説明

処理装置及びプログラム

【課題】電子ペン用帳票に記入された記入情報を処理する際に、不正な第三者による処理を防止することができる処理システムを提供する。
【解決手段】処理システム100において、正規の利用者は予め隠し項目50の存在や位置を知らされている。利用者は、電子ペン10により電子ペン用帳票3aに記入する際、隠し項目にチェックマークを記入する。サーバ5aは、電子ペンから取得した記入情報に含まれる座標情報に基づいて定義情報を参照することにより、当該記入情報から隠し項目50に記入された認証記入情報を抽出する。サーバ5aは、認証記入情報を抽出することができた場合、隠し項目50にチェックマークが記入されていると判断し、当該記入情報を正規の利用者による正規データであると認証する。そして、サーバ5aは、正規データであると認証された記入情報に基づいて所定の処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペン用帳票において、不正な第三者による利用を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙(以下、「専用ペーパー」とも呼ぶ。)とペアで使用される。アノトペンは、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、データ通信ユニットを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書いたり、専用紙上に図案化されている画像をチェックしたりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙上のドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字、画像などの記入情報が取得される。この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される。このアノトペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、上述のパーソナルコンピュータやキーボードの使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすい。そのため、現在、各種ビジネス上の書類、申込書、契約書等に記入されたデータをデジタル化する手法として、電子ペンを利用したシステムが普及しつつある(例えば、特許文献1)。
【0003】
このように電子ペンを利用したシステムが普及することに伴い、例えば、電子ペンにより専用紙に記入された記入情報を登録する際に、部外者や正規担当者以外の人間による処理を防止するシステムが必要とされている。つまり、不正な第三者による利用を防止するシステムがあれば、セキュリティ上より安全に電子ペンを利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−153612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、電子ペン用帳票に記入された記入情報を処理する際に、不正な第三者による処理を防止する処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点では、電子ペンにより認識可能なドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に記入された情報を処理する処理装置において、前記電子ペン用帳票は、前記電子ペンによりパスワードが記入されるパスワード記入領域を有しており、前記処理装置は、前記電子ペン用帳票に記入された情報が正規であることを示すパスワードを記憶するパスワード記憶手段と、前記パスワード記入領域と、前記ドットパターンの位置座標を示す座標情報とを対応付けた定義情報を記憶する定義情報記憶手段と、前記電子ペンにより、前記電子ペン用帳票に記入された記入情報を取得する記入情報取得手段と、前記記入情報に含まれる座標情報に基づいて前記定義情報を参照することにより、前記記入情報から、前記パスワード記入領域に記入された認証記入情報を抽出する認証記入情報抽出手段と、前記認証記入情報に含まれる座標情報及び時間情報に基づいて、前記電子ペンにより記入されたパスワードを特定するパスワード特定手段と、パスワード特定手段が特定したパスワードと、パスワード記憶手段が記憶するパスワードが一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記パスワードが一致すると判定された場合に、前記記入情報は正規であると認証し、当該記入情報に基づいて所定の処理を実行する処理実行手段と、を備える。
【0007】
上記のように構成された処理装置において、正規の利用者は予めパスワードが知らされている。利用者は、電子ペンにより電子ペン用帳票に記入する際、パスワード記入領域に記入を行うことでパスワードを指定する。このとき、正規の利用者は予め知らされている正しいパスワードを記入により指定する。処理装置は、電子ペンから電子ペン用帳票に記入された内容に対応するデジタルデータを記入情報として取得する。記入情報には、座標情報や時間情報等が含まれている。処理装置は、取得した記入情報に含まれる座標情報に基づいて定義情報を参照することにより、当該記入情報からパスワード記入領域に記入された内容に対応する認証記入情報を抽出する。さらに、処理装置は、抽出した認証記入情報に含まれる座標情報及び時間情報に基づいて、パスワード記入領域において記入により指定されたパスワードを特定する。そして、処理装置は、特定したパスワードが予め記憶していた正しいパスワードと一致する場合、取得した記入情報を正規の利用者による正規データであると認証する。そして、処理装置は、正規データであると認証された記入情報に基づいて所定の処理を実行する。
【0008】
このように、処理装置は、正規の利用者のみが知るパスワードが記入により指定されている場合、記入情報は正規データであると認証し、当該記入情報に基づいて所定のデータ処理を実行する。不正な第三者が正しいパスワードを記入により指定することは困難なため、パスワード記入領域に正しいパスワードが記入されているか否かにより正規データの認証を行うことで、処理装置は、不正な第三者による記入情報に基づく処理を防止することができる。
【0009】
上記処理装置の一態様では、前記判定手段により前記パスワードが一致しないと判定された場合に、前記記入情報は不正であると判断し、当該記入情報を不正記入情報として記憶する不正記入情報記憶手段と、をさらに備える。これによれば、処理装置は、パスワードが一致しないと判定された場合に、当該記入情報を不正な第三者による不正データであると判断する。よって、不正データであると判断された記入情報に基づいて所定の処理は実行しない。なお、パスワードが一致しないと判定された場合は、特定したパスワードと正しいパスワードが一致しない場合の他に、パスワードが記入されていない場合、即ちパスワードが特定できない場合も含むものとする。
【0010】
本発明の別の観点では、電子ペンにより認識可能なドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に記入された情報を処理するコンピュータにより実行されるプログラムにおいて、前記電子ペン用帳票は、前記電子ペンによりパスワードが記入されるパスワード記入領域を有しており、前記プログラムは、前記電子ペン用帳票に記入された情報が正規であることを示すパスワードを記憶するパスワード記憶手段、前記パスワード記入領域と、前記ドットパターンの位置座標を示す座標情報とを対応付けた定義情報を記憶する定義情報記憶手段、前記電子ペンにより、前記電子ペン用帳票に記入された記入情報を取得する記入情報取得手段、前記記入情報に含まれる座標情報に基づいて前記定義情報を参照することにより、前記記入情報から、前記パスワード記入領域に記入された認証記入情報を抽出する認証記入情報抽出手段、前記認証記入情報に含まれる座標情報及び時間情報に基づいて、前記電子ペンにより記入されたパスワードを特定するパスワード特定手段、パスワード特定手段が特定したパスワードと、パスワード記憶手段が記憶するパスワードが一致するか否かを判定する判定手段、前記判定手段により前記パスワードが一致すると判定された場合に、前記記入情報は正規であると認証し、当該記入情報に基づいて所定の処理を実行する処理実行手段、として前記コンピュータを機能させる。
【0011】
上記プログラムをコンピュータにより実行することにより、上述の処理装置を実現することができる。また、上述の処理装置の各態様も同様に実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子ペン用帳票に記入された記入情報を処理する際に、不正な第三者による処理を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子ペンの使用形態を模式的に示す図である。
【図2】電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。
【図3】専用ペーパーに印刷されたドットパターンによる情報の表現方法を説明する図である。
【図4】ドットパターン及びそれに対応する情報の例である。
【図5】専用ペーパーにより構成される帳票の構造を示す。
【図6】電子ペン用帳票の例を示す。
【図7】処理システムの概略構成を示す。
【図8】第1実施形態における電子ペン用帳票の例である。
【図9】第1実施形態の処理システムに含まれるサーバの機能ブロック図である。
【図10】第1実施形態における定義情報のデータ構造を模式的に示す図である。
【図11】第1実施形態における認証処理のフローチャートである。
【図12】第2実施形態における電子ペン用帳票の例である。
【図13】第2実施形態の処理システムに含まれるサーバの機能ブロック図である。
【図14】第2実施形態における定義情報のデータ構造を模式的に示す図である。
【図15】第2実施形態における認証処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。まず、本実施形態のシステムにおいて入力デバイスとして使用される電子ペンの概要について説明する。
【0015】
[電子ペン]
図1は電子ペンの使用形態を模式的に示す図であり、図2は電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子ペン10は、ドットパターンが印刷された専用ペーパー20と組み合わせて使用される。電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様に専用ペーパー20上に文字などを書くことになる。
【0016】
図2に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、データ通信ユニット13、バッテリー14、LED15、カメラ16及び圧力センサ18を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
【0017】
電子ペン10は、ペン先部17により専用ペーパー20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、専用ペーパー20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。LED15が専用ペーパー20上のペン先部17近傍を照明しつつ、カメラ16が専用ペーパー20に印刷されているドットパターンを読み取り、データ化する。つまり、電子ペン10は専用ペーパー20上で利用者が電子ペン10を移動させることにより生じるストロークを画像データ又はベクトルデータとして取得することができる。
【0018】
圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により専用ペーパー上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で専用ペーパー20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、LED15及びカメラ16を作動する。
【0019】
カメラ16は専用ペーパー20上のドットパターンを読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給されたドットパターンから、専用ペーパー20上でのX,Y座標を算出する。
【0020】
プロセッサ11は、利用者の記述が行われる間に、筆圧の配列データ及びX,Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶していく。よって、メモリ12内には利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されていく。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。
【0021】
利用者により送信指示がなされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。そして、利用者が送信指示を行うと、データ通信ユニット13により、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。基本的には、一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全てのデータを端末装置25へ送信するため、メモリ12内はクリアされる。よって、送信後にもう一度同じ情報を端末装置25へ送信したい場合には、利用者は専用ペーパー20上に再度記述を行う必要がある。なお、この場合、利用者は専用ペーパー20上にインクペンで書かれた文字などをなぞればよいことになる。
【0022】
送信指示その他の指示は、利用者が専用ペーパー20上の所定位置に設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。専用ボックスの位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は専用ボックスの位置座標を受信すると、データ通信ユニット13にメモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。なお、電子ペン10は、データの送信完了を電子ペンの振動により示すことができる。また、電子ペン10自体が、送信機能を搭載していることとしてもよい。
【0023】
バッテリー14は電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものであり、例えば電子ペンのキャップ(図示せず)により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うことができる。
【0024】
このように、電子ペン10は利用者が専用ペーパー20上に記述した文字などに対応する座標データ(「座標情報」ともいう。)及び筆圧データを取得して近傍の端末装置25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、専用ペーパー20上に記述した内容はオリジナルの原本として残るという特徴がある。即ち、紙の原本に対して記述するのと同時に、その内容を座標データなどの形態でリアルタイムに電子化することができる。
【0025】
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はベクトルデータの形態であり、テキストデータではない。但し、電子ペン10は標準機能として、専用ペーパー20上に設けられた専用エリアに記述することにより、英数字に限りテキスト化する機能は備えている。
【0026】
また、電子ペン10内には、ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)を保持することができ、アプリケーションから参照することができる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどを保持できる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、空きメモリ容量、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などを保持することができる。
【0027】
なお、上記の例におけるデータ通信ユニット13では、Bluetooth(登録商標)の無線伝送、USBケーブルを使用した有線伝送、端子などの接触によるデータ伝送など、各種の方法によって電子ペン10から端末装置25へのデータ送信を行うことが考えられる。
【0028】
次に、電子ペンにより利用者が記述した内容のX,Y座標データを取得する方法について説明する。前述のように専用ペーパー20には、所定のドットパターンが印刷されている。電子ペン10のカメラ16は、利用者が専用ペーパー20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、専用ペーパー20上のドットパターンを読み取る。実際、図1に示すように、LED15による照明エリア及びカメラ16の撮影エリア(照明エリア内に位置する)は、ペン先部17が専用ペーパー20に接触する位置とはずれている。
【0029】
ドットパターンはカーボンを含む専用インキなどで印刷されており、カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、専用ペーパー上に罫線や枠などを印刷しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、専用ペーパーを利用して各種申込書などの帳票を生成する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを印刷する。
【0030】
ドットパターンは、図3に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組合せにより、専用ペーパー上の位置座標が決定される。図4(a)に例示するように、縦横2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、その専用ペーパー上の位置座標と対応付けされている。よって、電子ペン10のカメラ16が図4(a)に示すようなドットパターンを撮影すると、プロセッサ11はカメラ16から入力されるドットパターンのデータに基づいて図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する専用ペーパー上の位置座標(即ち、そのドットパターンがその専用ペーパー上のどの位置にあるのか)をリアルタイムで算出する。なお、ドットパターンを認識する最小単位は2mm×2mmであり、カメラ16は毎秒100回程度の撮影を行う。
【0031】
次に、専用ペーパーについて説明する。専用ペーパーの構造の一例を図5に示す。図示のように、専用ペーパー20は、台紙30上にドットパターン32が印刷され、その上に罫線などの図案34が印刷されている。台紙30は通常は紙であり、ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより印刷される。また、通常のインキなどにより図案34が印刷される。ドットパターンと図案とは同時に印刷してもよいし、いずれかを先に印刷してもよい。
【0032】
図案34の例を図6に示す。図6は、ある申込書36の例であり、複数の記入欄38や送信ボックス39が印刷されている。図6には明確に図示されておらず、詳細は後述するが、実際にはドットパターンが申込書36の全面に印刷されており、その上に記入欄38や送信ボックス39が通常のインキにより印刷されている。利用者は、ドットパターンを意識することなく、従来からある申込書と同様に、電子ペン10を使用して必要事項を申込書36の各記入欄38に記入すればよい。
【0033】
専用ペーパー20上のエリアは大きく2種類のエリアに分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。図6の例では複数の記入欄38がこれに該当する。もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。図6の例における送信ボックス39がこれに該当する。
【0034】
送信ボックス39は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25へ送信するための指示を行う際に使用される。利用者が送信ボックス39内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス内のドットパターンを読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11はデータ通信ユニット13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発する。
【0035】
ドットパターンの割り当ては、通常、アプリケーション(用紙の種類)毎に行われる。即ち、ある申込書内のドットパターンは1枚の用紙の中で重複することはないが、同一の申込書には全て同じドットパターンが印刷されている。よって、利用者が電子ペン10で必要事項を入力すると、その入力事項がその申込書のどの項目に対するものであるかを、申込書上の座標データから特定することができる。
【0036】
このように、ドットパターンを印刷した専用ペーパー上に所定の図案を印刷することにより、専用ペーパーを利用した各種申込書が生成できる。利用者は電子ペン10を使用して通常の要領で必要事項を記入すれば、その電子データが自動的に取得される。
【0037】
上記の例では、ドットパターンは専用ペーパー上にカーボンを含むインキにより印刷されているが、プリンタ及びカーボンを含むインクを使用してドットパターンを通常の紙上にプリントすることも可能である。さらに、専用ペーパー上の図案も印刷ではなく、プリンタにより形成することも可能である。ドットパターンをプリンタにより紙上に形成する場合には、1枚1枚に異なるドットパターンを形成することが可能である。よって、形成されたドットパターンの違いにより、それらの用紙1枚1枚を識別し、区別することが可能となる。
【0038】
なお、本明細書においては、「印刷」の語は、通常の印刷のみならず、プリンタによるプリントも含む概念とする。
【0039】
次に、電子ペンにより取得したデータの送信処理について図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるサービスサーバがどこであるかの情報は含まれていない。その代わりに、その専用ペーパーに関するアプリケーションやサービスを特定する情報が専用ペーパー上のドットパターンに含まれており、利用者の入力作業中に専用ペーパーからその情報が取得されている。よって、電子ペン10から記入情報を受け取った端末装置25は、まず、問い合わせサーバ26に対して、その専用ペーパーに対して入力されたデータをどのサービスサーバ27へ送信すべきかの問い合わせを行う。問い合わせサーバ26は、専用ペーパー毎に、対応するサービスサーバの情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該専用ペーパーに関するサービスなどを行うサービスサーバ27の情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。それから、端末装置25は、電子ペンから取得した記入情報をそのサービスサーバ27へ送信することになる。
【0040】
なお、上記の例では端末装置25、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27が別個に構成されているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成することも可能である。本実施形態において後述するサーバは、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27を兼ねていることとしている。
【0041】
[処理システム]
次に、本実施形態の処理システムについて説明する。図7に処理システムの概略構成を示す。図7に示す処理システムは、電子ペン10により電子ペン用帳票3に記入された記入情報を処理する際に、不正な第三者による処理を防止する処理システムを提供することを課題とする。
【0042】
図7に示すように、処理システムは、端末装置25及びサーバ5がネットワーク2を通じて接続されることにより構成される。ここで、ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。
【0043】
端末装置25は、利用者が使用するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と呼ぶ。)や携帯電話といったネットワークを介してデータの授受が可能な端末装置である。電子ペン10により電子ペン用帳票3に記入された記入内容は、記入情報として端末装置25を介し、サーバ5へ送信される。記入情報は、利用者が記入した記入内容に関するストロークや座標に関する情報等が含まれている。ここで、電子ペン用帳票3は、電子ペン10が認識可能な上述の専用ペーパーである。
【0044】
サーバ5は、電子ペン10により電子ペン用帳票3に記入された内容に対応する記入情報を取得し、当該記入情報が不正な第三者により記入された情報であるか否かを判定する。具体的に、正規の利用者は、電子ペン10を使用して、電子ペン用帳票3の隠し項目(隠し記入領域)にチェックマークを記入したり、電子ペン用帳票3のパスワード記入項目(パスワード記入領域)においてパスワードを指定したりする。よって、詳細は後述するが、サーバ5は、記入情報に基づいて、隠し項目へのチェックマークの記入の有無や、パスワード記入項目において指定されたパスワードの成否を判定することにより、当該記入情報が正規の利用者による正規データであるか、不正な第三者による不正データであるかを判断する。
【0045】
なお、サーバ5は、不正登録データベース(以下、「DB」と呼ぶ。)6に接続されている。
【0046】
これによれば、サーバ5は、記入情報に含まれる座標情報や時間情報に基づいて、当該記入情報が正規の利用者による正規データであるか、不正な第三者による不正データであるか判断することができる。よって、例えば、電子ペン10により電子ペン用帳票3に記入された記入情報を登録する際に、部外者や正規担当者以外の人間による処理を防止することが可能となる。
【0047】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の処理システムにおける第1実施形態について説明する。第1実施形態において、正規の利用者は、電子ペン10により電子ペン用帳票3aへ記入する際に、当該電子ペン用帳票3a上に設けられた隠し項目にチェックマークを記入する。隠し項目にチェックマークを記入することは、予め正規の利用者にのみ指示されており、隠し項目は視覚的に認識しづらい位置に配置されているため、不正な第三者が電子ペン10により電子ペン用帳票3aへ記入する際に隠し項目にチェックマークを記入することは困難である。つまり、隠し項目の存在や隠し項目へのチェックを知らない第三者が、電子ペン用帳票3aへ記入する際に隠し項目にチェックマークを記入することはほぼ不可能である。
【0048】
そこで、サーバ5aは、記入情報に基づいて、隠し項目にチェックマークが記入されているか否かを判定する。そして、サーバ5aは、チェックマークが記入されている場合、当該記入情報は正規データであると認証し、当該記入情報に基づいて所定のデータ処理を実行する。一方、チェックマークが記入されていない場合、当該記入情報は不正データであると判断し、当該記入情報を不正記入情報として不正登録DB6に別登録する。これにより、サーバ5aは、不正な第三者による記入情報に基づく処理を防止することができる。
【0049】
(i)電子ペン用帳票
ここで、第1実施形態の処理システムにおいて使用される電子ペン用帳票3aについて、図8を参照して説明する。図8は、電子ペン用帳票3aの例である。
【0050】
図8(a)に示すように、電子ペン用帳票3aは、名前を記入する名前項目や住所を記入する住所項目等、複数の項目から構成されている。また、電子ペン用帳票3aは、利用者が容易に認識できる名前項目や住所項目の他に、利用者が容易に認識できない隠し項目50を有している。本実施形態では、隠し項目50は、電子ペン用帳票3上に印刷されたロゴマークの部分に配置されている。隠し項目50は、データの有効性及び正当性を示すユーザエリアであり、罫線等はなく、利用者が容易に隠し項目50の存在を認識することはできない。ロゴマークの部分に隠し項目50が配置されていることは、正規の利用者以外には開示しない。
【0051】
なお、図8では、隠し項目50を説明するために、便宜上、破線が記載されているが、実際に破線は存在しない。そのため、予め開示されていなければ、利用者が隠し項目50を認識することはほぼ不可能である。
【0052】
正規の利用者は、図8(b)に示すように、電子ペン10を使用して名前項目や住所項目に必要事項を記入する際、必ず隠し項目50にチェックマークを記入する。そして、最後に、送信ボックス39にチェックマークを記入することで、電子ペン用帳票3aに記入された内容に対応する記入情報を、端末装置25を介してサーバ5aへ送信する。
【0053】
サーバ5aは、後述する定義情報に基づいて、記入情報から、隠し項目50に記入された情報が抽出できるか否かを判定することにより、当該記入情報が正当データであるか又は不正データであるかを判断する。つまり、サーバ5aは、隠し項目50へのチェックマークの記入の有無を判定することにより、当該記入情報が正当データであるか又は不正データであるかを判断する。
【0054】
なお、本実施形態では、図8に示すように、隠し項目50がロゴマーク部分に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ロゴマーク等と全く別の箇所に視覚的に認識不可能な状態で配置する(視覚的に表示されていない)こととしてもよく、当該電子ペン用帳票3aに関連付けた別の電子ペン用帳票に配置することとしてもよい。また、本実施形態では、図8に示すように、1枚の電子ペン用帳票3aに配置された隠し項目は1つであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、1枚の電子ペン用帳票に複数の隠し項目を配置することとしてもよい。つまり、隠し項目の配置場所をはじめ、電子ペン用帳票3aのデザインは任意に設定することができる。
【0055】
(ii)サーバ
次に、第1実施形態におけるサーバ5aについて詳しく説明する。図9は、第1実施形態の処理システム100における、特にサーバ5aの内部構成を示す。図示のように、サーバ5aは、認証プログラム101、記入情報取得機能102、定義情報103、認証記入情報判定機能104、認証機能105及びデータ処理実行機能106を有する。なお、各機能は、サーバ5aが有するCPUが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0056】
認証プログラム101は、記入情報に基づいて、隠し項目50に電子ペン10による記入がなされているか否かを判定し、記入されている場合に、当該記入情報を正規データと認証し、所定のデータ処理を実行するプログラムである。また、記入されていない場合に、当該記入情報を不正データと判断し、不正記入情報として登録するプログラムである。
【0057】
記入情報取得機能102は、電子ペン10から、電子ペン用帳票3に記入された内容に対応する記入情報を取得する機能である。
【0058】
認証記入情報判定機能104は、定義情報103を参照し、記入情報取得機能102が取得した記入情報から、隠し項目50に記入された内容に対応する認証記入情報が抽出できるか否かを判定する機能である。利用者が電子ペン10により隠し項目50にチェックマークを記入した場合、認証記入情報判定機能104は、記入情報から認証記入情報を抽出できる。しかし、利用者が電子ペン10により隠し項目50に何も記入しなかった場合、認証記入情報判定機能104は、記入情報から認証記入情報を抽出できない。よって、記入情報から認証記入情報が抽出できるか否かを判定することにより、隠し項目50にチェックマーク等が記入されているか否かを判定することができる。
【0059】
ここで、定義情報103について、図10を参照して詳しく説明する。図10は、定義情報のデータ構造を模式的に示す図である。図示のように、定義情報103は、項目ID、項目名及び座標情報から構成される。項目IDとは、電子ペン用帳票3を構成する各項目を識別する情報である。項目名とは、各項目の名称であって、例えば、「隠し項目」、「名前項目」、「住所項目」等である。座標情報とは、各項目のドットパターン上の配置を示す位置座標である。本実施形態では、各項目の左上頂点座標及び右下頂点座標により、四角形である各項目のドットパターン上の配置を示している。認証記入情報判定機能104は、記入情報に含まれる座標情報に基づいて、図示のような定義情報の座標情報を参照することにより、当該記入情報に、隠し項目50に記入された内容に対応する認証記入情報が含まれているか否かを判定することができる。
【0060】
認証機能105は、認証記入情報判定機能104により記入情報から認証記入情報が抽出できると判定された場合に、記入情報取得機能102が取得した記入情報が正規の利用者による正規データであると認証する機能である。また、認証機能105は、認証記入情報判定機能104により記入情報から認証記入情報が抽出できないと判定された場合に、記入情報取得機能102が取得した記入情報が不正な第三者による不正データであると判断する機能である。不正データと判断された記入情報は、不正記入情報として不正登録DB6に登録される。
【0061】
データ処理実行機能106は、認証機能105により正規データであると認証された記入情報に基づいて、所定のデータ処理を実行する機能である。
【0062】
(iii)認証処理
次に、第1実施形態の処理システム100により実行される認証処理について説明する。図11は、第1実施形態における認証処理のフローチャートである。
【0063】
なお、正規の利用者には、予め隠し項目50に関する情報が開示されている。
【0064】
利用者は、電子ペン10を使用して、電子ペン用帳票3aに必要事項の記入を行う。このとき、正規の利用者は、隠し項目50にチェックマークを記入する。利用者の指示により、電子ペン10は、電子ペン用帳票3aに記入された内容に対応する記入情報をサーバ5aへ送信する。
【0065】
サーバ5aは、電子ペン用帳票を構成する項目と、対応する項目のドットパターン上の位置座標を示す座標情報とを対応付けて定義した定義情報を予め有している。また、サーバ5aは、端末装置25を介して、電子ペン10から記入情報を取得する(ステップS1)。そして、サーバ5aは、定義情報を参照することにより、記入情報から、隠し項目50に記入された認証記入情報を抽出する(ステップS2)。記入情報から認証記入情報を抽出することができた場合(ステップS3;Yes)、サーバ5aは、当該記入情報を正規データであると認証する(ステップS4)。さらに、サーバ5aは、正規データであると認証した記入情報に基づいて、所定のデータ処理を実行し(ステップS5)、認証処理を完了する。一方、記入情報から認証記入情報を抽出することができなかった場合(ステップS3;No)、サーバ5aは、当該記入情報を不正データであると判断する(ステップS6)。さらに、サーバ5aは、不正データであると判断した記入情報を不正登録DB6に登録する(ステップS7)。つまり、不正データであると判断された記入情報に基づくデータ処理は実行されず、認証処理は終了する。
【0066】
なお、本実施形態では、不正データであると判断された記入情報は不正登録DB6に登録されることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定のデータ処理には使用されずに削除されることとしてもよい。
【0067】
このように、本実施形態によれば、電子ペン用帳票3には、正規の利用者以外には分からないような形態で「隠し項目」が設けられている。よって、サーバ5aは、隠し項目50にチェックマークが記入されている場合、当該記入情報は正規データであると認証し、当該記入情報に基づいて所定のデータ処理を実行する。一方、チェックマークが記入されていない場合、当該記入情報は不正データであると判断し、当該記入情報を不正記入情報として不正登録DB6に別登録する。これにより、サーバ5aは、不正な第三者による記入情報に基づく処理を防止することができる。
【0068】
[第2実施形態]
次に、本実施形態の処理システムにおける第2実施形態について説明する。第2実施形態において、正規の利用者は、電子ペン10により電子ペン用帳票3bへ記入する際に、当該電子ペン用帳票3b上に設けられたパスワード記入項目にチェックマークを記入することで、パスワードを指定する。パスワードを指定すること及び正しいパスワードは、予め正規の利用者にのみ開示されているため、不正な第三者が電子ペン10により電子ペン用帳票3bに記入する際にパスワード記入項目において正しいパスワードを指定することは困難である。つまり、正しいパスワードを知らない第三者が、電子ペン用帳票3bへ記入する際にパスワード記入項目において正しいパスワードを指定することはほぼ不可能である。
【0069】
そこで、サーバ5bは、記入情報に基づいて、パスワード記入項目におけるチェックマークの記入により正しいパスワードが指定されているか否かを判定する。そして、サーバ5bは、正しいパスワードが指定されている場合、当該記入情報は正規データであると認証し、当該記入情報に基づいて所定のデータ処理を実行する。一方、正しいパスワードが指定されていない場合、当該記入情報は不正データであると判断し、当該記入情報を不正記入情報として不正登録DB6に別登録する。これにより、サーバ5bは、不正な第三者による記入情報に基づく処理を防止することができる。
【0070】
(i)電子ペン用帳票
ここで、第2実施形態の処理システムにおいて使用される電子ペン用帳票3bについて、図12を参照して説明する。図12は、電子ペン用帳票3bの例である。
【0071】
図12(a)に示すように、電子ペン用帳票3bは、名前を記入する名前項目や住所を記入する住所項目等、複数の項目から構成されている。また、電子ペン用帳票3bは、チェックマークを記入することによりパスワードを指定することができるパスワード記入項目60を有している。パスワード記入項目60は、複数のキー項目から構成されており、各キー項目には数字やアルファベットが対応付けられている。
【0072】
正規の利用者は、図12(b)に示すように、電子ペン10を使用して名前項目や住所項目に必要事項を記入する際、必ずパスワード記入項目60において、正しいパスワードに対応するキー項目にチェックマークを記入することにより、パスワードの指定を行う。例えば、パスワードが「1486」の場合、利用者は順番に各数字に対応するキー項目にチェックマークを記入する。本実施形態は、パスワードが「1111」のように重複した数字である場合にも適用することができ、この場合、利用者は数字「1」に対応するキー項目に4回チェックマークを記入する。そして、最後に、送信ボックス39にチェックマークを記入することで、電子ペン用帳票3bに記入された内容に対応する記入情報を、端末装置25を介してサーバ5bへ送信する。
【0073】
サーバ5bは、後述する定義情報に基づいて、記入情報から、パスワード記入項目60に記入された認証記入情報を抽出する。さらに、サーバ5bは、認証記入情報に含まれる座標情報及び時間情報に基づいて、パスワード記入項目60において指定されたパスワードを特定する。具体的に、サーバ5bは、座標情報に基づいてチェックマークが記入されたキー項目を特定し、当該キー項目に対応付けられた数字やアルファベットを特定する。さらに、サーバ5bは、時間情報に基づいて、特定したキー項目へチェックマークが記入された順序を特定する。特定した数字やアルファベット及び記入順序により、パスワード記入項目60において利用者が指定したパスワードを特定することができる。サーバ5bは、予め正しいパスワードを記憶しておき、特定したパスワードと一致するか否かを判定することにより、当該記入情報が正当データであるか又は不正データであるかを判断する。
【0074】
なお、本実施形態では、図12に示すように、パスワード記入項目60を構成するキー項目は数字又はアルファベットに対応付けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、設定した正しいパスワードを指定することができればキー項目をどのような記号や文字に対応付けるかは任意に設定することができる。
【0075】
(ii)サーバ
次に、第2実施形態におけるサーバ5bについて詳しく説明する。図13は、第2実施形態の処理システム200における、特にサーバ5bの内部構成を示す。図示のように、サーバ5bは、認証プログラム201、記入情報取得機能202、定義情報203、認証記入情報抽出機能204、パスワード特定機能205、認証判定機能206、認証機能207及びデータ処理実行機能208を有する。なお、各機能は、サーバ5bが有するCPUが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0076】
認証プログラム201は、記入情報からパスワード記入項目60に記入された認証記入情報を抽出し、当該認証記入情報に基づいて利用者が指定したパスワードを特定するプログラムである。また、認証プログラム201は、特定したパスワードが正しいパスワードである場合に、当該記入情報を正規データと認証し、所定のデータ処理を実行するプログラムである。さらに、認証プログラム201は、パスワードが特定できなかった場合及び特定したパスワードが正しいパスワードではない場合に、当該記入情報を不正データと判断し、不正記入情報として登録するプログラムである。
【0077】
記入情報取得機能202は、電子ペン10から、電子ペン用帳票3に記入された内容に対応する記入情報を取得する機能である。
【0078】
認証記入情報抽出機能204は、定義情報203を参照し、記入情報取得機能202が取得した記入情報から、パスワード記入項目60に記入された内容に対応する認証記入情報を抽出する機能である。ここで、定義情報203について、図14を参照して詳しく説明する。図14は、定義情報のデータ構造を模式的に示す図である。図示のように、定義情報203は、項目ID、項目名、キー及び座標情報から構成される。項目IDとは、各項目の名称であって、例えば、「パスワード記入項目」、「名前項目」、「住所項目」等である。キーとは、パスワード記入項目60を構成するキー項目に関しており、各キー項目に対応付けられた数字やアルファベットが格納されている。座標情報とは、各項目のドットパターン上の配置を示す位置座標である。なお、図示のように、パスワード記入項目のみは、当該パスワード記入項目を構成するキー項目毎にドットパターン上の配置を示す位置座標が格納されている。認証記入情報抽出機能204は、記入情報に含まれる座標情報に基づいて、図示のような定義情報の座標情報を参照することにより、当該記入情報から、パスワード記入項目60に記入された内容に対応する認証記入情報を抽出することができる。
【0079】
パスワード特定機能205は、認証記入情報抽出機能204が抽出した認証記入情報に含まれる座標情報に基づいて、定義情報の座標情報を参照することにより、電子ペン10によりチェックマークの記入が行われたキー項目に対応付けられた数字又はアルファベットを特定する。なお、本実施形態におけるチェックマークは、1ストロークであるものとする。また、パスワード特定機能205は、認証記入情報に含まれる時間情報に基づいて、電子ペン10によりチェックマークの記入が行われたキー項目の記入順序を特定する。換言すると、キー項目に対応付けされた数字又はアルファベットの順序を特定する。そして、パスワード特定機能205は、特定した数字又はアルファベットと、記入順序とに基づいて、利用者がパスワード記入項目60において指定したパスワードを特定する。
【0080】
認証判定機能206は、パスワード特定機能205が特定したパスワードと、予めサーバ5bに記憶された正しいパスワードとを比較し、一致するか否かを判定する機能である。
【0081】
認証機能207は、特定したパスワードと正しいパスワードが一致すると判定した場合に、記入情報取得機能202が取得した記入情報が正規の利用者による正規データであると認証する機能である。一方、特定したパスワードと正しいパスワードが一致しないと判定した場合に、認証機能206は、記入情報取得機能202が取得した記入情報が不正な第三者による不正データであると判断する機能である。また、認証機能207は、認証記入情報抽出機能204が認証記入情報を抽出できなかった場合やパスワード特定機能205がパスワードを特定できなかった場合にも、当該記入情報が不正データであると判断する。なお、不正データと判断された記入情報は、不正記入情報として不正登録DB6に登録される。
【0082】
データ処理実行機能208は、認証機能207による正規データであると認証された記入情報に基づいて、所定のデータ処理を実行する機能である。
【0083】
(iii)認証処理
次に、第2実施形態の処理システム200により実行される認証処理について説明する。図15は、第2実施形態における認証処理のフローチャートである。
【0084】
なお、正規の利用者には、予め正しいパスワードが開示されている。また、サーバ5b
は、予め正しいパスワードを記憶している。
【0085】
利用者は、電子ペン10を使用して、電子ペン用帳票3bに必要事項の記入を行う。このとき、正規の利用者は、パスワード記入項目60においてキー項目にチェックマークを記入することにより、正しいパスワードを指定する。利用者の指示により、電子ペン10は、電子ペン用帳票3bに記入された内容に対応する記入情報をサーバ5bへ送信する。
【0086】
サーバ5bは、電子ペン用帳票を構成する項目と、対応する項目のドットパターン上の位置座標を示す座標情報とを対応付けて定義した定義情報を予め有している。また、サーバ5bは、端末装置25を介して、電子ペン10から記入情報を取得する(ステップS11)。そして、サーバ5bは、定義情報を参照することにより、記入情報から、パスワード記入項目60に記入された認証記入情報を抽出する(ステップS12)。さらに、サーバ5bは、抽出した認証記入情報に含まれる座標情報及び時間情報と、定義情報とに基づいて、利用者がパスワード記入項目60において指定したパスワードを特定する(ステップS13)。そして、サーバ5bは、特定したパスワードと、予め記憶してある正しいパスワードとを比較し、一致するか否かを判定する(ステップS14)。特定したパスワードと正しいパスワードが一致する場合(ステップS14;Yes)、サーバ5bは、当該記入情報を正規データであると認証する(ステップS15)。さらに、サーバ5bは、正規データであると認証した記入情報に基づいて、所定のデータ処理を実行し(ステップS16)、認証処理を完了する。一方、特定したパスワードと正しいパスワードが一致しなかった場合(ステップステップS14;No)、サーバ5bは、当該記入情報を不正データであると判断する(ステップS17)。さらに、サーバ5bは、不正データであると判断した記入情報を不正登録DB6に登録する(ステップS18)。つまり、不正データであると判断された記入情報に基づくデータ処理は実行されず、認証処理は終了する。
【0087】
なお、本実施形態では、予めサーバ5bが正しいパスワードを記憶していることとしているが、パスワードの設定方法としては「電子ペン用帳票毎に設定」、「ペンID単位で設定」、「月次や週次で設定」等種々の方法が考えられる。つまり、本発明におけるパスワードの設定方法は任意である。正規の利用者には常に最新のパスワードが開示され、サーバ5bには常に最新のパスワードが記憶される。
【0088】
また、本実施形態では、不正データであると判断された記入情報は不正登録DB6に登録されることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定のデータ処理には使用されずに削除されることとしてもよい。
【0089】
このように、本実施形態によれば、電子ペン用帳票3にはパスワードを指定するためのパスワード記入項目60が設けられており、正しいパスワードは正規の利用者にのみ開示されている。よって、サーバ5bは、パスワード記入項目60において指定されたパスワードが正しいパスワードである場合、当該記入情報は正規データであると認証し、当該記入情報に基づいて所定のデータ処理を実行する。一方、パスワード記入項目60において指定されたパスワードが正しいパスワードではない場合、当該記入情報は不正データであると判断し、当該記入情報を不正記入情報として不正登録DB6に別登録する。これにより、サーバ5bは、不正な第三者による記入情報に基づく処理を防止することができる。つまり、パスワードの正当性を検証することにより、記入情報の不正処理や不正登録を排除することができる。
【0090】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、サーバ5が各種機能を有することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一部又は全部の機能を端末装置25が有することとしてもよい。つまり、端末装置25自身で完結した処理により、認証処理を行うこととしてもよい。この場合、端末装置25は、ネットワーク2に接続されている必要はなく、スタンドアロンでも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば、電子ペン用帳票に記入された記入情報を処理する際に、不正な第三者による処理を防止することができる。
【符号の説明】
【0092】
2…ネットワーク
3…電子ペン用帳票
5…サーバ
10…電子ペン
11…プロセッサ
12…メモリ
13…データ通信ユニット
14…バッテリー
25…端末装置
26…問い合わせサーバ
27…サービスサーバ
100…処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペンにより認識可能なドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に記入された情報を処理する処理装置において、
前記電子ペン用帳票は、前記電子ペンによりパスワードが記入されるパスワード記入領域を有しており、
前記処理装置は、
前記電子ペン用帳票に記入された情報が正規であることを示すパスワードを記憶するパスワード記憶手段と、
前記パスワード記入領域と、前記ドットパターンの位置座標を示す座標情報とを対応付けた定義情報を記憶する定義情報記憶手段と、
前記電子ペンにより、前記電子ペン用帳票に記入された記入情報を取得する記入情報取得手段と、
前記記入情報に含まれる座標情報に基づいて前記定義情報を参照することにより、前記記入情報から、前記パスワード記入領域に記入された認証記入情報を抽出する認証記入情報抽出手段と、
前記認証記入情報に含まれる座標情報及び時間情報に基づいて、前記電子ペンにより記入されたパスワードを特定するパスワード特定手段と、
パスワード特定手段が特定したパスワードと、パスワード記憶手段が記憶するパスワードが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記パスワードが一致すると判定された場合に、前記記入情報は正規であると認証し、当該記入情報に基づいて所定の処理を実行する処理実行手段と、を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記判定手段により前記パスワードが一致しないと判定された場合に、前記記入情報は不正であると判断し、当該記入情報を不正記入情報として記憶する不正記入情報記憶手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項3】
電子ペンにより認識可能なドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に記入された情報を処理するコンピュータにより実行されるプログラムにおいて、
前記電子ペン用帳票は、前記電子ペンによりパスワードが記入されるパスワード記入領域を有しており、
前記プログラムは、
前記電子ペン用帳票に記入された情報が正規であることを示すパスワードを記憶するパスワード記憶手段、
前記パスワード記入領域と、前記ドットパターンの位置座標を示す座標情報とを対応付けた定義情報を記憶する定義情報記憶手段、
前記電子ペンにより、前記電子ペン用帳票に記入された記入情報を取得する記入情報取得手段、
前記記入情報に含まれる座標情報に基づいて前記定義情報を参照することにより、前記記入情報から、前記パスワード記入領域に記入された認証記入情報を抽出する認証記入情報抽出手段、
前記認証記入情報に含まれる座標情報及び時間情報に基づいて、前記電子ペンにより記入されたパスワードを特定するパスワード特定手段、
パスワード特定手段が特定したパスワードと、パスワード記憶手段が記憶するパスワードが一致するか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により前記パスワードが一致すると判定された場合に、前記記入情報は正規であると認証し、当該記入情報に基づいて所定の処理を実行する処理実行手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−233166(P2011−233166A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165131(P2011−165131)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【分割の表示】特願2006−300237(P2006−300237)の分割
【原出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】