冷却装置
【課題】熱電冷却素子が吸熱する熱量を小さくして、消費電力を小さくすることが可能で、且つ、ファンノイズの小さい、小型システムにも適用でき、且つ、設計の自由度の高い発熱素子冷却用モジュールを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの発熱素子2に熱的に接続された受熱プレート3と、受熱プレート3に一方の端部が熱的に接続され、他方の端部が放熱プレート5に熱的に接続される熱移動デバイスと、放熱プレート5の一方の面にその一方の面が熱的に接続される熱電冷却素子6と、放熱プレート5の他方の面に熱的に接続される第1のヒートシンク7と、熱電冷却素子6の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンク8とを備えた発熱素子冷却用モジュール1。
【解決手段】少なくとも1つの発熱素子2に熱的に接続された受熱プレート3と、受熱プレート3に一方の端部が熱的に接続され、他方の端部が放熱プレート5に熱的に接続される熱移動デバイスと、放熱プレート5の一方の面にその一方の面が熱的に接続される熱電冷却素子6と、放熱プレート5の他方の面に熱的に接続される第1のヒートシンク7と、熱電冷却素子6の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンク8とを備えた発熱素子冷却用モジュール1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペルチェクーラ等の熱電冷却素子(TEC(Thermo Electric Cooler))を使用した、半導体素子などの発熱素子の冷却用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス機器は、マイクロプロセッサ等の高出力、高集積の部品を内蔵している。マイクロプロセッサは、集積度が極めて高くなり、高速で演算、制御等の処理を行うので、多量の熱を放出する。高出力かつ高集積の部品であるチップ等を冷却するために、各種の冷却システムが提案されてきた。その代表的な冷却システムの1つとして、ヒートパイプ、ペルチェ素子がある。
【0003】
ヒートパイプの内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。密封された空洞部を備え、その空洞部に収容された作動流体の相変態と移動により熱の移動が行われるヒートパイプの作動の詳細は次の通りである。
【0004】
ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイプを構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱を潜熱として吸収して、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は凝縮して潜熱を放出するとともに、再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によって熱の移動が行われる。
【0005】
更に、近年、高速信号を処理する半導体素子は、発熱量が益々高くなり、上述したヒートパイプのみでは十分に冷却することが出来なくなっている。発熱量が高い素子の冷却に、素子に直接熱電冷却素子例えばペルチェ素子が組み合わされた冷却装置が提案されている。
一般に、2種の導体A、Bを接続し、温度一定で電流を流すと、導体A、Bの接点で熱の発生または吸収がある。これをペルチェ効果という。この原理を利用したものにペルチェ素子がある。即ち、熱電素子であるp型半導体エレメントとn型半導体エレメントとを並列に交互に並べ、各半導体エレメントの両端部には電極が配置されている。各半導体エレメントの両端部と電極とは、はんだによって接合されている。p型半導体エレメント、n型半導体エレメントとは、交互に電極を介して、電気的に直列に接合されている。
【0006】
更に、電極と、熱電素子であるp型半導体エレメントおよびn型半導体とによって形成される電気回路を外部から電気的に絶縁するために、1対の電気絶縁性基板が電極のそれぞれの外側に設けられ、電極と電気絶縁性基板とは、はんだによって接合されている。このように、ペルチェ素子は、電極、p型半導体エレメントおよびn型半導体エレメントによって形成される電気回路が、2枚の電気絶縁性基板によって挟み込まれた構造を形成している。上述したペルチェ素子によって、一方の電気絶縁性基板側の熱が他方の電気絶縁性基板側に移動され、電気絶縁性基板側が冷却される。
【0007】
従来、例えば、特開2004−071969号公報に開示されている(図10参照)ように、受熱・均熱デバイスで発熱源の熱を広げてから、ペルチェ素子へ入熱し、ペルチェ素子の低温側を受熱・均熱デバイスに取り付けて、ペルチェ素子の高温側に銅製の放熱用ヒートシンクを取り付ける方法が一般的に行われていた。即ち、図11に示すように、従来の冷却デバイス100においては、発熱源103に受熱・均熱デバイス101を熱的に接続し、熱電冷却素子102の冷却面が受熱・均熱デバイス101に接続され、熱電冷却素子102の放熱面がヒートシンク103に接続される。
【特許文献1】特開2004−071969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発熱源(例えば、CPU)の発熱量が増大すると、ペルチェ素子(TEC)で十分な吸熱性能が得られず、冷却モジュールの熱抵抗が上昇してしまう。即ち、ヒートシンクと冷却空気の温度差を大きくすることが困難であり、冷却性能を向上させることが困難であった。例えば発熱源が120Wのとき必要な温度差は15℃であるが、現在の容易に入手可能なペルチェ素子では温度差を12℃とするのがやっとの状態である。受熱・均熱デバイスの均熱抵抗が0.10K/Wのとき、CPUの発熱量が120Wを超えると、熱電冷却素子では冷却することが困難となってくる。
【0009】
更に、熱伝導グリスを利用して、従来の冷却デバイスの各コンポーネントを熱的に接続させる方法などが一般的である。熱伝導グリスの厚さを管理することが困難であり、各コンポーネント間の接触熱抵抗のばらつきが大きくなり、グリスの厚さが厚い場合には、冷却モジュール全体の熱抵抗が高くなってしまう。
【0010】
従って、この発明の目的は、熱電冷却素子が吸熱する熱量を小さくして、消費電力を小さくすることが可能で、且つ、ファンノイズの小さい、小型システムにも適用でき、且つ、設計の自由度の高い発熱素子冷却用モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上述した従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、受熱プレートと放熱プレートを熱移動デバイスで熱的に接続し、放熱プレートの一方の面にヒートシンクを、他方の面に熱電冷却素子を熱的に接続し、更に熱電冷却素子の放熱面に別のヒートシンクを熱的に接続することによって、熱電冷却素子で吸熱する熱量を小さくすることができ、それに伴って、熱電冷却素子の消費電力を低く抑制しながら所定の温度差を得ることができることができることが判明した。その結果、ヒートシンクの小型化・ファンノイズの減少が可能になり、モジュールの小型化ができることが判明した。更に、受熱プレートと放熱プレートをヒートパイプ・水冷ポンプ等の熱移動デバイスで熱的に接続するので、放熱プレートを自在に配置でき、モジュールの設計の自由度が増大することが判明した。
【0012】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の発熱素子冷却用モジュールの第1の態様は、少なくとも1つの発熱素子に熱的に接続された受熱プレートと、前記受熱プレートに一方の端部が熱的に接続され、他方の端部が放熱プレートに熱的に接続される熱移動デバイスと、前記放熱プレートの一方の面にその一方の面が熱的に接続される熱電冷却素子と、前記放熱プレートの他方の面に熱的に接続される第1のヒートシンクと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクとを備えた発熱素子冷却用モジュールである。
【0013】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第2の態様は、前記熱移動デバイスがヒートパイプからなっている発熱素子冷却用モジュールである。
【0014】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第3の態様は、前記熱移動デバイスが冷媒を強制的に循環させることにより熱を輸送する強制循環デバイスからなっている発熱素子冷却用モジュールである。
【0015】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第4の態様は、一方の端部の一方の面に、少なくとも1つの発熱素子が熱的に接続され、他方の端部の一方の面に熱電冷却素子の一方の面が熱的に接続され、他方の端部の他方の面に第1のヒートシンクが熱的に接続される受熱・放熱プレートと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクを備えた発熱素子冷却用モジュールである。
【0016】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第5の態様は、前記放熱プレート、前記熱電冷却素子、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクが、前記受熱プレートと概ね直交するように配置されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0017】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第6の態様は、前記放熱プレート、前記熱電冷却素子、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクが、前記受熱プレートと概ね平行に配置されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0018】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第7の態様は、前記受熱プレートに第3のヒートシンクが更に熱的に接続されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0019】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第8の態様は、前記第1のヒートシンクが前記放熱プレートまたは前記受熱・放熱プレートにカシメ固定された複数のフィンプレートからなっている発熱素子冷却用モジュールである。
【0020】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第9の態様は、前記第2のヒートシンクがベースプレートおよびフィンプレートからなっており、前記フィンプレートが前記ベースプレートにカシメ固定されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0021】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第10の態様は、前記第3のヒートシンクが前記受熱プレートにカシメ固定された複数のフィンプレートからなっている発熱素子冷却用モジュールである。
【0022】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第11の態様は、前記熱移動デバイスが前記受熱プレートにカシメ固定されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0023】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第12の態様は、前記熱移動デバイスが前記放熱プレートにカシメ固定されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0024】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第13の態様は、前記受熱プレートにマイクロチャンネルが設けられており、前記強制循環デバイスによって、前記マイクロチャンネル内で沸騰、蒸発した冷却液が気相状態で前記放熱プレートに移動し、前記放熱プレートにおいて液相に戻って前記受熱プレートに環流する発熱素子冷却用モジュールである。
【発明の効果】
【0025】
発熱源からの熱の一部を放熱ヒートシンクから直接放熱するために、TECで吸熱するべき熱量が小さくなるために、TECで得られる見かけ上の負の熱抵抗の絶対値を大きくすることが可能となるために、放熱モジュール全体の熱抵抗を小さくすることが可能となった。TECで吸熱するべき熱量が小さくなるので、従来に比べてTECの消費電力を低く抑えながら、所用のTECの温度差を得ることが可能となった。
TECの消費電力を低く抑えられるため、電源容量の小さい電源でも駆動が可能であり、小型のシステムでも適用が可能となった。TECの消費電力を低く抑えられるため、TECの放熱面に取り付けられる放熱ヒートシンクを小型化でき、モジュールの小型化が可能となった。TECの消費電力を低く抑えられるため、小型のファンでも冷却が可能となり、小型スペースのシステムでも適用が可能となった。また、ファンノイズを小さく抑えることが可能となった。
放熱部を自由に配置できるので、熱源近くに十分な領域がない場合には、熱源からはなれた場所で十分なスペースのある部分に、放熱部を設置することが可能となった。即ち、放熱モジュールの設計の自由度が増した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明の発熱素子冷却用モジュールを図面を参照しながら説明する。
図1は、動作係数COP(熱源からの熱/TEC駆動力)とTEC両面の温度差の関係を示す図である。図1(a)はCOPとTEC両面の温度差の理論値を示すグラフである。図1(b)はCOP=3のときの実験値を示すグラフである。
COPとTEC両面の温度差の理論値を示すグラフは、”Extending the limits of air cooling with thermoelectrically enhanced heat inks”, Jim Bierchenk et. al., 2004 Inter Society Conference on Thermal Phenomena proceeding, pp 679-681, 2004 “に示されている。
【0027】
図1(a)に示すように、COPが決まるとTECの両端における温度差が決まる。即ち、発熱量の大きな熱源を冷却する場合には、TECに大きな温度差が必要となるために、TECの駆動力を大きくする必要がある。図1(b)に示すように、熱源の発熱量が変化しても、COPが決まるとTECの両端における温度差が決まることが実証されている。COP=3のとき温度差は概ね12℃で一定となっている。図中、CFM(Cubic Feet per Minutes)は冷却風流量を示す。
【0028】
上述したように、TECにより得られる負の熱抵抗によって放熱モジュール全体の熱抵抗を下げる方法が一般に知られている。即ち、下式の関係が成り立つ。
放熱モジュールの熱抵抗=均熱・熱輸送デバイスの熱抵抗+TECで得られる負の熱抵抗+放熱ヒートシンクの熱抵抗
【0029】
図1に示すように、TECの吸熱量と駆動電力の比で表されるCOPを一定とした場合、TECの高温側と低温側の間にできる温度差は一定となるが、CPU発熱量が増大すると、TECで得られる見かけの負の熱抵抗の絶対値が小さくなるので、放熱モジュール全体の熱抵抗を下げるためには均熱・熱輸送デバイスの熱抵抗と放熱ヒートシンクの熱抵抗を小さくするか、TECの駆動電力を大きくする必要がある。
【0030】
従来の方法では、熱抵抗の小さい均熱・熱輸送デバイスを実現するには、蒸発部の内部構造などを複雑にする必要があり、技術的に困難である。更に、熱抵抗の小さい放熱ヒートシンクを実現するには、伝熱面積を大きくする必要があり、冷却モジュールが大型化する。また重量も増加する。更に、熱抵抗の小さい放熱ヒートシンクを実現するには、冷却風量を大きくするために、大型のファンを利用する必要があり、小型のシステムには適用が困難となる。あるいは、小型で高風量のファンの利用を考えた場合には、ファンのノイズが大きくなるという問題が生じる。
【0031】
更に、TECの温度差を大きくとる場合には、TECの消費電力を増加させるために、大きな容量の大型の電源を利用する必要があり、小型のシステムには適用が困難になる。また、大きな容量の電源は、それ自体の放熱のために、大きな冷却ファン、ヒートシンクを使用する必要があるので、システムが大型化する。さらに、熱源からの熱量とTECの駆動電力の和で現されるTECの高温側からの放熱量も大きくなるため、その冷却に大型のヒートシンクが必要となってしまう。
【0032】
この発明においては、上述した従来の方法と異なり、受熱プレートと放熱プレートを熱移動デバイスで熱的に接続し、放熱プレートの一方の面にヒートシンクを、他方の面に熱電冷却素子を熱的に接続し、更に熱電冷却素子の放熱面に別のヒートシンクを熱的に接続することによって、熱電冷却素子(TEC)で吸熱する熱量を小さくしている。
【0033】
即ち、この発明の発熱素子冷却用モジュールの1つの態様は、少なくとも1つの発熱素子に熱的に接続された受熱プレートと、前記受熱プレートに一方の端部が熱的に接続され、他方の端部が放熱プレートに熱的に接続される熱移動デバイスと、前記放熱プレートの一方の面にその一方の面が熱的に接続される熱電冷却素子と、前記放熱プレートの他方の面に熱的に接続される第1のヒートシンクと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクとを備えた発熱素子冷却用モジュールである。
【0034】
図2は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの1つの態様を説明する模式図である。図2に示すように、この発明の発熱素子冷却用モジュール1は、基板11に搭載された発熱素子2に熱的に接続された受熱プレート3、一方の端部が受熱プレートに熱的に接続され他方の端部が放熱プレート5に熱的に接続された熱移動デバイス(この態様では、ヒートパイプ)4、放熱プレート5の一方の面に熱的に接続された熱電冷却素子(TEC)6、放熱プレートの他方の面に熱的に接続された第1のヒートシンク7、熱電冷却素子(TEC)の他方の面に熱的に接続された第2のヒートシンクを備えている。第1のヒートシンク7は、放熱プレート5にカシメ固定された複数のフィンプレート7からなっている。第2のヒートシンク8は、ベースプレート10およびフィンプレート9からなっており、フィンプレートがベースプレートにカシメ固定されている。第1のヒートシンクも第2のヒートシンクと同様にベースプレートおよびフィンプレートからなっていてもよい。
【0035】
図2に示す態様においては、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが、受熱プレートと概ね直交するように配置されている。即ち、受熱プレートが水平方向に配置され、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが垂直方向に配置されている。ヒートパイプによって受熱プレートから離隔した所望に位置に移動することができる。
【0036】
図3は、図1に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールによる発熱源(発熱素子)からの熱の流れを示す図である。図3に矢印で示すように、発熱素子から受熱プレートに伝わった熱は、ヒートパイプによって符号12で示すように放熱プレートに移動される。放熱プレートに移動した熱は放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって符号13で示すように放熱される。図示しないが第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクにはファンが備えられ強制空冷されていてもよい。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)10の吸熱面が熱的に接続され、符号14で示すように放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には符号16で示すように駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて、符号15で示すように放熱される。
【0037】
例えば、発熱素子の熱量を150Wとし、COP=2とすると、TECの駆動力は75Wであり、TECの高温側と低温側の温度差が20℃となる。従来の発想では、第1のヒートシンクを使用しないので、冷却能力を高めるためにはTECの能力を高めることが行われていた(即ち、符号15で示すTEC側のみの放熱が行われる)。従って150W+75W=225Wを放熱していた。一方、この発明によると、第1のヒートシンクを使用するので、符号15で示すTEC側の放熱量を小さくすることができる。例えば、TECの駆動力を1/2以下の37Wに低下させることができ、150W+37W=187Wを放熱すればよい。その結果、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクの放熱フィンを小さくすることができ、小型化が可能になる。
【0038】
なお、第1のヒートシンクを主とし、熱電冷却素子(TEC)+第2のヒートシンクを副とするとき、主副間の放熱量は、適宜設定することができ、例えば主:副=1:1としてもよい。
【0039】
図4は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが、受熱プレートと概ね平行になるように配置されている。即ち、受熱プレートが水平方向に配置され、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが水平方向に配置されている。例えば、第1のヒートシンクを発熱素子が搭載された1つの共通の基板上に配置することができる。この態様においても、ヒートパイプによって受熱プレートから離隔した所望に位置に移動することができる。
【0040】
図4に示すように、この発明の発熱素子冷却用モジュール1は、基板11に搭載された発熱素子2に熱的に接続された受熱プレート3、一方の端部が受熱プレートに熱的に接続され他方の端部が放熱プレート5に熱的に接続された熱移動デバイス(この態様では、ヒートパイプ)4、放熱プレート5の一方の面(即ち、上面)に熱的に接続された熱電冷却素子(TEC)6、放熱プレートの他方の面(即ち、下面)に熱的に接続された第1のヒートシンク7、熱電冷却素子(TEC)の他方の面に熱的に接続された第2のヒートシンクを備えている。第1のヒートシンク7は、基板11上に配置されており、放熱プレート5にカシメ固定された複数のフィンプレート7からなっている。第2のヒートシンク8は、ベースプレート10およびフィンプレート9からなっており、フィンプレートがベースプレートにカシメ固定されている。第1のヒートシンクも第2のヒートシンクと同様にベースプレートおよびフィンプレートからなっていてもよい。
【0041】
図4に示す態様における、発熱素子冷却用モジュールによる発熱源(発熱素子)からの熱の流れは、図3を参照して説明したのと概ね同一である。即ち、発熱素子から受熱プレートに伝わった熱は、ヒートパイプによって符号12で示すように放熱プレートに移動される。放熱プレートに移動した熱は放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって符号13で示すように放熱される。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続され、符号14で示すように放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には符号16で示すように駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて、符号15で示すように放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。
【0042】
図5は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、図4を参照して説明した発熱素子冷却用モジュール1の受熱プレート3に更に第3のヒートシンク20が熱的に接続されている。即ち、図5に示すように、受熱プレートに伝わった発熱素子2の熱は、一部が第3のヒートシンク20によって直接放熱され、主力はヒートパイプ4によって放熱プレート5に移動される。放熱プレートに移動された熱は、放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって放熱される。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続されて、放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。この態様においても、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが、受熱プレートと概ね平行になるように配置されている。即ち、受熱プレートが水平方向に配置され、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが水平方向に配置されている。
【0043】
図6は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、図2を参照して説明した発熱素子冷却用モジュール1の受熱プレート3に更に第3のヒートシンク20が熱的に接続されている。即ち、図6に示すように、受熱プレートに伝わった発熱素子2の熱は、一部が第3のヒートシンク20によって直接放熱され、主力はヒートパイプ4によって放熱プレート5に移動される。放熱プレートに移動された熱は、放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって放熱される。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続されて、放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。
【0044】
この態様においては、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが、受熱プレートと概ね直交するように配置されている。即ち、受熱プレートが水平方向に配置され、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが垂直方向に配置されている。
【0045】
図7は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、図4を参照して説明した態様におけるヒートパイプの代わりに、熱移動デバイスとして冷媒を強制的に循環させることにより熱を輸送する強制循環デバイス、例えば、水冷ポンプおよび循環路を使用している。即ち、図7に示すように、受熱プレート3と放熱プレートの間に、その内部を冷却液が移動する循環路を備えている。循環路は柔軟性の高いパイプ等によって形成されている。受熱プレートには例えばマイクロチャンネルが設けられる場合には、発熱素子の熱によってマイクロチャンネル内の冷却液が蒸発し、蒸気の状態で放熱プレートに移動し、放熱プレートにおいて凝縮して液体に戻って、ポンプによって受熱プレートに環流する。
【0046】
この態様においても、図3を参照して説明したと同様に、放熱プレートに移動した熱は放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって放熱される。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続され、放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて、放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。
【0047】
図8は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、図4を参照して説明した態様におけるヒートパイプの代わりに、熱移動デバイスとして受熱・放熱プレート25を使用している。即ち、受熱プレートと放熱プレートが一体となっており、熱伝導性に優れた材料で形成されている。図8に示すように、発熱素子の熱が受熱・放熱プレートの受熱部分25−1に移動し、受熱・放熱プレートの材料中を熱が放熱部分25−2に移動する。
【0048】
この態様においても、図3を参照して説明したと同様に、放熱部25−2に移動した熱は放熱部の一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンク7によって放熱される。放熱部25−2の他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続され、放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)6には駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンク8のベースプレートが熱的に接続されて、放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。
図7および図8に示した態様においても、更に、受熱プレート、受熱部に第3のヒートシンクを熱的に接続してもよい。
【0049】
次に、条件を変化させながら、TEC投入電力と熱抵抗の関係を調査した。即ち、図4に示す発熱素子冷却用モジュールから第1のヒートシンクを取り除きTECおよび第2のヒートシンクのみを取り付けた場合、図4に示す発熱素子冷却用モジュールの第1のヒートシンクのフィンの長さを変化させた場合、TECを使用しないで、放熱プレートの両面にヒートシンクを取り付けた場合において、TEC投入電力と、放熱部の熱抵抗の関係を調査した。その結果を、図9に示す。図9から明らかなように、TECを使用しないとき、(1)の線で示すように熱抵抗0.073(℃/W)で一定である。第1のヒートシンクを用いない場合は、(2)の線で示すように、TEC投入電力を大きくするに伴って熱抵抗が小さくなっているが、TEC投入電力35Wまでは熱抵抗が0.073(℃/W)よりも大きい。これに対して、この発明の発熱素子冷却用モジュールでは、フィンの長さの変化にかかわらず、TEC投入電力が25Wのときでも、TECを使用しない場合に比べて、熱抵抗が大きく低下していることがわかる。フィンの長さが30mmのときには、TEC投入電力が25Wのとき、最大0.03(℃/W)低下している。
【0050】
上述したところから明らかなように、この発明の発熱素子冷却用モジュールによると、TEC駆動力を低くしながら、冷却性能を高めることができる。
次に、この発明の発熱素子冷却用モジュールを実施例によって更に詳細に説明する。
実施例1
【0051】
図2に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、実装基板に取り付けられたCPUなどの発熱源に、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成された受熱プレートが取り付けられている。受熱プレートには、所要の孔が設けられており、その孔にヒートパイプなどの熱抵抗の小さい熱輸送デバイスの一端が、熱的に接続して固定されている。
【0052】
ヒートパイプの他の一端側は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成された放熱プレートに設けられた所要の径の孔に、熱的に接続して固定されている。受熱プレートおよび放熱プレートへのヒートパイプの固定は、ハンダ付け、カシメ等の方法で行われる。
放熱プレートの一方の面には、銅またはアルミニウムなどの熱伝導率の高い材料で形成された第1のヒートシンクが取り付けられている。第1のヒートシンクとしては、放熱プレートに複数のフィンプレートをハンダ接合したものでもよいし、放熱プレートに複数のフィンプレートをカシメ固定してもよい。
【0053】
放熱プレートの他方の面には、TECの吸熱面が熱的に接続している。TECの接続方法として、熱伝導グリスなどを利用する方法、インジウムなどの降伏応力が低くかつ熱伝導の高い金属箔を利用する方法や、TECをハンダ付けする方法などが考えられる。
【0054】
TECの放熱面には、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で構成される第2のヒートシンクが熱的に接続している。TECと第2のヒートシンクとの接続方法として、熱伝導グリスなどを利用する方法、インジウムなどの降伏応力が低くかつ熱伝導の高い金属箔を利用する方法や、TECをハンダ付けする方法などが考えられる。
【0055】
次にこの発明の発熱素子冷却用モジュールについて、更に具体的に説明する。発熱素子冷却用モジュールの重量を軽減するために、50mm×90mmで厚さが7.0mmのアルミニウム製の受熱プレートにφ6 mmの孔を4つ設けて、その孔に、各々φ6mmのヒートパイプ(合計4本)を挿入し、カシメ固定した。カシメの方法としては、厚さ1mm 幅3mmの金属製のプレート治具に2000 kgfの力をかけることによって行った。
【0056】
ヒートパイプは半径18mmで90 °に曲げられており、受熱プレートと放熱プレートが直角に配置されている。
また放熱プレートは80 mm×80 mm×8.5 mmのアルミ板を利用し、放熱プレートに設けられた4個のφ6mmの孔に、それぞれヒートパイプを挿入し、カシメ固定させた。放熱プレートの一方の面には、高さ 22 mm、長さ80 mmで厚さが0.3 mmの銅製のフィンプレートを、1.5mmピッチで52枚をカシメ固定することによって、第1のヒートシンクを取り付けた。
【0057】
放熱プレートへのヒートパイプ、フィンプレートのカシメ固定は同時に行われ、ヒートパイプを該当する孔に挿入した放熱プレートに設けられた溝に、フィンプレートを差込んで、フィンプレートカシメ治具を利用し、2000kgfの力を加えることによって、フィンプレートを1枚ずつカシメ固定した。
放熱プレートの他方の面には、40 mm x 40 mmで厚さが3.2 mmのTEC4枚の吸熱面を、熱伝導グリスを介在して取り付けた。
【0058】
TECの放熱面側には、80 mm×80 mmで厚さが3mmのアルミベースに、高さ 43 mm、長さ80 mmで厚さが0.3 mmの銅製のフィンプレートを、1.5mmピッチで52枚をカシメ固定することによって形成された第2のヒートシンクを、熱伝導グリスを介在して取り付けた。
第2のヒートシンクは、4本のネジを利用し、TECを介して放熱プレートに固定させた。
【0059】
このように形成したこの発明の発熱素子冷却用モジュールによると、発熱源からの熱の流れは図3に示した通りとなり、発熱源からの熱の一部を第1のヒートシンクにて放熱するために、TECで吸熱される熱を、従来のモジュールに比べて小さくすることが可能となる。
例えば、発熱源の熱を150Wとした場合、従来の構成ではTECで12 ℃の温度差を得るためには、COP=3とすることが必要であるので、50 WでTECを動作させることが必要になる。一方TECの放熱面からは熱源の熱とTECの駆動電力の和で現される熱量200Wを放熱する必要があり、これに対応した放熱面積を持つ放熱ヒートシンクを取り付ける必要がある。
【0060】
しかし、上述したこの発明の発熱素子冷却用モジュールでは、第1のヒートシンクで放熱される熱量が75Wとなるように設計しているので、TECで吸熱される熱量は75 Wにすることができる。この場合、同じ温度差12 ℃を得るためには、COP=3とするので、TECの駆動電力は25Wに減少させることが可能となる。よって、TECの放熱面に取り付けるヒートシンクは100Wの放熱に対応したものでよくなる。すなわち、放熱部に必要なヒートシンクは直接放熱される分75WとTECの放熱100Wに対応したヒートシンクであれば十分なので、合計175Wの放熱に対応する放熱面積をもつヒートシンクで十分である。
【0061】
ここで、冷却風流速、冷却風温度が同じである場合、必要なヒートシンクの放熱面積は、おおむねヒートシンクの放熱量に比例するために、本発明によると、175 W/ 200W=0.875となり、従来の88%の面積で十分な放熱が可能となり、放熱モジュールの小型化も可能となる。
実施例2
【0062】
図4に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、図2に示す発熱素子冷却用モジュールと概ね同一であるが、受熱プレートと放熱プレートが平行配置されたものである。この図では、第1のヒートシンクが下側に配置されているが、第1のヒートシンクが上側、第2のヒートシンクが下側に配置されてもよい。
また、図5に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、受熱プレートと放熱プレートを平行配置として、さらに受熱プレート側にも、第3のヒートシンクを取り付けたものである。第3のヒートシンクは、所定の寸法のフィンプレートをハンダによる接合、カシメ固定などされている。このようにすることにより、TECで必要な吸熱量をさらに、小さくすることができるために、TECの消費電力をさらに低減させることができる。
さらに、図6に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、は受熱プレートと放熱プレートを垂直配置として、さらに受熱プレート側にも、第3のヒートシンクを取り付けたものである。発熱源の上部に大きなスペースが取れる場合には、このように形成することによって、TECの消費電力を低減させ、かつフットプリントサイズの小さいヒートシンクの構成が可能となる。
また、図7に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、受熱プレートと放熱プレートを柔軟性の高いパイプで接続し、ポンプで液体を循環させる構成とした例である。なお、この図では記載されていないが、受熱プレートに第3のヒートシンクを取り付けた構成としてもよい。
【0063】
上述したように、この発明によると、発熱源からの熱の一部を放熱ヒートシンクから直接放熱するために、TECで吸熱するべき熱量が小さくなる。その結果、TECで得られる見かけ上の負の熱抵抗の絶対値を大きくすることが可能となるために、放熱モジュールの熱抵抗を小さくすることができる。更に、TECの消費電力を低く抑えながら、所用の温度差を得ることができる。電源容量の小さい電源でも駆動が可能であり、小型のシステムでも適用が可能となった。TECの放熱面に取り付けられる放熱ヒートシンクを小型化でき、モジュールの小型化ができる。TECの消費電力を低く抑えられるため、小型のファンでも冷却が可能となり、小型スペースのシステムでも適用が可能となった。また、ファンノイズを小さく抑えることが可能となった。放熱部を自由に配置できるので、熱源近くに十分な領域がない場合には、熱源からはなれた場所で十分なスペースのある部分に、放熱部を設置することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明によると、熱電冷却素子(TEC)が吸熱する熱量を小さくして、消費電力を小さくすることが可能で、且つ、ファンノイズの小さい、小型システムにも適用でき、且つ、設計の自由度の高い発熱素子冷却用モジュールを提供することができ、産業上利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、COP(熱源からの熱/TEC駆動力)とTEC両面の温度差の関係を示す図である。
【図2】図2は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの1つの態様を説明する模式図である。
【図3】図3は、図1に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールによる発熱源(発熱素子)からの熱の流れを示す図である。
【図4】図4は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図5】図5は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図6】図6は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図7】図7は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図8】図8は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図9】図9は、TEC投入電力と熱抵抗の関係を示すグラフである。
【図10】図10は、従来のモジュールを示す図である。
【図11】図11は、従来のモジュールの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 この発明の発熱素子冷却用モジュール
2 発熱素子
3 受熱プレート
4 ヒートパイプ
5 放熱プレート
6 熱電冷却素子(TEC)
7 第1のヒートシンク
8 第2のヒートシンク
9 フィンプレート
10 ベースプレート
11 基板
20 第3のヒートシンク
【技術分野】
【0001】
本発明はペルチェクーラ等の熱電冷却素子(TEC(Thermo Electric Cooler))を使用した、半導体素子などの発熱素子の冷却用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス機器は、マイクロプロセッサ等の高出力、高集積の部品を内蔵している。マイクロプロセッサは、集積度が極めて高くなり、高速で演算、制御等の処理を行うので、多量の熱を放出する。高出力かつ高集積の部品であるチップ等を冷却するために、各種の冷却システムが提案されてきた。その代表的な冷却システムの1つとして、ヒートパイプ、ペルチェ素子がある。
【0003】
ヒートパイプの内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。密封された空洞部を備え、その空洞部に収容された作動流体の相変態と移動により熱の移動が行われるヒートパイプの作動の詳細は次の通りである。
【0004】
ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイプを構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱を潜熱として吸収して、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は凝縮して潜熱を放出するとともに、再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によって熱の移動が行われる。
【0005】
更に、近年、高速信号を処理する半導体素子は、発熱量が益々高くなり、上述したヒートパイプのみでは十分に冷却することが出来なくなっている。発熱量が高い素子の冷却に、素子に直接熱電冷却素子例えばペルチェ素子が組み合わされた冷却装置が提案されている。
一般に、2種の導体A、Bを接続し、温度一定で電流を流すと、導体A、Bの接点で熱の発生または吸収がある。これをペルチェ効果という。この原理を利用したものにペルチェ素子がある。即ち、熱電素子であるp型半導体エレメントとn型半導体エレメントとを並列に交互に並べ、各半導体エレメントの両端部には電極が配置されている。各半導体エレメントの両端部と電極とは、はんだによって接合されている。p型半導体エレメント、n型半導体エレメントとは、交互に電極を介して、電気的に直列に接合されている。
【0006】
更に、電極と、熱電素子であるp型半導体エレメントおよびn型半導体とによって形成される電気回路を外部から電気的に絶縁するために、1対の電気絶縁性基板が電極のそれぞれの外側に設けられ、電極と電気絶縁性基板とは、はんだによって接合されている。このように、ペルチェ素子は、電極、p型半導体エレメントおよびn型半導体エレメントによって形成される電気回路が、2枚の電気絶縁性基板によって挟み込まれた構造を形成している。上述したペルチェ素子によって、一方の電気絶縁性基板側の熱が他方の電気絶縁性基板側に移動され、電気絶縁性基板側が冷却される。
【0007】
従来、例えば、特開2004−071969号公報に開示されている(図10参照)ように、受熱・均熱デバイスで発熱源の熱を広げてから、ペルチェ素子へ入熱し、ペルチェ素子の低温側を受熱・均熱デバイスに取り付けて、ペルチェ素子の高温側に銅製の放熱用ヒートシンクを取り付ける方法が一般的に行われていた。即ち、図11に示すように、従来の冷却デバイス100においては、発熱源103に受熱・均熱デバイス101を熱的に接続し、熱電冷却素子102の冷却面が受熱・均熱デバイス101に接続され、熱電冷却素子102の放熱面がヒートシンク103に接続される。
【特許文献1】特開2004−071969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発熱源(例えば、CPU)の発熱量が増大すると、ペルチェ素子(TEC)で十分な吸熱性能が得られず、冷却モジュールの熱抵抗が上昇してしまう。即ち、ヒートシンクと冷却空気の温度差を大きくすることが困難であり、冷却性能を向上させることが困難であった。例えば発熱源が120Wのとき必要な温度差は15℃であるが、現在の容易に入手可能なペルチェ素子では温度差を12℃とするのがやっとの状態である。受熱・均熱デバイスの均熱抵抗が0.10K/Wのとき、CPUの発熱量が120Wを超えると、熱電冷却素子では冷却することが困難となってくる。
【0009】
更に、熱伝導グリスを利用して、従来の冷却デバイスの各コンポーネントを熱的に接続させる方法などが一般的である。熱伝導グリスの厚さを管理することが困難であり、各コンポーネント間の接触熱抵抗のばらつきが大きくなり、グリスの厚さが厚い場合には、冷却モジュール全体の熱抵抗が高くなってしまう。
【0010】
従って、この発明の目的は、熱電冷却素子が吸熱する熱量を小さくして、消費電力を小さくすることが可能で、且つ、ファンノイズの小さい、小型システムにも適用でき、且つ、設計の自由度の高い発熱素子冷却用モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上述した従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、受熱プレートと放熱プレートを熱移動デバイスで熱的に接続し、放熱プレートの一方の面にヒートシンクを、他方の面に熱電冷却素子を熱的に接続し、更に熱電冷却素子の放熱面に別のヒートシンクを熱的に接続することによって、熱電冷却素子で吸熱する熱量を小さくすることができ、それに伴って、熱電冷却素子の消費電力を低く抑制しながら所定の温度差を得ることができることができることが判明した。その結果、ヒートシンクの小型化・ファンノイズの減少が可能になり、モジュールの小型化ができることが判明した。更に、受熱プレートと放熱プレートをヒートパイプ・水冷ポンプ等の熱移動デバイスで熱的に接続するので、放熱プレートを自在に配置でき、モジュールの設計の自由度が増大することが判明した。
【0012】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の発熱素子冷却用モジュールの第1の態様は、少なくとも1つの発熱素子に熱的に接続された受熱プレートと、前記受熱プレートに一方の端部が熱的に接続され、他方の端部が放熱プレートに熱的に接続される熱移動デバイスと、前記放熱プレートの一方の面にその一方の面が熱的に接続される熱電冷却素子と、前記放熱プレートの他方の面に熱的に接続される第1のヒートシンクと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクとを備えた発熱素子冷却用モジュールである。
【0013】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第2の態様は、前記熱移動デバイスがヒートパイプからなっている発熱素子冷却用モジュールである。
【0014】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第3の態様は、前記熱移動デバイスが冷媒を強制的に循環させることにより熱を輸送する強制循環デバイスからなっている発熱素子冷却用モジュールである。
【0015】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第4の態様は、一方の端部の一方の面に、少なくとも1つの発熱素子が熱的に接続され、他方の端部の一方の面に熱電冷却素子の一方の面が熱的に接続され、他方の端部の他方の面に第1のヒートシンクが熱的に接続される受熱・放熱プレートと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクを備えた発熱素子冷却用モジュールである。
【0016】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第5の態様は、前記放熱プレート、前記熱電冷却素子、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクが、前記受熱プレートと概ね直交するように配置されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0017】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第6の態様は、前記放熱プレート、前記熱電冷却素子、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクが、前記受熱プレートと概ね平行に配置されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0018】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第7の態様は、前記受熱プレートに第3のヒートシンクが更に熱的に接続されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0019】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第8の態様は、前記第1のヒートシンクが前記放熱プレートまたは前記受熱・放熱プレートにカシメ固定された複数のフィンプレートからなっている発熱素子冷却用モジュールである。
【0020】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第9の態様は、前記第2のヒートシンクがベースプレートおよびフィンプレートからなっており、前記フィンプレートが前記ベースプレートにカシメ固定されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0021】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第10の態様は、前記第3のヒートシンクが前記受熱プレートにカシメ固定された複数のフィンプレートからなっている発熱素子冷却用モジュールである。
【0022】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第11の態様は、前記熱移動デバイスが前記受熱プレートにカシメ固定されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0023】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第12の態様は、前記熱移動デバイスが前記放熱プレートにカシメ固定されている発熱素子冷却用モジュールである。
【0024】
この発明の発熱素子冷却用モジュールの第13の態様は、前記受熱プレートにマイクロチャンネルが設けられており、前記強制循環デバイスによって、前記マイクロチャンネル内で沸騰、蒸発した冷却液が気相状態で前記放熱プレートに移動し、前記放熱プレートにおいて液相に戻って前記受熱プレートに環流する発熱素子冷却用モジュールである。
【発明の効果】
【0025】
発熱源からの熱の一部を放熱ヒートシンクから直接放熱するために、TECで吸熱するべき熱量が小さくなるために、TECで得られる見かけ上の負の熱抵抗の絶対値を大きくすることが可能となるために、放熱モジュール全体の熱抵抗を小さくすることが可能となった。TECで吸熱するべき熱量が小さくなるので、従来に比べてTECの消費電力を低く抑えながら、所用のTECの温度差を得ることが可能となった。
TECの消費電力を低く抑えられるため、電源容量の小さい電源でも駆動が可能であり、小型のシステムでも適用が可能となった。TECの消費電力を低く抑えられるため、TECの放熱面に取り付けられる放熱ヒートシンクを小型化でき、モジュールの小型化が可能となった。TECの消費電力を低く抑えられるため、小型のファンでも冷却が可能となり、小型スペースのシステムでも適用が可能となった。また、ファンノイズを小さく抑えることが可能となった。
放熱部を自由に配置できるので、熱源近くに十分な領域がない場合には、熱源からはなれた場所で十分なスペースのある部分に、放熱部を設置することが可能となった。即ち、放熱モジュールの設計の自由度が増した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明の発熱素子冷却用モジュールを図面を参照しながら説明する。
図1は、動作係数COP(熱源からの熱/TEC駆動力)とTEC両面の温度差の関係を示す図である。図1(a)はCOPとTEC両面の温度差の理論値を示すグラフである。図1(b)はCOP=3のときの実験値を示すグラフである。
COPとTEC両面の温度差の理論値を示すグラフは、”Extending the limits of air cooling with thermoelectrically enhanced heat inks”, Jim Bierchenk et. al., 2004 Inter Society Conference on Thermal Phenomena proceeding, pp 679-681, 2004 “に示されている。
【0027】
図1(a)に示すように、COPが決まるとTECの両端における温度差が決まる。即ち、発熱量の大きな熱源を冷却する場合には、TECに大きな温度差が必要となるために、TECの駆動力を大きくする必要がある。図1(b)に示すように、熱源の発熱量が変化しても、COPが決まるとTECの両端における温度差が決まることが実証されている。COP=3のとき温度差は概ね12℃で一定となっている。図中、CFM(Cubic Feet per Minutes)は冷却風流量を示す。
【0028】
上述したように、TECにより得られる負の熱抵抗によって放熱モジュール全体の熱抵抗を下げる方法が一般に知られている。即ち、下式の関係が成り立つ。
放熱モジュールの熱抵抗=均熱・熱輸送デバイスの熱抵抗+TECで得られる負の熱抵抗+放熱ヒートシンクの熱抵抗
【0029】
図1に示すように、TECの吸熱量と駆動電力の比で表されるCOPを一定とした場合、TECの高温側と低温側の間にできる温度差は一定となるが、CPU発熱量が増大すると、TECで得られる見かけの負の熱抵抗の絶対値が小さくなるので、放熱モジュール全体の熱抵抗を下げるためには均熱・熱輸送デバイスの熱抵抗と放熱ヒートシンクの熱抵抗を小さくするか、TECの駆動電力を大きくする必要がある。
【0030】
従来の方法では、熱抵抗の小さい均熱・熱輸送デバイスを実現するには、蒸発部の内部構造などを複雑にする必要があり、技術的に困難である。更に、熱抵抗の小さい放熱ヒートシンクを実現するには、伝熱面積を大きくする必要があり、冷却モジュールが大型化する。また重量も増加する。更に、熱抵抗の小さい放熱ヒートシンクを実現するには、冷却風量を大きくするために、大型のファンを利用する必要があり、小型のシステムには適用が困難となる。あるいは、小型で高風量のファンの利用を考えた場合には、ファンのノイズが大きくなるという問題が生じる。
【0031】
更に、TECの温度差を大きくとる場合には、TECの消費電力を増加させるために、大きな容量の大型の電源を利用する必要があり、小型のシステムには適用が困難になる。また、大きな容量の電源は、それ自体の放熱のために、大きな冷却ファン、ヒートシンクを使用する必要があるので、システムが大型化する。さらに、熱源からの熱量とTECの駆動電力の和で現されるTECの高温側からの放熱量も大きくなるため、その冷却に大型のヒートシンクが必要となってしまう。
【0032】
この発明においては、上述した従来の方法と異なり、受熱プレートと放熱プレートを熱移動デバイスで熱的に接続し、放熱プレートの一方の面にヒートシンクを、他方の面に熱電冷却素子を熱的に接続し、更に熱電冷却素子の放熱面に別のヒートシンクを熱的に接続することによって、熱電冷却素子(TEC)で吸熱する熱量を小さくしている。
【0033】
即ち、この発明の発熱素子冷却用モジュールの1つの態様は、少なくとも1つの発熱素子に熱的に接続された受熱プレートと、前記受熱プレートに一方の端部が熱的に接続され、他方の端部が放熱プレートに熱的に接続される熱移動デバイスと、前記放熱プレートの一方の面にその一方の面が熱的に接続される熱電冷却素子と、前記放熱プレートの他方の面に熱的に接続される第1のヒートシンクと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクとを備えた発熱素子冷却用モジュールである。
【0034】
図2は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの1つの態様を説明する模式図である。図2に示すように、この発明の発熱素子冷却用モジュール1は、基板11に搭載された発熱素子2に熱的に接続された受熱プレート3、一方の端部が受熱プレートに熱的に接続され他方の端部が放熱プレート5に熱的に接続された熱移動デバイス(この態様では、ヒートパイプ)4、放熱プレート5の一方の面に熱的に接続された熱電冷却素子(TEC)6、放熱プレートの他方の面に熱的に接続された第1のヒートシンク7、熱電冷却素子(TEC)の他方の面に熱的に接続された第2のヒートシンクを備えている。第1のヒートシンク7は、放熱プレート5にカシメ固定された複数のフィンプレート7からなっている。第2のヒートシンク8は、ベースプレート10およびフィンプレート9からなっており、フィンプレートがベースプレートにカシメ固定されている。第1のヒートシンクも第2のヒートシンクと同様にベースプレートおよびフィンプレートからなっていてもよい。
【0035】
図2に示す態様においては、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが、受熱プレートと概ね直交するように配置されている。即ち、受熱プレートが水平方向に配置され、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが垂直方向に配置されている。ヒートパイプによって受熱プレートから離隔した所望に位置に移動することができる。
【0036】
図3は、図1に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールによる発熱源(発熱素子)からの熱の流れを示す図である。図3に矢印で示すように、発熱素子から受熱プレートに伝わった熱は、ヒートパイプによって符号12で示すように放熱プレートに移動される。放熱プレートに移動した熱は放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって符号13で示すように放熱される。図示しないが第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクにはファンが備えられ強制空冷されていてもよい。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)10の吸熱面が熱的に接続され、符号14で示すように放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には符号16で示すように駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて、符号15で示すように放熱される。
【0037】
例えば、発熱素子の熱量を150Wとし、COP=2とすると、TECの駆動力は75Wであり、TECの高温側と低温側の温度差が20℃となる。従来の発想では、第1のヒートシンクを使用しないので、冷却能力を高めるためにはTECの能力を高めることが行われていた(即ち、符号15で示すTEC側のみの放熱が行われる)。従って150W+75W=225Wを放熱していた。一方、この発明によると、第1のヒートシンクを使用するので、符号15で示すTEC側の放熱量を小さくすることができる。例えば、TECの駆動力を1/2以下の37Wに低下させることができ、150W+37W=187Wを放熱すればよい。その結果、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクの放熱フィンを小さくすることができ、小型化が可能になる。
【0038】
なお、第1のヒートシンクを主とし、熱電冷却素子(TEC)+第2のヒートシンクを副とするとき、主副間の放熱量は、適宜設定することができ、例えば主:副=1:1としてもよい。
【0039】
図4は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが、受熱プレートと概ね平行になるように配置されている。即ち、受熱プレートが水平方向に配置され、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが水平方向に配置されている。例えば、第1のヒートシンクを発熱素子が搭載された1つの共通の基板上に配置することができる。この態様においても、ヒートパイプによって受熱プレートから離隔した所望に位置に移動することができる。
【0040】
図4に示すように、この発明の発熱素子冷却用モジュール1は、基板11に搭載された発熱素子2に熱的に接続された受熱プレート3、一方の端部が受熱プレートに熱的に接続され他方の端部が放熱プレート5に熱的に接続された熱移動デバイス(この態様では、ヒートパイプ)4、放熱プレート5の一方の面(即ち、上面)に熱的に接続された熱電冷却素子(TEC)6、放熱プレートの他方の面(即ち、下面)に熱的に接続された第1のヒートシンク7、熱電冷却素子(TEC)の他方の面に熱的に接続された第2のヒートシンクを備えている。第1のヒートシンク7は、基板11上に配置されており、放熱プレート5にカシメ固定された複数のフィンプレート7からなっている。第2のヒートシンク8は、ベースプレート10およびフィンプレート9からなっており、フィンプレートがベースプレートにカシメ固定されている。第1のヒートシンクも第2のヒートシンクと同様にベースプレートおよびフィンプレートからなっていてもよい。
【0041】
図4に示す態様における、発熱素子冷却用モジュールによる発熱源(発熱素子)からの熱の流れは、図3を参照して説明したのと概ね同一である。即ち、発熱素子から受熱プレートに伝わった熱は、ヒートパイプによって符号12で示すように放熱プレートに移動される。放熱プレートに移動した熱は放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって符号13で示すように放熱される。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続され、符号14で示すように放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には符号16で示すように駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて、符号15で示すように放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。
【0042】
図5は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、図4を参照して説明した発熱素子冷却用モジュール1の受熱プレート3に更に第3のヒートシンク20が熱的に接続されている。即ち、図5に示すように、受熱プレートに伝わった発熱素子2の熱は、一部が第3のヒートシンク20によって直接放熱され、主力はヒートパイプ4によって放熱プレート5に移動される。放熱プレートに移動された熱は、放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって放熱される。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続されて、放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。この態様においても、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが、受熱プレートと概ね平行になるように配置されている。即ち、受熱プレートが水平方向に配置され、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが水平方向に配置されている。
【0043】
図6は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、図2を参照して説明した発熱素子冷却用モジュール1の受熱プレート3に更に第3のヒートシンク20が熱的に接続されている。即ち、図6に示すように、受熱プレートに伝わった発熱素子2の熱は、一部が第3のヒートシンク20によって直接放熱され、主力はヒートパイプ4によって放熱プレート5に移動される。放熱プレートに移動された熱は、放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって放熱される。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続されて、放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。
【0044】
この態様においては、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが、受熱プレートと概ね直交するように配置されている。即ち、受熱プレートが水平方向に配置され、放熱プレート、熱電冷却素子(TEC)、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクが垂直方向に配置されている。
【0045】
図7は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、図4を参照して説明した態様におけるヒートパイプの代わりに、熱移動デバイスとして冷媒を強制的に循環させることにより熱を輸送する強制循環デバイス、例えば、水冷ポンプおよび循環路を使用している。即ち、図7に示すように、受熱プレート3と放熱プレートの間に、その内部を冷却液が移動する循環路を備えている。循環路は柔軟性の高いパイプ等によって形成されている。受熱プレートには例えばマイクロチャンネルが設けられる場合には、発熱素子の熱によってマイクロチャンネル内の冷却液が蒸発し、蒸気の状態で放熱プレートに移動し、放熱プレートにおいて凝縮して液体に戻って、ポンプによって受熱プレートに環流する。
【0046】
この態様においても、図3を参照して説明したと同様に、放熱プレートに移動した熱は放熱プレートの一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンクによって放熱される。放熱プレートの他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続され、放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)には駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンクのベースプレートが熱的に接続されて、放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。
【0047】
図8は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。この態様においては、図4を参照して説明した態様におけるヒートパイプの代わりに、熱移動デバイスとして受熱・放熱プレート25を使用している。即ち、受熱プレートと放熱プレートが一体となっており、熱伝導性に優れた材料で形成されている。図8に示すように、発熱素子の熱が受熱・放熱プレートの受熱部分25−1に移動し、受熱・放熱プレートの材料中を熱が放熱部分25−2に移動する。
【0048】
この態様においても、図3を参照して説明したと同様に、放熱部25−2に移動した熱は放熱部の一方の面に熱的に接続された第1のヒートシンク7によって放熱される。放熱部25−2の他方の面には熱電冷却素子(TEC)6の吸熱面が熱的に接続され、放熱面に移動する。この際、熱電冷却素子(TEC)6には駆動力が付与される。熱電冷却素子(TEC)の放熱面には第2のヒートシンク8のベースプレートが熱的に接続されて、放熱される。第1および第2のヒートシンクに伝わった熱は、ファンによって、所定の方向に放熱される。
図7および図8に示した態様においても、更に、受熱プレート、受熱部に第3のヒートシンクを熱的に接続してもよい。
【0049】
次に、条件を変化させながら、TEC投入電力と熱抵抗の関係を調査した。即ち、図4に示す発熱素子冷却用モジュールから第1のヒートシンクを取り除きTECおよび第2のヒートシンクのみを取り付けた場合、図4に示す発熱素子冷却用モジュールの第1のヒートシンクのフィンの長さを変化させた場合、TECを使用しないで、放熱プレートの両面にヒートシンクを取り付けた場合において、TEC投入電力と、放熱部の熱抵抗の関係を調査した。その結果を、図9に示す。図9から明らかなように、TECを使用しないとき、(1)の線で示すように熱抵抗0.073(℃/W)で一定である。第1のヒートシンクを用いない場合は、(2)の線で示すように、TEC投入電力を大きくするに伴って熱抵抗が小さくなっているが、TEC投入電力35Wまでは熱抵抗が0.073(℃/W)よりも大きい。これに対して、この発明の発熱素子冷却用モジュールでは、フィンの長さの変化にかかわらず、TEC投入電力が25Wのときでも、TECを使用しない場合に比べて、熱抵抗が大きく低下していることがわかる。フィンの長さが30mmのときには、TEC投入電力が25Wのとき、最大0.03(℃/W)低下している。
【0050】
上述したところから明らかなように、この発明の発熱素子冷却用モジュールによると、TEC駆動力を低くしながら、冷却性能を高めることができる。
次に、この発明の発熱素子冷却用モジュールを実施例によって更に詳細に説明する。
実施例1
【0051】
図2に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、実装基板に取り付けられたCPUなどの発熱源に、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成された受熱プレートが取り付けられている。受熱プレートには、所要の孔が設けられており、その孔にヒートパイプなどの熱抵抗の小さい熱輸送デバイスの一端が、熱的に接続して固定されている。
【0052】
ヒートパイプの他の一端側は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成された放熱プレートに設けられた所要の径の孔に、熱的に接続して固定されている。受熱プレートおよび放熱プレートへのヒートパイプの固定は、ハンダ付け、カシメ等の方法で行われる。
放熱プレートの一方の面には、銅またはアルミニウムなどの熱伝導率の高い材料で形成された第1のヒートシンクが取り付けられている。第1のヒートシンクとしては、放熱プレートに複数のフィンプレートをハンダ接合したものでもよいし、放熱プレートに複数のフィンプレートをカシメ固定してもよい。
【0053】
放熱プレートの他方の面には、TECの吸熱面が熱的に接続している。TECの接続方法として、熱伝導グリスなどを利用する方法、インジウムなどの降伏応力が低くかつ熱伝導の高い金属箔を利用する方法や、TECをハンダ付けする方法などが考えられる。
【0054】
TECの放熱面には、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で構成される第2のヒートシンクが熱的に接続している。TECと第2のヒートシンクとの接続方法として、熱伝導グリスなどを利用する方法、インジウムなどの降伏応力が低くかつ熱伝導の高い金属箔を利用する方法や、TECをハンダ付けする方法などが考えられる。
【0055】
次にこの発明の発熱素子冷却用モジュールについて、更に具体的に説明する。発熱素子冷却用モジュールの重量を軽減するために、50mm×90mmで厚さが7.0mmのアルミニウム製の受熱プレートにφ6 mmの孔を4つ設けて、その孔に、各々φ6mmのヒートパイプ(合計4本)を挿入し、カシメ固定した。カシメの方法としては、厚さ1mm 幅3mmの金属製のプレート治具に2000 kgfの力をかけることによって行った。
【0056】
ヒートパイプは半径18mmで90 °に曲げられており、受熱プレートと放熱プレートが直角に配置されている。
また放熱プレートは80 mm×80 mm×8.5 mmのアルミ板を利用し、放熱プレートに設けられた4個のφ6mmの孔に、それぞれヒートパイプを挿入し、カシメ固定させた。放熱プレートの一方の面には、高さ 22 mm、長さ80 mmで厚さが0.3 mmの銅製のフィンプレートを、1.5mmピッチで52枚をカシメ固定することによって、第1のヒートシンクを取り付けた。
【0057】
放熱プレートへのヒートパイプ、フィンプレートのカシメ固定は同時に行われ、ヒートパイプを該当する孔に挿入した放熱プレートに設けられた溝に、フィンプレートを差込んで、フィンプレートカシメ治具を利用し、2000kgfの力を加えることによって、フィンプレートを1枚ずつカシメ固定した。
放熱プレートの他方の面には、40 mm x 40 mmで厚さが3.2 mmのTEC4枚の吸熱面を、熱伝導グリスを介在して取り付けた。
【0058】
TECの放熱面側には、80 mm×80 mmで厚さが3mmのアルミベースに、高さ 43 mm、長さ80 mmで厚さが0.3 mmの銅製のフィンプレートを、1.5mmピッチで52枚をカシメ固定することによって形成された第2のヒートシンクを、熱伝導グリスを介在して取り付けた。
第2のヒートシンクは、4本のネジを利用し、TECを介して放熱プレートに固定させた。
【0059】
このように形成したこの発明の発熱素子冷却用モジュールによると、発熱源からの熱の流れは図3に示した通りとなり、発熱源からの熱の一部を第1のヒートシンクにて放熱するために、TECで吸熱される熱を、従来のモジュールに比べて小さくすることが可能となる。
例えば、発熱源の熱を150Wとした場合、従来の構成ではTECで12 ℃の温度差を得るためには、COP=3とすることが必要であるので、50 WでTECを動作させることが必要になる。一方TECの放熱面からは熱源の熱とTECの駆動電力の和で現される熱量200Wを放熱する必要があり、これに対応した放熱面積を持つ放熱ヒートシンクを取り付ける必要がある。
【0060】
しかし、上述したこの発明の発熱素子冷却用モジュールでは、第1のヒートシンクで放熱される熱量が75Wとなるように設計しているので、TECで吸熱される熱量は75 Wにすることができる。この場合、同じ温度差12 ℃を得るためには、COP=3とするので、TECの駆動電力は25Wに減少させることが可能となる。よって、TECの放熱面に取り付けるヒートシンクは100Wの放熱に対応したものでよくなる。すなわち、放熱部に必要なヒートシンクは直接放熱される分75WとTECの放熱100Wに対応したヒートシンクであれば十分なので、合計175Wの放熱に対応する放熱面積をもつヒートシンクで十分である。
【0061】
ここで、冷却風流速、冷却風温度が同じである場合、必要なヒートシンクの放熱面積は、おおむねヒートシンクの放熱量に比例するために、本発明によると、175 W/ 200W=0.875となり、従来の88%の面積で十分な放熱が可能となり、放熱モジュールの小型化も可能となる。
実施例2
【0062】
図4に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、図2に示す発熱素子冷却用モジュールと概ね同一であるが、受熱プレートと放熱プレートが平行配置されたものである。この図では、第1のヒートシンクが下側に配置されているが、第1のヒートシンクが上側、第2のヒートシンクが下側に配置されてもよい。
また、図5に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、受熱プレートと放熱プレートを平行配置として、さらに受熱プレート側にも、第3のヒートシンクを取り付けたものである。第3のヒートシンクは、所定の寸法のフィンプレートをハンダによる接合、カシメ固定などされている。このようにすることにより、TECで必要な吸熱量をさらに、小さくすることができるために、TECの消費電力をさらに低減させることができる。
さらに、図6に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、は受熱プレートと放熱プレートを垂直配置として、さらに受熱プレート側にも、第3のヒートシンクを取り付けたものである。発熱源の上部に大きなスペースが取れる場合には、このように形成することによって、TECの消費電力を低減させ、かつフットプリントサイズの小さいヒートシンクの構成が可能となる。
また、図7に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールを作製した。即ち、受熱プレートと放熱プレートを柔軟性の高いパイプで接続し、ポンプで液体を循環させる構成とした例である。なお、この図では記載されていないが、受熱プレートに第3のヒートシンクを取り付けた構成としてもよい。
【0063】
上述したように、この発明によると、発熱源からの熱の一部を放熱ヒートシンクから直接放熱するために、TECで吸熱するべき熱量が小さくなる。その結果、TECで得られる見かけ上の負の熱抵抗の絶対値を大きくすることが可能となるために、放熱モジュールの熱抵抗を小さくすることができる。更に、TECの消費電力を低く抑えながら、所用の温度差を得ることができる。電源容量の小さい電源でも駆動が可能であり、小型のシステムでも適用が可能となった。TECの放熱面に取り付けられる放熱ヒートシンクを小型化でき、モジュールの小型化ができる。TECの消費電力を低く抑えられるため、小型のファンでも冷却が可能となり、小型スペースのシステムでも適用が可能となった。また、ファンノイズを小さく抑えることが可能となった。放熱部を自由に配置できるので、熱源近くに十分な領域がない場合には、熱源からはなれた場所で十分なスペースのある部分に、放熱部を設置することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明によると、熱電冷却素子(TEC)が吸熱する熱量を小さくして、消費電力を小さくすることが可能で、且つ、ファンノイズの小さい、小型システムにも適用でき、且つ、設計の自由度の高い発熱素子冷却用モジュールを提供することができ、産業上利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、COP(熱源からの熱/TEC駆動力)とTEC両面の温度差の関係を示す図である。
【図2】図2は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの1つの態様を説明する模式図である。
【図3】図3は、図1に示すこの発明の発熱素子冷却用モジュールによる発熱源(発熱素子)からの熱の流れを示す図である。
【図4】図4は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図5】図5は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図6】図6は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図7】図7は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図8】図8は、この発明の発熱素子冷却用モジュールの他の1つの態様を説明する模式図である。
【図9】図9は、TEC投入電力と熱抵抗の関係を示すグラフである。
【図10】図10は、従来のモジュールを示す図である。
【図11】図11は、従来のモジュールの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 この発明の発熱素子冷却用モジュール
2 発熱素子
3 受熱プレート
4 ヒートパイプ
5 放熱プレート
6 熱電冷却素子(TEC)
7 第1のヒートシンク
8 第2のヒートシンク
9 フィンプレート
10 ベースプレート
11 基板
20 第3のヒートシンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発熱素子に熱的に接続された受熱プレートと、前記受熱プレートに一方の端部が熱的に接続され、他方の端部が放熱プレートに熱的に接続される熱移動デバイスと、前記放熱プレートの一方の面にその一方の面が熱的に接続される熱電冷却素子と、前記放熱プレートの他方の面に熱的に接続される第1のヒートシンクと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクとを備えた発熱素子冷却用モジュール。
【請求項2】
前記熱移動デバイスがヒートパイプからなっている請求項1に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項3】
前記熱移動デバイスが冷媒を強制的に循環させることにより熱を輸送する強制循環デバイスからなっている請求項1に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項4】
一方の端部の一方の面に、少なくとも1つの発熱素子が熱的に接続され、他方の端部の一方の面に熱電冷却素子の一方の面が熱的に接続され、他方の端部の他方の面に第1のヒートシンクが熱的に接続される受熱・放熱プレートと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクを備えた発熱素子冷却用モジュール。
【請求項5】
前記放熱プレート、前記熱電冷却素子、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクが、前記受熱プレートと概ね直交するように配置されている請求項2または3に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項6】
前記放熱プレート、前記熱電冷却素子、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクが、前記受熱プレートと概ね平行に配置されている請求項2または3に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項7】
前記受熱プレートに第3のヒートシンクが更に熱的に接続されている請求項5または6に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項8】
前記第1のヒートシンクが前記放熱プレートまたは前記受熱・放熱プレートにカシメ固定された複数のフィンプレートからなっている請求項1から6の何れか1項に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項1】
少なくとも1つの発熱素子に熱的に接続された受熱プレートと、前記受熱プレートに一方の端部が熱的に接続され、他方の端部が放熱プレートに熱的に接続される熱移動デバイスと、前記放熱プレートの一方の面にその一方の面が熱的に接続される熱電冷却素子と、前記放熱プレートの他方の面に熱的に接続される第1のヒートシンクと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクとを備えた発熱素子冷却用モジュール。
【請求項2】
前記熱移動デバイスがヒートパイプからなっている請求項1に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項3】
前記熱移動デバイスが冷媒を強制的に循環させることにより熱を輸送する強制循環デバイスからなっている請求項1に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項4】
一方の端部の一方の面に、少なくとも1つの発熱素子が熱的に接続され、他方の端部の一方の面に熱電冷却素子の一方の面が熱的に接続され、他方の端部の他方の面に第1のヒートシンクが熱的に接続される受熱・放熱プレートと、前記熱電冷却素子の他方の面に熱的に接続される第2のヒートシンクを備えた発熱素子冷却用モジュール。
【請求項5】
前記放熱プレート、前記熱電冷却素子、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクが、前記受熱プレートと概ね直交するように配置されている請求項2または3に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項6】
前記放熱プレート、前記熱電冷却素子、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクが、前記受熱プレートと概ね平行に配置されている請求項2または3に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項7】
前記受熱プレートに第3のヒートシンクが更に熱的に接続されている請求項5または6に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【請求項8】
前記第1のヒートシンクが前記放熱プレートまたは前記受熱・放熱プレートにカシメ固定された複数のフィンプレートからなっている請求項1から6の何れか1項に記載の発熱素子冷却用モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−41355(P2006−41355A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221766(P2004−221766)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【復代理人】
【識別番号】100092989
【弁理士】
【氏名又は名称】片伯部 敏
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【復代理人】
【識別番号】100092989
【弁理士】
【氏名又は名称】片伯部 敏
【Fターム(参考)】
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