説明

冷却システムおよび冷却方法

【課題】冷却塔のフリークーリングを利用して冷却を行う場合、冷却塔のファン動力の消費電力とポンプ動力の消費電力との合計を削減すること。
【解決手段】少なくとも冷却水出口1aの冷却水温度および第1熱交換器出口11aの冷水温度を入力値とし、冷却塔ファン10、ポンプ2、4などの消費電力の合計値を求めるシミュレーションを行うシミュレータ51と、前記冷却水温度および前記冷水温度の入力値を変化させてシミュレータ51に入力し、そのシミュレーションの結果から前記消費電力の合計値が最小となる前記冷却塔の冷却塔ファン10のインバータ周波数、および予め設定されたポンプ2のインバータ周波数の上限値を超えない範囲内でポンプ2のインバータ周波数を最適値として取得する制御値取得部52と、によって取得された制御値に設定する制御値設定部53を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却塔のフリークーリングを利用して冷却を行う冷却システムおよび冷却方法に関し、特に、冷却システム全体の消費電力を最小化することができる冷却システムおよび冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冬期の外気温度が低い期間では、冷却塔のフリークーリングにより温度の低い冷水を作ることができる。特許文献1には、冷凍機を運転して冷水を作るモードと、冷凍機の運転を停止した状態で冷却塔のフリークーリングを利用して冷水を作るモードとを、選択的に実施する構成が開示されている。これにより、冬期に、冷却塔のフリークーリングを利用し、冷凍機の消費電力を削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−132651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却塔のフリークーリングを利用することにより、冷凍機の消費電力は削減できるが、外気を導入する冷却塔のファン動力の電力や、冷却塔で得られた冷熱を伝熱するためのポンプ動力の電力が消費される。
【0005】
そこで、本願発明者らは、冷却塔のファン動力の消費電力とポンプ動力の消費電力との合計を削減するためファンやポンプにインバータを設けて制御することを検討している。しかしながら、冷却水ポンプのインバータ周波数がある数値を超えると、冷水往温度が制御できなくなることが判明した。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決し、冷却塔のフリークーリングを利用して冷却を行う場合において、冷却塔のファン動力の消費電力とポンプ動力の消費電力との合計を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の冷却システムは、フリークーリングを利用して冷却対象媒体の冷却を行う冷却システムにおいて、ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、前記冷却塔で冷却された第1の冷水と第2の冷水とを熱交換する第1熱交換器と、前記第2の冷水と前記冷却対象媒体とを熱交換する第2の熱交換器と、前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記第2の冷水を循環させる第2ポンプと、少なくとも前記第1の冷水の温度および前記第2の冷水の温度を入力値とし、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力および前記第2ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値と、前記冷却塔の前記ファンのインバータ周波数と前記第1ポンプのインバータ周波数を求めるシミュレーションを行うシミュレータと、前記第1の冷水の温度および前記第2の冷水の温度の入力値を変化させて前記シミュレータに入力し、前記シミュレーションの結果から前記消費電力の合計値が最小となる前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合せを求める制御値取得手段と、前記制御値取得手段により求められた前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合わせ制御目標値として設定する制御値設定手段と、前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値が記憶された第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルとを備え、前記第1ポンプのインバータを制御し、前記第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルの周波数を超えない範囲で第2の冷水の温度を制御目標値に調節することを特徴とする。
【0008】
本願発明者らは、冷却塔ファン、ポンプにインバータを備えたフリークーリングシステムの冷水往温度の制御において冷却水ポンプのインバータ周波数がある数値を超えると、冷水往温度が制御できなくなる現象を見出した。これはフリークーリングシステムが非線形系であることが原因と考えられる。そこで、冷水往温度が制御不可能となる第1ポンプのインバータ周波数をシミュレータで求め、そのインバータ周波数を第1ポンプの上限として設定した。
【0009】
この発明によれば、冷却塔のファンおよびポンプに係る消費電力の合計値を最小とする冷却塔のファンのインバータ周波数(第1の冷水の温度を決定する)、および予め設定された前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を超えない範囲内で第1ポンプのインバータ周波数(第2の冷水の温度を決定する)が最適値として求められる。
【0010】
これにより、単に冷凍機に係る消費電力を削減できるだけでなく、安定した制御を行ないながら、冷却塔のファンおよびポンプに係る消費電力の合計をも削減することができる
本発明の冷却システムは、前記発明において、前記冷却対象媒体が液体であり、前記液体と気体とを熱交換して前記気体を冷却する第3熱交換器をさらに備えることが好ましい。
【0011】
例えば、前記冷却対象媒体は水であり、前記第3熱交換器は水と空気とを熱交換して空気を冷却する冷却コイルである。これにより、効率よく空調を行うことができる。
【0012】
本発明の冷却システムは、前記発明において、前記冷却対象媒体が気体であり、前記第2熱交換器は前記第2の冷水と前記気体とを熱交換して前記気体を冷却することが好ましい。
【0013】
例えば、前記冷却対象媒体は空気であり、前記第2熱交換器は第2の冷水と空気とを熱交換して空気を冷却する冷却コイルである。これにより、効率よく空調を行うことができる。
【0014】
本発明の冷却システムは、前記発明において、前記冷却対象媒体を用いて装置冷却を行うことが好ましい。
【0015】
例えば、前記冷却対象媒体は水である。これにより、効率よく装置冷却を行うことができる。
【0016】
本発明の冷却システムは、前記発明において、前記シミュレータは、前記冷却対象媒体側から前記冷却塔の方向に、前記第2ポンプ、前記第1ポンプ、前記冷却塔の前記ファンの順番でこれら各部の消費電力を計算することが好ましい。
【0017】
この発明によれば、各種の入力値うち一定の設定値として扱うことが可能な冷却対象媒体側から各部の消費電力が計算されるので、第1の冷水の温度および第2の冷水の温度を変化させながら繰り返す消費電力合計値の計算負荷を低減できるとともに、制御値を容易に求めることができる。
【0018】
本発明の冷却システムは、前記発明において、前記制御値取得手段は、外気状態と、前記第2熱交換器の冷却対象媒体入口での前記冷却対象媒体の温度と、前記冷却対象媒体の冷却に対する冷却負荷とを、前記シミュレータに入力することが好ましい。
【0019】
本発明の冷却システムは、前記発明において、前記制御値取得手段は、外気状態と、前記第2熱交換器の冷却対象媒体出口および冷却対象媒体入口での前記冷却対象媒体の温度と、前記冷却対象媒体出口および冷却対象媒体入口との間の前記冷却対象媒体の流量とを、前記シミュレータに入力することが好ましい。
【0020】
本発明の冷却システムは、前記発明において、前記外気状態として、外気の温度と湿度、または、外気の乾球温度と湿球温度、または、外気の湿球温度を計測する外気状態センサを備え、前記制御値取得手段は、前記外気状態センサの計測結果を前記シミュレータに入力することが好ましい。
【0021】
本発明の冷却システムは、前記発明において、前記制御値取得手段は、前記第2熱交換器の冷却対象媒体出口の前記冷却対象媒体の温度として一定の設定値を前記シミュレータに入力することが好ましい。
【0022】
前記目的を達成するために、本発明の冷却方法は、ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、前記冷却塔で冷却された第1の冷水と第2の冷水とを熱交換する第1熱交換器と、前記第2の冷水と冷却対象媒体とを熱交換する第2熱交換器と、前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記第2の冷水を循環させる第2ポンプとを備えた冷却システムでフリークーリングを利用して前記冷却対象媒体の冷却を行う冷却方法であって、少なくとも前記第1の冷水の温度および前記第2の冷水の温度を入力値とし、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力および前記第2ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値と、前記冷却塔の前記ファンのインバータ周波数と前記第1ポンプのインバータ周波数を求めるシミュレーションを行うシミュレータを用いて、前記第1の冷水の温度および前記第2の冷水の温度の入力値を変化させて前記シミュレータに入力し、前記シミュレーションの結果から前記消費電力の合計値が最小となる前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合せを求める制御値取得ステップと、前記制御値取得手段により求められた前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合わせ制御目標値として設定する制御値設定ステップと、前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値が記憶された第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルとを備え、前記第1ポンプのインバータを制御し、前記第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルの周波数を超えない範囲で第2の冷水の温度を制御目標値に調節することを含むことを特徴とする。
【0023】
前記目的を達成するために、本発明の冷却システムは、フリークーリングを利用して冷却対象媒体の冷却を行う冷却システムにおいて、ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、前記冷却塔で冷却された第1の冷水と第2の冷水とを熱交換する第1熱交換器と、前記第2の冷水と前記冷却対象媒体とを熱交換する第2の熱交換器と、前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記第2の冷水を循環させる第2ポンプと、本冷却システムの環境条件と、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力および前記第2ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値が最小になる前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値との対応関係を示すテーブルが予め記憶された記憶手段と、前記記憶手段の前記テーブルに基づいて、本冷却システムの環境条件に対応する前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を取得する制御値取得手段と、前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を温度調節器の制御パラメータとして設定する最適値設定手段と、前記制御値取得手段により求められた前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合わせ制御目標値として設定する制御値設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
前記目的を達成するために、本発明の冷却方法は、ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、前記冷却塔で冷却された第1の冷水と第2の冷水とを熱交換する第1熱交換器と、前記第2の冷水と冷却対象媒体とを熱交換する第2熱交換器と、前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記第2の冷水を循環させる第2ポンプとを備えた冷却システムでフリークーリングを利用して前記冷却対象媒体の冷却を行う冷却方法であって、本冷却システムの環境条件と、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力および前記第2ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値が最小になる前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値との対応関係を示すテーブルを作成して、前記記憶手段に記憶するテーブル記憶ステップと、前記記憶手段の前記テーブルに基づいて、本冷却システムの環境条件に対応する前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を取得する制御値取得ステップと、前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を温度調節器の制御パラメータとして設定する制御値設定ステップと、前記制御値設定ステップにより求められた前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合わせ制御目標値として設定する制御値設定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
前記目的を達成するために、本発明の冷却システムは、フリークーリングを利用して冷却対象媒体の冷却を行う冷却システムにおいて、ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、前記冷却塔で冷却された第1の冷水と前記冷却対象媒体とを熱交換する第1熱交換器と、前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、少なくとも前記第1の冷水の温度を入力値とし、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値と、前記冷却塔の前記ファンのインバータ周波数と前記第1ポンプのインバータ周波数を求めるシミュレーションを行うシミュレータと、前記第1の冷水の温度の入力値を変化させて前記シミュレータに入力し、前記シミュレータの結果から前記消費電力の合計値が最小となる前記第1の冷水の温度の最適値を求める制御値取得手段と、前記制御値取得手段により求められた前記第1の冷水の温度の最適値の制御目標値として設定する制御値設定手段と、前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値が記憶された第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルとを備え、前記第1ポンプのインバータが制御され、前記第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルの周波数を超えない範囲で冷却対象媒体の温度を制御目標値に調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、冷却塔のフリークーリングを利用して冷却を行う場合において、安定した制御と、冷却塔のファン動力の消費電力とポンプ動力の消費電力との合計の削減をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態での冷却システムの一例の概略を示す全体構成図である。
【図2】冷水往温度と冷却水ポンプインバータ周波数の関係を示すグラフ。
【図3】図1の冷却システムのうちフリークーリング利用時の稼働部分を示す構成図である。
【図4】第2の実施形態での冷却システムのフリークーリング利用時の稼働部分を示す構成図である。
【図5】第3の実施形態での冷却システムのフリークーリング利用時の稼働部分を示す構成図である。
【図6】環境条件と冷却水温度及び冷水温度の最適値との対応関係を表すテーブルの一例を示す表である。
【図7】テーブルから取得される最適値に基づいて冷却システムを制御する制御装置の構成例を示す図である。
【図8】冷却水ポンプのインバータ周波数の上限値を表すテーブルの一例を示す表である。
【図9】第4の実施形態での冷却システムのフリークーリング利用時の稼働部分を示す構成図である。
【図10】第4の実施形態で用いられる最適値のテーブルの一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態での冷却システムの一例の概略を示す全体構成図である。本冷却システムは、主として、冷却塔1、ドライコイル6、2段の熱交換器(第1熱交換器11、第2熱交換器12)、冷凍機91、および、複数のポンプ2、4、5、92、94を含んで構成されている。なお、本発明の理解を容易にするため、冷却塔1を2つ設けた場合を図示したが、ひとつの共通の冷却塔1を設ければよい。
【0030】
外気湿球温度が高い夏期には、第1バルブ81を開状態、第2バルブ82を閉状態として、冷凍機91を運転し、冷凍機91にて冷却された冷水を、冷凍機運転時用の冷水ポンプ94により、冷凍機91と第2熱交換器12との間で循環させる。また、ドライコイル冷却水ポンプ5により、第2熱交換器12とドライコイル6との間で、ドライコイル冷却水を循環させる。これにより、冷凍機91にて生成された冷熱がドライコイル6に伝熱されて、クリーンルーム60内の空気が冷却される。また、冷凍機運転時用の冷却水ポンプ92により、冷却塔1と冷凍機91との間で冷却水が循環され、冷凍機91の放熱が行われる。
【0031】
外気湿球温度が低い冬期または中間期には、第1バルブ81を閉状態、第2バルブ82を開状態として、冷凍機91の運転を停止し、冷却塔1にて冷却された冷却水を、フリークーリング利用時用の冷却水ポンプ2により、冷却塔1と第1熱交換器11との間で循環させるとともに、フリークーリング利用時用の冷水ポンプ4により、第1熱交換器11と第2熱交換器12との間で冷水を循環させる。また、ドライコイル冷却水ポンプ5により、第2熱交換器12とドライコイル6との間で、ドライコイル冷却水を循環させる。これにより、冷却塔1で外気により得られた冷熱がドライコイル6に伝熱されて、クリーンルーム60内の空気が冷却される。
【0032】
冷却塔1のファン10(以下「冷却塔ファン」という)およびポンプ2、4、5、92、94には、それぞれインバータ70、71、72、73、74、75が接続されている。なお、第1熱交換器11の冷水出口での冷水温度が冷水往温度センサ22で計測される。
【0033】
制御装置50は、バルブ81、82、インバータ70〜75などの各部を制御し、冷凍機運転時には、冷凍機91にて生成された冷熱でクリーンルーム60を空調する制御を行う一方で、フリークーリング利用時には、冷却塔1で得られた冷熱でクリーンルーム60を空調する制御を行う。また、制御装置50は、当該制御装置50の制御をシミュレーションして本冷却システム全体の消費電力を計算するシミュレータ51を有する。
【0034】
本冷却システムでは、冷却塔1のフリークーリング利用時には、冷凍機91を運転することなしに、冷水を生成する。
【0035】
ここで、本願発明者らは、冷却塔ファン、ポンプにインバータを備えたフリークーリングシステムの冷水往温度制御において冷却水ポンプのインバータ周波数がある数値を超えると制御できなくなる現象を見出した。図2は、冷却水ポンプのインバータ周波数と冷水往温度の関係を示すグラフである。一般的に、冷水往温度を下げるため、冷却水ポンプのインバータ周波数が上昇される。しかしながら、図2に示すように、あるインバータ周波数を超えると冷水往温度が上昇し、冷却水ポンプのインバータ周波数による制御ができなくなった。これは、フリークーリングシステムが非線形系であることが原因と考えられる。
【0036】
実際、冷水往温度を下げるため、冷却水ポンプのインバータ周波数が上昇されると、熱交換器と冷却塔を循環する冷却水の流量が増える。つまり、冷却塔を流れる冷却水の流量が増える。冷却水の流量が増加したとき、冷却塔ファンのインバータ周波数が上昇される。一方、冷却塔ファンのインバータにはインバータ周波数の上限が設定されている。冷却水の流量が所定以上に増加すると、冷却塔ファンのインバータ周波数が上限に達する。冷却塔ファンのインバータ周波数が上限に達すると、冷却塔の処理能力が限界となる。この状態で冷却水の流量がさらに増加すると、冷却水の温度が下がらず、結果的に冷水往温度が上昇する。ここで重要なことは、冷却塔の能力を超えて冷却水を流さないことであり、冷却水ポンプインバータ周波数を所定周波数以上に上昇させないことである。
【0037】
本発明においては、冷水往温度が制御不可能なる冷却水ポンプのインバータ周波数をシミュレータで予め求め、その周波数を上限として設定する。冷却水ポンプのインバータ周波数の上限は、冷却塔ファンのインバータ周波数の上限値をシミュレータに与えることで求めることができる。
【0038】
ここで、冷却水ポンプのインバータ周波数の上限の超えない範囲とは、インバータ周波数の上限より小さい範囲であればよい。
【0039】
図8は、冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数の上限値の一例である。図8のテーブルを用いて、外気湿球温度と負荷から冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数の上限値を求める。中間の値は線形補間により求める。図8のテーブルはシミュレータにより計算し作成する。シミュレータで図2に示した極小点200の冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数201を求める。そして、安全のためある一定の数値を減算した周波数202が図8のテーブルに記載された数値である。計算方法の詳細は後述する。
【0040】
図1に示す本冷却システムでは、シミュレータ51のシミュレーション結果に基づいて、冷却塔ファン10に係る消費電力およびフリークーリング利用時に稼働のポンプ2、4、5に係る消費電力の合計値を最小にする制御装置50の制御値を求めて、その制御値で制御装置50が本冷却システムの各部(冷却塔ファン10およびフリークーリング利用時に稼働のポンプ2、4、5)を実際に制御することにより、前記消費電力の合計値を最小化することができる。すなわち、従来のフリークーリングを利用した冷却システムよりも、さらに冷却システム全体の消費電力を低減することができる。このとき、予め求められたポンプ2のインバータ周波数の上限値を超えないよう、ポンプ2のインバータ周波数が制御される。
【0041】
図3は、図1の冷却システムのうちでフリークーリング利用時の稼働部分の詳細を示す構成図である。なお、図3において、図1に示した構成要素と同じ構成要素には、同じ符号を付してある。
【0042】
冷却塔1は、外気を吸気する冷却塔ファン10を有し、外気湿球温度が低い期間に低温の外気を利用して、冷却水を低温に冷却する。第1熱交換器11は、冷却塔1で冷却された冷却水と冷水とを熱交換して、冷水を冷却する。第2熱交換器12は、第1熱交換器11で冷却された冷水とドライコイル冷却水とを熱交換して、ドライコイル冷却水を冷却する。ドライコイル6は、第2熱交換器12で冷却されたドライコイル冷却水と空気とを熱交換して空気を冷却し、その低温の空気をクリーンルーム60に与える。クリーンルーム60内の空気は、空気循環用ファン7によってドライコイル6へ戻される。
【0043】
ここで、冷却塔1と第1熱交換器11との間に配設された第1の配管31を流れる第1の冷水を「冷却水」といい、第1熱交換器11と第2熱交換器12との間に配設された第2の配管32を流れる第2の冷水を単に「冷水」といい、第2熱交換器12とドライコイル6との間に配設された第3の配管33を流れる第3の冷水を「ドライコイル冷却水」という。
【0044】
冷却水ポンプ2は、第1の配管31に配設され、冷却塔1と第1熱交換器11との間で冷却水を循環させる。冷水ポンプ4は、第2の配管32に配設され、第1熱交換器11と第2熱交換器12との間で冷水を循環させる。ドライコイル冷却水ポンプ5は、第3の配管33に配設され、第1熱交換器11とドライコイル6との間でドライコイル冷却水を循環させる。
【0045】
外気温湿度センサ20は、外気の湿球温度と乾球温度(あるいは外気の温度と湿度)を計測する。
【0046】
ドライコイル冷却水往温度センサ23は、第2熱交換器12のドライコイル冷却水出口12aでのドライコイル冷却水の温度を計測する。
【0047】
室内温度センサ24は、クリーンルーム60内の温度(以下「室内温度」という)を計測する。
【0048】
ドライコイル冷却水還温度センサ25は、第2熱交換器12のドライコイル冷却水入口12bでのドライコイル冷却水の温度を計測する。
【0049】
ドライコイル冷却水流量センサ26は、第3の配管33でのドライコイル冷却水の流量を計測する。
【0050】
外気湿球温度が高い時期(夏期)は、冷凍機91で冷水を冷却する。外気湿球温度が低い時期(冬期または中間期)は、冷却塔1のフリークーリングにより冷水を冷却する。ここでは、フリークーリング利用時の運転方法について説明する。
【0051】
冷却塔ファン10、冷却水ポンプ2、冷水ポンプ4、ドライコイル冷却水ポンプ5には、それぞれインバータ70、71、72、73が接続されている。これらのインバータ70、71、72、73の周波数(インバータ周波数)を変えることにより、それぞれ冷却塔ファン10、冷却水ポンプ2、冷水ポンプ4、ドライコイル冷却水ポンプ5の回転数を変える。インバータ70、71、72、73の周波数の設定は、後述の制御値設定部53によって行われる。
【0052】
温度調節器170は、冷却塔1の冷却水出口1aでの冷却水温度(冷却水往温度センサ21で計測される)が制御目標値になるように冷却塔ファン10のインバータ70の周波数を制御する。温度調節器171は、第1熱交換器11の冷水出口11aでの冷水温度(冷水往温度センサ22で計測される)が制御目標値になるように冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数を制御する。但し、冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数が設定された上限値を超えないようにする。つまり、温度調節器171には、冷水温度の制御目標値と冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数の上限値が与えられた上限値を超えない範囲内でPID制御される。
【0053】
温度調節器172は、第2熱交換器12のドライコイル冷却水出口12aでのドライコイル冷却水温度(冷却水往温度センサ23で計測される)が制御目標値になるよう冷水ポンプ4のインバータ72の周波数を制御する。
【0054】
本例の冷却システムにおいて、第2熱交換器12のドライコイル冷却水出口12aでのドライコイル冷却水温度、および、ドライコイル6の空気出口6aでの空気温度は、一定の設定値である。その一方で、冷却塔1の冷却水出口1aでの冷却水温度(冷却水往温度センサ21で計測)、および、第1熱交換器11の冷水出口11aでの冷水温度(冷水往温度センサ22で計測)は、ある範囲内で変化させても、ドライコイル6の空気出口6aでの空気温度と第2熱交換器12のドライコイル冷却水出口12aでのドライコイル冷却水の温度とを、一定の設定値に制御できる。つまり、外気状態(例えば、外気の温度と湿度、または、外気の乾球温度と湿球温度、または、外気の湿球温度)などの環境条件に応じてクリーンルーム60内の室内温度が目標値となるように制御する際に、選択可能な冷却水温度と冷水温度との組み合わせは、無数に存在する。
【0055】
制御装置50は、シミュレータ51、制御値取得部52、制御値設定部53および記憶部54を含んで構成されている。制御装置50は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含んで構成されている。
【0056】
制御装置50は、冷却システムを構成する制御対象機器(70〜73、81、82)およびセンサ(20〜26)と、ネットワーク55を通して接続されている。制御装置50の制御値設定部53は、ネットワーク55を通して、センサ20〜26の計測値と、制御対象機器(70〜73、81、82)の運転状態とを読み込み、その制御対象機器に制御値を送る。
【0057】
シミュレータ51は、冷却塔ファン10、冷却水ポンプ2、冷水ポンプ4およびドライコイル冷却水ポンプ5の各部のフリークーリング利用時における消費電力を計算するとともに、これらの消費電力の合計値(消費電力合計値)を計算する。このような消費電力合計値の計算を、本明細書では「シミュレーション」といい、具体例は後に詳説する。
【0058】
制御値取得部52は、シミュレータ51を使い、制御対象機器の運転範囲であり、かつ、消費電力合計値が最も小さくなる冷却水温度(冷却水往温度)と冷水温度(冷水往温度)との組み合わせを、最適値の組み合わせとして求める。「運転範囲」とは、例えば、各インバータ70〜73の周波数の制御可能な範囲である。インバータ71について、予め求められた上限値が運転範囲となる。制御値の組み合わせを求める方法としては、例えば、逐次二次計画法等の方法を用いる。あるいは、ある刻み幅で、冷却水温度および冷水温度を設定し、その組み合わせの全てについて、組み合わせごとに消費電力合計値を計算し、比較してもよい。
【0059】
冷却負荷は、例えば、ドライコイル冷却水往温度とドライコイル冷却水還温度との差分と、ドライコイル冷却水流量とに基づいて、計算する。ドライコイル6の空気出口6aでの空気温度と空気入口6bでの空気温度との差分と、ドライコイル6での空気流量とに基づいて、冷却負荷を計算してもよい。
【0060】
制御値設定部53は、制御値取得部52によって取得された冷却水温度および冷水温度の最適値の組み合わせを本冷却システムに設定する。例えば、冷却塔ファン10、冷却水ポンプ2にそれぞれ対応するインバータ70、71の周波数を制御することにより、冷却水温度および冷水温度を制御値に設定する。
【0061】
ここでは冷水温度および冷却水温度の制御値の組み合わせを求めて設定する場合を例に説明したが、冷却塔ファン10のインバータ70の周波数および冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数の最適値の組み合わせを求めて、実際の冷却システムに設定するようにしてもよい。
【0062】
本シミュレータ51での消費電力合計値の計算は、例えば、次の(計算1)〜(計算7)の順で行われる。
【0063】
(計算1)ドライコイル冷却水ポンプ5に係る計算:計測した第3の配管33のドライコイル冷却水流量を入力として、ドライコイル冷却水ポンプ5のインバータ73の周波数と、ドライコイル冷却水ポンプ5の消費電力とを計算する。
【0064】
(計算2)第2熱交換器12に係る計算:第2熱交換器12のドライコイル冷却水出口12aでのドライコイル冷却水温度(ドライコイル冷却水往温度)と、計測した第2熱交換器12のドライコイル冷却水出口12aでのドライコイル冷却水温度(ドライコイル冷却水還温度)およびドライコイル冷却水流量と、第1熱交換器11の冷水出口11aでの冷水温度(冷水往温度)とを入力として、第1熱交換器11の冷水入口11bでの冷水還温度と、第2の配管32の冷水流量とを計算する。
【0065】
(計算3)冷水ポンプ4に係る計算:計算2で求めた冷水流量を入力として、冷水ポンプ4のインバータ72の周波数と、冷水ポンプ4の消費電力とを計算する。
【0066】
(計算4)第1熱交換器11に係る計算:冷水温度(冷水往温度)と、計算2で求めた冷水還温度および冷水流量と、冷却塔1の冷却水出口1aでの冷却水温度(冷却水往温度)とを入力として、冷却塔1の冷却水入口1bでの冷却水還温度と、第1の配管31の冷却水流量とを計算する。
【0067】
(計算5)冷却水ポンプ2に係る計算:計算4で求めた冷却水流量を入力として、冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数と、冷却水ポンプ2の消費電力とを計算する
(計算6)冷却塔11に係る計算:冷却塔1の冷却水出口1aでの冷却水温度(冷却水往温度)と、計算4で求めた冷却水還温度および冷却水流量と、外気状態(例えば外気湿球温度)とを入力として、冷却塔ファン10により冷却塔1に導入される空気流量と、冷却塔ファン10のインバータ70の周波数と、冷却塔ファン10の消費電力とを計算する。
【0068】
(計算7)計算1で求めたドライコイル冷却水ポンプ5の消費電力と、計算3で求めた冷水ポンプ4の消費電力と、計算5で求めた冷却水ポンプ2の消費電力と、計算6で求めた冷却塔ファン10の消費電力とを合計し、消費電力合計値を求める。
【0069】
ポンプ(ドライコイル冷却水ポンプ5、冷水ポンプ4、冷却水ポンプ2)に係る計算1、計算3および計算5において、流量、圧力、消費電力は、インバータ周波数のそれぞれ、1乗、2乗、3乗に比例するものとし、さらに配管31、32、33の抵抗特性とポンプ2、4、5の特性を用いて前述の計算を行う。熱交換器11、12に係る計算2および計算4は、伝熱の方程式とエネルギー保存の方程式とを連立して行う。冷却塔11に係る計算6は、エンタルピー基準総括熱伝達率を用いた伝熱の方程式とエネルギー保存の方程式とを連立して行う。計算1〜計算7の個々の計算方法の詳細については、周知の技術を用いればよいので、ここではその説明を省略する。
【0070】
本例のシミュレーションでは、ドライコイル冷却水側から冷却塔ファン1の方向へ向って、順次、各部の流量、温度、消費電力およびインバータ周波数を計算することを特徴としている。すなわち、シミュレータ51の入力値を一定の設定値として扱うことが可能な下流側(冷却対象媒体側)から上流側(外気側)に向って、ドライコイル冷却水ポンプ5、冷水ポンプ4、冷却水ポンプ2、冷却塔ファン10の順に、これら各部の消費電力および各部のインバータ73、72、71、70の周波数を、順次計算していく(計算1〜計算6)。
【0071】
前述のシミュレーション(計算1〜計算7)の全体では、外気状態、ドライコイル冷却水往温度、ドライコイル冷却水還温度、ドライコイル冷却水流量、冷却水往温度、および、冷水往温度を入力値として、消費電力合計値およびインバータ70〜73の周波数(インバータ周波数)を求めている。
【0072】
上記の入力値のうちで、ドライコイル冷却水往温度は、予め設定した一定の設定値を用いる。この場合、シミュレータ51の入力値のうちで、変数は、外気状態、ドライコイル冷却水還温度、ドライコイル冷却水流量、冷却水往温度、および、冷水往温度の5つとなる。これらの変数のうちシミュレータ51で選択可能な独立変数は、冷却水往温度および冷水往温度の2つである。環境条件に従属する選択不可な従属変数は、外気状態、ドライコイル冷却水還温度およびドライコイル冷却水流量の3つである。
【0073】
また、前述のシミュレーション(計算1〜計算7)は、外気状態、ドライコイル冷却水還温度、ドライコイル冷却水の冷却に対する冷却負荷、冷却水往温度、および、冷水往温度、を入力値として、消費電力合計値およびインバータ周波数を求めてもよい。
【0074】
冷却負荷は、例えば、ドライコイル冷却水往温度と、ドライコイル冷却水還温度と、ドライコイル冷却水流量とを計測し、求める。また、ドライコイル6の空気出口6aでの空気温度と、空気入口6bでの空気温度と、ドライコイル6での空気の流量とを計測し、冷却負荷を求めてもよい。
【0075】
上記の入力値のうちで、ドライコイル冷却水往温度は、予め設定した一定の設定値を用いてもよい。この場合、シミュレータ51の入力値のうちで、変数は、外気状態、ドライコイル冷却水還温度、冷却負荷、冷却水往温度、および、冷水往温度の5つとなる。これらの変数のうちシミュレータ51で選択可能な独立変数は、冷却水往温度および冷水往温度の2つである。環境条件に従属する選択不可な従属変数は、外気状態、ドライコイル冷却水還温度および冷却負荷の3つである。
【0076】
また、クリーンルーム60の室内温度が安定する室内環境の場合などには、ドライコイル冷却水還温度および冷却負荷を一定の設定値として、シミュレーションを行ってもよい。この場合、シミュレータ51の入力値のうち、変数の数を、従属変数の外気状態と、独立変数の冷却水往温度および冷水往温度の3つに最小化できる。
【0077】
冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数の上限値の計算は(計算4〜計算6)を繰り返す。(計算4)である刻み冷水往温度を下げる。(計算4〜計算6)を行い、冷却塔ファン10のインバータ70の周波数を求める。冷水往温度を変化させて、(計算4〜計算6)を繰返し、冷却塔ファン10のインバータ70の周波数が運転範囲の最大値(通常、電力の周波数が50Hzの地域は50Hz、電力の周波数が60Hzの地域は60Hz)となったときの冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数が、図8の周波数201に相当する。安全のためこの周波数201にある一定の数値を減算した周波数202を図8のテーブルの数値とする。
【0078】
制御値取得部52は、外気状態などの環境条件をシミュレータ51に入力した条件で、独立変数である冷却水往温度および冷水往温度の組み合わせを運転範囲内で変化させてシミュレータ51に入力し、シミュレーション(計算1〜計算7)を行わせる。ここで、独立変数(冷却水往温度および冷水往温度)を変更するごとに、シミュレータ51にシミュレーションを行わせて、消費電力合計値およびインバータ周波数を繰り返し計算する。室内温度が一定の場合には、独立変数を変化させてシミュレーションを繰り返す際に、計算1を省略できる。そして、冷却システム全体の消費電力合計値が最小となる冷却水往温度および冷水往温度の組み合わせ(またはインバータ周波数の組み合わせ)を、制御値として選択し、記憶部54に格納する。
【0079】
制御値設定部53は、記憶部54に記憶されている制御値を、実際の冷却システムに設定する。
【0080】
冷却水温度および冷水温度の最適値を設定する場合の制御例を説明する。第1に、冷却水往温度センサ21で計測される冷却水温度が制御値よりも高い場合には、冷却塔ファン10のインバータ70の周波数を上げて冷却塔ファン10の回転数を上げる一方で、冷却水往温度センサ21で計測される冷却水温度が最適値よりも低い場合には、冷却塔ファン10のインバータ70の周波数を下げて冷却塔ファン10の回転数を下げる。これにより、冷却水往温度センサ21で計測される冷却水温度を制御値に設定する。第2に、冷水往温度センサ22で計測される冷水温度が制御値よりも高い場合には、冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数を上げて冷却水ポンプ2の回転数を上げる一方で、冷水往温度センサ22で計測される冷水温度が制御値よりも低い場合には、冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数を下げて冷却水ポンプ2の回転数を下げる。これにより、冷水往温度センサ22で計測される冷水温度を制御値に設定する。
【0081】
冷却塔ファン10のインバータ70の周波数および冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数の制御値を設定する場合の制御例を説明する。この場合には、冷却塔ファン10のインバータ70および冷却水ポンプ2のインバータ71に制御値をそれぞれ設定する。
【0082】
もっとも、室内温度センサ24で計測される室内温度や、ドライコイル冷却水往温度センサ23で計測されるドライコイル冷却水温度が、時系列において一定値から変化した場合には、冷水ポンプ4およびドライコイル冷却水ポンプ5の回転数をそれぞれのインバータ72、73を用いて変化させる制御を併せて行うことは、いうまでもない。
【0083】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態での冷却システムのフリークーリング利用時の稼働部分を示す構成図である。
【0084】
図4を用いて第2の実施形態を説明する。ここでは第1の実施形態と相違している部分のみ説明する。第2の実施形態は、図3に示した第2熱交換器12がない場合である。本実施形態のドライコイル6は、第1熱交換器11で冷却された冷水(第2の配管32を流れる冷水である)と空気とを熱交換することにより、クリーンルーム60内の空気を冷却する。言い換えると、本実施形態では、ドライコイル6によって本発明での第2熱交換器が構成されている。
【0085】
本実施形態において、シミュレータ51は、例えば、前述の(計算1)および(計算2)を省略して、計測した冷水還温度と、計測した冷水流量とを取得した後、前述の(計算3)〜(計算7)を行なう。(計算1)を省略し、(計算2)の代りに次の(計算2a)を行った後、(計算3)〜(計算7)を行なうようにしてもよい。
【0086】
(計算2a)ドライコイル6での空気冷却に対する冷却負荷と、ドライコイル6の空気入口6bでの空気の温度と、冷水往温度とを入力して、第1熱交換器11の冷水入口11bでの冷水還温度と、第2の配管32の冷水流量とを計算する。
【0087】
このシミュレーション(計算2a)〜(計算7)の全体では、外気状態と、冷却負荷と、ドライコイル6の空気入口6bでの空気の温度と、冷却水往温度と、冷水往温度とを入力値として、消費電力合計値およびインバータ70〜73の周波数(インバータ周波数)を求める。
【0088】
ドライコイル6での冷却負荷は、例えば、ドライコイル6の空気入口6bでの空気の温度と、ドライコイル6の空気出口6aでの空気の温度と、ドライコイル6での空気の流量とを計測して、求める。
【0089】
なお、空気冷却用の冷却コイルとして、ドライコイルではなく、除湿も行なうコイルを用いる場合には、空気入口6bでの空気の温度および湿度と、空気出口6aでの空気の温度および湿度と、コイルでの空気の流量とに基づいて、コイルでの冷却負荷を求める。そして、コイルでの冷却負荷と、空気入口6bでの空気の温度および湿度と、冷水往温度とを入力して、冷水還温度と冷水流量とを計算する。
【0090】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態での冷却システムのフリークーリング利用時の稼働部分を示す構成図である。
【0091】
図5を用いて第3の実施形態を説明する。ここでは第1の実施形態と相違している部分のみ説明する。第3の実施形態では、第3の配管33がドライコイルではなく製造装置61に接続されており、製造装置61を冷却している。
【0092】
本実施形態において、シミュレータ51での計算は、第1の実施形態と同じである。
【0093】
なお、第1の実施形態〜第3の実施形態に示した各熱交換器は、複数並列に接続してもよい。また、冷却塔を複数並列に接続してもよい。
【0094】
前述の第1の実施形態では、第2熱交換器12において冷水とドライコイル冷却水(中間の冷却対象媒体である)とを熱交換し、ドライコイル6においてドライコイル冷却水と空気(最終の冷却対象媒体である)とを熱交換して、クリーンルーム60の空調を行う場合を例に説明した。第2の実施形態では、ドライコイルを省略し、第2熱交換器12において冷水と空気(最終の冷却対象媒体である)とを熱交換して、クリーンルーム60の空調を行う場合を例に説明した。第3の実施形態では、第2熱交換器12において冷水と装置冷却水(中間の冷却対象媒体である)とを熱交換し、この装置冷却水によって製造装置61を冷却する場合を例に説明した。
【0095】
以上、本発明の実施形態に係る冷却システムおよび冷却方法について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0096】
例えば、上記第1〜第3の実施形態では、シミュレータ51の計算結果により取得される制御値に基づいて、冷却システムを制御する例について説明したが、種々の環境条件における制御値を予めテーブルとして記憶しておき、このテーブルから取得される制御値に基づいて冷却システムを制御してもよい。
【0097】
図6は、環境条件と冷却水温度及び冷水温度の制御値との対応関係を表すテーブルの一例を示す表である。
【0098】
図6に示すようにテーブル100は、環境条件としての冷却負荷及び外気湿球温度と、冷水温度t1及び冷却水温度t2の最適値との対応関係を示す表形式のデータである。テーブル100は、図1に示す第1の実施形態におけるシミュレータ51と同様な手法により、種々の環境条件における冷水温度t1及び冷却水温度t2の最適値を求めることで作成することができる。例えば、種々の環境条件について、ドライコイル冷却水ポンプ5の消費電力と、冷水ポンプ4の消費電力と、冷却水ポンプ2の消費電力と、冷却塔ファン10の消費電力との合計値が最小となる冷水温度t1及び冷却水温度t2の組み合わせを予め計算することで、テーブル100を作成することができる。なお、図6において、冷水温度t1及び冷却水温度t2の具体的な数値が記載されていない領域(「冷凍機運転に変更」と記載した領域)は、フリークーリング運転では冷却能力が不足してしまう領域を意味する。冷却水ポンプ2のインバータ周波数が、設定された上限値を超えない範囲で消費電力の最適化が行なわれる。
【0099】
図7は、テーブル100から取得される最適値に基づいて冷却システムを制御する制御装置の構成例を示す図である。図7に示すように、制御装置110は、制御値取得部52、制御値設定部53及び記憶部54により構成される。
【0100】
記憶部54は、環境条件と冷水温度t1及び冷却水温度t2の最適値との対応関係を表すテーブル100を予め記憶している。制御値取得部52は、記憶部54のテーブル100から、環境条件に対応する冷水温度t1及び冷却水温度t2の最適値を取得する。そして、制御値設定部53が、制御値取得部52によって取得された冷水温度t1および冷却水温度t2の最適値の組み合わせを本冷却システムに設定する。
【0101】
このように、種々の環境条件と、冷却水温度及び冷水温度の制御値との対応関係を表すテーブル100を予め記憶部54に記憶しておき、テーブル100から取得される制御値に基づいて冷却システムを制御することで、制御値を取得するために要する計算負荷を大幅に軽減することができる。
【0102】
また、環境条件に対応する冷水温度t1及び冷却水温度t2がテーブル100に保存されていない場合(即ち、環境条件が、図6における「冷凍機運転に変更」と記載した領域に相当する場合)、制御値取得部52は、制御値設定部53に冷凍機運転への切り替えを指示する信号を送る。制御値設定部53は、制御値取得部52の指示に基づいて、第1バルブ81及び第2バルブ82の開閉を制御して、フリークーリング運転から冷凍機91(図1参照)による冷凍機運転に切り替える。これにより、環境条件に応じて、フリークーリング運転と冷凍機運転とを切り替えることができる。
【0103】
なお、上述の例では、種々の環境条件と、冷却水温度及び冷水温度の制御値との対応関係を表すテーブル100を用いる例について説明したが、種々の環境条件と、冷却塔ファン10のインバータ70及び冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数の制御値との対応関係を表すテーブルを用いてもよい。
【0104】
また、上述の例では、環境条件として、冷却負荷と外気湿球温度とを挙げたが、ドライコイル冷却水環温度や、外気比エンタルピーなどを用いてもよい。
【0105】
また、上記第1〜第3の実施形態では、本発明での第2熱交換器の冷却対象媒体が水および空気である場合を例に説明したが、本発明はこのような場合に限定されず、空気および水以外の別の流体であってもよく、また、固体でもよい。
【0106】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態での冷却システムのフリークーリング利用時の稼働部分を示す構成図である。第3の実施形態と相違している部分についてのみ説明する。第4の実施形態では冷却水と装置冷却水が熱交換器13で熱交換するシステムである。この場合最適化できるパラメータは1つのパラメータとなる。第4の実施形態では、冷却水温度を最適化パラメータとした場合である。図10は、冷却水温度の最適値のテーブルである。また、この場合、第1〜3の実施形態と同様に図8に示したような冷却水ポンプ2のインバータ71の周波数の上限値テーブルが必要である。
【符号の説明】
【0107】
1…冷却塔、2…冷却水ポンプ(第1ポンプ)、4…冷水ポンプ(第2ポンプ)、5…ドライコイル冷却水ポンプ(第3ポンプ)、6…ドライコイル、10…冷却塔ファン、11…第1熱交換器、12…第2熱交換器、20…外気温湿度センサ(外気状態センサ)、21…冷却水往温度センサ、22…冷水往温度センサ、23…ドライコイル冷却水往温度センサ、24…室内温度センサ、25…ドライコイル冷却水還温度センサ、26…ドライコイル冷却水流量センサ、31…第1の配管、32…第2の配管、33…第3の配管、50…制御装置、51…シミュレータ、52…制御値取得部、53…制御値設定部(制御値設定手段)、54…記憶部、55…ネットワーク、60…クリーンルーム、61…製造装置、70,71,72、73…インバータ、100…テーブル、110…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリークーリングを利用して冷却対象媒体の冷却を行う冷却システムにおいて、
ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、
前記冷却塔で冷却された第1の冷水と第2の冷水とを熱交換する第1熱交換器と、
前記第2の冷水と前記冷却対象媒体とを熱交換する第2の熱交換器と、
前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記第2の冷水を循環させる第2ポンプと、
少なくとも前記第1の冷水の温度および前記第2の冷水の温度を入力値とし、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力および前記第2ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値と、前記冷却塔の前記ファンのインバータ周波数と前記第1ポンプのインバータ周波数を求めるシミュレーションを行うシミュレータと、
前記第1の冷水の温度および前記第2の冷水の温度の入力値を変化させて前記シミュレータに入力し、前記シミュレーションの結果から前記消費電力の合計値が最小となる前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合せを求める制御値取得手段と、
前記制御値取得手段により求められた前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合わせ制御目標値として設定する制御値設定手段と、
前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値が記憶された第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルとを備え、
前記第1ポンプのインバータを制御し、前記第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルの周波数を超えない範囲で第2の冷水の温度を制御目標値に調節すること
を特徴とする冷却システム。
【請求項2】
前記冷却対象媒体が液体であり、前記液体と気体とを熱交換して前記気体を冷却する第3熱交換器をさらに備えた請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記冷却対象媒体が気体であり、前記第2熱交換器は前記第2の冷水と前記気体とを熱交換して前記気体を冷却する請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記冷却対象媒体を用いて装置冷却を行う請求項1に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記シミュレータは、前記冷却対象媒体側から前記冷却塔の方向に、前記第2ポンプ、前記第1ポンプ、前記冷却塔の前記ファンの順番でこれら各部の消費電力を計算する請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記制御値取得手段は、外気状態と、前記第2熱交換器の冷却対象媒体入口での前記冷却対象媒体の温度と、前記冷却対象媒体の冷却に対する冷却負荷とを、前記シミュレータに入力する請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記制御値取得手段は、外気状態と、前記第2熱交換器の冷却対象媒体出口および冷却対象媒体入口での前記冷却対象媒体の温度と、前記冷却対象媒体出口および冷却対象媒体入口との間の前記冷却対象媒体の流量とを、前記シミュレータに入力する請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記外気状態として、外気の温度と湿度、または、外気の乾球温度と湿球温度、または、外気の湿球温度を計測する外気状態センサを備え、
前記制御値取得手段は、前記外気状態センサの計測結果を前記シミュレータに入力する請求項6または7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記制御値取得手段は、前記第2熱交換器の冷却対象媒体出口の前記冷却対象媒体の温度として一定の設定値を前記シミュレータに入力する請求項6ないし8のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項10】
ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、前記冷却塔で冷却された第1の冷水と第2の冷水とを熱交換する第1熱交換器と、前記第2の冷水と冷却対象媒体とを熱交換する第2熱交換器と、前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記第2の冷水を循環させる第2ポンプとを備えた冷却システムでフリークーリングを利用して前記冷却対象媒体の冷却を行う冷却方法であって、
少なくとも前記第1の冷水の温度および前記第2の冷水の温度を入力値とし、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力および前記第2ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値と、前記冷却塔の前記ファンのインバータ周波数と前記第1ポンプのインバータ周波数を求めるシミュレーションを行うシミュレータを用いて、前記第1の冷水の温度および前記第2の冷水の温度の入力値を変化させて前記シミュレータに入力し、前記シミュレーションの結果から前記消費電力の合計値が最小となる前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合せを求める制御値取得ステップと、
前記制御値取得手段により求められた前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合わせ制御目標値として設定する制御値設定ステップと、
前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値が記憶された第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルとを備え、
前記第1ポンプのインバータを制御し、前記第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルの周波数を超えない範囲で第2の冷水の温度を制御目標値に調節すること
を含むことを特徴とする冷却方法。
【請求項11】
フリークーリングを利用して冷却対象媒体の冷却を行う冷却システムにおいて、
ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、
前記冷却塔で冷却された第1の冷水と第2の冷水とを熱交換する第1熱交換器と、
前記第2の冷水と前記冷却対象媒体とを熱交換する第2の熱交換器と、
前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記第2の冷水を循環させる第2ポンプと、
本冷却システムの環境条件と、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力および前記第2ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値が最小になる前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値との対応関係を示すテーブルが予め記憶された記憶手段と、
前記記憶手段の前記テーブルに基づいて、本冷却システムの環境条件に対応する前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を取得する制御値取得手段と、
前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を温度調節器の制御パラメータとして設定する最適値設定手段と、
前記制御値取得手段により求められた前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合わせ制御目標値として設定する制御値設定手段と、
を備えたことを特徴とする冷却システム。
【請求項12】
ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、前記冷却塔で冷却された第1の冷水と第2の冷水とを熱交換する第1熱交換器と、前記第2の冷水と冷却対象媒体とを熱交換する第2熱交換器と、前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記第2の冷水を循環させる第2ポンプとを備えた冷却システムでフリークーリングを利用して前記冷却対象媒体の冷却を行う冷却方法であって、
冷却システムの環境条件と、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力および前記第2ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値が最小になる前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値との対応関係を示すテーブルを作成して、前記記憶手段に記憶するテーブル記憶ステップと、
前記記憶手段の前記テーブルに基づいて、本冷却システムの環境条件に対応する前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を取得する制御値取得ステップと、
前記第1の冷水の温度の制御目標値および前記第2の冷水の温度の制御目標値および前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値を温度調節器の制御パラメータとして設定する制御値設定ステップと、
前記制御値設定ステップにより求められた前記第1の冷水の温度と前記第2の冷水の温度の最適値の組み合わせ制御目標値として設定する制御値設定ステップと、
を含むことを特徴とする冷却方法。
【請求項13】
フリークーリングを利用して冷却対象媒体の冷却を行う冷却システムにおいて、
ファンを有し、外気により第1の冷水を冷却する冷却塔と、
前記冷却塔で冷却された第1の冷水と前記冷却対象媒体とを熱交換する第1熱交換器と、
前記冷却塔と前記第1熱交換器との間で前記第1の冷水を循環させる第1ポンプと、
少なくとも前記第1の冷水の温度を入力値とし、前記冷却塔の前記ファンの消費電力、前記第1ポンプの消費電力を含む消費電力の合計値と、前記冷却塔の前記ファンのインバータ周波数と前記第1ポンプのインバータ周波数を求めるシミュレーションを行うシミュレータと、
前記第1の冷水の温度の入力値を変化させて前記シミュレータに入力し、前記シミュレータの結果から前記消費電力の合計値が最小となる前記第1の冷水の温度の最適値を求める制御値取得手段と、
前記制御値取得手段により求められた前記第1の冷水の温度の最適値の制御目標値として設定する制御値設定手段と、
前記第1ポンプのインバータ周波数の上限値が記憶された第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルとを備え、
前記第1ポンプのインバータが制御され、前記第1ポンプのインバータ周波数上限値テーブルの周波数を超えない範囲で冷却対象媒体の温度を制御目標値に調節すること
を特徴とする冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−141072(P2011−141072A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1366(P2010−1366)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】