説明

処理装置

【課題】部品点数の増加を抑制して、装置のコストアップや大型化を回避しつつ、エアカーテン機能を有する処理装置を提供する。
【解決手段】処理対象物の投入口11aを有する処理槽を備えた装置本体1と、前記装置本体1に取り付けられ、前記投入口11aを開閉する蓋部材100と、を備えた処理装置であって、前記装置本体1がエアーカーテンを形成する空気を噴出する噴出口34aと前記噴出口34aに空気を送風する噴出口用送風機とを備え、前記蓋部材100が気流案内ダクトを備える。前記気流案内ダクトは、前記蓋部材100の開放時には前記噴出口34aと非連通状態にあり、前記蓋部材100の閉鎖により前記噴出口34aと連通状態となるように配設された導入口121と、前記噴出口34a及び前記導入口121を介して前記噴出口用送風機から前記気流案内ダクト内に送風された空気を前記処理槽内の前記処理対象物へ排気する排気口122と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアカーテン機能を有する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理槽の投入口を開閉する蓋部材を設け、処理対象物の投入時に蓋部材を開放する形式の処理装置では、蓋部材の開放時に処理槽内の異臭等が立ち上って、作業者に不快感を与える場合がある。例えば、生ごみ等の廃棄物を微生物の働きにより醗酵して減量処理する廃棄物処理装置では、醗酵に伴う臭気が処理槽内に充満するため、蓋部材の開放時にその臭気が立ち上って作業者に不快感を与える場合がある。
【0003】
このような問題を解決する装置として、例えば、特許文献1及び2には、エアカーテン機能を有する廃棄物処理装置が開示されている。特許文献1及び2に記載の廃棄物処理装置は、処理槽の投入口の側方からこれを横断するように空気を噴出する。このため、投入口を覆うエアカーテンが形成されて、処理槽内の臭気が立ち上ることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−069168号公報
【特許文献2】特開2008−194621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアカーテン機能を構築するためには、送風機や送風機からの空気を投入口に導くダクト等が必要となる。このため、部品点数が増加して、装置のコストアップや大型化を招き易い。
【0006】
本発明の目的は、部品点数の増加を抑制して、装置のコストアップや大型化を回避しつつ、エアカーテン機能を構築することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、処理対象物の投入口を有する処理槽を備えた装置本体と、前記装置本体に取り付けられ、前記投入口を開閉する蓋部材と、を備えた処理装置であって、前記装置本体に設けられ、前記投入口の側方から該投入口を横断する方向に空気を噴出する噴出口と、前記装置本体に設けられ、前記噴出口に空気を送風する噴出口用送風機と、前記蓋部材に設けられた気流案内ダクトと、を備え、前記気流案内ダクトは、前記蓋部材の開放時には前記噴出口と非連通状態にあり、前記蓋部材の閉鎖により前記噴出口と連通状態となるように配設された導入口と、前記噴出口及び前記導入口を介して前記噴出口用送風機から前記気流案内ダクト内に送風された空気を前記処理槽内の前記処理対象物へ排気する排気口と、を備えたことを特徴とする処理装置が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、処理対象物の投入口を有する処理槽を備えた装置本体と、前記装置本体に取り付けられ、前記投入口を開閉する蓋部材と、を備えた処理装置であって、前記装置本体に設けられ、前記投入口の側方から該投入口を横断する方向に空気を噴出する噴出口と、前記装置本体に設けられ、前記噴出口に空気を送風する噴出口用送風機と、前記装置本体に設けられ、前記噴出口用送風機が吸引する外気を取り入れる取入口と、前記蓋部材に設けられた気流案内ダクトと、前記蓋部材に設けられた還流ダクトと、を備え、前記気流案内ダクトは、前記蓋部材の開放時には前記噴出口と非連通状態にあり、前記蓋部材の閉鎖により前記噴出口と連通状態となるように配設された第1導入口と、前記噴出口及び前記導入口を介して前記噴出口用送風機から前記気流案内ダクト内に送風された空気を前記処理槽内の前記処理対象物へ排気する第1排気口と、を備え、前記還流ダクトは、前記処理槽内の空気を吸引するための第2導入口と、前記蓋部材の開放時には前記取入口と非連通状態にあり、前記蓋部材の閉鎖により前記取入口と連通状態となるように配設された第2排気口と、を備えたことを特徴とする処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品点数の増加を抑制して、装置のコストアップや大型化を回避しつつ、エアカーテン機能を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る処理装置の外観図。
【図2】前記処理装置の内部構造の説明図。
【図3】蓋部材を開放した場合の処理装置内の気流の説明図。
【図4】(A)は送風ユニットの平面図、(B)は制御部のブロック図。
【図5】制御部が実行する開閉時処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る処理装置Aの外観図、図2及び図3は処理装置Aの内部構造の説明図であり、図2は蓋部材100の閉鎖時、図3は蓋部材100の開放時を示す。図中、矢印Zは鉛直方向(処理装置Aの高さ方向)を示し、矢印X及びYは互いに直交する水平方向(X方向は処理装置Aの幅方向、Y方向は処理装置Aの奥行き方向)を示す。処理装置Aは生ごみ等の廃棄物を減量処理する廃棄物処理装置である。
【0012】
<装置の概要>
処理装置Aは、装置本体1と、蓋部材100と、蓋部材200と、を備える。蓋部材100は装置本体1に回動自在に取り付けられたドアであり、生ごみを投入する投入口11aを開閉する。装置本体1は、その正面に減量処理済の廃棄物を排出するための開口部200aが設けられており、蓋部材200は装置本体1に回動自在に取り付けられて開口部200aを開閉するドアである。蓋部材100や蓋部材200を閉鎖した状態では、装置本体1内部の気密性が保たれるように蓋部材100や蓋部材200の周囲には不図示のシール部材が設けられる。
【0013】
<装置本体>
装置本体1の上面には操作部3が設けられている。操作部3には処理装置Aの処理開始、停止等をユーザが指示するためのスイッチ等が設けられる。装置本体1の、投入口11aの周縁には、蓋部材100が開放状態か閉鎖状態にあるかを検出する開閉検出センサ2が設けられている。開閉検出センサ2としては、メカニカルスイッチ、光センサ、マグネットセンサ等、蓋部材100の開放・閉鎖状態を検出できるものであれば何でもよい。
【0014】
装置本体1の、投入口11aの周縁には、また、噴出口34aが設けられている。噴出口34aは投入口11aの側方から投入口11aを横断する方向(同図の矢印)に空気を噴出して、投入口11aの上部を覆うエアカーテンを形成する。本実施形態では、空気流がX方向に流れるようにしたが、投入口11aの周縁のうちY方向手前側に噴出口34aを配設して、空気流がY方向で処理装置Aの奥行き方向に流れるようにしてもよい。この構成であれば、投入口11aから臭気が立ち上ることを防止できるだけでなく、処理装置Aの奥行き方向に押しやることができるので、処理装置Aの正面側から生ごみの投入作業を行う作業者に臭気が接することを更に防止できる。
【0015】
装置本体1の、投入口11aの周縁には、また、取入口35aが設けられている。取入口35aは、図1及び図3に示すように蓋部材100の開放時には外気を取り入れるために、また、図2に示すように蓋部材100の閉鎖時には処理槽11内の空気を取り入れるために用いられる。
【0016】
図2及び図3を参照して、装置本体1は底板4を備え、その下面にはキャスタ5が取り付けられており、処理装置Aの移動を容易なものとしている。底板4上にはX方向に互いに離間した仕切壁6乃至8が立設されている。仕切壁6乃至8は底板4に固定された隔壁であり、装置本体1内の空間を仕切る。装置本体1内では、処理対象物として、例えば、生ごみ等の廃棄物を加温処理する。詳細には、廃棄物の前処理となる醗酵処理と、後処理となる乾燥処理とによる廃棄物の減量処理である。
【0017】
仕切壁6と仕切壁7との間の空間は廃棄物処理槽11を、仕切壁7と仕切壁8との間の空間は廃棄物処理槽12を、それぞれ形成し、X方向に連続して配設されたこれらの処理槽11及び12が生ごみを減量処理する廃棄物処理処理槽10を構成している。本実施形態の場合、処理槽11が投入口11aを有している。なお、本実施形態では処理槽を2槽構成としているが、1槽構成としてもよく、或いは、3槽以上の構成としてもよい。
【0018】
処理槽11のX方向の側方には、仕切壁8で仕切られた回収室13が形成されている。回収室13は減量処理された廃棄物が処理槽12から導入される。回収室13は開口部200aと連通しており、蓋部材200を開放することで回収室13から減量処理済の廃棄物を取り出すことができる。
【0019】
装置本体1は、駆動ユニット20を備える。駆動ユニット20は、処理槽10を横断する駆動軸21を備える。駆動軸21はX方向に延設され、仕切壁6乃至8にそれぞれ設けた軸受け22により回転自在に支持されている。駆動ユニット20は、また、駆動軸21の一方端部に固定されたスプロケット23と、モータ24と、を備える。スプロケット23と、モータ24の出力軸に固定したスプロケットとにはベルトが巻きまわされてベルト伝動機構が構成されている。そして、モータ24の駆動により駆動軸21が回転するようにしている。
【0020】
駆動軸21にはその径方向に延びる攪拌棒25が複数取り付けられている。駆動軸21の回転により、攪拌棒25によって処理槽11及び12内の廃棄物が攪拌される。本実施形態では棒状の攪拌棒25を採用したが、槽内を攪拌可能な形状であればよい。仕切壁7の下部には、処理槽11と処理槽12とを連通させる連通孔71が形成されており、攪拌棒25による攪拌により、処理槽11から処理槽12へ廃棄物が移動可能となっている。
【0021】
なお、本実施形態では、仕切壁7の下部に連通孔71を設けて処理槽11から処理槽12へ廃棄物を移動可能としたが、仕切壁7の上部に開口部を設けて、仕切壁7を超えて処理槽11から処理槽12へ廃棄物がオーバーフローすることにより、廃棄物を移動可能としてもよい。
【0022】
処理槽12内の廃棄物は、その堆積量の増加により仕切壁8を超えて回収室13へ落下し、回収室13内に堆積する。なお、本実施形態では、仕切壁8を超えて処理槽12から回収室13へ廃棄物が移動可能としたが、仕切壁8の下部に連通孔を設けて処理槽12から回収室13へ廃棄物がアンダーフローすることにより、廃棄物を移動可能としてもよい。
【0023】
<送風ユニット>
図2、図3及び図4(A)を参照して、装置本体1は送風ユニット30を備える。図4(A)は送風ユニット30の平面図である。送風ユニット30は、空気室30aを画定するケース31を備える。ケース31は、その下面に開口部31aが形成されており、空気室30aは処理槽12と連通している。空気室30aには、ダクト34乃至36が接続されている。
【0024】
空気室30a内には、送風機32及び33が配設されている。送風機32には一方端部に噴出口34aを有するダクト34の他方端部が接続されており、送風機32は空気室30a内の空気を吸引して噴出口34aに空気を送風する噴出口用送風機である。送風機33にはヒータ部40が接続されたダクト36が接続されており、送風機33は空気室30a内の空気を吸引してヒータ部40に空気を送風するヒータ部用送風機である。ダクト35は、その一方端部に取入口35aを有し、その他方端部がケース31に接続されている。
【0025】
以上の構成により、空気室30aに関する空気の出入り関係は以下の通りとなる。すなわち、送風機32又は33のいずれか一方の作動による空気の吸引により、空気室30a内には、開口部31aを介した処理槽12内の空気と、ダクト35を介した外気又は処理槽11内の空気とが導入される。そして、空気室30a内の空気は送風機32により噴出口34aへ、送風機33によりヒータ部40へ、それぞれ送風される。
【0026】
<空気の加温と脱臭>
ヒータ部40は、送風機33から送風された空気を加温する。ヒータ部40を通過することにより加温された空気はダクト41に導入され、その一部は処理槽12へ戻され、その残りは脱臭部42に導入される。脱臭部42は本実施形態の場合、酸化触媒であり、導入された空気を脱臭する。ヒータ部40は、空気が脱臭部42の触媒の活性化温度に達するようにこれを加温するが、本実施形態では、ヒータ部40で加温された空気を処理槽12へ戻すことで槽内の加温にも役立てている。なお、ヒータ部40で加温された空気の全てを脱臭部42に導入して、加温・脱臭後の空気を処理槽12へ戻すようにしてもよい。
【0027】
送風機44は、脱臭部42で脱臭された空気をダクト43を介して吸引し、ダクト45及び換気孔46を介して処理装置Aの外部へ排気する。蓋部材100及び200の閉鎖状態の場合、処理槽10及び回収室13は換気孔46を除いて気密性が維持されるよう構成され、ダクト45から排気された空気量に相当する外気が換気孔46から装置本体1内に自然吸気され、装置本体1内へ進入する。
【0028】
<蓋部材>
図1及び図2を参照して、蓋部材100の下面には、気流案内ダクト110と、還流ダクト120と、が設けられている。気流案内ダクト110は、導入口111と排気口112とを有する中空体である。導入口111は、蓋部材100の側方に向かって開口しており、蓋部材100が閉鎖状態にある場合、噴出口34aと対向するよう配設されている。
【0029】
このため、蓋部材100が開放状態にある場合は、噴出口34aと導入口111とは非連通状態にある一方、蓋部材100が閉鎖状態にある場合は、噴出口34aと導入口111とは連通状態にあり、噴出口34aから噴出される空気は導入口111から気流案内ダクト110内へ導かれて排気口112から排気される。噴出口34aから噴出される空気が漏れなく導入口111に流入するよう、両者間を気密に接続するシール部材をこれらのいずれか一方に設けることが好ましい。
【0030】
排気口112は、蓋部材100の下側に向かって開口しており、蓋部材100が閉鎖状態にある場合、排出口112から排出された空気は、処理槽11内の廃棄物に排気される。これにより、空気室30a内の空気を送風機32で送風して、処理槽11内の廃棄物に吹き付けることができる。本実施形態では排気口112を1つとしたが、配設部位を変えて複数設けてもよい。
【0031】
還流ダクト120は、導入口121と排気口122とを有する中空体である。導入口111は、蓋部材100の下側に向かって開口しており、蓋部材100が閉鎖状態にある場合、処理槽11内の空気を吸引可能な配置となっている。排気口122は、蓋部材100の下側に向かって開口しており、蓋部材100が閉鎖状態にある場合、取入口35aと対向するよう配設されている。
【0032】
このため、蓋部材100が開放状態にある場合は、取入口35aと排気口122とは非連通状態にある一方、蓋部材100が閉鎖状態にある場合は、取入口35aと排気口122とは連通状態にあり、送風機32又は33が空気室30a内の空気を吸引することで、処理槽11内の空気が、導入口121から吸引されて排気口122、取入口35aを介して空気室30a内に導入される。排気口122から排気される空気が漏れなく取入口35aに流入するよう、両者間を気密に接続するシール部材をこれらのいずれか一方に設けることが好ましい。
【0033】
<制御部>
図4(B)は処理装置Aの制御部50のブロック図である。制御部50は、CPU51、ROM52、RAM53及びI/F(インターフェース)54を備える。CPU51は、I/F54を介して、操作部3や開閉検出センサ2の状態を取得し、送風機32、33、44、ヒータ部40、モータ24を制御する。ROM52にはCPU51が実行する制御プログラムやデータが記憶される。RAM53には一時的なデータが記憶される。ROM52、RAM53は他の種類の記憶手段を採用してもよい。
【0034】
<処理装置Aの動作例>
<減量処理:蓋部材100の閉鎖時>
処理装置Aによる生ごみ等の廃棄物の減量処理について説明する。ここでは、図2を参照して蓋部材100の閉鎖時の処理装置Aの動作について説明する。生ごみの減量処理としては、生ごみを単に脱水させる方式、生ごみを乾燥させる方式、微生物による分解処理(醗酵処理)が知られている。本実施形態では、分解処理と乾燥とを組み合わせた減量処理であるが、他の方式でもよい。
【0035】
制御部50は、操作部3から減量処理の運転開始が指示されると、送風機32、33及び44、ヒータ部40及びモータ24を駆動する。投入口11aから投入されて処理槽11に収容されている生ごみRD1は、生ごみRD1に存する微生物或いは予め投入された大鋸屑等の菌床となる基材の働きにより分解される。その際、攪拌棒25による攪拌により、生ごみRD1の均一な分解が促進される。
【0036】
分解処理が進行して減量された処理槽11内の生ごみRD1は、仕切壁7の下部の連通孔71を介して処理槽11から処理槽12へ移動する。処理槽12内の生ごみRD2は、ダクト41から排気される加温された空気の吹き付けにより乾燥される。処理槽12内に堆積した、乾燥の進んだ生ごみRD2は、処理槽12からオーバーフローして回収室13に排出される。回収室13には、こうした減量処理によって生じた、生ごみの残渣RD3が堆積されることになる。
【0037】
蓋部材100の閉鎖時には、上記の通り、取入口35aと排気口122とは連通状態にある。処理槽11内には醗酵処理によって異臭が伴うが、処理槽11内の空気は、還流ダクト120、ダクト35、空気室30a、送風機33、ダクト36、ヒータ部40、ダクト41、脱臭部42という経路で脱臭部42に導かれて脱臭され、送風機44により装置外へ排気される。
【0038】
また、蓋部材100の閉鎖時には、上記の通り、噴出口34aと導入口111とは連通状態にある。このため、空気室30a内の空気が送風機32、ダクト34、気流案内ダクト110という経路で処理槽11内の生ごみRD1に吹き付けられる。
【0039】
空気室30a内の空気は、ダクト35から流入する処理槽11内の空気と、開口部31aから流入する処理槽12の空気との混合気である。処理槽12内にはダクト41から排気される加温された空気が吹き付けられるため、相対的に槽内温度が高温となり、処理槽11内には空気室30a内の混合気が吹き付けられるため、相対的に槽内温度が低温となる。よって、処理槽11は醗酵処理に適した温度環境を、また、処理槽12は乾燥処理に適した温度環境を、構築することができる。
【0040】
<投入作業:蓋部材100の開放時>
処理装置Aに対する生ごみ等の廃棄物の投入について図1及び図3を参照して説明する。生ごみは投入口11aから投入する。このため、まず、蓋部材100を開放する。すると、噴出口34aと導入口111とが非連通状態となり、送風機32の作動を継続することで、噴出口34aは投入口11aを横断する方向に空気を噴出して、投入口11aの上部を覆うエアカーテンを形成する。よって、処理槽11から臭気が立ち上ることを抑制できる。
【0041】
処理槽10内の空気そのものをエアカーテンとして噴出すると、臭い、温度の点で好ましくない。本実施形態の場合、蓋部材100を開放すると、取入口35aと排気口122とが非連通状態となり、外気が取入口35aから空気室30aに入る。このため、噴出口34aから噴出される空気中には外気が多く含まれ、その温度を低下させることができると共に無臭に近づけることができる。
【0042】
<部品点数の増加を抑制>
本実施形態では、処理槽11内の廃棄物に対する空気の吹き付けと、エアカーテンの形成とにおいて、送風機32及びダクト34を共用した点で部品点数の増加を抑制している。
【0043】
また、本実施形態では、処理槽11内の空気の循環と、エアカーテンの形成並びにエアカーテンを構成する空気中への外気の導入と、において、送風機32、ダクト34及びダクト35を共用した点で部品点数の増加を抑制している。
【0044】
更に、本実施形態では、蓋部材100の開閉を利用して、噴出口34aと導入口111との連通状態の切り替えや、取入口35aと排気口122との連通状態の切り替えを行った。これは、流路切替のための部品を削減し、また、2ヶ所の連通状態の切替を共通に蓋部材100の開閉で行った点で部品点数の増加を抑制している。
【0045】
こうして、本実施形態では、部品点数の増加を抑制して、装置のコストアップや大型化を回避しつつ、エアカーテン機能を構築することができる。
【0046】
<蓋部材100の開閉時の制御例>
図5は制御部50のCPU51が実行する、蓋部材100の開閉検出時の処理の例を示すフローチャートである。S1では、蓋部材100が閉鎖状態から開放状態に変化したかを判定し、該当する場合はS2へ進み、該当しない場合はS6へ進む。蓋部材100の開閉状態の判定は、開閉検出センサ2の検出結果を周期的に取得し、検出結果が変化したか否かで判定することができる。
【0047】
S2では、現在、処理装置Aを減量処理のために運転中であるか否かを判定する。該当する場合はS3へ進み、該当しない場合はS5へ進む。S3では送風機33を停止し、S4へ進む。送風機33を停止することで、ヒータ部40への空気の送風が無くなりダクト41から加温された空気が排出されなくなる。このため、より高温の空気が空気室30a内に吸引されてエアカーテンとして噴出されることを低減し、取入口35aを介して空気室30a内に吸引される外気の割合を増加させることができる。
【0048】
S4では、送風機32の風量をエアカーテンに適した風量として予め設定されている風量に調整し、一単位の処理を終了する。運転中の送風機32の風量が比較的多い場合、そのままエアカーテンとして噴出すると作業者が大きな風圧を受けるおそれがあるが、エアカーテンに適した風量にすること(例えば減量すること)で、作業者の作業環境を向上できる。
【0049】
S5では送風機32を作動させ、一単位の処理を終了する。処理装置Aを停止中であっても、処理槽11内に異臭が漂っている場合があるため、停止中の送風機32を作動させてエアカーテンを形成することで異臭が立ち上ることを抑制できる。
【0050】
S6では、蓋部材100が開放状態から閉鎖状態に変化したかを判定し、該当する場合はS7へ進み、該当しない場合は一単位の処理を終了する。S7では、現在、処理装置Aを減量処理のために運転中であるか否かを判定する。該当する場合はS8へ進み、該当しない場合はS10へ進む。
【0051】
S8では送風機33を作動しS9へ進む。S3の処理で停止させた送風機33を再作動させる処理である。S9では送風機32の風量を調整し、一単位の処理を終了する。S4の処理でエアカーテンに適した風量に調整した風量を、元に戻す(減量処理に適した風量に戻す)処理である。S10では送風機32を停止させ、一単位の処理を終了する。S5の処理で作動させた送風機32を再停止する処理である。
【0052】
なお、上述した実施形態においては、処理対象物として生ごみ等の廃棄物を処理する廃棄物処理装置を例示して説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、加熱処理装置、攪拌処理装置、混合処理装置、減溶処理装置等に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物の投入口を有する処理槽を備えた装置本体と、
前記装置本体に取り付けられ、前記投入口を開閉する蓋部材と、
を備えた処理装置であって、
前記装置本体に設けられ、前記投入口の側方から該投入口を横断する方向に空気を噴出する噴出口と、
前記装置本体に設けられ、前記噴出口に空気を送風する噴出口用送風機と、
前記蓋部材に設けられた気流案内ダクトと、を備え、
前記気流案内ダクトは、
前記蓋部材の開放時には前記噴出口と非連通状態にあり、前記蓋部材の閉鎖により前記噴出口と連通状態となるように配設された導入口と、
前記噴出口及び前記導入口を介して前記噴出口用送風機から前記気流案内ダクト内に送風された空気を前記処理槽内の前記処理対象物へ排気する排気口と、
を備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
処理対象物の投入口を有する処理槽を備えた装置本体と、
前記装置本体に取り付けられ、前記投入口を開閉する蓋部材と、
を備えた処理装置であって、
前記装置本体に設けられ、前記投入口の側方から該投入口を横断する方向に空気を噴出する噴出口と、
前記装置本体に設けられ、前記噴出口に空気を送風する噴出口用送風機と、
前記装置本体に設けられ、前記噴出口用送風機が吸引する外気を取り入れる取入口と、
前記蓋部材に設けられた気流案内ダクトと、
前記蓋部材に設けられた還流ダクトと、を備え、
前記気流案内ダクトは、
前記蓋部材の開放時には前記噴出口と非連通状態にあり、前記蓋部材の閉鎖により前記噴出口と連通状態となるように配設された第1導入口と、
前記噴出口及び前記導入口を介して前記噴出口用送風機から前記気流案内ダクト内に送風された空気を前記処理槽内の前記処理対象物へ排気する第1排気口と、を備え、
前記還流ダクトは、
前記処理槽内の空気を吸引するための第2導入口と、
前記蓋部材の開放時には前記取入口と非連通状態にあり、前記蓋部材の閉鎖により前記取入口と連通状態となるように配設された第2排気口と、
を備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項3】
前記処理槽が、
前記投入口を有する第1処理槽と、
前記第1処理槽と連通し、前記第1処理槽で処理された前記処理対象物が導入される第2処理槽と、を含み、
前記装置本体は、
前記取入口と、前記第2処理槽と、に連通した空気室と、
空気を加温するヒータ部と、
前記空気室内の空気を吸引して、前記ヒータ部に送風するヒータ部用送風機と、
前記ヒータ部を通過した空気を前記第2処理槽へ導くダクトと、を備え、
前記噴出口用送風機は前記空気室内の空気を吸引して前記噴出口に送風することを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記ヒータ部用送風機を制御して、前記蓋部材の開放時に停止させる制御手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記噴出口用送風機を制御して、前記蓋部材が開放状態か閉鎖状態にあるかによりその風量を調整する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記噴出口用送風機を制御して、前記噴出口用送風機の停止時に前記蓋部材が開放された場合に、前記噴出口用送風機を作動する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記処理対象物が廃棄物であり、
前記処理槽は前記廃棄物を減量処理する廃棄物処理槽であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−115742(P2011−115742A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277025(P2009−277025)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】