説明

冷却装置

【課題】ヒートシンクに備えられる放熱フィン間の暖気を排出する圧電ファンを用いた冷却装置に関するものであり、従来よりも放熱フィン間の通風性を向上させ、より冷却能力の高い冷却装置を提供する。
【解決手段】電圧の印加に応じて伸縮する圧電素子11と、圧電素子11が貼付されている振動板12と、振動板12の一端を固定する支持体13とを備え、振動板12の一端は固定端、他端は自由端であり、振動板12の自由端側の領域は複数の分割板に分割されて形成されている圧電ファン10と、ベース部22と、ベース部22の一方主面に設けられている複数の放熱フィン21とを備えるヒートシンク20とを有し、前記複数の分割板が前記放熱フィン21の間にそれぞれ挿入されている冷却装置1であって、ベース部22から放熱フィン21の先端までの長さに対するベース部22から振動板12の自由端までの長さの比が12.5%以上29.2%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクに備えられる放熱フィン間の暖気を排出する圧電ファンを用いた冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器では、機器本体の小型化と部品の高密度化が進んだために、機器内部における発熱対策が課題となっている。例えば、パーソナルコンピュータにおいては、中央演算処理装置(以下、CPU)の高速化が進み発熱体であるCPUの発熱量が増加し、さらに機器本体の小型化の影響により機器内部の通風性が低下してしまう環境になっている。そのため、発熱体の隣接面にヒートシンクを配置し、前記ヒートシンクに備えられる放熱フィン間の暖気を排出する圧電ファンを用いた冷却装置が望まれている。
【0003】
このような冷却装置は、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されているのは、図7(A)に示すように、ヒートシンク120に備えられているベース部122と複数の放熱フィン121の間の暖気を排出する圧電ファン110を用いた冷却装置100である。
【0004】
圧電ファン110は、図7(B)に示すように、圧電素子111と、前記圧電素子111が貼付されている振動板112とを備える。前記振動板112は、一端が固定部材130によってヒートシンク120に固定されて固定端113となり、他端が自由端114となる。前記振動板112は、曲げ部115で90度に折れ曲がって形成されている。曲げ部115より自由端側の領域は放熱フィン121の間隔に合わせて熊手型に複数に分割されて形成されている。
【0005】
前記圧電ファン110は、前記圧電素子111に形成されている電極(図示せず)と導体からなる前記振動板112とに駆動交流電源から電圧を印加して駆動させる。前記圧電素子111が伸縮を行うと、前記振動板112の自由端114がうちわ状に屈曲振動を行う。このようにして、圧電ファンによりヒートシンク120に設けられた放熱フィン121間の空気を交換することで、ヒートシンク120を冷却するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−67909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような冷却装置では、放熱フィンの周囲の空気をより多く排出するために、振動板の自由端をベース部にめいっぱい近づけ、振動板の自由端とベース部との距離が短くなるような条件にしがちである。このように振動板の自由端とベース部との距離が近接して配置されている場合であっても、ある程度の冷却能力は得られている。しかし近年においては、さらなる冷却能力の高い冷却装置が要求されている。
【0008】
そこで本発明は、ベース部から放熱フィンの先端までの長さとベース部から振動板の自由端までの長さの関係に着目してなされたものであり、放熱ベース部の周囲の通風性をより向上させ、従来よりも冷却能力の高い冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷却装置は、電圧の印加に応じて伸縮する圧電素子と、前記圧電素子が貼付されている振動板と、前記振動板の一端を固定する支持体とを備え、前記振動板の一端は固定端、他端は自由端であり、前記振動板の自由端側の領域は複数の分割板に分割されて形成されている圧電ファンと、ベース部と、前記ベース部の一方主面に設けられている複数の放熱フィンとを備えるヒートシンクとを有し、前記複数の分割板が前記放熱フィンの間にそれぞれ挿入されている冷却装置であって、前記ベース部から前記放熱フィンの先端までの長さに対する前記ベース部から前記振動板の自由端までの長さの比が12.5%以上29.2%以下であることを特徴とする。
【0010】
この場合は、ヒートシンクのベース部と振動板の自由端との間に適正な距離を設けることで、ベース部と分割板との間の通風性が向上するため、空気の入れ変えが活発になり、冷却装置の冷却能力を高くすることができる。
【0011】
また本発明の冷却装置は、前記放熱フィン間の前記ベース部の一方主面には低背の放熱フィンが設けられており、ベース部から前記低背の放熱フィンの先端までの長さは、前記ベース部から前記振動板の自由端までの長さ以下に形成されていることが望ましい。
【0012】
この場合は、ベース部と振動板の自由端との間に、振動板に干渉しない高さの低背の放熱フィンを更に設けることで、ヒートシンクの表面積を大きくし、冷却能力を高くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
ベース部と振動板の自由端との間に適正な距離を設けることで、ベース部と分割板との間の通風性が向上するため、空気の入れ変えが活発になり、冷却装置の冷却能力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態1による冷却装置の斜視図である。
【図2】実施形態1による冷却装置の正面図である。
【図3】実験例1〜7に基づく熱抵抗を示す図である。
【図4】(A)は実施形態1の変形例1による冷却装置の斜視図、(B)は同冷却装置の一部である圧電ファンの斜視図である。
【図5】本発明の実施形態2による冷却装置の正面図である。
【図6】(A)は実施形態2の変形例1による冷却装置の斜視図、(B)は同冷却装置の正面図である。
【図7】(A)は従来の冷却装置の斜視図、(B)は従来の圧電ファンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態に係る冷却装置について説明する。
【0016】
(実施形態1)
以下、実施形態1について、図1と図2を参照しながら説明を行う。本実施形態1の冷却装置1は図1に示すように、圧電ファン10とヒートシンク20とから構成されている。
【0017】
圧電ファン10は、所定周波数の駆動交流電圧の印加に応じて伸縮する圧電素子11と、振動板12と、支持体13とから構成されている。
【0018】
圧電素子11は、振動板12の両主面に固着されている。振動板12は、一方主面の一端が支持体13に支持されている。振動板12の支持体13によって支持されている一端を固定端14、他端を自由端15とする。
【0019】
振動板12は、幅46mm×長さ46mm×厚み100μmの薄い板状に形成されている。振動板12の自由端15側の領域では、振動板12が7枚の分割板12aに分割されて熊手型に形成されており、各分割板12aは等間隔に形成されている。各分割板12aの幅はそれぞれ4.5mmである。振動板12は、例えばNi−Fe合金から構成されている。
【0020】
圧電素子11は、幅40mm×長さ15mm×厚み100μmの板状であり、両主面に電極(図示せず)が形成されている。圧電素子11は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから構成されている。圧電素子11は、振動板12の固定端14側の領域に固着されている。
【0021】
支持体13は、幅48mm×長さ5mm×厚み3mmの直方体形状であり、例えばガラスエポキシ樹脂から構成されている。支持体13は、例えば両端の2箇所でねじ止めされることで電子機器(図示せず)に支持されるものである。
【0022】
圧電ファン10は、圧電素子11に形成されている一方の電極(図示せず)と導体からなる振動板12とに、駆動交流電源から電圧を印加して駆動させる。圧電素子11が長さ方向に伸縮を行うと、振動板12は一端が固定されているために、自由端15が圧電素子11の厚み方向にうちわ状に屈曲振動を行い、圧電ファンとして駆動する。
【0023】
ヒートシンク20は、ベース部22と、ベース部22から上方へ互いに平行に延びる複数の放熱フィン21とを備える。ベース部22は、幅50mm×長さ50mm×高さ3mmの板状である。放熱フィン21は、幅1.2mm×長さ50mm×高さ24mmの板状である。放熱フィン21はベース部22上に等間隔に設けられている。放熱フィン21間の間隔は5.5mmである。ヒートシンク20は例えばアルミニウムから構成されている。
【0024】
圧電ファン10の振動板12は、ベース部22に対して垂直に設けられており、振動板12の複数の分割板12aが放熱フィン21の間にそれぞれ挿入され、放熱フィン21に当接することなく振動するように設けられている。
【0025】
このような冷却装置は、例えば発熱体にヒートシンク20の底面を当接させて駆動させるものである。このように配置すると、発熱体で発生する熱はヒートシンク20に伝導して、放熱フィン21から暖気として空気中に放出される。これらの放熱フィン21間の暖気と周囲の冷気とを圧電ファン10が振動して入れ替えることによって、冷却装置として駆動するものである。
【0026】
本実施形態では、ベース部22から放熱フィン21の先端までの長さに対するベース部22から振動板12の自由端15までの長さの比が12.5%以上29.2%以下として形成されている。このように構成しているので、従来よりも冷却装置の冷却能力を高くすることができる。
【0027】
以下に、上記の範囲が望ましいことを示す実験結果を記述する。
【0028】
本実験では、図1に示す冷却装置1を用いて実験を行った。本実験では、ベース部22から放熱フィン21の先端部までの長さ、すなわち図2に示す距離Bを変化させずに、ベース部22から振動板12の自由端15までの長さ、すなわち図2に示す距離Aを変化させる。
【0029】
このようにして、ベース部22から放熱フィン21の先端部までの長さに対するベース部22から振動板12の自由端15までの長さの比を変化させる。すなわち、図2に示す距離Bに対する距離Aの長さの比を変化させる。詳しい条件については表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
表1に示す7条件で、冷却装置を駆動させた時の冷却装置の熱抵抗を測定して比較を行った。具体的には、ヒートシンクのベース部の他方主面に20Wの熱源を設置し、冷却装置を駆動させてベース部の一方主面の中央部の熱抵抗を測定した。熱抵抗は、(ヒートシンクの温度−外気温度)/発熱体の発熱量によって決定される。熱抵抗は、1Wあたりの温度上昇のしやすさを表し、一般的に低いと冷却能力が高いといえる。
【0032】
各圧電ファンに印加する電圧は正弦波交流電圧であり、電圧は30Vpp、周波数は95.0Hzとした。ヒートシンクの温度は、ヒートシンクのベース部の一方主面の中央部に熱電対を設けて測定を行った。また、外気温度は25℃であった。
【0033】
実験結果を図3と表1に示す。
【0034】
実験例1〜7を比較すると、実験例1の冷却装置の熱抵抗は1.89K/W、実験例2の冷却装置の熱抵抗は1.80K/W、実験例3の冷却装置の熱抵抗は1.75K/W、実験例4の冷却装置の熱抵抗は1.73K/W、実験例5の冷却装置の熱抵抗は1.72K/W、実験例6の冷却装置の熱抵抗は1.78K/W、実験例7の冷却装置の熱抵抗は1.83K/Wであった。
【0035】
実験結果から、実験例2ないし実験例5では実験例1よりも冷却装置の熱抵抗が順次低くなっているので、ベース部から放熱フィンの先端部までの長さに対するベース部から振動板の自由端までの長さの比が大きくなると、ベース部と分割板との間の空気の流入量が増加し、冷却装置の熱抵抗が減少する傾向があるといえる。
【0036】
また、実験例6および実験例7ではベース部から放熱フィンの先端部までの長さに対するベース部から振動板の自由端までの長さの比が大きくなっているにもかかわらず、実験例5よりも冷却装置の熱抵抗が高くなっている。このようにベース部から振動板の自由端までの距離が大きくなりすぎると、ヒートシンクのベース部の放熱性が悪くなり、冷却装置の熱抵抗が増加する傾向があるといえる。
【0037】
前記の結果から、ベース部から放熱フィンの先端部までの長さに対するベース部から振動板の自由端までの長さの比には適正な値があり、ベース部から放熱フィンの先端部までの長さに対するベース部から振動板の自由端までの長さの比が12.5%以上29.2%以下として形成されていると、より望ましいといえる。
【0038】
(実施形態1の変形例1)
図4(A)は本実施形態1の変形例1に係る冷却装置1Aの斜視図、図4(B)は同冷却装置の一部である圧電ファンの斜視図である。実施形態1と同一の部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0039】
本実施形態1の変形例1の冷却装置1Aは、図4(A)に示すように、圧電ファン30とヒートシンク20とから構成されている。圧電ファン30は、所定周波数の駆動交流電圧の印加に応じて伸縮する圧電素子31と、振動板32と、支持体33とから構成されている。圧電素子31は、振動板32の両主面に固着されている。振動板32は、一方主面の一端が支持体33に支持されている。振動板32の一端は固定端34、他端は自由端35であり、振動板の自由端35側の領域は複数の分割板32aに分割されて形成されている。ヒートシンク20はベース部22と、ベース部22の一方主面に設けられている複数の放熱フィン21とを備える。
【0040】
本実施形態1の変形例1における実施形態1との異なる箇所は、振動板32の形状である。具体的には、図4(B)に示すように、振動板32は長さ方向の中央にL字型の曲げ部36が設けられており、曲げ部36にて支持体33をとりつけた側に約90度に折り曲げ加工がなされている。
【0041】
本変形例1においても、ベース部から放熱フィンの先端までの長さに対するベース部から振動板の自由端までの長さの比が12.5%以上29.2%以下として形成されているので、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0042】
なお、上記実施形態1の変形例1では、振動板は長さ方向の中央部に設けられたL字型の曲げ部にて折り曲げているが、これに限るものではない。例えば、U字型やV字型の曲げ部であってもよい。
【0043】
(実施形態2)
図5は本実施形態2に係る冷却装置60の正面図である。本実施形態の冷却装置60は、圧電ファン40とヒートシンク50とから構成されている。圧電ファン40は、所定周波数の駆動交流電圧の印加に応じて伸縮する圧電素子41と、振動42と、支持体43とから構成されている。圧電素子41は、振動板42の両主面に固着されている。振動板42は、一方主面の一端が支持体43に支持されている。振動板42の一端は固定端44、他端は自由端45であり、振動板の自由端45側の領域は複数の分割板42aに分割されて形成されている。ヒートシンク50はベース部52と、ベース部52の一方主面に設けられている複数の放熱フィン51と、放熱フィン51間に設けられている低背の放熱フィン51aとを備える。
【0044】
本実施形態では、ベース部52から振動板42の自由端45との間に、振動板42に干渉しない高さの低背の放熱フィン51aを更に設けることで、ヒートシンク50の表面積を大きくし、従来よりも冷却装置60の冷却能力を高くすることができる。
【0045】
(実施形態2の変形例1)
図6(A)は本実施形態2の変形例1に係る冷却装置60Aの斜視図、図6(B)は同冷却装置60Aの正面図である。実施形態2と同一の部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0046】
本実施形態2の変形例1の冷却装置60Aは、図6(A)に示すように、圧電ファン70とヒートシンク50とから構成されている。圧電ファン70は、所定周波数の駆動交流電圧の印加に応じて伸縮する圧電素子71と、振動板72と、支持体73とから構成されている。圧電素子71は、振動板72の両主面に固着されている。振動板72は、一方主面の一端が支持体73に支持されている。振動板72の一端は固定端74、他端は自由端75であり、振動板の自由端75側の領域は複数の分割板72aに分割されて形成されている。ヒートシンク50はベース部52と、ベース部52の一方主面に設けられている複数の放熱フィン51と、放熱フィン51間に設けられている低背の放熱フィン51aとを備える。
【0047】
本実施形態2の変形例1における実施形態2との異なる箇所は、振動板72の形状である。具体的には、図6(A)に示すように、振動板72は長さ方向の中央にL字型の曲げ部76が設けられており、曲げ部76にて支持体73をとりつけた側に約90度に折り曲げ加工がなされている。
【0048】
以下に、低背の放熱フィンの形成が望ましいことを示す実験結果を記述する。
【0049】
実験例8として、図6(A)に示す冷却装置60Aを用い、実験例9として、図4(A)に示す冷却装置1Aを用いて実験を行った。実験例8は低背の放熱フィンが設けられている冷却装置、実験例9は低背の放熱フィンが設けられていない冷却装置である。
【0050】
本実験で用いる冷却装置の圧電ファンの振動板は、幅46mm×長さ50mm×厚み50μmの薄い板状に形成されている。振動板は長さ方向の中央にL字型の曲げ部が設けられており、固定端から曲げ部までの長さは25mm、自由端から曲げ部までの長さは25mmである。振動板の幅は曲げ部を境に変化しており、曲げ部よりも自由端側の振動板の幅は46mm、曲げ部よりも固定端側の振動板の幅は35mmに加工されて形成されている。振動板の自由端側の領域では、振動板が7枚の分割板に分割されて熊手型に形成されており、各分割板は等間隔に形成されている。各分割板の幅はそれぞれ4.5mmである。振動板は、例えばNi−Fe合金から構成されている。
【0051】
圧電素子は、幅33.4mm×長さ15.8mm×厚み55μmの板状であり、両主面に電極(図示せず)が形成されている。圧電素子は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから構成されている。圧電素子は、振動板の固定端側の領域に固着されている。
【0052】
支持体は、幅48mm×長さ5mm×厚み3mmの直方体形状であり、例えばガラスエポキシ樹脂から構成されている。
【0053】
ヒートシンクは、ベース部から放熱フィンの先端部までの長さが21mmとして形成されている。ベース部から振動板の自由端までの長さは6mmとする。また、実験例8のベース部52から低背の放熱フィン51aの先端部までの長さは3.5mmとする。
【0054】
上記の2条件で、冷却装置を駆動させた時の冷却装置の熱抵抗を測定して比較を行った。具体的には、ヒートシンクのベース部の他方主面に20Wの熱源を設置し、冷却装置を駆動させてベース部の一方主面の中央部の熱抵抗を測定した。
【0055】
各圧電ファンに印加する電圧は正弦波交流電圧であり、電圧は30Vpp、周波数は45.0Hzとした。ヒートシンクの温度は、ヒートシンクのベース部の一方主面の中央部に熱電対を設けて測定を行った。また、外気温度は25℃であった。
【0056】
実験結果を表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
実験例8及び9を比較すると、実験例8の冷却装置の熱抵抗は2.12K/W、実験例9の冷却装置の熱抵抗は2.05K/Wであった。
【0059】
これは、ベース部と振動板の自由端との間に、振動板に干渉しない高さの低背の放熱フィンを設けることで、ヒートシンクの表面積が増大し、ヒートシンクの放熱性が高くなったためである。
【0060】
前記の結果から、放熱フィン間のベース部の一方主面に低背の放熱フィンが設けられており、ベース部から低背の放熱フィンの先端までの長さがベース部から振動板の自由端までの長さ以下に形成されていると、より望ましいといえる。
【0061】
なお、上記実施形態2の変形例1では、振動板の長さ方向の中央部に設けられたL字型の曲げ部にて折り曲げているが、これに限るものではない。例えば、U字型やV字型の曲げ部であってもよい。
【0062】
なお、本発明に係る冷却装置は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0063】
前記実施形態では、圧電素子はチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから構成しているが、これに限るものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電体セラミックスの圧電材料などから構成してもよい。
【0064】
前記実施形態では、振動板はNi−Fe合金から形成されているが、これに限るものではない。例えばSUSなど、ばね性のある材料であればどのようなものを用いてもよい。
【0065】
前記実施形態では、振動板を両面から挟むように圧電素子をそれぞれ固着して、バイモルフ型振動子を構成したが、振動板の一方主面のみに圧電素子を接合したユニモルフ型振動子を構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1、60、100…冷却装置
10、30、40、70、110…圧電ファン
11、31、41、71、111…圧電素子
12、32、42、72、112…振動板
12a、32a、42a、72a…分割板
13、33、43、73…支持体
14、34、44…固定端
15、35、45、75…自由端
20、50、120…ヒートシンク
21、51…放熱フィン
22、52…ベース部
36、76…曲げ部
51a…低背の放熱フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加に応じて伸縮する圧電素子と、前記圧電素子が貼付されている振動板と、前記振動板の一端を固定する支持体とを備え、前記振動板の一端は固定端、他端は自由端であり、前記振動板の自由端側の領域は複数の分割板に分割されて形成されている圧電ファンと、
ベース部と、前記ベース部の一方主面に設けられている複数の放熱フィンとを備えるヒートシンクとを有し、
前記複数の分割板が前記放熱フィンの間にそれぞれ挿入されている冷却装置であって、
前記ベース部から前記放熱フィンの先端までの長さに対する前記ベース部から前記振動板の自由端までの長さの比が12.5%以上29.2%以下であることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記放熱フィン間の前記ベース部の一方主面には低背の放熱フィンが設けられており、ベース部から前記低背の放熱フィンの先端までの長さは、前記ベース部から前記振動板の自由端までの長さ以下に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−182186(P2012−182186A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42359(P2011−42359)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】