説明

凹形粒子を含む化粧用組成物

【課題】ケラチン物質の上、特に皮膚の上に良好な滑り性をもって容易に広がり、さらにそれがコンパクトパウダーの形態で提供された場合には、指で又はスポンジを使って容易に取り崩すことができるメークアップ組成物を提供する。
【解決手段】微粉相を含む化粧用組成物であって、該微粉相が、特に中空球体の一部分の形状の凹形粒子及び小板形状粒子を含有する化粧用組成物。該組成物は、ケラチン物質、特に皮膚の上に広げることに関して優れた特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、凹形粒子及び小板形状粒子(以下、単に小板とも記す。)を含む化粧用組成物、特にコンパクトパウダーの形態の組成物に関する。本発明の別の主題は、人のケラチン物質、例えば、皮膚、毛髪、又は爪、特に皮膚、をメークアップ又は手入れするための方法であり、そのケラチン物質に上記組成物を適用することを含む。
【0002】
本発明による組成物は、皮膚をメークアップ又は手入れするための組成物であることができ、さらに、ほお紅、アイシャドウ、フェースパウダー、ファンデーション、コンシーラー、体をメークアップするための製品、顔を手入れするための製品、体を手入れするための製品、又は日焼け止め製品の形で提供されうる。より具体的には、本発明は、ファンデーション組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
メイクアップパウダーは、通常、一方で特に顔料及びフィラーを含む微粉相、及び他方で脂肪質物質を含むバインダーとしての脂肪相を含み、脂肪質物質は、最終製品に密度を与え、メークアップ製品に柔らかさ及びエモリエント性を与え、さらに皮膚へのその付着を促進することを目的とする。
【0004】
いくつかのメークアップ組成物、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、及びほお紅はコンパクトパウダーの形態で提供され、通常、バインダーともよばれる脂肪相、及び特に顔料及び/又はパール光沢剤及び/又はフィラーを含有する微粉相を含む。
【0005】
コンパクトパウダーの調製は、特に衝撃によって引き起こされる分裂を防ぐために最終組成物が充分均一且つ密に詰まったものでなければならないために多くの困難をもたらす。このコンパクトパウダーはまた、使用者がケラチン物質、特に皮膚にこの組成物を適用することを可能にさせるために、容易にとることができなければならない。
【0006】
さらに、パール光沢剤がメークアップ製品中の着色剤として広く用いられる。パール光沢剤は、通常は小板状の形態で提供され、そして、その形状及びその大きさのために、そのメークアップが皮膚に適用された場合にだれた効果を生じ、そのためその製品を適用することを使用者に不快なものにさせ、かつ、皮膚の上を均一にその製品が満足に広がることを助長しない。
【特許文献1】特開2003−128788号公報
【特許文献2】特開2000−191789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、したがって、小板形状粒子を含み、かつ、ケラチン物質の上、特に皮膚の上に良好な滑り性をもって容易に広がり、さらにそれがコンパクトパウダーの形態で提供された場合には、指で又はスポンジを使って容易に取り崩すことができるメークアップ組成物を得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、そのような組成物が、小板形状粒子を凹形粒子と組み合わせることによって得られることを発見した。
【0009】
この組成物はしたがって良好なすべり性を示し、皮膚の表面上に申し分なく分配されたメークアップを得ることを容易にし、そしてそれゆえに皮膚上に均一に分配されたメークアップを得ることを可能にする。さらに、その組成物がコンパクトパウダーの形態である場合は容易に崩れる特性を示し、使用者が、指で又はスポンジを使って、メークアップをするために必要な量の製品を容易に取り崩すことを可能にする。
【0010】
より具体的には、本発明の目的は、化粧用組成物、特にコンパクトパウダーの形態のものであり、微粉相を含み、その微粉相が凹形粒子及び小板形状粒子を含む。
【0011】
本発明の別の目的は、ケラチン物質、特に皮膚に、上で定義した組成物を適用することを含むメークアップ又は非医療処置のための美容プロセスである。
【0012】
本発明による組成物は凹形粒子を含む。これらの粒子は、従って丸みを帯びた内側をもつ表面を有する。
【0013】
上記凹形粒子は、ある材料、特に、オルガノシリコーン物質から作られた中空球体の一部分からなる粒子である。
【0014】
上記凹形粒子は、有利には0.05μm〜10μmの範囲の平均直径を有する。
【0015】
本発明による組成物に用いられる上記の中空球体の一部分は、切り取られた中空球体の形状を持ち、中央の穴と連絡する単一の開口部を示し且つ馬蹄形又は弓形の形状をもつ横断面を有する。
【0016】
上記オルガノシリコーン物質は、3次元構造をもつ架橋されたポリシロキサンであり;それは、式(I):SiOの単位及び式(II):RSiO1.5の単位を好ましくは含み、実際にはまさにそれらから構成される。ここでRはケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を表す。この有機基は反応性有機基又は非反応性有機基であることができ、好ましくは非反応性有機基でありうる。
【0017】
上記非反応性有機基は、C〜Cアルキル基、特に、メチル、エチル、プロピル、若しくはブチル、又はフェニル基、そして好ましくはメチル基でありうる。
【0018】
上記反応性有機基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル、アミノアルキル、又はハロアルキル基、グリセロキシ基、ウレイド基、又はシアノ基であることができる。好ましくは、上記反応性有機基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、又はメルカプトアルキル若しくはアミノアルキル基であることができる。この反応性有機基は通常、2〜6の炭素原子、特に2〜4の炭素原子を含む。
【0019】
エポキシ基としては、2−グリシドキシエチル基、2−グリシドキシプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)プロピル基が挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリロイルオキシ基としては、3−メタクリロイルオキシプロピル基又は3−アクリロイルオキシプロピル基が挙げられる。
【0021】
アルケニル基としては、ビニル、アリル、又はイソプロペニル基が挙げられる。
【0022】
メルカプトアルキル基としては、メルカプトプロピル又はメルカプトエチル基が挙げられる。
【0023】
アミノアルキル基としては、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピル基、3−アミノプロピル基、又はN,N−ジメチルアミノプロピル基が挙げられる。
【0024】
ハロアルキル基としては、3−クロロプロピル基又はトリフルオロプロピル基が挙げられる。
【0025】
グリセロキシ基としては、3−グリセロキシプロピル基又は2−グリセロキシエチル基が挙げられる。
【0026】
ウレイド基としては、2−ウレイドエチル基が挙げられる。
【0027】
シアノ基としては、シアノプロピル又はシアノエチル基が挙げられる。
【0028】
好ましくは、式(II)の単位において、Rはメチル基を表す。
【0029】
有利には、上記オルガノシリコーン物質は、単位(I)/単位(II)のモル比が30/70〜50/50の範囲、好ましくは35/65〜45/55の範囲で、単位(I)及び(II)を含む。
【0030】
上記オルガノシリコーン粒子は、特に以下の:
(a)少なくとも一種の加水分解触媒及び任意に少なくとも一種の界面活性剤の存在下で、式SiXの化合物(III)及び式RSiYの化合物(IV)を水性媒体中へ導入すること(ここでX及びYは、互いに独立して、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシ基を含有するアルコキシエトキシ基、C〜Cアシロキシ基、C〜Cアルキル基を含有するN,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し、かつ、Rはケイ素原子に直接結合した炭素原子を含む有機基を表す);及び
(b)段階(a)で得られた混合物が、少なくとも一種の重合触媒及び任意に少なくとも一種の界面活性剤を含む水性溶液と、30〜85℃の間の温度で、少なくとも2時間接触させられる操作、
を含むプロセスに従って得ることができる。
【0031】
段階(a)は加水分解反応に対応し、段階(b)は縮合反応に対応する。
【0032】
段階(a)では、上記化合物(III)と上記化合物(IV)のモル比が、通常は30/70〜50/50の範囲であり、有利には35/65〜45/55の範囲であり、好ましくは40/60である。水の質量と、化合物(III)及び(IV)の合計量との割合は、好ましくは10/90〜70/30の範囲である。化合物(III)及び(IV)の導入の順序は、通常、それらの加水分解速度により左右される。加水分解反応の温度は、通常、0〜40℃の範囲であり、かつ通常は、化合物の早すぎる縮合を防止するために30℃を超えない。
【0033】
化合物(III)及び(IV)のX及びY基については:
〜Cアルコキシ基としては、メトキシ又はエトキシ基が挙げられ;
〜Cアルコキシ基を含有するアルコキシエトキシ基としては、メトキシエトキシ又はブトキシエトキシ基が挙げられ;
〜Cアシロキシ基としては、アセトキシ又はプロピオニルオキシ基が挙げられ:
〜Cアルキル基を含有するN,N−ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ又はジエチルアミノ基が挙げられ;
ハロゲン原子としては、塩素又は臭素原子が挙げられる。
【0034】
式(III)の化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン、トリブトキシエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラ(ジメチルアミノ)シラン、テトラ(ジエチルアミノ)シラン、シランテトラオール、クロロシラントリオール、ジクロロジシラノール、テトラクロロシラン、又はクロロトリヒドロシランが挙げられる。好ましくは、式(III)の化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、及びそれらの混合物、から選択される。
【0035】
式(III)の化合物は、重合反応の後、式(I)の単位の生成をもたらす。
【0036】
式(IV)の化合物は、重合反応の後、式(II)の単位の生成をもたらす。
【0037】
式(IV)の化合物のR基は、式(II)の化合物についてRとして説明した意味を有する。
【0038】
非反応性有機基Rを含有する式(IV)の化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、フェニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリ(ブトキシエトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリ(ジメチルアミノ)シラン、メチルトリ(ジエチルアミノ)シラン、メチルシラントリオール、メチルクロロジシラノール、メチルトリクロロシラン、又はメチルトリヒドロシラン、が挙げられる。
【0039】
反応性有機基Rを含有する式(IV)の化合物の例としては以下が挙げられる:
エポキシ基を有するシラン類、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、[2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル]トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)ジメチルメトキシシラン;
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン類、例えば、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、又は(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン;
アルケニル基を有するシラン類、例えば、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、又はイソプロペニルトリメトキシシラン;
メルカプト基を有するシラン類、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、又はメルカプトエチルトリメトキシシラン;
アミノアルキル基を有するシラン類、例えば、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピル)トリメトキシシラン、(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、又は(N,N−ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン;
ハロアルキル基を有するシラン類、例えば、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、又はトリフルオロプロピルトリメトキシシラン;
グリセロキシ基を有するシラン類、例えば、(3−グリセロキシプロピル)トリメトキシシラン、又はジ(3−グリセロキシプロピル)ジメトキシシラン;
ウレイド基を有するシラン類、例えば、(3−ウレイドプロピル)トリメトキシシラン、(3−ウレイドプロピル)メチルジメトキシシラン、又は(3−ウレイドプロピル)ジメチルメトキシシラン;
シアノ基を有するシラン類、例えば、シアノプロピルトリメトキシシラン、シアノプロピルメチルジメトキシシラン、又はシアノプロピルジメチルメトキシシラン。
【0040】
好ましくは、反応性有機基Rを含有する式(IV)の化合物は、エポキシ基を有するシラン類、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン類、アルケニル基を有するシラン類、メルカプト基を有するシラン類、又はアミノアルキル基を有するシラン類、から選択される。
【0041】
本発明の実施のために好ましい化合物(III)及び(IV)の例は、それぞれ、テトラエトキシシラン及びメチルトリメトキシシランである。
【0042】
塩基触媒(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、若しくはアミン類(例えば、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、又は水酸化テトラメチルアンモニウム))又は、有機酸(例えば、クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、若しくはドデシルスルホン酸)若しくは無機酸(例えば、塩酸、硫酸、若しくはリン酸)から選択される酸触媒の加水分解及び重合触媒としての使用は独立して行うことができる。触媒が存在する場合に用いられる界面活性剤は、好ましくは、ノニオン若しくはアニオン界面活性剤、又はそれら二種の混合物である。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがアニオン界面活性剤として使用されうる。加水分解の終了は、水に不溶な生成物(III)及び(IV)の消失、並びに均一な液体層の生成によって示される。
【0043】
縮合段階(b)は、上記加水分解段階と同じ触媒、又は上述したものから選択される別の触媒を使用しうる。
【0044】
このプロセスの結果、細かなオルガノシリコーン粒子の水中分散液が得られ、その粒子は任意にその媒体からその後分離しうる。上述したプロセスは、従って、段階(b)から得られる生成物の例えばメンブランフィルター上での追加の濾過の段階を含むことができ、任意に濾液を遠心分離する段階が後に続き、液体媒体から粒子を分離するためであり、さらに次にその粒子を乾燥する段階が後に続きうる。その他の分離法ももちろん使用されうる。
【0045】
得られた粒子(又は中空球体)は、好ましくは0.05〜10μmの範囲の平均直径を有する。
【0046】
上のプロセスに従って得られた中空球体の一部分の形状及びそれらの大きさは、特に生成物を段階(b)における接触に至らせるために用いた方法に左右される。
【0047】
いくらか塩基性のpH且つ冷たい条件下における、段階(a)から得られる混合物中への重合触媒の導入は、結果として丸底の「ボウル」の形状をもった、中空球体の一部分となるが、いくらか酸性のpH且つ段階(a)から得られる混合物の熱い重合触媒中への滴下導入は、「馬蹄形」の形状をもった横断面を有する、中空球体の一部分、という結果をもたらす。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、「ボウル」の形状をもった、中空球体の一部分が用いられる。それらは、特開2003−128788号公報に開示されているようにして得ることができる。
【0049】
馬蹄形の形状をもつ、中空球体の一部分もまた、特開2000−191789号公報に開示されている。
【0050】
ボウルの形状をもつ、球体の一部分を形成する凹形粒子は、添付図中に横断面で図示される。
【0051】
この図から明らかなように、これらの凹形部分は、(縦断面において)小さな内側の弧(11)、大きな外側の弧(21)、及びそれぞれの弧の終端を結合するセグメント(31)から形作られており、小さな内側の弧(11)の2つの終端間の幅(W1)は平均で0.01〜8μmの範囲、好ましくは0.02〜6μmであり、大きな外側の弧(21)の2つの終端間の幅(W2)は平均で0.05〜10μm、好ましくは0.06〜8μmであり、且つ大きな外側の弧(21)の高さ(H)は平均で0.015〜8μm、好ましくは0.03〜6μmである。
【0052】
上述した大きさは、走査型電子顕微鏡によって得られた画像上で選択した100個の粒子の大きさの平均を計算することによって得られる。
【0053】
本発明で用いられうる球体の一部分の凹形粒子としては、以下のものが挙げられる:
ボウル形で、幅2.5μm、高さ1.2μm、及び厚さ150nmをもつ、Takemoto Oil & Fat社の架橋型オルガノシリコーンTAK−110(架橋されたメチルシラノール/シリケートポリマー)から作られた粒子(Takemoto Oil & Fat社からNLK−506として販売されている粒子);
ボウル形で、幅2.5μm、高さ1.5μm、及び厚さ350nmをもつ、Takemoto Oil & Fat社の架橋型オルガノシリコーンTAK−110(架橋されたメチルシラノール/シリケートポリマー)から作られた粒子;
ボウル形で、幅0.7μm、高さ0.35μm、及び厚さ100nmをもつ、Takemoto Oil & Fat社の架橋型オルガノシリコーンTAK−110(架橋されたメチルシラノール/シリケートポリマー)から作られた粒子;
ボウル形で、幅7.5μm、高さ3.5μm、及び厚さ200nmをもつ、Takemoto Oil & Fat社の架橋型オルガノシリコーンTAK−110(架橋されたメチルシラノール/シリケートポリマー)から作られた粒子。
【0054】
凹形粒子、特に中空球体の一部分である粒子を、本発明による組成物中、特にコンパクトパウダー中に、組成物の全質量に対して0.01質量%〜50質量%の範囲、好ましくは0.1質量%〜30質量%の範囲、好ましくは1質量%〜15質量%の範囲の含有量で存在させることができる。
【0055】
「小板」の語は、本特許出願によれば、3つの大きさ、すなわち長さ、幅、及び高さによって特徴づけられる形状をもつ粒子であり、厚さについていえば、厚さに対する前記最大の大きさの比が5以上である。
【0056】
本発明の意味において、「小板(粒子)の最大の大きさ」の用語の意味は、その小板がその中にはまる球の直径を意味すると理解される。
【0057】
小板形状粒子は、平行六面体(長方形又は正方形表面)、ディスク状(円形表面)、又は長円状(楕円表面)の形でありえる。
【0058】
上記小板は、無機物質の小板から選択されうる。特に、上記小板は、マイカ、セリサイト、ガラス(特にカルシウムボロシリケート)、シリカ、酸化アルミニウム、又は硫酸バリウムの小板から選択されうる。
【0059】
上記小板は表面処理されることができ、特に金属又は金属酸化物の層で被覆されることができる。
【0060】
金属としては、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、錫、マグネシウム、及びそれらの混合物(合金類)、が挙げられる。好ましくは、銀、クロム、ニッケル、モリブデン、及びそれらの混合物が用いられる。
【0061】
金属酸化物としては、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、又は酸化クロム、そして好ましくは二酸化チタン、が挙げられる。
【0062】
小板として特に使用されるものは以下の:
− Sciama社によって「Mica Concord 1000」の名称で、Cardre社によって「Cardre Mica 8」の名称で、Eckart社によって「Mica 40」の名称で、Topy社によって「PDM-20 L」及び「PDM-40 L」の名称で販売されているマイカ小板;
− Sanshin Mining社によって「Sericite FS」及び「Sericite FSE」の名称で、Miyoshi社によって「NAI-S-100」及び「Sericite S-152」の名称で、並びにTopy社によって「Synthetice FNK-100」の名称で販売されているセリサイト小板;
− Asahi社によって「Luxelen FAO」の名称で販売されている、酸化アルミニウム小板;
− Nippon Sheet Glass社から「TSG 30A Flake」、「PTSG 30 A Flake」、及び「Silica Flake SG」の名称で販売されているシリカ小板;
− Sakai Chemical社から「Flake shaped Barium sulphate」の名称で販売されている硫酸バリウム小板;
− Engelhard社によって「Flamenco」、「Duochrome」、及び「Cloisonne」の名称で、Merck社によって「Timiron」の名称で販売されている、二酸化チタンで被覆されたマイカ小板;
− Nihon Koken社から「Prominence」の名称で、Sun Chemical社から「Sunshine」の名称で販売されている、二酸化チタンで被覆された合成マイカ小板;
− Merck社から「Xirona silver」及び「Xirallic」の名称で販売されている、二酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム小板;
− Merck社から「Colorstream」及び「Xirona」の名称で販売されている、二酸化チタンで被覆されたシリカ小板;
− 金属層で被覆されたガラス小板;例えば、Toyal社から「Microglass Metashine REFSX 2025 PS」及び「同GF 2140」の名称で販売されている、銀で被覆された粒子、並びにToyal社から「Crystal star GF 550」及び「同GF 2525」の名称で販売されている、ニッケル/クロム/モリブデンの合金で被覆された粒子、が用いられうる;
− Engelhard社によって「Reflecks」の名称で販売されている、二酸化チタンで被覆されたガラス小板;
− Nihon Koken社によって「Silseem」の名称で販売されている、二酸化チタンで被覆されたタルク小板、
である。
【0063】
上記小板はまた、疎水処理剤で表面処理されることができる。
疎水処理剤は、メチコーン類及びジメチコーン類などのシリコーン類、パーフルオロアルキルシラン類、ステアリン酸などの脂肪酸類、アルミニウムジミリステート又は水素化獣脂グルタメートのアルミニウム塩などの金属石鹸類、パーフルオロアルキルホスフェート類、パーフルオロアルキルシラン類、パーフルオロアルキルシラザン類、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)類、パーフルオロアルキルパーフルオロポリエーテル基を含有するポリオルガノシロキサン類、アミノ酸類、N−アシル化アミノ酸類又はそれらの塩類、レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、及びそれらの混合物、から選択されうる。
【0064】
上記N−アシル化アミノ酸類は、8〜22の炭素原子を有するアシル基、例えば、2−エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はココイル基、を含むことができる。これらの化合物の塩は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、ナトリウム、又はカリウム塩であることができる。上記アミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン酸、又はアラニンであることができる。
【0065】
上述した化合物中に示される「アルキル」の語は、特に1〜30の炭素原子、好ましくは5〜16の炭素原子、を有するアルキル基を意味する。
【0066】
疎水処理された顔料は、特に、欧州特許出願公開EP−A−1086683号明細書に開示されている。
【0067】
上記小板はまた、平らな繊維であることができる。
「繊維」の語は、LがDよりもずっと大きな、長さL及び直径Dを有する物を意味するものとして理解されるべきであり、Dは繊維の断面(横断面)がはまる円の直径である。特に、L/D比(又はアスペクト比)は、5〜2500、好ましくは5〜500、さらに好ましくは5〜150の範囲内で選択される。
【0068】
「平らな繊維」の語は、最大長L1及び最小長L2(L2はその繊維の厚さに相当する)を示す横断面(その繊維の長さ方向の軸に垂直な断面)をもち、L1/L2(比L1/L2はまた平坦化因子として公知である)が4以上、好ましくは7より大きい繊維を意味すると理解される。特に、L1/L2は4〜15、好ましくは6〜12、さらに好ましくは7〜10の範囲である。したがって、上記繊維の横断面は平らな形状を示す。有利には、最大長L1及び最小長L2がそれぞれ軸X1及びX2を定義し、そして軸X1が軸X2に対して実質的に垂直となる。最大長L1は、上で示したように繊維の直径Dに相当する。したがって、平らな繊維は、リボン又はタリアテッレ(tagliatelle)の形で提供されうる。
【0069】
平らな繊維は、特に実質的に長方形、卵形、又は楕円形の横断面を示しうる。
【0070】
本発明の組成物に用いられうる上記繊維は、合成又は生物由来の繊維、さらに特に合成高分子の繊維であることができる。これらは、短いか又は長いことができ、個別化されているか(若しくは単繊維)又は組織化されていることができ(例えば、編まれたもの(若しくは多繊維(マルチフィラメント))、及び中空か又は中空でないことができ、好ましくは中空でない。この繊維がマルチフィラメント繊維である場合、各フィラメントは異なる化学組成を有することができ、さらに異なる色を示すことができる:したがって、異なる色を示すマルチフィラメント繊維が得られる。特に、それらの端部は怪我を防止するために切れなくされ及び/又は磨かれる。有利には、上記平らな繊維は水に不溶である。
【0071】
上記平らな繊維は、繊維の長さLの軸に沿って捻られることができる。平らな繊維が捻られていない場合、それは特定の視野角内で発色する;この角度の外側では、繊維は色が透明又白色である。捻られた平らな繊維は、その部分については、観測の角度がどのようであろうと、発色する。
【0072】
特に、上記繊維は、1μm〜10mm、好ましくは0.1mm〜5mm、さらに好ましくは0.3mm〜3.5mmの範囲の長さを有する。それらの横断面(平坦な断面)は、2nm〜500μmの範囲、好ましくは100nm〜100μmの範囲、さらに好ましくは1μm〜70μmの範囲の直径をもつ円内に含まれうる。上記繊維の質量又は番手は、しばしばデニール又はデシテックス(decitex)で与えられ且つ9kmの糸当たりのグラムでの質量を表す。好ましくは、本発明による繊維は、0.15〜30デニール、そしてさらに好ましくは0.18〜18デニールの範囲内で選択される番手を有する。
【0073】
上記繊維は、レーヨン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ビスコース、アセテート、特にレーヨンアセテート、ポリ(p−フェニレンテレフタルイミド)(又はアラミド)、特にケブラー(登録商標)、アクリルポリマー、特にポリ(メチルメタクリレート)又はポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリオレフィンそして特にポリエチレン又はポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(例えばテフロン(登録商標))、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレート類又はポリエチレンナフタレート類、又はポリカーボネート、から作られうる。
【0074】
平らな繊維は、特に国際特許出願WO−A−02/41851に開示されており、その内容を本願に援用する。
【0075】
特に、多層構造をもつ平らな繊維が使用でき、それはポリエステル類、アクリルポリマー類、及びポリアミド類、から選択されるポリマー類の交互の層を含み、例えば、欧州特許出願公開EP−A−6921217号明細書、同EP−A−686858号明細書、及び米国特許出願公開US−A−5472798号明細書中に開示されているものである。そのような繊維は、Teijin社から「Morphotex」及び「Teijin Tetron Morphotex」の名称で販売されている。
【0076】
上記小板は、本発明による組成物中に、組成物の全質量に対して1質量%〜99質量%の範囲、好ましくは5質量%〜90質量%、さらに好ましくは10質量%〜80質量%の含有量で存在しうる。
【0077】
好ましくは、上記小板形状粒子及び上記凹形粒子は、小板形状粒子/凹形粒子の質量比が1〜100の範囲となり、好ましくは2〜75の範囲となり、さらに好ましくは5〜50の範囲となるような量で、本発明による組成物中に存在する。
【0078】
有利には、上記凹形粒子、特に、(特にオルガノシリコーン物質で作られた)中空球体の一部分の粒子は、凹形粒子及び小板形状粒子の合計質量に対して1質量%〜50質量%の範囲で、好ましくは2質量%〜45質量%の範囲で、さらに好ましくは5質量%〜40質量%の範囲で、本発明による組成物中に存在する。
【0079】
本発明による組成物は、上述した小板と異なる追加の着色材料を含有することができ、それは特に顔料及びグリッター(光輝く材料)から選択されうる。
【0080】
用語「顔料」は、いずれかの形の、白色又は有色の、無機又は有機粒子であって、生理学的な媒体中に不溶であり、且つその組成物を着色することを目的とするものを意味するとして理解されるべきである。
【0081】
上記顔料は、白色又有色、且つ無機及び/又は有機質でありうる。無機顔料の中では、二酸化チタン、任意に表面処理されたもの、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、(黒、黄、又は赤)酸化鉄、又は酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロミウムハイドレート、フェリックブルー、又は例えばアルミニウム粉末若しくは銅粉末などの金属粉末、を挙げることができる。
【0082】
有機顔料の中では、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、並びにコチニールカーミンをベースにしたレーキ、及びバリウム、ストロンチウム、カルシウム、又はアルミニウムをベースにしたレーキ、を挙げることができる。
【0083】
上記顔料は、組成物の質量に対して0.1質量%〜15質量%の範囲、好ましくは0.5質量%〜12質量%の範囲、さらに好ましくは1質量%〜10質量%の範囲の含有量で、組成物中に存在することができる。
【0084】
本発明による組成物、特にコンパクトパウダーは、有利には、一般にバインダーといわれる液体脂肪相(常温(25℃)で液体)を含むことができる。この液体脂肪相は、コンパクトパウダーに通常用いられるオイルを含有することができる。
【0085】
上記オイルは、コンパクトパウダー中にバインダーとして従来用いられているオイル類から選択できる。用いることができるその追加のオイルのなかでは、ミンクオイル、タートルオイル、大豆油、グレープシードオイル、ゴマ油、トウモロコシ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アボカドオイル、オリーブ油、ひまし油、ホホバ油、又はラッカセイ油;炭化水素油、例えば、流動パラフィン、スクワラン、液体ペトロラタム、又はポリデセン;脂肪族エステル類、例えば、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、イソデシルステアレート、へキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルへキシルパルミテート、2−へキシルデシルラウレート、2−オクチルデシルパルミテート、2−オクチルデシルミリステート、2−オクチルデシルラクテート、ジ(2−エチルへキシル)スクシネート、ジイソステアリルマレート、グリセリルトリイソステアレート、又はジグリセリルトリイソステアレート;シリコーンオイル類、例えば、ポリメチルシロキサン類、ポリメチルフェニルシロキサン類、脂肪酸類で修飾されたポリシロキサン類、脂肪族アルコール類、又はポリオキシアルキレン類、フッ素化シリコーン類又はパーフッ素化油;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、又はイソステアリン酸;又は高級脂肪族アルコール類、例えば、セタノール又はオレイルアルコール、を挙げることができる。
【0086】
上記液体脂肪相は、組成物の全質量に対して、0.1質量%〜13質量%の範囲、好ましくは0.1質量%〜10質量%の範囲、さらに好ましくは0.1質量%〜8質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0087】
本発明の組成物、特にコンパクトパウダーは、上述した小板とは異なる追加のフィラーもまた含むことができる。「フィラー」の語は、その組成物が製造されるいかなる温度でも組成物の媒体に不溶な、無色又は白色且つ無機又は合成粒子を意味するように理解されるべきである。
【0088】
追加のフィラーは、その結晶形(例えば、シート、立方晶系、六方晶系、斜方晶系、その他同様のもの)がどのようなものでも、特に球形又は細長い形状の無機又は有機質である。タルク、マイカ、シリカ、カオリン;ポリイミド(ナイロン(登録商標))から、ポリ−β−アラニンから、及びポリエチレンから作られた粒子;ポリウレタンから作られた粒子、テトラフルオロエチレンポリマー(テフロン(登録商標))から作られた粒子、ラウリルリジン、デンプン、窒化ホウ素;高分子中空微小球体、例えばポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルからなるもの、例えば、エクスパンセル(登録商標)(Nobel Industrie社)、又はアクリル酸コポリマーからなるもの;シリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、Toshiba社のTospearls(登録商標))、ポリオルガノシロキサンエラストマーからなる粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球体、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、又は8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導された金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、又はミリスチン酸マグネシウム、を挙げることができる。
【0089】
上記追加のフィラーは、組成物の全質量に対して、0.1質量%〜90質量%の範囲、好ましくは1質量%〜80質量%の範囲、さらに好ましくは5質量%〜70質量%の範囲で組成物中に存在させることができる。
【0090】
上記組成物は、その他の従来の化粧品用成分を含むことができ、それは特に、抗酸化剤、香料、保存剤、中和剤、界面活性剤、ワックス、サンスクリーン剤、ビタミン、保湿剤、紫外線を浴びずに小麦色にする化合物(セルフタンニング化合物)、又は抗しわ活性成分、から選択されうる。
【0091】
もちろん、当業者は本発明による組成物の有利な特性が、考えていた追加によって不利に影響されないか又は実質的に不利な影響を及ぼされないように、この又はこれらの追加の化合物及び/又はそれらの量を選択することに注意を払う。
【0092】
本発明による組成物は、無水組成物、すなわち、2質量%未満の水、実にさらに0.5質量%未満の水しか含まず、特に水がない組成物であることができ、その水は組成物の調製の間に追加されるのではなく、混合される成分によって持ち込まれた残存水に対応する。
【0093】
上記組成物は、微粉相(オルガノシリコーン粒子、フィラー、及び顔料)の成分を混合し、さらに次に撹拌しつつ脂肪相を添加し、その混合物を続いて粉砕機にかけ、ふるいにかけ、次に受け皿中に流し込み且つ固化することによって調製することができる。
【0094】
粉砕機にかけ且つふるいにかけられた微粉相及び脂肪相の混合物は、加圧機を使用して、特に0.5MPa〜10MPaの範囲、さらに好ましくは1MPa〜5MPaの範囲の圧力をかけることによって固化される。
【0095】
このようにして得られた本組成物は、コンパクトパウダーの形態で提供される。
【0096】
以下に記載する例によって、さらに詳細に本発明を説明する。
【0097】
〔例1〕
以下の組成を有するコンパクトパウダーを調製した:含有量は質量%で表す。
【0098】
【表1】

【0099】
組成物は、全ての粉末を混合し、次にそこへバインダー(オイル)を添加し、続いて均一混合物が得られるまでこの混合物を粉砕機にかけ且つふるいにかけることによって調製した。14gのこの混合物を受け皿中に入れ、さらに次に2MPaの圧力下で加圧した。
【0100】
このようにして、スポンジを使用して容易に崩れるコンパクトパウダーが得られ、さらに取り出されたパウダーは、肌の上で柔らかに良好に滑り且つ広がり、良好な被覆性をもつメークアップを得ることを可能にする。
【0101】
〔例2〕
先の例1で用いたものと同じボウル形の半球形粒子と、Sciama社によって「Mica Concord 1000」の名称で販売されている小板形状マイカとの混合物6種を、様々な質量比で調製した。それぞれの混合物について、Katotech社から「KES-E Friction Tester」の名称で販売されている摩擦計(摩擦係数を測定するための装置)であって25gの質量をもつプローブが備えられ、そのプローブの変位速度が1mm/sの速度に調節された装置を使用して、摩擦係数を測定した。各混合物について、約1mmの厚さをもつ混合物の層を、Nichiban社から「Nistack NW-20」の名称で販売されている両面セロテープ(登録商標)で覆ったスライドグラスの上に広げた。各混合物の摩擦係数を、次に上記装置で測定した:装置のプローブは、スライドグラス状に堆積した混合物の層中をこすりながら移動する。動摩擦係数の平均値は、同一サンプル上でのプローブの2番目及び5番目のパスの間に測定された値の平均値として計算される。以下の結果が得られた:
【0102】
【表2】

【0103】
5〜40質量%のオルガノシリコーン粒子を含む混合物B、C、D、及びEが、混合物A及びFのものよりも低い摩擦係数を示すことを発見した。したがって、小板形状マイカ及び上記オルガノシリコーン粒子の混合物は、単独で用いたそれら各粒子の滑り特性よりも良好な滑り特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は「ボウル」形を有する小板形状粒子の断面図である。
【符号の説明】
【0105】
10…凹形粒子、11…内側の弧、21…外側の弧、31…それぞれの弧の終端を結合するセグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉相を含有する化粧用組成物であって、前記微粉相が、特に中空球体の一部分の形状の凹形粒子及び小板形状粒子を含有する化粧用組成物。
【請求項2】
前記粒子が0.05μm〜10μmの平均直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
中空球体の一部分の形状をもつ前記粒子が、馬蹄形又は弓形の横断面を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
中空球体の一部分の形状をもつ前記粒子が、オルガノシリコーン物質で作られていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記オルガノシリコーン物質が、式(I):SiO、及び式(II):RSiO1.5(式中、Rはケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を表す)の単位を含むか又はこれらの単位からなる3次元構造をもつ架橋されたポリシロキサンであることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機基が反応性有機基又は非反応性有機基、さらに好ましくは非反応性有機基であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記非反応性有機基がC〜Cアルキル基又はフェニル基であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記非反応性有機基がメチル基であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
前記反応性有機基が、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル、アミノアルキル、又はハロアルキル基、グリセロキシ基、ウレイド基、又はシアノ基、から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記反応性有機基が、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、又はメルカプトアルキル若しくはアミノアルキル基、から選択されることを特徴とする請求項6又は9に記載の組成物。
【請求項11】
がメチル基を表すことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
前記オルガノシリコーン物質が、単位(I)/単位(II)のモル比が30/70〜50/50の範囲、好ましくは35/65〜45/55の範囲になるように前記単位(I)及び(II)を含むことを特徴とする、請求項4〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記オルガノシリコーン粒子が、以下の:
(a)少なくとも一種の加水分解触媒及び任意に少なくとも一種の界面活性剤の存在下で、式SiXの化合物(III)及び式RSiYの化合物(IV)を水性媒体中へ導入すること(ここでX及びYは、互いに独立して、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシ基を含有するアルコキシエトキシ基、C〜Cアシロキシ基、C〜Cアルキル基を含有するN,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し、かつ、Rはケイ素原子に直接結合した炭素原子を含む有機基を表す);及び
(b)段階(a)で得られた混合物が、少なくとも一種の重合触媒及び任意に少なくとも一種の界面活性剤を含む水性溶液と、30〜85℃の間の温度で、少なくとも2時間接触させられる操作、
を含むプロセスに従って得ることができることを特徴とする、請求項4〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記段階(a)において、前記化合物(III)と前記化合物(IV)のモル比が30/70〜50/50の範囲であり、好ましくは35/65〜45/55の範囲であり、さらに好ましくは40/60であることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記段階(a)において、前記水の質量と、前記化合物(III)及び(IV)の合計量との質量比が、10/90〜70/30の範囲であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の組成物。
【請求項16】
前記有機基が、反応性有機基又は非反応性有機基、さらに、好ましくは非反応性有機基であることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記非反応性有機基が、C〜Cアルキル基又はフェニル基であることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記非反応性有機基がメチル基であることを特徴とする、請求項13又は17に記載の組成物。
【請求項19】
前記反応性有機基が、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル、アミノアルキル、又はハロアルキル基、グリセロキシ基、ウレイド基、又はシアノ基、から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記反応性有機基が、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、又はメルカプトアルキル若しくはアミノアルキル基、から選択されることを特徴とする、請求項16又は19に記載の組成物。
【請求項21】
前記Rがメチル基を表すことを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項22】
前記加水分解及び前記重合触媒が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、塩酸、硫酸、又はリン酸、から独立して選択されることを特徴とする、請求項13〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記凹形粒子が、(縦方向断面において)小さな内側の弧(11)、大きな外側の弧(21)、及びそれぞれの弧の終端を結合するセグメント(31)から形作られており、前記小さな内側の弧(11)の2つの終端間の幅(W1)は平均で0.01〜8μmの範囲、好ましくは0.02〜6μmであり、前記大きな外側の弧(21)の2つの終端間の幅(W2)は平均で0.05〜10μm、好ましくは0.06〜8μmであり、且つ前記大きな外側の弧(21)の高さ(H)は平均で0.015〜8μm、好ましくは0.03〜6μmであることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記凹形粒子が、組成物の全質量に対して0.01質量%〜50質量%の範囲、好ましくは0.1質量%〜30質量%の範囲、さらに、好ましくは1質量%〜15質量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記小板形状粒子が、厚さに対する最大長の比が5以上となるような最大長及び厚さを有することを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記小板形状粒子が、無機物質の小板形状粒子類から選択されることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記小板形状粒子が、マイカ、セリサイト、ガラス、シリカ、酸化アルミニウム、又は硫酸バリウムから作られた小板形状粒子から選択されることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記小板形状粒子が、金属層又は金属酸化物層で被覆されていることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記金属が、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、錫、マグネシウム、及びそれらの混合物、から選択されることを特徴とする、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記金属酸化物が、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、及びそれらの混合物、から選択されることを特徴とする、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記金属酸化物が二酸化チタンであることを特徴とする、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記小板形状粒子が平らな繊維であることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記平らな繊維が、L/Dが5〜2500、好ましくは5〜500、さらに好ましくは5〜150の範囲内で選択される長さL及び直径Dをもつことを特徴とする、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記繊維が、2nm〜500μmの範囲、好ましくは100nm〜100μmの範囲、さらに好ましくは1μm〜70μmの範囲の直径をもつ円内に含まれる横断面を有することを特徴とする、請求項32又は33に記載の組成物。
【請求項35】
前記平らな繊維が、1μm〜10mm、好ましくは0.1mm〜5mm、さらに好ましくは0.3mm〜3.5mmの範囲の長さLを有することを特徴とする、請求項32〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記平らな繊維が、最大長L1及び最小長L2を示す横断面をもち、L1/L2が4以上、好ましくは7より大きいことを特徴とする、請求項32〜35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記L1/L2が、4〜15、好ましくは6〜12、さらに好ましくは7〜10の範囲であることを特徴とする、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記平らな繊維が、長方形、卵形、又は楕円形の横断面を有することを特徴とする、請求項32〜37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記平らな繊維が、リボン又はタリアテッレの形で提供されることを特徴とする、請求項32〜38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記平らな繊維が、0.15〜30デニール、そしてさらに好ましくは0.18〜18デニールの範囲内で選択される番手を有することを特徴とする、請求項32〜39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記平らな繊維が、高分子で作られた繊維であることを特徴とする、請求項32〜40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記平らな繊維が、レーヨン、ポリアミド、ビスコース、アセテート、特にレーヨンアセテート、ポリ(p−フェニレンテレフタルイミド)、アクリルポリマー、特にポリ(メチルメタクリレート)又はポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリオレフィンそして特にポリエチレン又はポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレート類又はポリエチレンナフタレート類、又はポリカーボネート、で作られた繊維類から選択されることを特徴とする、請求項32〜41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記平らな繊維が、ポリエステル類、アクリルポリマー類、及びポリアミド類、から選択されるポリマー類の交互の層を含む多層構造を有する繊維から選択されることを特徴とする、請求項32〜42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記小板形状粒子が、前記組成物の全質量に対して1質量%〜99質量%の範囲、好ましくは5質量%〜90質量%、さらに好ましくは10質量%〜80質量%の含有量で存在することを特徴とする、請求項1〜43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記小板形状粒子及び前記凹形粒子が、小板形状粒子/凹形粒子の質量比が1〜100の範囲となり、好ましくは2〜75の範囲となり、さらに好ましくは5〜50の範囲となる量で存在することを特徴とする、請求項1〜44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記凹形粒子が、凹形粒子及び小板形状粒子の合計質量に対して1質量%〜50質量%の範囲で、好ましくは2質量%〜45質量%の範囲で、さらに好ましくは5質量%〜40質量%の範囲で存在することを特徴とする、請求項1〜45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物が、前記小板形状粒子とは異なるものであって、顔料及びグリッター、から選択される追加の粉体着色材料を含有することを特徴とする、請求項1〜46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記顔料が、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、又は酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロミウムハイドレート、フェリックブルー、アルミニウム粉末、銅粉末、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、又はレーキ類、から選択されることを特徴とする、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記顔料が、前記組成物の合計質量に対して0.1質量%〜15質量%の範囲、好ましくは0.5質量%〜12質量%の範囲、さらに好ましくは1質量%〜10質量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項47又は48に記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物が、前記小板形状粒子とは異なる追加のフィラーを含有することを特徴とする、請求項1〜49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記追加のフィラーが、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリイミドから作られた粒子、ポリ−β−アラニンから作られた粒子、ポリエチレンから作られた粒子、ポリウレタンから作られた粒子、テトラフルオロエチレンポリマーから作られた粒子、ラウリルリジン、デンプン、窒化ホウ素、高分子中空微小球体、シリコーン樹脂マイクロビーズ、ポリオルガノシロキサンエラストマーから作られた粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球体、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、又は8〜22の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導された金属石鹸、から選択されることを特徴とする、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記追加のフィラーが、組成物の全質量に対して、0.1質量%〜90質量%の範囲、好ましくは1質量%〜80質量%の範囲、さらに好ましくは5質量%〜70質量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項50又は51に記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物が液体脂肪相を含むことを特徴とする、請求項1〜52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記液体脂肪相が、ミンクオイル、タートルオイル、大豆油、グレープシードオイル、ゴマ油、トウモロコシ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アボカドオイル、オリーブ油、ひまし油、ホホバ油、ラッカセイ油、流動パラフィン、スクワラン、液体ペトロラタム、ポリデセン、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、イソデシルステアレート、へキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルへキシルパルミテート、2−へキシルデシルラウレート、2−オクチルデシルパルミテート、2−オクチルデシルミリステート、2−オクチルデシルラクテート、ジ(2−エチルへキシル)スクシネート、ジイソステアリルマレート、グリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルトリイソステアレート、シリコーンオイル類、フッ素化シリコーン類、パーフッ素化油、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、セタノール、オレイルアルコール、から選択されるオイルを含有することを特徴とする、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記液体脂肪相が、前記組成物の全質量に対して、0.1質量%〜13質量%の範囲、好ましくは0.1質量%〜10質量%の範囲、さらに好ましくは0.1質量%〜8質量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項53又は54に記載の組成物。
【請求項56】
前記組成物が、ワックス、保存剤、化粧用活性成分、保湿剤、UVスクリーン剤、増粘剤、水、界面活性剤、又は香料、から選択される化粧品用成分を含むことを特徴とする、請求項1〜55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記組成物がコンパクトパウダーの形態で提供されることを特徴とする、請求項1〜56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記組成物が、頬紅、アイシャドウ、フェイスパウダー、ファンデーション、コンシーラー、体をメークアップするための製品、顔を手入れするための製品、体を手入れするための製品、又は日焼け止め製品の形態であることを特徴とする、請求項1〜57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
請求項1〜58のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質、特に皮膚、に適用することを含む、ケラチン物質、特に皮膚、のメークアップ又は非医療処置のための化粧方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−62374(P2009−62374A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238570(P2008−238570)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【分割の表示】特願2005−76027(P2005−76027)の分割
【原出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】