説明

冷却配送台車

【課題】蓄電池によって駆動される冷却装置により配送物品を所定の冷却温度に長時間、維持したまま配送することを可能とする。
【解決手段】移動用の車輪12と、手押し用のハンドル14と、配送物品を収納する貯蔵室4を有した断熱箱体20と、冷凍サイクルを構成する圧縮機57、凝縮器58及び蒸発器40と圧縮機を駆動する着脱自在の第1及び第2の蓄電池70、71を有し、蒸発器40により貯蔵室4内を冷却する冷却装置Rとを備え、冷却装置Rは、各蓄電池の放電を制御する制御装置93を有し、何れか一つの蓄電池からの放電により圧縮機を駆動すると共に、電池残量の少ない方の蓄電池から先に放電を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定温度に冷却維持しながら、物品を配送する冷却配送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より庫内を低温として物品の配送に用いられるものとして、低温物流用の低温庫がある。この低温庫は、例えば配送ベースにおいて食品など所定の冷却温度に維持が必要とされる配送物品を庫内に収納し、そのまま配送車の荷台に積載されて搬送される。そして、配送車によって配送先まで配送し、その場にて庫内から配送物品を取り出して、宛先人等に引き渡される。
【0003】
例えば、特許文献1に示される低温庫は、予め冷却装置により蓄冷剤を凍結させておき、その後蓄冷剤の融解潜熱によって貯蔵室内を冷却する。これによれば、蓄冷運転時、交流電源によって蓄電池を充電すると共に、前記交流電源により冷却装置を運転して蓄冷剤と交熱的に設けられる冷却器によって凍結させておき、輸送時には蓄電池を電源として送風機を運転し、蓄冷剤の冷気を貯蔵室に循環して冷却する保冷運転を実行していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−53874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の低温庫を用いた配送では、配送車が進入し難い、若しくは、停車し難い市街地やオフィス街、住宅街、ビル街、大型商業施設等おいては、配送先から離れた位置に配送車を駐車しなければならない。そのため、配送先から離れた位置において配送物品は低温庫から取り出され、外気温に晒された状態で、配送が行われることとなる。この間に、配送物品は、温度上昇を余儀なくされ、品質の劣化や、低下を招く原因となっていた。そのため、配送時における信頼性が低下する問題がある。
【0006】
そこで、このような配送車が進入し難い区域の配送を行う際には、配送物品を低温庫に収納したまま配送することが考えられる。この場合、冷却装置を構成する圧縮機や送風機を蓄電池からの給電によって運転することとなる。蓄電池は、一つの配達ルートを周回する間、即ち、充電を行うことができる配送ベースに帰還するまでの間に放電しきってしまうと以後の冷却運転ができなくなる。そのため、複数台の蓄電池を直列に接続して運転時間の長期化を図っていた。
【0007】
しかしながら、直列に接続された蓄電池がすべて放電しきってしまうと、以後は、冷却運転をすることができず、複数の蓄電池は同時に放電するため、満充電の蓄電池との交換は、すべての蓄電池を同時に行う必要があった。
【0008】
そのため、長時間の配送に出る場合には、予備の蓄電池として、接続されている蓄電池に対応する数の蓄電池を持参していく必要があり、利便性が悪いという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、手押し用の台車であって、蓄電池によって駆動される冷却装置により配送物品を所定の冷却温度に長時間、維持したまま配送することを可能とする冷却配送台車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の冷却配送台車は、移動用の車輪と、手押し用のハンドルと、配送物品を収納する貯蔵室を有した断熱箱体と、冷凍サイクルを構成する圧縮機、凝縮器及び蒸発器と圧縮機を駆動するための第1及び第2の蓄電池を有し、蒸発器により貯蔵室内を冷却する冷却装置とを備え、各蓄電池は、着脱自在に設けられ、冷却装置は、各蓄電池の放電を制御する制御装置を有し、この制御装置は、何れか一つの蓄電池からの放電により圧縮機を駆動すると共に、電池残量の少ない方の蓄電池から先に放電を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の冷却配送台車は、移動用の車輪と、手押し用のハンドルと、配送物品を収納する貯蔵室を有した断熱箱体と、冷凍サイクルを構成する圧縮機、凝縮器及び蒸発器と圧縮機を駆動するための第1及び第2の蓄電池を有し、蒸発器により貯蔵室内を冷却する冷却装置とを備え、各蓄電池は、着脱自在に設けられ、冷却装置は、各蓄電池の放電を制御する制御装置を有し、この制御装置は、何れか一つの蓄電池からの放電により圧縮機を駆動すると共に、電池残量の少ない方の蓄電池から先に放電を行わせるので、次回、満充電の電池と電池残量の少ない方の蓄電池とを交換することにより、連続使用できる時間を長くすることができる。
【0012】
これにより、より長時間充電を必要としないで圧縮機を駆動させることができ、一回の配送スケジュールでより長時間配送作業を行うことが可能となる。
【0013】
また、配送出発時に、満充電の電池を携帯していくことにより、電池残量の少ない方の蓄電池が放電しきった際に、当該満充電の電池と交換することで、より長く充電を必要としないで圧縮機を駆動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の冷却配送台車の斜視図である。
【図2】図1の冷却配送台車の正面図である。
【図3】図1の冷却配送台車の後方斜視図である。
【図4】扉を外した状態の冷却配送台車の後方斜視図である。
【図5】図4の正面から向かって左側面図である。
【図6】扉を構成する扉体の斜視図である。
【図7】扉を少許開放した状態の冷却配送台車の斜視図である。
【図8】第1の扉体のみ開放した状態の冷却配送台車の斜視図である。
【図9】断熱箱体の内部構成を示す一部切欠斜視図である。
【図10】機械室の斜視図である。
【図11】機械室の平面図である。
【図12】機械室の右側面図である。
【図13】台車の底面図である。
【図14】台車と冷却貯蔵庫との固定状態を示す斜視図である。
【図15】蓄電池部分を拡大した機械室の部分拡大斜視図である。
【図16】蓄電池部分を後方から見た機械室の部分拡大斜視図である。
【図17】コントロールパネル部分の部分拡大斜視図である。
【図18】冷却配送台車及び充電器の電気ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。図1は本発明の冷却配送台車1の斜視図、図2は図1の冷却配送台車1の正面図、図3は図1の冷却配送台車1の後方斜視図、図4は扉6を外した状態の冷却配送台車1の後方斜視図、図5は図4の正面から向かって左側面図をそれぞれ示している。
【0016】
本実施例の冷却配送台車1は、配送ベースにおいて交流電源が接続された状態では、当該交流電源の供給を受けて圧縮機57、各送風機42、59等を運転して貯蔵室4内を所定温度に冷却すると共に、蓄電池70、71の充填を行い、食品などの冷却配送物品を収納後、交流電源が切断された状態で蓄電池70、71からの給電によって圧縮機57、各送風機42、59等を運転して貯蔵室4内を所定温度に冷却し、手押しにて各家庭やオフィスなどの配送先に直接赴くことを可能とする物流用配送台車である。
【0017】
この冷却配送台車1は、台車2と、冷却貯蔵庫3とから構成される。台車2は、下面四隅に転動自在とされる移動用の車輪12・・・を備えた荷台11と、この荷台11の一側(本実施例では冷却配送台車1の前面を構成する側)より上方に起立した手押し用のハンドル14とを有する台車本体13とから構成されている。この台車2は、詳細は後述する如く荷台11に冷却貯蔵庫3を配置した状態で、固定具15により固定されている。
【0018】
冷却貯蔵庫3は、台車2の荷台11と略同等の幅寸法に構成されており、上面に開口する断熱箱体20から本体が構成されている。この断熱箱体20は、上面に開口するアルミ製、若しくは、鋼板製の外箱21と、この外箱21内に間隔を存して組み込まれた上面に開口するアルミ板、鋼板若しくは硬質合成樹脂製の内箱22と、外箱21及び内箱22間に発泡充填された発泡ウレタンからなる図示しない断熱材とから構成されている。
【0019】
そして、この内箱22内は、食品などの冷却配送物品を収納する貯蔵室4とされると共に、貯蔵室4の上面開口5は、上面一側を中心として回動自在に枢支される断熱性の扉6にて開閉自在に閉塞される。尚、本実施例において、貯蔵室4内は、例えば、約290mm程度の専用収納箱が2段に積み上げて収納可能とされる高さ寸法、例えば、約590mm程度とされている。これにより、庫内の収納性を向上させることができる。尚、当該寸法はこれに限定されるものではなく、一般的に採用されている収納箱が2段若しくは、3段等、積み上げて収納可能とされる寸法に構成することによっても庫内の収納性を向上できる。
【0020】
ここで、断熱箱体20の上面開口5及び扉6の構成について、図6乃至図8を参照して説明する。図6は扉6を構成する扉体25、26の斜視図、図7は扉6を少許開放した状態の冷却配送台車1の斜視図、図8は第1の扉体25のみ開放した状態の冷却配送台車1の斜視図をそれぞれ示している。
【0021】
扉6にて開閉自在に閉塞される断熱箱体20の上面開口5は、貯蔵室4内に収納された冷却配送物品の納出作業を行う側の面、本実施例では、ハンドル14側を前面としたときに、当該前面に向かって左側の面の上面開口縁(上面開口一辺)5Aは、他の三辺よりも所定寸法だけ低く構成された低位部23とされている。
【0022】
そして、低位部23が構成されている以外の上面開口縁の三辺の内側には、外端面5Bよりも所定寸法、例えば1cm程度だけ低く形成された段落部24とされている。
【0023】
扉6は、並設された複数枚の扉体、本実施例では、第1の扉体25と第2の扉体26とから構成されており、例えば、ハンドル14側に位置する第1の扉体25とハンドル14とは反対側に位置する第2の扉体26とは、その閉塞面積が約7:3の比率寸法に構成されている。尚、当該閉塞面積の比率は、これに限定されるものではない。
【0024】
いずれの扉体25、26も、表面に撥水加工が施されたシート材27、28、例えば、ナイロン、ビニロン、テトロン等の樹脂シートと、当該シート材によって被覆された板状の図示しない断熱材とから構成されている。尚、図6や図8において、シート材内部に収容されている断熱材を29として図示している。
【0025】
そして、各扉体25及び26の断熱材29は、これらを上面開口5の段落部24上に並置した状態で、当該上面開口5を略閉塞可能な寸法に構成されており、係る断熱材29を被覆するシート材27、28の相互に隣接する端部を除いた外周縁は、少なくとも断熱箱体20の上面を被覆するように形成されている。
【0026】
また、各扉体25、26の断熱材の上面開口一辺5Aに形成された低位部23側端部は、当該低位部23の上面に向けて垂下して構成されており、当該断熱材29の下端が被覆されるシート材27、28を介して低位部23の上面に接する構成とされている。
【0027】
そして、各扉体25、26には、断熱材を被覆するシート材27、28によって、貯蔵室4内に収納された冷却配送物品の納出作業を行う側、即ち、低位部23が形成されている側(他側)と対向する側(一側)に、ヒンジ部30、31が形成されている。そして、各扉体25、26の開放側(他側)には、上面開口5の低位部23を被覆する開閉側被覆部32、33が形成されている。
【0028】
ヒンジ部30、31は、図1及び図6に示すように、断熱箱体20一側上端を挟み込むヒレ部30A、30B及び31A、31Bにより構成されている。これらヒレ部には、断熱箱体20の一側に着脱自在に取り付けるための取付手段が設けられている。本実施例では、断熱箱体20の外箱21外面上端部及び内箱22の内面上端部、具体的には、段落部24を構成している内壁面22Aには、予め図示しない取付手段を構成する一方の面ファスナー(例えば、マジックテープ(登録商標))がそれぞれ設けられている。そして、外側に位置するヒレ部30A、31Aの内面には、断熱箱体20の外箱21外面に取り付けられた一方の面ファスナーと対応する他方の面ファスナー30C、31Cが設けられている。内側に位置するヒレ部30B、31Bの外面には、断熱箱体20の内箱22内面に取り付けられた一方の面ファスナーと対応する他方の面ファスナー30D、31Dが設けられている。
【0029】
他方、各扉体25、26の各開閉側被覆部32、33の下端部は、他側の低位部23の上部を覆うように、低位部23の上端部よりも所定寸法だけ下方に延在して構成されている。そして、低位部23の上部外面には、長手方向に延在して断熱箱体20に開閉側被覆部32、33を着脱自在に保持するための保持手段を構成する一方の面ファスナー34が取り付けられている。各開閉側被覆部32、33の下端部内面の当該面ファスナー34に対応する位置には、当該面ファスナー34に対応する他方の面ファスナー(保持手段)32A、33Aがそれぞれ取り付けられている。
【0030】
尚、本実施例では、着脱自在な取付手段及び保持手段として面ファスナーを採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、断熱箱体20の外箱21及び内箱22を鋼板製材料にて構成し、扉体25、26には、取付手段及び保持手段としての磁石を設けても良い。
【0031】
また、この開閉側被覆部32、33の下端部外面には、開閉用把手35、36がそれぞれ取り付けられている。本実施例において、この開閉用把手35、36は、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維(布)等により構成されている。
【0032】
そして、本実施例では、上面開口5の閉塞寸法が大きい方の第1の扉体25の第2の扉体26側の端部には、開閉側被覆部32に渡って閉じた状態の隣接する扉体26の端部を上方から被覆する重複部37が形成されている。
【0033】
係る構成により、扉6を断熱箱体20の上面開口5に取り付ける際には、まずはじめに、第2の扉体26の一側のヒンジ部31を断熱箱体20に取り付ける。第2の扉体26の外側に位置するヒレ部31Aの面ファスナー31Cを断熱箱体20の外箱21外面上端部に取り付けられた面ファスナーと合致させる。そして、内側に位置するヒレ部31Bの面ファスナー31Dを断熱箱体20の内箱22内面上端に取り付けられた面ファスナーと合致させる。これにより、第2の扉体26は、当該ヒンジ部31を中心として回動自在に開閉させることができる。
【0034】
第2の扉体26を閉じた状態とし、第1の扉体25の一側のヒンジ部30を断熱箱体20に取り付ける。この場合も同様に、ヒレ部30Aの面ファスナー30Cを外箱21外面上端部の面ファスナーと合致させ、ヒレ部30Bの面ファスナー30Dを内箱22内面上端の面ファスナーと合致させる。これにより、第1の扉体25も、当該ヒンジ部30を中心として回動自在に開閉させることができる。
【0035】
そして、各扉体25、26は、ヒンジ部30、31が設けられる側と対応する他側の開閉側被覆部32、33には、開放側の閉塞状態を維持する保持手段としての面ファスナー32A、33A、及び断熱箱体20側に対応する面ファスナー34が設けられているので、容易に着脱することができ、開閉操作性の向上を図ることができる。
【0036】
これにより、扉6を構成する各扉体25、26の断熱材は、断熱箱体20の上面開口5に形成された段落部24内に載置される。そのため、扉6と上面開口5縁との間に隙間が形成されにくい構成とすることができ、当該開口5縁部における貯蔵室4内の後述する如き冷気が漏洩する不都合を抑制することができる。
【0037】
また、上述したように複数枚の扉体25、26にて構成される扉6は、その隣接部分が相互に重複するように、一方の扉体25の端部が他方の扉体26の端部に重複する重複部37が形成されているため、係る扉体25、26の隣接部分における冷気の漏洩を抑制することができる。
【0038】
そのため、貯蔵室4内は、断熱箱体20の上面開口5が断熱性を有する扉6によって開閉自在に閉塞されるため、貯蔵室4内の断熱性を確保することができると共に、本実施例における扉6を構成する各扉体25、26は、断熱材を有するシート材27、28によって構成されているため、鋼板により構成される場合に比して著しく軽量化を図ることができる。これにより、手押しにて配送作業を行う冷却配送台車1全体の軽量化を実現することができると共に、扉6の開閉作業性を向上させることができる。
【0039】
また、扉体25、26を構成するシート材27、28は、表面が撥水処理が施されていると共に、端部が段落部24よりも外側であって上面開口5端縁部を被覆するように構成されているため、屋外で使用される場合であっても、雨等が貯蔵室4内に浸入しがたい構成とすることができる。
【0040】
上述したように、各扉体25、26のヒンジ部30、31は断熱箱体20に着脱自在とされているため、各扉体の交換作業を容易とすることができる。特に、本実施例では、当該冷却配送台車1が路上等を移動した際に全体が振動するが、各扉体25、26は、ヒンジ部30、31が面ファスナーによって断熱箱体20に取り付けられているため、同様に、開放側の保持手段が面ファスナーによって構成されているため、振動や衝撃によって破損しない構成とすることができる。
【0041】
また、それぞれの扉体25、26の開閉側被覆部32、33の外面に取り付けられている開閉用把手35、36は、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維等の布により構成されているため、移動の際に周囲に当該把手35、36が衝突しても、周囲や当該把手35、36が破損等する不都合を回避することができる。また、開閉用把手35、36自体を軽量化することができるため、開閉作業に支障がないと共に、冷却配送台車1全体の軽量化を図ることができる。
【0042】
更に、本実施例では、貯蔵室4内の冷却配送物品の納出作業を行う側に相当する断熱箱体20の上面開口一辺5Aは、他の辺よりも低く構成されているため、物品の納出作業性の向上を図ることができる。
【0043】
また、上述したように扉6は、複数枚の扉体、本実施例では、並設される扉体25、26により構成されているため、第1の扉体25を開放するのみで納出作業を行うことができる物品(比較的小さな配送物品)を納出する際には、図7に示すように扉6全体を開放することなく、図8のように第1の扉体25のみを開放するのみで、物品の納出作業を行うことができる。そのため、扉6全体を開放して納出作業を行う場合に比して、冷気漏洩を抑制することができる。
【0044】
この際、第2の扉体26は、上面開口5を閉塞した状態であるため、係る扉体26の上面を作業台として使用することができる。例えば、貯蔵室4の下部にある冷却配送物品を取り出す際に、その上側に収納されていた配送物品を地面に直接置くことなく、閉塞状態とされた扉体26の上面に置いて下部の配送物品の取出作業を行うことができる。配送物品を汚すことなく、取出作業性の向上を実現できる。
【0045】
次に、貯蔵室4内を所定温度に冷却する冷却装置Rの構成について図9乃至図12を参照して説明する。図9は断熱箱体20の内部構成を示す一部切欠斜視図、図10は機械室7の斜視図、図11は機械室7の平面図、図12は機械室7の右側面図をそれぞれ示している。
【0046】
貯蔵室4を構成する断熱箱体20のハンドル14が設けられている側の面、即ち、前面内壁面略中央には、上下に延在する冷気ダクト部材41が設けられている。本実施例において当該冷気ダクト部材41は、幅寸法が当該前面内壁面の幅寸法よりも所定寸法だけ小さく形成された略矩形状を呈している。
【0047】
この冷気ダクト部材41の貯蔵室4側の面(断熱箱体20の後面に対向する面)の上部中央には、冷気吸込口43が形成されていると共に、この冷気吸込口43の貯蔵室4側の面には、貯蔵室4側に突出したファンガード44が取り付けられている。
【0048】
そして、この冷気ダクト部材41の貯蔵室4側の面の下部には、左右に渡って複数の冷気吐出口45が形成されていると共に、この冷気ダクト部材41の両側面には、下部から略中央(所定)の高さに渡って補助冷気吐出口46、46が形成されている。
【0049】
この冷気ダクト部材41内には、冷却装置Rを構成する蒸発器40が縦設されていると共に、冷気循環用送風機42が配設されている。冷気ダクト部材41の底部には、蒸発器40の下方に位置して蒸発器40からのドレン水を受けるドレンパン47が配設されており、当該ドレンパン47に形成される排水口には、機械室7を介して外部に引き出されるドレンホース48が接続されている。
【0050】
一方、断熱箱体20の底面には、所定の高さを有して冷却貯蔵庫3の機械室7を画成する台脚部50が取り付けられている。この台脚部50は、台車2の荷台11と略同等の幅寸法を有しており、上述した如き台車2の荷台11上に載置されて、固定具15によって固定される。
【0051】
ここで、荷台11の底面は、強度の向上を図るべく、図13の荷台11の底面図に示すように、前後に渡って複数の突条(突起)16・・が所定間隔を存して形成されていると共に、左右に渡って複数の突条(突起)17・・・が所定間隔を存して形成されている。そのため、荷台11の底面には、格子状の突起が形成されているため、複数の矩形状の凹陥18が形成されている。
【0052】
本実施例における固定具15は、鋼板製材料を台脚部50の下部側面及び荷台11に沿って折曲形成されて構成されていると共に、その下端部には、当該荷台11底面の略中央側部に位置する凹陥18の形状と略きっちり挿入可能とする折返し部15Aが形成されている。
【0053】
そのため、台脚部50を台車2に固定する際には、まず、台車2の荷台11の所定の位置に冷却貯蔵庫3の台脚部50を載置する。そして、固定具15の折返し部15Aを所定の取付位置に対応する荷台11底面の凹陥18内に挿入し、当該固定具15を荷台11の側面及び台脚部50側面に宛がう。台脚部50と固定具15とをネジ止めにより固定する。当該固定具15は、このようにして、荷台11の左右に取り付ける。
【0054】
これにより、冷却貯蔵庫3の台脚部50と台車2の荷台11とを固定する固定具15は、凹陥18を形成する対向する少なくとも一対の突起間、本実施例では、台車2の進行方向前後に位置する突条17、17間と、台車2の進行方向左右に位置する突条16、16間に収まることにより、移動の際に生じる振動などによって、荷台11と台脚部50とを固定する固定具15の取付位置がずれてしまう不都合を解消することができる。これにより、当該冷却配送台車1によって安定した配送作業を実現することが可能となる。
【0055】
また、上述したように、冷却貯蔵庫3は荷台11と略同等の幅寸法を有してこの荷台11上に固定されているので、本実施例において採用したような簡素な固定具15によって荷台11に冷却貯蔵庫3を固定することが可能となる。
【0056】
そして、上述した如き台車2に固定される台脚部50により形成される前後側面は、前面パネル51、後面パネル52、側面パネル53、53にて被覆されている。これにより、断熱箱体20の下方に機械室7が形成される。
【0057】
この台脚部50の底面には、機械室7の底面に位置するユニットベースが配設される。本実施例において、このユニットベースは、機械室7の前部、即ち、機械室7のハンドル14側に配設される第1のユニットベース板55と、この第1のユニットベース板55とは分離されて、機械室7の後部、即ち、機械室7のハンドル14側とは反対側(進行方向前方側)に配設される第2のユニットベース板56とから構成される。
【0058】
ここで、ハンドル14側とは反対側に配設される第2のユニットベース板56上には、蒸発器40と共に冷却装置Rを構成する凝縮器58、凝縮器用送風機59、59が配設されている。
【0059】
そして、ハンドル14側に配設される第1のユニットベース板55には、蒸発器40、凝縮器58と共に冷却装置Rを構成する圧縮機57、減圧手段60等、係る蒸発器40、凝縮器58以外の冷却装置Rの構成機器が配設されると共に、電装箱61や詳細は後述する蓄電池70、71が配設される。
【0060】
このとき、第1のユニットベース板55上に載置される機器は、ハンドル14側から見て左右の重量が略均等となるように配置されている。本実施例では、圧縮機57及び蓄電池70、71が比較的重量が嵩む機器であることから、これらは、ハンドル14側から見て左右に分けて配設される。そして、第1のユニットベース板55には、圧縮機57の下方に対応して透孔55Aが形成されている(図10)。
【0061】
そして、機械室7内に配設される圧縮機57、凝縮器58、減圧手段60、貯蔵室4内の蒸発器40等が冷媒配管62によって順次接続され、環状の冷凍サイクルを構成している。
【0062】
蓄電池70、71が配設される第1のユニットベース板55側に位置する機械室7の前面パネル51には、当該蓄電池70、71を冷却配送台車1の前面側から容易に挿脱可能とするための開口63が形成されており、当該開口63は、一側を中心として枢支可能とされる鋼板製の扉64により閉塞される。尚、図中65は、開放された状態の扉64を着脱自在に保持するための磁石(保持手段)である。
【0063】
そして、凝縮器58が配設される第2のユニットベース板56側に位置する機械室7の後面パネル52には、当該凝縮器58に対向する複数の吸込孔52Aが形成されている。そして、機械室7の両側面を閉塞する側面パネル53、53には、切り起こしによって複数の吹出孔53Aが形成されている。
【0064】
これにより、作業者が、冷却配送台車1の前面に立ち、ハンドル14を握って前方に押して移動することにより、進行方向前側に位置する吸込孔52Aから外気が効率的に機械室7内に進入し、凝縮器58、圧縮機57を冷却した後、側面パネル53に形成される吹出孔53Aより廃熱が排出される。そのため、ハンドル14を操作する作業者に機械室14内の廃熱が吹き付けられる不都合を解消することができる。
【0065】
本実施例では、機械室7に配設される機器の内、比較的重量の嵩む圧縮機57や蓄電池70、71をハンドル14側に配設し、大型で比較的重量の小さい凝縮器58をハンドル14側とは反対側に配設することによって、冷却配送台車1のハンドル14側の重量を、ハンドル14の反対側、即ち、手押し作業における進行方向前側に比して重くなるように配設することができる。
【0066】
そのため、当該冷却配送台車1を手押し作業において段差等を乗り越える際には、ハンドル14側を押し下げて、ハンドル14と反対側端部(進行方向前側端部)に位置する車輪12を持ち上げて、容易に段差を乗り上げることができる。これにより、多少の段差であれば、回り道をすることなく乗り上げて進むことができ、操作性の向上を実現することができる。
【0067】
また、上述したように、第1のユニットベース板55に配設される機器は、ハンドル14側から見て左右の重量が略均等となるよう配置されているため、冷却配送台車1自体の安定性を向上させることができ、転倒してしまう不都合を防止することができる。
【0068】
更に、本実施例では、機械室7の底面に配設されるユニットベースは、圧縮機57や蓄電池70、71等が配設される第1のユニットベース板55と、凝縮器58等が配設される第2のユニットベース板56とに分離して設けられているため、ユニットベースの重量を減少させることができる。これにより、冷却配送台車1全体の軽量化を実現することが可能となる。
【0069】
特に、本実施例では、第1のユニットベース板55には、圧縮機57の下方に対応して透孔55Aが形成されているので、透孔55Aが形成されている分だけ第1のユニットベース板55の重量を減少させることができる。これによっても、冷却配送台車1全体の軽量化実現に寄与することができる。
【0070】
一方、上述した如き貯蔵室4内に配設された蒸発器40からのドレン水を受容するドレンパン47は、図9に示すように、一側、本実施例ではハンドル14側(冷却配送台車1前面側)から見て右側に向けて低く傾斜して形成されている。そして、その最下部には、図示しない排水口が形成されており、この排水口には、ドレンホース48の一端が接続されている。当該排水口の下方に位置する断熱箱体20の底面には、当該断熱箱体20を貫通する貫通孔20Aが形成されており、ドレンホース48が挿通されている。
【0071】
他方、機械室7のハンドル14側、即ち、冷却配送台車1の前側には、ハンドル14と冷却貯蔵庫3との間に位置してドレン水の排水口を構成する排水ソケット67が設けられている。この排水ソケット67は、前面パネル51の一側、本実施例では正面から向かって右側に位置して取り付けられており、その一端は、台車2の側端面と略面一に位置していると共に、他端は、前面パネル51に形成された貫通孔51Aを貫通して機械室14内に臨んでいる。
【0072】
この排水ソケット67は、両端が連通して構成されていると共に、外部に位置する端部開口は、開閉蓋68によって開閉可能に閉塞されている。
【0073】
そして、貫通孔20Aを挿通したドレンホース48は、機械室7内を蛇行して設けられると共に、その端部が排水ソケット67に接続されている。この際、ドレンホース48は、排水ソケット67に接続される端部が最も低くなるように配設されていると共に、機械室7内においてドレンホース48によってUトラップ等が構成されないように、ドレンパン47に接続される端部から順次低くなるように、蛇行して配設されているものとする。
【0074】
これにより、配送ベースから出発して配送や集配に出ている際には、排水ソケット67の開閉蓋68を閉塞しておくことにより、蒸発器40からのドレン水は、ドレンパン47から排出された後、機械室7内を蛇行して設けられるドレンホース48内に貯めておくことができる。
【0075】
そして、配送ベース等に帰還した際など、排水時には、排水ソケット(排水口)67を閉塞している開閉蓋68を任意に開放することで、ドレンホース48内に受容されたドレン水を排出することが可能となる。特に、本実施例では、機械室7内を蛇行して配設されるドレンホース48は、ドレンパン47に接続される端部から順次低くなるように配設されているため、排水時において、ドレン水がドレンホース48内に残留してしまう不都合を抑制することができる。
【0076】
従って、移動自在な冷却配送台車1において、ドレンパン47に受容されたドレン水が、移動の際に生じる振動などによって貯蔵室4内に飛び散り、配送物品等を汚してしまう不都合を解消することができると共に、任意に排水できるため、利便性の向上を図ることができる。
【0077】
また、ドレンパン47を介して貯蔵室4内と連通するドレンホース48内は、ドレン水が貯められることで、貯蔵室4内の冷気が外部に漏出する不都合を抑制することが可能となる。
【0078】
更に、排水ソケット(排水口)67は、ハンドル14側に位置して設けられているので、移動の際などに、排水ソケット67を閉塞する開閉蓋68がぶつかって取れてしまい、不用意にドレンホース68内のドレン水が外部に漏れ出てしまう不都合を解消することができる。
【0079】
次に、圧縮機57等と共に冷却装置Rを構成する蓄電池70、71について上記図10及び図11に加えて、図15及び図16を参照して説明する。図15は蓄電池70、71部分を拡大した機械室7の部分拡大斜視図、図16は蓄電池70、71部分を後方から見た機械室7の部分拡大斜視図をそれぞれ示している。
【0080】
本実施例において、圧縮機57や、冷気循環用送風機42、凝縮器用送風機59、59等に給電するための蓄電池は、充電、放電が可能なリチウムイオン電池を採用しており、複数、本実施例では、2つの蓄電池70、71が機械室7内に着脱自在に配設されている。尚、図中70A、71Aは、蓄電池70、71の把手部である。
【0081】
機械室7内には、それぞれの蓄電池70、71を内部に収納可能とする収納部72、73が配設されている。この収納部72、73は、前方、本実施例では、ハンドル14側に開口する矩形状を呈しており、当該開口より蓄電池70、71を挿脱自在とされている。尚、当該収納部72、73は、上述した如き前面パネル51に形成された開口63に対応する位置に配設されており、当該開口63を閉塞する扉64を開放することにより、収納部72、73の前面が臨む構成とされている。
【0082】
そして、この収納部72、73の奥部には、当該収容された蓄電池70、71と他の機器、例えば圧縮機57等とを電気的に接続する接続部74、74が設けられている。
【0083】
この収納部72、73は、前端部(ハンドル14側)を支持する前部取付部材75と後部取付部材76によって機械室7の底面を構成する前記第1のユニットベース板55上に固定されている。
【0084】
前部取付部材75の上端に後方(ハンドル14と反対側方向)に向けて低く形成されている収納部支持面75Aは、後部取付部材76の収納部支持部76Aよりも所定寸法だけ高く構成されている。そして、この前部取付部材75の前部には、収納された状態の蓄電池70、71の前方に位置して下方に納出自在とされるストッパー77、77がそれぞれ設けられている。
【0085】
このストッパー77は、図15に示すように、付勢部材(バネ部材)77Aによって常時上方に付勢されていると共に、そのストッパー77の前端には、当該ストッパー77を付勢部材77Aの付勢力に抗してストッパー77を押し下げる操作レバー77Bが設けられている。図15では、蓄電池70側が付勢部材77Aによってストッパー77が押し上げられている状態、蓄電池71側が操作レバー77Bによってストッパー77が押し下げられている状態を示している。
【0086】
また、この前部取付部材75の前面(ハンドル14側)には、蓄電池70、71への給電を行うための給電ソケット78が設けられている。当該給電ソケット78には、着脱自在に開閉可能とされる蓋部材79が取り付けられている。
【0087】
後部取付部材76の収納部支持部76Aにて支持される収納部72、73の後壁(ハンドル14と反対側の面)72A、73Aの下端は、図16に示すように、当該収納部72、73の側壁後端73Bよりも所定寸法だけ高い位置とされている。
【0088】
係る構成により、前部取付部材75と後部取付部材76により固定される各収納部72、73は、蓄電池70、71が差し込まれる方向、即ち、ハンドル14側から反対側方向に向けて低くなるようにこの蓄電池70、71を傾斜した状態で保持する。
【0089】
そして、各収納部72、73の底面には、前後方向、即ち差し込まれる方向に、蓄電池70、71を滑動させる例えばシリコンなどにより構成されるレール部80が敷設されている。
【0090】
係る構成により、蓄電池70を収納部72に装着する際には、前面パネル51に設けられる扉64を開放し、装着する側のストッパー77を解除すべく、操作レバー77Bを引き下げ、蓄電池70を収納部72の前端(ハンドル14側)開口より後方に向けて差し込む。
【0091】
このとき、収納部72の底面には、レール部80が敷設されているため、蓄電池70を滑動させて差し込むことができ、装着作業を容易とすることができる。蓄電池70の形状にかかわらず、当該レール部80によって蓄電池70を安定して保持することができる。
【0092】
また、収納部72は、上述したように前部取付部材75と後部取付部材76により、蓄電池70が差し込まれる方向が低くなるようにこの蓄電池70を傾斜した状態で保持するので、蓄電池70の自重によって、収納部72に設けられた接続部74に押圧される。これにより、蓄電池70と接続部74との接触性の向上を図ることができる。また、安定して蓄電池70を収納部72に保持させることができ、収納部72から蓄電池70が脱落する不都合を防止することができる。更に、操作レバー77Bを離すことによって、ストッパー77は、付勢部材77Aの付勢力によって上方に付勢され、収納部72内に収納された蓄電池70の前端は、当該ストッパー77によって前側(ハンドル14側)に飛び出す不都合を解消することができる。
【0093】
そして、このように差し込まれる方向が低くなるように蓄電池70を傾斜して保持する収納部72の後端は、上述したように、後壁(ハンドル14と反対側の面)72Aの下端が側壁後端よりも所定寸法だけ高い位置とされているため、傾斜して保持される収納部72の後下端(ハンドル14と反対側の下部)には、水抜き孔81が形成されることとなる(図16)。
【0094】
そのため、当該冷却配送台車1は、路上などの屋外にて使用され、雨などが蓄電池70の収納部72内に浸入した場合であっても、当該収納部72内に溜まった水を、当該収納部72の最も低い位置に形成される水抜き孔81より円滑に排出することができる。
【0095】
特に、当該水抜き孔81は、蓄電池70と他の機器を電気的に接続する接続部74より下方に位置して形成されているので、収納部72に浸入した水が接続部74に係る不都合を防止することが可能となる。
【0096】
そして、蓄電池70を収納部72から取り出す際には、操作レバー77Bを押し下げ、蓄電池70を前方(ハンドル14側)に引き抜きことにより行う。この場合にも、収納部72の底面には、レール部80が敷設されているため、容易に収納部72から蓄電池70を引き出すことが可能となる。
【0097】
尚、ここでは、蓄電池70の脱着作業について説明しているが、蓄電池71についても同様とする。
【0098】
本実施例における冷却配送台車1を構成する冷却貯蔵庫3のハンドル14側の面、即ち前面上部には、ハンドル14を操作する作業者の視認しやすい位置にコントロールパネル85が設けられている。このコントロールパネル85には、図17の拡大図に示すように、中央には、貯蔵室4内の温度を表示する温度表示部86が設けられ、この向かって右側に電源スイッチ87、運転中であることを表示する運転表示ランプ88、温度表示部86の向かって左側に後述する休日設定を行うため、休日設定スイッチ89、休日設定とされていることを表示する休日表示ランプ90が設けられている。また、温度表示部86の下側には、複数の表示ランプにより構成される蓄電池70、71の電池残量を表示する電池残量表示部91と、充電中であることを表示する充電表示ランプ92が設けられている。尚、各図において示される8は、冷却配送台車1の進行方向前側隅部、即ち、冷却貯蔵庫3の後隅部に上下に渡って取り付けられているバンパーである。
【0099】
次に、図18の電気ブロック図を参照して、本実施例における冷却配送台車1の制御装置93について説明する。併せて、当該冷却配送台車1の蓄電池70、71を配送ベースなどにおいて充電する充電器110についても説明する。
【0100】
まず、図18の右図を参照して、冷却配送台車側制御装置93について説明する。制御装置93は、汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、制御基板94に配設されている。そしてこの制御基板94には、上述した如きコントロールパネル85の表示・操作スイッチ基板85Aが接続されている。
【0101】
また、この制御装置93の入力側には、貯蔵室4内の温度を検出する温度センサー(温度検出手段)95と、上述した如き収納部72、73の各接続部74を介して接続される蓄電池70及び71(ここでは、蓄電池70を第1の蓄電池。蓄電池71を第2の蓄電池として説明する)のそれぞれの通信線96、97が接続されている。尚、各蓄電池70、71のそれぞれには、自らの電池残量に関するデータや、充電回数等に関するデータを保有するマイコン(蓄電池側制御装置)70M、71Mを備えているものとし、通信線96、97は、このマイコン70M、71Mに接続されている。そして、制御装置93の出力側には、冷気循環用送風機42、圧縮機57、凝縮器用送風機59が接続されている。
【0102】
第1の蓄電池70への充電及び当該蓄電池からの放電を行うための配線98は、充電器110との接続を行う給電ソケット78と、制御装置93と、切替スイッチ99にそれぞれ接続されており、第2の蓄電池71への充電及び当該蓄電池からの放電を行うための配線100は、充電器110との接続を行う給電ソケット78と、制御装置93と、切替スイッチ99にそれぞれ接続されている。
【0103】
切替スイッチ99には、更に、充電器110との接続を行う給電ソケット78と制御装置93に接続される配線101が接続されている。この切替スイッチ99は、上述した如き冷気循環用送風機42、圧縮機57、凝縮器用送風機59への給電を行う電源として、第1の蓄電池70とするか、第2の蓄電池71とするか、充電器110とするかを切り替えるスイッチであり、制御装置93により切り替えられる。尚、冷気循環用送風機42は、制御装置93により制御されるスイッチ102により、ON/OFF制御され、圧縮機57、凝縮器用送風機59は、制御装置93により制御されるスイッチ103によりON/OFF制御される。
【0104】
また、この制御装置93には、給電ソケット78を介して充電器110の制御装置111と通信を行うため、通信線104が接続されている。
【0105】
次に、図18の左図を参照して充電器110側の制御装置111について説明する。制御装置111は、汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、制御基板112に配設されている。そしてこの制御基板112には、図示しないコントロールパネルの表示・操作スイッチ基板113が接続されている。
【0106】
そして、この充電器110には、充電基板115とスイッチング電源116が設けられており、これらは、AC100Vの電源プラグ117に接続されている。充電基板115は、制御基板112に設けられている切替スイッチ118を介して第1の蓄電池70への充電用配線119と、第2の蓄電池71への充電用配線120が前記冷却配送台車1の給電ソケット78に着脱自在に取り付けられる給電プラグ121に接続されている。尚、この切替スイッチ118は、第1の蓄電池70に接続するか、第2の蓄電池71に接続するかを切り替えるスイッチであり、制御装置111により切替制御される。
【0107】
またスイッチング電源116は、AC100Vを所定のDC電圧とし、スイッチ123が介設される配線122を介して給電プラグ121に接続される。当該スイッチ123は、制御装置111によりON/OFF制御される。
【0108】
また、この制御装置111には、給電プラグ121を介して冷却配送台車1側の制御装置93と通信を行うため、通信線124が接続されている。
【0109】
係る構成により、充電器110の給電プラグ121が冷却配送台車1の給電ソケット78に接続されると、第1の蓄電池70への充電用配線119は、第1の蓄電池70に接続される配線98と接続され、第2の蓄電池71への充電用配線120は、第2の蓄電池71に接続される配線100と接続される。そして、スイッチング電源116からの配線122は、切り替えスイッチ99を介して冷気循環用送風機42や圧縮機57等に接続される配線101に接続され、充電器110側の制御装置111に接続された通信線124は、冷却配送台車1側の制御装置93に接続された通信線104と接続される。
【0110】
以上の構成で、次に、一連の動作について説明する。本実施例では、当該冷却配送台車1によって所定の範囲内の物品の配送(集配)作業を行う場合について説明する。まず、配送ベースでは、予め出発の所定時間前から冷却配送台車1の冷却装置Rを運転して貯蔵室4内を所定の冷却温度に冷却しているものとする。この際、詳細は後述するが、充電器110の給電プラグ121が給電ソケット78に接続されている場合には、充電器110からの給電によって、冷却装置Rを構成する圧縮機57等を駆動するものとする。
【0111】
そして、配送ベースにおいて、貯蔵室4内に冷却配送物品を積載し出発する。ここで、冷却配送台車1の給電ソケット78から充電器110の給電プラグ121が外されると、制御装置93は、切替スイッチ99を充電器110に接続される配線101側から第1の蓄電池70側の配線98又は第2の蓄電池71側の配線100に切り替えて何れか一方の蓄電池70又は71からの放電によって冷却装置Rの圧縮機57や冷気循環用送風機42、凝縮器用送風機59等を運転する。
【0112】
この際、各蓄電池70、71がそれぞれの接続部74、74に接続された状態で、それぞれの通信線96、97を介してマイコン70M、71Mから蓄電池の残量に関するデータが制御装置93に通信されている。そのため、制御装置93は、蓄電池70、71の電池残量のうち少ない方の蓄電池から先に放電を行わせるため、切替スイッチ99を少ない蓄電池側に切り替える。ここでは、例として第1の蓄電池70が第2の蓄電池71よりも電池残量が少ない場合を例に挙げて説明する。
【0113】
制御装置93によって切替スイッチ99を第1の蓄電池70側の配線98に切り替える。これによって、圧縮機57、冷気循環用送風機42、凝縮器用送風機59は、第1の蓄電池70からの放電によって駆動される。
【0114】
圧縮機57の駆動が開始されると、圧縮機57の吐出側の冷媒配管から吐出された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器58に流入する。ここで、十分に凝縮液化された冷媒は、減圧手段40にて減圧された後、蒸発器40に流入する。そして、冷気ダクト部材41内に設置された蒸発器40に流入した冷媒は、蒸発し、周囲から熱を奪って冷却作用を発揮する。
【0115】
冷気ダクト部材41内に配設された冷気循環用送風機42が運転されることにより、冷気ダクト部材41の上部に形成された冷気吸込口43より冷気ダクト部材41内に吸い込まれた空気は、蒸発器40と熱交換して冷却された後、冷気ダクト部材41の下部にや両側面に形成された冷気吐出口45、46より貯蔵室4内に吹き出される。
【0116】
ここで、貯蔵室4内に、ほぼ一杯の冷却配送物品が収納されている場合には、冷気ダクト部材41に近接して配送物品が配置される。この場合であっても、冷気吸込口43には、上述したように貯蔵室4側に突出したファンガード44が取り付けられているため、支障なく貯蔵室4内の冷気を冷気吸込口43より冷気ダクト部材41内に吸い込むことができる。
【0117】
また、この冷気ダクト部材41には、貯蔵室4側の面の下部のみならず、両側面にも補助冷気吐出口46、46が形成されているため、収納されている配送物品によって冷気吐出口が閉塞されてしまう不都合を防止することができる。
【0118】
そして、制御装置93は、貯蔵室4内の温度を検出する温度センサー95からの検出出力に基づき、スイッチ102、103をON/OFF制御して、圧縮機57、凝縮器用送風機59、冷気循環用送風機42の運転を制御する。これにより、円滑に、貯蔵室4内を所定の冷却温度に冷却することができる。
【0119】
このように、蓄電池70、71によって駆動する圧縮機57により、貯蔵室4内を所定温度に冷却することができ、所定の冷却状態を維持した状態で配送物品をハンドル14を押して配送先に配送することが可能となる。
【0120】
そのため、車両が入り込むことができない路地や建物内であっても、このような冷却状態を維持した状態で配送物品を配送することが可能となり、配送中に保存温度が上昇することによる配送物品の品質劣化を回避することができる。当該冷却配送台車1を用いて、集配先から集配物品を集配することによっても、集配中における保存温度の上昇を回避することができる。
【0121】
これにより、配送物品等を一定温度を維持して配送することができ、配送時における信頼性の向上を実現することができる。
【0122】
そして、制御装置93は、常時、通信線96、97を介して各蓄電池70、71のマイコン70M、71Mから蓄電池の電池残量に関するデータを受信しており、現在放電している第1の蓄電池70の電池電圧が所定の使用限界残量値を下回ったら、第1の蓄電池の電池残量が無くなったものと判断して、切替スイッチ99を第1の蓄電池70側の配線98側から第2の蓄電池71側の配線100に切り替える。これによって、圧縮機57、冷気循環用送風機42、凝縮器用送風機59は、第2の蓄電池70からの放電によって継続して駆動される。
【0123】
また、制御装置93は、当該冷却配送台車1が運転されている間、運転表示ランプ88を点灯させると共に、温度センサー95によって検出された温度をコントロールパネル85の温度表示部86にて表示する。そして、複数のランプによって構成される電池残量表示部91を第1の蓄電池70、第2の蓄電池71を併せた電池残量に応じてその残量を点灯するランプの変更や点灯するランプの数によって表示する。
【0124】
そして、当該冷却配送台車1による配送・集配作業が終了すると、配送ベースに帰還する。このように、本実施例では、制御装置93は、何れか一つの蓄電池70又は71からの放電により圧縮機57等を駆動すると共に、電池残量の少ない方の蓄電池から先に放電を行わせるので、一方の蓄電池を優先的に使用して圧縮機57等を駆動することができる。
【0125】
そのため、電池残量が少ない方の蓄電池しか使用しないで一回の配送作業が終了して配送ベースに帰還した際には、他方の満充電の蓄電池は、そのままで、電池残量がより少ない蓄電池のみを満充電の蓄電池と交換して次回の配送作業に赴くことができる。これにより、配送ベースに帰還した後、より電池残量が少ない方の蓄電池、若しくは、放電しきった(所定の使用限界残量値以下の状態とされた)蓄電池のみを満充電の蓄電池を交換するのみで、満充電の蓄電池を2つ搭載した状態で、次回の配送作業に出発することができる。そのため、充電を行う時間が取れない場合であっても、より効率的に蓄電池を使用して、冷却配送台車1を運転させることができる。
【0126】
また、配送中に一方の蓄電池が放電しきった(所定の使用限界残量値以下の状態となった)場合であっても、その後は、他方の蓄電池からの放電によって連続した圧縮機57等の駆動を行うことができる。これにより、貯蔵室4内の冷却使用可能時間を延長させることができる。
【0127】
また、配送ベースに帰還することができないまま、配送時間が延長する場合であっても、予備の蓄電池を一つ携帯して行くことで、先に放電しきった蓄電池と満充電の予備の蓄電池とを交換することで、貯蔵室4内を冷却使用可能時間を更に延長することができる。
【0128】
これにより、より長時間充電を必要としないで圧縮機57等を駆動させることができ、一回の配送スケジュールでより長時間配送作業を行うことが可能となる。
【0129】
上述した如く冷却配送台車1が配送・集配作業を終了して配送ベースに帰還すると、蓄電池の充電を行う。この場合、まず、冷却配送台車1の前面パネル51に設けられた扉64を開放して、開口63より外部に臨んで設けられる給電ソケット78に、配送ベースに据え付けられて電源プラグ117を介してAC電源が給電される充電器110の給電プラグ121を接続する。
【0130】
これにより冷却配送台車1側の制御装置93の通信線104と充電器110側の制御装置111の通信線124とが接続され、それぞれの制御装置93、111は、冷却配送台車1が充電器110に接続されたことを認識する。
【0131】
そして、冷却配送台車1側の制御装置93は、切替スイッチ99を充電器110側と接続される配線101側に切り替え、充電器110側の制御装置111は、スイッチ123をONとする。これにより、電源プラグ117を介して給電されるAC電源は、スイッチング電源116により所定のDC電源に変換された後、当該DC電源が配線122、給電プラグ121、給電ソケット78、配線101、切替スイッチ99を介して圧縮機57等に給電される。この際も、これら圧縮機57等は、制御装置93によってスイッチ102、103が切替制御されて、貯蔵室4内は所定の温度に冷却される。尚、当日以後使用の予定がない場合には、電源スイッチ87を操作することにより、冷却装置Rの圧縮機57等の運転を停止させても良い。
【0132】
冷却配送台車1側の制御装置93は、通信線96、97を介してマイコン70M、71Mから送信された第1の蓄電池70及び第2の蓄電池71の電池残量に関するデータを受信し、蓄電池70、71の電池残量のうち多い方の蓄電池から先に充電を行わせるため、いずれの電池残量が多いか否かを判断する。ここでは、例として第1の蓄電池70が放電しきって(所定の使用限界残量値以下の状態)であって、第2の蓄電池71がある程度放電されている場合を例に挙げて説明する。
【0133】
冷却配送台車1側の制御装置93は、第2の蓄電池71を先に充電させる旨を通信線104、給電ソケット78、給電プラグ121、通信線124を介して充電器110側の制御装置111に送信する。
【0134】
制御装置111は、切替スイッチ118を先に充電させる第2の蓄電池71側に切り替えて、充電基板115からの充電を開始する。これにより、電源プラグ117を介して給電されるAC電源は、充電基板115により所定のDC電源に変換された後、当該DC電源が第2の蓄電池71側に切り替えられた切替スイッチ118、充電用配線120、給電プラグ121、給電ソケット78、配線100を介して第2の蓄電池71の充電を行う。
【0135】
そして、冷却配送台車1側の制御装置93は、常時、通信線96、97を介して各蓄電池70、71のマイコン70M、71Mから電池残量に関するデータを受信しており、現在充電している第2の蓄電池71の電池残量が所定の充電完了値に達したら、第2の蓄電池71の充電が終了したものと判断して、次に第1の蓄電池70の充電を開始させる旨を充電器110側の制御装置111に送信する。
【0136】
そして、制御装置111は、切替スイッチ118を他方の第1の蓄電池70側に切り替えて、充電基板115からの充電を開始する。これにより、電源プラグ117を介して給電されるAC電源は、充電基板115により所定のDC電源に変換された後、当該DC電源が第1の蓄電池70側に切り替えられた切替スイッチ118、充電用配線119、給電プラグ121、給電ソケット78、配線98を介して第2の蓄電池70の充電を行う。
【0137】
そして、冷却配送台車1側の制御装置93は、常時、通信線96、97を介して各蓄電池70、71のマイコン70M、71Mから電池残量に関するデータを受信しており、現在充電している第1の蓄電池70の電池残量が所定の充電完了値に達したら、第1の蓄電池71の充電も終了したものと判断して、充電を終了させる旨を充電器110側の制御装置111に送信する。制御装置111は、充電基板115による充電を停止する。
【0138】
このように、何れか一つの蓄電池70又は71に充電を行う機能を有する冷却配送台車1において、各蓄電池の充電を開始する際には、電池残量が多い方の蓄電池から優先して充電を行うので、早期に満充電となる方の蓄電池の充電を行うことができる。
【0139】
これにより、冷却配送台車1に優先的に満充電とされた蓄電池(この場合先に受電される第2の蓄電池71)を搭載させることができる。そのため、第1、第2の蓄電池が満充電となる前に配送に出発する際には、電池残量の少ない方の蓄電池を満充電の蓄電池と交換して配送に出発することで、連続使用できる時間を長くすることができる。
【0140】
即ち、第2の蓄電池71(充電開始時において電池残量が多い方の蓄電池)の充電が終了しており、第1の蓄電池70(充電開始時において電池残量が少ない方の蓄電池)の充電が途中である場合や、第2の蓄電池71(充電開始時において電池残量が多い方の蓄電池)の充電が終了間際であり、第1の蓄電池70(充電開始時において電池残量が少ない方の蓄電池)が未だ充電されていない場合には、第1の蓄電池70を満充電の蓄電池と交換することで、双方の蓄電池を満充電の状態として配送に出発することができる。
【0141】
そのため、より長時間充電を必要としないで圧縮機57等を駆動させることができ、一回の配送スケジュールでより長時間配送作業を行うことが可能となる。
【0142】
また、配送出発時に、満充電の蓄電池を携帯していくことにより、電池残量の少ない方の蓄電池が放電しきった際に、当該満充電の電池と交換することで、より長く充電を必要としないで圧縮機57等を駆動させることが可能となる。
【0143】
尚、上記充電時において、制御装置93は充電している蓄電池の電池電圧が所定の充電完了値に達すると、充電終了と判断している。本実施例において採用される蓄電池は、充電開始からある一定の電池電圧、例えば、満充電状態の電池電圧の約95%程度(所定のしきい値)となるまでは、時間に対する充電効率が高い領域となる。そして、当該しきい値から満充電間際のある電池電圧、例えば、満充電状態の電池電圧の約99%程度(実用電池電圧)となるまでは、徐々に充電効率が低下していき、満充電間際から満充電の電池電圧(100%。満充電電池電圧)となるまでは、充電効率が低い領域となる。
【0144】
そのため、例えば、営業時間帯に充電を行う場合には、制御装置93は、所定の充電完了値を満充電状態の電池電圧の約99%程度の実用電池電圧を充電完了値として充電を完了させる。これにより、残り約1%程度の電池電圧充電に時間を要することなく、他方の蓄電池(他の冷却配送台車1)の充電を開始することができ、充電効率の向上を図ることができる。
【0145】
この際、制御装置93は、充電開始に伴い、通信線96、97を介してマイコン70M、71Mから送信された第1の蓄電池70及び第2の蓄電池71の電池残量に関するデータを受信し、蓄電池70、71の何れかの電池残量が多いか否かを判断する際に、電池残量が多い方の蓄電池の電池電圧が上記実用電池電圧(この場合の充電完了値)よりも低い上記所定のしきい値、例えば、満充電状態の電池電圧の約95%程度以上である場合には、当該蓄電池は満充電状態に近似した状態であると判断して、この場合は、電池残量が少ない方の蓄電池の充電を行う。
【0146】
例として第1の蓄電池70が放電しきって(所定の使用限界残量値以下の状態)であって、第2の蓄電池71が満充電状態の電池電圧の約95%程度即ち、所定のしきい値以上である場合を例に挙げて説明する。
【0147】
この場合、冷却配送台車1側の制御装置93は、第2の蓄電池71は満充電状態に近似した状態であると判断して、第1の蓄電池70を先に充電させる旨を充電器110側の制御装置111に送信する。
【0148】
制御装置111は、切替スイッチ118を第1の蓄電池70側に切り替えて、充電基板115からの充電を開始する。そして、冷却配送台車1側の制御装置93が、現在充電している第1の蓄電池70の電池電圧が所定の充電完了値(この場合、実用電池電圧)に達したら、第1の蓄電池70の充電が終了したものと判断して、次に満充電状態に近似した状態の第2の蓄電池71の充電を開始させる旨を充電器110側の制御装置111に送信し、第2の蓄電池71を実用電池電圧まで充電する。
【0149】
これにより、充電を開始する際、電池残量が多い方の蓄電池の電池電圧が充電完了値(この場合実用電池電圧)よりも低い所定のしきい値以上である場合には、他方の蓄電池から先に充電を行うことにより、早期に第1及び第2の蓄電池が所定のしきい値以上の電池電圧とすることができる。
【0150】
これにより、特に充電効率の高い範囲における充電を優先的に行うことで、効率的な充電を行うことができる。
【0151】
そして、例えば、営業時間外の夜間などに充電を行う場合には、時間的な制約が少ないため、制御装置93は、所定の充電完了値を満充電状態の電池電圧の約99%程度の実用電池電圧よりも高い満充電電池電圧を充電完了値として充電を完了させる。これにより、蓄電池を満充電まで充電することで、配送時においてより長い時間、冷却運転を実施することが可能となる。
【0152】
また、制御装置93は、内蔵されているメモリに記憶されたスケジュールに従って、所定の営業時間の終了時には、貯蔵室4内には、冷却配送物品が収納されていないので、圧縮機57や冷気循環用送風機42、凝縮器用送風機59等の運転を停止させる。そして、所定の営業時間の開始時刻よりも所定時間前となると、制御装置93は、充電器110側の制御装置111にスイッチング電源116からの通電を開始する旨を送信し、これによって、圧縮機57等の運転を開始する。これにより、営業時間開始時には、貯蔵室4内を所定の冷却温度とすることができ、すぐに配送に用いることができる。
【0153】
また、コントロールパネル85に設けられた休日設定スイッチ89を操作することにより、翌日の所定の営業時間の開始時刻よりも所定時間前に行われる圧縮機57等への通電制御をキャンセルさせて翌々日の所定の営業時間の開始時刻よりも所定時間前に圧縮機57等への通電制御を行うものとすることができる。これにより、休日であるにもかかわらず、冷却運転が開始されてしまう不都合を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0154】
1 冷却配送台車
2 台車
3 冷却貯蔵庫
4 貯蔵室
5 上面開口
5A 上面開口一辺
6 扉
7 機械室
11 荷台
12 車輪
13 台車本体
14 ハンドル
15 固定具
16、17 突条
18 凹陥
20 断熱箱体
23 低位部
25、26 扉体
27、28 シート材
30、31 ヒンジ部
30C、31C、30D、31D 面ファスナー(取付手段)
32、33 開閉側被覆部
32A、33A、34 面ファスナー(保持手段)
35、36 開閉用把手
37 重複部
40 蒸発器
41 冷気ダクト部材
42 冷気循環用送風機
43 冷気吸込口
45、46 冷気吐出口
47 ドレンパン
48 ドレンホース
50 台脚部
55 第1のユニットベース板(ユニットベース)
56 第2のユニットベース板(ユニットベース)
57 圧縮機
58 凝縮器
59 凝縮器用送風機
64 扉
67 排水ソケット(排水口)
68 開閉蓋
70、71 蓄電池
70A、71A 把手部
70M、71M マイコン(蓄電池側制御装置)
72、73 収納部
73B 側壁後端
74 接続部
78 給電ソケット
80 レール部
81 水抜き孔
85 コントロールパネル
91 電池残量表示部
93 制御装置(冷却配送台車側)
94 制御基板
95 温度センサー(温度検出手段)
96、97、104、124 通信線
98、100、101、122 配線
99 切替スイッチ
102、103、123 スイッチ
110 充電器
111 制御装置(充電器側)
112 制御基板
113 表示・操作スイッチ基板
115 充電基板
116 スイッチング電源
117 電源プラグ
118 切替スイッチ
119、120 充電用配線
121 給電プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用の車輪と、
手押し用のハンドルと、
配送物品を収納する貯蔵室を有した断熱箱体と、
冷凍サイクルを構成する圧縮機、凝縮器及び蒸発器と前記圧縮機を駆動するための第1及び第2の蓄電池を有し、前記蒸発器により前記貯蔵室内を冷却する冷却装置とを備え、
前記各蓄電池は、着脱自在に設けられ、前記冷却装置は、前記各蓄電池の放電を制御する制御装置を有し、
該制御装置は、何れか一つの前記蓄電池からの放電により前記圧縮機を駆動すると共に、電池残量の少ない方の前記蓄電池から先に放電を行わせることを特徴とする冷却配送台車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−236810(P2010−236810A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86238(P2009−86238)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】