説明

凹凸補正用化粧料

【課題】既存のメーキャップ化粧料を用いても補正することが困難な皮膚上の大きな凹凸を穴埋め効果により補正することができ、さらに、使用性(べたつかない)、仕上がり感(適度なマット感)に優れた凹凸補正用化粧料を提供する。
【解決手段】(a)固型ワックスを5〜45質量%、(b)油ゲル化剤を0.1〜5質量%、および(c)弾性粉末(例えば、シリコーン樹脂粉末、ウレタン樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、等)を15〜55質量%含有する凹凸補正用化粧料。さらに(d)炭化水素油、エステル油、および植物油の中から選ばれる1種または2種以上の不揮発性油分を55質量%以下の割合で配合してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な原因により形成された皮膚上の凹凸等を覆って平滑化し、視覚的に、あたかもその凹凸等が存在しないように補正するための凹凸補正用化粧料に関する。本発明は特に、皮膚の小さな毛穴等による微小な凹凸の補正よりはむしろ、皮膚上の大きな凹凸を補正するために好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
メーキャップ化粧料の役割として最も大きな役割の一つに、外観を美しく見せる「美的役割」がある。この美的役割は、例えば、皮膚の小さな毛穴や皺などによる微小な凹凸を補正して平滑化したり、皮膚の色を補正したりすることにより果たされることが通常である。従来、油分と粉末成分とを組み合せた凹凸補正用化粧料が種々提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
しかしながら、既存のメーキャップ化粧料を用いても補正することが困難な皮膚上の凹凸等が少なからず存在する。例えば、(i)ニキビ等によりクレーター状ともいえるほど皮膚上の凹凸が顕著になった場合、(ii)熱傷によるケロイド跡や植皮跡、(iii)手術跡、(iv)深い皺、(v)深い傷跡、(vi)大きな毛穴や皺、などは、既存のメーキャップ化粧料で補正することは困難である。上記特許文献1〜4中、特許文献1に記載の技術は、特定粘度以下のシリコーン油と粉末成分を組合せることで、塗膜を厚膜に形成して大きな凹凸を補正するという技術であるが、特許文献2〜4に記載の技術はいずれも、おもに皮膚の小さな毛穴等による微小な凹凸の補正を目的としたものであり、塗膜を厚膜に形成することができず、上記(i)〜(vi)のような皮膚上の大きな凹凸の補正には適さないものであった。そのため、これら皮膚上の大きな凹凸を補正することができ、かつ、使用性、仕上がり感にも優れる化粧料の開発が求められていた。
【0004】
なお、特許文献5に記載のスキンケア用油性化粧料は、本発明化粧料に近い組成の油性化粧料であるが、該スキンケア用油性化粧料では厚い塗膜を形成することができず、本発明のような皮膚上の大きな凹凸の補正はできない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−60445号公報
【特許文献2】特開平9−227332号公報
【特許文献3】特開2001−2530号公報
【特許文献4】特開2005−336161号公報
【特許文献5】特開2005−247808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、既存のメーキャップ化粧料を用いても補正することが困難な皮膚上の大きな凹凸を穴埋め効果により補正することができ、さらに、使用性(皮膚へののび、べたつかない)、仕上がり感(適度なマット感)に優れた凹凸補正用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために本発明は、(a)固型ワックスを5〜45質量%、(b)油ゲル化剤を0.1〜5質量%、および(c)弾性粉末を15〜55質量%含有する、凹凸補正用化粧料を提供する。
【0008】
また本発明は、(c)成分がシリコーン樹脂粉末、ウレタン樹脂粉末、およびポリアミド樹脂粉末の中から選ばれる1種または2種以上である、上記凹凸補正用化粧料を提供する。
【0009】
また本発明は、さらに(d)炭化水素油、エステル油、および植物油の中から選ばれる1種または2種以上の不揮発性油分を55質量%以下含有する、上記凹凸補正用化粧料を提供する。
【0010】
また本発明は、37℃におけるレオメータ測定値による硬度が40〜180(測定条件:感圧軸直径5.6mm、針入スピード2cm/min、針入長3mm、負荷重2kg、不動工業(株)製レオメータ)である、上記凹凸補正用化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、既存のメーキャップ化粧料を用いても補正することが困難な皮膚上の大きな凹凸を穴埋め効果により補正することができ、さらに、使用性(皮膚へののび、べたつかない)、仕上がり感(適度なマット感)に優れた凹凸補正用化粧料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳述する。
【0013】
本発明に用いられる(a)成分としての固型ワックスは、通常化粧料で用いられるものであれば特に限定されるものでなく、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス;オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;カルナバロウ、キャンデリラロウ、蜜ロウ、ラノリン等の天然ワックス;ポリエチレンワックス、硬化ヒマシ油、フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックスなど、常圧で融点が50℃程度以上のものが例示される。ただし、これら例示に限定されるものではない。本発明では中でもマイクロクリスタリンワックスが好ましく用いられ、特にはマイクロクリスタリンワックスのみ、あるいはマイクロクリスタリンワックスを主成分として他の固型ワックスとを併用するのが好ましい。マイクロクリスタリンワックスの(a)成分中に占める配合量割合(質量比)は、(a)成分全量に対し0.6程度以上とするのが好ましく、より好ましくは0.7以上である。(a)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0014】
(a)成分の配合量は、本発明化粧料全量中に5〜45質量%であり、好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは25〜40質量%である。配合量が5質量%未満では厚膜の形成性に劣り、一方、45質量%超では、厚膜の形成性、皮膚へののばしやすさに劣る。
【0015】
(b)成分としての油ゲル化剤は、通常化粧料で用いられるものであれば特に限定されるものでなく、例えばジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンキシリトール、パラメトキシベンジリデンソルビトール等のベンズアルデヒド類と5価以上のアルコールとの縮合物;ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸;ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド、ラウロイルグルラミン酸ステアリルアミド、ジカプロイルリジンラウリルアミン塩、ジカプロイルリジンラウリルエステル、ジカプロイルリジンラウロイルフェニルアラニンラウリルアミド等のN−アシルアミノ酸のアミド、エステル、アミン塩等の誘導体等;エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル;12−ヒドロキシステアリン酸;グリセリンとベヘン酸及びエイコサン二酸からなる混合脂肪酸を縮合して得られるオリゴマー等が例示されるが、これら例示に限定されるものではない。中でもデキストリン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。該エステルに用いられる脂肪酸は炭素原子数8〜24のものが好ましい。デキストリン脂肪酸エステルは、例えば「レオパール」シリーズ(千葉製粉(株)製)等として市販されており、これらを好適に用いることができる。
【0016】
(b)成分の配合量は、本発明化粧料全量中に0.1〜5質量%であり、好ましくは0.2〜3質量%である。配合量が上記範囲を逸脱すると、厚膜の形成性、皮膚へののばしやすさに劣る。
【0017】
(c)成分の弾性粉末は、JIS K6301に記載されているスプリング式硬さ試験における硬さ(「JIS硬さ」)が40〜80である粉末をいう。(c)成分として、具体的には、シリコーン樹脂粉末、ウレタン樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、アクリル系ゴム、ポリオレフィン系ゴム、ポリエステル系ゴム等が挙げられる。本発明では特に、シリコーン樹脂粉末、ウレタン樹脂粉末、およびポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)の中から選ばれる1種または2種以上の樹脂粉末が好ましく用いられる。
【0018】
シリコーン樹脂粉末としては、例えば(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー〔市販品として、例えば「KSP−100」、「KSP−101」、「KSP−102」、「KSP−105」等(いずれも信越化学工業(株)製)〕、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー〔市販品として、例えば「トレフィルE−506S」、「トレフィルE−508」等(いずれも東レ・ダウコーニング(株)製)、「KM−9729」(信越化学工業(株)製〕等の架橋型シリコーン樹脂粉末や、ポリメチルシルセスキオキサン粉末〔市販品として、例えば「KMP−590」(信越化学工業(株)製)〕、オルガノポリシロキサンエラストマー粉末〔市販品として、例えば「トレフィルE−701」(東レ・ダウコーニグ・シリコーン(株)製)〕、真球状シリコーン樹脂微粒子〔市販品として、例えば、「トスパール120」、「トスパール145A」等(いずれも(株)タナック製)〕などが挙げられる。また(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーの水分散体である「BY29−119」、「BY29−129」(いずれも東レ・ダウコーニング(株)製)等を用いることも可能である。
【0019】
ウレタン樹脂粉末としては、例えば「プラスティックパウダーD−400」(東色ピグメント(株)製)等が挙げられる。
【0020】
ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)としては、例えば「ナイロンSP−20」(東レ・ダウコーニグ・シリコーン(株)製)等が挙げられる。
【0021】
(c)成分の配合量は、本発明化粧料全量中に15〜55質量%であり、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは20〜35質量%である。配合量が15質量%未満では厚膜の形成性、べたつきのなさ、適度なマットな仕上がり感等の効果を得ることができず、一方、55質量%超ではのばしやすさに劣る。
【0022】
本発明では(c)成分に代えて他の粉末成分を用いた場合、本発明効果を得ることができない。例えば後掲の実施例欄に示すように、(c)成分の代わりにポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、球状シリカを用いた場合、塗膜として十分な厚膜を形成することができなかった。
【0023】
上記(a)〜(c)成分を含む本発明化粧料は、塗膜を厚膜形成することができ、しかも塗膜がのばしやすいという効果を奏することから、例えば、熱傷によるケロイド跡や植皮跡、手術跡、深い皺や傷跡など、既存のメーキャップ化粧料を用いても補正することが困難であった皮膚上の大きな凹凸を容易かつ簡便に穴埋め補正して、平坦・平滑にすることができる。さらに本発明化粧料は、皮膚へののびがよく、べたつきがなく、適度なマット感のある仕上がり効果を有する。
【0024】
本発明ではさらに、(d)成分として炭化水素油、エステル油、および植物油の中から選ばれる1種または2種以上の不揮発性油分を配合することができる。(d)成分を配合することにより、皮膚へののびをより向上させることができる。ここで不揮発性油分は、常温(25℃)で揮発することのない液状油分をいう。かかる不揮発性油分としては、流動パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマーなどの炭化水素油;2−エチルヘキサン酸トリグリセリド、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール、2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチルなどのエステル油;ホホバ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、綿実油、茶実油、サフラワー油、米糠油などの天然系植物油などが例示されるが、これら例示に限定されるものでないことはもちろんである。これら不揮発性油分は1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
(d)成分を配合する場合、その配合量は55質量%以下とする必要があり、好ましくは50質量%以下である。配合量が55質量%超では仕上がりがべたつく傾向がみられる。なお配合量の下限好適値は特に限定されるものでないが、(d)成分の配合効果を十分に発揮させるためには5質量%程度以上とするのが好ましい。
【0026】
本発明の凹凸補正用化粧料は、37℃におけるレオメータ測定値による硬度が40〜180(測定条件:感圧軸直径5.6mm、針入スピード2cm/min、針入長3mm、負荷重2kg、不動工業(株)製レオメータ)であるのが好ましく、より好ましくは60〜100である。上記硬度が40未満では塗膜を厚膜に形成するのが難しく、一方、180超では、硬すぎて容器内に収容した凹凸補正用化粧料を指で取りづらくなるという点で作業性に劣り、また塗布時、皮膚へののばしやすさに劣り、塗布後には密着性が低下し剥がれやすくなる傾向がみられる。
【0027】
なおレオメータ硬度(γ)は一般に、以下の式で定義される。
【0028】
γ={(G×L)/(l×a)}(10μN/cm2
【0029】
(式中、G:測定応力(gr)×9800μN、L:サンプルの厚み(mm)、l:圧縮距離(mm)、a:針の断面積(cm2)を示す。)
【0030】
上記レオメータ測定値による上記硬度は、用いる配合成分や、それら成分の配合量を多くしたり低くしたりすることで、調整することができる。例えば、ワックス類や粉末の量を増加する等の方法により硬度を高めたり、あるいはワックス類や粉末の量を減量する等の方法により硬度を低めたりする方法が挙げられる。
【0031】
なお本発明化粧料には、本発明効果を損なわない範囲において、上記(a)成分、(d)成分以外の油分も配合することができる。このような油分として、例えば、不揮発性シリコーン油、揮発性油分、高級アルコール、高級脂肪酸、常温で液状でない固型油脂〜半固型油脂(ただし上記(a)成分としての固型ワックスを除く)等が挙げられるが、これら例示に限定されるものでないことはもちろんである。
【0032】
上記不揮発性シリコーン油としては、例えば、ジメシルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のアルキルアリールポリシロキサン、ジアリールポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン等が挙げられる。
【0033】
上記揮発性油分としては、低沸点(常圧における沸点260℃以下)イソパラフィン系炭化水素油や、低沸点シリコーン油(鎖状シリコーン油、環状シリコーン油(シクロメチコン)など)等が挙げられる。
【0034】
上記高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコールなどの直鎖アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの分枝鎖アルコール等が例示される。
【0035】
上記高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が例示される。高級アルコールを配合することによって、油性化粧料の指取れ性向上、のびの向上を効果的に図ることができる。
【0036】
上記固型脂〜半固型脂(ただし上記(a)成分としての固型ワックスを除く)としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固型油脂や、ワセリン、アルキル変性シリコーン、異性化ホホバオイル等の半固型油脂が例示される。
【0037】
本発明化粧料には、さらに他の添加成分として、通常化粧料に配合し得る添加成分、例えば、界面活性剤、低級アルコール(エタノール等)、保湿剤、冷感剤、制汗剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、粉体((c)成分以外)、増粘剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、ビタミン類、血行促進剤、美白剤、皮膚賦活剤、薬効成分、動植物からの抽出物、色素、香料等を、本発明効果を損なわない範囲において任意に添加し得る。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0038】
本発明凹凸補正用化粧料は、クリーム状〜ゲル状〜半固型状〜固型状の剤型とすることができる。
【0039】
本発明凹凸補正用化粧料は、上記の必須成分、および場合によっては上記の任意添加成分を、ニーダー、ローラー、ミキサー等を駆使して混合、混練等することにより、所望する粘稠なペーストとして製造することができる。
【0040】
本発明凹凸補正用化粧料は、化粧料の分野においてはもちろんのこと、医療分野や特殊メーキャップ分野等において用いることが可能である。化粧料の分野においては、例えば化粧下地的な用途に用いることができる。すなわち、本発明凹凸補正用化粧料をあらかじめ顔上に塗布して皮膚上の凹凸を補正し、その上から通常のメーキャップ化粧料を用いてもよい。あるいは直接メーキャップ化粧料的に用いて、皮膚上の凹凸を補正して、上記の一般的な目的や特別な目的に用いることができる。またコンシーラー等として用いてもよい。本発明化粧料、傷を覆い隠す等の特別な目的に用い得ることから、例えば手術跡や熱傷跡を補正する医療用品として用いることもできる。
【実施例】
【0041】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
【0042】
実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法について説明する。
【0043】
なお以下の各評価試験において、パネルは、火傷跡、傷跡、大きな毛穴、若しくは深い皺のいずれかを顔に有する女性(10名)で構成した。
【0044】
[厚膜の形成性]
凹凸補正用化粧料は、有効に皮膚上の凹凸を補正するために、従来のメーキャップ化粧料等よりも厚い塗膜を形成する必要がある。本実施例では、基準となる塗膜(塗布層)の厚さを2mmに設定して、各試験品(試料)において厚塗りが可能であるか否かを検討した。
すなわち、上記女性パネル(10名)により、各試験品を指で頬に塗布し、2mm以上の厚さに塗布できるかどうかを評価した。
(評価基準)
◎:10名中8名以上が、2mm以上の厚さに塗布することができたと回答
○:10名中5〜7名が、2mm以上の厚さに塗布することができたと回答
△:10名中4〜6名が、2mm以上の厚さに塗布することができたと回答
×:10名中3名以下が、2mm以上の厚さに塗布することができたと回答。
【0045】
[皮膚へののばしやすさ]
上記女性パネル(10名)により、各試験品を指で頬に塗布し、皮膚へののばしやすさについて評価した。
(評価基準)
◎:10名中8名以上が、皮膚へののばしやすさに優れると回答
○:10名中5〜7名が、皮膚へののばしやすさに優れると回答
△:10名中4〜6名が、皮膚へののばしやすさに優れると回答
×:10名中3名以下が、皮膚へののばしやすさに優れると回答。
【0046】
[べたつきのなさ]
上記女性パネル(10名)により、各試験品を指で頬に塗布し、べたつきのなさについて評価した。
(評価基準)
◎:10名中8名以上が、べたつきがないと回答
○:10名中5〜7名が、べたつきがないと回答
△:10名中4〜6名が、べたつきがないと回答
×:10名中3名以下が、べたつきがないと回答。
【0047】
[適度なマット感のある仕上がり]
上記女性パネル(10名)により、各試験品を指で頬に塗布し、適度なマット感のある仕上がりとなったかどうかについて評価した。
(評価基準)
◎:10名中8名以上が、適度なマット感のある仕上がりとなったと回答
○:10名中5〜7名が、適度なマット感のある仕上がりとなったと回答
△:10名中4〜6名が、適度なマット感のある仕上がりとなったと回答
×:10名中3名以下が、適度なマット感のある仕上がりとなったと回答。
【0048】
[実施例1〜10、比較例1〜10]
下記表1〜2に示す組成物を有する化粧料を調製し、これを試料(試験品)として、上記評価基準に従って、厚膜形成性、使用性(皮膚へののばしやすさ、べたつきのなさ)、仕上がり感(適度なマット感)について評価した。結果を表1〜2に示す。
【0049】
なお表1〜2中、「(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(*1)」は「トレフィルE−506S」(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いた。「(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(*2)」は「KSP−102」(信越化学工業(株)製)を用いた。
【0050】
また、試料の硬度(37℃)測定は、「レオメーターNRM−3002D」(不動工業(株)製))を用いて行った(測定条件:感圧軸直径5.6mm、針入スピード2cm/min、針入長3mm、負荷重2kg)。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
表1〜2に示す結果から明らかなように、本発明凹凸補正用化粧料は、厚膜での塗布が可能で、使用性(皮膚へののばしやすさ、べたつきのなさ)、仕上がり感(適度なマット感)に優れるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の凹凸補正用化粧料は、例えば、熱傷によるケロイド跡や植皮跡、クレーター状ともいえるほど皮膚上の凹凸が顕著な場合や、手術跡、深い皺、深い傷跡など、皮膚上の凹凸が顕著で大きな場合であっても、これら凹凸を、簡便かつ容易に、しかも使用性、仕上がり感良好に補正することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固型ワックスを5〜45質量%、(b)油ゲル化剤を0.1〜5質量%、および(c)弾性粉末を15〜55質量%含有する、凹凸補正用化粧料。
【請求項2】
(c)成分がシリコーン樹脂粉末、ウレタン樹脂粉末、およびポリアミド樹脂粉末の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1記載の凹凸補正用化粧料。
【請求項3】
さらに(d)炭化水素油、エステル油、および植物油の中から選ばれる1種または2種以上の不揮発性油分を55質量%以下含有する、請求項1または2記載の凹凸補正用化粧料。
【請求項4】
37℃におけるレオメータ測定値による硬度が40〜180(測定条件:感圧軸直径5.6mm、針入スピード2cm/min、針入長3mm、負荷重2kg、不動工業(株)製レオメータ)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸補正用化粧料。

【公開番号】特開2010−30971(P2010−30971A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197393(P2008−197393)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】