凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法
【課題】 検査対象における欠陥の形状が凹状又は凸状のいずれであっても検出可能とするとともに、光透過性を有しないものや低いもの、表面に光沢を有するシートなどについても検査の対象物とする。
【解決手段】 検査対象物の被検査面に対して光を照射し、その反射光を利用して被検査面の凹凸を検査する凹凸検査システム1であって、被検査面に対向する位置に配置されて当該被検査面に光を照射する同軸落射照明22と、被検査面に対して斜め方向から光を照射する斜方照明21とを用いて光を照射し、その被検査面を撮像して得られた画像にもとづいて凹凸の有無を検査する。
【解決手段】 検査対象物の被検査面に対して光を照射し、その反射光を利用して被検査面の凹凸を検査する凹凸検査システム1であって、被検査面に対向する位置に配置されて当該被検査面に光を照射する同軸落射照明22と、被検査面に対して斜め方向から光を照射する斜方照明21とを用いて光を照射し、その被検査面を撮像して得られた画像にもとづいて凹凸の有無を検査する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の被検査面における凹凸の有無を検査する凹凸検査システム、この凹凸検査システムを用いて実行される凹凸検査方法、及び、前記凹凸検査システムを用いて実行される検査工程を含むシート製造方法に関する。特に有用な用途として、光透過性を有しないか低いシートで表面に光沢を有するようなシート、例えば、多層構造を有するICカードの中間層を多数形成した所定のシートを検査対象物とする凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシートの製造方法に関する。さらに詳しくは、検査対象物に多数形成されたICカードの被検査面を撮像し、この撮像で得られた画像にもとづいて、中間層におけるアルミ回路面上の圧痕の有無を検査する凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、カード用端末機のリーダ/ライタとの間の通信の仕方により、接触型と非接触型とに分けられる。
これらのうち、非接触型のICカードは、コイル状のアンテナが内部に配設されている。これにより、端末機のリーダ/ライタから発生している磁界によりアンテナに誘導電流が流れて電源の供給を受けるとともに、所定の情報を無線通信するものである。
【0003】
ここで、非接触型のICカードが多層構造を有し、中間層を構成するフィルムシート上にアンテナ(アルミ回路)がプリントされて、ICチップと接続される場合において、これらアンテナとICチップとを接続する方法には、例えば、熱圧着が用いられている。
熱圧着とは、例えば、超音波接合法などによりアンテナとICチップの電極端子とを、介在物なく直接接続する方法をいう。
【0004】
この熱圧着が正常に行われた場合、その圧着部分におけるアンテナの表面は、圧着前と同様に平面状である。ところが、その熱圧着が正常に行われなかった場合は、その表面に凹状又は凸状の痕跡(圧痕)が形成される。しかも、この場合は、アンテナとICチップとの接続が不完全となることが多く、発熱の原因となる。
そこで、ICカードの中間層用のシートを製造する工程においては、その熱圧着が正常に行われたか否かの検査が行われている。
【0005】
従来、その検査は、その圧着部における圧痕の有無を検査員が目視して判断していた。しかし、近年では、その圧着部を撮像して得られた画像にもとづいて検査する自動外観検査装置が使用されている。
この自動外観検査装置に関する技術については、種々提案されている。
例えば、金属シートの表面を被検査面とし、同軸落射照明または斜方照明により、その被検査面に光を照射して、凸状の欠損箇所を検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法によれば、凸状の欠損の高さがミクロンオーダーのものについて検出することができる。
【0006】
また、同軸落射照明と斜方照明とを同時に使用する検査方法として、色分離プリズムを使用した検査システムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。具体的には、検査対象物の直上に赤色光を投射する同軸落射照明と、ワーク上面から緑色光を投射する斜方照明と、青色透過光をワーク下面から照射する照明とをそれぞれ設置し、それらの反射光を色分離プリズムに通して、R,G,Bそれぞれの撮像素子で受光するものである。
この技術によれば、検査対象物の表面や内部に存在する欠陥を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−8266号公報
【特許文献2】特開2000−9591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1、2に記載の技術においては、次のような問題があった。
例えば、特許文献1に記載の技術は、凸状の欠損箇所のみを検出対象としていた。このため、凹状と凸状の双方を対象とする検査には適していなかった。
また、同技術は、同軸落射照明として青色光を使用していた。このため、検査対象物が有色の場合には、使用できなかった。
【0009】
さらに、特許文献2に記載の技術は、光透過性を有する物体を検査対象物としており、透過光を利用して表面又は内部に存在する欠陥を検出するものであった。このため、検査対象物が、光透過性を有しないものや低いもの、例えば、表面に光沢を有するシートなどには適用できなかった。
しかも、同技術は、同軸落射照明として赤色光を用い、斜方照明として緑色光を用いていた。このため、検査対象物が有色の場合には、使用できなかった。
【0010】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、検査対象における欠陥の形状が凹状又は凸状のいずれであっても検出可能とするとともに、光透過性を有しないものや低いもの、表面に光沢を有するシートなどについても検査対象物とすることが可能な凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明の凹凸検査システムは、検査対象物の被検査面に対して光を照射し、その反射光を利用して被検査面の凹凸を検査する凹凸検査システムであって、被検査面に対向する位置に配置されて当該被検査面に光を照射する同軸落射照明と、被検査面に対して斜め方向から光を照射する斜方照明とを用いて光を照射し、その被検査面を撮像して得られた画像にもとづいて凹凸の有無を検査する構成としてある。
【0012】
また、本発明の凹凸検査方法は、検査対象物の被検査面における凹凸の有無を検査する凹凸検査方法であって、凹凸検査システムに備えられた同軸落射照明及び斜方照明から被検査面に対して光を照射する工程と、被検査面を撮像手段で撮像し、得られた撮像画像にもとづいて凹凸の有無を検査する工程とを有し、凹凸検査システムが、前述の凹凸検査システムからなる方法としてある。
【0013】
また、本発明のシート製造方法は、シート状の対象物に対して、複数種類の加工を、所定の順序で実行するシート製造方法であって、対象物の被検査面上における凹部又は凸部の有無を検査する検査工程と、被検査面に凹部又は凸部が有ることが検査工程で発見されると、対象物に対して所定の文字又は記号を検出マークとして記載するマーキング工程とを有し、凹部又は凸部の有無の検査が、前述の凹凸検査システムを用いて実行される方法としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法によれば、同軸落射照明と斜方照明とを同時に点灯して検査対象物の被検査面に光を照射することで、その被検査面の撮像画像において、被検査面における欠陥部分以外の部分(欠陥部分に対して背景となる部分)を均一に表すとともに、欠陥部分(凹部又は凸部)のエッジ部分を明視野に見せることができる。これにより、欠陥部分の形状が凹状又は凸状のいずれであっても、それらを検出することができる。
【0015】
また、同軸落射照明及び斜方照明から照射される光を白色光としたことで、被検査面における欠陥部分以外の面をより均一に表すことができる。これにより、光透過性を有しないものや低いもの、表面に光沢を有するシートなどについても検査対象物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における凹凸検査システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同軸落射照明及び斜方照明が、(a)白色光である場合と、(b)青色光である場合に、撮像画像に写し出された検査対象物(ICカード)の相違を示す写真である。
【図3】検査対象物の被検査面を上方から見たときにおける、斜方照明から検査対象物への光の照射方向と、斜方照明の照射方向に対して、相対的に検査対象物が検査前後に移動する方向との間の角度θyを示す図である。
【図4】検査対象物が相対移動する方向から被検査面を見たときにおける、斜方照明に配置された複数の発光体の配置方向と、被検査面に沿って延長した線との間の角度θzを示す図である。
【図5】本発明の実施形態における凹凸検査システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】ICカードの構成を示す図であって、(a)は、ICカードを各層ごとに分解した状態を示す分解斜視図、(b)は、(a)のA部拡大図である。
【図7】シート積層方法の手順を示すフローチャートである。
【図8】ICカードの中間層が多数形成された中間層用シートの構成を示す正面図である。
【図9】実施例1を実施して得られた検査対象物(ICカード)の画像であって、(a)は、同軸落射照明のみを点灯した場合、(b)は、同軸落射照明と斜方照明の双方を点灯した場合を示す。
【図10】実施例2における条件及び結果を示す図表である。
【図11】実施例3における条件及び結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
[凹凸検査システム]
まず、本発明の凹凸検査システムの実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態の凹凸検査システムの構成を示す正面図及びブロック図である。
【0019】
同図に示すように、凹凸検査システム1は、光学系2と、画像処理手段3とを備えている。
ここで、光学系2は、斜方照明21(21−1、21−2)と、同軸落射照明22と、撮像手段23とを有している。
斜方照明21は、検査対象物の被検査面に対して斜め上方向から光を照射する照明手段である。
この斜方照明21には、例えば、複数の発光体(LED)が直線状又はマトリクス状に配置されて、方形(例えば、横長の帯状)の発光面から光を放出する直線LED照明(LEDバー照明)を用いることができる。なお、発光面は、LEDがむき出しの状態で設置されている開口状であることが好ましいが、透明板を介して嵌合されていてもよい。半透明板のような光拡散機能のあるものは凹凸の検出が難しくなるので、好ましくない。
【0020】
また、斜方照明21は、白色の光を放射するLEDを複数配置した白色LED照明を使用していることが好ましい。この斜方照明21を用いて白色光を検査対象物の被検査面に照射することで、被検査面における凹凸部分のエッジとその周辺とのコントラストを明確にすることができる。しかも、その被検査面が有色の場合でも、そのコントラストを明確にすることができる。具体例として、ICカードにおけるICとアンテナとの接続部分を撮像した画像を、図2(a)、(b)に示す。同図(a)は、斜方照明21及び同軸落射照明22に白色光を用いた場合、同図(b)は、斜方照明21及び同軸落射照明22に青色光を用いた場合である。これらを比較すると、白色光を用いた方がコントラストが明確であることが理解できる。
【0021】
さらに、斜方照明21は、検査対象物の被検査面に対して照射する光の角度が、次のθx、θy、θzの各数値範囲を満たす位置に配置される。
θx=25°〜45°
θy=0°〜10°
θz=0°〜15°
【0022】
ここで、θxとは、斜方照明21からの光の照射方向と被検査面との間の角度をいう(図1参照)。
θyとは、被検査面を上方から見たときに(被検査面を光学系2の撮像手段23の上方から見たときに)、斜方照明21から検査対象物への光の照射方向と、検査の前後に検査対象物が移動する方向(又は、検査の前後に光学系2(斜方照明21)が検査対象物に対して相対的に移動する方向)との間の角度をいう(図3参照)。
θzとは、被検査面を側方から見るとともに、斜方照明21の発光面を正面方向から見たときに(検査の前後に検査対象物が移動する方向から被検査面を見たときに)、斜方照明21に設けられた複数の発光体の配置方向と、被検査面に沿って延長した線(被検査面に平行な線)との間の角度をいう(図4参照)。なお、θzが0°の場合とは、複数の発光体の配置方向と被検査面とが平行となっている場合をいう。
【0023】
このように、検査対象物の被検査面に対して照射する光の角度が、θx、θy、θzの各数値範囲を満たすように斜方照明21を配置することにより、被検査面に形成された凹凸部分のエッジを明視野として検出することができる。
【0024】
しかも、斜方照明21は、凹凸部分のエッジに光が当たるように、検査対象物から高さ3mm〜20mmの範囲に設置することが好ましい。このように設置することにより、凹凸部分におけるエッジの正反射部分が広くなり、そのエッジとそれ以外の部分(エッジの周囲)とのコントラストを明確にすることができる。
また、斜方照明21は、発光面の水平方向の長さ(複数の発光体が配置された方向の長さ)が、検査対象物の一辺(斜方照明21の発光面の水平方向にほぼ平行した辺)の長さよりも80mm以上長いことが好ましい。これにより、検査対象物のエッジ(周縁)に正反射光を照射することができる。なお、その長さが80mm未満であると、検査対象物のエッジが明確に表れない。
【0025】
また、この斜方照明21は、本実施形態においては、二つ備えられている。
二つの斜方照明21−1、21−2は、光学系2を上から見たときに、検査対象物を挟むような位置にそれぞれ配置される。
このように、本実施形態においては、斜方照明21の数を二つとするが、二つに限るものではなく、二つ以上、例えば、三つや四つなど任意の数だけ備えることができる。そして、それら複数の斜方照明21は、光学系2を上から見たときに、検査対象物を囲むように配置される。これにより、検査対象物のエッジをより正確に捉えることができる。
【0026】
同軸落射照明22は、検査対象物及びその近傍に光を照射する照明手段である。
この同軸落射照明22は、光を放出する発光面が検査対象物の被検査面に対向するように配置されており、撮像手段23が検査対象物の被検査面を撮像する方向と同じ方向で、該被検査面に対して光を照射する。
また、同軸落射照明22は、図1に示すように、撮像手段23と検査対象物との間に設置されているが、それら撮像手段23と検査対象物との間には、ハーフミラーが傾斜した状態で設けられており、このハーフミラーに対して光源から光を照射するようになっている。
【0027】
さらに、同軸落射照明22は、白色のLEDを光源として用いることが好ましい。また、同軸落射照明22は、半透明板を介して被検査面に照射する構造であることが好ましく、これにより被検査面に均一に光を照射することが可能である。これにより、検査対象物の被検査面が光沢を有する面(例えば、ICカード4の中間層42に形成されたアルミ回路44(後述)など)である場合に、撮像画像において、その面の色を均一にすることができる。
【0028】
しかも、同軸落射照明22から検査対象物に照射される光は、波長域400〜500nmの範囲内におけるいずれかの波長の光を含まないことが好ましい。つまり、同軸落射照明22から放出される光に対して前記の波長域におけるいずれかの波長の光を遮光し、これを検査対象物の被検査面に照射する。これにより、被検査面が有色の場合でも、凹凸部のエッジとその周辺とのコントラストを明確にすることができる。
【0029】
ここで、遮光する波長域は、同軸落射照明22から放射される光の成分によって決めることができる。同軸落射照明22から放射される光の色は、LEDが発する光の色に依存する。本実施形態において、同軸落射照明22には白色LED照明が用いられるが、白色の光を発するLEDは、一般に、視感度の高い波長である黄色に蛍光する蛍光体と青色発光ダイオードとを組み合わせてつくられる。このため、それらの組み合わせ方により、LEDから放射される光は、色度図における黄色成分寄りの白色光となったり、あるいは、色度図における青色成分寄りの白色光となったりする。ここで、後者のLEDを備えた同軸落射照明22を光学系2に設置して検査対象物にその白色光を照射すると、青色成分が強いために、有色である被検査面の撮像画像において凹凸部のエッジとその周辺とのコントラストが表れにくいことがある。そこで、同軸落射照明22から放射される光から青色の波長域の光を遮光することにより、被検査面が有色であっても、凹凸部のエッジとその周辺とのコントラストを明確にすることができる。
【0030】
なお、一般に、青色の波長域は、450nm〜485nmとされている。このため、同軸落射照明22から放射される光のうち遮光する光の波長は、その青色の波長域の範囲内(特に、470nm)とする。ただし、青色LEDとして市販されているLEDの中には、光の波長域が400nm〜450nmの範囲内のものや485nm〜500nmの範囲内のものがあり、このような青色LEDを使用した白色LEDも存在する。よって、本実施形態においては、同軸落射照明22から放射される光のうち遮光する光の波長域を400nm〜500nmとする。そして、実際に遮光する光の波長を決める場合には、同軸落射照明22から放射される光に含まれている青色成分の波長を特定し、この波長を遮光する光の波長とするものである。
また、遮光には、ライトバランスフィルタを用いることができる。ライトバランスフィルタは、400nm〜500nmの光を遮光するものがある。このライトバランスフィルタは、同軸落射照明22の発光面に装着することができる。
【0031】
さらに、同軸落射照明22と検査対象物との距離は、30mm〜40mmであることが好ましく、特に、33mm〜35mmの範囲内になるように設置することがより好ましい。
また、斜方照明21や同軸落射照明22を小型化することにより、光学系2を狭い領域に設置することができる。
【0032】
撮像手段23は、検査対象物の被検査面に対して上方に配置されており、その被検査面を撮像する。
この撮像手段23には、例えば、任意領域の輝度値の変化率を計測可能なエリアセンサ方式カラーカメラを用いることができる。
また、撮像手段23においては、撮像する画像の解像度が高い方が好ましい。例えば、5mm×5mmの視野範囲の検査を行う場合には、200万画素以上の解像度であることが好ましい。
この撮像手段23で撮像された被検査面の画像は、画像処理手段3へ送られる。
【0033】
画像処理手段3は、画像処理部31と、判定部32と、結果出力部33とを有している。
画像処理部31は、撮像手段23で撮像された検査対象物の被検査面の画像を取り込んで、グレー画像への変換処理などの所定の処理を実行する。この画像処理部31が実行する処理の内容は、後記の「凹凸検査方法」にて詳述する。
判定部32は、画像処理部31で所定の処理が実行された後の画像にもとづいて、被検査面における凹凸の有無を判断し、凹凸がないときは当該検査対象物が良品であるものと判定し、一方、凹凸があるときは当該検査対象物が不良品であるものと判定する。
結果出力部33は、判定部32における判定の結果を印字出力する。
【0034】
なお、本実施形態における画像処理手段3は、図1に示す構成を有するものとするが、該画像処理手段3の構成は、同図に示すものに限るものではなく、例えば、被検査面の画像を画面表示する表示手段や、不良品が発生したことを音声、点灯、動作等によって知らせる報知手段、判定部32における判定で用いられる閾値等を記憶する記憶手段などを備えた構成とすることもできる。
【0035】
[凹凸検査方法]
次に、本実施形態の凹凸検査システムの動作(凹凸検査方法)について、図5を参照して説明する。
同図は、本実施形態の凹凸検査方法の手順を示すフローチャートである。
【0036】
載置台24の上面には、検査対象物が載置されている。
載置台24及び検査対象物の上方には、光学系2が備えられており、斜方照明21と同軸落射照明22の双方から、検査対象物の上面(被検査面)に対して光が照射されている。
【0037】
光学系2の撮像手段23は、検査対象物の被検査面を撮像して、該被検査面の画像を得る(ステップ10)。なお、ここで、撮像手段23は、カラー画像を撮像可能なカメラであるものとし、被検査面の画像は、カラー画像であるものとする。
画像処理手段3の画像処理部31は、撮像手段23で撮像された被検査面のカラー画像を取り込み、これをグレー画像に変換する(ステップ11)。
次いで、画像処理部31は、グレー画像の輝度値を平均化する(ステップ12)。これにより、検査対象物の被検査面(例えば、ICカード4の中間層42を検査対象物とした場合におけるアルミ回路44の表面(後述))におけるまだら模様の影響を緩和することができる。
【0038】
また、画像処理部31は、平均化画像に対して濃淡補正を行う(ステップ13)。これにより、外乱の影響を除去することができる。
さらに、画像処理部31は、濃淡補正を行ったグレー画像に対してコントラスト強調を行う(ステップ14)。これにより、凹凸部分のエッジとその周囲の輝度値の差を大きくすることができる。
そして、画像処理部31は、二回目の濃淡補正を行う(ステップ15)。
【0039】
判定部32は、画像処理部31にて二回目の濃淡補正が行われた後の画像に対し、該画像の任意の領域における輝度値の差を測定する(ステップ16)。具体的には、画像に写し出された被検査面の全面あるいは一部を輝度測定対象範囲とし、この輝度測定対象範囲を所定数の領域に分割する。次いで、それら領域ごとに平均輝度を算出し、すべての領域における平均輝度を算出すると、一の領域における平均輝度と、これに隣接する領域の平均輝度との差を算出する。この処理を、すべての領域に対して繰り返し行なっていく。
【0040】
続いて、判定部32は、算出した平均輝度の差と閾値とを比較する。
比較の結果、平均輝度の差が閾値以上の場合には、この領域に凹凸があるものと判断し、この領域を欠陥領域として指定する。
判定部32は、その比較処理を、算出した平均輝度の差のすべてに対して行う。そして、欠陥領域を複数指定した場合に、隣接している欠陥領域があるか否かを判断する。判断の結果、隣接している欠陥領域があるときは、続いて、それら隣接している欠陥領域を中心として上下左右斜め方向に連続して隣接している欠陥領域の数を算出し、この算出した数が所定数以上あるか否かを判断する。判断の結果、所定数以上であるときは、この領域を欠陥特定領域として指定し、ここに検出すべき凹凸部があるものと判断し、その欠陥特定領域を有する検査対象物を不良品と判定する(ステップ17)。
【0041】
一方、判定部32は、算出した平均輝度の差と閾値とを比較した結果、閾値以上となっている平均輝度の差がないときは、当該検査対象物を良品と判定する。
また、判定部32は、欠陥特定領域を指定していない検査対象物を良品と判定する。
結果出力部33は、判定部32での判断及び判定の結果を画面表示又は印字出力する。
【0042】
このように、本実施形態の凹凸検査方法は、検査対象物の被検査面を撮像して得られた画像にもとづいて、その被検査面における凹凸の有無を判定することができる。しかも、この凹凸検査方法を、前述の凹凸検査装置を用いて実行することにより、被検査面の画像において凹凸部分のエッジとこの周辺とのコントラストを明確に表すことができる。
また、凸部の高さが周囲の被検査面に対して+1〜50μm、凹部の深さが周囲の被検査面に対して−1〜50μm、凹部又は凸部の径が50〜500μmの場合に、本実施形態の凹凸検査方法を実行することで、被検査面における凹凸部分のエッジとこの周辺とのコントラストを明確に表すことができる。
さらに、凹部又は凸部の形状は、円形,楕円形,多角形のいずれであってもよい。いずれの場合でも、それら凹凸部分のエッジとこの周辺とのコントラストを明確にすることができる。
【0043】
なお、本実施形態の凹凸検査方法は、平面状のものや立体の平面部分を検査対象物とすることができる。そして、その平面に形成された凹部又は凸部を、撮像画像のコントラスト(輝度値の高低差)として検出することができる。
この凹凸検査方法を実施する際に、適した検査対象物として、積層構造の非接触型ICカードの製造に用いられる中間層用シートが挙げられる。
そこで、その非接触型ICカードの構成、中間層用シートの製造工程であるシート製造方法、中間層用シートを検査対象物とする実施例を、順次説明する。
【0044】
[非接触型ICカードの構成]
積層構造の非接触型ICカードについて、図6(a)、(b)を参照して説明する。
同図(a)は、非接触型ICカードを各層に分解した様子を示す斜視図、同図(b)は、(a)におけるA部の拡大図である。
【0045】
同図(a)に示すように、積層構造の非接触型ICカード4は、表層41、中間層42、表層43の三層構造を有している。
ここで、中間層42には、アンテナ回路44とICチップ45が所定の箇所に配設されている。
そして、アンテナ回路44とICチップ45は、同図(b)に示すように、ICチップ45の上面で、熱圧着により接続されている。この熱圧着が不完全であると、圧痕46が形成される。
【0046】
この積層構造を有する非接触型ICカード4は、シート積層方法により製造することができる。シート積層方法とは、押出成形によって成形された中間層用シート5の所定箇所にアンテナ回路44とICチップ45を複数配置して複数の中間層42を形成し、この中間層用シート5から切り抜いた中間層42に二枚の表層41、43を積層してICカード4を製造する方法をいう。
このシート積層方法のうち、中間層用シート5を製造する工程が、本実施形態の「シート製造方法」に相当する。また、このシート製造方法においては、前述した凹凸検査方法が実施される。
これらシート積層方法及びシート製造方法について、次に説明する。
【0047】
[シート積層方法(シート製造方法)]
シート積層方法(シート製造方法)の手順について、図7を参照して説明する。
同図は、シート製造方法の手順を示すフローチャートである。なお、後述するように、シート積層方法におけるステップ20からステップ28までの工程が、シート製造方法に相当する。
【0048】
シート積層方法は、同図に示すように、まず、押出成形により、ガラスエポキシ、ポリイミド、PET等の絶縁フィルムを成形する(絶縁フィルム成形工程、ステップ20)。
次いで、その絶縁フィルムに、銅箔,アルミ箔などの金属箔フィルムを貼り込む(金属箔フィルム貼り込み工程、ステップ21)。
続いて、その貼り込まれた金属箔層に対し、エッチング又は導電印刷などによって、配線パターン(アンテナ回路44)を形成する(パターン形成工程、ステップ22)。
【0049】
そして、絶縁フィルムにICチップ45を搭載するとともに、ステップ22で形成した配線パターンと搭載したICチップ45とを、熱圧着などにより接続する(配線工程、ステップ23)。
この熱圧着が終了した段階における中間層用シートの構成を図8に示す。同図に示すように、中間層用シート5には、アンテナ回路44及びICチップ45が配設された中間層42が縦横に複数形成されている。
【0050】
熱圧着が終了すると、前述した凹凸検査システム1を用いて、凹凸検査方法により、アンテナ回路44とICチップ45との接続部分に圧痕46があるか否かの検査を行う(検査工程、ステップ24)。
そして、検査工程において、圧痕46があるものと判定された中間層42に対して、所定の文字又は記号からなる検出マークを記載(マーキング)する(マーキング工程、ステップ25)。
【0051】
その後、中間層用シート5に対しては、配線された部分に保護用の樹脂をモールドし(樹脂モールド工程、ステップ26)、所定の大きさで、回路基板ごとに切断する(シートカット工程、ステップ27)。
ここで、切断された各中間層42のうち、検出マークが記載されたものについては、ICカード4の製造ライン上から排除される(不良品排除工程、ステップ28)。
【0052】
一方、良品と判定されて製造ライン上を運ばれてきた中間層42に対しては、その両面に、PVC、PC、PETなどのカード基材(表層41、43)を積層し(積層工程、ステップ29)、熱プレス機などで熱圧着し(圧着工程、ステップ30)、所定のカードサイズに打ち抜いて(打ち抜き工程、ステップ31)、ホワイトカードを作成する。
このホワイトカードに所定の絵柄を塗布して(絵柄形成工程、ステップ32)、非接触型ICカード4が完成する。
【0053】
このシート積層方法における検査工程(ステップ24)では、中間層用シート5に形成された中間層42のそれぞれを検査対象物とし、それら中間層42における一方の面(アンテナ回路44とICチップ45が接続する部分が表れた面)を被検査面として、その接続部分における圧痕(凹凸部)46の有無を検査する。
この検査工程では、前述した凹凸検査システム1を用いて、凹凸検査方法により、検査が行われることから、中間層42の被検査面を撮像した画像において、圧痕46のエッジとその周囲(アンテナ回路44の表面のうち圧痕46が形成されていない部分)とのコントラストを明確にすることができる。
しかも、アルミ回路44のように光沢のある表面に付けられた圧痕46についても、そのエッジとその周囲とのコントラストを明確にして、圧痕46を確実に検出することができる。
【0054】
なお、このシート積層方法のうち、ステップ20からステップ28までの工程が、ICカード4の中間層42を製造する工程であることから、「シート製造方法」に相当する。
また、既に成形された絶縁フィルムを他社から購入してシート積層方法を実行する場合には、ステップ20を省略することができる。
さらに、絵柄形成工程(図7のステップ32)は、積層工程(ステップ29)を実行する前の表層41,43に対して行うこともできる。
【0055】
また、このシート積層方法においては、検査対象物を中間層用シートとしているが、検査対象物は、中間層用シートに限るものではなく、例えば、TABテープ、フレキシブル配線板、半導体チップなどを対象とすることができる。これらの場合、金属回路が形成された面等を被検査面とすることができる。
【0056】
[実施例]
次に、実施例について、図9(a),(b)〜図11を参照して説明する。
図9(a),(b)は、実施例1を実施して得られた検査対象物(ICカード)の画像、図10は、実施例2における条件及び結果を示す図表、図11は、実施例3における条件及び結果を示す図表である。
【0057】
(実施例1)
本実施例は、同軸落射照明22のみを点灯した場合と、同軸落射照明22と斜方照明21の双方を点灯した場合で、撮像画像に表れる圧痕46がどのように見えるかを検討したものである。
【0058】
本実施例では、ICカード4の中間層42を一枚用意して、これを検査対象物とした。また、その中間層42において、アルミ回路44とICチップ45との接続部分がある面を被検査面とした。さらに、検討結果を明確にするために、その接続部分に圧痕46である凸部を形成した。
【0059】
被検査面の画像を得るために、次の手順を行なった。
中間層42を、光学系2の下方に設置された載置台24の上面における所定の位置に載置した(図1参照)。
条件1−1として、斜方照明21を消灯し、同軸落射照明22のみ点灯させて、中間層42に光を照射した。そして、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
また、条件1−2として、斜方照明21と同軸落射照明22の双方を点灯させて、中間層42に光を照射した。そして、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
【0060】
条件1−1により得られた画像を図9(a)に、条件1−2により得られた画像を同図(b)にそれぞれ示す。
同図(a)に示すように、同軸落射照明22のみ点灯した場合には、アンテナ回路44の表面がまだら模様に見え、圧痕46の周縁を表す影との区別がつきにくかった。
これに対し、同図(b)に示すように、同軸落射照明22と斜方照明21との双方を点灯した場合には、アンテナ回路44の表面が均一に見えるとともに、圧痕46のエッジが明視野となって鮮明となっていることから、この圧痕46の認識が可能となった。
このように、同軸落射照明22だけでなく、斜方照明21をも点灯させることにより、圧痕46と周囲とのコントラストを明確にして、圧痕46を確実に検出することができる。
【0061】
(実施例2)
本実施例は、同軸落射照明22が放射する光に所定波長(470nm)の色成分を含む場合と含まない場合の比較、及び、斜方照明21の照射角度を検討したものである。
なお、検査対象物である中間層42に関する条件は、実施例1と同様である。
【0062】
光学系2の位置は、図1に示すように、中間層42を載置台24に載置したときに、この中間層42の上方に同軸落射照明22及び撮像手段23が設置される位置とした。また、その中間層42と同軸落射照明22との距離は、34mmとした。さらに、その中間層42と斜方照明21との距離は、11mmとした。
【0063】
被検査面の画像を得るために、次の手順を行なった。
中間層42を、光学系2の下方に設置された載置台24の上面における所定の位置に載置した(図1参照)。
条件2−1として、470nmの波長の光を遮光するライトバランスフィルタを同軸落射照明22に装着した。そして、この同軸落射照明22と斜方照明21の双方を点灯させて、中間層42に光を照射した。次いで、斜方照明21のθxを0°から90°の範囲内で約1°ずつ動かしながら、その都度、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
また、条件2−2として、同軸落射照明22からライトバランスフィルタを取り外した状態で、この同軸落射照明22と斜方照明21の双方を点灯させて、中間層42に光を照射した。そして、斜方照明21のθxを0°から90°の範囲内で約1°ずつ動かしながら、その都度、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
なお、θy及びθzは、いずれも0°とした。
【0064】
それら条件2−1及び条件2−2により得られた画像にもとづく検討結果を図10に示す。
撮像手段23が中間層42の直上にある場合は、いずれも圧痕46の輪郭画像を正確に得ることができた。ただし、次の場合には、正確に得られないことがあった。
例えば、同図に示すように、「検査項目」の「有色チップ」を見ると、条件2−1では、撮像画像において、圧痕46の輪郭を正確に認識でき、検査対象物の形状が変化しても追従できた。これに対し、条件2−2では、撮像画像において、圧痕46の輪郭を正確に認識できるものの、検査対象物の形状変化に追従できなかった。
このことから、同軸落射照明22からの光のうち470nmの波長の光を遮光することにより、検査対象物の形状が変化しても確実に追従できることがわかった。
【0065】
また、同図に示すように、「検査項目」の「凹凸有無」を見ると、条件2−1と条件2−2のいずれにおいても、θxは、25°〜45°の範囲が最適であることがわかった。
これに対し、θxが0°〜24°の場合は、検査対象物の形状によっては、圧痕46のエッジが明視野になるものもあれば、なりにくいものもあった。よって、この場合は、実用面で注意が必要であることがわかった。
しかも、θxが45°〜90°の場合は、圧痕46のエッジが明視野となるものの、圧痕46の周囲のアルミ回路44も明視野となってしまい、圧痕46を正確に認識するのが難しいことがわかった。
【0066】
(実施例3)
本実施例は、実施例2で圧痕46を正確に認識できると判断された条件(θx=25°〜45°)において、圧痕46のエッジがどの程度明視野になるかを検討したものである。
なお、検査対象物である中間層42に関する条件と、光学系2に関する条件は、実施例2と同様である。
【0067】
被検査面の画像を得るために、次の手順を行なった。
中間層42を、光学系2の下方に設置された載置台24の上面における所定の位置に載置した(図1参照)。
470nmの波長の光を遮光するライトバランスフィルタを同軸落射照明22に装着した。そして、この同軸落射照明22と斜方照明21の双方を点灯させて、中間層42に光を照射した。次いで、斜方照明21のθxを25°から45°の範囲内で約1°ずつ動かしながら、その都度、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
なお、θy及びθzは、いずれも0°とした。
【0068】
これにより得られた画像にもとづく検討結果を図11に示す。
同図に示すように、θxが25°〜30°の範囲内、又は、40°〜45°の範囲内のときは、撮像画像において、圧痕46の輪郭を認識できるものの、この輪郭の明視野部が小さかった。このことから、検査対象物の形状変化に追従できなかった。
これに対し、θxが30°〜40°の範囲内では、撮像画像において、圧痕46の輪郭の明視野部が大きくなり、明確に圧痕46の有無を判別できた。
このことから、θxが30°〜40°の範囲内では、検査対象物の形状が変化しても、確実に圧痕46を認識できることがわかった。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法によれば、同軸落射照明と斜方照明とを同時に点灯させて検査対象物の被検査面に光を照射することにより、その被検査面を撮像した画像において、被検査面における欠陥部分以外の面を均一に表すとともに、欠陥部分(凹部及び凸部)のエッジ部分を明視野に見せることができる。これにより、欠陥部分の形状が凹状又は凸状のいずれであっても、それらを確実に検出することができる。
また、同軸落射照明及び斜方照明から照射される光を白色光としたことにより、被検査面における欠陥部分以外の面をより均一に表すことができる。これにより、光透過性を有しないものや低いもの、表面に光沢を有するシートなどについても検査対象物とすることができる。
【0070】
さらに、検査対象物を製造する工程において、本実施形態の凹凸検査システムを用いて、その検査対象物における平面上の凹凸の有無を検査することにより、凹凸部が確実に検出されることから、その凹凸部が検出されないといった誤判定が減少するとともに、不良品が看過されて出荷される事態を回避でき、かつ、次の工程を行う前に不良品を排除できることから、製造効率を向上させることができる。
【0071】
以上、本発明の凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、図1においては、光学系が一つのみ設けられているが、一つに限るものではなく、複数設けることもできる。この場合、画像処理手段は、複数の光学系から送られてきた撮像画像のそれぞれに所定の処理を施し、それら画像ごとに凹凸(圧痕)の有無を判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、被検査面の撮像画像における凹凸の有無を検査する技術に関するものであるため、凹凸の有無を検査する装置や機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 凹凸検査システム
2 光学系
21(21−1、21−2) 斜方照明
22 同軸落射照明
23 撮像手段
3 画像処理手段
31 画像処理部
32 判定部
33 結果出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の被検査面における凹凸の有無を検査する凹凸検査システム、この凹凸検査システムを用いて実行される凹凸検査方法、及び、前記凹凸検査システムを用いて実行される検査工程を含むシート製造方法に関する。特に有用な用途として、光透過性を有しないか低いシートで表面に光沢を有するようなシート、例えば、多層構造を有するICカードの中間層を多数形成した所定のシートを検査対象物とする凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシートの製造方法に関する。さらに詳しくは、検査対象物に多数形成されたICカードの被検査面を撮像し、この撮像で得られた画像にもとづいて、中間層におけるアルミ回路面上の圧痕の有無を検査する凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、カード用端末機のリーダ/ライタとの間の通信の仕方により、接触型と非接触型とに分けられる。
これらのうち、非接触型のICカードは、コイル状のアンテナが内部に配設されている。これにより、端末機のリーダ/ライタから発生している磁界によりアンテナに誘導電流が流れて電源の供給を受けるとともに、所定の情報を無線通信するものである。
【0003】
ここで、非接触型のICカードが多層構造を有し、中間層を構成するフィルムシート上にアンテナ(アルミ回路)がプリントされて、ICチップと接続される場合において、これらアンテナとICチップとを接続する方法には、例えば、熱圧着が用いられている。
熱圧着とは、例えば、超音波接合法などによりアンテナとICチップの電極端子とを、介在物なく直接接続する方法をいう。
【0004】
この熱圧着が正常に行われた場合、その圧着部分におけるアンテナの表面は、圧着前と同様に平面状である。ところが、その熱圧着が正常に行われなかった場合は、その表面に凹状又は凸状の痕跡(圧痕)が形成される。しかも、この場合は、アンテナとICチップとの接続が不完全となることが多く、発熱の原因となる。
そこで、ICカードの中間層用のシートを製造する工程においては、その熱圧着が正常に行われたか否かの検査が行われている。
【0005】
従来、その検査は、その圧着部における圧痕の有無を検査員が目視して判断していた。しかし、近年では、その圧着部を撮像して得られた画像にもとづいて検査する自動外観検査装置が使用されている。
この自動外観検査装置に関する技術については、種々提案されている。
例えば、金属シートの表面を被検査面とし、同軸落射照明または斜方照明により、その被検査面に光を照射して、凸状の欠損箇所を検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法によれば、凸状の欠損の高さがミクロンオーダーのものについて検出することができる。
【0006】
また、同軸落射照明と斜方照明とを同時に使用する検査方法として、色分離プリズムを使用した検査システムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。具体的には、検査対象物の直上に赤色光を投射する同軸落射照明と、ワーク上面から緑色光を投射する斜方照明と、青色透過光をワーク下面から照射する照明とをそれぞれ設置し、それらの反射光を色分離プリズムに通して、R,G,Bそれぞれの撮像素子で受光するものである。
この技術によれば、検査対象物の表面や内部に存在する欠陥を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−8266号公報
【特許文献2】特開2000−9591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1、2に記載の技術においては、次のような問題があった。
例えば、特許文献1に記載の技術は、凸状の欠損箇所のみを検出対象としていた。このため、凹状と凸状の双方を対象とする検査には適していなかった。
また、同技術は、同軸落射照明として青色光を使用していた。このため、検査対象物が有色の場合には、使用できなかった。
【0009】
さらに、特許文献2に記載の技術は、光透過性を有する物体を検査対象物としており、透過光を利用して表面又は内部に存在する欠陥を検出するものであった。このため、検査対象物が、光透過性を有しないものや低いもの、例えば、表面に光沢を有するシートなどには適用できなかった。
しかも、同技術は、同軸落射照明として赤色光を用い、斜方照明として緑色光を用いていた。このため、検査対象物が有色の場合には、使用できなかった。
【0010】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、検査対象における欠陥の形状が凹状又は凸状のいずれであっても検出可能とするとともに、光透過性を有しないものや低いもの、表面に光沢を有するシートなどについても検査対象物とすることが可能な凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明の凹凸検査システムは、検査対象物の被検査面に対して光を照射し、その反射光を利用して被検査面の凹凸を検査する凹凸検査システムであって、被検査面に対向する位置に配置されて当該被検査面に光を照射する同軸落射照明と、被検査面に対して斜め方向から光を照射する斜方照明とを用いて光を照射し、その被検査面を撮像して得られた画像にもとづいて凹凸の有無を検査する構成としてある。
【0012】
また、本発明の凹凸検査方法は、検査対象物の被検査面における凹凸の有無を検査する凹凸検査方法であって、凹凸検査システムに備えられた同軸落射照明及び斜方照明から被検査面に対して光を照射する工程と、被検査面を撮像手段で撮像し、得られた撮像画像にもとづいて凹凸の有無を検査する工程とを有し、凹凸検査システムが、前述の凹凸検査システムからなる方法としてある。
【0013】
また、本発明のシート製造方法は、シート状の対象物に対して、複数種類の加工を、所定の順序で実行するシート製造方法であって、対象物の被検査面上における凹部又は凸部の有無を検査する検査工程と、被検査面に凹部又は凸部が有ることが検査工程で発見されると、対象物に対して所定の文字又は記号を検出マークとして記載するマーキング工程とを有し、凹部又は凸部の有無の検査が、前述の凹凸検査システムを用いて実行される方法としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法によれば、同軸落射照明と斜方照明とを同時に点灯して検査対象物の被検査面に光を照射することで、その被検査面の撮像画像において、被検査面における欠陥部分以外の部分(欠陥部分に対して背景となる部分)を均一に表すとともに、欠陥部分(凹部又は凸部)のエッジ部分を明視野に見せることができる。これにより、欠陥部分の形状が凹状又は凸状のいずれであっても、それらを検出することができる。
【0015】
また、同軸落射照明及び斜方照明から照射される光を白色光としたことで、被検査面における欠陥部分以外の面をより均一に表すことができる。これにより、光透過性を有しないものや低いもの、表面に光沢を有するシートなどについても検査対象物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における凹凸検査システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同軸落射照明及び斜方照明が、(a)白色光である場合と、(b)青色光である場合に、撮像画像に写し出された検査対象物(ICカード)の相違を示す写真である。
【図3】検査対象物の被検査面を上方から見たときにおける、斜方照明から検査対象物への光の照射方向と、斜方照明の照射方向に対して、相対的に検査対象物が検査前後に移動する方向との間の角度θyを示す図である。
【図4】検査対象物が相対移動する方向から被検査面を見たときにおける、斜方照明に配置された複数の発光体の配置方向と、被検査面に沿って延長した線との間の角度θzを示す図である。
【図5】本発明の実施形態における凹凸検査システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】ICカードの構成を示す図であって、(a)は、ICカードを各層ごとに分解した状態を示す分解斜視図、(b)は、(a)のA部拡大図である。
【図7】シート積層方法の手順を示すフローチャートである。
【図8】ICカードの中間層が多数形成された中間層用シートの構成を示す正面図である。
【図9】実施例1を実施して得られた検査対象物(ICカード)の画像であって、(a)は、同軸落射照明のみを点灯した場合、(b)は、同軸落射照明と斜方照明の双方を点灯した場合を示す。
【図10】実施例2における条件及び結果を示す図表である。
【図11】実施例3における条件及び結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
[凹凸検査システム]
まず、本発明の凹凸検査システムの実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態の凹凸検査システムの構成を示す正面図及びブロック図である。
【0019】
同図に示すように、凹凸検査システム1は、光学系2と、画像処理手段3とを備えている。
ここで、光学系2は、斜方照明21(21−1、21−2)と、同軸落射照明22と、撮像手段23とを有している。
斜方照明21は、検査対象物の被検査面に対して斜め上方向から光を照射する照明手段である。
この斜方照明21には、例えば、複数の発光体(LED)が直線状又はマトリクス状に配置されて、方形(例えば、横長の帯状)の発光面から光を放出する直線LED照明(LEDバー照明)を用いることができる。なお、発光面は、LEDがむき出しの状態で設置されている開口状であることが好ましいが、透明板を介して嵌合されていてもよい。半透明板のような光拡散機能のあるものは凹凸の検出が難しくなるので、好ましくない。
【0020】
また、斜方照明21は、白色の光を放射するLEDを複数配置した白色LED照明を使用していることが好ましい。この斜方照明21を用いて白色光を検査対象物の被検査面に照射することで、被検査面における凹凸部分のエッジとその周辺とのコントラストを明確にすることができる。しかも、その被検査面が有色の場合でも、そのコントラストを明確にすることができる。具体例として、ICカードにおけるICとアンテナとの接続部分を撮像した画像を、図2(a)、(b)に示す。同図(a)は、斜方照明21及び同軸落射照明22に白色光を用いた場合、同図(b)は、斜方照明21及び同軸落射照明22に青色光を用いた場合である。これらを比較すると、白色光を用いた方がコントラストが明確であることが理解できる。
【0021】
さらに、斜方照明21は、検査対象物の被検査面に対して照射する光の角度が、次のθx、θy、θzの各数値範囲を満たす位置に配置される。
θx=25°〜45°
θy=0°〜10°
θz=0°〜15°
【0022】
ここで、θxとは、斜方照明21からの光の照射方向と被検査面との間の角度をいう(図1参照)。
θyとは、被検査面を上方から見たときに(被検査面を光学系2の撮像手段23の上方から見たときに)、斜方照明21から検査対象物への光の照射方向と、検査の前後に検査対象物が移動する方向(又は、検査の前後に光学系2(斜方照明21)が検査対象物に対して相対的に移動する方向)との間の角度をいう(図3参照)。
θzとは、被検査面を側方から見るとともに、斜方照明21の発光面を正面方向から見たときに(検査の前後に検査対象物が移動する方向から被検査面を見たときに)、斜方照明21に設けられた複数の発光体の配置方向と、被検査面に沿って延長した線(被検査面に平行な線)との間の角度をいう(図4参照)。なお、θzが0°の場合とは、複数の発光体の配置方向と被検査面とが平行となっている場合をいう。
【0023】
このように、検査対象物の被検査面に対して照射する光の角度が、θx、θy、θzの各数値範囲を満たすように斜方照明21を配置することにより、被検査面に形成された凹凸部分のエッジを明視野として検出することができる。
【0024】
しかも、斜方照明21は、凹凸部分のエッジに光が当たるように、検査対象物から高さ3mm〜20mmの範囲に設置することが好ましい。このように設置することにより、凹凸部分におけるエッジの正反射部分が広くなり、そのエッジとそれ以外の部分(エッジの周囲)とのコントラストを明確にすることができる。
また、斜方照明21は、発光面の水平方向の長さ(複数の発光体が配置された方向の長さ)が、検査対象物の一辺(斜方照明21の発光面の水平方向にほぼ平行した辺)の長さよりも80mm以上長いことが好ましい。これにより、検査対象物のエッジ(周縁)に正反射光を照射することができる。なお、その長さが80mm未満であると、検査対象物のエッジが明確に表れない。
【0025】
また、この斜方照明21は、本実施形態においては、二つ備えられている。
二つの斜方照明21−1、21−2は、光学系2を上から見たときに、検査対象物を挟むような位置にそれぞれ配置される。
このように、本実施形態においては、斜方照明21の数を二つとするが、二つに限るものではなく、二つ以上、例えば、三つや四つなど任意の数だけ備えることができる。そして、それら複数の斜方照明21は、光学系2を上から見たときに、検査対象物を囲むように配置される。これにより、検査対象物のエッジをより正確に捉えることができる。
【0026】
同軸落射照明22は、検査対象物及びその近傍に光を照射する照明手段である。
この同軸落射照明22は、光を放出する発光面が検査対象物の被検査面に対向するように配置されており、撮像手段23が検査対象物の被検査面を撮像する方向と同じ方向で、該被検査面に対して光を照射する。
また、同軸落射照明22は、図1に示すように、撮像手段23と検査対象物との間に設置されているが、それら撮像手段23と検査対象物との間には、ハーフミラーが傾斜した状態で設けられており、このハーフミラーに対して光源から光を照射するようになっている。
【0027】
さらに、同軸落射照明22は、白色のLEDを光源として用いることが好ましい。また、同軸落射照明22は、半透明板を介して被検査面に照射する構造であることが好ましく、これにより被検査面に均一に光を照射することが可能である。これにより、検査対象物の被検査面が光沢を有する面(例えば、ICカード4の中間層42に形成されたアルミ回路44(後述)など)である場合に、撮像画像において、その面の色を均一にすることができる。
【0028】
しかも、同軸落射照明22から検査対象物に照射される光は、波長域400〜500nmの範囲内におけるいずれかの波長の光を含まないことが好ましい。つまり、同軸落射照明22から放出される光に対して前記の波長域におけるいずれかの波長の光を遮光し、これを検査対象物の被検査面に照射する。これにより、被検査面が有色の場合でも、凹凸部のエッジとその周辺とのコントラストを明確にすることができる。
【0029】
ここで、遮光する波長域は、同軸落射照明22から放射される光の成分によって決めることができる。同軸落射照明22から放射される光の色は、LEDが発する光の色に依存する。本実施形態において、同軸落射照明22には白色LED照明が用いられるが、白色の光を発するLEDは、一般に、視感度の高い波長である黄色に蛍光する蛍光体と青色発光ダイオードとを組み合わせてつくられる。このため、それらの組み合わせ方により、LEDから放射される光は、色度図における黄色成分寄りの白色光となったり、あるいは、色度図における青色成分寄りの白色光となったりする。ここで、後者のLEDを備えた同軸落射照明22を光学系2に設置して検査対象物にその白色光を照射すると、青色成分が強いために、有色である被検査面の撮像画像において凹凸部のエッジとその周辺とのコントラストが表れにくいことがある。そこで、同軸落射照明22から放射される光から青色の波長域の光を遮光することにより、被検査面が有色であっても、凹凸部のエッジとその周辺とのコントラストを明確にすることができる。
【0030】
なお、一般に、青色の波長域は、450nm〜485nmとされている。このため、同軸落射照明22から放射される光のうち遮光する光の波長は、その青色の波長域の範囲内(特に、470nm)とする。ただし、青色LEDとして市販されているLEDの中には、光の波長域が400nm〜450nmの範囲内のものや485nm〜500nmの範囲内のものがあり、このような青色LEDを使用した白色LEDも存在する。よって、本実施形態においては、同軸落射照明22から放射される光のうち遮光する光の波長域を400nm〜500nmとする。そして、実際に遮光する光の波長を決める場合には、同軸落射照明22から放射される光に含まれている青色成分の波長を特定し、この波長を遮光する光の波長とするものである。
また、遮光には、ライトバランスフィルタを用いることができる。ライトバランスフィルタは、400nm〜500nmの光を遮光するものがある。このライトバランスフィルタは、同軸落射照明22の発光面に装着することができる。
【0031】
さらに、同軸落射照明22と検査対象物との距離は、30mm〜40mmであることが好ましく、特に、33mm〜35mmの範囲内になるように設置することがより好ましい。
また、斜方照明21や同軸落射照明22を小型化することにより、光学系2を狭い領域に設置することができる。
【0032】
撮像手段23は、検査対象物の被検査面に対して上方に配置されており、その被検査面を撮像する。
この撮像手段23には、例えば、任意領域の輝度値の変化率を計測可能なエリアセンサ方式カラーカメラを用いることができる。
また、撮像手段23においては、撮像する画像の解像度が高い方が好ましい。例えば、5mm×5mmの視野範囲の検査を行う場合には、200万画素以上の解像度であることが好ましい。
この撮像手段23で撮像された被検査面の画像は、画像処理手段3へ送られる。
【0033】
画像処理手段3は、画像処理部31と、判定部32と、結果出力部33とを有している。
画像処理部31は、撮像手段23で撮像された検査対象物の被検査面の画像を取り込んで、グレー画像への変換処理などの所定の処理を実行する。この画像処理部31が実行する処理の内容は、後記の「凹凸検査方法」にて詳述する。
判定部32は、画像処理部31で所定の処理が実行された後の画像にもとづいて、被検査面における凹凸の有無を判断し、凹凸がないときは当該検査対象物が良品であるものと判定し、一方、凹凸があるときは当該検査対象物が不良品であるものと判定する。
結果出力部33は、判定部32における判定の結果を印字出力する。
【0034】
なお、本実施形態における画像処理手段3は、図1に示す構成を有するものとするが、該画像処理手段3の構成は、同図に示すものに限るものではなく、例えば、被検査面の画像を画面表示する表示手段や、不良品が発生したことを音声、点灯、動作等によって知らせる報知手段、判定部32における判定で用いられる閾値等を記憶する記憶手段などを備えた構成とすることもできる。
【0035】
[凹凸検査方法]
次に、本実施形態の凹凸検査システムの動作(凹凸検査方法)について、図5を参照して説明する。
同図は、本実施形態の凹凸検査方法の手順を示すフローチャートである。
【0036】
載置台24の上面には、検査対象物が載置されている。
載置台24及び検査対象物の上方には、光学系2が備えられており、斜方照明21と同軸落射照明22の双方から、検査対象物の上面(被検査面)に対して光が照射されている。
【0037】
光学系2の撮像手段23は、検査対象物の被検査面を撮像して、該被検査面の画像を得る(ステップ10)。なお、ここで、撮像手段23は、カラー画像を撮像可能なカメラであるものとし、被検査面の画像は、カラー画像であるものとする。
画像処理手段3の画像処理部31は、撮像手段23で撮像された被検査面のカラー画像を取り込み、これをグレー画像に変換する(ステップ11)。
次いで、画像処理部31は、グレー画像の輝度値を平均化する(ステップ12)。これにより、検査対象物の被検査面(例えば、ICカード4の中間層42を検査対象物とした場合におけるアルミ回路44の表面(後述))におけるまだら模様の影響を緩和することができる。
【0038】
また、画像処理部31は、平均化画像に対して濃淡補正を行う(ステップ13)。これにより、外乱の影響を除去することができる。
さらに、画像処理部31は、濃淡補正を行ったグレー画像に対してコントラスト強調を行う(ステップ14)。これにより、凹凸部分のエッジとその周囲の輝度値の差を大きくすることができる。
そして、画像処理部31は、二回目の濃淡補正を行う(ステップ15)。
【0039】
判定部32は、画像処理部31にて二回目の濃淡補正が行われた後の画像に対し、該画像の任意の領域における輝度値の差を測定する(ステップ16)。具体的には、画像に写し出された被検査面の全面あるいは一部を輝度測定対象範囲とし、この輝度測定対象範囲を所定数の領域に分割する。次いで、それら領域ごとに平均輝度を算出し、すべての領域における平均輝度を算出すると、一の領域における平均輝度と、これに隣接する領域の平均輝度との差を算出する。この処理を、すべての領域に対して繰り返し行なっていく。
【0040】
続いて、判定部32は、算出した平均輝度の差と閾値とを比較する。
比較の結果、平均輝度の差が閾値以上の場合には、この領域に凹凸があるものと判断し、この領域を欠陥領域として指定する。
判定部32は、その比較処理を、算出した平均輝度の差のすべてに対して行う。そして、欠陥領域を複数指定した場合に、隣接している欠陥領域があるか否かを判断する。判断の結果、隣接している欠陥領域があるときは、続いて、それら隣接している欠陥領域を中心として上下左右斜め方向に連続して隣接している欠陥領域の数を算出し、この算出した数が所定数以上あるか否かを判断する。判断の結果、所定数以上であるときは、この領域を欠陥特定領域として指定し、ここに検出すべき凹凸部があるものと判断し、その欠陥特定領域を有する検査対象物を不良品と判定する(ステップ17)。
【0041】
一方、判定部32は、算出した平均輝度の差と閾値とを比較した結果、閾値以上となっている平均輝度の差がないときは、当該検査対象物を良品と判定する。
また、判定部32は、欠陥特定領域を指定していない検査対象物を良品と判定する。
結果出力部33は、判定部32での判断及び判定の結果を画面表示又は印字出力する。
【0042】
このように、本実施形態の凹凸検査方法は、検査対象物の被検査面を撮像して得られた画像にもとづいて、その被検査面における凹凸の有無を判定することができる。しかも、この凹凸検査方法を、前述の凹凸検査装置を用いて実行することにより、被検査面の画像において凹凸部分のエッジとこの周辺とのコントラストを明確に表すことができる。
また、凸部の高さが周囲の被検査面に対して+1〜50μm、凹部の深さが周囲の被検査面に対して−1〜50μm、凹部又は凸部の径が50〜500μmの場合に、本実施形態の凹凸検査方法を実行することで、被検査面における凹凸部分のエッジとこの周辺とのコントラストを明確に表すことができる。
さらに、凹部又は凸部の形状は、円形,楕円形,多角形のいずれであってもよい。いずれの場合でも、それら凹凸部分のエッジとこの周辺とのコントラストを明確にすることができる。
【0043】
なお、本実施形態の凹凸検査方法は、平面状のものや立体の平面部分を検査対象物とすることができる。そして、その平面に形成された凹部又は凸部を、撮像画像のコントラスト(輝度値の高低差)として検出することができる。
この凹凸検査方法を実施する際に、適した検査対象物として、積層構造の非接触型ICカードの製造に用いられる中間層用シートが挙げられる。
そこで、その非接触型ICカードの構成、中間層用シートの製造工程であるシート製造方法、中間層用シートを検査対象物とする実施例を、順次説明する。
【0044】
[非接触型ICカードの構成]
積層構造の非接触型ICカードについて、図6(a)、(b)を参照して説明する。
同図(a)は、非接触型ICカードを各層に分解した様子を示す斜視図、同図(b)は、(a)におけるA部の拡大図である。
【0045】
同図(a)に示すように、積層構造の非接触型ICカード4は、表層41、中間層42、表層43の三層構造を有している。
ここで、中間層42には、アンテナ回路44とICチップ45が所定の箇所に配設されている。
そして、アンテナ回路44とICチップ45は、同図(b)に示すように、ICチップ45の上面で、熱圧着により接続されている。この熱圧着が不完全であると、圧痕46が形成される。
【0046】
この積層構造を有する非接触型ICカード4は、シート積層方法により製造することができる。シート積層方法とは、押出成形によって成形された中間層用シート5の所定箇所にアンテナ回路44とICチップ45を複数配置して複数の中間層42を形成し、この中間層用シート5から切り抜いた中間層42に二枚の表層41、43を積層してICカード4を製造する方法をいう。
このシート積層方法のうち、中間層用シート5を製造する工程が、本実施形態の「シート製造方法」に相当する。また、このシート製造方法においては、前述した凹凸検査方法が実施される。
これらシート積層方法及びシート製造方法について、次に説明する。
【0047】
[シート積層方法(シート製造方法)]
シート積層方法(シート製造方法)の手順について、図7を参照して説明する。
同図は、シート製造方法の手順を示すフローチャートである。なお、後述するように、シート積層方法におけるステップ20からステップ28までの工程が、シート製造方法に相当する。
【0048】
シート積層方法は、同図に示すように、まず、押出成形により、ガラスエポキシ、ポリイミド、PET等の絶縁フィルムを成形する(絶縁フィルム成形工程、ステップ20)。
次いで、その絶縁フィルムに、銅箔,アルミ箔などの金属箔フィルムを貼り込む(金属箔フィルム貼り込み工程、ステップ21)。
続いて、その貼り込まれた金属箔層に対し、エッチング又は導電印刷などによって、配線パターン(アンテナ回路44)を形成する(パターン形成工程、ステップ22)。
【0049】
そして、絶縁フィルムにICチップ45を搭載するとともに、ステップ22で形成した配線パターンと搭載したICチップ45とを、熱圧着などにより接続する(配線工程、ステップ23)。
この熱圧着が終了した段階における中間層用シートの構成を図8に示す。同図に示すように、中間層用シート5には、アンテナ回路44及びICチップ45が配設された中間層42が縦横に複数形成されている。
【0050】
熱圧着が終了すると、前述した凹凸検査システム1を用いて、凹凸検査方法により、アンテナ回路44とICチップ45との接続部分に圧痕46があるか否かの検査を行う(検査工程、ステップ24)。
そして、検査工程において、圧痕46があるものと判定された中間層42に対して、所定の文字又は記号からなる検出マークを記載(マーキング)する(マーキング工程、ステップ25)。
【0051】
その後、中間層用シート5に対しては、配線された部分に保護用の樹脂をモールドし(樹脂モールド工程、ステップ26)、所定の大きさで、回路基板ごとに切断する(シートカット工程、ステップ27)。
ここで、切断された各中間層42のうち、検出マークが記載されたものについては、ICカード4の製造ライン上から排除される(不良品排除工程、ステップ28)。
【0052】
一方、良品と判定されて製造ライン上を運ばれてきた中間層42に対しては、その両面に、PVC、PC、PETなどのカード基材(表層41、43)を積層し(積層工程、ステップ29)、熱プレス機などで熱圧着し(圧着工程、ステップ30)、所定のカードサイズに打ち抜いて(打ち抜き工程、ステップ31)、ホワイトカードを作成する。
このホワイトカードに所定の絵柄を塗布して(絵柄形成工程、ステップ32)、非接触型ICカード4が完成する。
【0053】
このシート積層方法における検査工程(ステップ24)では、中間層用シート5に形成された中間層42のそれぞれを検査対象物とし、それら中間層42における一方の面(アンテナ回路44とICチップ45が接続する部分が表れた面)を被検査面として、その接続部分における圧痕(凹凸部)46の有無を検査する。
この検査工程では、前述した凹凸検査システム1を用いて、凹凸検査方法により、検査が行われることから、中間層42の被検査面を撮像した画像において、圧痕46のエッジとその周囲(アンテナ回路44の表面のうち圧痕46が形成されていない部分)とのコントラストを明確にすることができる。
しかも、アルミ回路44のように光沢のある表面に付けられた圧痕46についても、そのエッジとその周囲とのコントラストを明確にして、圧痕46を確実に検出することができる。
【0054】
なお、このシート積層方法のうち、ステップ20からステップ28までの工程が、ICカード4の中間層42を製造する工程であることから、「シート製造方法」に相当する。
また、既に成形された絶縁フィルムを他社から購入してシート積層方法を実行する場合には、ステップ20を省略することができる。
さらに、絵柄形成工程(図7のステップ32)は、積層工程(ステップ29)を実行する前の表層41,43に対して行うこともできる。
【0055】
また、このシート積層方法においては、検査対象物を中間層用シートとしているが、検査対象物は、中間層用シートに限るものではなく、例えば、TABテープ、フレキシブル配線板、半導体チップなどを対象とすることができる。これらの場合、金属回路が形成された面等を被検査面とすることができる。
【0056】
[実施例]
次に、実施例について、図9(a),(b)〜図11を参照して説明する。
図9(a),(b)は、実施例1を実施して得られた検査対象物(ICカード)の画像、図10は、実施例2における条件及び結果を示す図表、図11は、実施例3における条件及び結果を示す図表である。
【0057】
(実施例1)
本実施例は、同軸落射照明22のみを点灯した場合と、同軸落射照明22と斜方照明21の双方を点灯した場合で、撮像画像に表れる圧痕46がどのように見えるかを検討したものである。
【0058】
本実施例では、ICカード4の中間層42を一枚用意して、これを検査対象物とした。また、その中間層42において、アルミ回路44とICチップ45との接続部分がある面を被検査面とした。さらに、検討結果を明確にするために、その接続部分に圧痕46である凸部を形成した。
【0059】
被検査面の画像を得るために、次の手順を行なった。
中間層42を、光学系2の下方に設置された載置台24の上面における所定の位置に載置した(図1参照)。
条件1−1として、斜方照明21を消灯し、同軸落射照明22のみ点灯させて、中間層42に光を照射した。そして、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
また、条件1−2として、斜方照明21と同軸落射照明22の双方を点灯させて、中間層42に光を照射した。そして、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
【0060】
条件1−1により得られた画像を図9(a)に、条件1−2により得られた画像を同図(b)にそれぞれ示す。
同図(a)に示すように、同軸落射照明22のみ点灯した場合には、アンテナ回路44の表面がまだら模様に見え、圧痕46の周縁を表す影との区別がつきにくかった。
これに対し、同図(b)に示すように、同軸落射照明22と斜方照明21との双方を点灯した場合には、アンテナ回路44の表面が均一に見えるとともに、圧痕46のエッジが明視野となって鮮明となっていることから、この圧痕46の認識が可能となった。
このように、同軸落射照明22だけでなく、斜方照明21をも点灯させることにより、圧痕46と周囲とのコントラストを明確にして、圧痕46を確実に検出することができる。
【0061】
(実施例2)
本実施例は、同軸落射照明22が放射する光に所定波長(470nm)の色成分を含む場合と含まない場合の比較、及び、斜方照明21の照射角度を検討したものである。
なお、検査対象物である中間層42に関する条件は、実施例1と同様である。
【0062】
光学系2の位置は、図1に示すように、中間層42を載置台24に載置したときに、この中間層42の上方に同軸落射照明22及び撮像手段23が設置される位置とした。また、その中間層42と同軸落射照明22との距離は、34mmとした。さらに、その中間層42と斜方照明21との距離は、11mmとした。
【0063】
被検査面の画像を得るために、次の手順を行なった。
中間層42を、光学系2の下方に設置された載置台24の上面における所定の位置に載置した(図1参照)。
条件2−1として、470nmの波長の光を遮光するライトバランスフィルタを同軸落射照明22に装着した。そして、この同軸落射照明22と斜方照明21の双方を点灯させて、中間層42に光を照射した。次いで、斜方照明21のθxを0°から90°の範囲内で約1°ずつ動かしながら、その都度、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
また、条件2−2として、同軸落射照明22からライトバランスフィルタを取り外した状態で、この同軸落射照明22と斜方照明21の双方を点灯させて、中間層42に光を照射した。そして、斜方照明21のθxを0°から90°の範囲内で約1°ずつ動かしながら、その都度、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
なお、θy及びθzは、いずれも0°とした。
【0064】
それら条件2−1及び条件2−2により得られた画像にもとづく検討結果を図10に示す。
撮像手段23が中間層42の直上にある場合は、いずれも圧痕46の輪郭画像を正確に得ることができた。ただし、次の場合には、正確に得られないことがあった。
例えば、同図に示すように、「検査項目」の「有色チップ」を見ると、条件2−1では、撮像画像において、圧痕46の輪郭を正確に認識でき、検査対象物の形状が変化しても追従できた。これに対し、条件2−2では、撮像画像において、圧痕46の輪郭を正確に認識できるものの、検査対象物の形状変化に追従できなかった。
このことから、同軸落射照明22からの光のうち470nmの波長の光を遮光することにより、検査対象物の形状が変化しても確実に追従できることがわかった。
【0065】
また、同図に示すように、「検査項目」の「凹凸有無」を見ると、条件2−1と条件2−2のいずれにおいても、θxは、25°〜45°の範囲が最適であることがわかった。
これに対し、θxが0°〜24°の場合は、検査対象物の形状によっては、圧痕46のエッジが明視野になるものもあれば、なりにくいものもあった。よって、この場合は、実用面で注意が必要であることがわかった。
しかも、θxが45°〜90°の場合は、圧痕46のエッジが明視野となるものの、圧痕46の周囲のアルミ回路44も明視野となってしまい、圧痕46を正確に認識するのが難しいことがわかった。
【0066】
(実施例3)
本実施例は、実施例2で圧痕46を正確に認識できると判断された条件(θx=25°〜45°)において、圧痕46のエッジがどの程度明視野になるかを検討したものである。
なお、検査対象物である中間層42に関する条件と、光学系2に関する条件は、実施例2と同様である。
【0067】
被検査面の画像を得るために、次の手順を行なった。
中間層42を、光学系2の下方に設置された載置台24の上面における所定の位置に載置した(図1参照)。
470nmの波長の光を遮光するライトバランスフィルタを同軸落射照明22に装着した。そして、この同軸落射照明22と斜方照明21の双方を点灯させて、中間層42に光を照射した。次いで、斜方照明21のθxを25°から45°の範囲内で約1°ずつ動かしながら、その都度、図5のステップ10からステップ15までの処理を実行して、圧痕46を含む被検査面の画像を得た。
なお、θy及びθzは、いずれも0°とした。
【0068】
これにより得られた画像にもとづく検討結果を図11に示す。
同図に示すように、θxが25°〜30°の範囲内、又は、40°〜45°の範囲内のときは、撮像画像において、圧痕46の輪郭を認識できるものの、この輪郭の明視野部が小さかった。このことから、検査対象物の形状変化に追従できなかった。
これに対し、θxが30°〜40°の範囲内では、撮像画像において、圧痕46の輪郭の明視野部が大きくなり、明確に圧痕46の有無を判別できた。
このことから、θxが30°〜40°の範囲内では、検査対象物の形状が変化しても、確実に圧痕46を認識できることがわかった。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法によれば、同軸落射照明と斜方照明とを同時に点灯させて検査対象物の被検査面に光を照射することにより、その被検査面を撮像した画像において、被検査面における欠陥部分以外の面を均一に表すとともに、欠陥部分(凹部及び凸部)のエッジ部分を明視野に見せることができる。これにより、欠陥部分の形状が凹状又は凸状のいずれであっても、それらを確実に検出することができる。
また、同軸落射照明及び斜方照明から照射される光を白色光としたことにより、被検査面における欠陥部分以外の面をより均一に表すことができる。これにより、光透過性を有しないものや低いもの、表面に光沢を有するシートなどについても検査対象物とすることができる。
【0070】
さらに、検査対象物を製造する工程において、本実施形態の凹凸検査システムを用いて、その検査対象物における平面上の凹凸の有無を検査することにより、凹凸部が確実に検出されることから、その凹凸部が検出されないといった誤判定が減少するとともに、不良品が看過されて出荷される事態を回避でき、かつ、次の工程を行う前に不良品を排除できることから、製造効率を向上させることができる。
【0071】
以上、本発明の凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る凹凸検査システム、凹凸検査方法及びシート製造方法は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、図1においては、光学系が一つのみ設けられているが、一つに限るものではなく、複数設けることもできる。この場合、画像処理手段は、複数の光学系から送られてきた撮像画像のそれぞれに所定の処理を施し、それら画像ごとに凹凸(圧痕)の有無を判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、被検査面の撮像画像における凹凸の有無を検査する技術に関するものであるため、凹凸の有無を検査する装置や機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 凹凸検査システム
2 光学系
21(21−1、21−2) 斜方照明
22 同軸落射照明
23 撮像手段
3 画像処理手段
31 画像処理部
32 判定部
33 結果出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の被検査面に対して光を照射し、その反射光を利用して前記被検査面の凹凸を検査する凹凸検査システムであって、
前記被検査面に対向する位置に配置されて当該被検査面に光を照射する同軸落射照明と、
前記被検査面に対して斜め方向から光を照射する斜方照明とを用いて光を照射し、その被検査面を撮像して得られた画像にもとづいて凹凸の有無を検査する
ことを特徴とする凹凸検査システム。
【請求項2】
前記同軸落射照明及び/又は前記斜方照明から照射される光が白色光であり、かつ、前記同軸落射照明から照射される光が、波長域400〜500nmの範囲内におけるいずれかの波長が遮光された光である
ことを特徴とする請求項1記載の凹凸検査システム。
【請求項3】
前記斜方照明からの光の照射方向と前記被検査面との間の角度θxが25°〜45°の範囲内であり、
前記被検査面を上方から見たときにおける、前記斜方照明からの光の照射方向と、前記斜方照明の照射方向に相対的に前記検査対象物が被検査の前後に移動する方向との間の角度θyが0°〜10°の範囲内であり、
前記相対的に移動する方向から前記被検査面を見たときにおける、前記斜方照明に設けられた複数の発光体の配置方向と、前記被検査面に沿って延長した線との間の角度θzが0°〜15°の範囲内、又は、前記複数の発光体の配置方向と前記被検査面とが平行である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の凹凸検査システム。
【請求項4】
前記被検査面に形成された凸部の高さ又は凹部の深さが周囲に対して+1〜50μmの高さ又は−1〜50μmの深さであり、前記凸部又は凹部の径が50〜500μmである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の凹凸検査システム。
【請求項5】
前記凸部又は凹部の形状が、円形、楕円形、又は、多角形である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の凹凸検査システム。
【請求項6】
検査対象物の被検査面における凹凸の有無を検査する凹凸検査方法であって、
凹凸検査システムに備えられた同軸落射照明及び斜方照明から前記被検査面に対して光を照射する工程と、
前記被検査面を撮像手段で撮像し、得られた撮像画像にもとづいて前記凹凸の有無を検査する工程とを有し、
前記凹凸検査システムが、前記請求項1〜5のいずれかに記載の凹凸検査システムからなる
ことを特徴とする凹凸検査方法。
【請求項7】
シート状の対象物に対し、所定の順序で所定の加工を実行するシート製造方法であって、
前記対象物の被検査面上における凹部又は凸部の有無を検査する検査工程と、
前記被検査面に前記凹部又は凸部が有ることが前記検査工程で発見されると、前記対象物に対して所定の文字又は記号を検出マークとして記載するマーキング工程とを有し、
前記凹部又は凸部の有無の検査が、前記請求項1〜5のいずれかに記載の凹凸検査システムを用いて実行される
ことを特徴とするシート製造方法。
【請求項8】
前記対象物は、ICカードの中間層が複数形成されたシートからなり、
前記シート製造方法は、前記シートを前記中間層ごとに切断する切り抜き工程と、
切断された前記中間層のうち前記検出マークが記載されたものを不良品として排除する排除工程とを有した
ことを特徴とする請求項7記載のシート製造方法。
【請求項1】
検査対象物の被検査面に対して光を照射し、その反射光を利用して前記被検査面の凹凸を検査する凹凸検査システムであって、
前記被検査面に対向する位置に配置されて当該被検査面に光を照射する同軸落射照明と、
前記被検査面に対して斜め方向から光を照射する斜方照明とを用いて光を照射し、その被検査面を撮像して得られた画像にもとづいて凹凸の有無を検査する
ことを特徴とする凹凸検査システム。
【請求項2】
前記同軸落射照明及び/又は前記斜方照明から照射される光が白色光であり、かつ、前記同軸落射照明から照射される光が、波長域400〜500nmの範囲内におけるいずれかの波長が遮光された光である
ことを特徴とする請求項1記載の凹凸検査システム。
【請求項3】
前記斜方照明からの光の照射方向と前記被検査面との間の角度θxが25°〜45°の範囲内であり、
前記被検査面を上方から見たときにおける、前記斜方照明からの光の照射方向と、前記斜方照明の照射方向に相対的に前記検査対象物が被検査の前後に移動する方向との間の角度θyが0°〜10°の範囲内であり、
前記相対的に移動する方向から前記被検査面を見たときにおける、前記斜方照明に設けられた複数の発光体の配置方向と、前記被検査面に沿って延長した線との間の角度θzが0°〜15°の範囲内、又は、前記複数の発光体の配置方向と前記被検査面とが平行である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の凹凸検査システム。
【請求項4】
前記被検査面に形成された凸部の高さ又は凹部の深さが周囲に対して+1〜50μmの高さ又は−1〜50μmの深さであり、前記凸部又は凹部の径が50〜500μmである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の凹凸検査システム。
【請求項5】
前記凸部又は凹部の形状が、円形、楕円形、又は、多角形である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の凹凸検査システム。
【請求項6】
検査対象物の被検査面における凹凸の有無を検査する凹凸検査方法であって、
凹凸検査システムに備えられた同軸落射照明及び斜方照明から前記被検査面に対して光を照射する工程と、
前記被検査面を撮像手段で撮像し、得られた撮像画像にもとづいて前記凹凸の有無を検査する工程とを有し、
前記凹凸検査システムが、前記請求項1〜5のいずれかに記載の凹凸検査システムからなる
ことを特徴とする凹凸検査方法。
【請求項7】
シート状の対象物に対し、所定の順序で所定の加工を実行するシート製造方法であって、
前記対象物の被検査面上における凹部又は凸部の有無を検査する検査工程と、
前記被検査面に前記凹部又は凸部が有ることが前記検査工程で発見されると、前記対象物に対して所定の文字又は記号を検出マークとして記載するマーキング工程とを有し、
前記凹部又は凸部の有無の検査が、前記請求項1〜5のいずれかに記載の凹凸検査システムを用いて実行される
ことを特徴とするシート製造方法。
【請求項8】
前記対象物は、ICカードの中間層が複数形成されたシートからなり、
前記シート製造方法は、前記シートを前記中間層ごとに切断する切り抜き工程と、
切断された前記中間層のうち前記検出マークが記載されたものを不良品として排除する排除工程とを有した
ことを特徴とする請求項7記載のシート製造方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図2】
【図9】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図2】
【図9】
【公開番号】特開2012−168108(P2012−168108A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30919(P2011−30919)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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