説明

冷却ファンの組み立て検査装置

【課題】冷却ファン駆動軸がケーシングに嵌合しているか否かの検査装置を提供する。
【解決手段】該検査装置は、支柱4上部に横方向移動台52を備えてなる横方向移動ユニット5、横方向移動台上に設置され縦方向移動台62を備えなる縦方向移動ユニット6、及び該縦方向移動ユニット上のアームユニット7、吸着ユニット8、及びセンサー9より構成される。
該アームユニットにより冷却ファン外殻21を把持すると共に、該吸着ユニットにより該ファン部22を吸着し、把持された冷却ファン外殻に対して該ファン部を一定高さ以上持ち上げることができるか否かを該センサーにより検出して、持ち上げられる場合は組立未完と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン部と外殻とがしっかり結合されているか否かを検査する電子機器冷却用冷却ファンの検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、公知の電子機器冷却用冷却ファン1は支持管111の外殻11、ファン部12、を備えてなり、該支持管111内にはフックリング13を設けてなる。該ファン部12はホイール121を備えてなり、該ホイール121上はシャフト122を設けてなる。該シャフト122の一端には溝123が形成されてなる。組み立て時は、まず該フックリング13を該外殻11の支持部111内に挿入し、続いて該ファン部12のシャフト122を該支持管111内のフックリング13に挿入し、ファン部12に対し力を加えて押し込むことにより該フックリング13を該シャフト122の溝123に係合する。
【0003】
ファン部12に施される力は、部材が破壊するのを避ける為に大きすぎてはならないが、但し該シャフト122を該フックリングと完全に係合させる為、小さすぎてもならず、更に、分離型の冷却ファン1は、支持管111の他端は貫通してはならないため、目視による確認ができない。該ファン部12が該外殻11としっかりと結合されているかどうかを確認する為、通常は生産ラインに数名の検査員を配置し、手で各冷却ファン1のファン部12を引っ張り該ファン部12が動いてしまう場合に、該シャフト122の溝123がフック13に完全に係合されていないと判断される。
【0004】
上述の説明より分かるように、全ての冷却ファン1の組み立て品質を確保する為、生産者は数人の検査員を配置する必要があり、全てのファンに検査を実施することにより、生産コストが大幅に増加し、同時に生産効率の向上を妨げ、更に人力検査方式では、該ファン部12に施す力の方向が一定とならない為、検査員が誤って判別する可能性があり、この検査方法では人為的ミスが発生する可能性があると言える。
【0005】
【特許文献1】WO2004−011952
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、冷却ファンの組み立て品質を確保し、生産コストを下げ、生産効率の向上を可能とする冷却ファンの検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の「ファンの検査装置」は、電子機器用冷却ファンにおけるファン部が外殻(ケーシング)にしっかりと組み合わせ固定されているかを検査するものであって、該検査装置は、直立した支柱、該支柱の上部に位置する横方向移動ユニット、縦方向移動ユニット、アームユニット、吸着ユニット、及びセンサーより構成される。
【0008】
該横方向移動ユニットは横方向移動動力部及び該横方向移動動力部の駆動を受けて横方向へ移動する横方向移動台を備えてなる。該縦方向移動ユニットは縦方向移動動力部及び該縦方向移動動力部の駆動を受けて縦方向へ移動する縦方向移動台を備えてなる。該アームユニットは該縦方向移動ユニット縦方向移動台の移動に従い該冷却ファンの外殻をつかむことができる。該吸着ユニットは該縦方向移動ユニットの縦方向移動に従い、該冷却ファンのファン部を吸着する。該センサーは該縦方向移動ユニットの縦方向移動に従い該吸着ユニットに近づき、該吸着ユニットが該冷却ファンのファン部を吸着可能かどうか判定する。
【0009】
該縦方向移動ユニットの縦方向動力部の駆動により、該縦方向移動台が下に移動し該冷却ファンに接近し、該アームユニットに外殻をつかませて、該吸着ユニットで該ファン部を吸着する。該吸着ユニットが該ファン部を吸着し持ち上げることができない場合、該センサーは信号を送信し、該アームユニットは該外殻をつかむのを停止し該吸着ユニットはファン部の吸着を停止する。該吸着ユニットが該ファン部を吸着し持ち上げることができる場合は、該横方向移動ユニットの横方向移動動力部の駆動により、冷却ファン全体をアームにより離す。
【発明の効果】
【0010】
該吸着ユニットにより上方へ引き上げる力は、検査方式の均一性を達成し、冷却ファンのファン部が外殻内にしっかり固定されているかを正確に判断することができ、同時に検査員を配置し人工の検査方式を実施する必要がなくなり、生産コストの低下ができ、更に検査プロセス自動化により生産効率の向上を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に関する上述の内容及びその他の技術内容、特徴と効果は、以下、参考図及び実施例に従い詳細に説明する。
【0012】
図2、3に示すように、本発明は、冷却ファン2の組み立て品質の検査に適用され、該冷却ファン2は支持管211の外殻21、ファン部22、該支持管211内に設置されるフックリング23を備えてなる。該ファン部22はホイール221及びホイール上に設置されるシャフト222を備えてなる。該シャフト222の一端には係合溝が形成されている。
【0013】
該冷却ファン2の組み立て時、搬送ベルト31を備えた作業台3上で一つ一つを順番に搬送し部品の組み立てを行う。まず、該フックリング23を該外殻21の支持管211内に挿入し、続いて該ファン部22のシャフト222は該支持管211内のフックリング23に挿入され、ファン部22に対し上から押圧する力を加えることにより該フックリング23を該シャフト222の溝223に係合する。最後に、該搬送ベルト31により該冷却ファン2を該検査装置の下方に移送し、該ファン部22が該外殻21としっかり固定結合されているか検査を実施する。
【0014】
該検査装置は直立した支柱4、横方向移動ユニット5、縦方向移動ユニット6、アームユニット7、吸着ユニット8及び、センサー9より構成される。
【0015】
該支柱4は、該搬送ベルト31に隣接して該作業台3上に設置されるが、独立した機器の台上に設置し、該搬送ベルト31をそれに合わせて移動して配置しても良い。
【0016】
該横方向移動ユニット5は、該搬送ベルト31の上方に位置して該支柱4の上部に設置される。該横方向移動ユニット5は、横方向移動動力部51及び横方向移動動力部51の駆動を受けて横方向に移動する横方向移動台52を備えてなる。実施例中では該横方向移動動力部51は圧縮空気によるエアシリンダーにより駆動して該横方向移動台52を滑らかに移動させるが、油圧或いはモーターによるライン制御式スライド方式を利用することも可能であり、これらの横方向移動の手段を問わない。
【0017】
該縦方向移動ユニット6は、該横方向移動ユニット5の横方向移動台52上に設置される縦方向移動動力部61、及び該縦方向移動動力部61の駆動を受け縦方向に移動する縦方向移動台62を備えてなる。実施例中では、該縦方向動力部61は圧縮空気により駆動されるエアシリンダーにより縦方向移動台62を制御して上下に滑らかに移動させるが、油圧或いはモーターによるライン制御性スライド方式を採用することも可能であり、これら上下移動手段の如何を問わない。
【0018】
該アームユニット7は、該縦方向移動ユニット6の縦方向移動台62上に設置されていて上下に移動する。該アームユニット7は、該縦方向移動台62上に設置されたアーム動力部71及び該アーム動力部71により駆動されて相互に向かい合う方向に移動する二つアーム片72を備えてなる。アーム動力部71に駆動されて二つのアーム片は相互に向かい合う方向へ移動して該冷却ファン2の外殻21を把持する。実施例中では、該アーム動力部71は圧縮空気駆動により二つのアーム部材の移動を制御するが、油圧或いはモーターによるライン制御性スライド方式を利用することも可能であり、これらの二つのアーム片72がつかむように機能する手段の如何を問わない。
【0019】
該吸着ユニット8は、該縦方向移動ユニット6の縦方向移動台62に従って上下に移動し、該縦方向移動台62上に設置される動力部81及び該動力部81に駆動されて上下に移動する吸着口82を備えてなる。該吸着口82は、該冷却ファンのファン部22を吸着する。該実施例中では、該動力部81は該縦方向移動台62上に設置してなり、アームユニット7と該縦方向移動台62と同じ動きをしてなり、該動力部81は該アーム動力部71と固定させることが可能である。該動力部81は圧縮空気駆動により吸着口82を上下に移動させるが、油圧或いはモーターによるライン制御性スライド方式を利用することも可能であり、上下に移動する目的を達成する。該吸着口82は吸気機器により、吸着力を発生させ、或いは気体流動の設計、例えば真空発生器(Vacuum Generator)等で真空を形成することにより、該ファン部22を吸着する。
【0020】
センサー9は、該縦方向移動ユニット6の縦方向移動台62上に設置されてなり、該吸着ユニットの吸着口82に隣接して、該吸着ユニット8の吸着口82が該冷却ファン2のファン部22を吸着して持ち上げることができたかどうか判定することに利用される。
【0021】
図4に示すように、該冷却ファン2は該検査装置の下方に移送され、該縦方向移動ユニット6の縦方向移動動力を制御し、該縦方向移動台62を駆動して下方へ移動させ、冷却ファン2へ接近させる。
【0022】
アームユニット7を制御するアーム動力部71は、該二つのアーム片72を相互に向かい合う方向へ移動させ、アームにより該冷却ファン2の外殻21を把持する。
【0023】
図5に示すように、該吸着ユニット8を制御する動力部81は、該吸着口82を駆動し、該ファン部22に接近させて該ファン部22を吸着することができる。
【0024】
該動力部81を制御し、該吸着口82上へ移動し、この時、該ファン部22を予め定められた高さまで持ち上げることができない場合、該ファン部22のシャフト222は該フックリング23を完全に嵌合して結合状態を達成してなり、該センサー9は該アームユニット7のアーム動力部71と吸着ユニット8の吸着口82に信号を送信し、該アーム片72が相互に離れて該外殻21を把持状態から開放すると共に、該ファン部22を吸着状態から開放し、検査後の冷却ファン2は良品として該搬送ベルト31に戻され、次の作業工程に移送される。
【0025】
図6,7に示すように、該吸着口82は該ファン部22を吸着し、予め定められた高さ以上に引き上げられた場合、該センサー9により別の信号が送信され、該吸着82の吸着を取り消し、アームは該冷却ファン2の外殻を継続して把持し、この時、該横方向移動ユニット5を制御する横方向移動動力部51は該横方向移動台52を駆動して横方向へ移動させ、合わせて該縦方向移動ユニット6の縦方向移動動力部61は、該冷却ファン2を該搬送ベルト31上から離し、或いは前組立工程へ戻して組み立て品質の検査を循環して実施する。実施例中では、予め定められた高さを超えるかどうかにより該ファン部22と該外殻21がしっかりと固定されているかを判断するが、上に移動する力の大きさ、真空度の変化、及び吸着時間の長さによっても判断することが可能である。
【0026】
上述のように本発明の冷却ファンの検査装置は、該アームユニット7の二つのアーム片72を利用し、まず該冷却ファン2の外殻21を把持して固定し、続いて、該吸着ユニット8の吸着口82が該ファン部22を吸着し、該センサー9の判定を経て、該ファン部22が上方に引き上げられた冷却ファン2を選び出すことにより、組み立て品質を維持している。即ち、検査作業を機械化し、完全に人による作業に取って代わらせ、コストを削減している。該吸着ユニット8が上方に引き上げる力は、検査方式の均一性を達成し、該冷却ファン2のファン部22が該外殻としっかりと固定されているか正確に判断でき、人為的ミスの可能性を取り除き、組み立ての品質を向上させている。同時に、該検査機器は、直接生産ラインに設置して自動化の作業を実施可能で、生産効率の向上を大幅に助成し、本発明の効果目的を確実に達成している。
【0027】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】立体分解図であり、公知の冷却ファンの組立構造を説明している。
【図2】立体図であり、冷却ファンの検査測定装置の実施例の説明図であり、冷却ファンのファン部と外殻とがしっかり固定結合されているかを検査している。
【図3】側面図であり、図2の説明を補助する。
【図4】側面図であり、下に向かって移動する縦方向移動ユニットの縦方向移動台の説明図である。
【図5】側面図であり、吸着ユニットの吸着口が下に移動し冷却ファンのファン部を吸着する動作図である。
【図6】側面図であり、吸着ユニットの吸着口が上に移動すると同時に、ファン部を吸着し、ファンと外殻がしっかりと結合固定されているかを確認する説明図である。
【図7】側面図であり、横方向移動ユニットを操作し正常に結合されていない冷却ファンをアームで離す動作図である。
【符号の説明】
【0029】
2 冷却ファン
21 外殻
211 支持管
22 ファン部
221 ホイール
222 シャフト
223 溝
23 フックリング
3 作業台
31 搬送ベルト
4 支柱
5 横方向移動ユニット
51 横方向移動動力部
52 横方向移動台
6 縦方向移動ユニット
61 縦方向移動動力部
62 縦方向移動台
7 アームユニット
71 アーム動力部
72 アーム片
8 吸着ユニット
81 動力片
82 吸着口
9 センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立支柱、横方向移動ユニット、縦方向移動ユニット、アームユニット、吸着ユニット、センサーより構成され、
該横方向移動ユニットは、該支柱の上部に位置して該横方向移動動力部とその駆動により横方向に移動可能な横方向移動台を備えてなり、
該縦方向移動ユニットは、該横方向移動ユニットの横方向移動台上に設置された縦方向移動動力部とその駆動により縦方向へ移動する縦方向移動台を備えてなり、
該アームユニットは、該縦方向移動ユニットの縦方向移動台上に配置されて該冷却ファンの外殻を把持する機構からなり、
該吸着ユニットは、該縦方向移動ユニットに配置されて該冷却ファンのファン部を吸着保持すると共にアームユニットに対して相対的に縦方向移動行うファン部の吸着手段であり、
該センサーは、該縦方向移動ユニットに配置されてファン部を吸着して縦方向移動する吸着ユニットのアームユニットに対する縦方向移動を検知する手段であり、
ファン部を吸着保持した該吸着ユニットのアームユニットに対する縦方向移動の可否により、冷却ファン外殻に対する冷却ファン部の組み付けの是非を判定することを特徴とする、
冷却ファンの組み立て検査装置。
【請求項2】
前記アームユニットは、該縦方向ユニットの縦方向移動台上に設置されて相互に対向して駆動されることにより冷却ファンの外殻を把持する二つのアーム片とその駆動を行う動力部を備えてなることを特徴とする、
請求項1に記載の冷却ファンの組み立て検査装置。
【請求項3】
前記横方向移動ユニットの横方向移動動力部は圧縮空気を駆動力として該横方向移動台の横方向移動を制御することを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファンの組み立て検査装置。
【請求項4】
前記縦方向移動ユニットの縦方向移動動力部は、圧縮空気を駆動力として該縦方向移動台の縦方向移動を制御することを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファンの組み立て検査装置。
【請求項5】
前記アームユニットのアーム動力部は、圧縮空気を駆動源として該二つのアーム片の相互に向かい合う方向への移動を制御することを特徴とした、請求項2に記載の冷却ファンの組み立て検査装置。
【請求項6】
前記吸着ユニットは、該縦方向移動ユニットの縦方向移動台上に設置される動力部、及び該動力部の駆動を受けて縦方向に移動する吸着口を備えてなり、該吸着口により該冷却ファンのファン部を吸着保持することを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファンの検査装置。
【請求項7】
前記吸着ユニットの吸着口は、負圧吸着力を形成して該冷却ファンのファン部を吸着することを特徴とした、請求項6に記載の冷却ファンの検査装置。
【請求項8】
前期吸着ユニットの動力部は、圧縮空気の駆動力により該吸着口を縦方向に移動させることを特徴とした、請求項6に記載の冷却ファンの検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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