説明

冷却装置

【課題】形成が容易で、微細流路の幅を任意にして、微細流路を流れる冷媒の速度のバラツキを抑制し、且つ、微細流路の幅を容易に変更することができる冷却装置を提供する。
【解決手段】発熱部品に熱的に接続される下板材3と、冷媒入口5および冷媒出口6を備え、下板材3と対向して配置されることによって空洞部を形成する上板材2と、空洞部内に配置される所定のフィンピッチでフィン4が配置されたフィンモジュールとを備えた冷却装置1であって、上板材2と下板材3がフィンモジュールによって接合されていることを特徴とする冷却装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に形成された微細な流路に冷媒を循環させることによって、発熱素子等の熱を冷媒と熱交換させて、被冷却素子を冷却するための冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細流路に流体の冷却媒体を流すことによって高い冷却性能を有する熱交換部品として用いられるマイクロチャネル構造体が、特開2006−247828号公報(特許文献1)に開示されている。図7は、マイクロチャネル構造体を説明する斜視図である。図7に示すように、特許文献1に開示されているマイクロチャネル構造体100は、外周壁部材上部101と外周壁部材下部102からなる外周壁部材と波状板部材103とを備えている。
【0003】
外周壁部材の内部には、波状板部材103を収納する収納部104が形成されている。波状板部材103は波状に成形され、稜線方向に延びる複数の微細流路105が形成されている。波状板部材103の頂部106と底部107が外周壁部材に接触している。波状板部材103の表面には球状部材108が配置されて、微細流路105の閉塞を防止している。
【0004】
複数の細溝であるマイクロチャネルを備えた熱交換装置が、特開2006−308263号公報(特許文献2)に開示されている。図8は、マイクロチャネルを備えた熱交換装置に配置されるマイクロチャネル構造体を説明する図である。
【0005】
図8に示すように、特許文献2に開示されているマイクロチャネルを備えた熱交換装置は、所定の間隔をあけて互いに平行な複数本のスリット201を有する板202を、スリット201同士が重なるように積層して、接合部材203の上に接合し、スリット201と直交する方向に端部を切断して形成された、複数の細溝204からなるマイクロチャネル構造体200を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−247828号公報
【特許文献2】特開2006−308263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のマイクロチャネル構造体においては、波状板部材を使用しているので、波板状部材のフィンピッチを任意に設定することが困難である。従って、微細流路の幅を任意に設定することが難しく、微細流路ごとに流れる冷媒の量、および速度にバラツキが生じる。その結果、各微細流路における熱交換性能にバラツキが生じて熱源に温度分布が生じてしまうという問題がある。
【0008】
更に、特許文献1に記載のマイクロチャネル構造体においては、波状板部材のフィンピッチを任意に設定することが困難であり、フィンピッチを設定する場合には、それぞれのフィンピッチに応じた冶具が必要となる。その結果、設計変更が容易でないという問題がある。
【0009】
特許文献2に記載のマイクロチャネル構造体においては、上述したように所定の間隔をあけて互いに平行な複数本のスリット201を有する板202を、スリット201同士が重なるように積層した後、スリットが開口するように積層した板を切断加工する必要があるので、製造工程が複雑となり、低コスト化が難しくなるという問題がある。
【0010】
従って、この発明の目的は、形成が容易で、微細流路の幅を任意に設定して、微細流路を流れる冷媒の速度のバラツキを抑制し、且つ、微細流路の幅を容易に変更することができる冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、発熱部品に熱的に接続される下板材と、冷媒入口および冷媒出口を備え、下板材と対向して配置されることによって空洞部を形成する上板材とを、空洞部内に配置される、所定のフィンピッチでフィンが配置されたフィンモジュールによって接合すると、形成が容易で、微細流路の幅を任意に設定して、微細流路を流れる冷媒の速度のバラツキを抑制し、且つ、微細流路の幅を容易に変更できることが判明した。
【0012】
また、任意のフィンピッチでフィンが配置されたフィンモジュールとして、上面部、垂直面部および下面部を備えたフィンを、上面部が上板材に熱的に接続され、下面部が下板材に熱的に接続された状態で、複数個並列配置すると、上板材と下板材とをフィンモジュールによって接合して、任意の幅の微細流路を容易に形成できることが判明した。この発明は、上述した研究成果に基づいてなされたものである。
【0013】
この発明の冷却装置の第1の態様は、発熱部品に熱的に接続される下板材と、冷媒入口および冷媒出口を備え、前記下板材と対向して配置されることによって空洞部を形成する上板材と、前記空洞部内に配置される、任意のフィンピッチでフィンが配置されたフィンモジュールとを備えた冷却装置であって、前記上板材と前記下板材が前記フィンモジュールによって接合されていることを特徴とする冷却装置である。
【0014】
この発明の冷却装置の第2の態様は、前記フィンが、上面部、垂直面部および下面部を備え、前記上面部が前記上板材に熱的に接続され、前記下面部が前記下板材に熱的に接続された状態で、複数個の前記フィンが並列配置されて前記フィンモジュールが形成されている冷却装置である。
【0015】
この発明の冷却装置の第3の態様は、前記フィンは、前記上面部の前記垂直面部と接続する側の辺に窪み部を備え、前記上面部の前記垂直面部と接続する側の辺と対向する辺に前記窪み部に対応する突起部を備え、隣接する前記フィンの間で前記突起部が前記窪み部に固定される冷却装置である。
【0016】
この発明の冷却装置の第4の態様は、前記フィンが取り付け孔を備えた薄板状フィンからなり、前記薄板状フィンの上端辺が前記上板材に接続され、薄板状フィンの下端辺が前記下板材に接続された状態で、複数個のフィンが並列配置され、前記取り付け孔に挿通された支持体によって固定されて、前記フィンモジュールが形成されている冷却装置である。
【0017】
この発明の冷却装置の第5の態様は、前記フィンモジュールが、並列配置された複数個の前記フィンよりも長いフィンを備えた耐圧構造を備えている冷却装置である。
【発明の効果】
【0018】
この発明のヒートシンクによると、上板材と下板材によって形成される空洞部内に、薄板フィンを並列配置したフィンモジュールを、上板材と下板材との接合するように配置するので、微細流路を容易に形成することができる。更に、フィンの間隔を安定して設定することができるので、微細流路幅を任意に設定でき、微細流路内を流れる冷媒の速度にバラツキが生じることなく熱源面を効率よく冷却することができる。更に、フィンの間隔を容易に変更できるので、設計変更が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、この発明の冷却装置の1つの態様を説明する図である。図1(a)は、斜視図である。図1(b)は分解図である。
【図2】図2はフィンモジュールの1つの態様を説明する図である。図2(a)はフィンモジュールの平面図である。図2(b)は、フィンモジュールの側面図である。図2(c)は、フィンモジュールを形成するフィンの斜視図である。
【図3】図3は、この発明の冷却装置のフィンモジュールの他の1つの態様を説明する斜視図である。
【図4】図4は、この発明の冷却装置のフィンモジュールの他の1つの態様を説明する斜視図である。
【図5】図5は、上板材および下板材によって形成される空洞部内に配置されるフィンモジュールの他の1つの態様を説明する図である。図5(a)は、平面図である。図5(b)は、図5(a)に示す丸で囲んだ部分の1つの態様の拡大図である。図5(c)は、図5(a)に示す丸で囲んだ部分の別の態様の拡大図である。
【図6】図6は、上板材および下板材によって形成される空洞部内に配置されるフィンモジュールの他の1つの態様を説明する図である。
【図7】図7は、従来のマイクロチャネル構造体を説明する斜視図である。
【図8】図8は、従来のマイクロチャネルを備えた熱交換装置に配置されるマイクロチャネル構造体を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の冷却装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
この発明の冷却装置の1つの態様は、発熱部品に熱的に接続される下板材と、冷媒入口および冷媒出口を備え、下板材と対向して配置されることによって空洞部を形成する上板材と、空洞部内に配置される任意のフィンピッチでフィンが配置されたフィンモジュールとを備えた冷却装置であって、上板材と下板材がフィンモジュールによって接合されていることを特徴とする冷却装置である。
【0021】
図1は、この発明の冷却装置の1つの態様を説明する図である。図1(a)は、斜視図である。図1(b)は分解図である。図1(a)に示すように、この発明の冷却装置1は、上板材2と下板材3を備えている。
上板材2は、冷媒入口5と冷媒出口6を備え内側に(図示しない)凹部を備えた薄板状の部材である。
【0022】
下板材3は、内部に上板材の凹部と対応する凹部7を備えた薄板状部材であり、上板材2と対向して配置されて、内部に空洞部を形成する。上板材2と下板材3によって形成される空洞部内には、所定のフィンピッチでフィンが配列されたフィンモジュール4が配置される。
【0023】
冷却装置1では、フィンモジュール4の上部と上板材2の内壁とが接合され、フィンモジュール4の下部と下板材3の内壁とが接合される。このように、フィンモジュール4と上板材2および下板材3とを接合するので、耐圧機能を備えることができる。上板材2および下板材3はそれぞれ熱伝導性に優れた金属材料、例えば銅、アルミニウム等によって形成されている。
【0024】
このように、所定のフィンピッチでフィンが配置されたフィンモジュール4によって微細流路が形成され、フィンモジュール4によって上板材2と下板材3とが接合されて、冷媒が微細流路を通って循環する冷却装置1が形成される。
【0025】
図2はフィンモジュールの1つの態様を説明する図である。図2(a)はフィンモジュールの平面図である。図2(b)は、フィンモジュールの側面図である。図2(c)は、フィンモジュールを形成するフィンの斜視図である。図2(c)に示すように、フィン8は上面部9、垂直面部10および下面部11を備えた断面概ねコの字形の薄板材からなっている。上面部9と下面部11は相互に平行に垂直面部の上端部および下端部から同一方向に延伸して形成されている。
【0026】
フィン8は熱伝導性に優れた金属、例えば銅、アルミニウム等によって形成されている。フィン8は、上面部9の垂直面部10と接続する側の辺に少なくとも1つの窪み部12を備えている。更に、フィン8は、上面部9の垂直面部10と接続する側の辺と対向する辺に、上述した窪み部12に対応する突起部13を備えている。
【0027】
図2(c)に示す態様では、上述した窪み部12および突起部13は、下面部11の垂直面部10と接続する側の辺、および、下面部11の垂直面部10と接続する側の辺と対向する辺にも、それぞれ設けられている。上述した窪み部および対応する突起部の形状は、図2(c)に示す形状に限定されることはなく、隣接するフィンが、微細流路内の冷媒の流れに影響を及ぼすことなく接続されればよい。
【0028】
図2(c)を参照して説明したフィンが複数個並列して配置されて図2(a)および図2(b)に示すようなフィンモジュール4が形成される。図2(a)に示すように、隣接するフィンの窪み部12と突起部13が嵌合して、フィンモジュール4の上面15は、全体として、平らな面を形成している。
【0029】
フィンモジュールの下面16も同様に、全体として平らな面を形成している。更に、図2(b)に示すように、断面コの字形のフィン8が複数並列配置された状態では、微細流路となる空間14内にはフィンの部分が突出することはない。
【0030】
図1を参照して説明したように、フィンモジュール4は、上板材2と下板材3とによって形成される空洞部内に配置され、上面15が上板材1の内壁と接合し、下面16が下板材3の内壁と接合される。このように、容易に、所望のフィン間隔で微細流路14が形成される。
【0031】
このように形成された微細流路は、その幅を任意に設定することが容易であり、微細流路内を流れる冷媒の速度を理想的な状態にすることが可能となる。また、その幅を一定とした場合には微細流路内を流れる冷媒の速度にバラツキが生じにくい。図2を参照して説明したフィンモジュール4は下面16が下板材3と接合されているため、発熱素子の熱を、下板材3を介して容易にフィンモジュール4に伝熱することができる。また、フィンモジュール4に伝熱された熱の一部は、さらに上板材2に伝熱して放熱される。
【0032】
図1および図2を参照して説明した冷却装置1においては、上板材2に設けられた冷媒入口5から冷媒が上板材2および下板材3によって形成された空洞部内に導かれ、空洞部内に配置されたフィンモジュール4のフィン間に形成された微細流路を通って、上板材2に設けられた冷媒出口6から冷却装置外に排出され、所望の部位で冷却された冷媒が循環して再び冷媒入口から冷却装置内に導かれる。なお、この発明のフィンモジュール4は、フィンの上面部9および下面部10の幅を調整することによって、所望のフィンピッチの微細流路を容易に形成することができる。
【0033】
図3は、この発明の冷却装置に用いられるフィンモジュールの他の1つの態様を説明する斜視図である。この態様のフィンモジュール24は、取り付け孔27を備えた複数の板状フィン25からなり、複数の板状フィン25が所定のピッチで並列に配置され、取り付け孔27に挿通された支持体26によって固定されて形成されている。図3を参照して説明したフィンモジュール24が、図1に示すフィンモジュール4と同様に、上板材2および下板材3を対向して接合して形成された空洞部内に配置される。
【0034】
その際、所定ピッチで配置された薄板状フィン25の上端辺が上板材2の平らな内壁に接合され、板状フィン25の下端辺が下板材3の平らな内壁に接合されて接続された状態で空洞部内に配置される。このように、容易に、所望のフィン間隔で微細流路28が形成される。
【0035】
図1および図3を参照して説明した冷却装置においては、上板材2に設けられた冷媒入口5から冷媒が、上板材2および下板材3によって形成された空洞部7内に導かれ、空洞部内に配置されたフィンモジュール24の隣接するフィンと、上板材および下板材とによって形成された微細流路28を通って、上板材2に設けられた冷媒出口6から冷却装置外に排出され、所望の部位で冷却された冷媒が循環して再び冷媒入口から冷却装置内に導かれる。
【0036】
図4は、この発明の冷却装置のフィンモジュールの他の1つの態様を説明する斜視図である。この態様のフィンモジュール34は、並列配置された複数個のフィン25と、このフィン25よりも長い耐圧用フィン29を備えた耐圧構造を備えている。
【0037】
図4に示すように、この態様のフィンモジュール34は、取り付け孔27を備えた薄板状フィン25およびそれよりも長い耐圧用フィン29からなり、複数の薄板状フィン25および耐圧用フィン29が所定のピッチで並列に配置され、取り付け孔27に挿通された支持体26によって固定されて形成されている。
【0038】
耐圧用フィン29は、所定のピッチで並列に配置された所定枚数の薄板状フィン25を挟むように順次配置されている。薄板状フィン25と耐圧用フィンの高さは同一に設定されている。図4を参照して説明したフィンモジュール34が、図1に示す、上板材2および下板材3を対向して接合して形成された空洞部内に配置される。
【0039】
図3を参照して説明したと同様に、その際、所定ピッチで配置された薄板状フィン25および耐圧用フィン29のそれぞれの上端辺が上板材2の平らな内壁に接合されて接続され、薄板状フィン25および耐圧用フィン29のそれぞれの下端辺が下板材3の平らな内壁に接合されて接続された状態で空洞部内に配置される。このように、容易に、所望のフィン間隔で微細流路38が形成される。
【0040】
この態様では、耐圧用フィン29は薄板状フィン25よりも長く、上板材2と下板材3との接合面積をより長くとることができる。このため、上板材2と下板材3によって形成される空洞部に冷媒が導入された場合に、その圧力(正圧または負圧)による冷却装置の変形を抑制することができる。
【0041】
図1および図4を参照して説明した冷却装置においては、上板材2に設けられた冷媒入口5から冷媒が上板材2および下板材3によって形成された空洞部7内に導かれ、空洞部内に配置されたフィンモジュール34の隣接するフィンと、上板材および下板材とによって形成された微細流路38を通って、上板材2に設けられた冷媒出口6から冷却装置外に排出され、所望の部位で冷却された冷媒が循環して再び冷媒入口から冷却装置内に導かれる。
【0042】
図5は、上板材および下板材によって形成される空洞部内に配置されるフィンモジュールの他の1つの態様を説明する図である。図5(a)は、平面図である。図5(b)は、図5(a)に示す丸で囲んだ部分の1つの態様の拡大図である。図5(c)は、図5(a)に示す丸で囲んだ部分の別の態様の拡大図である。図5(a)に示すように、フィンモジュール4の冷媒入口側、および、冷媒出口側における形状を、実質的に斜めにしている。
【0043】
このようにフィンモジュール4の冷媒入口側を斜めにすることによって、冷媒入口から流入した冷媒が、フィンモジュール4の微細流路を形成するフィン8の間に、小さい流路抵抗で導入することができる。同様に、フィンモジュール4の冷媒出口側を斜めにすることによって、フィンモジュール4の微細流路を形成するフィン8の間から出た冷媒が、小さい流路抵抗で冷却装置外に排出することができる。
【0044】
図5(b)に示す態様においては、並列配置された断面概ねコの字形のフィン8が階段状に配置されて、全体として斜め形状を示している。図5(b)には、フィン8の上面部9が示されている。図5(c)に示す態様においては、上面部、垂直面部および下面部からなる断面概ねコの字形のフィンの上面部および下面部の一部が所定の角度で切り取られている。
【0045】
このように、上面部および下面部の角部が切り取られたフィンを複数並列に配置して、全体として平行四辺形状のフィンモジュールを形成している。図5(b)および図5(c)に示す何れの態様においても、フィンモジュールの微細流路の出入り口において、実質的に開口部が拡大されて、冷媒の流入流出が容易であり、流路抵抗が小さくなるように設定されている。図5に示す態様では、フィンモジュールの開口部(冷媒の流入部、流出部)は、階段状、あるいは直線状である場合について説明したが、曲線状になっていてもよい。
【0046】
図6は、上板材および下板材によって形成される空洞部内に配置されるフィンモジュールの他の1つの態様を説明する図である。この態様では、図5(c)を参照して説明したフィンモジュール4の冷媒入口側の個々のフィンの端部を冷媒入口に向かって折り曲げて配置している(丸で囲んだ部分を参照)。個々のフィンの折り曲げ部を加工して、断面コの字形を維持するか、または、フィンの端部の上面部および下面部を取り除いて垂直面部のみにして、折り曲げ部を形成する。
【0047】
フィンモジュール4の冷媒の入り口側のフィンの形状を、冷媒の入り口側に向って折り曲げることで、冷媒の流路抵抗を小さくすることができる。なお、冷媒の出口側のフィン形状を、冷媒の出口側に向って折り曲げても、同様に冷媒の流路抵抗を小さくすることができる。
【0048】
この発明の冷却装置を実施例によって更に詳細に説明する。
図1(a)に示すようにこの発明の冷却装置(熱交換器)を調製した。冷却装置1は幅60mm、長さ120mm、高さ10mmであり、切削、プレス、絞り加工などで形成された上板材2と平板状の下板材3をロウ付などの接合方法を利用して密閉させた。
【0049】
また上板材2の所定の位置には、冷媒を循環させるための冷媒入口5と冷媒出口6として、配管口が設けられている。また、冷却装置1内部には微細流路構造体としてのフィンモジュール4がロウ付などの接合方法により、冷却装置1の上板材2および下板材3にそれぞれ取り付けられた。
【0050】
なお、各部材の接合方法についてはロウ付のほか、半田付、接着、拡散接合などの接合方法が考えられ、拡散接合を利用する場合にはロウ材などの接合のための部材を必要としないために、部材コストを抑えることが可能となる。また、冷却装置を構成する部材の材質は、冷媒の組成に応じて、銅、アルミ、鉄、ステンレスなどの熱伝導性の良い金属が利用される。
【0051】
図1(b)の分解図で示す、この発明の冷却装置における微細流路構造としてのフィンモジュール4は、図2(a)から(c)に示すような上面部、垂直面部および下面部からなる断面概ねコの字形のフィンを複数並列配置して形成されている。即ち、高さ5mm、長さ50mmの62枚のフィンプレートが、フィンピッチ0.8 mm(即ち、フィンの上面部および下面部の長さ)で並べられて構成されている。フィンプレートの材質は、冷却装置を構成する容器の部材(上板材、下板材)と同じものを使用することができる。
【0052】
この発明の冷却装置に、大きさ40mm角の100Wの熱源を取り付けたところ、熱源の温度を(冷却装置の入口部における冷媒の温度+10)℃に抑えることができた。
【0053】
なお、微細流路構造体としてのフィンモジュールを、図3に示すような複数の薄板状フィンの所定の位置にバーリング加工などで設けられた支持体取り付け穴に、支持体を挿通させて、それぞれの薄板状フィンが所定の間隔で並べられた構造としても、所望の冷却効果が得られた。
【0054】
また、図4に示すように一部の薄板状フィンの長さを延長させると、耐圧構造として機能させることが可能になり、冷却装置内部の空洞部が変形するのを防ぐことができた。
【0055】
上述したように、この発明によると、形成が容易で、微細流路の幅を任意に設定して、微細流路を流れる冷媒の速度のバラツキを抑制し、且つ、微細流路の幅を容易に変更することができる冷却装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 冷却装置
2 上板材
3 下板材
4 フィンモジュール
5 冷媒入口
6 冷媒出口
7 凹部
8 フィン
9 上面部
10 垂直面部
11 下面部
12 窪み部
13 突起部
14 微細流路
15 上面
16 下面
24 フィンモジュール
25 薄板状フィン
26 支持体
27 取り付け孔
28 微細流路
29 耐圧用フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品に熱的に接続される下板材と、
冷媒入口および冷媒出口を備え、前記下板材と対向して配置されることによって空洞部を形成する上板材と、
前記空洞部内に配置される、任意のフィンピッチでフィンが配列されたフィンモジュールとを備えた冷却装置であって、
前記上板材と前記下板材が前記フィンモジュールによって接合されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記フィンが、上面部、垂直面部および下面部を備え、前記上面部が前記上板材に熱的に接続され、前記下面部が前記下板材に熱的に接続された状態で、複数個の前記フィンが並列配置されて前記フィンモジュールが形成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記フィンは、前記上面部の前記垂直面部と接続する側の辺に窪み部を備え、前記上面部の前記垂直面部と接続する側の辺と対向する辺に前記窪み部に対応する突起部を備え、隣接する前記フィンの間で前記突起部が前記窪み部に固定される、請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記フィンが取り付け孔を備えた薄板状フィンからなり、前記薄板状フィンの上端辺が前記上板材に接続され、薄板状フィンの下端辺が前記下板材に接続された状態で、複数個のフィンが並列配置され、前記取り付け孔に挿通された支持体によって固定されて、前記フィンモジュールが形成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記フィンモジュールが、並列配置された複数個の前記フィンよりも長い耐圧用フィンを備えている、請求項4に記載の冷却装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−71386(P2011−71386A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222056(P2009−222056)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】