説明

冷蔵庫

【課題】減圧した貯蔵室内のガスを検知して、収納物に適した保存状態に制御する冷蔵庫を提供することを目的とする。
【解決手段】貯蔵室と、該貯蔵室の気体を該貯蔵室外へ排出することで減圧する減圧手段を備えた冷蔵庫であって、前記減圧手段によって前記貯蔵室から排出された気体の種類,濃度,温度の少なくともいずれかを検出する検出手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開平10−103849号公報(特許文献1)に示されたものがある。この冷蔵庫は冷却用冷気の侵入しない減圧貯蔵室と、減圧貯蔵室内を減圧する真空ポンプとを備えており、貯蔵室内に、空気圧力検知手段及び、青果物が発生する熟成促進ガス(エチレンガス)を検知するガス検知手段を設置し、空気圧力検知手段及びガス検知手段にて検知された、圧力及びガス濃度に応じて貯蔵室内の減圧制御を行うものである。
【0003】
また、特開2009−36440号公報(特許文献2)がある。この冷蔵庫は、低圧室と、低圧室の空気を吸引して減圧する真空ポンプと、低圧室の圧力が所定圧力範囲より高いか低いかを判定する圧力検知手段とを有し、真空ポンプを運転し所定圧力範囲まで低下したと判定された後、真空ポンプの運転積算時間が所定時間経過後に減圧目標に達したと判定し真空ポンプを停止する。真空ポンプ内には圧力検知手段である圧力スイッチが内蔵されており、圧力スイッチは導管を通して低圧室内と導通し、低圧室内の圧力を検知可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−103849号公報
【特許文献2】特開2009−36440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来例では次のような課題がある。
【0006】
特許文献1では貯蔵室内の空気圧力を検知する圧力検知手段及び熟成促進ガスを検知するガス検知手段はいずれも貯蔵容器内に設置されており、これら検知手段からの出力に基づいて減圧手段を制御しているが、減圧手段は貯蔵室外に設置されており検知手段と減圧手段の接続方法については明示されていない。貯蔵室内の検知手段と貯蔵室外の減圧手段を接続するためには貯蔵室に接続部材を通す穴が必要であり、その穴によって貯蔵室内の減圧状態が保てなくなるため、穴からの空気流入を防ぐための部品の追加が必要となり、コスト増や信頼性の低下を招く懸念がある。
【0007】
特許文献2では低圧室内の圧力が所定圧力範囲より高いか低いかを判定する圧力検知手段である圧力スイッチが真空ポンプ内に内蔵されており、圧力検知手段及び真空ポンプがいずれも低圧室の外に設置されているため、低圧室に穴を開ける必要はない。しかし、低圧室内の圧力以外の気体状態を検知する検知手段は備えられていないため、ガスの種類や濃度,温度などを検知できず、低圧室内の収納物の種類や温度を判定できないため収納物に最適の保存状態に保つことが困難である。
【0008】
そこで本発明は、減圧した貯蔵室内のガスを検知して、収納物に適した保存状態に制御する冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、貯蔵室と、該貯蔵室の気体を該貯蔵室外へ排出することで減圧する減圧手段を備えた冷蔵庫であって、前記減圧手段によって前記貯蔵室から排出された気体の種類,濃度,温度の少なくともいずれかを検出する検出手段を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、減圧した貯蔵室内のガスを検知して、収納物に適した保存状態に制御する冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態の冷蔵庫の中央縦断面図である。
【図2】図1に示した冷蔵室の最下段空間部分の断面斜視図である。
【図3】図1に示した冷蔵室の背面パネルの正面図である。
【図4】食品による二酸化炭素発生量の違いを説明する図である。
【図5】図2に示した負圧ポンプの断面図である。
【図6】図2に示した負圧ポンプの図5とは別形態の断面図である。
【図7】本実施の形態の冷蔵庫における制御の内容を示す制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、貯蔵室と、該貯蔵室の気体を該貯蔵室外へ排出することで減圧する減圧手段を備えた冷蔵庫であって、前記減圧手段によって前記貯蔵室から排出された気体の種類,濃度,温度の少なくともいずれかを検出する検出手段を備える。
【0013】
これにより、貯蔵室に検出手段と温度制御手段をつなぐための配線を通す孔等の開口を設ける必要がなく、安価で信頼性の高い冷蔵庫を提供することができる。
【0014】
また、前記検知手段にて検知した気体の種類,濃度,温度の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記貯蔵室の温度を制御する制御手段を備える。
【0015】
これにより、減圧貯蔵室内に収納した食品に応じて、所定の温度に精度よく保つことができる。
【0016】
また、前記減圧手段は容器内に収納されており、前記検知手段は該容器内の前記減圧手段と接触しない位置に設置される。これにより、減圧動作を妨げることなく、検知手段の検知精度を向上することができる。
【0017】
また、前記減圧手段は前記容器に前記減圧手段から発生する振動を吸収する緩衝部材を介して配置される。これにより、冷蔵庫の騒音の発生を抑制して、適切な減圧動作が行えるとともに、検知手段で適切な検知ができる。
【0018】
また、前記検知手段のうち気体の温度を検知する温度検知手段は、前記貯蔵室の外表面に設ける。これにより、減圧貯蔵室の密閉性を保ちながらも、減圧貯蔵室内の気体を検知して、これに基づいて貯蔵食品に適した雰囲気を保つように制御できる。
【0019】
また、前記検出手段のうち気体の種類又は濃度の少なくともいずれかを検出する手段は、二酸化炭素センサーである。これにより、野菜が収納された場合を検知でき、これに基づいて野菜が凍結するのを防止するように温度制御できる。
【0020】
以下、本発明の一実施の形態になる冷蔵庫について、添付の図を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明に成る冷蔵庫の構成に関して説明する。なお、図1は本実施形態の冷蔵庫の中央縦断面図であり、図2は上記図1に示した冷蔵室の最下段空間部分の断面斜視図である。
【0022】
これらの図からも明らかなように、冷蔵庫は、冷蔵庫本体1と、その前面に設けられた複数の扉6〜10を備えて構成されている。冷蔵庫本体1は、鋼板製の外箱11と、樹脂製の内箱12、それらの間に充填されたウレタン発泡断熱材13及び/又は真空断熱材(図示せず)とから構成されており、図の上から、冷蔵室2,冷凍室3,4、そして、野菜室5の順に、複数の貯蔵室が形成されている。換言すれば、最上段には冷蔵室2が、そして、最下段に野菜室5が、それぞれ、区画して配置されており、冷蔵室2と野菜室5との間には、これらの両室から熱的に仕切られた冷凍室3,4が配設されている。冷蔵室2及び野菜室5は、冷蔵温度帯の貯蔵室であり、冷凍室3,4は、0℃以下の冷凍温度帯(例えば、約−20℃〜−18℃の温度帯)の貯蔵室である。これらの貯蔵室2〜5は仕切り壁33,34,35により区画されている。
【0023】
冷蔵庫本体1の前面には、前述したように、複数の貯蔵室2〜5の前面開口部を閉塞するため、それぞれ、扉6〜10が設けられている。冷蔵室扉6は冷蔵室2の前面開口部を閉塞する扉、冷凍室扉8は冷凍室3の前面開口部を閉塞する扉、冷凍室扉9は冷凍室4の前面開口部を閉塞する扉、そして、野菜室扉10は野菜室5の前面開口部を閉塞する扉である。また、冷蔵室扉6は観音開き式の両開きの扉で構成され、冷凍室扉8,冷凍室扉9,野菜室扉10は、引き出し式の扉によって構成され、引き出し扉と共に、貯蔵室内の容器が引き出される構造となっている。
【0024】
上述した構造の冷蔵庫本体1には、冷凍サイクルが設置されている。この冷凍サイクルは、圧縮機14,凝縮器(図示せず),キャピラリチューブ(図示せず)及び蒸発器15、そして、再び、圧縮機14が、その順に接続されて構成されている。圧縮機14と凝縮器は、冷蔵庫本体1の背面下部に設けられた機械室内に設置されている。蒸発器15は冷凍室3,4の後方に設けられた冷却器室内に設置され、この冷却器室における蒸発器15の上方には、送風ファン16が設置されている。
【0025】
上記蒸発器15によって冷却された冷気は、ここでは図示しない冷気通路を介して、送風ファン16によって冷蔵室2,冷凍室3,4及び野菜室5など、各貯蔵室へ送られる。具体的には、送風ファン16によって送られる冷気は、開閉可能なダンパーを介して、その一部が冷蔵室2及び野菜室5の冷蔵温度帯の貯蔵室へと送られ、また、残りの一部が冷凍室3,4の冷凍温度帯の貯蔵室へと送られる。
【0026】
送風ファン16によって冷蔵室2,冷凍室3,4及び野菜室5の各貯蔵室へと送られる冷気は、各貯蔵室内を冷却した後、冷気戻り通路を通って、冷却器室へと戻される。このように、本実施の形態になる冷蔵庫は、冷気の循環構造を有しており、そして、各貯蔵室2〜5を適切な温度に維持する。
【0027】
また、冷蔵室2内には、透明な樹脂板で構成される複数段の棚17〜20が取り外し可能に設置されている。最下段の棚20は、内箱12の背面及び両側面に接するように設置され、その下方空間である、所謂、最下段空間21を上方空間から区画している。また、各冷蔵室扉6の内側には複数段の扉ポケット25〜27が設置され、これらの扉ポケット25〜27は、冷蔵室扉6が閉じられた状態で、冷蔵室2内に突出するように設けられている。冷蔵室2の背面には、送風ファン16から供給された冷気を通す通路を形成する背面パネル30が設けられている。
【0028】
最下段空間21には、図2にも明らかなように、左から順に、冷凍室3の製氷皿に製氷水を供給するための製氷水タンク22、デザートなどの食品を収納するための収納ケース23、室内を減圧して食品の鮮度保持及び長期保存するための低圧室24が、それぞれ、設けられている。低圧室24は、冷蔵室2の横幅より狭い横幅を有しており、冷蔵室2の側面に隣接して配置されている。なお、この低圧室24は、図からも明らかなように、その周囲を壁や扉で取り囲んで気密に形成されており、そのため、その内部の気圧を外部よりも低下させることができる。
【0029】
製氷水タンク22及び収納ケース23は、図2の左側において、冷蔵室扉6(図1)の後方に配置されている。これによって、左側の冷蔵室扉6を開くのみで、製氷水タンク22及び収納ケース23を引き出すことができる。また、低圧室24は、図の右側において、冷蔵室扉6の後方に配置されている。これによって、右側の冷蔵室扉6を開くのみで、低圧室24の食品トレイ60を引き出すことができる。なお、これらの製氷水タンク22及び収納ケース23は、上記図1では、冷蔵室扉6最下段の扉ポケット27の後方に位置することとなり、そして、低圧室24も、また、冷蔵室扉6の最下段の扉ポケット27の後方に位置することとなる。
【0030】
次に、図3を用いて、図1に示した背面パネル30の詳細について説明する。この背面パネル30には、冷蔵室2に冷気を供給する冷蔵室冷却用の冷気吐出口(第1の冷気吐出口)31と、冷蔵室2の最下段空間21に冷気を供給する低圧室冷却用の冷気吐出口(第2の冷気吐出口)32と、そして、冷気戻り口33とが設けられている。冷気戻り口33は、低圧室24の背面後方において、冷蔵室2の側面に近い側に位置して設けられている。
【0031】
また、冷気吐出口32は低圧室24の上面と棚20の下面との隙間に向けて設けられている。冷気吐出口32から吐出された冷気は、低圧室24の上面と棚20の下面との隙間を流れ、低圧室24を上面から冷却する。従って、低圧室24内を間接冷却する。
【0032】
また、冷気吐出口32よりも上流側には、低圧室24内への冷気の流れを制御するためのダンパー装置41が設けられている。このダンパー装置41の開閉は、図示しない制御装置によって制御されており、これにより、低圧室24への冷気供給量が制御される。
【0033】
更に、図1に示すように、低圧室24内の温度を上昇させるため、例えば、ヒータ43が設けられている。このヒータ43は、低圧室24内の下方投影面に設けられており、本例では、低圧室24内の底面とほぼ同程度の面積のヒータとしている。
【0034】
なお、ここでは、低圧室24を冷蔵室2の右側面に近接して配置して低圧室24の右側の隙間をなくすと共に、低圧室24の上面の左端部には図示しない棚(仕切り壁)を設けて低圧室24の左側の隙間をなくしていることから、冷気吐出口32から吐出された冷気は、低圧室24の左右の側方に分流することなく、低圧室24の上面を流れる。これによって、低圧室24の上面を冷却する冷気量を増大することにより、低圧室24内を速く冷却することができる。この低圧室24の上面を冷却した冷気は、低圧室24の前方から低圧室24の左側面を通って冷気戻り口33に吸い込まれ、冷気戻り通路を通って冷却器室へと戻される。冷気戻り口33は低圧室24の背面後方で冷蔵室2の側面に近い側に位置して設けられているので、冷気は低圧室24の背面及び左側面に接触して冷却する。
【0035】
このように、低圧室24は、冷気がその外部を通ることにより間接的に冷却される。よって、減圧にすることで冷気の対流を抑制し、かつ、密閉容器内で間接冷却を行うことで圧縮機のオン・オフによる影響や、冷蔵庫の扉の開閉や霜取り等の温度上昇に対しても、その内部温度への悪影響を抑え、もって、恒温で高湿な状態を保つことが可能となる。なお、冷蔵室2の全体を冷却した冷気も、また、冷気戻り口33へ吸込まれる。
【0036】
また、製氷水タンク22の後方には、製氷水ポンプ28が設置されている。収納ケース23の後方、且つ、低圧室24の後部側方の空間には、低圧室24を減圧するための減圧装置の一例である負圧ポンプ29が配置されている。この負圧ポンプ29は、低圧室24の側面に設けられたポンプ接続部に導管を介して接されている。
【0037】
また、上述した低圧室24は、上記図2に示したように、食品の出し入れ用の開口部(食品出し入れ用開口部)を有する箱状の低圧室本体40と、低圧室本体40の食品出し入れ用開口部を開閉する低圧室ドア50と、食品をその内部に収納し、低圧室ドア50を通して、低圧室内に出し入れする食品トレイ60とを備えて構成されている。即ち、低圧室本体40では、その低圧室ドア50の食品出し入れ用開口部を閉じることにより、低圧室本体40と低圧室ドア50とで囲まれた空間が減圧される低圧空間として形成される。なお、食品トレイ60は、低圧室ドア50の背面側に取付けられており、低圧室ドア50の移動に伴って前後に移動可能である。
【0038】
そして、低圧室24は、その食品トレイ60に食品を載せて低圧室ドア50を閉じることにより、その内部が密閉状態となり、更に、ドアスイッチがオンされて負圧ポンプ29が駆動され、低圧室24が大気圧より低い状態に減圧される。これにより貯蔵室13内の酸素濃度が低下して食品中の栄養成分の劣化を防止することができる。
【0039】
そして、上記低圧室ドア50を手前に引くことによれば、まず、低圧室ドア50の一部に設けられた圧力解除バルブが動作して低圧室24の減圧状態が解除され、その結果、大気圧の状態となり、低圧室ドア50を開くことができる。これによって、簡単に低圧室ドア50を開けて、食品の出し入れが可能となる。
【0040】
また、低圧室24の外表面には低圧室24の温度を検知する低圧室温度センサー38が取付けられており、後述する温度制御装置と組み合わせることで低圧室24を所定の温度に精度よく保つことができる。さらに背面パネル30には冷蔵室温度センサー39が備えられており冷蔵室2内の温度を検知することで冷蔵室2内の温度を精度よく制御することができる。ほかにも図示しないが冷凍室4,野菜室5にも同様に温度センサーが備えられており精度よい温度制御のために使用している。
【0041】
次に、図4から図7を用いて、本発明における食品の検知手段の詳細について説明する。図4は二酸化炭素センサーを用いて図2に示した低圧室24内の二酸化炭素濃度の経時変化を測定したものである。201はホウレンソウを600g保存したときの二酸化炭素センサー値の変化を示す。202はホウレンソウを200g保存したときの二酸化炭素センサー値の変化を示す。203はスーパーマーケットで販売されている発泡スチロールトレイに鮭の切り身3切れが乗ったパックを3つ保存したときの二酸化炭素センサー値の変化を示す。各条件とも測定から1分経過するまでは空の状態を測定し、1分経過後食品を保存し、二酸化炭素センサーの変化を測定した。図4から判るようにホウレンソウを低圧室24内に保存すると時間とともに二酸化炭素濃度が上昇することが判る。一方鮭の切り身は二酸化炭素の増加が見られない。野菜は呼吸作用により二酸化炭素を常に吐き続けており、低圧室24のような暗所な密閉空間では光合成がなく、容器外への拡散もないため、二酸化炭素の濃度が時間とともに上昇するためである。一方、図4の203のように、鮭の切り身などの野菜以外の食品は二酸化炭素を生成することがないため、時間が経過しても二酸化炭素は上昇しない。したがって、このことを利用すれば、野菜と肉魚の区別がつく。
【0042】
次に気体の種類・濃度の検知手段の設置場所について図5を用いて説明する。図5は図2に示した負圧ポンプ29の断面図である。
【0043】
負圧ポンプ29本体は、電動機61,偏心カムのついた可動アーム62,可動アーム62と接続され上下に運動するダイヤフラム63,ダイヤフラム63を固定するダイヤフラムケース64,ダイヤフラム63とダイヤフラムケース64により構成されるポンプ室65,ポンプ室65内の圧力を検知する圧力センサー66から構成されている。ダイヤフラムケース64は吸気口(図示せず)および排気口67を有しており、それぞれに空気の流れを制御する吸気弁(図示せず)および排気弁68を有している。吸気口(図示せず)はチューブ69にて低圧室24と接続されており、電動機61が作動し可動アーム62を介してダイヤフラム63が上下運動することで、吸気口(図示せず)から低圧室24内の空気を吸引し排気口67より排気される。
【0044】
負圧ポンプ29を収納する収納ケース70は、上部ケース70aと下部ケース70bから構成されており、上部ケース70aと下部ケース70bはネジにて固定されることで収納ケース70内をほぼ密閉にしている。
【0045】
また、負圧ポンプ29は防振ゴム71が取付けられており、防振ゴム吊り下げ足71aを収納ケース70の上部ケース70aと下部ケース70bの間に挟み込むことで、防振ゴム71によって収納ケース70に吊り下げるように取付けられている。このことで、負圧ポンプ29の電動機61が作動するときに発生する振動を収納ケース70や冷蔵庫本体1へ伝播するのを抑制でき、冷蔵庫から外部へ発生する振動・騒音を低減することが可能である。
【0046】
72は気体の検知手段を搭載した基板、73は気体の検知手段である。このように、基板72が負圧ポンプ29から離れており、直接振動の影響を受けないようにすることで、基板72および二酸化炭素センサー73の長期間使用による信頼性を向上させることができる。ここでは、気体の検知手段73は二酸化炭素センサーであるものとして説明する。一般的には気体の検出手段を食品にもっとも近い低圧室24内に設置するのがもっとも検出しやすいが、低圧室24は低圧を維持するための密閉性を保つ必要があり、低圧室24内から低圧室24外へ密閉性を保ちながら配線を伸ばすためには低圧室24に配線を通す穴が必要であり、その穴によって低圧室24内の低圧状態が保てなくなるため、穴からの空気流入を防ぐための部品の追加が必要となり、コスト増や信頼性の低下を招く懸念がある。そこで、負圧ポンプ29から排気される低圧室内の空気を気体の検知手段に接触させる。
【0047】
図5に示したように、負圧ポンプ29の排気口は収納ケース70内にあり、電動機61が作動し低圧室24内の空気が吸引されると、低圧室24内の空気が収納ケース70内に放出されることとなる。収納ケース70の上部ケース70aと下部ケース70bはネジにて固定されているが、その間にゴムパッキン等のシール部材は介在しておらず、空気の抜ける微小な隙間が開いている。そのため、低圧室24内の空気が収納ケース70内に放出されると、もともと収納ケース70内に入っていた空気が隙間より収納ケース70の外に排出され、低圧室24内の空気が収納ケース70内に充満することとなる。このことから、収納ケース70内に設置された二酸化炭素センサー73に低圧室24内の空気が接触することとなるため、低圧室24内で発生した二酸化炭素を検知することが可能である。
【0048】
図5,図6に示した二酸化炭素センサー73は円筒形であるため、図6に示すように二酸化炭素センサーの外周よりやや大きめの内径となるように負圧ポンプの排気口を加工し、負圧ポンプの排気口内に二酸化炭素センサーの一部を入れた構造にすることで、より効率的に二酸化炭素を検知することが可能となる。
【0049】
次に図7を用いて、本発明の冷蔵庫における温度切替えの制御手段について説明する。なお、図7は本実施例における冷蔵庫の制御手段の概略構成を示す制御ブロック図である。
【0050】
図において、例えば、マイクロコンピュータ等により構成される温度制御装置80は、上記低圧室24の内部の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサー73により検出される食品の種類と、低圧室24の温度を検出する低圧室温度センサー38により検出される低圧室24の温度と、氷温温度帯と冷蔵庫温度帯との間でその温度が切替可能な温度調節部81によって設定された温度とを入力として、即ち、それらの温度に基づいて、ダンパー装置41及びヒータ43への制御信号を出力する。
【0051】
より具体的には、二酸化炭素センサー73での検出値が高い場合には、ダンパー装置41の開度を小さくし、又は、完全に閉じることにより、冷気量を制御(抑制)する。また、温度が低くなり過ぎた場合には、ヒータ43を通電させて温度を上昇させる。これは二酸化炭素センサー73の検出値が高い場合は低圧室24内に野菜が多く収納されている可能性が高いため、温度を上昇させ野菜が凍結するのを防止するためである。二酸化炭素センサー73の検出値が低いか無い場合には、ダンパー装置41の開度を大きくし、もって、低圧室24内の冷気流通空間へと冷気を供給して低圧室24内の温度を下げる。これは二酸化炭素センサー73の検出値が低いか無い場合は、低圧室24内に野菜が無く肉魚が多く収納されている可能性が高いため、一般的に行われているように温度を低下させ肉魚の保存状態を良好に保つためである。この二酸化炭素センサー73の検出値による温度制御は上記のような2段階だけでなくてもよく、二酸化炭素センサー73の検出値の値に応じて中間領域の設定や無段階に制御を可能にしてもよい。
【0052】
また、それぞれの温度設定の場合において低圧室温度センサー38にて低圧室24の温度を検出することで、設定温度と現在の低圧室24温度の相違を知ることが可能であるため、その相違を少なくするようにダンパー装置41およびヒータ43を制御することで、精度がよく遅れの無い温度制御が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 冷蔵庫本体
21 最下段空間
24 低圧室
28 製氷水ポンプ
29 負圧ポンプ
38 低圧室温度センサー
39 冷蔵室温度センサー
40 低圧室本体
41 ダンパー装置
43 ヒータ
44 温度調節部
45 制御装置
50 低圧室ドア
60 食品トレイ
61 電動機
62 可動アーム
63 ダイヤフラム
64 ダイヤフラムケース
65 ポンプ室
66 圧力センサー
67 排気口
68 排気弁
69 チューブ
70 収納ケース
70a 上部ケース
70b 下部ケース
71 防振ゴム
72 基板
73 気体の検知手段(二酸化炭素センサー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、該貯蔵室の気体を該貯蔵室外へ排出することで減圧する減圧手段を備えた冷蔵庫であって、前記減圧手段によって前記貯蔵室から排出された気体の種類,濃度,温度の少なくともいずれかを検出する検出手段を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記検知手段にて検知した気体の種類,濃度,温度の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記貯蔵室の温度を制御する制御手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記減圧手段は容器内に収納されており、前記検知手段は該容器内の前記減圧手段と接触しない位置に設置されたことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記減圧手段は前記容器に前記減圧手段から発生する振動を吸収する緩衝部材を介して配置されたことを特徴とする、請求項3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記検知手段のうち気体の温度を検知する温度検知手段は、前記貯蔵室の外表面に設けられたことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記検出手段のうち気体の種類又は濃度の少なくともいずれかを検出する手段は、二酸化炭素センサーであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の冷蔵庫。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−19600(P2013−19600A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153419(P2011−153419)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】