説明

冷却装置および冷却方法

【課題】 本発明は、統合された冷却装置および冷却方法を提供する。
【解決手段】 圧縮ガス供給源と、冷却圧縮ガスを形成する圧縮ガスを第1の純度をもつ水と熱交換させることにより冷却し、それにより冷却圧縮ガスの流れと第1の純度をもつ温水の流れとを生じさせる冷却ユニットと、第1の純度よりも低い第2の純度をもつ水の流れを第1の純度をもつ水の流れと間接的に熱交換することにより第2の純度をもつ水の流れを温める第1の熱交換器と、第1の純度をもつ冷却された水を冷却ユニットに送るための導管とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業設備内で冷却することを目的として不純な冷却水の水源に用いられる冷却装置および冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然資源を離れたサイトで利用することができる場合であって、通常の基盤(インフラ)およびユーティリティーにそのままでは利用可能な状態にない場合に、その天然資源を工業設備で調整することがしばしば要求される。特に、そのサイトが海に取り囲まれて閉ざされた砂漠地帯の場合に、サイトを冷却し、かつ軟水の消費を最小限にすることを目的として海水を利用することが望まれている。
【0003】
工業設備は、しばしば空気分離装置を含んでいる。このような工業設備では、空気分離装置から廃ガスとの直接接触により冷却水を通常は冷温化(チルダウン)し、次いでこの冷温化した水と直接接触させることにより圧縮空気流を冷却する。この後者の冷温化水と圧縮空気との間の直接熱交換は、水質が要求され、不純な水、ここでは例えば海水はその要求に応じることができない。
【0004】
本発明の解決すべき課題は、不純な水と廃ガスとの直接熱交換により不純な水(例えば海水)を冷温化するために、空気分離設備の廃ガスを利用すること、および冷温化した不純な水と軟水の閉じた回路との間で熱交換することにある。生成した冷温化軟水は、引き続き直接接触の空気流による冷却に用いることができる。
【発明の開示】
【0005】
本発明の主題は、冷却圧縮ガスを形成するための圧縮ガスを第1の純度をもつ水と熱交換させることにより冷却し、それにより冷却圧縮ガスの流れと前記第1の純度をもつ温水の流れとを生じさせる冷却ユニットと、前記第1の純度よりも低い第2の純度をもつ水の流れを前記第1の純度をもつ水の流れと間接的に熱交換することにより前記第2の純度をもつ水の流れを温める第1の熱交換器と、前記第1の純度をもつ冷水を前記冷却ユニットに送るための導管と、を有することを特徴とする冷却装置に向けられている。
【0006】
第1の純度をもつ水は、第2の純度をもつ水よりも(塩のような)不純物のモル百分率含有量が小さい。特に、第1の純度をもつ水を軟水とすることができ、また第2の純度をもつ水を海水のような不純な水とすることができる。
【0007】
本発明の他の主題は、熱交換器により冷却された圧縮ガスを形成するために、第1の純度をもつ水の流れで圧縮ガスを冷却し、前記第1の純度をもつ冷水を生成するために前記第1の純度をもつ水の流れと第1の熱交換器内で間接的に熱交換することにより、前記第1の純度よりも低い第2の純度をもつ水の流れを温め、前記第1の純度をもつ冷水の少なくとも一部を前記冷却ユニットへ送ることを特徴とする冷却方法に向けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の本質と目的のさらなる理解のために、以下の詳細な記載とこれに関連する図面、図面では要素に付与された参照符号を参照してほしい。
【0009】
本発明は、冷却圧縮ガスを形成するための圧縮ガスを第1の純度をもつ水と熱交換させることにより冷却し、それにより冷却圧縮ガスの流れと前記第1の純度をもつ温水の流れとを生じさせる冷却ユニットと、前記第1の純度よりも低い第2の純度をもつ水の流れを前記第1の純度をもつ水の流れと間接的に熱交換することにより前記第2の純度をもつ水の流れを温める第1の熱交換器と、前記第1の純度をもつ冷水を前記冷却ユニットに送るための導管と、を有することを特徴とする冷却装置を提供する。
【0010】
第1の純度をもつ水は、第2の純度をもつ水よりも(塩のような)不純物のモル百分率含有量が小さい。特に、第1の純度をもつ水を軟水とすることができ、また第2の純度をもつ水を海水のような不純な水とすることができる。
【0011】
本発明の装置は、直接接触熱交換器である第2の熱交換器と、この第2の熱交換器に第2の純度をもつ水の流れを送るための導管と、前記第2の純度をもつ水の流れを冷却するように、前記低温蒸留ユニットから前記第2の熱交換器へ少なくとも1つの流れの少なくとも一部を送るための導管と、前記第2の純度をもつ冷水の流れを前記第1の熱交換器に送るための導管と、を有することができる。
【0012】
冷却ユニットは、間接的に接触する熱交換器であってもよいし、また直接に接触する熱交換器であってもよい。
【0013】
低温蒸留ユニットからの流体の流れは、窒素富ガス、アルゴン富ガス、酸素富ガスの群から選択されるものであることが好ましい。
【0014】
圧縮ガスが空気であるならば、本発明装置は低温蒸留ユニットに圧縮ガスを送るための導管を有する。
【0015】
圧縮ガスは低温蒸留ユニットの生産物であってもよい。
【0016】
さらに、本発明は、熱交換器により冷却された圧縮ガスを形成するために、第1の純度をもつ水の流れで圧縮ガスを冷却し、前記第1の純度をもつ冷水を生成するために前記第1の純度をもつ水の流れと第1の熱交換器内で間接的に熱交換することにより、前記第1の純度よりも低い第2の純度をもつ水の流れを温め、前記第1の純度をもつ冷水の少なくとも一部を前記冷却ユニットへ送ることを特徴とする冷却方法を提供する。
【0017】
本発明の冷却方法は、前記第2の純度をもつ水の流れを第2の熱交換器に送り、前記第2の純度をもつ水の流れが冷却されるように、低温蒸留ユニットからの流れの少なくとも1つの少なくとも1つを前記第2の熱交換器に送り、前記第2の純度をもつ冷却された水の流れを前記第1の熱交換器に送ることができる。
【0018】
圧縮ガスを空気とし、圧縮ガスを前端浄化に送り、次いでフィードとして低温蒸留に送る。
【0019】
圧縮ガスは低温蒸留ユニットの生産物としてもよい。
【0020】
図1を参照して説明する。低温空気分離ユニット17は、海水などのような不純な水の供給源3に近接して配置されている。不純な水1は湿式主冷却塔6の水盤4からポンプ送液され、この水9の部分(fraction)を直接接触塔5の搭頂に送る。直接接触塔5のなかでは、不純な水の流れが乾燥廃ガス7と直接接触することにより冷温化する。乾燥廃ガスには低温空気分離ユニット17からの窒素富ガス7が好ましい。窒素富ガス7は、5℃から40℃までの間の温度で完全乾燥であり、不純な冷水を形成するために蒸気潜熱の生成により不純な水9を冷温化させる。窒素富ガスに要求される温度は、一般的には空気分離ユニット17の主熱交換器の温暖端(warm end)から窒素富ガスが除去される温度である。不純な水9の通流は弁V1によって制御される。この弁V1は、塔5の基部において水位を検出するLICにより制御されるようになっている。不純な水9は熱交換器11にポンプ送液される。この熱交換器11は、不純な冷水を形成するために不純な水9の流れ(stream)を純粋な水13の流れと熱交換させるものである。
【0021】
不純な水13の流れはさらに直接接触冷却塔15の搭頂へ送られる。この直接接触冷却塔15は、空気分離ユニット17の主エアコンプレッサー20からの空気流19を冷却するか、あるいは他の空気分離機のエアコンプレッサーからの空気流を冷却するのに使用される。不純な水13は、霜取り器14より下方のポイントに送られ、弁V2により通流が制御される。さらに冷却塔15の搭頂から出てくる冷却空気21は、浄化ユニット(図示せず)に送られ、冷却され、次いで低温空気分離ユニット17のコラムに送られる。空気分離ユニット17は、酸素18を生産し、場合によっては例えば気液変換ユニットまたは大量のアルゴンを消費する他の類似プロセスのサイトで使用されるアルゴンを生産する。
【0022】
さらに不純な水23の分流は、熱交換器25に送られ、さらに冷却塔15からの純粋な水流27を冷却する。
【0023】
熱交換器11の下流において、不純な水9は、流れ26を形成するために熱交換器25内で温められた不純な水23と混合される。次いで、流れ26は湿式冷却塔6に戻される。この湿式冷却塔6では、大気の気流またはファン強制送風気化で直接接触により流れ26を冷却する。冷却された不純な水は水盤4に降下し、次いでシステムに回収される。
【0024】
純粋な水27は、ポンプ29により送液され、3つの流れに分かれる。すなわち、流れ13は熱交換器11に送られ、流れ31は冷水として冷却塔15に入る流れ13の温度よりも高い温度で弁V4を介して冷却塔15の中間レベルに送られ、流れ33は例えばサイトの冷却回路(例えばコンプレッサー・インタークーラー)のような他の純粋な水消費場所に送られる。次いで、温められた流れ33は、流れ27を形成するために冷却塔15の底部からの水の残部と混合される。
【0025】
ここで、冷却塔15は、直接接触熱交換器であるが、これを間接接触熱交換器で代用することもできる。
【0026】
ここで、さらに冷却塔15内で冷却されたガス19は、冷却することが要求されるいずれかのガスとすることができることが認められる。
【0027】
圧縮空気流19中に湿分が存在するために回路内の純粋な水の体積が増加し、冷却塔15内で結露を生じる。この水は、溶解したミネラルをまったく含まず、空気中に存在する二酸化炭素により生じる炭酸のために僅かに酸性である。腐食防止のために、一般にこの水を中性化する必要はない。しかし、pHを制御するためにソーダを注入するようにしてもよい。さらに冷却塔15内の水位はパージ35を用いて制御する。このパージ35の量は冷却塔15内にて凝縮する水の量に対応する。空気中の凝縮水からのエキストラ水は、少なくとも時々は除去すべきである。このパージ水35は、不純な水の回路(破線)に注入することができるか、または他の用途のために純粋な水に関連する水源(source)として用いることができる。パージ水の通流は、弁V3により制御される。この弁V3は、冷却塔15の底部で液位を監視するLICによって制御されるようになっている。
【0028】
ブローダウンパージ37は、過負荷を増加させない塩分濃度の許容範囲内の濃度に不純な水を維持するために使用される。
【0029】
不純な水40は、パージ37を介して失われる水と蒸発と送液ロスのゆえに少なくとも時々は補充するためにLICを介して水盤4のレベルを制御する弁V5を通って添加される。
【0030】
空気分離機17のコンプレッサー20は、一般的には蒸気タービン43により運転される。蒸気タービン凝縮器45は不純な水の一部47を用いて冷却するようにしてもよい。次いで、温められた不純な温水47は湿式冷却塔6に戻される。他の手段により運転できたコンプレッサー20があるがゆえに蒸気タービンは必要ないものと認められる。
【0031】
本発明の装置では不純な水40から分離されるいくらかの水を消費しないことが分かる。冷却されるべきガスと水のみを接触させるために、ガスが汚染されるリスクがない。
【0032】
本発明によれば、純粋な水の回路の量が減少し、冷却塔からあふれ出すリスクがなく、空気分離ユニット17の前端浄化ユニットのような敏感な下降流設備に向けて移行する水のリスクがない。
【0033】
本発明の一実施形態は上述した通りであるが、本発明の範囲を逸脱しない範囲で本発明が属する技術分野の当業者によりなしうる多くの変形をなしうるものと認識される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の統合された冷却装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1…不純な水、3…供給源、4…水盤、6…湿式主冷却塔、7…乾燥廃ガス、
9…不純な水、11…熱交換器、13…純粋な水、14…霜取り器、
15…直接接触冷却塔、17…空気分離ユニット、18…酸素、
19…空気流、20…主エアコンプレッサー、21…冷却された空気、
23…不純な水、25…熱交換器、26…水の流れ、27…純粋な水、
29…ポンプ、33…温められた水の流れ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)圧縮ガス供給源と、
b)冷却圧縮ガスを形成するための圧縮ガスを第1の純度をもつ水と熱交換させることにより冷却し、それにより冷却圧縮ガスの流れと前記第1の純度をもつ温水の流れとを生じさせる冷却ユニットと、
c)前記第1の純度よりも低い第2の純度をもつ水の流れを前記第1の純度をもつ水の流れと間接的に熱交換することにより前記第2の純度をもつ水の流れを温める第1の熱交換器と、
d)前記第1の純度をもつ冷水を前記冷却ユニットに送るための導管と、
を有することを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
e)直接接触熱交換器である第2の熱交換器と、
f)前記第2の純度をもつ水の流れを前記第2の熱交換器に送るための導管と、
g)前記第2の純度をもつ水の流れを冷却するように、前記低温蒸留ユニットから前記第2の熱交換器へ少なくとも1つの流れの少なくとも一部を送るための導管と、
h)前記第2の純度をもつ冷水の流れを前記第1の熱交換器に送るための導管と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記低温蒸留ユニットからの流れは、次の群から選択されるものであることを特徴とする請求項2記載の装置。
a)窒素富ガス
b)アルゴン富ガス
c)酸素富ガス
【請求項4】
前記冷却ユニットが直接接触熱交換器であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記冷却ユニットが間接接触熱交換器であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記圧縮ガスが空気であり、前記圧縮ガスを前記低温蒸留ユニットに送るための導管をさらに有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記前記圧縮ガスは前記低温蒸留ユニットの生産物であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
第3の熱交換器と、前記第1の純度をもつ温水を前記冷却ユニットから前記第3の熱交換器へ送るための導管と、不純な水を前記第3の熱交換器に送るための導管と、をさらに有することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項9】
a)熱交換器により冷却された圧縮ガスを形成するために、第1の純度をもつ水の流れで圧縮ガスを冷却し、
b)前記第1の純度をもつ冷水を生成するために前記第1の純度をもつ水の流れと第1の熱交換器内で間接的に熱交換することにより、前記第1の純度よりも低い第2の純度をもつ水の流れを温め、
c)前記第1の純度をもつ冷水の少なくとも一部を前記冷却ユニットへ送ることを特徴とする冷却方法。
【請求項10】
さらに、d)前記第2の純度をもつ水の流れを第2の熱交換器に送り、
e)前記第2の純度をもつ水の流れが冷却されるように、低温蒸留ユニットからの流れの少なくとも1つの少なくとも1つを前記第2の熱交換器に送り、
f)前記第2の純度をもつ冷却された水の流れを前記第1の熱交換器に送る、ことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記圧縮ガスは空気であり、さらに前記圧縮ガスを前記低温蒸留ユニットに送ることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記圧縮ガスは前記低温蒸留ユニットの生産物であることを特徴とする請求項9記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−523343(P2008−523343A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544886(P2007−544886)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056380
【国際公開番号】WO2006/063939
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】