説明

冷却ファンユニット及びインバータ装置

【課題】冷却ファン部の寿命を監視する側が、より簡単に寿命を予測・判定できる冷却ファンユニットを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、冷却ファン部6において、グリースが潤滑作用をなして可動する軸受5aに温度センサ7を配置し、寿命計算回路8は、温度センサ7により測定された温度に基づいて、冷却ファン部6が予測寿命に到達したか否かを判定するための指標である積分値Fを計算し、積分値Fに相当する信号を外部に出力するようにした。そして、積分値Fが「1」以上になることで予測寿命に到達したと判定すると、判定信号を外部に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷却ファン部にグリースが潤滑作用をなして可動する部分を有する冷却ファンユニット,及び前記冷却ファン部を備えてなるインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置を冷却するために冷却ファンが使用されているが、この冷却ファンには寿命がある。実際にインバータ装置に使用される冷却ファンの寿命は、例えば製造業者により提供されるL10データ(10個の冷却ファンを駆動させた場合に、最初に1個ファンの回転が大きく低下した時間を示すデータ)などから得られる予測寿命に基づき、ユーザが配置した温度センサにより検出された周囲温度を用いて補正を行うことで予測している。また、上記のL10データの外にも、冷却ファンの予測寿命を示すデータが製造業者によって、温度を変数とする関数又はグラフ等の形で提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−233553号公報
【特許文献2】特開2002−269622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、上記のような冷却ファンの寿命予測に関する計算は、温度センサのセンサ信号を受けた外部の装置において行われているため、外部装置側の負担が大きくなっている。
そこで、冷却ファン部の寿命を監視する側が、より簡単に寿命を予測・判定できる冷却ファンユニット,及びインバータ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の冷却ファンユニットは、温度センサによって、冷却ファン部を構成する、グリースが潤滑作用をなして可動する部分を有する機械部品の温度を測定する。そして、寿命計算回路は、温度センサにより測定された温度に基づいて、冷却ファン部が予測寿命に到達したか否かを判定するための指標である経過寿命量を計算し、予測寿命に到達したと判定すると判定信号を外部に出力する。
【0006】
また、本実施形態のインバータ装置は、温度センサによって、インバータ回路部に送風を行う冷却ファン部を構成する、グリースが潤滑作用をなして可動する部分を有する機械部品の温度を測定する。そして、インバータ回路部を制御する制御回路は、温度センサにより測定された温度に基づいて、冷却ファン部が予測寿命に到達したか否かを判定するための指標である経過寿命量を計算し、その経過寿命量と予測寿命との比に応じた経過寿命時間を、報知手段を介して報知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態であり、冷却ファンユニットの構成を概略的に示す図
【図2】寿命計算回路による制御内容を示すフローチャート
【図3】第2実施形態を示す図1相当図
【図4】第3実施形態を示す図1相当図
【図5】図2相当図
【図6】第4実施形態を示す図1相当図
【図7】図2相当図
【図8】第5実施形態を示す図2相当図
【図9】第6実施形態であり、インバータ装置の一部と冷却ファン部とを中心に示す図
【図10】インバータ装置を、駆動系を中心に概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は、冷却ファンユニットの構成を概略的に示すものである。冷却ファンユニット1は、冷却ファン2と、この冷却ファン2を回転駆動するモータ3とを備えている。モータ3の回転軸(機械部品)4は、軸受(機械部品)5a,5bにより支承されており、その前端側(図1中左側)が冷却ファン2に連結されている。軸受5a,5bには、回転軸4と内部のベアリングとの間の潤滑作用を成すためにグリース(何れも図示せず)が充填されている。そして、冷却ファン2,モータ3,回転軸4及び軸受5a,5bは、冷却ファン部6を構成している。
【0009】
モータ3は、例えばDCモータやブラシレスDCモータなどで構成されている。冷却ファンユニット1には、例えば24Vの直流電源が供給されており、その電源が図示しない駆動回路を介してモータ3に供給されることで、冷却ファン2が回転駆動される。また、冷却ファンユニット1は、例えばインバータ装置(図示せず)を冷却対象として送風を行うもので、インバータ装置が運転される場合に合わせてモータ3に電源が供給されるように、インバータ装置の制御回路より制御信号が与えられる。
【0010】
前端側の軸受5aには例えばサーミスタ等で構成される温度センサ7が取り付けられており、その温度センサ7によって軸受5aの温度,すなわち軸受5a内部のグリースの温度が検出される。温度センサ7が出力するセンサ信号は、寿命計算回路8に出力される。寿命計算回路8は、マイクロコンピュータを備えて構成されており、上記センサ信号を受けて冷却ファン部6の寿命を判定するための計算を行う。そして、その計算の結果、冷却ファン部6が予測寿命に達したと判断すると、出力端子9を介して判定信号を外部に出力する。また、寿命計算回路8は、図示しない電源回路により上記直流電源を降圧して生成される例えば5Vの制御電源が供給されて動作する。
【0011】
次に、本実施形態の作用について図2を参照して説明する。図2は、寿命計算回路8による制御内容を示すフローチャートであり、このフローチャートは、一定のインターバル時間ts(例えば、数分程度)毎に実行される。先ず、積分値Fが(初期値はゼロである)正規化された絶対値「1」未満か否かを判断し(ステップS1)、(F<1)であれば(YES)冷却ファン2が停止状態か否かを判断する(ステップS2)。冷却ファン2がモータ3により回転駆動されていれば(NO)、温度センサ7が出力するセンサ信号をA/D変換して読み込み(ステップS3)、単位時間,すなわちインターバル時間ts当たりの劣化割合L-1を計算する(ステップS4)。
【0012】
ここで、劣化割合L-1は、以下のように導き出される。一般的に、ファンの寿命Lは、温度Tを用いてアレニウスの式より
L=L0×2(T0-T)/K …(1)
で表わされる。ここで、L0は温度T0での寿命であり、10℃−2倍則であればK=10,15℃−2倍則であればK=15となる。(1)式を、自然対数を用いて一般化するように変換すると、
L=α・e-βT …(2)
となり、その逆数である(3)式が
-1=α-1・eβT …(3)
温度Tにおける単位時間ts当たりの劣化割合を示すことになる。
【0013】
劣化割合L-1を求めると、続くステップS5において、積分値F(経過寿命量)を計算する。すなわち、劣化割合L-1に単位時間tsを乗じて、前回計算して記憶させた積分値Fに加えたものを、新たな積分値Fとする。すなわち、
F=F+L-1×ts …(4)
となり、積分値Fは、劣化割合L-1を冷却ファン2の稼働時間で積分したものとなる。尚、前回計算した積分値Fは、例えば寿命計算回路8に内蔵されているRAM等のメモリや、或いはCPUの内部レジスタ(或いはアキュムレータ)などに記憶される。
【0014】
そして、計算した積分値Fに対応する信号(経過比率信号)を、出力端子9を介して外部に出力する(ステップS6)。ここで出力する信号の形式は、例えばアナログ信号として、積分値FのデータをD/A変換した電圧信号や、積分値Fをデューティで示すPWM(Pulse Width Modulation)信号,或いは積分値Fを周波数で示すパルス信号等とする。それから、ステップS1に戻る。尚、ステップS2において、冷却ファン2が停止状態であれば(YES)、積分値Fは前回求めた値のまま(ステップS7,F=F)としてステップS6に移行する。
【0015】
以上の処理を繰り返し実行した結果、ステップS5で計算した積分値Fが「1」以上(100%)になると(ステップS1:NO)、冷却ファン部6が予測した寿命に達したと判断し、寿命計算回路8は判定信号を出力端子9より出力する(ステップS8)。ここでの判定信号は、ステップS6において、積分値Fに相当する信号を出力する形式に応じて、特定の値を示すように出力する。
【0016】
例えば積分値Fに相当する信号を電圧信号で出力する場合は、例えば10Vレンジであれば、0%→0V,100%→10Vとして電圧レベルをリニアに変化させるように出力すれば良い。尚、最大電圧は、出力ドライバ(レベル変換回路)を介すようにすれば、必ずしも制御電源電圧に一致させる必要はない。若しくは、予測寿命に達した後も積分値Fを計算して出力できるように、0%→0V,100%→5Vとしても良い。したがって、ステップS8の実行後はその時点で処理を終了しても、或いはステップS2に移行するようにしても、何れでも良い。
【0017】
また、PWMデューティで示す場合は、例えば積分値のパーセンテージをデューティのパーセンテージに一致させれば良く、パルス信号の周波数で示す場合は、例えば0%→0Hz,100%→210kHz等とすれば良い。また、ステップS6での信号出力は、必ずしも図2のフローチャートを実行する毎(すなわち単位時間ts毎)に行う必要はなく、例えば、数回に1回の割合で出力しても良い。
【0018】
そして、寿命計算回路8が出力する信号が、例えばインバータ装置の制御回路に入力されるとすると、制御回路は、積分値Fに相当する信号から、冷却ファン部6の経過運転時間比γを知ることができる。尚、予測寿命は「1」に正規化されているので、ステップS6で出力される積分値Fに相当する信号の値は、予測寿命時間に対する経過寿命時間の割合を示すことになる。制御回路が冷却ファン部6の累積稼働時間t(モータ3に通電して冷却ファン2を回転駆動した時間)をカウントしていれば、t/γによって軸受5aのグリースの温度に基づく予測寿命時間を知ることができる。例えば、累積稼働時間tが5000時間であり、経過運転時間比γが50%であれば予測寿命時間は(5000時間)/0.5=10000時間となる。更に、(t/γ−t)により、残余の寿命時間も知ることができる。上記の場合、残余寿命時間は5000時間となる。
【0019】
以上のように本実施形態によれば、冷却ファン部6において、グリースが潤滑作用をなして可動する軸受5aに温度センサ7を配置し、寿命計算回路8は、温度センサ7により測定された温度に基づいて、冷却ファン部6が予測寿命に到達したか否かを判定するための指標である積分値Fを計算し、積分値Fに相当する信号を外部に出力する。そして、積分値Fが「1」以上になることで予測寿命に到達したと判定すると、判定信号を外部に出力するようにした。
【0020】
すなわち、冷却ファン部6の実際の寿命は、回転軸を4支承する軸受5のベアリング部分に充填されているグリースの寿命に依存しているため、温度センサ7によって冷却ファン部6の周囲温度を測定しても、実際のグリースの温度とは差があることから、正確な寿命を予測することは困難である。そこで、本実施形によれば、温度センサ7により軸受5a内部のグリースの温度を検出し、その温度に応じて冷却ファン部6の経過寿命量を計算して予測寿命に達したか否かを判定することで、冷却ファン部6の寿命をより正確に判定できる。また、冷却ファン部6の寿命を監視する外部の装置(例えばインバータ装置)にとっては監視負担が軽減されるので、より簡単に冷却ファン部6の寿命を判定できる。
【0021】
そして、冷却ファンユニット1より出力される信号に基づいて、外部の装置は、冷却ファンユニット1の交換時期等を、表示パネル(報知手段)におけるメッセージの表示や、スピーカ(報知手段)を介した音声メッセージの出力などにより、ユーザに対して報知を行うことができる。また、必要に応じて、残余寿命時間を随時報知することもできる。
【0022】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態であり、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。図3は図1相当図であり、第2実施形態の冷却ファンユニット11は、寿命計算回路8にEEPROM(不揮発性記憶手段)12が接続されている。そして、寿命計算回路8は、ステップS5で計算した積分値FをEEPROM12に書き込んで記憶させる。したがって、例えば寿命計算回路8に対する制御電源の供給が断たれた場合であっても、その時点までに計算していた積分値FはEEPROM12に記憶された状態で保持されるので、冷却ファン部6の寿命計算を継続して行うことが可能となる。
尚、図3では、EEPROM12を寿命計算回路8の外部に接続されているものとして図示したが、寿命計算回路8の内部に配置されていても良い。
【0023】
(第3実施形態)
図4及び図5は第3実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。第3実施形態の冷却ファンユニット13は、寿命計算回路14にファン電源電圧検出回路(電圧検出手段)15が接続されている。ファン電源電圧検出回路15は、モータ3に供給される電源電圧を例えば抵抗で分圧して検出する回路であり、寿命計算回路14は、図5に示すフローチャートにおいて、ステップS4の実行後に、その電圧(ファン電圧V)をA/D変換して読み込む(図5;ステップS11)。
【0024】
そして、ステップS5に替わるステップS12では、(4)式の右辺にV/V0を乗じたもので積分値Fを計算する。但し、V0は、モータ3の定格電源電圧である。
F=F+L-1×ts ×V/V0 …(5)
すなわち、冷却ファン2の回転数は電源電圧にほぼ比例し、軸受5のグリースの寿命は、冷却ファン2の累積回転数に影響される。したがって、(5)式では、ファン電圧Vと、定格電源電圧V0との比を乗じて積分値Fを計算する。
【0025】
以上のように第3実施形態によれば、積分値Fにファン電圧Vと定格電源電圧0との比を乗じて計算することで、積分値Fをファン電圧Vにより補正するようにしたので、冷却ファン部6に供給する電源電圧を低下させて、冷却ファン2の回転数を定格よりも低い状態で運転させる場合でも、寿命計算を正確に行うことが可能となる。
【0026】
(第4実施形態)
図6及び図7は第4実施形態を示すものであり、第3実施形態と異なる部分のみ説明する。第4実施形態の冷却ファンユニット16は、寿命計算回路17にファン回転数検出回路(回転数検出手段)18が接続されている。ファン回転数検出回路18は、実際には冷却ファン部6に配置され、冷却ファン2の回転数を検出する例えば光学式,磁気式などのタコメータである。図7に示すフローチャートにおいて、寿命計算回路17は、ステップS4の実行後に、ファン回転数検出回路18が出力する検出信号(ファン回転数R)の電圧をA/D変換して読み込む(図7;ステップS13)。
【0027】
そして、ステップS12に替わるステップS14では、(4)式の右辺にR/R0を乗じたもので積分値Fを計算する。但し、R0は、冷却ファン2,モータ3の定格回転数である。
F=F+L-1×ts ×R/R0 …(6)
すなわち、軸受5のグリースの寿命は、冷却ファン2の累積回転数に影響される。したがって(6)式では、ファン回転数Rと、定格回転数R0との比を乗じて積分値Fを計算する。
【0028】
以上のように第4実施形態によれば、積分値Fにファン回転数Rと定格回転数R0との比を乗じることで、積分値Fをファン回転数Rにより補正するようにしたので、冷却ファン2の回転数を、例えば周囲温度やインバータ装置の運転状態に応じて変化させて運転させる場合でも、寿命計算を正確に行うことが可能となる。
【0029】
(第5実施形態)
図8は第5実施形態を示すものであり、第4実施形態と異なる部分のみ説明する。第5実施形態の構成は基本的に第4実施形態と同様であり、寿命計算回路17による処理の内容が異なっている。図8に示すフローチャートでは、ステップS6に替わるステップS15において、寿命計算回路(回転数信号出力手段)17は、ファン回転数検出回路18が検出した冷却ファン2の回転数Rを示す回転数信号を、積分値Fの場合と同様にアナログ信号で出力する。
【0030】
また、ステップS1において積分値Fが「1」以上となった場合は(NO)、ステップS8に替わるステップS16において、回転数信号を、特定の回転数R1を示す信号に切り替えて出力する。ここでの回転数R1は、例えば定格回転数R0の1/2となる回転数など、通常の運転時では設定が想定されない回転数とする。この特定回転数R1を示す信号を出力することで、冷却ファン部6が予測寿命に到達したことを外部に対して報知する。
【0031】
更に、ステップS1,S2の間にステップS17が挿入されており、このステップS17では、積分値Fが「1」より小さい特定値(例えば、0.8)未満か否かを判断する。(F<特定値)であれば(YES)ステップS2に移行し、(F≧特定値)であれば(NO)、回転数信号を、特定の回転数R2を示す信号に切り替えて出力する(ステップS18)。ここでの回転数R2も、例えば定格回転数R0の2/3となる回転数など、通常の運転時では設定が想定されない回転数とする。この場合も、特定回転数R2を示す信号を出力することで、冷却ファン部6があと少しで予測寿命に到達することを、予め外部に対して報知する。
【0032】
以上のように第5実施形態によれば、寿命計算回路17は、ファン回転数検出回路18が検出した冷却ファン2の回転数Rを示す回転数信号を出力すると共に、積分値Fが「1」以上になることで冷却ファン部6が予測寿命に到達したと判定すると、その判定信号として、回転数信号を、冷却ファン2の実際の回転数Rにかかわらず、特定の回転数R1を示す信号として外部に出力させるようにした。
【0033】
したがって、冷却ファン部6が予測寿命に到達したことの報知を、常には回転数信号を出力するための出力端子9を用いて行うことができるので、上記報知のための信号出力端子を別途設ける必要が無い。また、寿命計算回路17は、積分値Fが「1」未満の特定値に到達したと判定すると、その判定信号として、回転数信号を、特定の回転数R2を示す信号として外部に出力させるので、冷却ファン部6があと少しで予測寿命に到達することの報知も、出力端子9を用いて行うことができる。
【0034】
(第6実施形態)
図9及び図10は、第6実施形態を示すものである。第6実施形態は、上記の各実施形態における冷却ファン部6を備えたインバータ装置を示す。図10は、インバータ装置21を、駆動系を中心に概略的に示したものである。インバータ装置21は、商用電源を直流に変換する整流部22,整流された電圧を平滑するコンデンサ23,例えば誘導電動機などの交流電動機24を駆動するパワーモジュール(インバータ回路部)25等を備えている。パワーモジュール25は、6個のトランジスタ(若しくはIGBT)を三相ブリッジ接続して構成され、各トランジスタのコレクタ,エミッタ間にはフリーホイールダイオードが接続されている。そして、パワーモジュール25を介して行う交流電動機24の駆動制御は、制御回路26によって行われる。
【0035】
図9は、冷却ファン部6を中心に示すブロック図であり、図10に示す構成要素については、パワーモジュール25及び制御回路26のみを示している。パワーモジュール25には、ヒートシンク27が取り付けられており、冷却ファン部6は、主としてヒートシンク27に送風を行うように配置されている。温度センサ7が出力するセンサ信号は制御回路26に入力されており、制御回路26は、各実施形態に示す寿命計算回路がなす機能も備えている。制御回路26には、例えば7セグメントLEDや液晶パネル等からなる表示器(報知手段)28が接続されており、インバータ装置21の制御に関する情報や、運転時の様々な情報等が表示される。
【0036】
以上のように構成されるインバータ装置21では、制御回路26が積分値Fを計算することで、積分値F,すなわち、経過時間比を表示器28に表示させたり、冷却ファン部6が予測寿命に達したと判断すると、表示器28の表示によりその旨を報知する。また、第3,第4実施形態のように、積分値Fを、ファン電圧Vやファン回転数Rにより補正したりする。したがって、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
温度センサは、例えば赤外線を用いて非接触で温度を検出可能なものでも良く、軸受5と接触している付近の回転軸4の温度を検出しても良い。
第1実施形態において、ステップS1及びS8を削除し、ステップS6で出力される積分値Fのみにより、信号を受信した側が冷却ファン部6の寿命を判定しても良い。
第5実施形態におけるステップS17の「特定値」は、「1」未満の値であれば適宜変更して良い。
また、第5実施形態において、ステップS1及びS16,ステップS17及びS18の何れか一方を削除しても良い。
不揮発性記憶手段はEEPROMに限ることなく、フラッシュメモリやM(Magnetic)RAM,F(Ferro-electric)RAM等でも良い。
積分値Fを示す信号や、回転数Rを示す信号をデジタルデータとして出力したり、シリアル通信によりシリアルデータとして出力しても良い。
冷却ファンユニットが冷却対象とするものは、インバータ装置21を構成するパワーモジュール25に限る必要はなく、送風により冷却を行うものであれば、どのようなものを対象としても良い。
【符号の説明】
【0038】
図面中、1は冷却ファンユニット、2は冷却ファン、3はモータ、4は回転軸(機械部品)、5は軸受(機械部品)、6は冷却ファン部、7は温度センサ、8は寿命計算回路、11は冷却ファンユニット、12はEEPROM(不揮発性記憶手段)、13は冷却ファンユニット、14は寿命計算回路、15はファン電源電圧検出回路(電圧検出手段)、16は冷却ファンユニット、17は寿命計算回路(回転数信号出力手段)、18はファン回転数検出回路(回転数検出手段)、21はインバータ装置、25はパワーモジュール(インバータ回路部)、26は制御回路、28は表示器(報知手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ファンと、この冷却ファンを回転駆動するモータと、グリースが潤滑作用をなして可動する部分を有する機械部品とからなる冷却ファン部と、
前記機械部品の温度を測定する温度センサと、
この温度センサにより測定された温度に基づいて、前記冷却ファン部が予測寿命に到達したか否かを判定するための指標である経過寿命量を計算し、前記予測寿命に到達したと判定すると判定信号を外部に出力する寿命計算回路とを備えたことを特徴とする冷却ファンユニット。
【請求項2】
冷却ファンと、この冷却ファンを回転駆動するモータと、グリースが潤滑作用をなして可動する部分を有する機械部品とからなる冷却ファン部と、
前記機械部品の温度を測定する温度センサと、
この温度センサにより測定された温度に基づいて、前記冷却ファン部が予測寿命に到達したか否かを判定するための指標である経過寿命量を計算し、前記経過寿命量と前記予測寿命との比を示す経過比率信号を外部に出力する寿命計算回路とを備えたことを特徴とする冷却ファンユニット。
【請求項3】
前記寿命計算回路が、前記経過寿命量を記憶させるための不揮発性記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の冷却ファンユニット。
【請求項4】
前記モータに供給される駆動電源の電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記寿命計算回路は、前記経過寿命量を、前記電源電圧に応じて補正することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の冷却ファンユニット。
【請求項5】
前記冷却ファンの回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記寿命計算回路は、前記経過寿命量を、前記回転数に応じて補正することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の冷却ファンユニット。
【請求項6】
前記冷却ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記回転数を示す回転数信号を外部に出力する回転数信号出力手段とを備え、
前記寿命計算回路は、前記予測寿命に到達したと判定すると、その判定信号として、前記回転数信号出力手段を介して出力される回転数信号を、前記冷却ファンの実際の回転数にかかわらず、特定の回転数を示す信号として外部に出力させることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の冷却ファンユニット。
【請求項7】
前記冷却ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記回転数を示す回転数信号を外部に出力する回転数信号出力手段とを備え、
前記寿命計算回路は、前記経過寿命量が特定の値に到達すると、その状態を示す信号として、前記回転数信号出力手段を介して出力される回転数信号を、前記冷却ファンの実際の回転数にかかわらず、特定の回転数を示す信号として外部に出力させることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の冷却ファンユニット。
【請求項8】
冷却ファンと、この冷却ファンを回転駆動するモータと、グリースが潤滑作用をなして可動する部分を有する機械部品とからなる冷却ファン部と、
前記冷却ファンからの送風によって冷却されるインバータ回路部と、
前記機械部品の温度を測定する温度センサと、
前記インバータ回路部を制御すると共に、前記温度センサにより測定された温度に基づいて、前記冷却ファン部が予測寿命に到達したか否かを判定するための指標である経過寿命量を計算し、前記経過寿命量と前記予測寿命との比に応じた経過寿命時間を、報知手段を介して報知する制御回路とを備えたことを特徴とするインバータ装置。
【請求項9】
前記冷却ファン部のモータに供給される駆動電源の電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記制御回路は、前記経過寿命量を、前記電源電圧に応じて補正することを特徴とする請求項8記載のインバータ装置。
【請求項10】
前記冷却ファンの回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記制御回路は、前記経過寿命量を、前記回転数に応じて補正することを特徴とする請求項8記載のインバータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−87720(P2012−87720A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236407(P2010−236407)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(302038844)東芝シュネデール・インバータ株式会社 (78)
【Fターム(参考)】