冷却装置
【課題】気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体の熱拡散を促進することができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷媒槽3の底壁31の内面33における発熱体固定面320と対応する部位を、液相冷媒の沸騰を促進する沸騰伝熱面34にし、沸騰伝熱面34に、沸騰伝熱面34から立ち上がり、沸騰伝熱面34の伝熱面積を増大するフィン35を設け、フィン35のフィン高さHを離脱気泡径Dtの1.0倍以上、3.4倍以下に設定し、フィンピッチPを、離脱気泡径Dtの2倍以上に設定する。
【解決手段】冷媒槽3の底壁31の内面33における発熱体固定面320と対応する部位を、液相冷媒の沸騰を促進する沸騰伝熱面34にし、沸騰伝熱面34に、沸騰伝熱面34から立ち上がり、沸騰伝熱面34の伝熱面積を増大するフィン35を設け、フィン35のフィン高さHを離脱気泡径Dtの1.0倍以上、3.4倍以下に設定し、フィンピッチPを、離脱気泡径Dtの2倍以上に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒の気化と液化による潜熱移動によって半導体素子等の発熱体を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、沸騰伝熱面の伝熱面積を拡大させるために沸騰伝熱面にフィンを設けた冷却装置として、種々の構成が提案されている。例えば、冷媒として環境にやさしい水を採用するとともに、冷却装置の材質に銅を用い、沸騰伝熱面にフィンを設け、発泡密度を高めたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、沸騰伝熱面に複数のピラミッド状のフィンを設け、フィン階段部のコーナー部を沸騰核の形成サイトとして作用させ、冷媒の沸騰を促進させたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−91482号公報
【特許文献2】特開2004−56121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体素子用の冷却装置では、冷却対象である素子をその耐熱温度以下に保つことをその目的としている。冷却装置に用いる冷媒の種類や素子の耐熱温度によっては、冷却装置の内部を減圧状態とし、冷媒の沸点を下げる場合がある。
【0005】
沸騰開始時の気泡径は冷却装置内の圧力に反比例して大きくなる。減圧状態での沸騰では沸騰開始時の気泡径が大きいため、沸騰伝熱面から離脱する気泡の径(以下、離脱気泡径という)が大きくなる。したがって、内部を減圧状態とする冷却装置では、気泡の排出性を悪化させない構造とする必要がある。このため、沸騰伝熱面にフィンを設けた上記特許文献1、2に記載の冷却装置においては、フィンの間隔を大きくするか、フィンの高さを低くする必要がある。
【0006】
一方、近年では、素子の小型・高出力化に伴い、その発熱密度は増大する傾向にある。素子をその耐熱温度以下に冷却するためには、素子の熱を沸騰伝熱面に拡散させる必要がある。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体の熱拡散を促進することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷媒槽(3)の底壁(31)の内面(33)における発熱体固定面(320)と対応する部位は、液相冷媒の沸騰を促進する沸騰伝熱面(34)になっており、沸騰伝熱面(34)には、沸騰伝熱面(34)から立ち上がり、沸騰伝熱面(34)の伝熱面積を増大するフィン(35)が設けられており、フィン(35)の沸騰伝熱面(34)からの高さであるフィン高さ(H)は、沸騰伝熱面(34)から冷媒の気泡が離脱する際の気泡の径である離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、3.4倍以下に設定されており、隣接する2つのフィン(35)間の距離であるフィンピッチ(P)は、離脱気泡径(Dt)の2倍以上に設定されていることを特徴としている。
【0009】
このように、沸騰伝熱面(34)に伝熱面積を増大するフィン(35)を設けることで、発熱体(2)の熱拡散を促進することができる。そして、フィン(35)のフィン高さ(H)を離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、3.4倍以下に設定することで、後述する図6に示されるように、気泡の排出性を向上させることができる。
【0010】
ところで、向かい合う2つのフィン(35)の側面(352)での沸騰により生じた気泡が合体すると、合体した気泡の離脱気泡径は、1つのフィン(35)の側面(352)での沸騰により生じた気泡の離脱気泡径(Dt)の2倍となる。このため、隣接する2つのフィン(35)間の距離であるフィンピッチ(P)を離脱気泡径(Dt)の2倍以上に設定することで、隣接する2つのフィン(35)間の気泡の排出性を向上させることができる。
【0011】
以上により、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体(2)の熱拡散を促進することが可能となる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明のように、フィン高さ(H)を、離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、2.8倍以下に設定することで、発熱体(2)の冷却に重要な高熱流束域の冷却性能を向上させることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明のように、フィン高さ(H)を、離脱気泡径(Dt)の1.8倍以上、2.6倍以下に設定することで、気泡の排出性の悪化を確実に抑制しつつ、発熱体(2)の熱拡散をより促進することが可能となる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、複数のフィン(35)は、フィン高さ(H)の異なる第1フィン(35A)および第2フィン(35B)から構成されており、第1フィン(35A)および第2フィン(35B)は、交互に並んで配置されていることを特徴としている。
【0015】
これによれば、第1フィン(35A)および第2フィン(35B)のうち、フィン高さ(H)の高いフィン(35A)により、熱拡散を促進することができる。一方、第1フィン(35A)および第2フィン(35B)のうち、フィン高さ(H)の低いフィン(35B)により、気泡の排出を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体(2)の熱拡散を促進することが可能となる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明では、フィン(35)は、フィン高さ(H)が当該フィン(35)の長手方向において変化するように形成されていることを特徴としている。
【0017】
これによれば、フィン(35)のうちフィン高さ(H)が高い部位において熱拡散を促進するとともに、フィン高さ(H)の低い部位において気泡の排出を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体(2)の熱拡散を促進することが可能となる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明では、複数のフィン(35)は、沸騰伝熱面(34)における発熱体(2)の中心部に対応する部位に近づくにつれてフィンピッチ(P)が大きくなるように構成されていることを特徴としている。
【0019】
発熱体(2)が半導体素子の場合、その中心部に近づくほど温度が高くなる。このため、沸騰伝熱面(34)の温度が高く、気泡の発生量が多い発熱体(2)の中心部に対応する部位に近づくにつれてフィンピッチ(P)を大きくすることで、気泡の排出性を向上させることができる。一方、沸騰伝熱面(34)の温度が低く、気泡の発生量が減少する発熱体(2)の外周部に対応する部位に向かうにつれてフィンピッチ(P)を小さくすることで、熱拡散を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体(2)の熱拡散を促進することが可能となる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明では、フィン(35)は、沸騰伝熱面(34)から遠ざかるにつれて断面積が小さくなるように形成された断面積減少部(362)を有していることを特徴としている。
【0021】
これによれば、断面積減少部(362)においては、隣接するフィン(35)との間隔を大きくすることができるので、気泡の排出性を向上させることが可能となる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明では、フィン(35)の側面(352)には、冷媒蒸気の排出を促進する凹部(353)が設けられていることを特徴としている。
【0023】
これによれば、凹部(353)においては、隣接するフィン(35)との間隔を大きくすることができるので、気泡の排出性を向上させることが可能となる。
【0024】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。図1は本第1実施形態に係る冷却装置1を示す斜視図で、図2は本第1実施形態に係る冷却装置1を示す断面図である。なお、図1および図2の上下方向が冷却装置1の天地方向である。
【0027】
図1および図2に示すように、冷却装置1は、半導体素子等の発熱体2を冷却するものであり、内部に液相の冷媒が貯留されるとともに、外部に発熱体2が設置される冷媒槽3と、冷媒槽3の内部と連通するとともに、冷媒槽3の上部に取り付けられ、発熱体2の熱によって気化した冷媒を液化させた後に冷媒槽3に戻す放熱部4とを備えている。
【0028】
冷媒槽3における底壁31の外面32の一部は、発熱体2が固定される発熱体固定面320になっている。そして、発熱体2は、例えば図示しないボルト等の締め付けにより底壁31の発熱体固定面320に固定されている。また、底壁31の内面33のうち、発熱体固定面320に対応する領域には、冷媒の沸騰を促進するための沸騰伝熱面34が設けられている。本実施形態では、沸騰伝熱面34は、底壁31の内面33と一体に形成されている。なお、この沸騰伝熱面34の詳細については、後述する。
【0029】
放熱部4は、気相冷媒の熱を外部流体としての冷却風に放熱することにより、冷媒を液化させるものである。本実施形態では、放熱部4は、冷媒槽3の沸騰伝熱面34の上方側に配設され、発熱体2の熱を受けて沸騰した冷媒蒸気が通過する蒸気通路41と、蒸気通路41の上端部と連通するとともに、水平方向に延びるヘッダ部42と、ヘッダ部42と連通するとともに、鉛直方向に延びる複数本の放熱チューブ43と、各放熱チューブ43間に介在される放熱フィン44とを備えている。
【0030】
複数本の放熱チューブ43の下端部は、それぞれ冷媒槽3の内部空間と連通している。放熱フィン44は、周知のコルゲートフィンであり、放熱面積を増大させるために使用される。また、放熱フィン44には、図2の紙面垂直方向に冷却風が通過するようになっている。以下、冷却風の流れ方向を冷却風流れ方向という。そして、真空引きされた冷却装置1の内部空間には、所定量の冷媒が封入されている。
【0031】
冷却装置1は、例えば、銅もしくはアルミニウムにより構成されている。冷却装置1が銅により構成されている場合、冷媒として水やアルコールを採用することができる。また、冷却装置1がアルミニウムにより構成されている場合、冷媒としてアルコールや、分子構造中に塩素を含まず、温暖化係数やオゾン層破壊係数が小さな冷媒、具体的にはフッ素系冷媒やハイドロフルオロエーテル系の冷媒を採用することができる。
【0032】
図3は、本第1実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。図3に示すように、沸騰伝熱面34は、伝熱面積を拡大し、熱拡散を促進するための複数のフィン35が設けられている。フィン35は、沸騰伝熱面34から上方側、すなわち放熱部4側に向かって立ち上がるとともに、冷却風流れ方向に平行に延びる略直方体状に形成されている。複数のフィン35は、冷却風流れ方向と直交する方向に所定間隔を隔てて並列に配置されている。
【0033】
以下、フィン35の長手方向をフィン長手方向といい、複数のフィン35の配置方向をフィン配置方向という。フィン長手方向は、冷却風流れ方向に平行になっている。また、フィン配置方向は、フィン長手方向、すなわち冷却風流れ方向に対して直交している。
【0034】
ところで、上記構成の冷却装置1において、冷媒の沸騰を促進するには、沸騰により生じた冷媒の気泡を沸騰伝熱面34から速やかに排除する必要がある。
【0035】
気泡の排出性は、沸騰伝熱面34から気泡が離脱する際の気泡の径(以下、離脱気泡径Dtという)が重要になる。離脱気泡径Dtは、気泡に作用する浮力と表面張力の大きさの大小関係により決定され、次の数1および数2から算出される。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】
【0038】
ここで、σは表面張力、ρは密度、Cpは低圧比熱、ΔTSATは過熱度、ifgは冷媒の蒸発潜熱を示し、添え字lは液相冷媒、添え字gは冷媒蒸気を示す。なお、Jaは離脱気泡径Dtの圧力依存性、すなわち低圧になるほど気泡の成長速度が増大することを示す因子である。
【0039】
本実施形態の冷却装置1では、冷媒の沸点を下げるために、冷媒封入前に冷却装置1の内部圧力を減圧している。減圧状態下での沸騰では、大気圧下での沸騰に比べて、離脱気泡径Dtが大きくなることが知られている。その一例として、ハイドロフルオロエーテル系の冷媒での離脱気泡径Dtへの圧力の影響を図4に示す。図4中の最大圧力は大気圧、最小圧力は室温(25℃)での飽和圧である。なお、冷却装置1内を減圧した後に冷媒を封入すると、冷却装置1の内部圧力は室温での飽和圧力になる。
【0040】
図4からわかるように、冷却装置1内の圧力を減圧すると、大気圧の場合に比べて離脱気泡径Dtが大きくなる。離脱気泡径Dtが大きくなる理由は、冷却装置1内の圧力を減圧すると気泡の成長速度が増加するためである。気泡の成長速度が増加する理由は、冷媒の飽和蒸気圧の特性にある。
【0041】
図5に冷媒の飽和蒸気圧特性の一例として、ハイドロフルオロエーテル系の冷媒の飽和温度と飽和蒸気圧の関係を示す。液相冷媒中の気泡には、表面張力、浮力、および気泡内部の蒸気圧と液相冷媒の圧力(飽和圧力)が作用する。気泡が成長するためには、表面張力に比べて、気泡内部と液相冷媒との圧力差ΔPが大きくなる必要がある。
【0042】
気泡成長の駆動力となる気泡内外の圧力差ΔPは、発熱体2の熱により沸騰伝熱面34上の気泡が加熱されることにより生じる。そして、冷却装置1内の圧力が高い程、少ない温度上昇量で大きな圧力差が発生する。
【0043】
図5に示すように、図中のB点において所定の圧力差ΔPtを生じさせるために必要となる過熱度ΔTBは、B点より圧力が低いA点で必要とされる過熱度ΔTAより小さくなる。このため、減圧状態で気泡を成長させるためには、大気圧下に比べて多くの熱が必要となる。そして、減圧状態では多くの熱が冷媒に供給されているために、気泡が成長し始めると、その成長速度は大気圧下に比べて大きな値となる。
【0044】
また、減圧状態において気泡の成長速度が増加するもう一つの理由として、蒸気密度の圧力依存性がある。所定の熱量(単位:W)を除熱するために必要な液相冷媒の単位時間あたりの蒸発量(単位:kg/s)は、熱量と潜熱(単位:kJ/kg)の比となる。単位時間あたりに発生する冷媒蒸気の体積(単位:m3/s)は、蒸発量と蒸気密度(単位:kg/m3)の比となる。ここで、蒸気密度は、冷却装置1内部の圧力が低下する程、小さくなる。その結果、冷却装置1内を減圧すると蒸気の発生体積が増加し、気泡の成長速度が増加する。
【0045】
ここで、本発明者は、上記構成になるフィン35について、フィン35の高さ方向の長さ(以下、フィン高さHという)、および隣接する2つのフィン35間の距離(以下、フィンピッチPという)の最適仕様の検討を行った。なお、フィン35の高さ方向は、フィン長手方向およびフィン配置方向に共に直交している。
【0046】
図6は離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比と、フィン35を設けない従来の沸騰伝熱面の過熱度に対する本第1実施形態のフィン35を設けた沸騰伝熱面34の過熱度の比との関係を実験により求めた結果を示す図で、図7は、図6中の後述する領域I〜IIIにおける沸騰伝熱面34およびフィン35での沸騰状況を示す概略断面図である。
【0047】
図6中、発熱体2の最高発熱密度が30W/cm2以上となる場合(以下、高熱流束域という)のグラフ曲線は実線、発熱体2の最高発熱密度が30W/cm2を下回る場合(以下、低熱流束域という)のグラフ曲線は破線にて示してある。
【0048】
図6に示すように、離脱気泡径Dtとフィン高さHの関係から、3つの領域に分類できる。図6中の領域Iでは、フィン35の高さが離脱気泡径Dtより小さいため、図7(a)に示すように、フィン35が気泡中に埋没し、拡大伝熱面として寄与することができない。この場合の冷却性能は、フィン35を設けない従来の沸騰伝熱面と同等になる。
【0049】
一方、図6中の領域IIIでは、フィン35が高すぎるため、図7(c)に示すように、フィン35の根元部351、すなわちフィン35の側面352と沸騰伝熱面34とにより形成される角部や、フィン35の側面352で生じた気泡の排出性が悪化する。この領域では、気泡の排出性が悪化し、液冷媒の供給→沸騰→気泡の排出のサイクルが速やかに回らなくなり、冷却性能が低下する。
【0050】
図6中の領域Iと領域IIIの間にある領域IIでは、図7(b)に示すように、隣接するフィン35間からの気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体2の発熱をフィン35に拡散させることができる。ここで、フィン高さHとしては、蒸気発生量が少ない低熱流束域では離脱気泡径Dtの1.0倍以上、3.4倍以下とし、蒸気発生量が増加する高熱流束域では離脱気泡径Dtの1.0倍以上、2.8倍以下とすることが望ましい。また、発熱体2の冷却に重要な高熱流束域の性能から判断すると、フィン高さHを離脱気泡径Dtの1.0倍以上、2.8倍以下とすることにより、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。さらに、フィン高さHを離脱気泡径Dtの1.8倍以上、2.6倍以下とすることがより望ましい。
【0051】
ところで、本実施形態のようなフィン35を有する沸騰伝熱面34では、発熱体2の発熱量が増加すると、沸騰領域はフィン35の根元部351からフィン35の側面352まで拡大する。
【0052】
隣接する2つのフィン35の間隙部では、一方のフィン35の側面352での沸騰と、当該一方のフィン35に対向する他方のフィン35の側面352での沸騰が生じる。これら向かい合う2つのフィン35の側面352での沸騰により生じた気泡が合体すると、2つのフィン35の側面352への液相冷媒の供給性が悪化してしまい、冷却性能が低下する。したがって、隣接する2つのフィン35の間隔であるフィンピッチPは、一方のフィン35の側面352での離脱気泡経Dtと、当該一方のフィン35に対向する他方のフィン35の側面での離脱気泡経Dtとの和、すなわち離脱気泡径Dtの2倍以上とすることが望ましい。
【0053】
なお、冷媒の種類や減圧状態が変化すると離脱気泡径Dtの値は変化する。しかし、図6に示したようなフィン高さHと離脱気泡径Dtの比により沸騰伝熱面34の過熱度が3つの領域I〜IIIに分類されるという関係は、離脱気泡径Dtの値が変わっても成立する。
【0054】
以上説明したように、フィン35の高さHを離脱気泡径Dtの1.0倍以上、3.4倍以下に設定するとともに、隣接する2つのフィン35間の距離であるフィンピッチPを離脱気泡径Dtの2倍以上に設定することで、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体2の熱拡散を促進することができる。
【0055】
また、フィン35の高さHを離脱気泡径Dtの1.0倍以上、2.8倍以下に設定することで、発熱体2の冷却に重要な高熱流束域の冷却性能を向上させることができる。
【0056】
また、フィン35の高さHを離脱気泡径Dtの1.8倍以上、2.6倍以下に設定することで、気泡の排出性の悪化を確実に抑制しつつ、発熱体2の熱拡散をより促進することができるので、冷却性能をさらに向上させることが可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8〜図10に基づいて説明する。図8は、本第2実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0058】
図8に示すように、本実施形態では、フィン配置方向に、フィン高さHの異なる二種類のフィン35が交互に配置されている。具体的には、複数のフィン35は、フィン高さHが互いに異なる第1フィン35Aおよび第2フィン35Bから構成されている。第1フィン35Aは、第2フィン35Bよりフィン高さHが高くなっている。第1フィン35Aのフィン配置方向両隣には、第2フィン35Bがそれぞれ配置されている。すなわち、第1、第2フィン35A、35Bは、フィン配置方向に交互に配置されている。
【0059】
このように、第1フィン35Aのフィン高さHを高くすることで、熱拡散を促進することができる。一方、第2フィン35Bのフィン高さHを低くすることで、気泡の排出を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0060】
図9は発熱体2の発熱量と離脱気泡径Dtとの関係を示す特性図で、図10は離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比と、フィン35を設けない従来の沸騰伝熱面の過熱度に対するフィン35を設けた沸騰伝熱面34の過熱度の比との関係を示す特性図である。図9、10中のA点は標準作動時の発熱体2の発熱量を、B点は発熱体2の最大発熱量を、C点は発熱体2の最小発熱量を示す。
【0061】
図9に示すように、発熱体2の発熱量が増加すると離脱気泡径Dtは大きくなり、発熱体2の発熱量が減少すると離脱気泡径Dtは小さくなる。発熱体2の発熱量が増加してA点からB点に変化すると、離脱気泡径Dtが大きくなるため、フィン高さHが一定の場合、離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比が小さくなり、図10に示すように冷却性能が低下する。一方、図9に示すように発熱体2の発熱量が減少してA点からC点に変化すると、離脱気泡径Dtが小さくなるため、フィン高さHが一定の場合、離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比が大きくなり、図10に示すように冷却性能が低下する。
【0062】
そして、発熱体2の発熱量が大きいB点の条件においても高い冷却性能を保つためには、図10に示すように条件Bの離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比を1.8以上とする必要がある。しかしながら、発熱量が大きい状態が発熱体2の作動範囲に占める割合が小さい場合には、すべてのフィン35の高さを条件Bの離脱気泡径Dtの1.8倍以上とすると、標準作動時の性能が低下してしまう。
【0063】
また、発熱体2の発熱量が小さいC点の条件においても高い冷却性能を保つためには、図10に示すように条件Cの離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比を1.8より小さくする必要がある。しかしながら、発熱量が小さい状態が発熱体2の作動範囲に占める割合が小さい場合には、すべてのフィン35の高さを条件Cの離脱気泡径Dtの1.8倍より小さくすると、標準作動時の性能が低下してしまう。
【0064】
そこで、本実施形態では、複数のフィン35の高さをフィン配置方向で交互に変化させ、第1フィン35Aでは発熱体2の発熱量が大きい条件、すなわち図9、10中のB点の作動時に最適となるフィン高さHとし、第2フィン35Bでは発熱体2の発熱量が小さい条件、すなわち図9、10中のC点の作動時に最適となるフィン高さHとしている。具体的には、第1フィン35Aのフィン高さHを、離脱気泡径Dtの1.8倍以上、2.6倍以下に設定し、第2フィン35Bのフィン高さHを、離脱気泡径Dtの1.0倍以上、1.8倍より小さい範囲内に設定するのが望ましい。
【0065】
なお、離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比の範囲は、発熱体2の最小発熱量、標準発熱量、および最大発熱量と、それぞれの領域が占める時間割合から、冷却性能が最適になるように決定する。
【0066】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図11に基づいて説明する。図11は、本第3実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0067】
図11に示すように、フィン35は、フィン高さHがフィン長手方向において徐々に変化するように形成されている。また、本実施形態では、フィン配置方向に二種類のフィン35が交互に配置されている。具体的には、複数のフィン35は、フィン長手方向一側(紙面手前側)に向かうにつれてフィン高さHが高くなる第1フィン35A、およびフィン長手方向他側(紙面奥側)に向かうにつれてフィン高さHが高くなる第2フィン35Bから構成されている。第1フィン35Aのフィン配置方向両隣には、第2フィン35Bがそれぞれ配置されている。すなわち、第1、第2フィン35A、35Bは、フィン配置方向に交互に配置されている。
【0068】
第1フィン35Aにおけるフィン高さHが最も高い部位、すなわちフィン長手方向一側端部のフィン高さ(以下、第1フィン高さH1という)は、第2フィン35Bにおけるフィン高さが最も高い部位、すなわちフィン長手方向他側端部のフィン高さ(以下、第2フィン高さH2という)と同一になっている。また、第1フィン35Aにおけるフィン高さHが最も低い部位、すなわちフィン長手方向他側端部のフィン高さ(以下、第3フィン高さH3という)は、第2フィン35Bにおけるフィン高さが最も低い部位、すなわちフィン長手方向一側端部のフィン高さ(以下、第4フィン高さH4という)と同一になっている。
【0069】
なお、第1フィン高さH1および第2フィン高さH2は、離脱気泡径Dtの1.8倍〜2.6倍とすることが望ましい。第3フィン高さH3および第4フィン高さH4は、離脱気泡径Dtの1.0倍〜1.8倍とすることが望ましい。
【0070】
以上説明したように、フィン35を、フィン高さHがフィン長手方向において徐々に変化するように形成することで、フィン高さHが高い部位において熱拡散を促進するとともに、フィン高さHの低い部位において気泡の排出を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0071】
また、本実施形態のように、フィン長手方向一側に向かうにつれてフィン高さHが高くなる第1フィン35A、およびフィン長手方向他側に向かうにつれてフィン高さHが高くなる第2フィン35Bを、フィン配置方向に交互に配置することで、沸騰伝熱面34の全域において、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となる。
【0072】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図12に基づいて説明する。図12は、本第4実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0073】
図12に示すように、本実施形態の複数のフィン35は、全て同一形状になっている。フィン35は、フィン配置方向から見た断面が略ホームベース状になっている。具体的には、フィン35は、フィン長手方向の両端部からフィン長手方向の中央部に向かって徐々にフィン高さHが高くなるように形成されている。すなわち、フィン35は、フィン長手方向の中央部においてフィン高さHが最も高くなっている。なお、フィン35の幅、すなわちフィン配置方向の長さは、フィン長手方向の全域にわたって一定になっている。
【0074】
これによれば、上記第3実施形態と同様、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0075】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図13に基づいて説明する。図13は、本第5実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0076】
図13に示すように、本実施形態の複数のフィン35は、全て同一形状になっている。フィン35は、フィン長手方向から見た断面が略ホームベース状になっている。具体的には、フィン35は、フィン配置方向の両端部からフィン配置方向の中央部に向かって徐々にフィン高さHが高くなるように形成されている。すなわち、フィン35は、フィン配置方向の中央部においてフィン高さHが最も高くなっている。
【0077】
より詳細には、フィン35は、フィン長手方向から見た断面が矩形状になっている断面矩形部361と、フィン長手方向から見た断面が三角形状になっている断面三角部362とを有している。断面三角部362は、断面矩形部361より上方側に配置されているとともに、断面矩形部362と一体に形成されている。
【0078】
断面矩形部361は、沸騰伝熱面34からの距離に関わらず断面積が一定となっている。一方、断面三角部362は、沸騰伝熱面34から遠ざかるにつれて断面積が小さくなっており、本発明の断面積減少部に相当している。
【0079】
以上説明したように、フィン35に断面三角部362を設けることで、断面三角部362においては、隣接するフィン35との間隔、すなわちフィンピッチPを大きくすることができるので、気泡の排出性を向上させることができる。したがって、本実施形態においても、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0080】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図14に基づいて説明する。図14は、本第6実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0081】
図14に示すように、本実施形態の複数のフィン35は、全て同一形状になっている。フィン35の側面352には、フィン配置方向に凹んだ凹部353が形成されている。より詳細には、フィン35の一方の側面352(紙面右側の側面352)には、フィン長手方向一側(紙面手前側)に凹部353が設けられており、他方の側面352(紙面左側の側面352)には、フィン長手方向他側(紙面奥側)に凹部353が設けられている。なお、本実施形態では、凹部353の底面354は、沸騰伝熱面34に対して垂直、すなわちフィン35の側面352に対して平行になっている。
【0082】
以上説明したように、フィン35の側面352に凹部353を設けることで、凹部353においては、隣接するフィン35との間隔、すなわちフィンピッチPを大きくすることができるので、気泡の排出性を向上させることができる。したがって、本実施形態においても、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0083】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図15に基づいて説明する。図15は、本第7実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0084】
図15に示すように、本実施形態の複数のフィン35は、フィン長手方向およびフィン配置方向の中心部、すなわち発熱体2の中央部に対応する部位においてフィンピッチPが最も大きくなり、フィン長手方向の外側およびフィン配置方向の外側に向かって徐々にフィンピッチPが小さくなるように構成されている。
【0085】
詳細には、複数のフィン35のうちフィン配置方向の中央部に配置されるフィン35(以下、第3フィン35Cという)は、フィン長手方向に平行に延びている。複数のフィン35のうち第3フィン35Cを除くフィン35(以下、第4フィン35Dという)は、フィン長手方向の中央部に向かうにつれて第3フィン35Cから遠ざかるように、フィン高さ方向から見た断面形状が略くの字状になっている。
【0086】
フィン長手方向の両端部において、第3フィン35Cと隣接する第4フィン35Dとの間のフィンピッチP、および隣接する第4フィン35D間のフィンピッチPは、互いに等しくなっている。フィン長手方向の中央部において、第3フィン35Cと、第3フィン35Cに隣接する第4フィン35Dとの間のフィンピッチPは、隣接する第4フィン35D間のフィンピッチより大きくなっている。また、フィン長手方向の中央部において、隣接する第4フィン35D間のフィンピッチPは、フィン配置方向の外側に向かうにつれて、すなわち第3フィン35Cから遠ざかるにつれて小さくなっている。
【0087】
発熱体2が半導体素子の場合、その中心部に近づくほど温度が高くなる。このため、発熱体2の中心部における熱拡散を促進するために、フィン高さHを高くすると、蒸気の排出性が悪化するため、冷却性能が低下してしまう。
【0088】
これに対し、本実施形態では、沸騰伝熱面34の温度が高く、気泡の発生量が多い発熱体2の中心部に対応する部位ではフィンピッチPを大きくしているので、気泡の排出性を向上させることができる。一方、沸騰伝熱面34の温度が低く、気泡の発生量が減少する発熱体2の外周部に対応する部位に向かうにつれてフィンピッチPを小さくすることで、熱拡散を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0089】
(他の実施形態)
なお、上記第6実施形態では、凹部353の底面354を、フィン35の側面352に対して平行にした例について説明したが、これに限らず、フィン35の側面352に対して、沸騰伝熱面34から遠ざかるにつれて隣接するフィン35からの距離が長くなるように傾斜させてもよい。これによれば、気泡の排出性をより向上させることができる。
【0090】
また、上記各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】第1実施形態に係る冷却装置1を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る冷却装置1を示す断面図である。
【図3】第1実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図4】ハイドロフルオロエーテル系の冷媒の過熱度と離脱気泡径Dtとの関係を示す特性図である。
【図5】ハイドロフルオロエーテル系の冷媒の飽和温度と蒸気圧との関係を示す特性図である。
【図6】離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比と、フィン35を設けない沸騰伝熱面の過熱度に対する本第1実施形態の沸騰伝熱面34の過熱度の比との関係を実験により求めた結果を示す図である。
【図7】図6中の領域I〜IIIにおける沸騰伝熱面34およびフィン35での沸騰状況を示す概略断面図である。
【図8】第2実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図9】発熱体2の発熱量と離脱気泡径Dtとの関係を示す特性図である。
【図10】離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比と、フィン35を設けない沸騰伝熱面の過熱度に対するフィン35を設けた沸騰伝熱面34の過熱度の比との関係を示す特性図である。
【図11】第3実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図12】第4実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図13】第5実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図14】第6実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図15】第7実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
2 発熱体
3 冷媒槽
4 放熱部
34 沸騰伝熱面
35 フィン
35A 第1フィン
35B 第2フィン
320 発熱体固定面
353 凹部
362 断面三角部(断面積減少部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒の気化と液化による潜熱移動によって半導体素子等の発熱体を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、沸騰伝熱面の伝熱面積を拡大させるために沸騰伝熱面にフィンを設けた冷却装置として、種々の構成が提案されている。例えば、冷媒として環境にやさしい水を採用するとともに、冷却装置の材質に銅を用い、沸騰伝熱面にフィンを設け、発泡密度を高めたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、沸騰伝熱面に複数のピラミッド状のフィンを設け、フィン階段部のコーナー部を沸騰核の形成サイトとして作用させ、冷媒の沸騰を促進させたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−91482号公報
【特許文献2】特開2004−56121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体素子用の冷却装置では、冷却対象である素子をその耐熱温度以下に保つことをその目的としている。冷却装置に用いる冷媒の種類や素子の耐熱温度によっては、冷却装置の内部を減圧状態とし、冷媒の沸点を下げる場合がある。
【0005】
沸騰開始時の気泡径は冷却装置内の圧力に反比例して大きくなる。減圧状態での沸騰では沸騰開始時の気泡径が大きいため、沸騰伝熱面から離脱する気泡の径(以下、離脱気泡径という)が大きくなる。したがって、内部を減圧状態とする冷却装置では、気泡の排出性を悪化させない構造とする必要がある。このため、沸騰伝熱面にフィンを設けた上記特許文献1、2に記載の冷却装置においては、フィンの間隔を大きくするか、フィンの高さを低くする必要がある。
【0006】
一方、近年では、素子の小型・高出力化に伴い、その発熱密度は増大する傾向にある。素子をその耐熱温度以下に冷却するためには、素子の熱を沸騰伝熱面に拡散させる必要がある。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体の熱拡散を促進することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷媒槽(3)の底壁(31)の内面(33)における発熱体固定面(320)と対応する部位は、液相冷媒の沸騰を促進する沸騰伝熱面(34)になっており、沸騰伝熱面(34)には、沸騰伝熱面(34)から立ち上がり、沸騰伝熱面(34)の伝熱面積を増大するフィン(35)が設けられており、フィン(35)の沸騰伝熱面(34)からの高さであるフィン高さ(H)は、沸騰伝熱面(34)から冷媒の気泡が離脱する際の気泡の径である離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、3.4倍以下に設定されており、隣接する2つのフィン(35)間の距離であるフィンピッチ(P)は、離脱気泡径(Dt)の2倍以上に設定されていることを特徴としている。
【0009】
このように、沸騰伝熱面(34)に伝熱面積を増大するフィン(35)を設けることで、発熱体(2)の熱拡散を促進することができる。そして、フィン(35)のフィン高さ(H)を離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、3.4倍以下に設定することで、後述する図6に示されるように、気泡の排出性を向上させることができる。
【0010】
ところで、向かい合う2つのフィン(35)の側面(352)での沸騰により生じた気泡が合体すると、合体した気泡の離脱気泡径は、1つのフィン(35)の側面(352)での沸騰により生じた気泡の離脱気泡径(Dt)の2倍となる。このため、隣接する2つのフィン(35)間の距離であるフィンピッチ(P)を離脱気泡径(Dt)の2倍以上に設定することで、隣接する2つのフィン(35)間の気泡の排出性を向上させることができる。
【0011】
以上により、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体(2)の熱拡散を促進することが可能となる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明のように、フィン高さ(H)を、離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、2.8倍以下に設定することで、発熱体(2)の冷却に重要な高熱流束域の冷却性能を向上させることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明のように、フィン高さ(H)を、離脱気泡径(Dt)の1.8倍以上、2.6倍以下に設定することで、気泡の排出性の悪化を確実に抑制しつつ、発熱体(2)の熱拡散をより促進することが可能となる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、複数のフィン(35)は、フィン高さ(H)の異なる第1フィン(35A)および第2フィン(35B)から構成されており、第1フィン(35A)および第2フィン(35B)は、交互に並んで配置されていることを特徴としている。
【0015】
これによれば、第1フィン(35A)および第2フィン(35B)のうち、フィン高さ(H)の高いフィン(35A)により、熱拡散を促進することができる。一方、第1フィン(35A)および第2フィン(35B)のうち、フィン高さ(H)の低いフィン(35B)により、気泡の排出を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体(2)の熱拡散を促進することが可能となる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明では、フィン(35)は、フィン高さ(H)が当該フィン(35)の長手方向において変化するように形成されていることを特徴としている。
【0017】
これによれば、フィン(35)のうちフィン高さ(H)が高い部位において熱拡散を促進するとともに、フィン高さ(H)の低い部位において気泡の排出を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体(2)の熱拡散を促進することが可能となる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明では、複数のフィン(35)は、沸騰伝熱面(34)における発熱体(2)の中心部に対応する部位に近づくにつれてフィンピッチ(P)が大きくなるように構成されていることを特徴としている。
【0019】
発熱体(2)が半導体素子の場合、その中心部に近づくほど温度が高くなる。このため、沸騰伝熱面(34)の温度が高く、気泡の発生量が多い発熱体(2)の中心部に対応する部位に近づくにつれてフィンピッチ(P)を大きくすることで、気泡の排出性を向上させることができる。一方、沸騰伝熱面(34)の温度が低く、気泡の発生量が減少する発熱体(2)の外周部に対応する部位に向かうにつれてフィンピッチ(P)を小さくすることで、熱拡散を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体(2)の熱拡散を促進することが可能となる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明では、フィン(35)は、沸騰伝熱面(34)から遠ざかるにつれて断面積が小さくなるように形成された断面積減少部(362)を有していることを特徴としている。
【0021】
これによれば、断面積減少部(362)においては、隣接するフィン(35)との間隔を大きくすることができるので、気泡の排出性を向上させることが可能となる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明では、フィン(35)の側面(352)には、冷媒蒸気の排出を促進する凹部(353)が設けられていることを特徴としている。
【0023】
これによれば、凹部(353)においては、隣接するフィン(35)との間隔を大きくすることができるので、気泡の排出性を向上させることが可能となる。
【0024】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。図1は本第1実施形態に係る冷却装置1を示す斜視図で、図2は本第1実施形態に係る冷却装置1を示す断面図である。なお、図1および図2の上下方向が冷却装置1の天地方向である。
【0027】
図1および図2に示すように、冷却装置1は、半導体素子等の発熱体2を冷却するものであり、内部に液相の冷媒が貯留されるとともに、外部に発熱体2が設置される冷媒槽3と、冷媒槽3の内部と連通するとともに、冷媒槽3の上部に取り付けられ、発熱体2の熱によって気化した冷媒を液化させた後に冷媒槽3に戻す放熱部4とを備えている。
【0028】
冷媒槽3における底壁31の外面32の一部は、発熱体2が固定される発熱体固定面320になっている。そして、発熱体2は、例えば図示しないボルト等の締め付けにより底壁31の発熱体固定面320に固定されている。また、底壁31の内面33のうち、発熱体固定面320に対応する領域には、冷媒の沸騰を促進するための沸騰伝熱面34が設けられている。本実施形態では、沸騰伝熱面34は、底壁31の内面33と一体に形成されている。なお、この沸騰伝熱面34の詳細については、後述する。
【0029】
放熱部4は、気相冷媒の熱を外部流体としての冷却風に放熱することにより、冷媒を液化させるものである。本実施形態では、放熱部4は、冷媒槽3の沸騰伝熱面34の上方側に配設され、発熱体2の熱を受けて沸騰した冷媒蒸気が通過する蒸気通路41と、蒸気通路41の上端部と連通するとともに、水平方向に延びるヘッダ部42と、ヘッダ部42と連通するとともに、鉛直方向に延びる複数本の放熱チューブ43と、各放熱チューブ43間に介在される放熱フィン44とを備えている。
【0030】
複数本の放熱チューブ43の下端部は、それぞれ冷媒槽3の内部空間と連通している。放熱フィン44は、周知のコルゲートフィンであり、放熱面積を増大させるために使用される。また、放熱フィン44には、図2の紙面垂直方向に冷却風が通過するようになっている。以下、冷却風の流れ方向を冷却風流れ方向という。そして、真空引きされた冷却装置1の内部空間には、所定量の冷媒が封入されている。
【0031】
冷却装置1は、例えば、銅もしくはアルミニウムにより構成されている。冷却装置1が銅により構成されている場合、冷媒として水やアルコールを採用することができる。また、冷却装置1がアルミニウムにより構成されている場合、冷媒としてアルコールや、分子構造中に塩素を含まず、温暖化係数やオゾン層破壊係数が小さな冷媒、具体的にはフッ素系冷媒やハイドロフルオロエーテル系の冷媒を採用することができる。
【0032】
図3は、本第1実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。図3に示すように、沸騰伝熱面34は、伝熱面積を拡大し、熱拡散を促進するための複数のフィン35が設けられている。フィン35は、沸騰伝熱面34から上方側、すなわち放熱部4側に向かって立ち上がるとともに、冷却風流れ方向に平行に延びる略直方体状に形成されている。複数のフィン35は、冷却風流れ方向と直交する方向に所定間隔を隔てて並列に配置されている。
【0033】
以下、フィン35の長手方向をフィン長手方向といい、複数のフィン35の配置方向をフィン配置方向という。フィン長手方向は、冷却風流れ方向に平行になっている。また、フィン配置方向は、フィン長手方向、すなわち冷却風流れ方向に対して直交している。
【0034】
ところで、上記構成の冷却装置1において、冷媒の沸騰を促進するには、沸騰により生じた冷媒の気泡を沸騰伝熱面34から速やかに排除する必要がある。
【0035】
気泡の排出性は、沸騰伝熱面34から気泡が離脱する際の気泡の径(以下、離脱気泡径Dtという)が重要になる。離脱気泡径Dtは、気泡に作用する浮力と表面張力の大きさの大小関係により決定され、次の数1および数2から算出される。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】
【0038】
ここで、σは表面張力、ρは密度、Cpは低圧比熱、ΔTSATは過熱度、ifgは冷媒の蒸発潜熱を示し、添え字lは液相冷媒、添え字gは冷媒蒸気を示す。なお、Jaは離脱気泡径Dtの圧力依存性、すなわち低圧になるほど気泡の成長速度が増大することを示す因子である。
【0039】
本実施形態の冷却装置1では、冷媒の沸点を下げるために、冷媒封入前に冷却装置1の内部圧力を減圧している。減圧状態下での沸騰では、大気圧下での沸騰に比べて、離脱気泡径Dtが大きくなることが知られている。その一例として、ハイドロフルオロエーテル系の冷媒での離脱気泡径Dtへの圧力の影響を図4に示す。図4中の最大圧力は大気圧、最小圧力は室温(25℃)での飽和圧である。なお、冷却装置1内を減圧した後に冷媒を封入すると、冷却装置1の内部圧力は室温での飽和圧力になる。
【0040】
図4からわかるように、冷却装置1内の圧力を減圧すると、大気圧の場合に比べて離脱気泡径Dtが大きくなる。離脱気泡径Dtが大きくなる理由は、冷却装置1内の圧力を減圧すると気泡の成長速度が増加するためである。気泡の成長速度が増加する理由は、冷媒の飽和蒸気圧の特性にある。
【0041】
図5に冷媒の飽和蒸気圧特性の一例として、ハイドロフルオロエーテル系の冷媒の飽和温度と飽和蒸気圧の関係を示す。液相冷媒中の気泡には、表面張力、浮力、および気泡内部の蒸気圧と液相冷媒の圧力(飽和圧力)が作用する。気泡が成長するためには、表面張力に比べて、気泡内部と液相冷媒との圧力差ΔPが大きくなる必要がある。
【0042】
気泡成長の駆動力となる気泡内外の圧力差ΔPは、発熱体2の熱により沸騰伝熱面34上の気泡が加熱されることにより生じる。そして、冷却装置1内の圧力が高い程、少ない温度上昇量で大きな圧力差が発生する。
【0043】
図5に示すように、図中のB点において所定の圧力差ΔPtを生じさせるために必要となる過熱度ΔTBは、B点より圧力が低いA点で必要とされる過熱度ΔTAより小さくなる。このため、減圧状態で気泡を成長させるためには、大気圧下に比べて多くの熱が必要となる。そして、減圧状態では多くの熱が冷媒に供給されているために、気泡が成長し始めると、その成長速度は大気圧下に比べて大きな値となる。
【0044】
また、減圧状態において気泡の成長速度が増加するもう一つの理由として、蒸気密度の圧力依存性がある。所定の熱量(単位:W)を除熱するために必要な液相冷媒の単位時間あたりの蒸発量(単位:kg/s)は、熱量と潜熱(単位:kJ/kg)の比となる。単位時間あたりに発生する冷媒蒸気の体積(単位:m3/s)は、蒸発量と蒸気密度(単位:kg/m3)の比となる。ここで、蒸気密度は、冷却装置1内部の圧力が低下する程、小さくなる。その結果、冷却装置1内を減圧すると蒸気の発生体積が増加し、気泡の成長速度が増加する。
【0045】
ここで、本発明者は、上記構成になるフィン35について、フィン35の高さ方向の長さ(以下、フィン高さHという)、および隣接する2つのフィン35間の距離(以下、フィンピッチPという)の最適仕様の検討を行った。なお、フィン35の高さ方向は、フィン長手方向およびフィン配置方向に共に直交している。
【0046】
図6は離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比と、フィン35を設けない従来の沸騰伝熱面の過熱度に対する本第1実施形態のフィン35を設けた沸騰伝熱面34の過熱度の比との関係を実験により求めた結果を示す図で、図7は、図6中の後述する領域I〜IIIにおける沸騰伝熱面34およびフィン35での沸騰状況を示す概略断面図である。
【0047】
図6中、発熱体2の最高発熱密度が30W/cm2以上となる場合(以下、高熱流束域という)のグラフ曲線は実線、発熱体2の最高発熱密度が30W/cm2を下回る場合(以下、低熱流束域という)のグラフ曲線は破線にて示してある。
【0048】
図6に示すように、離脱気泡径Dtとフィン高さHの関係から、3つの領域に分類できる。図6中の領域Iでは、フィン35の高さが離脱気泡径Dtより小さいため、図7(a)に示すように、フィン35が気泡中に埋没し、拡大伝熱面として寄与することができない。この場合の冷却性能は、フィン35を設けない従来の沸騰伝熱面と同等になる。
【0049】
一方、図6中の領域IIIでは、フィン35が高すぎるため、図7(c)に示すように、フィン35の根元部351、すなわちフィン35の側面352と沸騰伝熱面34とにより形成される角部や、フィン35の側面352で生じた気泡の排出性が悪化する。この領域では、気泡の排出性が悪化し、液冷媒の供給→沸騰→気泡の排出のサイクルが速やかに回らなくなり、冷却性能が低下する。
【0050】
図6中の領域Iと領域IIIの間にある領域IIでは、図7(b)に示すように、隣接するフィン35間からの気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体2の発熱をフィン35に拡散させることができる。ここで、フィン高さHとしては、蒸気発生量が少ない低熱流束域では離脱気泡径Dtの1.0倍以上、3.4倍以下とし、蒸気発生量が増加する高熱流束域では離脱気泡径Dtの1.0倍以上、2.8倍以下とすることが望ましい。また、発熱体2の冷却に重要な高熱流束域の性能から判断すると、フィン高さHを離脱気泡径Dtの1.0倍以上、2.8倍以下とすることにより、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。さらに、フィン高さHを離脱気泡径Dtの1.8倍以上、2.6倍以下とすることがより望ましい。
【0051】
ところで、本実施形態のようなフィン35を有する沸騰伝熱面34では、発熱体2の発熱量が増加すると、沸騰領域はフィン35の根元部351からフィン35の側面352まで拡大する。
【0052】
隣接する2つのフィン35の間隙部では、一方のフィン35の側面352での沸騰と、当該一方のフィン35に対向する他方のフィン35の側面352での沸騰が生じる。これら向かい合う2つのフィン35の側面352での沸騰により生じた気泡が合体すると、2つのフィン35の側面352への液相冷媒の供給性が悪化してしまい、冷却性能が低下する。したがって、隣接する2つのフィン35の間隔であるフィンピッチPは、一方のフィン35の側面352での離脱気泡経Dtと、当該一方のフィン35に対向する他方のフィン35の側面での離脱気泡経Dtとの和、すなわち離脱気泡径Dtの2倍以上とすることが望ましい。
【0053】
なお、冷媒の種類や減圧状態が変化すると離脱気泡径Dtの値は変化する。しかし、図6に示したようなフィン高さHと離脱気泡径Dtの比により沸騰伝熱面34の過熱度が3つの領域I〜IIIに分類されるという関係は、離脱気泡径Dtの値が変わっても成立する。
【0054】
以上説明したように、フィン35の高さHを離脱気泡径Dtの1.0倍以上、3.4倍以下に設定するとともに、隣接する2つのフィン35間の距離であるフィンピッチPを離脱気泡径Dtの2倍以上に設定することで、気泡の排出性を悪化させることなく、発熱体2の熱拡散を促進することができる。
【0055】
また、フィン35の高さHを離脱気泡径Dtの1.0倍以上、2.8倍以下に設定することで、発熱体2の冷却に重要な高熱流束域の冷却性能を向上させることができる。
【0056】
また、フィン35の高さHを離脱気泡径Dtの1.8倍以上、2.6倍以下に設定することで、気泡の排出性の悪化を確実に抑制しつつ、発熱体2の熱拡散をより促進することができるので、冷却性能をさらに向上させることが可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8〜図10に基づいて説明する。図8は、本第2実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0058】
図8に示すように、本実施形態では、フィン配置方向に、フィン高さHの異なる二種類のフィン35が交互に配置されている。具体的には、複数のフィン35は、フィン高さHが互いに異なる第1フィン35Aおよび第2フィン35Bから構成されている。第1フィン35Aは、第2フィン35Bよりフィン高さHが高くなっている。第1フィン35Aのフィン配置方向両隣には、第2フィン35Bがそれぞれ配置されている。すなわち、第1、第2フィン35A、35Bは、フィン配置方向に交互に配置されている。
【0059】
このように、第1フィン35Aのフィン高さHを高くすることで、熱拡散を促進することができる。一方、第2フィン35Bのフィン高さHを低くすることで、気泡の排出を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0060】
図9は発熱体2の発熱量と離脱気泡径Dtとの関係を示す特性図で、図10は離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比と、フィン35を設けない従来の沸騰伝熱面の過熱度に対するフィン35を設けた沸騰伝熱面34の過熱度の比との関係を示す特性図である。図9、10中のA点は標準作動時の発熱体2の発熱量を、B点は発熱体2の最大発熱量を、C点は発熱体2の最小発熱量を示す。
【0061】
図9に示すように、発熱体2の発熱量が増加すると離脱気泡径Dtは大きくなり、発熱体2の発熱量が減少すると離脱気泡径Dtは小さくなる。発熱体2の発熱量が増加してA点からB点に変化すると、離脱気泡径Dtが大きくなるため、フィン高さHが一定の場合、離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比が小さくなり、図10に示すように冷却性能が低下する。一方、図9に示すように発熱体2の発熱量が減少してA点からC点に変化すると、離脱気泡径Dtが小さくなるため、フィン高さHが一定の場合、離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比が大きくなり、図10に示すように冷却性能が低下する。
【0062】
そして、発熱体2の発熱量が大きいB点の条件においても高い冷却性能を保つためには、図10に示すように条件Bの離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比を1.8以上とする必要がある。しかしながら、発熱量が大きい状態が発熱体2の作動範囲に占める割合が小さい場合には、すべてのフィン35の高さを条件Bの離脱気泡径Dtの1.8倍以上とすると、標準作動時の性能が低下してしまう。
【0063】
また、発熱体2の発熱量が小さいC点の条件においても高い冷却性能を保つためには、図10に示すように条件Cの離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比を1.8より小さくする必要がある。しかしながら、発熱量が小さい状態が発熱体2の作動範囲に占める割合が小さい場合には、すべてのフィン35の高さを条件Cの離脱気泡径Dtの1.8倍より小さくすると、標準作動時の性能が低下してしまう。
【0064】
そこで、本実施形態では、複数のフィン35の高さをフィン配置方向で交互に変化させ、第1フィン35Aでは発熱体2の発熱量が大きい条件、すなわち図9、10中のB点の作動時に最適となるフィン高さHとし、第2フィン35Bでは発熱体2の発熱量が小さい条件、すなわち図9、10中のC点の作動時に最適となるフィン高さHとしている。具体的には、第1フィン35Aのフィン高さHを、離脱気泡径Dtの1.8倍以上、2.6倍以下に設定し、第2フィン35Bのフィン高さHを、離脱気泡径Dtの1.0倍以上、1.8倍より小さい範囲内に設定するのが望ましい。
【0065】
なお、離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比の範囲は、発熱体2の最小発熱量、標準発熱量、および最大発熱量と、それぞれの領域が占める時間割合から、冷却性能が最適になるように決定する。
【0066】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図11に基づいて説明する。図11は、本第3実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0067】
図11に示すように、フィン35は、フィン高さHがフィン長手方向において徐々に変化するように形成されている。また、本実施形態では、フィン配置方向に二種類のフィン35が交互に配置されている。具体的には、複数のフィン35は、フィン長手方向一側(紙面手前側)に向かうにつれてフィン高さHが高くなる第1フィン35A、およびフィン長手方向他側(紙面奥側)に向かうにつれてフィン高さHが高くなる第2フィン35Bから構成されている。第1フィン35Aのフィン配置方向両隣には、第2フィン35Bがそれぞれ配置されている。すなわち、第1、第2フィン35A、35Bは、フィン配置方向に交互に配置されている。
【0068】
第1フィン35Aにおけるフィン高さHが最も高い部位、すなわちフィン長手方向一側端部のフィン高さ(以下、第1フィン高さH1という)は、第2フィン35Bにおけるフィン高さが最も高い部位、すなわちフィン長手方向他側端部のフィン高さ(以下、第2フィン高さH2という)と同一になっている。また、第1フィン35Aにおけるフィン高さHが最も低い部位、すなわちフィン長手方向他側端部のフィン高さ(以下、第3フィン高さH3という)は、第2フィン35Bにおけるフィン高さが最も低い部位、すなわちフィン長手方向一側端部のフィン高さ(以下、第4フィン高さH4という)と同一になっている。
【0069】
なお、第1フィン高さH1および第2フィン高さH2は、離脱気泡径Dtの1.8倍〜2.6倍とすることが望ましい。第3フィン高さH3および第4フィン高さH4は、離脱気泡径Dtの1.0倍〜1.8倍とすることが望ましい。
【0070】
以上説明したように、フィン35を、フィン高さHがフィン長手方向において徐々に変化するように形成することで、フィン高さHが高い部位において熱拡散を促進するとともに、フィン高さHの低い部位において気泡の排出を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0071】
また、本実施形態のように、フィン長手方向一側に向かうにつれてフィン高さHが高くなる第1フィン35A、およびフィン長手方向他側に向かうにつれてフィン高さHが高くなる第2フィン35Bを、フィン配置方向に交互に配置することで、沸騰伝熱面34の全域において、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となる。
【0072】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図12に基づいて説明する。図12は、本第4実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0073】
図12に示すように、本実施形態の複数のフィン35は、全て同一形状になっている。フィン35は、フィン配置方向から見た断面が略ホームベース状になっている。具体的には、フィン35は、フィン長手方向の両端部からフィン長手方向の中央部に向かって徐々にフィン高さHが高くなるように形成されている。すなわち、フィン35は、フィン長手方向の中央部においてフィン高さHが最も高くなっている。なお、フィン35の幅、すなわちフィン配置方向の長さは、フィン長手方向の全域にわたって一定になっている。
【0074】
これによれば、上記第3実施形態と同様、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0075】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図13に基づいて説明する。図13は、本第5実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0076】
図13に示すように、本実施形態の複数のフィン35は、全て同一形状になっている。フィン35は、フィン長手方向から見た断面が略ホームベース状になっている。具体的には、フィン35は、フィン配置方向の両端部からフィン配置方向の中央部に向かって徐々にフィン高さHが高くなるように形成されている。すなわち、フィン35は、フィン配置方向の中央部においてフィン高さHが最も高くなっている。
【0077】
より詳細には、フィン35は、フィン長手方向から見た断面が矩形状になっている断面矩形部361と、フィン長手方向から見た断面が三角形状になっている断面三角部362とを有している。断面三角部362は、断面矩形部361より上方側に配置されているとともに、断面矩形部362と一体に形成されている。
【0078】
断面矩形部361は、沸騰伝熱面34からの距離に関わらず断面積が一定となっている。一方、断面三角部362は、沸騰伝熱面34から遠ざかるにつれて断面積が小さくなっており、本発明の断面積減少部に相当している。
【0079】
以上説明したように、フィン35に断面三角部362を設けることで、断面三角部362においては、隣接するフィン35との間隔、すなわちフィンピッチPを大きくすることができるので、気泡の排出性を向上させることができる。したがって、本実施形態においても、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0080】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図14に基づいて説明する。図14は、本第6実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0081】
図14に示すように、本実施形態の複数のフィン35は、全て同一形状になっている。フィン35の側面352には、フィン配置方向に凹んだ凹部353が形成されている。より詳細には、フィン35の一方の側面352(紙面右側の側面352)には、フィン長手方向一側(紙面手前側)に凹部353が設けられており、他方の側面352(紙面左側の側面352)には、フィン長手方向他側(紙面奥側)に凹部353が設けられている。なお、本実施形態では、凹部353の底面354は、沸騰伝熱面34に対して垂直、すなわちフィン35の側面352に対して平行になっている。
【0082】
以上説明したように、フィン35の側面352に凹部353を設けることで、凹部353においては、隣接するフィン35との間隔、すなわちフィンピッチPを大きくすることができるので、気泡の排出性を向上させることができる。したがって、本実施形態においても、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0083】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図15に基づいて説明する。図15は、本第7実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【0084】
図15に示すように、本実施形態の複数のフィン35は、フィン長手方向およびフィン配置方向の中心部、すなわち発熱体2の中央部に対応する部位においてフィンピッチPが最も大きくなり、フィン長手方向の外側およびフィン配置方向の外側に向かって徐々にフィンピッチPが小さくなるように構成されている。
【0085】
詳細には、複数のフィン35のうちフィン配置方向の中央部に配置されるフィン35(以下、第3フィン35Cという)は、フィン長手方向に平行に延びている。複数のフィン35のうち第3フィン35Cを除くフィン35(以下、第4フィン35Dという)は、フィン長手方向の中央部に向かうにつれて第3フィン35Cから遠ざかるように、フィン高さ方向から見た断面形状が略くの字状になっている。
【0086】
フィン長手方向の両端部において、第3フィン35Cと隣接する第4フィン35Dとの間のフィンピッチP、および隣接する第4フィン35D間のフィンピッチPは、互いに等しくなっている。フィン長手方向の中央部において、第3フィン35Cと、第3フィン35Cに隣接する第4フィン35Dとの間のフィンピッチPは、隣接する第4フィン35D間のフィンピッチより大きくなっている。また、フィン長手方向の中央部において、隣接する第4フィン35D間のフィンピッチPは、フィン配置方向の外側に向かうにつれて、すなわち第3フィン35Cから遠ざかるにつれて小さくなっている。
【0087】
発熱体2が半導体素子の場合、その中心部に近づくほど温度が高くなる。このため、発熱体2の中心部における熱拡散を促進するために、フィン高さHを高くすると、蒸気の排出性が悪化するため、冷却性能が低下してしまう。
【0088】
これに対し、本実施形態では、沸騰伝熱面34の温度が高く、気泡の発生量が多い発熱体2の中心部に対応する部位ではフィンピッチPを大きくしているので、気泡の排出性を向上させることができる。一方、沸騰伝熱面34の温度が低く、気泡の発生量が減少する発熱体2の外周部に対応する部位に向かうにつれてフィンピッチPを小さくすることで、熱拡散を促進することができる。その結果、気泡の排出性を悪化させることなく、熱拡散を促進することが可能となり、高い冷却性能を得ることができる。
【0089】
(他の実施形態)
なお、上記第6実施形態では、凹部353の底面354を、フィン35の側面352に対して平行にした例について説明したが、これに限らず、フィン35の側面352に対して、沸騰伝熱面34から遠ざかるにつれて隣接するフィン35からの距離が長くなるように傾斜させてもよい。これによれば、気泡の排出性をより向上させることができる。
【0090】
また、上記各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】第1実施形態に係る冷却装置1を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る冷却装置1を示す断面図である。
【図3】第1実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図4】ハイドロフルオロエーテル系の冷媒の過熱度と離脱気泡径Dtとの関係を示す特性図である。
【図5】ハイドロフルオロエーテル系の冷媒の飽和温度と蒸気圧との関係を示す特性図である。
【図6】離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比と、フィン35を設けない沸騰伝熱面の過熱度に対する本第1実施形態の沸騰伝熱面34の過熱度の比との関係を実験により求めた結果を示す図である。
【図7】図6中の領域I〜IIIにおける沸騰伝熱面34およびフィン35での沸騰状況を示す概略断面図である。
【図8】第2実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図9】発熱体2の発熱量と離脱気泡径Dtとの関係を示す特性図である。
【図10】離脱気泡径Dtに対するフィン高さHの比と、フィン35を設けない沸騰伝熱面の過熱度に対するフィン35を設けた沸騰伝熱面34の過熱度の比との関係を示す特性図である。
【図11】第3実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図12】第4実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図13】第5実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図14】第6実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【図15】第7実施形態における沸騰伝熱面34を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
2 発熱体
3 冷媒槽
4 放熱部
34 沸騰伝熱面
35 フィン
35A 第1フィン
35B 第2フィン
320 発熱体固定面
353 凹部
362 断面三角部(断面積減少部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(31)の外面(32)の一部が、発熱体(2)が固定される発熱体固定面(320)になっているとともに、前記発熱体(2)の熱を受けて沸騰する液相冷媒を貯留する冷媒槽(3)と、
前記冷媒槽(3)で沸騰した冷媒蒸気が流れ込み、前記冷媒蒸気と外部流体との間で熱交換を行って前記冷媒蒸気を凝縮させる放熱部(4)とを備える冷却装置であって、
前記冷媒槽(3)の前記底壁(31)の内面(33)における前記発熱体固定面(320)と対応する部位は、前記液相冷媒の沸騰を促進する沸騰伝熱面(34)になっており、
前記沸騰伝熱面(34)には、前記沸騰伝熱面(34)から立ち上がり、前記沸騰伝熱面(34)の伝熱面積を増大するフィン(35)が設けられており、
前記フィン(35)の前記沸騰伝熱面(34)からの高さであるフィン高さ(H)は、前記沸騰伝熱面(34)から前記冷媒の気泡が離脱する際の前記気泡の径である離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、3.4倍以下に設定されており、
隣接する2つの前記フィン(35)間の距離であるフィンピッチ(P)は、前記離脱気泡径(Dt)の2倍以上に設定されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記フィン高さ(H)は、前記離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、2.8倍以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記フィン高さ(H)は、前記離脱気泡径(Dt)の1.8倍以上、2.6倍以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記複数のフィン(35)は、前記フィン高さ(H)の異なる第1フィン(35A)および第2フィン(35B)から構成されており、
前記第1フィン(35A)および前記第2フィン(35B)は、交互に並んで配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記フィン(35)は、前記フィン高さ(H)が当該フィン(35)の長手方向において変化するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項6】
前記複数のフィン(35)は、前記沸騰伝熱面(34)における前記発熱体(2)の中心部に対応する部位に近づくにつれて前記フィンピッチ(P)が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項7】
前記フィン(35)は、前記沸騰伝熱面(34)から遠ざかるにつれて断面積が小さくなるように形成された断面積減少部(362)を有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記フィン(35)の側面(352)には、前記冷媒蒸気の排出を促進する凹部(353)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項1】
底壁(31)の外面(32)の一部が、発熱体(2)が固定される発熱体固定面(320)になっているとともに、前記発熱体(2)の熱を受けて沸騰する液相冷媒を貯留する冷媒槽(3)と、
前記冷媒槽(3)で沸騰した冷媒蒸気が流れ込み、前記冷媒蒸気と外部流体との間で熱交換を行って前記冷媒蒸気を凝縮させる放熱部(4)とを備える冷却装置であって、
前記冷媒槽(3)の前記底壁(31)の内面(33)における前記発熱体固定面(320)と対応する部位は、前記液相冷媒の沸騰を促進する沸騰伝熱面(34)になっており、
前記沸騰伝熱面(34)には、前記沸騰伝熱面(34)から立ち上がり、前記沸騰伝熱面(34)の伝熱面積を増大するフィン(35)が設けられており、
前記フィン(35)の前記沸騰伝熱面(34)からの高さであるフィン高さ(H)は、前記沸騰伝熱面(34)から前記冷媒の気泡が離脱する際の前記気泡の径である離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、3.4倍以下に設定されており、
隣接する2つの前記フィン(35)間の距離であるフィンピッチ(P)は、前記離脱気泡径(Dt)の2倍以上に設定されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記フィン高さ(H)は、前記離脱気泡径(Dt)の1.0倍以上、2.8倍以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記フィン高さ(H)は、前記離脱気泡径(Dt)の1.8倍以上、2.6倍以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記複数のフィン(35)は、前記フィン高さ(H)の異なる第1フィン(35A)および第2フィン(35B)から構成されており、
前記第1フィン(35A)および前記第2フィン(35B)は、交互に並んで配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記フィン(35)は、前記フィン高さ(H)が当該フィン(35)の長手方向において変化するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項6】
前記複数のフィン(35)は、前記沸騰伝熱面(34)における前記発熱体(2)の中心部に対応する部位に近づくにつれて前記フィンピッチ(P)が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項7】
前記フィン(35)は、前記沸騰伝熱面(34)から遠ざかるにつれて断面積が小さくなるように形成された断面積減少部(362)を有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記フィン(35)の側面(352)には、前記冷媒蒸気の排出を促進する凹部(353)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−50326(P2010−50326A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213872(P2008−213872)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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