説明

冷媒−潤滑剤の組合せを選択する方法

本発明は、伝熱サイクルシステムにおいて使用するための冷媒と潤滑剤との組合せを選択するための方法を提供し、そして前記伝熱システムを操作するための方法を提供する。さらに詳しくは、本発明は、伝熱サイクルシステムのための潤滑剤と冷媒との組合せを選択するための方法を提供し、そのシステムにおいては、その伝熱サイクルの下側温度ではその冷媒と潤滑剤とが混和性があり、そしてその伝熱サイクルの上側温度ではその冷媒と潤滑剤が相分離するので、その組合せの密度相転換温度が、その伝熱サイクルの上側操作温度よりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱サイクルシステムにおいて使用するための冷媒と潤滑剤との組合せを選択する方法に関し、前記伝熱システムを操作するための方法を提供する。さらに詳しくは、本発明は、伝熱サイクルシステムのための潤滑剤と冷媒との組合せを選択するために使用される方法に関し、そのシステムにおいては、その伝熱サイクルの下側温度ではその冷媒と潤滑剤とが混和性があり、そしてその伝熱サイクルの上側温度ではその冷媒と潤滑剤が相分離するので、その組合せの密度相転換温度(density phase inversion temperature)が、その伝熱サイクルの上側操作温度よりも低い。
【背景技術】
【0002】
伝熱システム、例えば蒸気圧縮冷凍システムにおける冷媒と潤滑剤との間の混和性は重要であって、そのようなシステムの性能を決定する。多くの場合において、すべての操作条件下において潤滑剤と冷媒との間で混和性があることが、充分な潤滑性を確保し、システム内で潤滑剤を充分に循環させ、臨界状態のシステム構成要素における効率的な伝熱を維持するためには好ましい。しかしながら、冷媒と潤滑剤の組合せの多くでは、高温では相分離を示す。密度相転換の性質も示す、そのような相分離性の冷媒と潤滑剤と組合せを使用する、冷媒と潤滑剤との組合せを選択する方法が見出されている。その「相転換温度」より低い温度では、潤滑剤リッチ相が、冷媒リッチ相よりは低密度であり、それに対して「相転換温度」よりも高い温度では、冷媒リッチ相が、潤滑剤リッチ相よりも低密度である。ある特定の組合せで、密度の逆転が起きて、一つの相が他の相よりも密度が低くなり、そのために一つの相が他の相の上になるような温度が、相転換温度である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一つの実施態様は、伝熱システム、非限定的に挙げれば、例えば、少なくとも1種の冷媒及び少なくとも1種の潤滑剤を組み入れた冷凍蒸気圧縮タイプのシステム、における冷媒と潤滑剤との組合せを選択する方法である。本発明のさらなる実施態様においては、冷媒と潤滑剤との組合せを選択するその方法では、下側操作温度範囲を選択して、冷媒と潤滑剤とが単一相を形成するようにし、そして上側操作温度範囲を選択して、冷媒と潤滑剤とが相分離して、冷媒リッチ相と潤滑剤リッチ相とになるようにする。さらなる実施態様においては、その冷媒−潤滑剤の相転換温度が、下側操作温度と上側操作温度の範囲の間にある。例えば冷凍又は空気調和システムにおけるような、従来からの冷凍蒸気圧縮システムにおいては、そのような下側操作温度と上側操作温度は、それぞれ、蒸発器吐出温度と圧縮機吐出温度である。
【0004】
冷媒と潤滑剤との組合せを選択する本発明の方法は、伝熱システムにおける効率的なオイルリターンを促進し、効率的な性能を維持するのに役立つであろう。例えば、冷凍蒸気圧縮サイクルの蒸発器においては、冷媒と潤滑剤との間に混和性がないと、オイルロギング(oil logging)及びオイルの過剰ホールドアップが起こし、それが、蒸発器を伝熱に対して断熱して、システム効率が低下する可能性がある。潤滑剤と冷媒に混和性があるならば、その潤滑剤は、蒸発器を通過して、圧縮機に戻るようになる。したがって、本発明の一つの好ましい実施態様は、その冷媒と潤滑剤との組合せが、伝熱システムの下側温度のところで混和性があって、オイルロギングを最小限に抑える場合である。
【0005】
もう一つの問題は、伝熱システムのレシーバー又はリザーバーにおけるオイルの捕集の能力である。典型的には、潤滑剤と冷媒とが不混和性であるならば、レシーバー又はリザーバーの中で、潤滑剤リッチ相が、より高密度な冷媒リッチ相の表面の上に浮かぶ可能性があり、このために、潤滑剤リッチ相が圧縮機への戻りのサクションラインより上に位置することになる。このことによって、これらのリザーバーの中に潤滑剤が捕集され、次いで圧縮機から潤滑剤が排出され、その結果、圧縮機部品の潤滑が不充分となって、過度の摩耗や、初期故障を招く可能性がある。そのようなリザーバー又はレシーバーの温度が、その冷媒−潤滑剤の組合せの相転換温度よりも充分に高ければ、その潤滑剤リッチ相が底部に沈み、捕集されて圧縮機に戻り、それによって効率的なオイルリターンが確保される。そのようなリザーバー又はレシーバーにおける温度が、その冷媒−潤滑剤の組合せの相転換温度又はその近傍であるならば、潤滑剤リッチ相と冷媒リッチ相とが、長い沈降時間を有する安定なエマルション又は混合物を形成することが可能となり、この場合もまた効率的なオイルリターンが可能となる。本発明の実施態様は、その相転換ポイントが、システムの上側操作温度と下側操作温度との間、好ましくはレシーバー又はリザーバーの温度又はそれより低温にあって、そのために、レシーバー又はリザーバーの中で潤滑剤リッチな上側層の相が生成しないというものである。
【0006】
冷媒と潤滑剤との混和挙動は、正常な操作と設備寿命を維持するためには潤滑性が不可欠な伝熱システムの圧縮機においては、極めて重要である。溶解した冷媒が潤滑剤の粘度を下げすぎるようなこがあると、圧縮機の中の潤滑が不充分となって、過剰な摩耗及び初期故障を導く可能性がある。また別な問題点は、フラッデッドスタート(flooded start)の場合であって、この場合、停止後に、圧縮機のオイル溜めが、冷媒で充満されている。始動の際に、冷媒が存在しているために潤滑剤の粘度が低下した結果、圧縮機の潤滑が不充分となる可能性がある。これは、不混和性の冷媒/潤滑剤システムの場合には特に問題となるが、この場合、圧縮機のオイル溜めの中で、冷媒層を下側にした2層が形成される可能性がある。潤滑剤が圧縮機のベアリングの中に通常取り込まれる、引き込みポイントは底部に存在している。本発明の一つの好ましい実施態様においては、圧縮機の温度が相転換温度よりも高く、それによって、圧縮機のオイル溜めの中で冷媒が潤滑剤に置き換わる機会が制限され、潤滑性に寄与して、フラッデッドスタートにおける多くの問題が回避されるであろう。別な実施態様においては、アイドリング期間における圧縮機中の温度を、冷媒と潤滑剤とが混和性があるようにしている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の範囲を限定する意図はないが、本発明の冷媒としては、以下のものを含む組成物が挙げられる:ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFO)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、炭化水素(HC)、二酸化炭素、アンモニア、ジメチルエーテル、及び/又はそれらの混合物。好ましくは、その冷媒がヒドロフルオロオレフィンを含んでいる。より好ましくは、その冷媒が、フッ素化C3〜C6アルケン、より好ましくはフッ素化C3〜C4アルケン、さらにより好ましくはトリ−、テトラ−もしくはペンタ−フルオロ−プロペン、さらにより好ましくは、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、及び/又はそれらの混合物を含む。トリフルオロプロペンの例としては、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)が挙げられる。テトラフルオロプロペンの例としては、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)が挙げられる。1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)には、シス異性体、トランス異性体、及びそれらの混合物を含むことができるが、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが主としてトランス異性体であるのが好ましい。
【0008】
HFCの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ジフルオロメタン(HFC−32);1−フルオロエタン(HFC−161);1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a);1,2−ジフルオロエタン(HFC−152);1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a);1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125);1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245ca);1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea);1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロプロパン(HFC−4310)及びそれらの混合物。炭化水素の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:プロパン、ブタン、イソブタン、プロピレン、及びそれらの混合物。ヒドロクロロフルオロカーボンの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:HCFC−22、HCFC−123、及びそれらの混合物。HCFOの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)好ましくはトランス異性体、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び/又はそれらの混合物。
【0009】
いかなる点においても本発明の範囲を限定する意図はないが、本発明の潤滑剤としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)、ポリビニルエーテル(PVE)、ポリグリコール、ポリアルキレングリコールエステル、アルキルベンゼン、鉱油、ポリアルファオレフィン、及び/又はそれらの混合物。PAGオイルは、好ましくは、2個以上のオキシプロピレン基からなるホモポリマー又はコポリマーである。PAGオイルは、「未封止」であっても、「一端封止」であっても、あるいは「両端封止」であってもよい。市販されているPAGオイルの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ND−8、Castrol PAG 46、Castrol PAG 100、Castrol PAG 150、Daphne Hermetic PAG PL、Daphne Hermetic PAG PR。市販されているPOEオイルの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:Emkarate POE RL 32H、Emkarate POE RL 68H、Copeland Ultra 22CC、Copeland Ultra 32CC。潤滑オイルの好ましい粘度は、約10〜約200センチストークスである。
【0010】
本発明の範囲内である冷媒/潤滑剤の組合せの例としては以下のものが挙げられる:
HFO−1234yf/PAG
HFO−1234yf/POE
HFO−1234yf/PVE
HFO−1234ze/PAG
HFO−1234ze/POE
HFO−1234ze/PVE
HFO−1243zf/PAG
HFO−1243zf/POE
HFO−1243zf/PVE
【0011】
同一のファミリー(例えばPAG)内の潤滑剤の化学組成を変えることができるというのは、認識されている。したがって、同一の冷媒との組合せで使用したとしても、その混和挙動と転換温度は、ある潤滑剤と他のものとでは変えることができる。したがって、本発明の冷却の方法の操作温度は、その冷媒と潤滑剤との特定の組合せに依存して変化してよい。当業熟練者ならば、ある特定の組合せの相転換温度を求めることができる。
【0012】
冷凍、空気調和、及び液体冷却のためを含めた、伝熱システムは、そのサイクルの一部を下側操作温度範囲で、そしてそのサイクルの他の一部を上側操作温度範囲で操作される。これら上側及び下側の温度範囲は、特定の用途に依存するであろう。例えば、低温冷凍のための操作温度は、自動車用空気調和の場合や水冷却器の場合とは異なっていてよい。その上側操作温度範囲は、好ましくは約+15℃〜約+90℃、より好ましくは約+30℃〜約+70℃である。その下側操作温度範囲は、好ましくは約+25℃〜約−60℃、より好ましくは約+15℃〜約−30℃である。例えば、低圧液体冷却器は、約−10℃〜+10℃の蒸発器温度と、約+30℃〜+55℃の凝縮器温度で操作することができる。例えば、空気調和装置、例えば自動車用ACは、4℃の蒸発温度及び40℃の凝縮温度で操作することができる。冷凍の場合には、その下側操作温度範囲は、特定の用途に依存させてよい。例えば、冷凍のためのいくつかの適用温度としては以下のものが挙げられる:フリーザー(例えば、アイスクリーム):−15゜F±2゜F(−26℃±1.1℃);低温:0゜F±2゜F(−18℃±1.1℃);中温:38゜F±2゜F(3.3℃±1.1℃)。これらの例は、説明のためだけであって、いかなる点においても本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲内において、その他の操作温度及び操作温度範囲を採用することができる。
【0013】
それらの組成物にはさらに、以下のような添加物を含んでいてもよい:染料、粘度調整剤、消泡剤、腐食防止剤、安定剤、相溶化剤、酸化防止剤、流動点降下剤、ナノ粒子、火炎抑制剤、及びそれらの混合物。
【0014】
本発明のまた別な実施態様は、冷媒−潤滑剤の組合せを用いた伝熱システムを操作する方法である。一つの実施態様においては、伝熱システムの一部が、冷媒と潤滑剤とが単一相を形成する下側操作温度範囲で操作される。その伝熱システムの他の一部は、冷媒と潤滑剤とが分離して冷媒リッチ相と潤滑剤リッチ相とになる上側操作温度範囲で操作される。本発明のこの実施態様においては、その伝熱システムが、冷媒/潤滑剤の組合せの密度相転換温度が上側操作温度と下側操作温度との間にあるようにして操作される。
【実施例】
【0015】
実施例1
勾配圧力容器(graduated pressure vessel)に、ほぼ当部のHFO−1234yfと市販のPAG潤滑剤(Castrol PAG 46)とを添加した。それらの構成要素を混合し、周囲温度に静置して、平衡に到達するようにした。周囲温度(約20℃)で、その混合物を相分離させると、冷媒リッチ液相の上に潤滑剤リッチ液相が浮いた。その混合物の温度を周囲温度よりも低くするために、その圧力容器を、一定温度の冷凍庫又はフリーザーに入れて冷却して、平衡に到達するようにした。8℃では、その混合物には混和性があり、単一の液相しか示さなかった。−20℃でも、その混合物には混和性があり、単一の液相のみであった。
【0016】
次いで、その混合物の温度を周囲温度より高くするために、その勾配圧力容器を定温浴に入れて、25℃〜50℃の間で数段階で加熱し、それぞれの段階で平衡に到達させ、一定時間ごとに容器の内容物を観察した。混合物には、二つの液相が含まれていた。30℃では、その2相を区別するのは、極めて困難であった。35℃では、その2相を区別するのは依然として困難ではあったが、液体の冷媒リッチ相が、より潤滑剤リッチな相の上に浮いていた。40℃以上では、冷媒リッチ相であるサンプルの割合が増えてきて、2相がより容易に区別できるようになった。
【0017】
その勾配圧力容器を定温浴から取り出して、放冷した。容器の冷却が進むにつれて、その冷媒リッチ相が容器の底に沈むのが観察された。
【0018】
この実施例から、HFO−1234yfとCastrol PAG 46との組合せは、8℃〜−20℃の間では混和性があるが、それに対して+20℃以上では不混和性で、密度相転換温度が約+30℃であることが判る。
【0019】
実施例2
実施例1の冷媒/潤滑剤の組合せ(冷媒:HFO−1234yf、潤滑剤:Castrol PAG 46)を使用して、蒸気圧縮空気調和システムの操作が可能である。その下側操作温度範囲は、約+8℃〜約−20℃であり、それに対してその上側操作温度範囲は約30℃以上とすることが可能であった。その空気調和システムは、本発明に従って操作されるが、その蒸発器温度は4℃±2℃に維持され、その凝縮温度は約40℃に維持される。この操作条件を使用すれば、その冷媒と潤滑剤とは、空気調和システムの最も低い温度では混和性があるが、その一方で、上側操作温度では、冷媒と潤滑剤が不混和性となるが、ただし、冷媒リッチ相の方が低密度である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気圧縮伝熱システムのための冷媒と潤滑剤との組合せを選択するための方法であって、
a.蒸気圧縮伝熱システムの下側操作温度範囲を求める工程;
b.前記蒸気圧縮伝熱システムの上側操作温度範囲を求める工程;及び
c.第一の濃度にある、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、炭化水素(HC)、二酸化炭素、アンモニア、ジメチルエーテル、又はそれらの混合物から選択される冷媒、並びに第二の濃度にある、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)、ポリビニルエーテル(PVE)、ポリグリコール、ポリアルキレングリコールエステル、アルキルベンゼン、鉱油、ポリアルファオレフィン、又はそれらの混合物から選択される潤滑剤を選択する工程であって、前記冷媒と前記潤滑剤とが、前記下側操作温度範囲内の第一の温度において混和性があり、そして前記上側操作温度範囲内の第二の温度において冷媒リッチ相及び潤滑剤リッチ相を有する流体システムを形成するが、ただし、前記第二の温度が、前記第一の温度よりも高く、前記第二の温度では前記潤滑剤リッチ相が、前記冷媒リッチ相よりも高密度である工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記冷媒と潤滑剤との組合せの前記相転換ポイントが、前記システムの前記上側操作温度範囲と前記下側操作温度範囲との間にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロフルオロオレフィンが、C3〜C6アルケンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記C3〜C6アルケンが、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペンが、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記上側操作温度範囲が約+15℃〜約+90℃であり、そして前記下側操作温度範囲が約−60℃〜約+25℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記上側操作温度範囲が約+30℃〜約+70℃であり、そして前記下側操作温度範囲が約−30℃〜約+15℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記流体システムが、染料、粘度調整剤、消泡剤、腐食防止剤、安定剤、相溶化剤、酸化防止剤、流動点降下剤、ナノ粒子、火炎抑制剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種又は複数の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
蒸気圧縮伝熱装置システムの中に、冷媒及び潤滑剤を導入するための方法であって、
a.伝熱回路、入口側及び出口側を有する圧縮機、冷媒及び潤滑剤のリザーバーを含む蒸気圧縮伝熱装置を準備する工程であって、前記リザーバーが、前記圧縮機の入口及び前記伝熱回路と流体連通状態にあり、そして前記伝熱回路が、前記圧縮機の出口側と流体連通状態にある工程;
b.前記蒸気圧縮冷凍装置の下側操作温度範囲を求める工程;
c.前記蒸気圧縮冷凍装置の上側操作温度範囲を求める工程;
d.第一の濃度にある、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCF)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCF)、炭化水素(HC)、二酸化炭素、アンモニア、又はそれらの混合物から選択される冷媒を選択し、並びに第二の濃度にある、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)、ポリビニルエーテル(PVE)、ポリグリコール、ポリアルキレングリコールエステル、アルキルベンゼン、鉱油、ポリアルファオレフィン、又はそれらの混合物から選択される潤滑剤を選択して、流体システムを形成させる工程であって、前記冷媒と前記潤滑剤とが、前記下側操作温度範囲内の第一の温度において混和性があり、そして前記上側操作温度範囲内の第二の温度において冷媒リッチ相及び潤滑剤リッチ相を有する流体システムを形成するが、ただし、前記第二の温度が、前記第一の温度よりも高く、前記第二の温度では前記潤滑剤リッチ相が、前記冷媒リッチ相よりも高密度である工程;並びに
e.前記冷媒及び潤滑剤を前記蒸気圧縮伝熱装置の中に導入する工程、
を含む方法。

【公表番号】特表2013−515838(P2013−515838A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547125(P2012−547125)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061258
【国際公開番号】WO2011/082003
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
【Fターム(参考)】