説明

冷却機能付き携帯断熱容器

スターリング冷却技術を利用した断熱容器であって、断熱容器およびスターリング冷却器は、電池、燃料電池、ソーラーパネルなどの携帯電源を備え、スターリング冷却器は、ヒートシンクおよびファンを介して、断熱用器内のライナに直接取り付けられ、または、スターリング冷却器用の受熱器に接続され、断熱用器内に巡らされたサーモサイフォンまたはヒートパイプを介して、断熱容器の内部を冷却し、制御器により、スターリング冷却器のサイクルを調節し、断熱容器の内部温度を制御できる。該断熱容器は、冷凍庫と冷蔵庫の両方を備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に断熱容器に関し、さらに詳しくは冷却装置を有する断熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
「クーラ」とも呼ばれる断熱容器は、現代の生活に広く行き渡っている。断熱容器は、ピクニックに、あるいはキャンプまたはスポーツイベントなどの野外活動に、しばしば使用される。加えて、断熱容器は、医療産業でも普及してきており、輸送中に低温に維持する必要のある移植用臓器および他の物品を移動するために使用される。また、傷みやすい食品、飲料、医薬品、および環境試料などの商品を輸送する必要性が重要さを増すようになってきている。
【0003】
現在の断熱容器の一つの弱点は、断熱容器が物品を低温に維持できる時間が限られていることである。例えば、断熱容器で氷を使用する場合、クーラは氷の溶解を阻止するのに必要な低温の内部温度を維持することができないので、氷は往々にして溶解する。冷凍アイスパックはあまり長く維持できない。従来の蒸気サイクルシスは、効率的ではあるが、非常に大きくかつ重い。これらのシステムの大部分は、運転のために110ボルトのコンセントを必要とする。最近では、12ボルトまたは24ボルトのシステムが、わずかに入手可能であるが、これらのシステムもまた、大きくかつ重い。12ボルトおよび24ボルトの蒸気サイクルシステムには、輸送中の振動の問題もある。さらに、吸収または吸着方式の冷凍機があるが、これらは、振動が激しいと機能せず、正しい向きに設置しないと、装置が故障する原因になることがある。蒸気サイクル冷凍機と同様に、これらのクーラシステムは重く、かつ、冷凍するためにアンモニアを使用しなければならない。
【0004】
断熱容器の別の弱点は、長時間、冷凍温度に維持することができないことである。この問題を解決するために、多くの会社はしばしばドライアイスを使用して、断熱容器の中身を低温に維持している。しかし、ドライアイスも時間に限りがあり、また、その使用および取扱いは難しい。
【0005】
低温を長時間維持できる断熱容器を提供するために、最近使用されるようになった一つの解決策に、断熱容器の構成部品として冷却装置を設けることがある。このような冷却装置は、一般的に、冷却を達成するためにACコンセントまたは車のシガレットライタにプラグを差し込む必要がある。かかる冷却装置は、断熱容器内の物品を冷却するのにはよく機能するが、必ずしもACコンセントまたは同様の電源が容易に利用できるとは限らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、スターリング冷却器の技術を利用した断熱容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、断熱容器およびスターリング冷却器は、これらに結合される内蔵式携帯電源を備える。携帯電源として、バッテリ、燃料電池、可撓性ソーラパネル、スターリング発電機、または、燃焼機関発電機を用いることができる。
【0008】
本発明の別の実施形態では、スターリング冷却器は、多種多様な方法で断熱容器に冷却機能を付与することができる。一例では、ヒートシンクをスターリング冷却器の冷却部(つまり受熱部)に取り付け、ファンでヒートシンクを介してクーラの断熱内部に送風することにより、断熱内部を冷却することができる。別の例として、ヒートパイプまたはサーモサイフォンをスターリング冷却器の受熱部に取り付け、サーモサイフォンの作動流体(例えば水)をスターリング冷却器の受熱部から断熱容器内に循環させてもよい。一実施形態では、ヒートパイプまたはサーモサイフォンを、冷却される区画室の内部に連結するコイルとして配設し、スターリング冷却器を該区画室の外側に配置する。別の実施形態では、ヒートパイプまたはサーモサイフォンを、クーラの下部の周囲に延在させ、これらは隣接する金属ライナを備える。代替的に、ヒートパイプまたはサーモサイフォンを、クーラの頂部の周囲に、隣接する金属ライナ付きで、配設する。また、ヒートパイプを、クーラの内部ライナに外から取り付けられ、次いで、所定の場所に発泡された金属板に取り付けてもよい。これにより、掃除しやすい内部を有する断熱容器を提供できる。
【0009】
本発明の別の態様では、ヒートシンクおよびファンを使用する場合、断熱容器は冷蔵機能のみを提供する。しかし、ヒートパイプまたはサーモサイフォンを使用する場合、スターリング冷却器の循環を増大させることができるので、同じ断熱容器を同時に冷凍庫として使用することもできる。スターリング冷却器の循環を調整する制御装置を設けることで、断熱容器の内部温度を制御することができる。必要に応じて、スターリング冷却器の循環を変化させ、受熱器が温度を十分に調節できるようにして、必要に応じて、ヒートパイプまたはサーモサイフォンを有する断熱容器を、冷蔵庫または冷凍庫として選択的に使用することができる。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、ヒートパイプまたはサーモサイフォンを使用する断熱容器は、追加的に、冷蔵機能を有する断熱容器内に別の区画室を設けて、冷凍部とすることができる。本発明のこの実施形態の一態様では、冷凍部と冷蔵部との間に、調整可能なあるいは固定式の小さな開口が設けられる。冷気は冷凍部から冷蔵部へ流動し、冷蔵機能を達成するのに十分な冷却がなされる。代替的に、小孔を設ける代わりに、二つの区画室間の断熱材を十分に薄くして、二つの容器間に熱の移動がなされるようにしてもよい。さらに、冷凍室および/または冷蔵室から断熱され、冷凍も冷却も全くされない、別の区画室を設けてもよい。さらに別の断熱容器では、スターリング冷却器の高温部(除熱器側)からの熱を、区画室の加温または加熱に利用できるようにしてもよい。
【0011】
本発明の別の態様では、スターリング冷却器の高温部(除熱器側)にヒートシンクが設けられる。このヒートシンクおよびスターリング冷却器の高温部は、断熱容器の外側に取り付けるとよい。これらを内部に取り付ける場合には、冷却される区画室とは分離された区画室内に取り付ける。スターリング冷却器の除熱器に取り付けられたヒートシンクから遠ざけるように熱を伝達するために、ファンが設けられる。区画室内に取り付けられる場合には、クーラから外に熱気を排出させるために、クーラ側に孔を設けるとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスターリング冷却器は、非常にわずかなエネルギ入力しか必要としない携帯可能な冷蔵または冷凍装置を提供する。装置は、各々特定の区画室により、加熱、自然放熱、冷蔵、もしくは冷凍の各機能、またはこれらの機能の任意の組合せを提供することができる。加えて、本発明は、スターリング技術を使用するので、冷蔵装置は無公害で、静音、軽量、かつ、効率的である。
【0013】
他の利点は、以下の詳細な説明および添付の図面により、明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の詳細な説明では、本発明の様々な態様について記載する。説明のために、特定の形態および詳細を記述して、本発明の完全な理解を図っている。しかし、特定の詳細な説明がなくても本発明を実施できることも、当業者には明らかである。さらに、本発明を不明瞭にしないために、周知の特徴については省略または簡素化することがある。加えて、「上」、「下」、「前」、「後」など、本発明についての方向が記述されるが、方向は発明に対する理解を補助するためのものであって、本発明を限定することを意図するものではない。
【0015】
図面について言及するが、幾つかの図を通して同様の参照番号は同様の部品を表わしている。図1は、本発明で使用することができるスターリング冷却器を示す。スターリング冷却器は当該技術分野で公知であり、例えば、オハイオ州アセンズのグローバル・クーリング社(Global Cooling, Inc.)によって開発されている。スターリング冷却器は公知であるが、便宜のために、ここで簡単に説明する。
【0016】
一般的に、スターリング冷却器(例えば、スターリング冷却器20)は、ヘリウムのような少量の作動流体を含んだ密封カプセルを備える。カプセルは、二つの可動部品、すなわちピストン22およびディスプレーサ24を備える。ピストン22はACリニアモータ26によって前後に駆動される。
【0017】
スターリング冷却器サイクルは、リニアモータ26へのAC入力により開始する。この入力は、ピストン22に固定されたマグネットリング32を駆動する。ピストン22は、移動するマグネットリング32に固定しているので、ピストン22はリニアモータ26によって駆動される。ピストンの揺動運動は作動流体を圧縮および膨張させる。
【0018】
ディスプレーサ24は、スターリング冷却器20の上部で自由に浮動している。この上部は再生器36と呼ばれる。作動流体は、ディスプレーサ24の周りを前後に自由に流動する。ディスプレーサ24は、受熱器28と呼ばれるスターリング冷却器20の低温側から、除熱器30と呼ばれる高温側へと、作動流体を前後に往復させる。膨張中に熱は受熱器28に吸収され、圧縮中に圧縮熱は除熱器30で除去される。図1に示すスターリング冷却器20は、その下部に吸収体34を備え、これは、基本的にスターリング冷却器のバランスをとる質量ばねシステムである。吸収体34は、運転中のディスプレーサ24およびピストン22が揺動することによる振動を吸収する。
【0019】
簡単に説明すると、本発明はスターリング冷却器(例えばスターリング冷却器20)の受熱器28(低温部)を利用して、断熱容器内に冷蔵または冷凍の機能をもたらす。断熱容器、および冷蔵または冷凍のために受熱器28を利用する構造体の多種多様な形態について以下に述べる。
【0020】
本発明の一実施形態では、スターリング冷却器の運転中に発生する熱を放散させるために、スターリング冷却器20の除熱器30(高温部)に、ヒートシンクのような構造体を設ける。構造体は、以下に述べるように、冷却される断熱容器の区画室の外側に配設することが好ましい。
【0021】
図2は、除熱器30によって発生する熱を放散するために使用される、ラップアラウンドヒートシンク40の一部分を示す。図示する実施形態のラップアラウンドヒートシンク40は、波形金属片から作られるが、任意の構造をとることもでき、あるいは任意の適切な熱伝導性材料により形成してもよい。ラップアラウンドヒートシンク40は、その外周に幅広の波形(襞)42を、その内側に幅狭の波形(襞)44を備える。ラップアラウンドヒートシンク40の外面の中央部付近には欠刻46が設けられる。
【0022】
ラップアラウンドヒートシンク40は、設置されたときに、図3に示す通り、スターリング冷却器20の除熱器30の上に位置する。幅狭の波形44は、再生器36の側面に対し嵌合される。除熱器30とラップアラウンドヒートシンク40との間の熱伝導をより効果的にするために、除熱器30とラップアラウンドヒートシンク40の接続部にサーマルグリースを使用してもよい。以下に述べるように、運転中に、除熱器30によって発生する熱の除去を助けるために、ファンを使用してもよい。ファンは、ラップアラウンドヒートシンク40に対し送風することが好ましく、ラップアラウンドヒートシンク40の波形内にまたは波形上に送風するように構成するとよい。
【0023】
当該技術分野で公知の通り、ラップアラウンドヒートシンク40のようなヒートシンクは、構造体内の熱を放散するために利用可能な表面積を増大する。除熱器30は非常に幅狭の帯である。ラップアラウンドヒートシンク40は、幅狭の除熱器30に集中し、かつ熱放散がより効果的になるように除熱器に熱的に接続される材料の表面積を増大するので、特によく機能する。
【0024】
本発明の一態様では、断熱容器の一つまたはそれ以上の区画室から受熱器を介して熱を除去するために、受熱器28に熱伝達装置を取り付けるか、他の方法で関連付ける(つまり、受熱器はこれらの区画室の冷却をもたらす)。例えば、熱伝達装置は、受熱器28と接続され、かつ、受熱器28で発生する冷却器温度を放散または拡散させる(つまり受熱器で熱を除去する)ヒートシンクを含むことができる。以下で述べるように、このヒートシンクは、受熱器28で発生する冷却器温度を、例えば断熱容器の区画室内に放散するために使用する。この方法により、ヒートシンクは断熱容器の区画室から熱を除去し、区画室の冷蔵を達成する。
【0025】
出願人は、中央処理装置(「CPU」)用に製造され、受熱器28に適合するように改造されたヒートシンクが、受熱器28で発生するクーラ温度を放散するのに特にうまく機能することを見出した。このようなヒートシンク50の一例を図4に示す。ヒートシンク50は、例えば、台湾台北県のパワー・クーラ・エンタプライズ社(Power Cooler Enterprise Co, Ltd.)によって製造されたモデルとすることができる。他のヒートシンクを使用することができるが、CPUを冷却するように設計されたヒートシンクは、70〜100ワットの熱を放散するように設計されており、本発明の一実施形態では、受熱器28は、70ワット未満のエネルギを放散する必要があるので、特によく機能する。
【0026】
図4に示すヒートシンク50の頂部にファン52を取り付ける。ファン52は、ヒートシンク50から外方に送風するように構成されるが、受熱器28と共に使用されるヒートシンクに対して他の方法で、例えば、ヒートシンクを横切ってあるいはヒートシンク内を下方に送風するように、一つまたはそれ以上のファンを配設してもよい。
【0027】
ヒートシンク50は、受熱器28の周りに延在するように構成された渦巻きフィン54を備える。CPUの頂部に取り付けるように設計されたヒートシンクを使用する場合、渦巻きフィン54は、受熱器28の上に取り付けることができるように、コア部を除去する。代替的に、渦巻きフィンは、単に受熱器28の端部に取り付けてもよい。しかし、受熱器28の上に渦巻きフィン54を取り付けることにより、より大きい熱伝導が得られ、受熱器で発生する冷却器温度のより良好な放散が達成される。渦巻きフィン54は、サーマルグリースによって、または他の適切な手段によって、受熱器28に取り付けられる。
【0028】
渦巻きフィン54に上部スカート56を取り付ける。上部スカート56は、ヒートシンク50にさらなる表面積をもたらし、熱放散を増大させる。受熱器28とヒートシンク50との間の熱伝達が最大になるように、上部スカート56および渦巻きフィン54は両方とも、熱伝導性の高い金属、例えば、銅またはアルミニウムから作成することが好ましい。
【0029】
図5は、組み立てられたスターリング冷却器20、ラップアラウンドヒートシンク40、およびヒートシンク50を示す。図示の通り、ラップアラウンドヒートシンク40およびヒートシンク50の構成および位置は、それらの間に間隙57が形成されるようになっている。本発明の一実施形態では、ヒートシンク50および受熱器28、およびしたがってスターリング冷却器20の低温放出部は、間隙57の上に位置する。間隙57の下には、ラップアラウンドヒートシンク40および受熱器30、つまりスターリング冷却器20の熱放出部がある。加えて、間隙57の下にはスターリング冷却器20用の投入口58がある。投入口58は、ヘリウムまたは別の適切な作動流体をスターリング冷却器20内に導入する場所である。電源(例えば、ACワイヤ)59も間隙57の下に配置される。
【0030】
図6は、スターリング冷却器20、ヒートシンク50、および、ラップアラウンドヒートシンク40を備える断熱容器60の概略を示す。断熱容器60は、前壁62、後壁64、左側壁66、および、右側壁68を含む。断熱容器は、例えば、ポリウレタン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS、ポリエチレン、または別の適切な耐衝撃性の熱可塑性断熱材料から形成された断熱材を備える。断熱材は、断熱容器60の側面および頂部から有意量の熱が損失されないように、十分な断熱性を有することが好ましい。断熱容器60の蓋をしっかりと嵌合わせ、Oリングおよび当該技術で公知のロックで密閉することが好ましい。そのような構造は、蓋の閉鎖部から生じる熱損失を最小化する。
【0031】
スターリング冷却器20は、壁62、64、66、68の一つを介して、またはクーラの頂部または底部を介して取り付けられる。図示した例では、スターリング冷却器20は右側壁68を介して取り付けられる。この目的のために、右側壁68に孔(図示せず)が設けられる。孔は、再生器36の周りにきつく嵌合し、かつ、間隙57と整列する寸法に形成される。本発明の一態様では、ヒートシンク50および受熱器28は、断熱容器60内で冷却される区画室の内部に取り付けられ、ラップアラウンドヒートシンク40および除熱器30は冷却される区画室の外側に取り付けられる。
【0032】
ファン70は、ラップアラウンドヒートシンク40を横切って空気を送風するように配置されている。ファン70は、断熱容器60の側面に取り付けられる筐体71内に取り付ける。筐体71にスターリング冷却器20を収容するようにしてもよい。ファン70は、ラップアラウンドヒートシンク40を横切るように空気を送風するように図示されているが、ファン70は代替的に、ファンが熱をエンクロージャ71から外に引き出すように、それが外方(つまり筐体71の側面の孔76から外)を向くように配設することができる。
【0033】
必要に応じて、ラップアラウンドヒートシンク40で放散される熱は、筐体71を加温または加熱するために使用することができる。そのような実施形態では、熱の損失を防止するために、筐体71も断熱するようにしてもよい。加熱される筐体71は、加温または加熱された状態に維持する必要のある物品の貯蔵に使用することができる。
【0034】
図6に示す構成は、スターリング冷却器20の冷却部品すなわちヒートシンク50および受熱器28が、冷却される区画室の内部に配置されるという点で有利である。つまり、これらの構成部品は断熱容器60内に配置される。対照的に、スターリング冷却器20の被加熱部、すなわち除熱器30およびラップアラウンドヒートシンク40は、これらを断熱容器60の内部、例えば筐体71内に置くとしても、冷却される区画室の外側に配置される。加えて、投入口58、ACワイヤ59、スターリング冷却器20用のバッテリ72、ならびにスターリング冷却器20用の制御箱74は全て、冷却される区画室の外側に取り付けるが、筐体71の内部に取り付けてもよい。ファン70によってラップアラウンドヒートシンク40に対して送られた熱気を逃がすために、筐体71の側面に開口76を設ける。筐体71を加温区画室として使用する場合には、開口は設けなくてよい。別の実施形態では、開口76の外側に別個の加温区画室を配設し、開口を通して吹き付けられる熱を、別個の区画室を加温するために使用する。
【0035】
スターリング冷却器20の熱発生要素を冷気発生要素から構造的に分離することによって、ヒートシンク50および受熱器28からの冷気は、断熱容器60の冷蔵室内部に提供され、熱は、例えば、ファン70によって冷蔵部から離れ、孔76から出る(または筐体71に入る)ようにされる。さらに、ファン70、バッテリ72、制御箱74、および投入口58は全て、断熱容器60の冷却部を開けなくても、容易にアクセスすることができる。筐体71を暖温区画室として使用する場合には、断熱容器60の右壁66が、スターリング冷却器の低温部を暖温区画室から分離する。
【0036】
図7は、スターリング冷却器20を使用して断熱容器に冷凍庫を形成する、代替実施形態を示す。図7に示す実施形態では、熱伝達装置はサーモサイフォン82を備える。サーモサイフォン82は、低温流体を受熱器28から断熱容器80の冷凍区画室84内へ移送するために使用される。サーモサイフォン82は、代替的にヒートパイプとしてもよい。
【0037】
ヒートパイプおよびサーモサイフォンの機能および動作は周知であるが、便宜のために、ここで簡単に説明する。一般的にヒートパイプまたはサーモサイフォンは、その長さに沿って絶えず流動する作動流体を含む。サーモサイフォン(例えば、図7のサーモサイフォン82)の場合、冷却された液体は冷却源(例えば、本発明の受熱器28)を出て、パイプ内を流下し、次いで再び冷却源に戻る。液体は、断熱容器の内部から熱を吸収するので、ループの下流部の移動中に蒸発する。流体は、冷却源に戻ってくる前に、しばしば完全に蒸気になる。次いで、蒸気は冷却源で凝縮し、再び流下し始め、サイクルを繰り返す。液体の流下により、作動要素がなくても、流体はシステム内を移動し続ける。サーモサイフォン82は、冷却源と同一温度近くに維持され、本発明では、冷凍区画室84の内部を冷却または冷凍するために使用される。ヒートパイプは、同様に作動するが、流体をパイプ内で移動させるために、重力の代わりに、流体に毛細管ポンピングをもたらすウィックを利用する。
【0038】
サーモサイフォン内の流体は加圧する必要がないので、流体はループの下方部分を流動するときに気化する。図7に示す実施形態の場合、サーモサイフォン82は、冷凍区画室84の一側面に沿って内部に蛇行経路をとるように配設される。サーモサイフォン82は、スターリング冷却器20の残りの部分とともに冷凍区画室84の外側(例えば、別個の筐体内)に設置された受熱器28に取り付けられる。スターリング冷却器20は、図示した実施形態では直立型なので、受熱器28はサーモサイフォン効果を増強するように構成される。しかし、スターリング冷却器20の構造として、例えば、水平、あるいは上下逆に配置することもできる。ラップアラウンドヒートシンク40の冷却のために、ファン70を使用してもよい。
【0039】
サーモサイフォン82は、溶接、あるいはサーマルグリースまたは感熱接着剤の使用など、適切な方法で受熱器28に取り付けられる。サーモサイフォン82は、流体が受熱器28を出て、冷凍区画室84の側面の孔内を移動し、蛇行経路に沿って冷凍区画室の底部まで流下し、冷凍区画室の壁の別の孔から外に出て、次いで受熱器28に戻る。サーモサイフォン82内の流体は、受熱器28の近傍において凝縮して液体になり、サーモサイフォン82の蛇行経路を流下するときに気化して蒸気になり、受熱器28に戻る。
【0040】
サーモサイフォン82は、作動部品がなくても、移動流体の絶え間ない流動を提供する。サーモサイフォン82内の流体の気化および凝結が、流体の連続移動のための機能を提供する。流体として、例えば、二酸化炭素、アルゴン、ベンゼン、アルコール、または水を用いることができる。サーモサイフォン82の低温流体は、断熱容器80の冷凍区画室84内に十分な熱伝導を提供するので、区画室は、区画室内の食品または他の物品を冷凍するのに十分な温度に維持される。
【0041】
必要に応じて、冷凍区画室84内の熱伝達を増強するために、金属ライナ86(図8)を設けてもよい。金属ライナをヒートパイプまたはサーモサイフォンと共に使用することは必須ではないが、金属ライナは、冷凍区画室84内の熱伝達を高めることができる。金属ライナ86は、厚さ1/16ないし1/18インチ(1.41〜1.59mm)の任意の適切な熱伝導性材料、例えばアルミニウムにより形成する。図8では、金属ライナ86は、冷凍区画室84の周りに延在するように図示されているが、冷凍区画室の周りの一部分にだけ延在させてもよく、あるいは、サーモサイフォン82が配列されている壁に沿ってのみ延在させてもよい。
【0042】
サーモサイフォン82は、例えば、溶接またはサーマルグリースによって金属ライナ86に取り付けられる。代替的に、本発明の一態様では、断熱容器をサーモサイフォン82および金属ライナ86の周りに形成してもよい。断熱容器の発泡プロセスにより、サーモサイフォン82を金属ライナ86の内縁に当てて楔止することができる。図12に示すように、金属ライナ86はサーモサイフォン82に当てて配置され、断熱容器の外殻95と金属ライナとの間に発泡体が挿入される。発泡体は、外殻95の底部の孔から挿入されるように図示されているが、他の場所から挿入してもよい。
【0043】
発泡体は、外殻の内部で硬化し、サーモサイフォン82を所定の位置に固定する。このプロセスにより、金属ライナ86がサーモサイフォン82と完全に接触し、サーモサイフォンが断熱容器の内側に露出せず、金属ライナが容器の内側を覆う構造となる。サーモサイフォンは、発泡プロセス中に金属ライナに押し付けられ、発泡が完了した後その位置に適切に保持されるので、サーモサイフォン82および金属ライナ86の機械的取付けは不要である。
【0044】
サーモサイフォン82を密封することにより、断熱容器の内部は掃除が容易である。さらに、金属ライナ86が区画室の内部に露出するので、区画室の内部への熱伝達が増強される。
【0045】
金属ライナ86を、区画室の内部に完全に露出させてもよいが、本発明の別の態様では、金属ライナ86の内側表面にライナ94(図12)を設けている。ライナ94は、例えば、熱伝導性プラスチック、または別の適切なプラスチックのコーティングである。ライナ94は、金属ライナ86と断熱容器の壁との間の平滑な遷移をもたらし、ごみや汚れが捕捉される接合線をなくことができる。
【0046】
金属ライナ100の代替実施形態を図9および10に示す。金属ライナ100は、冷凍区画室102の底部のみの周りに延在する。さらに別の実施形態では、冷凍庫ライナ100を、冷凍区画室84の頂部のみの周りに延在させる。図9および10に示す実施形態の場合、受熱器28に接続されるヒートパイプまたはサーモサイフォン82は、金属ライナ100の周囲に延在する。代替的に、ヒートパイプまたはサーモサイフォンを、図7の実施形態の場合のように、一側面のみに沿って延在させてもよい。一側面のみに沿って延在するサーモサイフォンは、製造コストを低減する(つまり、必要なサーモサイフォンが少なくなり、かつ、サーモサイフォンを断熱容器の外周に組み込む必要がない)。
【0047】
本発明の一態様では、図7および8の断熱容器80は、冷凍区画室84だけでなく、冷蔵区画室88をも備える。冷蔵区画室88は、障壁90(図8)によって冷凍区画室84から分離される。障壁90は、断熱容器80の側壁と同様の断熱性を有する断熱材を含有するか、あるいはその壁を介して多少の熱対流を可能にする、より薄い断熱材を含有する。より薄い断熱材を使用する場合、冷凍区画室84内の冷気は、冷蔵区画室88内に流入することができ、冷蔵のための十分な冷却が達成される。
【0048】
より薄い断熱材に加えて、あるいはより薄い断熱材の代わりに、冷凍区画室84と冷蔵区画室88との間の障壁90に開口92を設けてもよい。開口92は、例えば1/2インチ(12.7mm)または、より小さい直径の円形孔とする。開口92は、冷凍区画室84から冷蔵区画室88への冷気の流動を可能にし、こうして冷蔵のための十分な冷気が提供される。
【0049】
開口92は、一定径を有するか、あるいは、開口の大きさを変更することを可能にする装置を含む。例えば、図13に示すように、開口を介する空気流を希望通りに増減することができるように、開口92にルーバ96を設けることができる。ルーバ96を回転させることにより、開口がより大きく、または、より小さく覆われる。ルーバ96は手動、あるいは自動で動かすことができる。例えば、作動するとカバーを回転させるサーボモータ97にカバー96を接続する。サーボモータは、ルーバ96を開位置と閉位置との間で作動させ、サーボモータ97の制御は、スイッチまたはサーモスタットで行う。
【0050】
必要に応じて、サーモサイフォン82を熱伝達装置に使用する場合、サーモサイフォンのわずか一部を冷蔵区画室88の一部分の中に延材するようにしてもよい。冷蔵区画室88を貫通して延びるサーモサイフォン82の量は、冷蔵区画室に様々な冷却レベルに応じて変動させることができる。
【0051】
図9および10に示す実施形態では、冷凍区画室102および冷蔵区画室104に加えて、乾燥区画室106(つまり冷蔵または冷凍しない)が設けられる。この乾燥区画室106は、追加の障壁108によって他の区域から分離される。乾燥区画室106では、冷却または加温がなされず、例えば、釣具、衣服、または他の物品の貯蔵に使用する。
【0052】
図11に、スターリング冷却器20の回路機構の概略したダイアグラムを示す。この同じ回路機構を、本書で記述した冷蔵庫実施形態または冷凍庫実施形態のどちらにも使用することができる。回路機構では、ソーラパネル、バッテリ、またはAC電源のような電源110が、制御装置12に取り付けられ、制御装置12は、スターリング冷却器20に取り付けられる。
【0053】
電源110として、ソーラまたはバッテリを含め、多くの様々な電力源の一つを用いることができる。電源も持ち運びできれば、スターリング冷却器20を利用する断熱容器をAC引出口付近に置く必要がなくなる。さらに、電源を自蔵型とする(つまり、断熱容器上または内に設置される)ことが好ましい。これにより、例えば、取っ手98(図6)を握り、車輪99上の断熱容器を引くことにより、断熱容器を完全に可搬にすることができる。電源110は内蔵されているので、断熱容器の冷蔵区画室は、移動中および静止時のいずれでも運転可能である。
【0054】
出願人は、受熱器28で40ワットの出力に対応する冷却を得るために、わずか平均11ワットの電力をスターリング冷却器20に入力すればよいことを究明した。11ワットの電力は、例えば、再充電可能な12ボルトのバッテリによって供給することができる。代替的に、燃料電池を使用してスターリング冷却器20に電力を供給することができる。燃料電池として、例えば、ニューメキシコ州ロスアラモスのエナジー・リレーテッド・デバイシズ社(Energy Related Devices, Inc.)によって販売されている、50〜60ワットの燃料電池を用いることができる。
【0055】
ソーラパネル114は、図7に示すように、断熱容器の頂面に設置するとよい。ソーラパネルは、光に曝されるのであれば、断熱容器のどこにでも設置することができる。ソーラパネル114として、例えば、アイオワ・シン・フィルム・テクノロジーズ社(Iowa Thin Film Technologies, Inc.)によって製造されている、光発電用の軽量の可撓性ソーラモジュールを用いることができる。ソーラモジュールは、薄いプラスチック基板上に作製され、完成したモジュールを一枚の紙のように薄くかつ軽量にすることができる。モジュールの極度の可撓性により、ソーラモジュールを多種多様な表面に順応させ、かつ、既存の製品に容易に設置することを可能にする。
【0056】
本発明の一態様では、ソーラモジュールは、例えば、適切な接着技術によって、断熱容器の蓋(例えば、断熱容器80の蓋120)に組み込まれる。ソーラモジュールは、蓋全体を覆ようにしても、あるいは蓋の一部分に嵌め込むようにしてもよい。蓋120に設置する場合、ワイヤを蓋120から下にクーラ内まで伸長させる。
【0057】
ソーラパネル114は、スターリング冷却器20用の電源として機能する。図11に示す代替実施形態では、ソーラパネル114は、日中にバッテリを充電する充電器として使用することができる。代替的に、ソーラパネルを、スターリング装置に電源を供給し、クーラに冷蔵および/または冷凍の機能をもたらすとともに、夜間運転用にバッテリを充電するためにも使用ができるようにしてもよい。
【0058】
ソーラパネル114の機能を、断熱容器用のスターリング冷却器20または別の冷蔵装置に利用することができる。ソーラパネル114を使用する一つの利点は、特にソーラパネルが断熱容器の外部を覆う場合、冷却効果を失う危険なく、断熱容器80を日光に曝しておくことができることである。実際、直射日光は、スターリング冷却器20または他の冷蔵装置の運転に利用可能な電力を増大させるのである。
【0059】
制御装置112は、オン/オフスイッチのように簡単なアナログスイッチでよく、あるいはスターリング冷却器20の動作を制御するためのマイクロコントローラとしてもよい。制御装置は、スターリング冷却器20および/またはその構成部品の作動を調整または案内するために使用される任意の装置または機構とすることができ、あるいは、プログラムモジュールのようなコンピュータ実行可能な命令を実行できる装置とすることもできる。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するかまたは特定の抽象データ型を実現する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。一実施形態では、制御装置112により、スターリング冷却器20のピストン22の往復運動の速度を調整する。このようにすれば、制御装置112により受熱器28の温度を調整できるので、スターリング冷却器20により温度を調整できる。
【0060】
本発明の一実施形態では、断熱容器内の単一の区画室が、スターリング冷却器20によって供給される温度に基づいて、冷凍庫または冷蔵庫のいずれかとして機能するようにできる。このような実施形態では、制御装置112は、スターリング冷却器20の運転を冷凍庫モードと冷蔵庫モードの間で切り替えることを可能にするスイッチを備えるとよい。冷凍庫モードでは、ピストン22は冷蔵庫モードより高速で揺動する。冷蔵庫運転に対する冷凍庫運転の速度比は経験的に決定され、当業者が用いる方法により設定することができる。
【0061】
また、制御装置112は、断熱容器の区画室に接続されたサーモスタットを備えてもよい。このようなサーモスタットは、制御装置112がスターリングへの電力入力を調整するための情報を制御装置112に提供し、制御装置は、ユーザによって設定されたレベルに従って、スターリング冷却器20のピストン24の速度を調整する。つまり、温度が低すぎる場合、スターリング冷却器20は減速され、温度が高すぎる場合、スターリング冷却器20は加速される。
【0062】
サーモサイフォン82またはヒートシンク50の代替物として、受熱器28を他の熱伝達装置と共に使用してもよい。例えば、受熱器は、断熱容器の冷凍庫または冷蔵庫内の金属ライナ(例えば、金属ライナ86)に直接接続してもよい。このような実施形態では、例えば、受熱器28は断熱容器の側壁を貫通して伸長し、金属ライナに溶接、あるいは他の方法で接続される。受熱器28によって発生した低温を断熱容器内に放散するために、他の構造を使用してもよい。
【0063】
要約すると、本発明は、運転のために非常にわずかな電力しか必要としない携帯冷蔵庫または冷凍庫を提供する。断熱容器およびスターリングモータの複合部品はわずか20ポンド(9.07kg)以下の重量とすることができ、断熱容器を一人または二人で容易に運び、あるいは断熱容器に車輪を取り付けて移動させることが可能になる。
【0064】
その他の変形も本発明の思想の範囲内にある。したがって、本発明は、様々な変形および代替的構成を許容するが、特定の例示的実施形態について、図面に示し、かつ、詳細に上述した。しかし、本発明を開示した特定の形態に限定する意図はなく、本発明は、請求の範囲に記載する本発明の思想および範囲に該当する全ての変形、代替的構成、および均等物を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明で使用することができるスターリング冷却器の構成部品を概略的に表わす部分断面斜視図である。
【図2】図1のスターリング冷却器の除熱部で使用することができるラップアラウンドヒートシンクの部分断面斜視図である。
【図3】図1のスターリング冷却器の除熱部に設置された図2のラップアラウンドヒートシンクを示す部分断面斜視図である。
【図4】図1のスターリング冷却器の受熱部で使用することができるヒートシンクおよびファンの斜視図である。
【図5】図1のスターリング冷却器に設置された図4のヒートシンクおよびファンの斜視図である。
【図6】図5のスターリング冷却器が設置された断熱容器の概略図である。
【図7】図1のスターリング冷却器と同様のスターリング冷却器が設置され、スターリング冷却器から断熱容器内の区画室に通じるサーモサイフォンを持つ断熱容器の斜視図である。
【図8】図7の断熱容器の概略平面図である。
【図9】図8に示した断熱容器と同様の断熱容器の代替実施形態の概略平面図である。
【図10】図1のスターリング冷却器と同様のスターリング冷却器を含み、断熱容器の区画室の底部に沿って延在するヒートパイプを有する、本発明に係る断熱容器の代替実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明の一態様に係る図1のスターリング冷却器の回路機構の概略図である。
【図12】本発明の一態様に係る断熱容器を形成するための方法を示す平面図である。
【図13】本発明の一態様に係る断熱容器のルーバを含む中心壁を示す端面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の区画室、第2の区画室、放熱器および受熱器を有するスターリング冷却器、該受熱器から該第1および第2の区画室に熱を導くように構成および配置された熱伝達装置、および、該スターリング冷却器に接続され、電力を供給する内蔵型の携帯電源を備える断熱容器。
【請求項2】
前記内蔵型の携帯電源が電池である請求項1に記載の断熱容器。
【請求項3】
前記電池に接続され、該電池を充電するように構成されたソーラーパネルをさらに備える請求項2に記載の断熱容器。
【請求項4】
前記ソーラーパネルが、前記断熱容器の外面に接続されたソーラーモジュールを備える請求項3に記載の断熱容器。
【請求項5】
前記ソーラーモジュールが、前記断熱容器の蓋と一体化している請求項4に記載の断熱容器。
【請求項6】
前記携帯電源が燃料電池である請求項1に記載の断熱容器。
【請求項7】
前記携帯電源が、ソーラーパネルである請求項1に記載の断熱容器。
【請求項8】
前記ソーラーパネルが、前記断熱容器の外面に接続されたソーラーモジュールを備える請求項7に記載の断熱容器。
【請求項9】
前記ソーラーモジュールが、前記断熱容器の蓋と一体化している請求項8に記載の断熱容器。
【請求項10】
前記受熱器が、前記第1の区画室の内部に取り付けられている請求項1に記載の断熱容器。
【請求項11】
前記熱伝達装置が、前記受熱器に取り付けられたヒートシンク、および、該ヒートシンクを経由して、前記第1の区画室内にエアを送るファンを備える請求項1に記載の断熱容器。
【請求項12】
前記放熱器が、前記第1の区画室の外側に取り付けられている請求項1に記載の断熱容器。
【請求項13】
前記放熱器が第2の区画室に取り付けられており、該第2の区画室に配置された、熱を逃すように開口をさらに備える請求項12に記載の断熱容器。
【請求項14】
前記放熱器から熱を除去し、前記開口を通して外へ熱を導くように配置されたファンをさらに備える請求項13に記載の断熱容器。
【請求項15】
前記熱伝達装置が、少なくとも1つのヒートパイプまたはサーモサイフォンを備える請求項1に記載の断熱容器。
【請求項16】
前記少なくとも1つのヒートパイプまたはサーモサイフォンが、前記受熱器に接続され、前記第1の区画室内に巡らされ、該第1の区画室の内側壁に沿って蛇行経路を形成するように伸長する請求項15に記載の断熱容器。
【請求項17】
前記第1の区画室が、前記受熱器および熱伝達装置により、冷凍庫として機能するには十分に冷却され、前記第2の区画室が、前記受熱器および熱伝達装置により、冷蔵庫として機能するには十分に冷却される、請求項1に記載の断熱容器。
【請求項18】
前記第1の区画室が前記受熱器および熱伝達装置により冷却され、前記第2の区画室が第1の区画室により冷却される、請求項17に記載の断熱容器。
【請求項19】
前記第2の区画室が、前記第1の区画室と第2の区画室の間に設けられた開口を通じて流れるエアにより冷却される、請求項18に記載の断熱容器。
【請求項20】
前記開口の一部を任意に閉鎖する装置をさらに備える請求項19に記載の断熱容器。
【請求項21】
前記装置がルーバを備える請求項20に記載の断熱容器。
【請求項22】
前記ルーバがモータにより作動する請求項21に記載の断熱容器。
【請求項23】
前記第1の区画室と第2の区画室の間に隔壁をさらに備え、該隔壁を通じた対流により該第2の区画室が冷却される、請求項18に記載の断熱容器。
【請求項24】
移動用に接続されたハンドルをさらに備える請求項1に記載の断熱容器。
【請求項25】
前記第2の区画室が前記放熱器により加熱される請求項1に記載の断熱容器。
【請求項26】
第1の区画室、放熱器と受熱器を有するスターリング冷却器、および、該受熱器を介して該第1の区画室より熱を取り出すように構成および配置され、かつ、該第1の区画室の一端にのみ沿って配置される熱伝達装置を備える断熱容器。
【請求項27】
前記熱伝達装置が、少なくとも1つのヒートパイプまたはサーモサイフォンを備える請求項26に記載の断熱容器。
【請求項28】
前記少なくとも1つのヒートパイプまたはサーモサイフォンが、前記受熱器に接続され、前記第1の区画室内に巡らされ、該第1の区画室の一端の内側に沿って蛇行経路を形成するように伸長する請求項27に記載の断熱容器。
【請求項29】
前記第1の区画室が、前記受熱器および熱伝達装置により、冷凍庫として機能するには十分に冷却され、前記熱伝達装置から離れて配置された第2の区画室が、第1の区画室により、冷蔵庫として機能するには十分に冷却される、請求項28に記載の断熱容器。
【請求項30】
前記第2の区画室が、前記第1の区画室と第2の区画室の間に設けられた開口を通じて流れるエアにより冷却される、請求項29に記載の断熱容器。
【請求項31】
前記開口の一部を任意に閉鎖する装置をさらに備える請求項30に記載の断熱容器。
【請求項32】
前記装置がルーバを備える請求項31に記載の断熱容器。
【請求項33】
前記ルーバがモータにより作動する請求項32に記載の断熱容器。
【請求項34】
前記第1の区画室と第2の区画室の間に隔壁をさらに備え、該隔壁を通じた対流により該第2の区画室が冷却される、請求項29に記載の断熱容器。
【請求項35】
移動用に接続されたハンドルをさらに備える請求項26に記載の断熱容器。
【請求項36】
前記放熱器により加熱される第2の区画室をさらに備える請求項26に記載の断熱容器。
【請求項37】
放熱器と受熱器を有するスターリング冷却器、第1の区画室、第2の区画室、該受熱器を介して該第1の区画室より熱を取り出すように構成および配置された熱伝達装置を備え、該第1の区画室が、該受熱器および熱伝達装置により、冷凍庫として機能するには十分に冷却されるようになっており、かつ、該第2の区画室が、該受熱器および熱伝達装置により、冷蔵庫して機能するには十分に冷却されるようになっている、断熱容器。
【請求項38】
前記熱伝達装置が、少なくとも1つのヒートパイプまたはサーモサイフォンを備える請求項37に記載の断熱容器。
【請求項39】
前記少なくとも1つのヒートパイプまたはサーモサイフォンが、前記受熱器に接続され、前記第1の区画室内に巡らされ、該第1の区画室の内側壁に沿って蛇行経路を形成するように伸長する請求項38に記載の断熱容器。
【請求項40】
前記第2の区画室が、前記第1の区画室により冷却される請求項37に記載の断熱容器。
【請求項41】
前記第2の区画室が、前記第1の区画室と第2の区画室の間に設けられた開口を通じて流れるエアにより冷却される、請求項37に記載の断熱容器。
【請求項42】
前記開口の一部を任意に閉鎖する装置をさらに備える請求項41に記載の断熱容器。
【請求項43】
前記装置がルーバを備える請求項42に記載の断熱容器。
【請求項44】
前記ルーバがモータにより作動する請求項43に記載の断熱容器。
【請求項45】
前記第1の区画室と第2の区画室の間に隔壁をさらに備え、該隔壁を通じた対流により該第2の区画室が冷却される、請求項37に記載の断熱容器。
【請求項46】
前記第2の区画室が、前記放熱器により加熱される請求項37に記載の断熱容器。
【請求項47】
少なくとも1つの区画室、該少なくとも1つの区画室を冷却するための冷蔵装置、蓋、および、該蓋と一体的に取り付けられ、該冷蔵装置に電力を供給するように構成されたソーラーパネルを備える断熱容器。
【請求項48】
前記冷蔵装置が、放熱器および受熱器を有するスターリング冷却器、および、前記第1の区画室から該受熱器を介して熱を取り出すように構成および配置された熱伝達装置を備える請求項47に記載の断熱容器。
【請求項49】
前記ソーラーパネルが、断熱容器の外面に取り付けられたソーラーモジュールを備える請求項47に記載の断熱容器。
【請求項50】
前記冷蔵装置に電力を供給する電池を備え、前記ソーラーパネルが該電池を再充電できるように構成されている請求項47に記載の断熱容器。
【請求項51】
前記ソーラーパネルが、断熱容器の外面に取り付けられたソーラーモジュールを備える請求項50に記載の断熱容器。
【請求項52】
第1の区画室、放熱器と受熱器を有するスターリング冷却器、および、該第1の区画室より受熱器を介して熱を取り出すように構成および配置され、複数の熱フィンを有するヒートシンク、を備える断熱容器。
【請求項53】
前記ヒートシンクを経由してエアを送るように配置されたファンをさらに含む請求項52に記載の断熱容器。
【請求項54】
前記ヒートシンクが前記第1の区画室の内側に配置され、前記放熱器が該第1の区画室の外側に配置されている請求項52に記載の断熱容器。
【請求項55】
第1の区画室、放熱器と受熱器を有するスターリング冷却器、該第1の区画室から該受熱器を介して熱を取り出すように構成および配置された熱伝達装置、該熱伝達装置に接続された金属ライナ、該金属ライナを覆うように配置され、該第1の区画室の内側の一部を形成するプラスチックライナを備える断熱容器。
【請求項56】
サーモサイフォンおよびヒートパイプのうち少なくとも1つをシェルの内側に並べ、該サーモサイフォンおよびヒートパイプのうち少くとも1つに沿って、シェルに対向するように金属ライナを並べ、該金属ライナとシェルの間に発泡体を射出し、該発泡体を硬化させることにより、該サーモサイフォンおよびヒートパイプのうち少くとも1つを該金属ライナに対して取り付ける、断熱容器の製造方法。
【請求項57】
前記金属ライナに対して取り付けられたサーモサイフォンおよびヒートパイプのうち少なくとも1つをさらにスターリング冷却器に取り付ける、請求項56に記載の断熱容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−500546(P2006−500546A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540048(P2004−540048)
【出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/027800
【国際公開番号】WO2004/029526
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.
【Fターム(参考)】