィンピッチである密なフィンピッチを有する蒸発器6の冷媒下流側により熱交換して冷却されるとともに、除湿がなされる。
そして、やや冷却され、除湿がなされた冷却風は、第2フィンピッチである粗いフィンピッチを有する蒸発器6の冷媒上流側により所定の温度まで冷却され、冷気吹出口8から陳列棚3に向けて吹き出される。また、エアカーテンを生成する空気は、エアカーテン用ファンにより空気吸込口10から送風ダクト9内に吸い込まれた後、空気吹出口11から空気吸込口10に向けて吹き出される。
【0017】
蒸発器6は、その表面温度が液冷媒の気化に伴う気化潜熱により氷点下となり、冷却フィンの間を通過する空気を冷却する。冷却された空気は、冷却器用ファン5によりショーケース本体2内をAの矢印(図1)で示すように循環し、陳列棚3上に陳列された商品を所定温度に冷却する。
この場合において、コントロールユニット25により、霜付防止制御が上記冷却制御と並行して行われている。
【0018】
ここで、霜付防止制御について説明する。
図4は、第1実施形態の霜付防止制御の処理フローチャートである。
まずコントロールユニット25は、防霜センサ19の検出温度が1℃を越えているか否かを判別する(ステップS11)。ここで、防霜センサ19の検出温度が1℃以下になると、蒸発器6の冷媒下流側で霜付が起こる可能性が高くなるためである。
ステップS11の判別において、防霜センサ19の検出温度が1℃を越えている場合には(ステップS11;Yes)、コントロールユニット25は、入口温度センサ16の出力した入口温度検出信号TIに対応する蒸発器入口温度および出口温度センサ17の出力した出口温度検出信号TOに対応する蒸発器出口温度に基づいて、過熱度が所定過熱度(本実施形態では、8℃)となるように電子膨張弁15の開度を制御し(ステップS12)、処理を再びステップS11に移行し、以下、同様の処理を繰り返す。
【0019】
ステップS11の判別において、防霜センサの検出温度が1℃以下である場合には(ステップS11;No)、コントロールユニット25は、防霜センサ19の出力した防霜温度検出信号TFに対応する検出温度が1℃となるように電子膨張弁15の開度を制御する、防霜制御を行う(ステップS13)。
次にコントロールユニット25は、入口温度センサ16の出力した入口温度検出信号TIに対応する蒸発器入口温度および出口温度センサ17の出力した出口温度検出信号TOに対応する蒸発器出口温度に基づいて、過熱度が防霜制御時の所定過熱度(本実施形態では、3℃未満)になっているか否かを判別する(ステップS14)。
ステップS14の判別において、過熱度が所定過熱度(=3℃)に未満になっている場合には(ステップS14;Yes)処理をステップS12に移行し、以下、同様の処理を行う。
【0020】
一方、ステップS14の判別において、過熱度が所定過熱度以上となっている場合には(ステップS14;No)、処理をステップS13に移行し、電子膨張弁15の開度を制御する防霜制御を継続することとなる。
また、冷却運転が継続されると、蒸発器6の冷媒上流側には霜が付着するので、適当なインターバルで除霜運転が行われる。この除霜運転は、圧縮機42の運転を停止し電子膨張弁15を全閉とし除霜用ヒータ21に通電して行われる。この除霜運転は、除霜運転開始と同時に図示しないタイマでカウントを開始し、このタイマが所定時間をカウントしたら解除されて停止される。
以上のような制御を行うことで、本第1実施形態によれば、霜付量を低減させて、除霜サイクル時間を延長させるとともに、蒸発器の霜付しない部分については、フィンピッチや伝熱管のピッチを密にすることにより、熱交換効率を同等のままとすれば、蒸発器、ひいては、冷凍装置の小型化を図ることができる。また、冷凍装置の大きさを同等のままとすれば、冷凍装置の能力を向上させることができる。
【0021】
[2]第2実施形態
上記第1実施形態においては、防霜制御を行うに際し、電子膨張弁の開度を制御していたが、能力可変のインバータ制御の圧縮機を用いる場合、圧縮機の運転周波数を制御するように構成することも可能である。
図5は、第2実施形態の霜付防止制御の処理フローチャートである。
以下の説明においては、図3に示した圧縮機42がインバータ制御圧縮機であるものとして説明する。
まずコントロールユニット25は、防霜センサ19の検出温度が1℃を越えているか否かを判別する(ステップS21)。ここで、防霜センサ19の検出温度が1℃以下になると、蒸発器6の冷媒下流側で霜付が起こる可能性が高くなるためである。
【0022】
ステップS21の判別において、防霜センサ19の検出温度が1℃を越えている場合には(ステップS21;Yes)、コントロールユニット25は、図示しない庫内温度センサの出力に対応する庫内温度を5±3℃になるように定温制御を行い(ステップS22)、処理を再びステップS21に移行し、以下、同様の処理を繰り返す。
ステップS21の判別において、防霜センサの検出温度が1℃以下である場合には(ステップS21;No)、コントロールユニット25は、防霜センサ19の出力した防霜温度検出信号TFに対応する検出温度が1℃となるように圧縮機42の運転周波数を落とすように制御する、防霜制御を行う(ステップS23)。
次にコントロールユニット25は、図示しない庫内温度センサの出力に対応する庫内温度が防霜制御時の所定温度(本実施形態では、8℃)を越えているか否かを判別する(ステップS24)。
ステップS24の判別において、図示しない庫内温度センサの出力に対応する庫内温度が防霜制御時の所定温度(本実施形態では、8℃)を越えている場合には(ステップS24;Yes)処理をステップS22に移行し、以下、同様の処理を行う。
【0023】
一方、ステップS24の判別において、図示しない庫内温度センサの出力に対応する庫内温度が防霜制御時の所定温度(本実施形態では、8℃)以下となっている場合には(ステップS24;No)、処理をステップS23に移行し、圧縮機42の運転周波数を落とすように制御する、防霜制御を継続することとなる。
以上のような制御を行うことで、本第2実施形態によれば、霜付量を低減させて、除霜サイクル時間を延長させるとともに、蒸発器の霜付しない部分については、フィンピッチや伝熱管のピッチを密にすることにより、熱交換効率を同等のままとすれば、蒸発器、ひいては、冷凍装置の小型化を図ることができる。また、冷凍装置の大きさを同等のままとすれば、冷凍装置の能力を向上させることができる。
【0024】
[3]第3実施形態
以上の各実施形態においては、コントロールユニット25は、防霜制御を行うに際し、防霜センサの検出温度が1℃以上になるように制御していたが、冷蔵ショーケース1の周囲湿度あるいは、庫内を循環している冷気温度によっては、霜付が生じる場合がある。
そこで、本第3実施形態では、図1に示すように、検出した湿度に対応する湿度検出信号FMを出力する湿度センサ76を空気吸込口10近傍に配設し、検出した冷気温度に対応する冷気温度検出信号TCを出力する冷気温度センサ77を蒸発器6の近傍に配設し、検出した湿度あるいは冷気温度に基づいて、防霜制御を変更するようにしている。
具体的には、コントロールユニット25は、湿度センサ76が出力した湿度検出信号FMに対応する湿度が所定の湿度より高い場合に、防霜制御時の検出温度をより高い温度(実施形態では、1℃を3℃)に設定するようにする。
同様に、コントロールユニット25は、冷気温度センサ77が出力した冷気温度検出信号TCに対応する冷気温度が所定の冷気温度よりも高い場合には、防霜制御時の検出温度をより高い温度(実施形態では、1℃を3℃)に設定するようにする。
以上のように構成することにより、より確実に霜付を防止することができ、除霜インターバルを長くとることが可能となる。
【0025】
[4]第4実施形態
以上の各実施形態は、低温ショーケースの場合のものであったが、本第4実施形態は、室外機に本発明を適用した場合の実施形態である。
図6は、第4実施形態の室外機の熱交換器の概要構成図である。
室外機70は、大別すると、室外ファン71と室外熱交換器72とを備えている。
室外熱交換器72を構成する伝熱管73の所定位置には、防霜センサ(温度センサ)74が取り付けられている。
そして、この防霜センサ74の取付位置よりも冷媒下流側に位置する室外熱交換器のフィン(図中、破線75で囲んだ部分)のフィンピッチは、防霜センサ74の取付位置よりも冷媒上流側に位置するフィンのフィンピッチが密に形成されている。
さらにフィンピッチが密な部分については、伝熱管73Aのピッチも密にしている。
【0026】
これらの構成の結果、室外熱交換器72が蒸発器として機能する場合に、フィンピッチおよび伝熱管のピッチが密な破線75で囲んだ部分は、通常の使用態様(所定の湿度状態、外気温状態)では、霜付しないと考えられ、さらにこれらの部分では、熱交換効率が向上することとなるので、仕様として要求する熱交換効率を同等のままとすれば、室外熱交換器、ひいては、室外機の小型化を図ることができる。また、室外機の大きさを同等のままとすれば、冷凍装置の能力を向上させることができる。
【0027】
[5]第5実施形態
図7は、第5実施形態の室外機の熱交換器の概要構成図である。
第4実施形態の室外熱交換器72と異なる点は、二つの熱交換器81、82を連結管83で連結し、連結管83に防霜センサ84を取り付け、この防霜センサ84の取付位置よりも冷媒下流側の熱交換器(連結管より下流側の熱交換器)82のフィンピッチ(第1フィンピッチ)および伝熱管86のピッチ(第1伝熱管ピッチ)を冷媒上流側の熱交換器81のフィンピッチ(第2フィンピッチ)および伝熱管85のピッチ(第2伝熱管ピッチ)よりも密にしている点である。
この構成によれば、第4実施形態と比較して、取り込まれた外気は、第1フィンピッチである密なフィンピッチおよび第1伝熱管ピッチを有する冷媒下流側の熱交換器82により熱交換されるとともに、除湿がなされる。
【0028】
そして、やや冷却され、除湿がなされた冷却風は、第2フィンピッチである粗いフィンピッチおよび第2伝熱管ピッチを有する冷媒上流側の熱交換器81により所定の温度まで熱交換されることとなる。
したがって、冷媒上流側には乾いた空気が導入されるため、冷媒上流側の熱交換器81の霜付量を低減することが可能となり、除霜サイクル時間を延長させるとともに、冷媒下流側の熱交換器82に対応するの霜付しない部分については、フィンピッチや伝熱管86のピッチを密にすることにより、熱交換効率を同等のままとすれば、蒸発器、ひいては、冷凍装置の小型化を図ることができる。また、冷凍装置の大きさを同等のままとすれば、冷凍装置の能力を向上させることができる。
【0029】
[6]実施形態の変形例
[6.1]第1変形例
以上の第3実施形態においては、周囲の湿度あるいは冷気温度に応じて、霜付防止センサの基準温度を変更する(実施形態では、1℃から3℃に変更)構成を採っていたが、霜付防止センサを複数箇所に設け、周囲の湿度が高いか、あるいは、冷気温度が高い場合には、より冷媒上流側に配置された霜付防止センサの検出温度が全ての霜付防止センサで同一の温度(例えば、1℃)を越えたか否かを判別するように構成することも可能である。
【0030】
[6.2]第2変形例
以上の説明においては、冷媒下流側の蒸発器(熱交換器)において、フィンピッチあるいは伝熱管ピッチを密にする構成を採っていたが、対応する部分をスリットを有し、熱交換効率が高い、いわゆるスリットフィンを用いる構成を採ってもよい。
【0031】
[6.3]第3変形例
以上の説明においては、冷媒下流側の蒸発器(熱交換器)において、フィンピッチあるいは伝熱管ピッチを密にする構成を採っていたが、対応する部分に内面に溝が設けられ、熱交換効率が高い、いわゆる内面溝付管を用いる構成を採っても良い。
【0032】
[6.4]第4変形例
以上の説明においては、冷媒上流側の蒸発器(熱交換器)において、フィンピッチあるいは伝熱管ピッチを粗くする構成を採っていたが、それに加えてあるいは代えて、除霜コーティングあるいは水切れ促進コーティングを行っても良い。
【0033】
[6.5]第5変形例
以上の説明においては、多段オープン型の冷蔵ショーケースに適用した場合について説明したが、ガラス扉等を備えた冷蔵あるいは冷凍ショーケース等に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置としての冷蔵ショーケースの縦断面図である。
【図2】蒸発器周辺の構成説明図である。
【図3】第1実施形態の冷凍サイクルとその制御系統とを示す概略構成図である。
【図4】第1実施形態の霜付防止制御の処理フローチャートである。
【図5】第2実施形態の霜付防止制御の処理フローチャートである。
【図6】第4実施形態の室外機の熱交換器の概要構成図である。
【図7】第5実施形態の室外機の熱交換器の概要構成図である。
【符号の説明】
【0035】
1 冷蔵ショーケース
2 ショーケース本体
3 陳列棚
4 冷却ダクト
5 冷却器用ファン
6 蒸発器
7 冷気吸込口
8 冷気吹出口
9 送風ダクト
10 空気吸込口
11 空気吹出口
15 電子膨張弁
16 入口温度センサ
17 出口温度センサ
18 伝熱管
19 防霜センサ
21 除霜用ヒータ
25 コントロールユニット
61 通信ライン
70 室外機
71 室外ファン
72 室外熱交換器
74 防霜センサ
76 湿度センサ
77 冷気温度センサ
84 防霜センサ
85 伝熱管
86 伝熱管
FM 湿度検出信号
TC 冷気温度検出信号
TF 防霜温度検出信号
TI 入口温度検出信号
TO 出口温度検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記冷媒の流量を調整するための膨張弁と、伝熱管および複数のフィンを有し、冷媒を蒸発させるための蒸発器と、冷却対象の空気を流すためのファンと、を備えた冷凍装置において、
前記冷却用熱交換器の伝熱管の所定位置より冷媒下流側の前記フィンのフィンピッチを、前記所定位置より冷媒上流側の前記フィンのフィンピッチより密に形成し、
前記所定位置における前記冷媒の温度が所定の着霜防止温度より高くなるように、前記膨張弁により前記冷媒の流量を調整することを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1記載の冷凍装置において、
前記所定位置より冷媒下流側における隣接する前記伝熱管同士のピッチを前記所定位置より前記冷媒上流側における隣接する前記伝熱管同士のピッチより密に形成していることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の冷凍装置において、
前記ファンにより前記冷却対象の空気を、前記蒸発器の前記冷媒下流側から前記冷媒上流側に向かって流すことを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷凍装置において、
前記所定位置における前記冷媒の温度を検出する温度センサを備えたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の冷凍装置において、
前記冷却対象の空気の湿度を検出する湿度センサを備え、
前記検出した湿度が所定の基準湿度よりも高い場合に前記着霜防止温度をより高い温度に設定することを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の冷凍装置において、
前記ファンは、冷凍装置本体の冷却ダクト内に配置され、
前記冷却対象の空気を循環させるよう構成されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項7】
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記冷媒の流量を調整するための膨張弁と、伝熱管および複数のフィンを有し、冷媒を蒸発させるための蒸発器と、冷却対象の空気を流すためのファンと、を備え、前記冷却用熱交換器の伝熱管の所定位置より冷媒下流側の前記フィンのフィンピッチを、前記所定位置より冷媒上流側の前記フィンのフィンピッチより密に形成した冷凍装置を制御する冷凍装置の制御方法において、
前記所定位置における前記冷媒の温度を検出する防霜温度検出過程と、
前記所定位置における冷媒の温度が所定の着霜防止温度より高くなるように、前記膨張弁により前記冷媒の流量を調整する冷媒流量調整過程と、
を備えたことを特徴とする冷凍装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の冷凍装置の制御方法において、
前記冷却対象の空気の湿度を検出する検出過程と、
前記検出した湿度が所定の基準湿度よりも高い場合に前記着霜防止温度をより高い温度に設定する過程とを備えたことを特徴とする冷凍装置の制御方法。
【請求項9】
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記冷媒の流量を調整するための膨張弁と、伝熱管および複数のフィンを有し、冷媒を蒸発させるための蒸発器と、冷却対象の空気を流すためのファンと、前記冷却用熱交換器の伝熱管の所定位置において前記冷媒の温度を検出する防霜センサと、を備え、より冷媒下流側の前記フィンのフィンピッチを、前記所定位置より冷媒上流側の前記フィンのフィンピッチより密に形成した冷凍装置を、コンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、
前記所定位置における前記冷媒の温度を検出させ、
前記所定位置における冷媒の温度が所定の着霜防止温度より高くなるように、前記膨張弁により前記冷媒の流量を調整させる、
ことを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−74754(P2009−74754A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245349(P2007−245349)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】