凹凸形成装置および情報入力装置
【課題】部品点数の増加を抑制しながら、変形部の形状が変化した際の凸部の高さを大きくすることが可能な凹凸形成装置および情報入力装置を提供する。
【解決手段】この凹凸形成部(凹凸形成装置)30は、凹形状および凸形状に変形する変形部34cが凹形状に変形した凹状態と、変形部34cが凸形状に変形した凸状態とに切り替えることが可能な変形ガイド層34と、変形ガイド層34の変形部34cの上面に上方に突出するように設けられ、変形ガイド層34の凹状態および凸状態への状態変化による変形部34cの変形に伴って変形部34cの上面と共に移動される固体からなる突起部34aとを備える。
【解決手段】この凹凸形成部(凹凸形成装置)30は、凹形状および凸形状に変形する変形部34cが凹形状に変形した凹状態と、変形部34cが凸形状に変形した凸状態とに切り替えることが可能な変形ガイド層34と、変形ガイド層34の変形部34cの上面に上方に突出するように設けられ、変形ガイド層34の凹状態および凸状態への状態変化による変形部34cの変形に伴って変形部34cの上面と共に移動される固体からなる突起部34aとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、凹凸形成装置および情報入力装置に関し、特に、凹形状および凸形状に変形可能な変形部を備えた凹凸形成装置および情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凹形状または凸形状に変形可能な変形部を備えた凹凸形成装置などが知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電極からの電圧の印加によって平坦形状から凸形状に変形するPZT基板と、PZT基板の上面に固着される補強板と、補強板の上面に固着される絶縁封入膜とを備えた触覚ディスプレイ装置が開示されている。この触覚ディスプレイ装置では、補強板の内部のPZT基板が変形する部分に、断面積が上方に向かって徐々に小さくなるように形成されたテーパ形状を有する穴が設けられており、この穴には液体が封入されている。また、PZT基板と補強板との間には、液体の流出を防止するために穴を密封する封入膜が配置されている。これにより、PZT基板が平坦形状から凸形状に変位した際に、PZT基板の上に位置する補強板のテーパ形状の穴に封入された液体の液面がPZT基板の変位量よりも大きく上方に移動することにより絶縁封入膜がPZT基板の変位量よりもより大きく押し上げられて凸部が形成される。
【0004】
また、上記特許文献2には、起歪層と、互いに対向して起歪層を挟むように配置された電極層とからなるとともに、電極層間に電圧が印加された際に起歪層の厚みが変化することにより平坦形状から凸形状に変形する動作部と、動作部の変形部分の中央部近傍の上面に配置された突起とを備えた電気信号変位変換装置が開示されている。この電気信号変位変換装置は、動作部の変形部分が平坦形状から凸形状に変形した場合には、平坦形状と凸形状との高さの差と同じ分だけ突起が動作部の変形部分の上面と共に移動するように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、弾性板材を有する圧電振動板と、圧電振動板の両端部を支持するとともに圧電振動板を振動させる2つの振動錘と、圧電振動板の振動時の最大屈曲点である中央部近傍から上方に向かって突出するように設けられる連結部材と、連結部材によって圧電振動板の振動が伝達される音響振動板とを備える圧電振動発生装置が開示されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、補強用シートと、補強用シートに重層された繊維シートと、繊維シートに埋没するように設けられ、繊維シートよりも硬度の大きい点字用触感パターンとを備えた触感用情報記録媒体が開示されている。この触感用情報記録媒体では、点字用触感パターンに油性インクを浸透させることにより、点字用触感パターンの硬度をより大きくすることが可能となる。
【0007】
また、上記特許文献5には、加熱により大きな熱膨張が起こるワックスなどの液体が充填された複数のキャビティと、液体の熱膨張とともにそれぞれのキャビティの内部を摺動するピストンと、それぞれキャビティの内部に配置され、液体の温度を上昇させる加熱手段とを備えた膨出型凹凸形状を有した素子が開示されている。そして、ピストンは、キャビティ内の液体が加熱手段により常温状態から熱膨張することによって移動されることにより、この膨出型凹凸形状を有した素子の上面から突出するように構成されている。これにより、膨出型凹凸形状を有した素子の上面は、平坦形状から凸形状に変形する。
【0008】
【特許文献1】特開2000−56674号公報
【特許文献2】特許第3042333号公報
【特許文献3】特開2007−300426号公報
【特許文献4】特開2000−137433号公報
【特許文献5】特表2004−508506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の触覚ディスプレイ装置では、PZT基板の変位量よりも大きい突出高さを有する凸部を形成するために、凸形状に変形する変形部であるPZT基板と、変形部の凸形状への変形時に凸部を形成する液体が充填された穴を有する補強板とに加えて、液体を封入するための封入膜が必要である。このため、封入膜を設ける分、部品点数が増加するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の電気信号変位変換装置では、動作部が平坦形状から凸形状に変形するため、動作部が変形した際の突起の移動量は、動作部の平坦形状(基準面)と凸形状との高さの差と同じになる。このため、突起部の移動量を動作部の平坦形状と凸形状との高さの差より大きくするのが困難であるので、突起部(凸部)の高さをより大きくするのが困難であるという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載の圧電振動発生装置では、圧電振動板が2つの振動錘によって振動される一方で、凹形状および凸形状を形成することについては開示も示唆もされていない。このため、変形部の形状が変化した際の凸部の高さをより大きくすることが困難であるという本発明の課題(問題点)が存在しない。
【0012】
また、上記特許文献4に記載の触感用情報記録媒体では、繊維シートと繊維シートよりも硬度の大きい点字用触感パターンとについて開示されているが、凹形状および凸形状が形成されることについては開示も示唆もされていない。このため、変形部の形状が変化した際に、凸部の高さをより大きくすることが困難であるという本発明の課題(問題点)が存在しない。
【0013】
また、上記特許文献5に記載の膨出型凹凸形状を有した素子では、液体の熱膨張によりピストンが素子の上面から突出することによって、素子の上面が平坦形状から凸形状に変形した際に、ピストンの移動量は、平坦形状(基準面)と凸形状との高さの差と同じになる。このため、ピストンの移動量を素子の上面の平坦形状と凸形状との差よりも大きくするのが困難であるので、ピストンの突出(凸部)を大きくすることが困難であるという問題点がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数の増加を抑制しながら、変形部の形状が変化した際の凸部の高さをより大きくすることが可能な凹凸形成装置および情報入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
この発明の第1の局面による凹凸形成装置は、凹形状および凸形状に変形する変形部を有し、変形部が凹形状に変形する第1状態と、変形部が凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層と、変形層の変形部の上面に上方に突出するように設けられ、変形層の第1状態および第2状態への状態変化による変形部の変形に伴って変形部の上面と共に移動される固体からなる突起部とを備える。なお、本発明において、「固体」とは、気体および液体以外の物質からなるものを含む広い意味である。
【0016】
この第1の局面による凹凸形成装置では、上記のように、凹形状に変形する第1状態と凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層を設けるとともに、変形層の変形部の上面に、変形層の第1状態および第2状態への切り替えによる変形部の変形に伴って変形部の上面と共に移動される突起部を設けることによって、たとえば、変形層が第1状態(凹形状)であるときに変形層の上面に設けられる突起部の上面の高さが基準面以下である場合に、変形層が凹形状の第1状態から凸形状の第2状態に切り替えられた場合には、凸部の基準面からの突出量は、基準面から変形部の凸形状の頂点までの高さに、突起部の高さが加わった高さになる。これにより、突起部がない場合や、変形部が基準面から凸形状に変形する場合に比べて、変形部が移動した際の凸部の高さ(突出量)をより大きくすることができる。また、突起部を、変形部が変形するのに伴って突起部が移動することにより凸部を形成する固体により構成することによって、液体を用いて凸部を形成する場合と異なり、液体を封入するための封入膜などを設ける必要がない分、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、突起部は、変形層の変形部が凹形状に変形する第1状態にある場合に、突起部の上面の高さ位置が変形層の変形部以外の部分の高さ位置と略同一になるように形成されている。このように構成すれば、変形部が凹形状の状態で、変形層の突起部以外の部分の高さよりも凸部の高さが大きくならないようにしながら、変形部が凹形状から凸形状に変形した場合の凸部の高さを最大にすることができる。
【0018】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、変形層は、第1状態または第2状態に切り替わることにより、変形部が凹形状または凸形状に変形した際に、外部からエネルギーを付加することなく変形部の変形した形状を保持することが可能なように構成されている。このように構成すれば、外部からエネルギーを付加する必要がなく、かつ、装置本体に機械的な動作を伴って変形部の形状を保持するための規制部材や規制部材を駆動する駆動源などを別途設けることなく、簡素な構造により変形層の凹凸形状を保持することができるので、変形部の変形に伴って移動する突起部の高さ位置を容易に保持することができる。
【0019】
この場合、好ましくは、所定の距離を隔てて対向する複数の電極と、変形層に接続されるとともに、凹形状または凸形状を形成する第1領域と第1領域に隣接する第2領域とを有する変形力伝達層とをさらに備え、複数の電極は、変形力伝達層の第1領域に配置される第1電極と第2領域に配置される第2電極とを含み、変形力伝達層は、対向する第1電極間に電圧が印加された場合に第1領域が凹形状に変形するとともに、対向する第2電極間に電圧が印加された場合に第1領域が凸形状に変形することによって、変形層の第1状態と第2状態とを切り替える際の力を伝達するように構成されている。このように構成すれば、第1電極間および第2電極間にそれぞれ選択的に電圧を印加することによって、変形力伝達層を介して容易に変形層を第1状態または第2状態に切り替えることができる。
【0020】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、突起部は、変形層と一体的に形成されている。このように構成すれば、突起部を変形層とは別個に設ける場合と比較して、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0021】
この発明の第2の局面による情報入力装置は、凹形状および凸形状に変形する変形部を有し、変形部が凹形状に変形する第1状態と、変形部が凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層と、変形層の変形部の上面に上方に突出するように設けられ、変形層の第1状態および第2状態への状態変化による変形部の変形に伴って変形部の上面と共に移動される突起部とを有する凹凸形成部を含むとともに、複数の凹凸形成部が配置された凹凸形成パネルと、凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、突起部は、変形層が第1状態から第2状態に変化した場合における移動量が、少なくとも変形部の変形量よりも大きくなるように構成され、凹凸形成パネルは、表示装置に表示される入力用画像に応じて複数の凹凸形成部の変形部を凹形状または凸形状に変形させることによって、所定の形状の入力用凸部を形成するように構成されている。
【0022】
この第2の局面による情報入力装置では、上記のように、凹形状に変形する第1状態と凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層を設けるとともに、変形層の変形部の上面に、変形層の第1状態および第2状態への切り替えによる変形部の変形に伴って変形部の上面と共に移動される突起部を設けることによって、たとえば、変形層が第1状態(凹形状)であるときに変形層の上面に設けられる突起部の上面の高さが基準面以下である場合に、変形層が凹形状の第1状態から凸形状の第2状態に切り替えられた場合には、凸部の基準面からの突出量は、基準面から変形部の凸形状の頂点までの高さに、突起部の高さが加わった高さになる。これにより、突起部がない場合や、変形部が基準面から凸形状に変形する場合に比べて、変形部が移動した際の凸部の高さ(突出量)をより大きくすることができる。また、突起部を、変形部が変形するのに伴って突起部が移動することにより凸部を形成する固体により構成することによって、液体を用いて凸部を形成する場合と異なり、液体を封入するための封入膜などを設ける必要がない分、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0023】
上記第2の局面による情報入力装置において、好ましくは、凹凸形成パネルは、表示装置の上方に配置された場合に、表示装置に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されている。このように構成すれば、凹凸形成パネルを表示装置の上方に重ねた状態で入力用画像を視認することができるので、使用者が触れる側に凹凸形成パネルが配置されることが可能になる。これにより、凹凸形成部により形成された入力用凸部の凹凸形状を使用者がより明確に感じとることができるので、確実な入力操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。図2〜図10は、図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した図である。まず、図1〜図10を参照して、第1実施形態によるリモートコントローラ100の構成について説明する。なお、第1実施形態では、情報入力装置の一例として映像再生装置のリモートコントローラ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0026】
本発明の第1実施形態によるリモートコントローラ100は、図1および図2に示すように、表示装置10(図2参照)上に、凹凸形成パネル20と、表面保護膜40とが積層されて形成された本体部が、樹脂製のフレーム90aおよび90bによって上下方向から挟み込まれるように構成されている。表面保護膜40は、図2に示すように後述する突起部34aによって下方から支持されている。
【0027】
また、凹凸形成パネル20は、図3に示すように、平面的に見て表示装置10と同一の長方形形状を有し、表示装置10の上方に重ねて配置される。また、凹凸形成パネル20には、後述する複数の凹凸形成部30がX方向およびY方向にマトリクス状(碁盤目配列状)に配置されている。
【0028】
また、表面保護膜40(図3参照)は、平面的に見て凹凸形成パネル20と同一の長方形形状を有し、凹凸形成パネル20の上方に重ねて配置される。また、表面保護膜40は、表示装置10に表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有する材料で、かつ、図2に示すように、凹凸形成パネル20の複数の凹凸形成部30(図3参照)がそれぞれ凹形状または凸形状に変形するのに伴って弾性変形可能である材料により構成されている。
【0029】
また、表示装置10(図3参照)は、平面的に見て凹凸形成パネル20および表面保護膜40に対応した長方形形状を有し、凹凸形成パネル20の下方に配置されている。この表示装置10は、映像再生装置などを操作する再生または停止ボタンの画像以外にも、たとえばテンキーの画像や、テレビジョン機器のチャンネル選択ボタンの画像など、機器を操作するために必要となる入力情報に応じた画像パターン11が表示可能に構成されている。
【0030】
また、リモートコントローラ100は、図1および図2に示すように、画像パターン11(図3参照)が表示された部分に対応する凹凸形成パネル20(図2参照)の領域が、画像パターン11の表示されていない部分に対応する凹凸形成パネル20の領域よりも突出することによって、表面保護膜40に凹凸形状を形成することが可能に構成されている。これにより、リモートコントローラ100には、所望の位置に複数の操作ボタン50(図1参照)が形成されるように構成されている。
【0031】
また、凹凸形成パネル20を構成する凹凸形成部30は、図4に示すように、数mmの厚みを有する基板31上に、約1mm〜約2mmの厚みを有する変形力伝達層32と、絶縁性を有し変形力伝達層32と一体的に変形する数十μmの厚みを有する接着層33を介して変形力伝達層32に接合され、約200μm〜約300μmの厚みを有する変形ガイド層34とがこの順に積層された構造を有している。また、一対の電極35aおよび35bは、基板31の変形力伝達層32との界面近傍および変形ガイド層34の接着層33との界面近傍において、互いに変形力伝達層32を挟み込むように対向して設けられている。また、一対の電極36aおよび36bについても、基板31の変形力伝達層32との界面近傍および変形ガイド層34の接着層33との界面近傍において、互いに変形力伝達層32を挟み込むように対向して設けられている。なお、変形ガイド層34は、図4に示す変形部34cが凹形状である凹状態が通常状態となるように構成されている。なお、変形ガイド層34は、本発明の「変形層」の一例である。また、電極35aおよび35bは、それぞれ、本発明の「第1電極」の一例であり、電極36aおよび36bは、それぞれ、本発明の「第2電極」の一例である。
【0032】
ここで、本実施形態では、変形ガイド層34は、図4に示すように、変形ガイド層34の上面からQ方向(上方向)に向かって突出するように設けられた円柱形状の固体からなる突起部34aを含む。この突起部34aの上面34bは、変形ガイド層34の後述する変形部34cの上面に対して、突出高さL1を有するように形成されている。また、突起部34aは、変形ガイド層34と一体的に形成されている。また、突起部34aは、突起部34aの上面34bと変形ガイド層34とによって、表面保護膜40を下方から支持するように構成されている。また、変形ガイド層34は、電極35aと35bとの中央部近傍および電極36aと36bとの中央部近傍に配置される変形部34cと、変形層34の変形部34c以外の部分に配置され、変形層34の基準面となる平坦なベース部34dとを含む。変形部34cは、電極35a、35b、36aおよび36bによって電圧が印加されたときに凹形状および凸形状(図7参照)の一方から他方に変形するように構成されている。また、突起部34aは、変形部34cの変形に伴って、変形部34cの上面と共に移動するように構成されている。この点については後に説明する。
【0033】
基板31として、絶縁性を有するとともに、表示装置10(図3参照)により表示された画像パターン11(図3参照)を視認することが可能な光透過率を有する材料が用いられる。
【0034】
また、第1実施形態では、変形力伝達層32として、表示装置10(図3参照)により表示された画像パターン11(図3参照)を視認することが可能な光透過率を有する材料で、かつ、絶縁性を有するとともに、外力が加えられた場合に弾性変形可能な材料が用いられる。第1実施形態では、変形力伝達層32として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂および電気活性型ポリマー(EAP)などが用いられる。また、変形力伝達層32として電気活性型ポリマー(EAP)を用いた場合、EAPを挟む電極間に電圧を印加することによって、EAPの形状を変化させることが可能である。
【0035】
また、第1実施形態では、突起部34aを含む変形ガイド層34として、外力が加えられない状態で自己の凹凸形状が保持可能で、外力が加えられた場合に自己の凹凸形状が反転する(たとえは凹形状から凸形状に反転する)ように弾性変形可能な材料が用いられる。第1実施形態では、突起部34aを含む変形ガイド層34として、高分子材料からなる所定の硬度を有するゴム状の弾性体(エラストマ)や、シリコン系樹脂などが用いられる。
【0036】
また、電極35a、35b、36aおよび36bは、それぞれ導電性を有し、特に、電極35bおよび36bには、変形ガイド層34の変形に伴って弾性変形可能な材料が用いられるのが好ましい。また、これらの電極35a、35b、36aおよび36bは、表示装置10(図3参照)により表示された画像パターン11(図3参照)を視認することが可能な光透過率を有する材料により構成される。第1実施形態では、たとえば、電極35a、35b、36aおよび36bとして、ITO(酸化スズインジウム)やZnO(酸化亜鉛)などからなる透明導電膜が用いられる。また、変形ガイド層34側の電極35bおよび36bは、変形ガイド層34の裏面上に塗布されることにより設けられている。
【0037】
また、図5に示すように、凹凸形成部30に設けられた電極35aおよび35b、および電極36aおよび36bは、それぞれ、平面的に見て円形のリング状に形成されている。また、隣接する凹凸形成部30の電極35a(下側)同志および電極35b(上側)同志は、それぞれ、制御回路60(図6参照)の配線60aにより接続されている。なお、図5では、電極35a〜36bの形状を示すために、凹凸形成部30を構成する他の部材(変形力伝達層32や変形ガイド層34など)を一部省略している。そして、図6に示すように、リモートコントローラ100の内部に設けられた制御回路60によって、電極35aおよび35b間、および、電極36aおよび36b間にそれぞれ電圧が印加されるように構成されている。なお、図6では、制御回路60のうち、電極35aおよび35b間の電圧印加を制御する回路を示しており、電極36aおよび36b間の電圧印加を制御する制御回路60についても図6と同様に構成されている。また、図6では、区別のために紙面手前側(図4における上側)の電極35bを実線で示すとともに、紙面奥側(図4における下側)の電極35aを破線で示している。
【0038】
また、図6に示すように、制御回路60は、電極35a側への回路を開閉するスイッチ部61と、電極35b側への回路を開閉するスイッチ部62とを制御することによって、凹凸形成部30に設けられた電極への電圧の印加状態を個別に制御することが可能に構成されている。たとえば、図6に示すように、スイッチ部61のスイッチ61aと、スイッチ部62のスイッチ62aとを閉じた場合には、スイッチ61aに接続される配線60aと、スイッチ62aに接続される配線60aとが交差する凹凸形成部30aに設けられた電極にのみ電圧が印加される。これにより、凹凸形成パネル20内の所望の位置(座標)における電極への電圧の印加状態を個別に制御することが可能に構成されている。
【0039】
また、第1実施形態では、凹凸形成部30において、電極36aおよび36b間に電圧が印加された場合、図7に示すように、電極間に発生する静電引力により電極36aと電極36bとが引き合うので、電極36aおよび36b間に挟まれた領域32aの変形力伝達層32は厚みが小さくなる方向(P方向)に変形する。また、厚みが小さくなった部分の変形力伝達層32の一部が、領域32aよりも内側の領域32bに押し出されることにより、領域32bの変形力伝達層32は厚みが大きくなる方向(Q方向)に変形する。また、変形力伝達層32の領域32bのQ方向への変形に伴って、接着層33を介して変形ガイド層34の変形部34cがQ方向へ変形される。これにより、変形ガイド層34は、変形部34cがベース部(基準面)34dに対してQ方向に凸状に長さL2だけ盛り上がるような形状を形成する凸状態になるように構成されている。なお、図7では、区別のために領域32aと領域32bとの間に破線を付して示している。なお、領域32aおよび32bは、それぞれ、本発明の「第2領域」および「第1領域」の一例である。また、凸状態は、本発明の「第2状態」の一例である。
【0040】
また、第1実施形態では、図8に示すように、変形部34cが凸状(ドーム状)に盛り上がるように変形した状態で、電極36aおよび36b間に電圧が印加されなくなった場合、変形ガイド層34は、変形部34cの凸形状および変形力伝達層32の凸形状を保持することが可能に構成されている。すなわち、変形ガイド層34に、変形力伝達層32(領域32b)がP方向に形状を復元する力に加えて、変形ガイド層34の形状をP方向に反転させるために充分な外力が加えられない限り、変形ガイド層34および変形力伝達層32はP方向に変形できないように構成されている。これにより、凹凸形成部30は、一度Q方向に凸形状が形成されれば、電極間への電圧の印加を継続しなくても凸形状を保持することが可能である。
【0041】
また、第1実施形態では、凹凸形成部30において、電極35aおよび35b間に電圧が印加された場合、図9に示すように、電極間に発生する静電引力により電極35aと電極35bとが引き合うので、電極35aおよび35b間に挟まれた領域32bの変形力伝達層32は厚みが小さくなる方向(P方向)に変形する。また、厚みが小さくなった部分の変形力伝達層32の一部が、領域32bよりも外側の領域32aに押し出されることにより、領域32aの変形力伝達層32は厚みが大きくなる方向(Q方向)に変形する。また、変形力伝達層32の領域32aのQ方向への変形に伴って、接着層33を介して変形ガイド層34がQ方向へ変形される。これにより、変形ガイド層34は、変形部34cがベース部(基準面)34dに対してP方向に凹状に長さL1だけ窪むような形状を形成する凹状態(通常状態)に戻るように構成されている。なお、凹状態は、本発明の「第1状態」の一例である。
【0042】
また、第1実施形態では、突起部34aは、図9に示すように、変形ガイド層34が凹状態である場合に、上面34bの高さ位置がベース部(基準面)34dの高さ位置と略同一になるように構成されている。つまり、変形部34cの中央部近傍のP方向への変形量は、突起部34aの突出高さL1と略同一の長さL1となる。
【0043】
また、第1実施形態では、図10に示すように、変形部34cが凹状に窪むように変形した状態で、電極35aおよび35b間に電圧が印加されなくなった場合、変形ガイド層34は、変形部34cの凹形状および変形力伝達層32の凹形状を保持することが可能に構成されている。すなわち、変形ガイド層34に、変形力伝達層32(領域32b)がQ方向に形状を復元する力に加えて、変形ガイド層34の形状をQ方向に反転させるために充分な外力が加えられない限り、変形ガイド層34および変形力伝達層32はQ方向に変形できないように構成されている。これにより、凹凸形成部30は、一度P方向に凹形状が形成されれば、電極間への電圧の印加を継続しなくても凹形状を保持することが可能である。
【0044】
また、第1実施形態では、変形ガイド層34は、電極35aおよび35b間に電圧が印加された場合に凹状態に変形する(図9参照)一方、電極36aおよび36b間に電圧が印加された場合に凸状態に変形する(図7参照)ように構成されている。すなわち、変形ガイド層34は、電極35aおよび35b間に電圧が印加された際に凸状態から凹状態に切り替わるとともに、電極36aおよび36b間に電圧が印加された際に、凹状態から凸状態に切り替わるように構成されている。このように、変形ガイド層34は、変形部34cが変形しない平坦な状態で保持されることなく、凸状態および凹状態に切り替えられるように構成されている。
【0045】
また、第1実施形態では、突起部34aは、図7および図9に示すように、変形ガイド層34が凹状態(図9参照)から凸状態(図7参照)に切り替わる際に、変形部34cが凹形状時の窪み量である長さL1(図9参照)と凸形状時の盛り上がり量である長さL2(図7参照)とを合計した長さL3だけQ方向に向かって移動するように構成されている。つまり、突起部34aは、変形ガイド層34が凹状態(図9参照)から凸状態(図7参照)に切り替わる際に、長さL3だけ移動することにより、表面保護膜40を長さL3だけ押し上げるように構成されている。
【0046】
また、第1実施形態では、基板31と、アクリル樹脂などからなる変形力伝達層32と、ITOなどからなる電極35a、35b、36aおよび36bと、柔軟性を有する接着層33と、光透過率を有するとともに所定の硬さを有するゴム状の弾性体からなる変形ガイド層34とによって構成される凹凸形成部30は、全体が表示装置10に表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有する透明な材料により構成されている。これにより、凹凸形成部30がマトリクス状に配置された凹凸形成パネル20も、全体が表示装置10に表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有するように構成されている。
【0047】
次に、図1〜図3および図6〜図10を参照して、第1実施形態によるリモートコントローラ100を構成する凹凸形成パネル20の動作を説明する。
【0048】
図3に示すように、リモートコントローラ100(図1参照)用の画像パターン11が表示された表示装置10上に凹凸形成パネル20が配置された場合、制御回路60(図6参照)よって、凹凸形成パネル20にマトリクス状に配置された凹凸形成部30に、画像パターン11に対応するように電圧が印加される。具体的には、図2に示すように、凹凸形成パネル20のうち、操作ボタン50を示す画像パターン11(図2では「再生」ボタン)に対応する領域の凹凸形成部30には、個々の凹凸形成部30の電極36aおよび36b間に順次電圧が印加される。また、操作ボタン50などの画像パターン11が表示されていない領域の凹凸形成部30には、個々の凹凸形成部30の電極35aおよび35b間に順次電圧が印加される。これにより、各凹凸形成部30には、図7に示した凸形状、または、図9に示した凹形状が形成される。この結果、図2に示すように、「再生」ボタンに対応する領域の表面保護膜40が盛り上がるように変形するので、「再生」ボタンに相当する凸形状が形成される。
【0049】
また、凹凸形成パネル20に一度凹凸形状が形成された後、制御回路60は、全ての電極への電圧の印加を停止する。
【0050】
ここで、第1実施形態では、図8および図10に示すように、凹凸形成部30の変形ガイド層34は、変形力伝達層32の形状を保持することが可能に構成されているので、電極間への電圧の印加が継続されなくても各凹凸形成部30の凹形状または凸形状をそれぞれ保持することが可能である。
【0051】
第1実施形態では、上記のように、凹形状に変形する凹状態と、凸形状に変形する凸状態とに切り替えることが可能な変形ガイド層34を設けるとともに、変形ガイド層34の変形部34cの上面に、変形ガイド層34の凹状態および凸状態への切り替えによる変形部34cの変形に伴って変形部34cの上面と共に移動される突起部34aを設けることによって、変形層34が凹状態から凸状態に切り替えられた場合には、突起部34aのベース部(基準面)34dからの突出量は、ベース部(基準面)34dから変形部34cの高さL2に、突起部34aの高さL1が加わった高さL3になる。これにより、突起部34aがない場合や、変形部34cがベース部(基準面)34dから凸形状に変形する場合に比べて、変形部34cの形状が変化した際の突起部34aの高さ(突出量)をより大きくすることができる。その結果、変形部34cが移動した際の突起部34aの高さをより大きくすることができる。また、突起部34aを、変形部34cが変形するのに伴って、突起部34aが移動することにより凸部を形成する固体により構成することによって、液体を用いて凸部を形成する場合と異なり、液体を封入するための封入膜などを設ける必要がない分、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、突起部34aを、変形ガイド層34が凹状態にある場合に、突起部34aの上面34bの高さ位置が変形ガイド層34の変形部34c以外の部分の高さ位置と略同一に形成することによって、変形部34cが凹形状の状態で、変形ガイド層34のベース部(基準面)34dの高さよりも突起部34aの高さが大きくならないようにしながら、変形部34cが凹形状から凸形状に変形した場合の突起部34aの高さを最大にすることができる。
【0053】
また、第1実施形態では、上記のように、変形ガイド層34を、凹状態または凸状態に切り替わることにより、変形部34cが凹形状または凸形状に変形した際に、外部からエネルギーを付加することなく変形部34cの変形した形状を保持することが可能なように構成することによって、外部からエネルギーを付加する必要がなく、かつ、リモートコントローラ100に機械的な動作を伴って変形部34cの形状を保持するための規制部材や規制部材を駆動する駆動源などを別途設けることなく、簡素な構造により変形ガイド層34の凹凸形状を保持することができるので、変形部34cの変形に伴って移動する突起部34aの高さ位置を容易に保持することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、変形力伝達層32を、対向する電極35aおよび35b間に電圧が印加された場合に領域32aがP方向(下方向)に凹形状に変形するとともに、対向する電極36aおよび36b間に電圧が印加された場合に領域32bが凸形状に変形することにより変形ガイド層34の凹状態と凸状態とを切り替える際の力を伝達するように構成することによって、電極35aおよび35b間、および、電極36aおよび36b間にそれぞれ選択的に電圧を印加することによって、変形力伝達層32を介して容易に変形ガイド層34を凹状態または凸状態に切り替えることができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、突起部34aを、変形ガイド層34と一体的に形成することによって、突起部34aを変形ガイド層34とは別個に設ける場合と比較して、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0056】
(第1実施形態の変形例)
図11は、本発明の第1実施形態の変形例によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。図6および図11を参照して、この第1実施形態の変形例による凹凸形成パネル70では、上記第1実施形態と異なり、円板形状の一対の電極37aおよび37bを、凹凸形成部71を構成する変形力伝達層32の領域32bの中央部近傍に位置する変形部34cに対応する位置に設けた場合について説明する。
【0057】
ここで、第1実施形態の変形例では、図11に示すように、変形力伝達層32の領域32bの中央部近傍に、互いに変形力伝達層32(領域32b)を挟み込むように円板形状の電極37aおよび37bが設けられている。なお、電極37aおよび37bは、それぞれ、本発明の「第1電極」の一例である。したがって、制御回路60(図6参照)により、電極37aおよび37b間に電圧を印加した場合、凹凸形成部30は、領域32bが隣接する両側の領域32aよりもP方向に凹状に窪むような形状を形成することが可能に構成されている。
【0058】
なお、第1実施形態の変形例によるリモートコントローラ100のその他の構造および動作は、上記第1実施形態と同様である。また、第1実施形態の変形例の効果についても、上記第1実施形態と同様である。
【0059】
(第2実施形態)
図12〜図14は、本発明の第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。図6および図12〜図14を参照して、この第2実施形態による凹凸形成パネル80では、上記第1実施形態と異なり、電圧の印加に伴って伸縮可能な圧電体81用いて凹凸形成部82が凹凸形状を形成する場合について説明する。なお、圧電体81は、本発明の「変形力付与部材」の一例である。
【0060】
第2実施形態では、図12に示すように、凹凸形成パネル80を構成する凹凸形成部30は、基板31上に、リング状に形成され、約1mm〜約2mmの厚みを有する圧電体81と、絶縁性を有し圧電体81と一体的に変形する接着層33を介して変形力伝達層32に接合される変形ガイド層34がこの順に積層された構造を有している。また、一対の電極83aおよび83bは、基板31の圧電体81との界面近傍および変形ガイド層34の接着層33との界面近傍において、互いに圧電体81を挟み込むように対向して設けられている。また、基板31と変形ガイド層34(接着層33)との間の領域のうち、圧電体81が設けられていない領域には、空隙(空間)84が設けられている。したがって、変形ガイド層34は、圧電体81によるP方向およびQ方向の変形力よりも小さな外力が加わった場合には、形状が変形しないような硬さを有する材料から構成されている。これにより、変形ガイド層34は、圧電体81を介して基板31上に一定の距離を隔てて静置されるように構成されている。
【0061】
また、図13に示すように、一対の電極83aおよび83bは、それぞれ、円形のリング状に形成されている。したがって、圧電体81は、電極83aおよび83bによって挟み込まれるようにリング状に形成されている。なお、図13では、電極82a(82b)および圧電体81の形状を示すために、凹凸形成部30を構成する他の部材(変形力伝達層32や変形ガイド層34など)を一部省略している。そして、電極83aおよび83bは、図6に示した第1実施形態と同様の制御回路60により電極間に電圧が印加されるように構成されている。
【0062】
また、第2実施形態では、凹凸形成部82において、電極83aおよび83b間に所定の極性を有する電圧が印加された場合、図14に示すように、圧電体81がQ方向に伸びるように変形する。これにより、凹凸形成部82は、ベース部34dに対してQ方向に凸状(ドーム状)に変形部34cが盛り上がるような形状を形成することが可能に構成されている。
【0063】
また、凹凸形成部82が凸状(ドーム状)に盛り上がるように変形した状態で、上記電極間に電圧が印加されなくなった場合、変形ガイド層34は、変形ガイド層34自身の凸形状および圧電体81の伸びた形状を保持することが可能に構成されている。これにより、凹凸形成部82は、一度Q方向に凸形状が形成されれば、電極間への電圧の印加を継続しなくても凸形状を保持することが可能である。
【0064】
また、第2実施形態では、凹凸形成部82において、電極83aおよび83b間に上述とは反対の極性を有する電圧が印加された場合、図12に示すように、圧電体81がP方向に縮むように変形する。これにより、凹凸形成部82は、ベース部34dに対してP方向に凹状に変形部34cが窪むような形状を形成することが可能に構成されている。
【0065】
また、凹凸形成部82が凹状に窪むように変形した状態で、上記電極間に電圧が印加されなくなった場合、変形ガイド層34は、変形ガイド層34自身の凹形状および圧電体81の縮んだ形状を保持することが可能に構成されている。これにより、凹凸形成部82は、一度P方向に凹形状が形成されれば、電極間への電圧の印加を継続しなくても凸形状を保持することが可能である。
【0066】
なお、第2実施形態によるリモートコントローラ100のその他の構造および動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
第2実施形態では、上記のように、凹凸形成部82を、電極83aおよび83b間に電圧を印加することにより形状を伸縮変形させる圧電体81を含むように構成することによって、圧電体81のP方向およびQ方向への伸縮によって、凹凸形成部82(変形ガイド層34)の凹形状と凸形状とを容易に切り替えることができる。なお、第2実施形態のその他の効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
たとえば、上記実施形態では、情報入力装置の一例として映像再生装置のリモートコントローラに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、映像再生装置などのリモートコントローラ以外の情報入力装置(たとえば表示画面部を備えた携帯情報機器など)にも適用可能である。
【0070】
また、上記第1実施形態およびその変形例では、リング状または円板形状に形成された電極35aおよび35bなどを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、矩形形状などの円形状などとは異なる形状を有するように形成された電極を用いてもよい。
【0071】
また、上記第2実施形態では、リング状の電極83aおよび83bに対応するようにリング状に形成された圧電体81を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、円形状や矩形形状などの電極に対応するような形状を有する圧電体を用いてもよい。
【0072】
また、上記第1および第2実施形態では、突起部を変形ガイド層の変形部と一体的に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、突起部を変形ガイド層に重層される表面保護膜と一体的に形成してもよい。たとえば、図15に示す変形例のように、表面保護膜140を、表面保護膜140の下面から下方に突出するように設けられる突起部140aを一体的に含むように構成してもよい。
【0073】
また、上記第1および第2実施形態では、凹凸形成パネル20(70、80)を構成する各凹凸形成部30(71、82)が、平面的に見て、碁盤目配列をなすようにマトリクス状に配置された例について示したが、本発明はこれに限らず、各凹凸形成部30(71、82)をたとえば千鳥配列をなすように配置してもよい。
【0074】
また、上記第1および第2実施形態では、変形ガイド層34として、高分子材料からなる所定の硬度を有するゴム状の弾性体(エラストマ)や、シリコン系樹脂などを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、外力が加えられない状態で自己の凹凸形状が保持可能で、外力が加えられた場合に自己の凹凸形状が反転するように弾性変形可能な材料であれば、ゴム状の弾性体やシリコン系樹脂以外の弾性体などを用いてもよい。
【0075】
また、上記第1実施形態およびその変形例では、変形力伝達層32がアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂およびEAPなどの透明な樹脂材料から形成されるとともに、電極35a〜37bがITOやZnOなどの透明導電膜から形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、互いに異なる材料で形成されていてもよい。変形力伝達層32は絶縁性を有し、電圧印加により必要量の伸びが得られるもので、表示装置10により表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有するものであればよく、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂以外の樹脂材料や樹脂材料以外の材料により形成してもよい。また、電極は、導電性を有し、変形力伝達層32が凸形状または凹形状に変形するのに伴って弾性変形可能な材料であり、かつ、表示装置10により表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有するものであればよい。たとえば、ITOやZnOなどの透明導電膜以外にPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレン・スルフォン酸)などの導電性有機材料を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1の200−200線に沿った断面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す分解斜視図である。
【図4】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した斜視図である。
【図6】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した平面図である。
【図7】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図8】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図9】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図10】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。
【図13】図12に示した第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した斜視図である。
【図14】図12に示した第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。
【図15】本発明の変形例によるリモートコントローラの突起部の構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 表示装置
20、70、80 凹凸形成パネル
30、71、82 凹凸形成部
32 変形力伝達層
32a 領域(第2領域)
32b 領域(第1領域)
34 変形ガイド層(変形層)
34a 突起部
34b 上面
34c、140 変形部
35a、35b 電極(第1電極)
36a、36b 電極(第2電極)
37a、37b 電極(第1電極)
100 リモートコントローラ
【技術分野】
【0001】
この発明は、凹凸形成装置および情報入力装置に関し、特に、凹形状および凸形状に変形可能な変形部を備えた凹凸形成装置および情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凹形状または凸形状に変形可能な変形部を備えた凹凸形成装置などが知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電極からの電圧の印加によって平坦形状から凸形状に変形するPZT基板と、PZT基板の上面に固着される補強板と、補強板の上面に固着される絶縁封入膜とを備えた触覚ディスプレイ装置が開示されている。この触覚ディスプレイ装置では、補強板の内部のPZT基板が変形する部分に、断面積が上方に向かって徐々に小さくなるように形成されたテーパ形状を有する穴が設けられており、この穴には液体が封入されている。また、PZT基板と補強板との間には、液体の流出を防止するために穴を密封する封入膜が配置されている。これにより、PZT基板が平坦形状から凸形状に変位した際に、PZT基板の上に位置する補強板のテーパ形状の穴に封入された液体の液面がPZT基板の変位量よりも大きく上方に移動することにより絶縁封入膜がPZT基板の変位量よりもより大きく押し上げられて凸部が形成される。
【0004】
また、上記特許文献2には、起歪層と、互いに対向して起歪層を挟むように配置された電極層とからなるとともに、電極層間に電圧が印加された際に起歪層の厚みが変化することにより平坦形状から凸形状に変形する動作部と、動作部の変形部分の中央部近傍の上面に配置された突起とを備えた電気信号変位変換装置が開示されている。この電気信号変位変換装置は、動作部の変形部分が平坦形状から凸形状に変形した場合には、平坦形状と凸形状との高さの差と同じ分だけ突起が動作部の変形部分の上面と共に移動するように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、弾性板材を有する圧電振動板と、圧電振動板の両端部を支持するとともに圧電振動板を振動させる2つの振動錘と、圧電振動板の振動時の最大屈曲点である中央部近傍から上方に向かって突出するように設けられる連結部材と、連結部材によって圧電振動板の振動が伝達される音響振動板とを備える圧電振動発生装置が開示されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、補強用シートと、補強用シートに重層された繊維シートと、繊維シートに埋没するように設けられ、繊維シートよりも硬度の大きい点字用触感パターンとを備えた触感用情報記録媒体が開示されている。この触感用情報記録媒体では、点字用触感パターンに油性インクを浸透させることにより、点字用触感パターンの硬度をより大きくすることが可能となる。
【0007】
また、上記特許文献5には、加熱により大きな熱膨張が起こるワックスなどの液体が充填された複数のキャビティと、液体の熱膨張とともにそれぞれのキャビティの内部を摺動するピストンと、それぞれキャビティの内部に配置され、液体の温度を上昇させる加熱手段とを備えた膨出型凹凸形状を有した素子が開示されている。そして、ピストンは、キャビティ内の液体が加熱手段により常温状態から熱膨張することによって移動されることにより、この膨出型凹凸形状を有した素子の上面から突出するように構成されている。これにより、膨出型凹凸形状を有した素子の上面は、平坦形状から凸形状に変形する。
【0008】
【特許文献1】特開2000−56674号公報
【特許文献2】特許第3042333号公報
【特許文献3】特開2007−300426号公報
【特許文献4】特開2000−137433号公報
【特許文献5】特表2004−508506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の触覚ディスプレイ装置では、PZT基板の変位量よりも大きい突出高さを有する凸部を形成するために、凸形状に変形する変形部であるPZT基板と、変形部の凸形状への変形時に凸部を形成する液体が充填された穴を有する補強板とに加えて、液体を封入するための封入膜が必要である。このため、封入膜を設ける分、部品点数が増加するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の電気信号変位変換装置では、動作部が平坦形状から凸形状に変形するため、動作部が変形した際の突起の移動量は、動作部の平坦形状(基準面)と凸形状との高さの差と同じになる。このため、突起部の移動量を動作部の平坦形状と凸形状との高さの差より大きくするのが困難であるので、突起部(凸部)の高さをより大きくするのが困難であるという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載の圧電振動発生装置では、圧電振動板が2つの振動錘によって振動される一方で、凹形状および凸形状を形成することについては開示も示唆もされていない。このため、変形部の形状が変化した際の凸部の高さをより大きくすることが困難であるという本発明の課題(問題点)が存在しない。
【0012】
また、上記特許文献4に記載の触感用情報記録媒体では、繊維シートと繊維シートよりも硬度の大きい点字用触感パターンとについて開示されているが、凹形状および凸形状が形成されることについては開示も示唆もされていない。このため、変形部の形状が変化した際に、凸部の高さをより大きくすることが困難であるという本発明の課題(問題点)が存在しない。
【0013】
また、上記特許文献5に記載の膨出型凹凸形状を有した素子では、液体の熱膨張によりピストンが素子の上面から突出することによって、素子の上面が平坦形状から凸形状に変形した際に、ピストンの移動量は、平坦形状(基準面)と凸形状との高さの差と同じになる。このため、ピストンの移動量を素子の上面の平坦形状と凸形状との差よりも大きくするのが困難であるので、ピストンの突出(凸部)を大きくすることが困難であるという問題点がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数の増加を抑制しながら、変形部の形状が変化した際の凸部の高さをより大きくすることが可能な凹凸形成装置および情報入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
この発明の第1の局面による凹凸形成装置は、凹形状および凸形状に変形する変形部を有し、変形部が凹形状に変形する第1状態と、変形部が凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層と、変形層の変形部の上面に上方に突出するように設けられ、変形層の第1状態および第2状態への状態変化による変形部の変形に伴って変形部の上面と共に移動される固体からなる突起部とを備える。なお、本発明において、「固体」とは、気体および液体以外の物質からなるものを含む広い意味である。
【0016】
この第1の局面による凹凸形成装置では、上記のように、凹形状に変形する第1状態と凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層を設けるとともに、変形層の変形部の上面に、変形層の第1状態および第2状態への切り替えによる変形部の変形に伴って変形部の上面と共に移動される突起部を設けることによって、たとえば、変形層が第1状態(凹形状)であるときに変形層の上面に設けられる突起部の上面の高さが基準面以下である場合に、変形層が凹形状の第1状態から凸形状の第2状態に切り替えられた場合には、凸部の基準面からの突出量は、基準面から変形部の凸形状の頂点までの高さに、突起部の高さが加わった高さになる。これにより、突起部がない場合や、変形部が基準面から凸形状に変形する場合に比べて、変形部が移動した際の凸部の高さ(突出量)をより大きくすることができる。また、突起部を、変形部が変形するのに伴って突起部が移動することにより凸部を形成する固体により構成することによって、液体を用いて凸部を形成する場合と異なり、液体を封入するための封入膜などを設ける必要がない分、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、突起部は、変形層の変形部が凹形状に変形する第1状態にある場合に、突起部の上面の高さ位置が変形層の変形部以外の部分の高さ位置と略同一になるように形成されている。このように構成すれば、変形部が凹形状の状態で、変形層の突起部以外の部分の高さよりも凸部の高さが大きくならないようにしながら、変形部が凹形状から凸形状に変形した場合の凸部の高さを最大にすることができる。
【0018】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、変形層は、第1状態または第2状態に切り替わることにより、変形部が凹形状または凸形状に変形した際に、外部からエネルギーを付加することなく変形部の変形した形状を保持することが可能なように構成されている。このように構成すれば、外部からエネルギーを付加する必要がなく、かつ、装置本体に機械的な動作を伴って変形部の形状を保持するための規制部材や規制部材を駆動する駆動源などを別途設けることなく、簡素な構造により変形層の凹凸形状を保持することができるので、変形部の変形に伴って移動する突起部の高さ位置を容易に保持することができる。
【0019】
この場合、好ましくは、所定の距離を隔てて対向する複数の電極と、変形層に接続されるとともに、凹形状または凸形状を形成する第1領域と第1領域に隣接する第2領域とを有する変形力伝達層とをさらに備え、複数の電極は、変形力伝達層の第1領域に配置される第1電極と第2領域に配置される第2電極とを含み、変形力伝達層は、対向する第1電極間に電圧が印加された場合に第1領域が凹形状に変形するとともに、対向する第2電極間に電圧が印加された場合に第1領域が凸形状に変形することによって、変形層の第1状態と第2状態とを切り替える際の力を伝達するように構成されている。このように構成すれば、第1電極間および第2電極間にそれぞれ選択的に電圧を印加することによって、変形力伝達層を介して容易に変形層を第1状態または第2状態に切り替えることができる。
【0020】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、突起部は、変形層と一体的に形成されている。このように構成すれば、突起部を変形層とは別個に設ける場合と比較して、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0021】
この発明の第2の局面による情報入力装置は、凹形状および凸形状に変形する変形部を有し、変形部が凹形状に変形する第1状態と、変形部が凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層と、変形層の変形部の上面に上方に突出するように設けられ、変形層の第1状態および第2状態への状態変化による変形部の変形に伴って変形部の上面と共に移動される突起部とを有する凹凸形成部を含むとともに、複数の凹凸形成部が配置された凹凸形成パネルと、凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、突起部は、変形層が第1状態から第2状態に変化した場合における移動量が、少なくとも変形部の変形量よりも大きくなるように構成され、凹凸形成パネルは、表示装置に表示される入力用画像に応じて複数の凹凸形成部の変形部を凹形状または凸形状に変形させることによって、所定の形状の入力用凸部を形成するように構成されている。
【0022】
この第2の局面による情報入力装置では、上記のように、凹形状に変形する第1状態と凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層を設けるとともに、変形層の変形部の上面に、変形層の第1状態および第2状態への切り替えによる変形部の変形に伴って変形部の上面と共に移動される突起部を設けることによって、たとえば、変形層が第1状態(凹形状)であるときに変形層の上面に設けられる突起部の上面の高さが基準面以下である場合に、変形層が凹形状の第1状態から凸形状の第2状態に切り替えられた場合には、凸部の基準面からの突出量は、基準面から変形部の凸形状の頂点までの高さに、突起部の高さが加わった高さになる。これにより、突起部がない場合や、変形部が基準面から凸形状に変形する場合に比べて、変形部が移動した際の凸部の高さ(突出量)をより大きくすることができる。また、突起部を、変形部が変形するのに伴って突起部が移動することにより凸部を形成する固体により構成することによって、液体を用いて凸部を形成する場合と異なり、液体を封入するための封入膜などを設ける必要がない分、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0023】
上記第2の局面による情報入力装置において、好ましくは、凹凸形成パネルは、表示装置の上方に配置された場合に、表示装置に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されている。このように構成すれば、凹凸形成パネルを表示装置の上方に重ねた状態で入力用画像を視認することができるので、使用者が触れる側に凹凸形成パネルが配置されることが可能になる。これにより、凹凸形成部により形成された入力用凸部の凹凸形状を使用者がより明確に感じとることができるので、確実な入力操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。図2〜図10は、図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した図である。まず、図1〜図10を参照して、第1実施形態によるリモートコントローラ100の構成について説明する。なお、第1実施形態では、情報入力装置の一例として映像再生装置のリモートコントローラ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0026】
本発明の第1実施形態によるリモートコントローラ100は、図1および図2に示すように、表示装置10(図2参照)上に、凹凸形成パネル20と、表面保護膜40とが積層されて形成された本体部が、樹脂製のフレーム90aおよび90bによって上下方向から挟み込まれるように構成されている。表面保護膜40は、図2に示すように後述する突起部34aによって下方から支持されている。
【0027】
また、凹凸形成パネル20は、図3に示すように、平面的に見て表示装置10と同一の長方形形状を有し、表示装置10の上方に重ねて配置される。また、凹凸形成パネル20には、後述する複数の凹凸形成部30がX方向およびY方向にマトリクス状(碁盤目配列状)に配置されている。
【0028】
また、表面保護膜40(図3参照)は、平面的に見て凹凸形成パネル20と同一の長方形形状を有し、凹凸形成パネル20の上方に重ねて配置される。また、表面保護膜40は、表示装置10に表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有する材料で、かつ、図2に示すように、凹凸形成パネル20の複数の凹凸形成部30(図3参照)がそれぞれ凹形状または凸形状に変形するのに伴って弾性変形可能である材料により構成されている。
【0029】
また、表示装置10(図3参照)は、平面的に見て凹凸形成パネル20および表面保護膜40に対応した長方形形状を有し、凹凸形成パネル20の下方に配置されている。この表示装置10は、映像再生装置などを操作する再生または停止ボタンの画像以外にも、たとえばテンキーの画像や、テレビジョン機器のチャンネル選択ボタンの画像など、機器を操作するために必要となる入力情報に応じた画像パターン11が表示可能に構成されている。
【0030】
また、リモートコントローラ100は、図1および図2に示すように、画像パターン11(図3参照)が表示された部分に対応する凹凸形成パネル20(図2参照)の領域が、画像パターン11の表示されていない部分に対応する凹凸形成パネル20の領域よりも突出することによって、表面保護膜40に凹凸形状を形成することが可能に構成されている。これにより、リモートコントローラ100には、所望の位置に複数の操作ボタン50(図1参照)が形成されるように構成されている。
【0031】
また、凹凸形成パネル20を構成する凹凸形成部30は、図4に示すように、数mmの厚みを有する基板31上に、約1mm〜約2mmの厚みを有する変形力伝達層32と、絶縁性を有し変形力伝達層32と一体的に変形する数十μmの厚みを有する接着層33を介して変形力伝達層32に接合され、約200μm〜約300μmの厚みを有する変形ガイド層34とがこの順に積層された構造を有している。また、一対の電極35aおよび35bは、基板31の変形力伝達層32との界面近傍および変形ガイド層34の接着層33との界面近傍において、互いに変形力伝達層32を挟み込むように対向して設けられている。また、一対の電極36aおよび36bについても、基板31の変形力伝達層32との界面近傍および変形ガイド層34の接着層33との界面近傍において、互いに変形力伝達層32を挟み込むように対向して設けられている。なお、変形ガイド層34は、図4に示す変形部34cが凹形状である凹状態が通常状態となるように構成されている。なお、変形ガイド層34は、本発明の「変形層」の一例である。また、電極35aおよび35bは、それぞれ、本発明の「第1電極」の一例であり、電極36aおよび36bは、それぞれ、本発明の「第2電極」の一例である。
【0032】
ここで、本実施形態では、変形ガイド層34は、図4に示すように、変形ガイド層34の上面からQ方向(上方向)に向かって突出するように設けられた円柱形状の固体からなる突起部34aを含む。この突起部34aの上面34bは、変形ガイド層34の後述する変形部34cの上面に対して、突出高さL1を有するように形成されている。また、突起部34aは、変形ガイド層34と一体的に形成されている。また、突起部34aは、突起部34aの上面34bと変形ガイド層34とによって、表面保護膜40を下方から支持するように構成されている。また、変形ガイド層34は、電極35aと35bとの中央部近傍および電極36aと36bとの中央部近傍に配置される変形部34cと、変形層34の変形部34c以外の部分に配置され、変形層34の基準面となる平坦なベース部34dとを含む。変形部34cは、電極35a、35b、36aおよび36bによって電圧が印加されたときに凹形状および凸形状(図7参照)の一方から他方に変形するように構成されている。また、突起部34aは、変形部34cの変形に伴って、変形部34cの上面と共に移動するように構成されている。この点については後に説明する。
【0033】
基板31として、絶縁性を有するとともに、表示装置10(図3参照)により表示された画像パターン11(図3参照)を視認することが可能な光透過率を有する材料が用いられる。
【0034】
また、第1実施形態では、変形力伝達層32として、表示装置10(図3参照)により表示された画像パターン11(図3参照)を視認することが可能な光透過率を有する材料で、かつ、絶縁性を有するとともに、外力が加えられた場合に弾性変形可能な材料が用いられる。第1実施形態では、変形力伝達層32として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂および電気活性型ポリマー(EAP)などが用いられる。また、変形力伝達層32として電気活性型ポリマー(EAP)を用いた場合、EAPを挟む電極間に電圧を印加することによって、EAPの形状を変化させることが可能である。
【0035】
また、第1実施形態では、突起部34aを含む変形ガイド層34として、外力が加えられない状態で自己の凹凸形状が保持可能で、外力が加えられた場合に自己の凹凸形状が反転する(たとえは凹形状から凸形状に反転する)ように弾性変形可能な材料が用いられる。第1実施形態では、突起部34aを含む変形ガイド層34として、高分子材料からなる所定の硬度を有するゴム状の弾性体(エラストマ)や、シリコン系樹脂などが用いられる。
【0036】
また、電極35a、35b、36aおよび36bは、それぞれ導電性を有し、特に、電極35bおよび36bには、変形ガイド層34の変形に伴って弾性変形可能な材料が用いられるのが好ましい。また、これらの電極35a、35b、36aおよび36bは、表示装置10(図3参照)により表示された画像パターン11(図3参照)を視認することが可能な光透過率を有する材料により構成される。第1実施形態では、たとえば、電極35a、35b、36aおよび36bとして、ITO(酸化スズインジウム)やZnO(酸化亜鉛)などからなる透明導電膜が用いられる。また、変形ガイド層34側の電極35bおよび36bは、変形ガイド層34の裏面上に塗布されることにより設けられている。
【0037】
また、図5に示すように、凹凸形成部30に設けられた電極35aおよび35b、および電極36aおよび36bは、それぞれ、平面的に見て円形のリング状に形成されている。また、隣接する凹凸形成部30の電極35a(下側)同志および電極35b(上側)同志は、それぞれ、制御回路60(図6参照)の配線60aにより接続されている。なお、図5では、電極35a〜36bの形状を示すために、凹凸形成部30を構成する他の部材(変形力伝達層32や変形ガイド層34など)を一部省略している。そして、図6に示すように、リモートコントローラ100の内部に設けられた制御回路60によって、電極35aおよび35b間、および、電極36aおよび36b間にそれぞれ電圧が印加されるように構成されている。なお、図6では、制御回路60のうち、電極35aおよび35b間の電圧印加を制御する回路を示しており、電極36aおよび36b間の電圧印加を制御する制御回路60についても図6と同様に構成されている。また、図6では、区別のために紙面手前側(図4における上側)の電極35bを実線で示すとともに、紙面奥側(図4における下側)の電極35aを破線で示している。
【0038】
また、図6に示すように、制御回路60は、電極35a側への回路を開閉するスイッチ部61と、電極35b側への回路を開閉するスイッチ部62とを制御することによって、凹凸形成部30に設けられた電極への電圧の印加状態を個別に制御することが可能に構成されている。たとえば、図6に示すように、スイッチ部61のスイッチ61aと、スイッチ部62のスイッチ62aとを閉じた場合には、スイッチ61aに接続される配線60aと、スイッチ62aに接続される配線60aとが交差する凹凸形成部30aに設けられた電極にのみ電圧が印加される。これにより、凹凸形成パネル20内の所望の位置(座標)における電極への電圧の印加状態を個別に制御することが可能に構成されている。
【0039】
また、第1実施形態では、凹凸形成部30において、電極36aおよび36b間に電圧が印加された場合、図7に示すように、電極間に発生する静電引力により電極36aと電極36bとが引き合うので、電極36aおよび36b間に挟まれた領域32aの変形力伝達層32は厚みが小さくなる方向(P方向)に変形する。また、厚みが小さくなった部分の変形力伝達層32の一部が、領域32aよりも内側の領域32bに押し出されることにより、領域32bの変形力伝達層32は厚みが大きくなる方向(Q方向)に変形する。また、変形力伝達層32の領域32bのQ方向への変形に伴って、接着層33を介して変形ガイド層34の変形部34cがQ方向へ変形される。これにより、変形ガイド層34は、変形部34cがベース部(基準面)34dに対してQ方向に凸状に長さL2だけ盛り上がるような形状を形成する凸状態になるように構成されている。なお、図7では、区別のために領域32aと領域32bとの間に破線を付して示している。なお、領域32aおよび32bは、それぞれ、本発明の「第2領域」および「第1領域」の一例である。また、凸状態は、本発明の「第2状態」の一例である。
【0040】
また、第1実施形態では、図8に示すように、変形部34cが凸状(ドーム状)に盛り上がるように変形した状態で、電極36aおよび36b間に電圧が印加されなくなった場合、変形ガイド層34は、変形部34cの凸形状および変形力伝達層32の凸形状を保持することが可能に構成されている。すなわち、変形ガイド層34に、変形力伝達層32(領域32b)がP方向に形状を復元する力に加えて、変形ガイド層34の形状をP方向に反転させるために充分な外力が加えられない限り、変形ガイド層34および変形力伝達層32はP方向に変形できないように構成されている。これにより、凹凸形成部30は、一度Q方向に凸形状が形成されれば、電極間への電圧の印加を継続しなくても凸形状を保持することが可能である。
【0041】
また、第1実施形態では、凹凸形成部30において、電極35aおよび35b間に電圧が印加された場合、図9に示すように、電極間に発生する静電引力により電極35aと電極35bとが引き合うので、電極35aおよび35b間に挟まれた領域32bの変形力伝達層32は厚みが小さくなる方向(P方向)に変形する。また、厚みが小さくなった部分の変形力伝達層32の一部が、領域32bよりも外側の領域32aに押し出されることにより、領域32aの変形力伝達層32は厚みが大きくなる方向(Q方向)に変形する。また、変形力伝達層32の領域32aのQ方向への変形に伴って、接着層33を介して変形ガイド層34がQ方向へ変形される。これにより、変形ガイド層34は、変形部34cがベース部(基準面)34dに対してP方向に凹状に長さL1だけ窪むような形状を形成する凹状態(通常状態)に戻るように構成されている。なお、凹状態は、本発明の「第1状態」の一例である。
【0042】
また、第1実施形態では、突起部34aは、図9に示すように、変形ガイド層34が凹状態である場合に、上面34bの高さ位置がベース部(基準面)34dの高さ位置と略同一になるように構成されている。つまり、変形部34cの中央部近傍のP方向への変形量は、突起部34aの突出高さL1と略同一の長さL1となる。
【0043】
また、第1実施形態では、図10に示すように、変形部34cが凹状に窪むように変形した状態で、電極35aおよび35b間に電圧が印加されなくなった場合、変形ガイド層34は、変形部34cの凹形状および変形力伝達層32の凹形状を保持することが可能に構成されている。すなわち、変形ガイド層34に、変形力伝達層32(領域32b)がQ方向に形状を復元する力に加えて、変形ガイド層34の形状をQ方向に反転させるために充分な外力が加えられない限り、変形ガイド層34および変形力伝達層32はQ方向に変形できないように構成されている。これにより、凹凸形成部30は、一度P方向に凹形状が形成されれば、電極間への電圧の印加を継続しなくても凹形状を保持することが可能である。
【0044】
また、第1実施形態では、変形ガイド層34は、電極35aおよび35b間に電圧が印加された場合に凹状態に変形する(図9参照)一方、電極36aおよび36b間に電圧が印加された場合に凸状態に変形する(図7参照)ように構成されている。すなわち、変形ガイド層34は、電極35aおよび35b間に電圧が印加された際に凸状態から凹状態に切り替わるとともに、電極36aおよび36b間に電圧が印加された際に、凹状態から凸状態に切り替わるように構成されている。このように、変形ガイド層34は、変形部34cが変形しない平坦な状態で保持されることなく、凸状態および凹状態に切り替えられるように構成されている。
【0045】
また、第1実施形態では、突起部34aは、図7および図9に示すように、変形ガイド層34が凹状態(図9参照)から凸状態(図7参照)に切り替わる際に、変形部34cが凹形状時の窪み量である長さL1(図9参照)と凸形状時の盛り上がり量である長さL2(図7参照)とを合計した長さL3だけQ方向に向かって移動するように構成されている。つまり、突起部34aは、変形ガイド層34が凹状態(図9参照)から凸状態(図7参照)に切り替わる際に、長さL3だけ移動することにより、表面保護膜40を長さL3だけ押し上げるように構成されている。
【0046】
また、第1実施形態では、基板31と、アクリル樹脂などからなる変形力伝達層32と、ITOなどからなる電極35a、35b、36aおよび36bと、柔軟性を有する接着層33と、光透過率を有するとともに所定の硬さを有するゴム状の弾性体からなる変形ガイド層34とによって構成される凹凸形成部30は、全体が表示装置10に表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有する透明な材料により構成されている。これにより、凹凸形成部30がマトリクス状に配置された凹凸形成パネル20も、全体が表示装置10に表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有するように構成されている。
【0047】
次に、図1〜図3および図6〜図10を参照して、第1実施形態によるリモートコントローラ100を構成する凹凸形成パネル20の動作を説明する。
【0048】
図3に示すように、リモートコントローラ100(図1参照)用の画像パターン11が表示された表示装置10上に凹凸形成パネル20が配置された場合、制御回路60(図6参照)よって、凹凸形成パネル20にマトリクス状に配置された凹凸形成部30に、画像パターン11に対応するように電圧が印加される。具体的には、図2に示すように、凹凸形成パネル20のうち、操作ボタン50を示す画像パターン11(図2では「再生」ボタン)に対応する領域の凹凸形成部30には、個々の凹凸形成部30の電極36aおよび36b間に順次電圧が印加される。また、操作ボタン50などの画像パターン11が表示されていない領域の凹凸形成部30には、個々の凹凸形成部30の電極35aおよび35b間に順次電圧が印加される。これにより、各凹凸形成部30には、図7に示した凸形状、または、図9に示した凹形状が形成される。この結果、図2に示すように、「再生」ボタンに対応する領域の表面保護膜40が盛り上がるように変形するので、「再生」ボタンに相当する凸形状が形成される。
【0049】
また、凹凸形成パネル20に一度凹凸形状が形成された後、制御回路60は、全ての電極への電圧の印加を停止する。
【0050】
ここで、第1実施形態では、図8および図10に示すように、凹凸形成部30の変形ガイド層34は、変形力伝達層32の形状を保持することが可能に構成されているので、電極間への電圧の印加が継続されなくても各凹凸形成部30の凹形状または凸形状をそれぞれ保持することが可能である。
【0051】
第1実施形態では、上記のように、凹形状に変形する凹状態と、凸形状に変形する凸状態とに切り替えることが可能な変形ガイド層34を設けるとともに、変形ガイド層34の変形部34cの上面に、変形ガイド層34の凹状態および凸状態への切り替えによる変形部34cの変形に伴って変形部34cの上面と共に移動される突起部34aを設けることによって、変形層34が凹状態から凸状態に切り替えられた場合には、突起部34aのベース部(基準面)34dからの突出量は、ベース部(基準面)34dから変形部34cの高さL2に、突起部34aの高さL1が加わった高さL3になる。これにより、突起部34aがない場合や、変形部34cがベース部(基準面)34dから凸形状に変形する場合に比べて、変形部34cの形状が変化した際の突起部34aの高さ(突出量)をより大きくすることができる。その結果、変形部34cが移動した際の突起部34aの高さをより大きくすることができる。また、突起部34aを、変形部34cが変形するのに伴って、突起部34aが移動することにより凸部を形成する固体により構成することによって、液体を用いて凸部を形成する場合と異なり、液体を封入するための封入膜などを設ける必要がない分、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、突起部34aを、変形ガイド層34が凹状態にある場合に、突起部34aの上面34bの高さ位置が変形ガイド層34の変形部34c以外の部分の高さ位置と略同一に形成することによって、変形部34cが凹形状の状態で、変形ガイド層34のベース部(基準面)34dの高さよりも突起部34aの高さが大きくならないようにしながら、変形部34cが凹形状から凸形状に変形した場合の突起部34aの高さを最大にすることができる。
【0053】
また、第1実施形態では、上記のように、変形ガイド層34を、凹状態または凸状態に切り替わることにより、変形部34cが凹形状または凸形状に変形した際に、外部からエネルギーを付加することなく変形部34cの変形した形状を保持することが可能なように構成することによって、外部からエネルギーを付加する必要がなく、かつ、リモートコントローラ100に機械的な動作を伴って変形部34cの形状を保持するための規制部材や規制部材を駆動する駆動源などを別途設けることなく、簡素な構造により変形ガイド層34の凹凸形状を保持することができるので、変形部34cの変形に伴って移動する突起部34aの高さ位置を容易に保持することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、変形力伝達層32を、対向する電極35aおよび35b間に電圧が印加された場合に領域32aがP方向(下方向)に凹形状に変形するとともに、対向する電極36aおよび36b間に電圧が印加された場合に領域32bが凸形状に変形することにより変形ガイド層34の凹状態と凸状態とを切り替える際の力を伝達するように構成することによって、電極35aおよび35b間、および、電極36aおよび36b間にそれぞれ選択的に電圧を印加することによって、変形力伝達層32を介して容易に変形ガイド層34を凹状態または凸状態に切り替えることができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、突起部34aを、変形ガイド層34と一体的に形成することによって、突起部34aを変形ガイド層34とは別個に設ける場合と比較して、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0056】
(第1実施形態の変形例)
図11は、本発明の第1実施形態の変形例によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。図6および図11を参照して、この第1実施形態の変形例による凹凸形成パネル70では、上記第1実施形態と異なり、円板形状の一対の電極37aおよび37bを、凹凸形成部71を構成する変形力伝達層32の領域32bの中央部近傍に位置する変形部34cに対応する位置に設けた場合について説明する。
【0057】
ここで、第1実施形態の変形例では、図11に示すように、変形力伝達層32の領域32bの中央部近傍に、互いに変形力伝達層32(領域32b)を挟み込むように円板形状の電極37aおよび37bが設けられている。なお、電極37aおよび37bは、それぞれ、本発明の「第1電極」の一例である。したがって、制御回路60(図6参照)により、電極37aおよび37b間に電圧を印加した場合、凹凸形成部30は、領域32bが隣接する両側の領域32aよりもP方向に凹状に窪むような形状を形成することが可能に構成されている。
【0058】
なお、第1実施形態の変形例によるリモートコントローラ100のその他の構造および動作は、上記第1実施形態と同様である。また、第1実施形態の変形例の効果についても、上記第1実施形態と同様である。
【0059】
(第2実施形態)
図12〜図14は、本発明の第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。図6および図12〜図14を参照して、この第2実施形態による凹凸形成パネル80では、上記第1実施形態と異なり、電圧の印加に伴って伸縮可能な圧電体81用いて凹凸形成部82が凹凸形状を形成する場合について説明する。なお、圧電体81は、本発明の「変形力付与部材」の一例である。
【0060】
第2実施形態では、図12に示すように、凹凸形成パネル80を構成する凹凸形成部30は、基板31上に、リング状に形成され、約1mm〜約2mmの厚みを有する圧電体81と、絶縁性を有し圧電体81と一体的に変形する接着層33を介して変形力伝達層32に接合される変形ガイド層34がこの順に積層された構造を有している。また、一対の電極83aおよび83bは、基板31の圧電体81との界面近傍および変形ガイド層34の接着層33との界面近傍において、互いに圧電体81を挟み込むように対向して設けられている。また、基板31と変形ガイド層34(接着層33)との間の領域のうち、圧電体81が設けられていない領域には、空隙(空間)84が設けられている。したがって、変形ガイド層34は、圧電体81によるP方向およびQ方向の変形力よりも小さな外力が加わった場合には、形状が変形しないような硬さを有する材料から構成されている。これにより、変形ガイド層34は、圧電体81を介して基板31上に一定の距離を隔てて静置されるように構成されている。
【0061】
また、図13に示すように、一対の電極83aおよび83bは、それぞれ、円形のリング状に形成されている。したがって、圧電体81は、電極83aおよび83bによって挟み込まれるようにリング状に形成されている。なお、図13では、電極82a(82b)および圧電体81の形状を示すために、凹凸形成部30を構成する他の部材(変形力伝達層32や変形ガイド層34など)を一部省略している。そして、電極83aおよび83bは、図6に示した第1実施形態と同様の制御回路60により電極間に電圧が印加されるように構成されている。
【0062】
また、第2実施形態では、凹凸形成部82において、電極83aおよび83b間に所定の極性を有する電圧が印加された場合、図14に示すように、圧電体81がQ方向に伸びるように変形する。これにより、凹凸形成部82は、ベース部34dに対してQ方向に凸状(ドーム状)に変形部34cが盛り上がるような形状を形成することが可能に構成されている。
【0063】
また、凹凸形成部82が凸状(ドーム状)に盛り上がるように変形した状態で、上記電極間に電圧が印加されなくなった場合、変形ガイド層34は、変形ガイド層34自身の凸形状および圧電体81の伸びた形状を保持することが可能に構成されている。これにより、凹凸形成部82は、一度Q方向に凸形状が形成されれば、電極間への電圧の印加を継続しなくても凸形状を保持することが可能である。
【0064】
また、第2実施形態では、凹凸形成部82において、電極83aおよび83b間に上述とは反対の極性を有する電圧が印加された場合、図12に示すように、圧電体81がP方向に縮むように変形する。これにより、凹凸形成部82は、ベース部34dに対してP方向に凹状に変形部34cが窪むような形状を形成することが可能に構成されている。
【0065】
また、凹凸形成部82が凹状に窪むように変形した状態で、上記電極間に電圧が印加されなくなった場合、変形ガイド層34は、変形ガイド層34自身の凹形状および圧電体81の縮んだ形状を保持することが可能に構成されている。これにより、凹凸形成部82は、一度P方向に凹形状が形成されれば、電極間への電圧の印加を継続しなくても凸形状を保持することが可能である。
【0066】
なお、第2実施形態によるリモートコントローラ100のその他の構造および動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
第2実施形態では、上記のように、凹凸形成部82を、電極83aおよび83b間に電圧を印加することにより形状を伸縮変形させる圧電体81を含むように構成することによって、圧電体81のP方向およびQ方向への伸縮によって、凹凸形成部82(変形ガイド層34)の凹形状と凸形状とを容易に切り替えることができる。なお、第2実施形態のその他の効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
たとえば、上記実施形態では、情報入力装置の一例として映像再生装置のリモートコントローラに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、映像再生装置などのリモートコントローラ以外の情報入力装置(たとえば表示画面部を備えた携帯情報機器など)にも適用可能である。
【0070】
また、上記第1実施形態およびその変形例では、リング状または円板形状に形成された電極35aおよび35bなどを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、矩形形状などの円形状などとは異なる形状を有するように形成された電極を用いてもよい。
【0071】
また、上記第2実施形態では、リング状の電極83aおよび83bに対応するようにリング状に形成された圧電体81を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、円形状や矩形形状などの電極に対応するような形状を有する圧電体を用いてもよい。
【0072】
また、上記第1および第2実施形態では、突起部を変形ガイド層の変形部と一体的に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、突起部を変形ガイド層に重層される表面保護膜と一体的に形成してもよい。たとえば、図15に示す変形例のように、表面保護膜140を、表面保護膜140の下面から下方に突出するように設けられる突起部140aを一体的に含むように構成してもよい。
【0073】
また、上記第1および第2実施形態では、凹凸形成パネル20(70、80)を構成する各凹凸形成部30(71、82)が、平面的に見て、碁盤目配列をなすようにマトリクス状に配置された例について示したが、本発明はこれに限らず、各凹凸形成部30(71、82)をたとえば千鳥配列をなすように配置してもよい。
【0074】
また、上記第1および第2実施形態では、変形ガイド層34として、高分子材料からなる所定の硬度を有するゴム状の弾性体(エラストマ)や、シリコン系樹脂などを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、外力が加えられない状態で自己の凹凸形状が保持可能で、外力が加えられた場合に自己の凹凸形状が反転するように弾性変形可能な材料であれば、ゴム状の弾性体やシリコン系樹脂以外の弾性体などを用いてもよい。
【0075】
また、上記第1実施形態およびその変形例では、変形力伝達層32がアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂およびEAPなどの透明な樹脂材料から形成されるとともに、電極35a〜37bがITOやZnOなどの透明導電膜から形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、互いに異なる材料で形成されていてもよい。変形力伝達層32は絶縁性を有し、電圧印加により必要量の伸びが得られるもので、表示装置10により表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有するものであればよく、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂以外の樹脂材料や樹脂材料以外の材料により形成してもよい。また、電極は、導電性を有し、変形力伝達層32が凸形状または凹形状に変形するのに伴って弾性変形可能な材料であり、かつ、表示装置10により表示された画像パターン11を視認することが可能な光透過率を有するものであればよい。たとえば、ITOやZnOなどの透明導電膜以外にPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレン・スルフォン酸)などの導電性有機材料を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1の200−200線に沿った断面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す分解斜視図である。
【図4】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した斜視図である。
【図6】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した平面図である。
【図7】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図8】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図9】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図10】図1に示した第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。
【図13】図12に示した第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した斜視図である。
【図14】図12に示した第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構造を示した断面図である。
【図15】本発明の変形例によるリモートコントローラの突起部の構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 表示装置
20、70、80 凹凸形成パネル
30、71、82 凹凸形成部
32 変形力伝達層
32a 領域(第2領域)
32b 領域(第1領域)
34 変形ガイド層(変形層)
34a 突起部
34b 上面
34c、140 変形部
35a、35b 電極(第1電極)
36a、36b 電極(第2電極)
37a、37b 電極(第1電極)
100 リモートコントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹形状および凸形状に変形する変形部を有し、前記変形部が凹形状に変形する第1状態と、前記変形部が凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層と、
前記変形層の変形部の上面に上方に突出するように設けられ、前記変形層の前記第1状態および前記第2状態への切り替えによる前記変形部の変形に伴って前記変形部の上面と共に移動される固体からなる突起部とを備える、凹凸形成装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記変形層の変形部が凹形状に変形する第1状態にある場合に、前記突起部の上面の高さ位置が前記変形層の変形部以外の部分の高さ位置と略同一になるように形成されている、請求項1に記載の凹凸形成装置。
【請求項3】
前記変形層は、前記第1状態または前記第2状態に切り替わることにより、前記変形部が凹形状または凸形状に変形した際に、外部からエネルギーを付加することなく前記変形部の変形した形状を保持することが可能なように構成されている、請求項1または2に記載の凹凸形成装置。
【請求項4】
所定の距離を隔てて対向する複数の電極と、
前記変形層に接続されるとともに、凹形状または凸形状を形成する第1領域と前記第1領域に隣接する第2領域とを有する変形力伝達層とをさらに備え、
前記複数の電極は、前記変形力伝達層の前記第1領域に配置される第1電極と前記第2領域に配置される第2電極とを含み、
前記変形力伝達層は、対向する前記第1電極間に電圧が印加された場合に前記第1領域が凹形状に変形するとともに、対向する前記第2電極間に電圧が印加された場合に前記第1領域が凸形状に変形することによって、前記変形層の前記第1状態と前記第2状態とを切り替える際の力を伝達するように構成されている、請求項3に記載の凹凸形成装置。
【請求項5】
前記突起部は、前記変形層と一体的に形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項6】
凹形状および凸形状に変形する変形部を有し、前記変形部が凹形状に変形する第1状態と、前記変形部が凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層と、前記変形層の変形部の上面に上方に突出するように設けられ、前記変形層の前記第1状態および前記第2状態への切り替えによる前記変形部の変形に伴って前記変形部の上面と共に移動される固体からなる突起部とを有する凹凸形成部を含むとともに、複数の前記凹凸形成部が配置された凹凸形成パネルと、
前記凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置に表示される入力用画像に応じて前記複数の凹凸形成部の変形部を凹形状または凸形状に変形させることによって、所定の形状の入力用凸部を形成するように構成されている、情報入力装置。
【請求項7】
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置の上方に配置された場合に、前記表示装置に表示された前記入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されている、請求項6に記載の情報入力装置。
【請求項1】
凹形状および凸形状に変形する変形部を有し、前記変形部が凹形状に変形する第1状態と、前記変形部が凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層と、
前記変形層の変形部の上面に上方に突出するように設けられ、前記変形層の前記第1状態および前記第2状態への切り替えによる前記変形部の変形に伴って前記変形部の上面と共に移動される固体からなる突起部とを備える、凹凸形成装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記変形層の変形部が凹形状に変形する第1状態にある場合に、前記突起部の上面の高さ位置が前記変形層の変形部以外の部分の高さ位置と略同一になるように形成されている、請求項1に記載の凹凸形成装置。
【請求項3】
前記変形層は、前記第1状態または前記第2状態に切り替わることにより、前記変形部が凹形状または凸形状に変形した際に、外部からエネルギーを付加することなく前記変形部の変形した形状を保持することが可能なように構成されている、請求項1または2に記載の凹凸形成装置。
【請求項4】
所定の距離を隔てて対向する複数の電極と、
前記変形層に接続されるとともに、凹形状または凸形状を形成する第1領域と前記第1領域に隣接する第2領域とを有する変形力伝達層とをさらに備え、
前記複数の電極は、前記変形力伝達層の前記第1領域に配置される第1電極と前記第2領域に配置される第2電極とを含み、
前記変形力伝達層は、対向する前記第1電極間に電圧が印加された場合に前記第1領域が凹形状に変形するとともに、対向する前記第2電極間に電圧が印加された場合に前記第1領域が凸形状に変形することによって、前記変形層の前記第1状態と前記第2状態とを切り替える際の力を伝達するように構成されている、請求項3に記載の凹凸形成装置。
【請求項5】
前記突起部は、前記変形層と一体的に形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項6】
凹形状および凸形状に変形する変形部を有し、前記変形部が凹形状に変形する第1状態と、前記変形部が凸形状に変形する第2状態とに切り替えることが可能な変形層と、前記変形層の変形部の上面に上方に突出するように設けられ、前記変形層の前記第1状態および前記第2状態への切り替えによる前記変形部の変形に伴って前記変形部の上面と共に移動される固体からなる突起部とを有する凹凸形成部を含むとともに、複数の前記凹凸形成部が配置された凹凸形成パネルと、
前記凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置に表示される入力用画像に応じて前記複数の凹凸形成部の変形部を凹形状または凸形状に変形させることによって、所定の形状の入力用凸部を形成するように構成されている、情報入力装置。
【請求項7】
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置の上方に配置された場合に、前記表示装置に表示された前記入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されている、請求項6に記載の情報入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−231033(P2009−231033A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74810(P2008−74810)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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