説明

冷間加工性に優れた機械構造用鋼材および冷間加工鋼部品

【課題】冷間加工性に優れると共に、加工後は所定の硬度・強度を確保することのできる機械構造用鋼材、およびそのような機械構造用鋼材を用いて得られる冷間加工鋼部品を提供する。
【解決手段】固溶状態としてのN:0.007〜0.018%としつつ、下記(1)式および(2)式の関係を満足する化学成分組成を適切に調整し、パーライトおよびセメンタイトの面積率が3%以下の鋼組織である。0.5≧(10[C]+[N])…(1)但し、[C]および[N]は、夫々CおよびNの含有量(質量%)を示す。0≧126[C]+3[Mn]+84[S]−10…(2)但し、[C],[Mn]、」および[S]は、夫々C,MnおよびSの含有量(質量%)を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工中は良好な冷間加工性を示すと共に、加工後は所定の硬度、強度を示すような機械構造用鋼材、およびこうした機械構造用鋼材から得られる冷間加工鋼部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、自動車などの車両の燃費向上を目的として、自動車用の各種部品の軽量化に対する要求が高まっている、例えば、ボルト、ナット、ピニオンギヤ、ステアリングシャフト、バルブリフター、コモンレール等を製造するための冷間加工用鋼材(機械構造用鋼材)について、軽量化、即ち高強度化に対する要求が益々高まっている。この種の軽量化に応えるために、一般に、母材鉄に添加される各種合金元素の含有量を調整することにより、所定強度を確保する方法が採用されている。一方、部品製造工程におけるCO2の排出量削減のため、これまで熱間鍛造によって加工されていたクランクシャフト、コンロッド、トランスミッションギヤ等の部品の冷間鍛造化に関する要求も高まっている。
【0003】
冷間加工(冷間鍛造)とは、通常、200℃以下の雰囲気における加工であり、この冷間加工は、熱間加工や温間加工と比較して生産性が高く、しかも寸法精度および鋼材の歩留がともに良好であるといった利点がある。
【0004】
しかしながら、このような冷間加工によって部品を製造する場合に問題となるのは、冷間加工された部品の強度を期待される所定値以上に確保するためには、必然的に、変形抵抗の高い鋼材を用いる必要があることである。ところが、使用する鋼材の変形抵抗が高いほど、冷間加工用金型の寿命低下を招くばかりか、冷間加工時に割れが発生しやすいという難点がある。
【0005】
そこで、従来では、鋼材を所定形状に冷間加工した後、焼入れ・焼き戻しなどの熱処理を行うことによって、所定強度(若しくは硬さ)が確保された高強度部品を製造する方法が実施されることもあった。しかしながら、冷間加工後に熱処理を施すことは、部品寸法を必然的に変化させるため、二次的に切削などの機械加工により修正する必要があり、熱処理やその後の加工が省略できるような解決策が望まれているのが実情である。
【0006】
こうしたことから、冷間加工中における鋼材の変形抵抗を低減すると同時に、所定の強度を確保し、しかも生産性の向上および省エネルギー化を図るために、いくつかの対策が提案されている。例えば、特許文献1には、歪時効特性に優れた冷間鍛造用線材・棒鋼およびその製造方法について、低炭素鋼で固溶Cを利用して常温時効の進行を抑制し、時効熱処理によって所定の時効硬化量を確保することが開示されている。また特許文献2には、冷間加工性に優れた高強度鋼線または棒鋼、高強度成形品並びにそれらの製造方法について、平均粒径:500nm以下でセメンタイトフリーのフェライト組織とすることが提案されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、固溶C量によって常温歪時効を抑制するものであり、また特許文献2の技術は、セメンタイトフリーのフェライト組織とすることによって、高強度の鋼線を得ることを目的とするものであるので、要求される冷間加工性や加工後の所定の強度確保の両特性を同時に満足するような鋼材を得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−306345号公報
【特許文献2】特開2005−320630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、冷間加工性に優れる(特に、冷間加工鋼部品に割れが生じず、かつ、部品硬さに対する加工時の変形抵抗が低く抑えられて、金型の長寿命化を図り得ることをいう)と共に、加工後は所定の硬度・強度を確保することのできる機械構造用鋼材、およびこうした機械構造用鋼材を用いて得られる冷間加工鋼部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る機械構造用鋼材とは、質量%で、C:0.045%以下(0%を含まない)、Si:0.05%以下(0%を含まない)、Mn:0.30〜1.5%、P:0.05%以下(0%を含まない)、S:0.05超〜0.12%、Al:0.06%以下(0%を含まない)およびN:0.008〜0.025%を夫々含有し、下記(1)式および(2)式の関係を満足し、残部は鉄および不可避的不純物からなり、且つ固溶状態としてのN:0.007〜0.018%であると共に、パーライトおよびセメンタイトの面積率が3%以下の鋼組織である点に要旨を有する。
0.5≧(10[C]+[N]) …(1)
但し、[C]および[N]は、夫々CおよびNの含有量(質量%)を示す。
0≧126[C]+3[Mn]+84[S]−10 …(2)
但し、[C],[Mn]、」および[S]は、夫々C,MnおよびSの含有量(質量%)を示す。
【0011】
本発明の機械構造用鋼材には、必要によって更に、(a)Ca:0.05%以下(0%を含まない)、REM:0.05%以下(0%を含まない)、Mg:0.05%以下(0%を含まない)およびTe:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種、(b)B:0.005%以下(0%を含まない)、(c)Ti:0.2%以下(0%を含まない)、Nb:0.2%以下(0%を含まない)およびV:0.2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種、(d)Cr:2%以下(0%を含まない)および/またはMo:2%以下(0%を含まない)、(e)Cu:5%以下(0%を含まない)、Ni:5%以下(0%を含まない)およびCo:5%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種、(f)Pb:0.5%以下(0%を含まない)および/またはBi:0.5%以下(0%を含まない)、等を含有させることも有用であり、含有される成分の種類に応じて、機械構造用鋼材の特性が更に改善される。
【0012】
一方、上記目的を達成することのできた冷間加工鋼部品とは、上記のような本発明の機械構造用鋼材を加工温度:100℃未満で冷間加工することにより製造される冷間加工鋼部品であって、冷間加工後の部品硬さ(H)と冷間加工中の変形抵抗の最大値(DR)が、下記(3)式の関係を満足する点に要旨を有するものである。
H≧(DR+200)/2.5 …(3)
[(3)式中、H:冷間加工後の部品硬さ(Hv)、DR:冷間加工中の変形抵抗の最大値(MPa)を示す。]
【発明の効果】
【0013】
本発明の機械構造用鋼材は、冷間加工中における鋼材の変形抵抗が低減されるため、冷間加工用金型の寿命が長くなると共に、割れが発生し難くなり、且つ加工後の得られる部品は所定の強度および硬度を確保することができるものとなるため、生産性向上および省エネルギーに寄与するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】割れ個数(n/10)と(2)式の右辺の値との関係を示すグラフである。
【図2】固溶N量が変形抵抗の最大値DRや加工後硬さHに与える影響を示すグラフである。
【図3】冷間加工後の部品硬さHと変形抵抗の最大値DRとの関係を示すグラフである。
【図4】(2)式の右辺の値とMnS面積の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、冷間加工中は良好な加工性を示し、加工後に所定の硬度・強度を確保することのできる機械構造用鋼材を実現するべく様々な角度から検討した。その結果、C含有量とN含有量の関係を適正化すると共に、固溶N量を所定量確保して化学成分組成を適切に制御し、しかもパーライトおよびセメンタイトの面積率を適切に制御した鋼組織とすれば、上記目的を達成し得る機械構造用鋼材が実現できることを見出し、本発明を完成した。まず本発明の機械構造用鋼材において、化学成分を規定した理由は次の通りである。
【0016】
[C:0.045%以下(0%を含まない)]
Cは、溶製中の脱酸元素として有用な元素である。C含有量が0.045%までは実質的にフェライト単相組織でその粒界に微細セメンタイトがわずかに存在する組織となる。しかしながら、C含有量が過剰になると、微細セメンタイトがパーライトを形成するようになり、パーライト面積率が増加する。パーライトは、鋼材を加工硬化させることによって変形抵抗を増加させ、加工性も劣化させる恐れがある。こうしたことから、C含有量は0.045%以下(0%を含まない)とする必要があり、好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.035%以下である。また、上記の効果を有効に発揮させるためには、Cは0.0005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.01%以上である。
【0017】
[Si:0.05%以下(0%を含まない)]
Siは、溶製中の脱酸元素として有効である。しかしながら、Si含有量が過剰になって0.05%を超えると、Siの固溶強化による変形抵抗の増大を招くため好ましくない。尚、Si含有量は好ましくは0.0005%以上であり、より好ましくは0.001%以上である。
【0018】
[Mn:0.30〜1.5%]
鋼材中の固溶N量を高めた場合、加工中の発熱による動的歪み時効によって割れが発生しやすくなるが、Mnはそのときの加工性を向上させ、割れを抑制する効果がある。またMnは、溶製中の脱酸元素としても有用な元素である。これらの効果を有効に発揮させるには、0.30%以上含有させることが必要であり、好ましくは0.32%以上、より好ましくは0.35%以上である。一方、Mnが過剰に含まれると変形抵抗が過大となり、偏析による組織の不均一性が生じるので、1.5%以下とする必要があり、好ましくは1.2%以下、より好ましくは1.0%以下である。
【0019】
[P:0.05%以下(0%を含まない)]
リン(P)は、不可避的不純物であるが、これがフェライトに含有すると、フェライト粒界に偏析し、粒界が脆化することによって冷間加工性を劣化させる。よって、冷間加工性向上の観点から、P含有量は0.05%以下とする必要がある。好ましくは0.03%以下であるが、P含有量を0%にすることは、工業上困難である。
【0020】
[S:0.05超〜0.12%]
硫黄(S)は、被削性を向上させる効果を有するため、被削性向上の観点からは、0.05%を超えて含有させる必要がある。好ましくは0.055%以上である。しかしながら、Sは基本的にPと同様に不可避的不純物であり、FeSとして結晶粒界に析出し、加工性を劣化させる元素でもある。変形能を確保するという観点から、S含有量を、0.12%以下とする必要があり、好ましくは0.1%以下(より好ましくは0.08%以下)である。
【0021】
[Al:0.06%以下(0%を含まない)]
Alは、溶製中の脱酸元素として有効である。しかしながら、Al含有量が過剰になって0.06%を超えると、鋼中の固溶N量の確保が困難になり、所定の部品強度が得られなくなる。Al含有量は好ましくは0.055%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。また、上記効果を発揮させるためには、0.005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.01%以上である。
【0022】
[N:0.008〜0.025%]
窒素(N)は、加工後の静的歪み時効によって所定の強度を確保するために重要な元素である。こうした効果を発揮させるためには、N含有量を0.008%以上とする必要がある。しかしながら、N含有量が過剰になって0.025%を超えると、静的歪み時効の他、加工中の動的歪み時効の影響が顕著になり、変形抵抗が増大することになる。尚、N含有量の好ましい下限は0.0085%(より好ましくは0.009%以上)であり、好ましい上限は0.023%(より好ましくは0.02%以下)である。
【0023】
本発明の機械構造用鋼材では、固溶状態のN(固溶N)を所定量確保することによって、変形抵抗をあまり増加させずに、静的歪み時効を促進させることも特徴としている。冷間加工後に所定の強度(硬さ)を確保するためには、固溶Nの量を0.007%以上とする必要がある。しかしながら、固溶Nの量が過剰になると、冷間加工性が劣化するので、0.018%以下とする必要がある。
【0024】
尚、本発明における固溶Nの含有量は、JIS G 1228に準拠して、鋼材中の全N量から全N化合物中のN量を差し引いて求められる値である。この固溶Nの含有量の実用的な測定法を以下に例示する。
【0025】
(a)不活性ガス融解法−熱伝導度法(全N量測定)
供試材から切り出したサンプルをルツボに入れ、不活性ガス気流中で融解してNを抽出し、抽出物を熱伝導度セルに搬送して熱伝導度の変化を測定して全N量を求める。
(b)アンモニア蒸留分離インドフェノール青吸光光度法(全N化合物量の測定)
供試材から切り出したサンプルを、10%AA系電解液に溶解し、定電流電解を行って、鋼中の全N化合物量を測定する。用いる10%AA系電解液は、10%アセトン、10%塩化テトラメチルアンモニウム、残部メタノールからなる非水溶媒系の電解液であり、鋼表面に不働態皮膜を生成させない溶液である。
【0026】
供試材のサンプル約0.5gを、この10%AA系電解液に溶解させ、生成する不溶解残渣(N化合物)を穴サイズが0.1μmのポリカーボネート製のフィルタでろ過する。得られた不溶解残渣を、硫酸、硫酸カリウムおよび純銅製チップ中で加熱して分解し、分解物を濾液に合わせる。この溶液を、水酸化ナトリウムでアルカリ性にした後、水蒸気蒸留を行い、留出したアンモニアを希硫酸に吸収させる。更に、フェノール、次亜塩素酸ナトリウムおよびペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウムを加えて青色錯体を生成させ、吸光光度計を用いて吸光度を測定して全N化合物量を求める。
(a)の方法によって求められた全N量から、(b)の方法によって求められた全N化合物量を差し引いて固溶N量を求めることができる。
【0027】
本発明の鋼材において、固溶Cは変形抵抗を大きく増加させ、静的歪み時効にあまり寄与せず、一方、固溶Nは変形抵抗をあまり上げず、静的歪み時効を促進させることができるため加工後の硬度を増加させることができる作用を有する。そのため、本発明の鋼材においては、Cの含有量[C]とNの含有量[N]とは、下記(1)式の関係を満足する必要がある。(1)式の右辺の値(=10[C]+[N])が、0.5(質量%)を超えると、CおよびNの含有量が過剰となって、変形抵抗が過大となる。尚、(10[C]+[N])の値は、0.42以下であることが好ましく、より好ましくは0.36以下とするのが良い。
0.5≧(10[C]+[N]) …(1)
但し、[C]および[N]は、夫々CおよびNの含有量(質量%)を示す。
【0028】
また本発明の鋼材においては、C,MnおよびSの夫々の含有量[C],[Mn]および[S]が下記(2)式の関係を満足させる必要がある。この(2)式は割れに影響を及ぼす上記各元素の関係から求められたものであり、この右辺の値(126[C]+3[Mn]+84[S]−10)を0以下とすることによって、鋼材中のMnSが微細分散するようになり(後記図4参照)、冷間鍛造時に割れの起点となる粗大なMnSの低減が図れるものである。
0≧126[C]+3[Mn]+84[S]−10 …(2)
但し、[C],[Mn]、」および[S]は、夫々C,MnおよびSの含有量(質量%)を示す。
【0029】
上記(2)式を求めた経緯は次の通りである。まず、後記表5に成分組成を示した鋼材(鋼種2A〜2Q:化学成分が本発明で規定する範囲を外れるもの)を準備し、これから各種試験片を切り出し(製造条件については、後記実施例参照)、得られた鋼材の冷間加工中の割れ個数(n/10)等を測定した。そしてこの結果に基づき、[C],[Mn]および[S]と、割れ個数との関係を回帰分析し、上記(2)式の結果が得られたのである。回帰分析のために、商品名「マイクロソフト(登録商標)・オフィス・エクセル・2003」(マイクロソフト社製)にアドインされているソフトウエア「分析ツール」の中の項目「回帰分析」を実行した。下記表1〜3は、回帰分析の実行結果である。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
尚、回帰分析において、元素としてC,MnおよびSを選択したのは、これらの元素は鋼材の凝固過程におけるMnSの成長に影響を及ぼすためである。C含有量が多いほど、相図におけるδ+Lの二相域が低温になって、液相状態が長く続く結果、MnSが成長しやすくなる。また、Mn含有量やS含有量が多くなるほど、液相状態でMnSが析出し易くなるため、MnSが成長しやすくなる。従って、これらC,MnおよびSの夫々の含有量[C],[Mn]および[S]を低減するほど、MnSを微細にでき、冷間鍛造後の割れを防止できると推察される。(2)式の[C],[Mn]および[S]の係数の符号が全て正であることは、[C],[Mn]および[S]を低減すれば良いことを示しており、(2)式の導出根拠と整合する。また、後記図4に示す様に、(2)式の計算結果とMnSの大きさとは相関があり、このことも(2)式の導出根拠の正しさを示している。
【0034】
本発明で規定する含有元素は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物である。該不可避的不純物としては、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素(例えば、O,Sn,As等)の混入が許容され得る。また、必要に応じて、以下の元素(選択元素)を更に含有させても良い。
【0035】
[Ca:0.05%以下(0%を含まない)、REM:0.05%以下(0%を含まない)、Mg:0.05%以下(0%を含まない)、Te:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
Caは、MnS等の硫化物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めると共に、被削性の向上に寄与する元素である。この様な効果を有効に発現させるには、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.001%以上のCaを含有させるのが良い。しかし、Caの含有量が過剰になっても、その効果が飽和するので、0.05%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.03%以下、更に好ましくは0.01%以下である。
【0036】
REM(希土類元素)は、Caと同様にMnS等の硫化物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めると共に、被削性の向上に寄与する元素である。この様な効果を有効に発現させるには、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.001%以上のREMを含有させるのが良い。しかしながら、REMの含有量が過剰になっても、その効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できないので、0.05%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.03%以下、更に好ましくは0.01%以下である。
【0037】
Mgは、Caと同様にMnS等の硫化物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めると共に、被削性の向上に寄与する元素である。この様な効果を有効に発現させるには、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.001%以上のMgを含有させるのが良い。しかしながら、Mgの含有量が過剰になっても、その効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できないので、0.05%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.03%以下、更に好ましくは0.01%以下である。
【0038】
Teは、Caと同様にMnS等の硫化物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めることができ、またAl系酸化物を低融点化して無害化し、被削性の向上に寄与する元素である。この様な効果を有効に発現させるには、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上のTeを含有させるのが良い。しかしながら、Teの含有量が過剰になっても、その効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できないので、0.1%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.05%以下、更に好ましくは0.03%以下である。
【0039】
[B:0.005%以下(0%を含まない)]
Bは、下記Ti,Nb,Vと同様に、Nとの親和力が強く、Nと共存してN化合物を形成し、鋼の結晶粒を微細化し、冷間加工後に得られる加工品の靭性を向上させ、また、耐割れ性を向上させるために有効な元素である。Bの含有量は0.005%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.0035%以下、更に好ましくは0.002%以下とするのが良い。尚、これらの効果を有効に発揮させるために、Bは0.0001%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.0002%以上含有させることが推奨される。
【0040】
[Ti:0.2%以下(0%を含まない)、Nb:0.2%以下(0%を含まない)およびV:0.2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
本発明の鋼材が、Ti,NbおよびVよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する場合は、Ti,NbおよびVは、1種単独でまたは2種以上を同時に含有していても良い。これらTi,NbおよびVは、Nとの親和力が強く、Nと共存してN化合物を形成し、鋼の結晶粒を微細化し、冷間加工後に得られる加工品の靭性を向上させ、また、耐割れ性を向上させるために有効な元素である。これらの元素を含有させる場合には、いずれも0.2%以下(0%を含まない)とすることが好ましい。より好ましくは、いずれも0.15%以下(更に好ましくは0.1%以下)である。尚、これらの効果を有効に発揮させるために、いずれも0.001%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.002%以上含有させることが推奨される。
【0041】
[Cr:2%以下(0%を含まない)および/またはMo:2%以下(0%を含まない)]
Crは、結晶粒界の強度を高めることにより鋼の変形能を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じて、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上含有させることができる。しかしながら、Crを過剰に含有させると、変形抵抗が増大し、冷間加工性が低下する恐れがあるため、その含有量は2%以下(0%を含まない)とすることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1%以下とするのが良い。
【0042】
Moは、加工後の鋼材の硬さおよび変形能を増大させる作用を有する元素であり、必要に応じて0.04%以上、より好ましくは0.08%以上含有させることができる。しかし、Moを過剰に含有させると、冷間加工性が劣化するおそれがあるため、2%以下(0%を含まない)とすることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0043】
[Cu:5%以下(0%を含まない)、Ni:5%以下(0%を含まない)およびCo:5%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
Cu,NiおよびCoは、1種または2種以上を同時に含有していても良い。これらCu,NiおよびCoは、いずれも歪み時効によって鋼材を硬化させる作用があり、加工後強度を向上させるのに有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Cuで0.1%以上(より好ましくは0.3%以上)、NiおよびCoで0.01%以上(より好ましくは0.05%以上)含有させることが好ましい。しかしながら、これらの含有量が過剰になると、割れを誘発させる恐れがあるため、いずれも5%以下(0%を含まない)とすることが好ましく、より好ましくは4%以下(更に好ましくは3%以下)とするのが良い。
【0044】
[Pb:0.5%以下(0%を含まない)および/またはBi:0.5%以下(0%を含まない)]
Pbは、被削性を向上させるのに有効な元素である。この様な効果を発揮させるには、Pbは好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.01%以上含有させるのが良い。しかしながら、Pbの含有量が過剰になると、圧延疵の発生等の製造上の問題を生じさせるため、その上限を0.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.4%以下、更に好ましくは0.3%以下である。
【0045】
Biは、Pbと同様に被削性を向上させるのに有効な元素である。この様な効果を発揮させるには、Biは好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.01%以上含有させるのが良い。しかしながら、Biの含有量が過剰になっても、その効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できないので、その上限を0.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.4%以下、更に好ましくは0.3%以下である。
【0046】
本発明の鋼材の鋼組織は、基本的にパーライトおよびセメンタイト+フェライトの組織で構成されるが、パーライトおよびセメンタイトは、フェライトと比べて加工硬化率が異なるため、フェライトとセメンタイトの界面でボイド等の欠陥の起点となりやすく、パーライトおよびセメンタイトが多くなると加工性を劣化させる可能性がある。本発明の鋼材では、耐割れ性を確保するという観点から、組織中のパーライトおよびセメンタイト面積率は3%以下とする必要がある。好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下である。
【0047】
本発明の機械構造用鋼材は、その後、冷間加工され、鋼部品(ボルト、ナット、ピニオンギヤ、ステアリングシャフト、バルブリフター、コモンレール等の冷間加工部品、これまで熱間鍛造によって加工されていたクランクシャフト、コンロッド、トランスミッションギヤ等の自動車用部品、その他の機械部品)となる。ここでの冷間加工方法には、冷間鍛造、冷間圧造、冷間転造、冷間打抜き等の冷間加工が含まれる。また、部品の加工に必要であれば、伸線、圧延等の加工を行ってもよい。
【0048】
上記のような本発明の鋼材を加工温度:100℃未満で冷間加工することによって、本発明の冷間加工鋼部品が得られるが、この冷間加工鋼部品は、冷間加工後の部品硬さ(H)と冷間加工中の変形抵抗の最大値(DR)が、下記(3)式の関係を満足するものとなる。
H≧(DR+200)/2.5 …(3)
[(3)式中、H:冷間加工後の部品硬さ(Hv)、DR:冷間加工中の変形抵抗の最大値(MPa)を示す。]
【実施例】
【0049】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0050】
[実施例1]
下記表4,5に示す化学成分組成からなる鋼種(1A〜2X)の供試鋼を調整し、これらの夫々をビレット溶製した後、1150〜1250℃に加熱し、熱間鍛造により155mm角の鋼片とした。この鋼片を1000〜1200℃に加熱して、φ80mmの丸棒に圧延した(その後、冷却速度1℃/秒で200℃まで冷却)。次いで、この丸棒のD/4位置(Dは直径)よりφ10mm×長さ15mmの試験片を切り出した。表4、5中、「固溶N」は、前記のJIS G 1228に準拠した方法によって測定された固溶状態のN含有量を示す値である。尚、鋼種1Pの供試材を用いて製造した丸棒については、表4に示す熱処理(付加熱処理:各温度に加熱して室温RT(20℃)まで冷却速度3℃/秒で冷却)を施すことによって、固溶N量を調整した後にD/4位置より試験片を切り出した。
【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

【0053】
各試験片を、容量1600トンのプレス装置を用いて冷間鍛造により試験片の端面を拘束した状態から圧縮加工し、冷間加工中の変形抵抗の最大値DR(以下:「変形抵抗DR」と呼ぶことがある)を測定した。このときの冷間鍛造の条件は、加工歪み速度:10/秒、加工温度:20℃、圧縮率:80%とした。尚、加工歪み速度は、加工中(塑性変形中)の歪み速度の平均値とした。また、上記圧縮率は、[(1−L/L0)×100(%)](L0:加工前の試験片の長さ、L:加工後の試験片の長さを示す)によって求められるものである。
【0054】
各鋼材における前記(2)式の値(および判定)を、冷間加工温度(加工温度)と共に、下記表6、7に示す。また表6、7には、セメンタイト(パーライト)の面積率も示したが、これは下記の方法によって測定したものである。
【0055】
[セメンタイトの面積率の測定方法]
(i)試験片を、横断方向に中心で切断した。
(ii)上記断面(観察面)を観察できるように樹脂に埋め込み、エメリー紙による研磨、ダイヤモンドバフによる研磨および電解研磨を順次行って観察面を鏡面に仕上げた。
(iii)ナイタール(3%硝酸エタノール溶液)で腐食した。
(iv)D/4位置を光学顕微鏡の倍率100倍で観察し、5箇所写真撮影した。
(v)画像解析ソフト(Media Cybernetics製:Image−Pro Plus)を用いて、フェライト相を白色、セメンタイト(パーライト)を黒色とし、夫々の面積率を求め、5視野の平均値をセメンタイト(パーライト)の面積率として算出した。
【0056】
【表6】

【0057】
【表7】

【0058】
得られた各加工品について、実体顕微鏡により、倍率:20倍で表面を観察して割れの個数(10個の試験片に対する割れ個数n)を確認した。また、ビッカース硬さ試験機を用いて、荷重:1000g、測定位置:各加工品断面のD/4位置(D:直径)の中央部および測定回数:5回の条件で、各加工品のビッカース硬さ(Hv)を測定した。その結果[変形抵抗(DR)、加工後硬さH、割れの個数(割れが発生した場合を×、割れが発生しなかった場合を○とする)、(3)式の右辺の値((DR+200)/2.5)、および変形抵抗評価[(3)式の関係]および加工後の硬さを下記表8、9に示す。
【0059】
尚、これらの測定結果において、得られた加工品について、割れがなく、しかもビッカース硬さに対して変形抵抗が低い場合[具体的には、前記(3)式に示す条件を満足する場合]を、冷間加工性に優れたものと判断して、総合判定を「○」と表示した。また、前記(3)式の条件を満足しない加工品について、割れが発生したものの総合判定を「×」で表示した。
【0060】
【表8】

【0061】
【表9】

この結果から、次のように考察できる(尚、下記記号は、表8、9の鋼種記号を示す)。表8に示した1A〜1Z(但し、(3)式の関係を満足しない1P−1〜3、7を除く)は、本発明で規定する要件を満足する例であり、部品に割れが無く、且つ加工後硬さHに対して鋼の変形抵抗DRが低い鋼材が得られている。これに対し、本発明の要件を満たさないものは(表9に示した2A〜2X)、割れが発生しているか、加工後硬さHに対する加工時の変形抵抗DRが高くなっている。
【0062】
2A〜2Qのものは、(2)式の関係を満足しないものであり(判定:「×」)、いずれも変形抵抗が増大して部品に割れが生じた。このうち、2Mおよび2Nのものは、Mn含有量が本発明で規定する上・下限を外れるもの、2O,2Pのものは、夫々Pの含有量およびSの含有が過剰になっており、2QはN含有量が過剰になっているものである。いずれも割れに悪影響を及ぼしていると思われる。
【0063】
2Rは、Si含有量が過剰であるため、変形抵抗が増大して部品に割れが生じている。2Sは、C量が過剰であり、しかも(1)式および(2)式の関係を満足しないものとなっており、変形抵抗DRが増大して部品に割れが生じた。2Tは、Al含有量が過剰となっているので、(2)式の関係を満足していない。そのため、固溶N量が不十分であり、冷間加工後の所定の強度(加工後硬さH)が得られていない。
【0064】
2Uは、N含有量が不足しており、それに伴って固溶N量も不足しており、冷間加工後の所定の強度(加工後硬さH)が得られていない。
【0065】
2Vは、Mn含有量が不足しており(S含有量も不足)、またN含有量が不足しており、それに伴って固溶N量も不足しており、加工後硬さHに対する加工時の変形抵抗DRが高くなっている。2Wは、C含有量およびSi含有量が過剰になっており(S含有量は不足)、N含有量が不足しており、それに伴って固溶N量も不足しているため、(2)式の関係を満足しないものとなっており、加工後硬さHに対する加工時の変形抵抗DRが高くなっている。
【0066】
2Xは、加工温度を200℃としたものであり、加工後硬さHに対する加工時の変形抵抗DRが高くなっている。
【0067】
上記表9(比較例)の結果に基づき(鋼種2A〜2Q)、割れ個数(n/10)と(2)式の右辺の値との関係を図1に示すが、(2)式の右辺の値は、割れ個数(n/10)と相関関係があることが分かる。尚、この結果に基づいて、回帰分析によって前記(2)式の関係を求めたものである。
【0068】
表8に示した上記1P−1〜7の結果に基づき、固溶N量が変形抵抗DRおよび加工後硬さHに与える影響を図2に示すが、固溶N量を適切に調整することによって、変形抵抗DRおよび加工後硬さHを適正な範囲に制御できることが分かる。
【0069】
上記表8の1A〜1F(実施例)および表9の2R〜2X(比較例)の結果に基づき、加工後硬さHと変形抵抗DRの関係を図3に示すが、実施例は比較例に比べて加工後硬さHと変形抵抗DRのバランスが改善されていることが分かる。
【0070】
[実施例2]
下記表10に示す化学成分組成からなる鋼種(3A〜3D)の供試鋼を調整し、実施例1と同様にして、試験片を切り出した。各試験片を用いて、鋼材中に含まれるMnSの大きさ(面積:μm2)を、下記の方法によって測定した。その結果を、加工温度、(2)式の右辺の値、セメンタイトの面積率と共に、下記表11に示す。
【0071】
[MnSの大きさの測定方法]
(i)試験片を、横断方向に中心で切断した。
(ii)上記断面(観察面)を観察できるように樹脂に埋め込み、エメリー紙による研磨、ダイヤモンドバフによる研磨および電解研磨を順次行って観察面を鏡面に仕上げた。
(iii)ナイタール(3%硝酸エタノール溶液)で腐食した。
(iv)D/4位置を光学顕微鏡の倍率100倍で観察し、5箇所写真撮影した。
(v)画像解析ソフト(住友金属テクノロジー株式会社製:「粒子解析Ver.3.0」)を用いて、MnS面積を求め、5視野の平均値をMnSの大きさ(面積:μm2)として算出した。
【0072】
【表10】

【0073】
【表11】

【0074】
そして、得られた鋼材の変形抵抗DR、加工後硬さH、割れ個数、上記実施例1と同様にして求めた。その結果を、下記表12に示す。また、この結果に基づいて、(2)式の右辺の値とMnSの大きさ(MnS面積)との関係を図4に示すが、(2)式の関係満足させることによって、MnSが微細分散されていることが分かる。
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、C:0.045%以下(0%を含まない)、Si:0.05%以下(0%を含まない)、Mn:0.30〜1.5%、P:0.05%以下(0%を含まない)、S:0.05超〜0.12%、Al:0.06%以下(0%を含まない)およびN:0.008〜0.025%を夫々含有し、下記(1)式および(2)式の関係を満足し、残部は鉄および不可避的不純物からなり、且つ固溶状態としてのN:0.007〜0.018%であると共に、パーライトおよびセメンタイトの面積率が3%以下の鋼組織であることを特徴とする冷間加工性に優れた機械構造用鋼材。
0.5≧(10[C]+[N]) …(1)
但し、[C]および[N]は、夫々CおよびNの含有量(質量%)を示す。
0≧126[C]+3[Mn]+84[S]−10 …(2)
但し、[C],[Mn]、」および[S]は、夫々C,MnおよびSの含有量(質量%)を示す。
【請求項2】
更に、Ca:0.05%以下(0%を含まない)、REM:0.05%以下(0%を含まない)、Mg:0.05%以下(0%を含まない)およびTe:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の機械構造用鋼材。
【請求項3】
更に、B:0.005%以下(0%を含まない)を含有する請求項1または2に記載の機械構造用鋼材。
【請求項4】
更に、Ti:0.2%以下(0%を含まない)、Nb:0.2%以下(0%を含まない)およびV:0.2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の機械構造用鋼材。
【請求項5】
更に、Cr:2%以下(0%を含まない)および/またはMo:2%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の機械構造用鋼材。
【請求項6】
更に、Cu:5%以下(0%を含まない)、Ni:5%以下(0%を含まない)およびCo:5%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の機械構造用鋼材。
【請求項7】
更に、Pb:0.5%以下(0%を含まない)および/またはBi:0.5%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の機械構造用鋼材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の機械構造用鋼材を加工温度:100℃未満で冷間加工することにより製造される冷間加工鋼部品であって、冷間加工後の部品硬さ(H)と冷間加工中の変形抵抗の最大値(DR)が、下記(3)式の関係を満足するものであることを特徴とする冷間加工鋼部品。
H≧(DR+200)/2.5 …(3)
[(3)式中、H:冷間加工後の部品硬さ(Hv)、DR:冷間加工中の変形抵抗の最大値(MPa)を示す。]

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−189677(P2010−189677A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33048(P2009−33048)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】