説明

出力情報処理方法,出力情報処理装置,および出力情報処理プログラム

【課題】 秘匿文字列の入力時に,タイプミスを認識できる処理方法を提供する。
【解決手段】 共有情報管理サーバ3は,ユーザ登録部21が受け付けた基準文字列を取得して記憶する(31,32)。出力情報処理サーバ1は,ユーザ登録部21が受け付けたユーザ識別情報と秘匿文字列とを取得し(11),秘匿文字列と基準文字列との対応する文字間の文字コード差分値を計算し(12),文字コード差分情報として記憶する(13)。入力画面で入力されたユーザ識別情報と,N個目の文字とを受け付け(22,23),受け付けたユーザ識別情報に対応する文字コード差分値を取得し(14),N個目の文字の文字コード値に,文字コード差分情報のN番目の文字コード差分値を加減算して出力値を計算し,出力値が示す出力情報をN番目の文字に対応する出力情報として決定し(15),出力装置26に出力する(24)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,出力情報処理技術に関し,特に,入力データが秘匿される状態となる入力操作において,入力ミス(タイプミス)を抑止するために,入力データに対応した出力情報を出力する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
入力データの表示が秘匿される入力操作として,例えば,入力されるパスワードがエコー表示される入力操作が知られている。
【0003】
ユーザが,パスワードとして文字,数字,記号等の組み合わせ(以下,単に文字列という)を入力すると,入力された文字の代わりに,黒丸,アスタリスク等のエコー文字が表示される。そして,エコー表示下で入力された文字列が,パスワードとして認証されない場合には,再入力操作が促されるが,入力操作が規定回数に達すると,以降のユーザ操作の拒絶や,パスワードの無効化が処理される。
【0004】
入力操作での単純なタイプミスは,かなりの頻度で生じている。しかし,入力データが秘匿される場合には,ユーザは,タイプミスをしたかどうかを入力操作途中で確認することができないため,タイプミスに気付かずに入力したパスワードで以降の操作を行おうとして,上記のような操作拒絶やパスワード無効化の状態を引き起こしてしまうことがある。
【0005】
そのため,ユーザの識別情報(ユーザID)に対応する出力データ用の基準設定値を保持して,入力されるデータと基準設定値とを用いて出力データの出力設定値を計算し,入力データに対応させて出力データの出力設定を変更して出力する処理を行って,入力データが秘匿される入力操作でのタイプミスをユーザが認識できるようにする手法が提供されている。
【0006】
また,ユーザの過去の視聴パターンを履歴情報として記憶して,複数のメディアから提供される入力ソースの映像や音声を同時出力する際に,記憶した履歴情報にもとづいて,ユーザの嗜好にあった入力ソースの視聴形態を決定する手法が提供されている。
【0007】
また,ユーザ入力があると,入力データ項目に対応するオブジェクトの入力状態を遷移させて,この遷移をトリガーとして推論エンジンを駆動させて,データ項目間の相互関係が記述されたルールにもとづいて次に入力可能なデータ項目を表示して,誤ったデータ項目の入力を防止する手法が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−097374号公報
【特許文献2】特開2003−174598号公報
【特許文献3】特開平11−126129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
秘匿される入力データの代表例であるパスワードとして,ユーザが,利用する業務システムごとに異なる文字列を使い分けることは,一般的であり,また,セキュリティの観点からも好ましい。
【0010】
従来手法においても,入力データ(例えば,パスワード)に対応させた出力設定にもとづいて出力データ(例えば,表示色)を表示させることができるため,ユーザは,正しいパスワードを入力したかを,表示色の遷移パターンによって認識することができる。
【0011】
しかし,複数の異なる文字列をパスワードとして使い分ける場合に,パスワードとして用いる文字列ごとに表示色の遷移パターンが異なるものとなるため,ユーザは,パスワードと表示色の遷移パターンとをペアで覚えておかなければならない。そして,入力したパスワードに対応した正しい表示色のパターンを記憶した上で,表示されるパターンが違っているかどうかを判断しなければならない。このような判断は,パスワード数が増えるほど困難になるため,セキュリティ上好ましい複数のパスワードの使い分けを行うほど,入力操作時のタイプミスに気付きにくくなるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は,文字の入力に対応した出力情報を出力する場合に,入力される文字の並び位置に対応する出力情報を示す変換情報を用いて,入力された文字が,変換情報に対応する文字列の文字である限り一定の出力情報を出力できる出力情報処理を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様として開示される出力情報処理方法は,コンピュータが実行する処理方法であって,第1入力域に対するユーザ識別情報の入力を受け付ける識別情報受付ステップと,第2入力域に対する文字の入力を受け付ける秘匿文字受付ステップと,ユーザ識別情報に対応付けて,前記第2入力域に入力された文字の文字コード値から,該文字の入力に対応して出力される出力情報を示す出力値への変換値が順序性をもって設定された変換情報を記憶する変換情報記憶部を参照して,前記第2入力域に入力されたN個目(Nは1以上の自然数)の文字の文字コード値と,前記第1入力域に入力されたユーザ識別情報に対応付けられた変換情報に設定されたN番目の変換値とを用いて,N番目の出力値を計算する出力値計算ステップと,複数の異なる出力値ごとの出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して,前記N番目の出力値に対応する出力情報を決定する出力情報決定ステップと,前記決定された出力情報を,前記第2入力域に対するN個目の文字の入力に対する出力情報として出力する出力ステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
上記の開示した方法によれば,入力域に入力されるN個目の文字が,予め記憶された変換情報に対応する文字列の文字である限り,そのN個目の文字の入力に対応して一定の出力情報が出力される。よって,ユーザは,例えばパスワードとして複数の異なる文字列を使い分ける場合でも,正しい文字列を入力したかどうかを,文字に対応する出力情報から確認することができ,入力操作時のタイプミスを,より容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】開示される出力情報処理方法が実施されるシステムのクライアントで表示される画面例を示す図である。
【図2】開示される出力情報処理方法において使用される変換情報の生成処理例を説明するための図である。
【図3】文字コード差分情報の例を示す図である。
【図4】ユーザによって設定された出力情報パターンの例を示す図である。
【図5】出力変換情報の例を示す図である。
【図6】文字の入力に対応した出力情報の出力処理例を説明するための図である。
【図7】開示される出力情報処理方法が実施されるシステムの第1の構成例を示す図である。
【図8】第1の構成例における処理フロー例を示す図である。
【図9】開示される出力情報処理方法が実施される第2の構成例を示す図である。
【図10】第2の構成例における,文字コード識別情報の生成処理の処理フロー例を示す図である。
【図11】開示される出力情報処理方法が実施されるシステムの第3の構成例を示す図である。
【図12】第3の構成例における処理フロー例を示す図である。
【図13】開示される出力情報処理方法が実施される第4の構成例を示す図である。
【図14】第4の構成例における,文字コード識別情報の生成処理の処理フロー例を示す図である。
【図15】開示される出力情報処理方法が実施される第5の構成例を示す図である。
【図16】出力情報処理サーバ,クライアント,共有情報管理サーバの各装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず,本発明の一実施形態として開示される出力情報処理方法を説明する。
【0017】
本実施形態では,開示される出力情報処理方法を実行するコンピュータ(以下,サーバと呼ぶ)が,ユーザが使用するコンピュータ(以下,クライアントと呼ぶ)で実行された入力操作での文字の入力に対応して出力情報の出力処理を実行する。
【0018】
出力情報は,入力された文字に対応して表示される表示色または模様などである。
【0019】
出力情報は,複数の異なる出力値に対応付けられて定義されている。例えば,出力情報が表示色であれば,出力値として,RGB系の設定値,色相・明度・彩度を示す値等が,または,模様であれば,予め用意された模様を示す値等が,出力値として定められる。
【0020】
文字列の各文字の入力に対応して,順序性を持つ任意の複数の出力情報を示す情報を,出力情報パターンとする。出力情報パターンは,ユーザが指定した基準となる文字列(以下,基準文字列)をもとにサーバ側で自動的に決定されるか,または,ユーザによって指定される。
【0021】
基準文字列は,ユーザ識別情報と対応付けられて,表示が秘匿される入力域に入力される文字列(以下,秘匿文字列)のうち,ユーザによって指定された1つの文字列である。
【0022】
図1は,クライアントで表示される画面例を示す図である。
【0023】
図1に示す画面100は,ある業務システムを利用可能なユーザを,ログインIDとパスワードによって識別して認証処理を行うログイン画面の例である。
【0024】
画面100には,第1入力域110,第2入力域120,表示部130が設けられる。
【0025】
第1入力域110は,ユーザが使用するシステムでユーザを識別するユーザ識別情報(例えば,ログインID)を示す文字列が入力される領域である。第2入力域120は,ユーザ識別情報に対応する秘匿文字列(例えば,パスワード)が入力される領域である。
【0026】
表示部130は,第2入力域120に入力された文字に対応した出力情報が出力される領域である。本形態では,出力情報を,画面100の表示部130の表示色とし,出力値は,表示色を示すRGB系のR値,G値,B値の組(以下,RGB値と呼ぶ)とする。
【0027】
なお,表示部130は,画面100の背景部分の全体として設けられてもよい。
【0028】
図2は,開示される出力情報処理方法において使用される変換情報の生成処理例を説明するための図である。
【0029】
まず,図2の変換情報の生成処理を説明する。
【0030】
ステップS1: サーバは,クライアントから,変換情報を生成するための情報として,ユーザによって指定された基準文字列または出力情報パターンのいずれかを取得する。なお,基準文字列とともに,表示部130の初期状態の表示色である初期出力情報が取得されてもよい。
【0031】
ステップS2: サーバは,ユーザによって指定された秘匿文字列を取得する。
【0032】
ステップS3: サーバは,ステップS2で取得した秘匿文字列の各文字の文字コード値をもとに,その文字の入力に対応して出力される出力情報を示す出力値への変換値を計算し,計算した変換値を,取得した秘匿文字列の文字の並び順序に対応させて示す変換情報を生成,保存する。
【0033】
次に,出力情報パターンがサーバで指定される場合の生成処理例を説明する。
【0034】
サーバは,秘匿文字列と基準文字列とをもとに,秘匿文字列のM番目(Mは1以上の自然数)の文字の文字コード値と,基準文字列のM番目の文字の文字コード値との差分値(文字コード差分値)を計算し,計算した文字コード差分値を秘匿文字列の文字の並び順序に対応付けて示す文字コード差分情報を生成する。
【0035】
一例として,サーバは,基準文字列「s1,s2,s3,s4」と,秘匿文字列「x1,x2,x3,x4」とを取得したとする。また,表示部130の初期状態の表示色D0(出力値d0)とする。
【0036】
サーバは,まず,初期状態の表示色D0を示す出力値d0と,基準文字列の文字s1の文字コード値(文字コードを示す値)cs1とをもとに,次の出力情報を示す出力値d1(表示色D1)を求める。同様に,サーバは,出力値d1と文字s2の文字コード値cs2とをもとに次の出力値d2(表示色D2)を,出力値d2と文字s3の文字コード値cs3とをもとに次の出力値d3(表示色D3)を,出力値d3と文字s4の文字コード値cs4とをもとに次の出力値d4(表示色D4)を,それぞれ求める。
【0037】
そして,サーバは,第2入力域120に基準文字列「s1,s2,s3,s4」の文字が順に入力される場合に,表示部130に,表示色D0→D1→D2→D3→D4の順に表示させて,第2入力域120に登録された秘匿文字列が入力される場合の出力情報パターンを,ユーザに確認させる。
【0038】
さらに,サーバは,秘匿文字列「x1,x2,x3,x4」の文字列のM番目(Mは1以上の自然数)の文字の文字コード値と,基準文字列「s1,s2,s3,s4」のM番目の文字の文字コード値との差分値(文字コード差分値)を計算する。すなわち,文字s1の文字コード値cs1に対する文字x1のコード値cx1の差分値dx1(dx1=cs1−cx1),文字s2の文字コード値cs2に対する文字x2のコード値cx2の差分値dx2,文字s3の文字コード値cs3に対する文字x3のコード値cx3の差分値dx3,文字s4の文字コード値cs4に対する文字x4のコード値cx4の差分値dx4をそれぞれ算出する。
【0039】
そして,サーバは,文字コード差分情報「dx1,dx2,dx3,dx4」を生成し,対応するユーザ識別情報と対応付けて記憶する。
【0040】
図3は,文字コード差分情報の例を示す図である。
【0041】
文字コード差分情報には,ユーザ識別情報に対応付けて,システム情報と文字コード差分値の並びとが設定される。
【0042】
システム情報は,ユーザ識別情報が使用されるシステムを示す情報であって,例えば,システムのログイン画面の格納場所を示す情報(URL)で示される。
【0043】
図3に示す文字コード差分情報では,ログインID=ID1234に対応する文字列「s1,s2,s3,s4(10進数表示の文字コード値=75,76,77,78)」が基準文字列であり,文字コード差分値の並びとして「0,0,0,0」が設定されている。ログインID=ID1357に対応する秘匿文字列「x1,x2,x3,x4(文字コード値=82,81,80,79)」については,各文字の基準文字列に対する文字コード差分値「−7,−5,−3,−1」が記憶される。
【0044】
次に,出力情報パターンがユーザによって指定される場合の生成処理例を説明する。
【0045】
サーバは,ステップS2で取得した秘匿文字列のM番目(Mは1以上の自然数)の文字の文字コード値から,ステップS1で取得した出力情報パターンのM番目の出力情報を示す出力値を求める出力変換値を計算する。そして,サーバは,計算した出力変換値を秘匿文字列の文字の並び順序に対応付けて示す出力変換情報を生成する。
【0046】
一例として,サーバは,出力情報パターン「D6,D7,D8,D9」と,秘匿文字列「y1,y2,y3,y4」とを取得したとする。また,表示部130の初期状態の表示色D0(出力値d0)とする。
【0047】
サーバは,表示色D0を示す出力値d0と文字列の文字y1の文字コード値cy1との和から,表示色D6を示す出力値d6が求まる値(出力変換値)dy1(dy1=d6−(cx1+d))を求める。同様に,サーバは,出力値d6と文字y2の文字コード値cy2との和から表示色D7を示す出力値d7が求まる値(出力変換値)dy2,出力値d7と文字y3の文字コード値cy3との和から,表示色D8を示す出力値d8が求まる値(出力変換値)dy3,出力値d8と文字y4の文字コード値cy4との和から,表示色D9を示す出力値d9が求まる値(出力変換値)dy4を,それぞれ求める。ここでは,表示色を示す出力値がRGB系の各値(R値,G値,B値)の組であるので,各値(R値,G値,B値)に対する出力変換値が計算される。
【0048】
そして,サーバは,出力変換情報「dy1,dy2,dy3,dy4」を生成し,対応するユーザ識別情報と対応付けて記憶する。
【0049】
図4は,ユーザによって設定された出力情報パターンの例を示す図である。
【0050】
図4(A)に示すように,表示色D6,D7,D8,D9の順に設定された出力情報パターンとして,表示色D6を示す出力値d6(R値=187,G値=224,B値=227),表示色D7を示す出力値d7(R値=255,G値=204,B値=153),表示色D8を示す出力値d8(R値=204,G値=153,B値=255),表示色D9を示す出力値d9(R値=255,G値=153,B値=204)が取得される。
【0051】
サーバは,取得した出力情報パターンを,図4(B)に示すように,出力情報パターンでの出力の順序(SEQ)に対応付けて,順序がN番目の出力値(R値,G値,B値)を,N−1番目の出力値からの差分で表した出力情報を示す出力値(CODE−R,CODE−G,CODE−B)に変換して保持する。
【0052】
図5は,出力変換情報の例を示す図である。
【0053】
出力変換情報は,出力情報パターンに示された出力情報の順序に応じて,その出力情報を示す出力値が求まる出力変換値が記憶されている。
【0054】
図5に示す出力変換情報の例は,ユーザ識別情報(ID2468)に対応する文字列「y1,y2,y3,y4(文字コード値=65,66,67,68)」の場合に,各文字の文字コード値を,図4に示す出力情報パターンを示す出力値に変換する出力変換値が記憶されている。
【0055】
例えば,初期状態の出力情報の出力値を「0,0,0」とする場合に,文字列「y1,y2,y3,y4」の1番目の文字の文字コード値cy1を加算して出力情報のSEQ=1に設定された出力値d6(CODE−R=187,CODE−G=224,CODE−B=227)となる出力変換値dy1(dy1−R=122,dy1−G=159,dy1−B=162)が設定されている。
【0056】
なお,上述した変換情報の生成処理において,文字コード差分情報から出力情報を示す出力値を算出する処理で使用する計算式や,出力情報パターンの出力値から出力変換値を算出する処理で用いる計算式を,セキュリティの観点から複雑化することは可能である。
【0057】
変換情報の生成処理後,サーバは,画面100の第2入力域120に対する文字の入力があると,文字の入力に対応した出力情報の出力処理を行う。
【0058】
図6は,文字の入力に対応した出力情報の出力処理例を説明するための図である。
【0059】
ステップS10: サーバは,画面100の第1入力域110に入力されたユーザ識別情報を取得する。
【0060】
ステップS11: サーバは,ユーザ識別情報に対応する変換情報を特定する。また,表示部130の表示色を示す出力値を初期化する。
【0061】
ステップS12: サーバは,画面100の第2入力域120に文字が入力されると,入力されたN個目の文字を取得する。
【0062】
ステップS13: サーバは,第2入力域120に入力されているN個目の文字の文字コード値をもとに,変換情報に設定されたN番目の変換値を用いて,N番目の出力値を計算する。
【0063】
ステップS14: サーバは,第2入力域120に入力されているN個目の文字の出力情報として,N番目の出力値に対応する出力情報を決定する。
【0064】
ステップS15; サーバは,画面100の表示部130に,決定した出力情報を出力する。
【0065】
より詳しくは,ステップS13の処理において,サーバは,文字コード差分情報を参照して,第2入力域120に入力されたN個目の文字の文字コード値に,ユーザ識別情報に対応する文字コード差分情報のN番目の文字コード差分値を加算または減算して,N番目の出力値を求める。
【0066】
例えば,第2入力域120に,1番目の文字x1が入力されると,入力された文字x1の文字コード値cx1に,文字コード差分情報の1番目の差分値dx1を加算して,現時点の出力値(初期状態の表示色D0の出力値d0)と,文字コード差分値により変換された文字コード値(cx1+dx1=cs1)とをもとに,N番目の出力値を決定する。
【0067】
この場合に,第2入力域120に入力された文字がx1であっても,文字コード差分情報により,入力された1番目の文字x1の文字コード値cx1が,基準文字列の文字s1の文字コード値cs1に変換されるために,出力値d1が得られる。そして,ステップS15の処理により,画面100の表示部130には,基準文字列s1が入力された場合と同じ表示色D1が表示されることになる。
【0068】
同様に,第2入力域120に文字x2が入力された場合も,ステップS13の処理において,文字コード差分情報により,入力された2番目の文字x2の文字コード値cx2が,基準文字列の文字s2の文字コード値cs2に変換され,1つ前の文字x1の入力に対応して出力された表示色(出力値d1)と加算されて,出力値d2が得られる。そして,ステップS15の処理により,表示部130には,基準文字列s2が入力された場合と同じ表示色D2が表示されることになる。
【0069】
したがって,予め,文字コード差分情報が生成された文字列を入力している限り,基準文字列の文字の入力と同一の出力情報が出力されるため,ユーザは,第2入力域120への入力した文字が正しいかどうかを表示部130に表示される表示色によって確認することができる。
【0070】
または,サーバは,ステップS13の処理において,出力変換情報を参照して,第2入力域120に入力されたN個目の文字の文字コード値に,ユーザ識別情報に対応する出力変換情報のN番目の出力変換値を加算または減算して,N番目の出力値を計算する。
【0071】
例えば,第2入力域120に,1番目の文字y1が入力されると,入力された文字y1の文字コード値cy1に,出力変換情報の1番目の出力変換値dy1を加算して得た値(cx1+dy1+d=d6)で,N番目の出力値を決定する。
【0072】
この場合に,第2入力域120に入力された文字がy1の文字コード値cy1が,対応する出力変換値によって,出力情報パターンの1番目の出力情報を示す出力値d6に変換される。そして,ステップS15の処理により,画面100の表示部130には,ユーザによって指定された表示色D6が表示されることになる。同様に,第2入力域120に文字y2が入力された場合も,1つ前に入力された文字y1に対応する出力情報(出力値d6)と,入力された2番目の文字y2の文字コード値cx2と,出力変換値によって,出力値d7が得られるため,表示部130には,次のD7が表示されることになる。
【0073】
したがって,予め,出力変換情報が生成された文字列を入力している限り,指定した出力情報パターンと同一の表示色が指定した順序で出力されるため,ユーザは,第2入力域120への入力した文字が正しいかどうかを表示部130に表示される表示色によって確認することができる。
【0074】
次に,ステップS2の処理で取得した秘匿文字列の文字数が基準文字列の文字数と異なる場合の文字コード差分情報の生成処理を説明する。
【0075】
サーバは,ステップS3の処理において,取得し秘匿文字列の文字数が基準文字列の文字数より少ない場合に,取得した文字列の最後の文字の文字コード値を用いて,基準文字列の各文字に対応する文字コード値を計算する。
【0076】
例えば,基準文字列が「A,B,C,D(文字コード値=65,66,67,68)」であって,取得した文字列が「C,B,A(文字コード値=67,66,65)」である場合に,サーバは,1番目から3番目までの文字について,文字コード差分値「−2,0,2」を求める。さらに,秘匿文字列の最後(3番目)の文字と,基準文字列の4番目の文字との文字コード差分値「3」を求めて,「−2,0,2/3」という文字コード差分情報を生成する。「2/3」は,3番目の文字の入力に対応して,2つの文字コード差分値「2」,「3」を順に用いて2つの出力値を決定することを表す。
【0077】
逆に,取得した文字列の文字数が基準文字列の文字数より多い場合に,取得した文字列の文字のうち,対応する基準文字列の文字がないものについて,その文字のコード値が0となる文字コード差分値を求める。
【0078】
例えば,基準文字列が「A,B,C,D(文字コード値=65,66,67,68)」であって,取得した秘匿文字列が「E,D,C,B,A(文字コード値=69,68,67,66,65)」である場合に,サーバは,1番目から4番目までの文字について,文字コード差分値「−4,−2,0,2」を求める。さらに,秘匿文字列の5番目の文字コード値を0とする値を文字コード差分値とする。ここでは,「−65」となるので,「−4,−2,0,2,−65」という文字コード差分情報が生成される。
【0079】
したがって,秘匿文字列と基準文字列との文字数が異なる場合でも,秘匿文字列として正しい文字が入力されている限り,同じように,表示色のパターンで表示されるため,ユーザは,間違った文字のタイプミスに気付きやすくなる。
【0080】
次に,出力情報処理方法を実施する出力情報処理システムの構成例として,第1〜第5の構成例を説明する。
【0081】
第1〜第5の構成例による処理では,画面100の第1入力域110に入力されるユーザ識別情報は,例えば,ログインIDであり,第2入力域120に入力される文字列は,例えば,パスワードである。また,画面100の表示部130に出力される出力情報は,例えばRGB値で特定される表示色(色情報)である。
【0082】
図7は,第1の構成例を示す図である。
【0083】
第1の構成例において,出力情報処理システムは,出力情報処理サーバ1,クライアント2,および共有情報管理サーバ3を備える。
【0084】
出力情報処理サーバ1は,クライアント2で表示される画面100で入力される文字に対応する出力情報を決定し,画面100に出力する処理を行う装置である。クライアント2は,ユーザが使用する装置である。共有情報管理サーバ3は,システムに1または複数の出力情報処理サーバ1が備えられる場合に,出力情報処理サーバ1で共有される情報を保持する装置である。
【0085】
出力情報処理サーバ1,クライアント2,共有情報管理サーバ3は,いずれも,CPUおよびメモリ等を有するハードウェアとソフトウェアプログラムとを備えるコンピュータまたは専用ハードウェアによって実現される。
【0086】
出力情報処理サーバ1は,ユーザ受付部11,文字コード差分値算出部12,文字コード差分情報記憶部13,文字コード差分値取得部14,表示色算出部15を備える。
【0087】
ユーザ受付部11は,クライアント2で受け付けられた,ユーザ識別情報,基準文字列,および第2入力域120に入力される秘匿文字列を取得する。さらに,ユーザ受付部11は,基準文字列を,共有情報管理サーバ3へ送信し,文字コード差分値算出部12に,ユーザ識別情報と秘匿文字列を渡す。
【0088】
文字コード差分値算出部12は,共有情報管理サーバ3から取得した基準文字列をもとに,秘匿文字列の各文字に対する文字コード差分値を計算し,計算した秘匿文字列の文字コード差分値の列を,ユーザ識別情報に対応付けて,文字コード差分値記憶部13に記憶する。
【0089】
文字コード差分値取得部14は,文字コード差分情報記憶部13から,クライアント2で受け付けられたユーザ識別情報に対応する文字コード差分情報を取得して,表示色算出部15に渡す。
【0090】
表示色算出部15は,取得した文字コード差分情報をもとに,クライアント2で受け付けた第2入力部120に入力された文字に対応する出力値を算出する。
【0091】
クライアント2は,ユーザ登録部21,ユーザ識別情報受付部22,文字列受付部23,表示処理部24,入力装置25.および出力装置26を備える。
【0092】
ユーザ登録部21は,入力装置25を介して,ユーザ識別情報,基準文字列,秘匿文字列の入力を受け付けて,これらの情報を出力情報処理サーバ1へ送信する。
【0093】
ユーザ識別情報受付部22は,出力装置26に表示される画面100の第1入力域110に対するユーザ識別情報の入力を受け付けて,出力情報処理サーバ1へ送信する。
【0094】
文字列受付部23は,出力装置26に表示される画面100の第2入力域120に対する文字の入力を受け付けて,出力情報処理サーバ1へ送信する。
【0095】
表示処理部24は,出力情報処理サーバ1から通知された表示色を,出力装置26に表示する表示部130に表示する。
【0096】
共有情報管理サーバ3は,基準文字列受付部31,基準文字列記憶部32,および基準文字列取得部33を備える。
【0097】
基準文字列受付部31は,出力情報処理サーバ1から基準文字列を取得して,基準文字列記憶部32に格納する。
【0098】
基準文字列取得部33は,基準文字列記憶部32から,ユーザに対応する基準文字列を取得して,出力情報処理サーバ1へ送信する。
【0099】
図8は,第1の構成例における処理フロー例を示す図である。図8(A)は,文字コード差分情報の生成処理の処理フロー例,図8(B)は,表示色の出力処理の処理フロー例を示す図である。
【0100】
図8(A)の処理フロー例において,ステップS100は,図2に示す処理フローのステップS1に,ステップS102はステップS2に,ステップS103およびS104はステップS3の処理に,それぞれ相当する例である。
【0101】
ステップS100: ユーザ登録部21が,ユーザによって指定された基準文字列を受け付ける。基準文字列受付部31は,ユーザ受付部11を介して取得した基準文字列を,ユーザ(ユーザ情報)に対応付けて基準文字列記憶部32に格納する。
【0102】
ステップS102: ユーザ登録部21が,処理対象とするユーザ識別情報と秘匿文字列とを受け付ける。文字コード差分値算出部12は,ユーザ受付部11を介して,受け付けられたユーザ識別情報と秘匿文字列とを取得する。
【0103】
ステップS103: 文字コード差分値算出部12は,基準文字列取得部33を介して,基準文字列記憶部32に記憶されているユーザの基準文字列を取得し,秘匿文字列の各文字の文字コード値と,基準文字列のその文字に対応する文字との文字コード値から,文字コード差分値を算出する。
【0104】
ステップS104: 文字コード差分値算出部12は,算出した文字コード差分値の列を,文字コード差分情報として,ユーザ識別情報に対応付けて,文字コード差分情報記憶部13に格納する。その後,文字コード差分値算出部12は,処理に用いたユーザ識別情報と基準文字列と秘匿文字列とを消去する。
【0105】
図8(B)の処理フロー例において,ステップS110は,図6の処理フローのステップS10に,ステップS111はステップS11に,ステップS112〜S113はステップS12に,ステップS114はステップS13〜S14に,ステップS115はステップS15に,それぞれ相当する例である。
【0106】
ステップS110: ユーザ識別情報受付部22は,出力装置26に表示された画面100の第1入力部110に入力されたユーザ識別情報を受け付ける。
【0107】
ステップS111: 文字コード差分値取得部14は,文字コード差分情報記憶部13から,受け付けられたユーザ識別情報に対応する文字コード差分情報を取得して,表示色算出部15に渡す。
【0108】
ステップS112: 文字列受付部23は,画面100の第2入力域120に,文字が入力(タイプイン)されたかどうかを監視する。文字列受付部23は,第2入力域120に文字が入力されるまで待機し,第2入力域120に文字が入力されると(ステップS112のY),ステップS113に進む。
【0109】
ステップS113: 文字列受付部23は,第2入力域120に文字が入力されると,N個目の文字を取得する。
【0110】
ステップS114: 表示色算出部15は,文字列受付部23が取得したN個目の文字について,文字コード差分情報のN番目の文字コード差分値を使用して,N番目の出力値を算出し,さらに,算出した出力値をもとに,その文字の入力に対応するN番目の表示色を決定して,表示処理部24へ通知する。
【0111】
ステップS115: 表示処理部24は,通知された表示色を,画面100の表示部130に表示する。
【0112】
第1の構成例の場合には,基準文字列と,秘匿文字列に対応する文字コード差分情報とが別のサーバに記憶されるため,基準文字列と文字コード差分情報が同時に漏洩されて,秘匿文字列が推定されるという危険性を低くすることができる。
【0113】
図9は,第2の構成例を示す図である。
【0114】
第2の構成例において,出力情報処理システムは,出力情報処理サーバ1a,およびクライアント2aを備える。
【0115】
なお,第2の構成例以降の構成例において,図中で第1の構成例に示す処理部と同一の符号が与えられた処理部は,該当する処理部とほぼ同一の動作を行うものである。
【0116】
出力情報処理サーバ1aでは,出力情報処理サーバ1とほぼ同様の構成である。
【0117】
出力情報処理サーバ1aのユーザ受付部11aは,秘匿文字列に対応する文字コード差分情報の生成が要求される度に,ユーザ登録部21aから,ユーザ識別情報と秘匿文字列と共に,基準文字列を取得する。
【0118】
クライアント2aは,クライアント2とほぼ同様の構成である。
【0119】
ユーザ登録部21aは,秘匿文字列に対応する文字コード差分情報の生成が要求される度に,ユーザ識別情報と秘匿文字列とともに,基準文字列の入力を受け付けて,これらの情報を出力情報処理サーバ1aへ送信する。
【0120】
図10は,第2の構成例における,文字コード識別情報の生成処理の処理フロー例を示す図である。
【0121】
図10の処理フロー例において,ステップS120は,図2に示す処理フローのステップS1〜S2に,ステップS121〜S122は,同じくステップS3に,それぞれ相当する例である。
【0122】
ステップS120: ユーザ登録部21aが,処理対象となるユーザ識別情報と秘匿文字列と共に基準文字列を受け付ける。
【0123】
文字コード差分値算出部12aは,ユーザ受付部11aを介して,ユーザ識別情報と秘匿文字列と共に基準文字列を取得する。
【0124】
ステップS121:文字コード差分値算出部12aは,秘匿文字列の各文字の文字コード値と基準文字列の対応する文字の文字コード値とをもとに,文字コード差分値を算出する。
【0125】
ステップS122: 文字コード差分値算出部12aは,算出した文字コード差分値の列を,文字コード差分情報として,ユーザ識別情報に対応付けて,文字コード差分情報記憶部13に格納する。その後,文字コード差分値算出部12aは,処理に用いたユーザ識別情報,基準文字列,秘匿文字列を消去する。
【0126】
第2の構成例における出力情報の出力処理は,第1の構成例で説明した処理と同様であるので(図8(B)参照),説明を省略する。
【0127】
第2の構成例の場合には,秘匿文字列に対応する文字コード差分情報の生成の度に,基準文字列を入力する手間があるが,基準文字列を記憶しないため,基準文字列と文字コード差分情報が同時に漏洩されて,秘匿文字列が推定されるという危険性をさらに低くすることができる。
【0128】
図11は,第3の構成例を示す図である。
【0129】
第3の構成例において,出力情報処理システムは,出力情報処理サーバ1b,クライアント2b,および共有情報管理サーバ3bを備える。
【0130】
出力情報処理サーバ1bは,ユーザ受付部11b,出力変換値算出部16,出力変換情報記憶部17,出力変換値取得部18,および表示色算出部19を備える。
【0131】
ユーザ受付部11bは,ユーザ登録部21bで受け付けられたユーザ識別情報と出力情報パターンとを取得し,共有情報管理サーバ3bへ送信する。
【0132】
出力変換値算出部16は,共有情報管理サーバ3bから取得した出力情報パターンをもとに,ユーザ受付部11bが取得した秘匿文字列の各文字の文字コード値を,出力情報パターンの各表示色を示す出力値に変換するための出力変換値を計算し,計算した出力変換値の列を,出力変換情報として,ユーザ識別情報に対応付けて,出力変換情報記憶部17に記憶する。
【0133】
出力変換値取得部18は,クライアント2bで受け付けられたユーザ識別情報に対応する出力変換情報を取得する。
【0134】
表示色算出部19は,出力変換値取得部18が取得した出力変換情報をもとに,クライアント2bで受け付けられた文字に対応する出力値を算出する。
【0135】
クライアント2bは,クライアント2とほぼ同様の構成である。
【0136】
ユーザ登録部21bは,出力情報パターンの入力を受け付けて,出力情報処理サーバ1bへ送信する。
【0137】
共有情報管理サーバ3bは,出力情報パターン受付部34,出力情報パターン記憶部35,および出力情報パターン取得部36を備える。
【0138】
出力情報パターン受付部34は,出力情報処理サーバ1bから取得した出力情報パターンを,ユーザに対応付けて,出力情報パターン記憶部35に格納する。
【0139】
出力情報パターン取得部36は,出力情報パターン記憶部35から出力情報パターンを取得して,出力情報処理サーバ1bへ送信する。
【0140】
図12は,第3の構成例における処理フロー例を示す図である。図12(A)は,出力変換情報の生成処理の処理フロー例,図12(B)は,表示色の出力処理の処理フロー例を示す図である。
【0141】
図12(A)の処理フロー例において,ステップS130は,図2に示す処理フローのステップS1に,ステップS131はステップS2に,ステップS132〜S133は,ステップS3の処理に,それぞれ相当する例である。
【0142】
ステップS130: ユーザ登録部21bが,ユーザによって指定された出力情報パターンを受け付ける。出力情報パターン受付部34は,ユーザ登録部21bとユーザ受付部11bとを介して,受け付けられた出力情報パターンを取得し,ユーザに対応付けて出力情報パターン記憶部35に格納する。
【0143】
ステップS131: 出力変換値算出部16は,ユーザ登録部21bとユーザ受付部11bを介して,処理対象とするユーザ識別情報と秘匿文字列とを取得する。
【0144】
ステップS132: 出力変換値算出部16は,出力情報パターン取得部36からユーザの出力情報パターンを取得し,秘匿文字列の各文字コード値から,出力情報パターンの,その文字に対応する順序の出力情報を示す出力値を求める出力変換値を算出する。
【0145】
ステップS133: 出力変換値算出部16は,算出した出力変換値の列を,出力変換情報として,ユーザ識別情報に対応付けて,出力変換情報記憶部17に格納する。その後,出力変換値算出部16は,処理に用いたユーザ識別情報と出力情報パターンと秘匿文字列とを消去する。
【0146】
図12(B)の処理フロー例において,ステップS140は,図6の処理フローのステップS10に,ステップS141はステップS11に,ステップS142〜S143はステップS12に,ステップS144はステップS13〜S14に,ステップS145はステップS15に,それぞれ相当する例である。
【0147】
ステップS140: ユーザ識別情報受付部22は,出力装置26に表示された画面100の第1入力部110に入力されたユーザ識別情報を受け付ける。
【0148】
ステップS141: 出力変換値取得部18は,出力変換情報記憶部17から,受け付けられたユーザ識別情報に対応する出力変換情報を取得し,表示色算出部19に渡す。
【0149】
ステップS142: 文字列受付部23は,画面100の第2入力域120に文字が入力(タイプイン)されたかどうかを監視する。文字列受付部23は,第2入力域120に文字が入力されるまで待機し,第2入力域120に文字が入力されると(ステップS142のY),ステップS143に進む。
【0150】
ステップS143: 文字列受付部23は,第2入力域120に文字が入力されると,入力されたN個目の文字を取得して,表示色算出部19へ渡す。
【0151】
ステップS144: 表示色算出部19は,取得したN個目の文字の文字コード値から,出力変換情報のN番目の出力変換値を用いてN番目の出力値を算出し,その文字の入力に対応するN番目の表示色を決定して,表示処理部24へ通知する。
【0152】
ステップS145: 表示処理部24は,通知された表示色を,画面100の表示部130に表示する。
【0153】
第3の構成例の場合には,ユーザは,任意の出力情報パターンを設定することができ,識別情報に対応付けられた秘匿文字列が正しく入力されている限り,自ら設定した表示色のパターンが表示されるため,タイプミスの場合の表示色の出力の違いに,より容易に気付くことができる。
【0154】
さらに,出力情報パターンとユーザ識別情報の秘匿文字列に対応する出力変換情報とが別のサーバに記憶されるため,出力情報パターンと出力変換情報が同時に漏洩されて,秘匿文字列が推定されるという危険性を低くすることができる。
【0155】
図13は,第4の構成例を示す図である。
【0156】
第4の構成例において,出力情報処理システムは,出力情報処理サーバ1c,およびクライアント2cを備える。
【0157】
出力情報処理サーバ1cは,出力情報処理サーバ1とほぼ同様の構成である。
【0158】
出力情報処理サーバ1cでは,ユーザ受付部11cは,文字コード差分情報の生成が要求される度に,ユーザ登録部21cで受け付けられたユーザ識別情報と秘匿文字列とを取得する。
【0159】
出力変換値算出部16cは,クライアント2cから,出力情報パターンを取得する。
【0160】
クライアント2cは,クライアント2とほぼ同様の構成であるが,さらに,出力情報パターン取得部27を備える。
【0161】
ユーザ登録部21cは,ユーザ識別情報と秘匿文字列とを取得して出力情報処理サーバ1cへ送信する。
【0162】
出力情報パターン取得部27は,ユーザによって指定された出力情報パターンを取得する。
【0163】
図14は,第4の構成例における,文字コード識別情報の生成処理の処理フロー例を示す図である。
【0164】
図14の処理フロー例において,ステップS150は,図2に示す処理フローのステップS1に,ステップS151はステップS2に,ステップS152〜S153はステップS3に,それぞれ相当する例である。
【0165】
ステップS150: 出力情報パターン取得部27は,ユーザによって指定された出力情報パターンを取得する。
【0166】
一例として,出力情報パターン取得部27は,出力装置26に出力情報パターンの入力用の画面を表示し,ユーザによって指定された出力順序の各表示色を示す出力値を,出力情報パターンとして取得する。
【0167】
または,出力情報パターン取得部27は,出力装置26に出力情報パターンの入力用の画面を表示し,既に登録された秘匿文字列を入力させる。そして,出力情報パターン取得部27は,入力された秘匿文字列を表示色算出部19に送信し,表示色算出部19が,その秘匿文字列にもとづいて決定した表示色を示す出力値を参照し,決定された順序の表示色の出力値を,出力情報パターンとして取得し,出力変換値算出部16cへ渡す。
【0168】
ステップS151: 出力変換値算出部16cは,ユーザ登録部21cとユーザ受付部11cとを介して,処理対象とするユーザ識別情報と秘匿文字列とを取得する。
【0169】
ステップS152: 出力変換値算出部16cは,秘匿文字列の各文字コード値から,取得した出力情報パターンの各表示色を示す出力値を求めるための出力変換値を算出する。
【0170】
ステップS153: 出力変換値算出部16cは,算出した出力変換値の列を,出力変換情報として,ユーザ識別情報に対応付けて,出力変換情報記憶部17に格納する。その後,出力変換値算出部16cは,処理に用いたユーザ識別情報と出力情報パターンと秘匿文字列とを消去する。なお,表示色算出部19と出力情報パターン取得部27は,それぞれ,取得した表示色の出力値を消去する。
【0171】
第4の構成例における出力情報の出力処理は,第3の構成例で説明した処理と同様であるので(図12(B)参照),説明を省略する。
【0172】
第4の構成例の場合には,出力変換情報の生成の度に,出力情報パターンまたは登録済みの秘匿文字列を入力する手間があるが,出力情報パターンを記憶しないため,出力情報パターンと出力変換情報が同時に漏洩されて,秘匿文字列が推定されるという危険性をさらに低くすることができる。
【0173】
図15は,第5の構成例を示す図である。
【0174】
第5の構成例において,出力情報処理方法は,クライアント2dで実施される。
【0175】
クライアント2dは,クライアント2cの構成に,さらに,出力変換値算出部210,出力変換情報記憶部211,出力変換値取得部212,表示色算出部213を備える。
【0176】
出力変換値算出部210は,出力情報パターン取得部27が取得した出力情報パターンをもとに,ユーザ登録部21dが取得した秘匿文字列の各文字の文字コード値を,出力情報パターンの各表示色を示す出力値に変換するための出力変換値を計算し,計算した出力変換値の列を,ユーザ識別情報に対応付けて出力変換情報記憶部211に格納する。
【0177】
出力変換値取得部212は,ユーザ識別情報受付部22で受け付けられたユーザ識別情報に対応する出力変換情報を取得する。
【0178】
表示色算出部213は,図13に示す表示色算出部19と同様の処理を行う。
【0179】
第5の構成例における出力変換情報の生成処理および出力情報の出力処理は,第4の構成例で説明した処理と同様であるので(図12参照),説明を省略する。
【0180】
第5の構成例の場合には,ユーザが使用するクライアント側で処理が実行されるため,ユーザが任意のレベルのセキュリティ下で情報を管理することができ,さらに,外部サーバとの通信が不要であるため,外部のサーバ等からの情報漏洩によって秘匿文字列が推定されるという危険性を軽減することができる。
【0181】
図16は,出力情報処理サーバ1,クライアント2,共有情報管理サーバ3の各装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0182】
出力情報処理サーバ1,クライアント2,共有情報管理サーバ3の各装置は,いずれも,演算装置(CPU)501,一時記憶装置(DRAM,フラッシュメモリ等)502,永続性記憶装置(HDD,フラッシュメモリ等)503,ネットワークインターフェース504を有して,外部とデータの入出力をするコンピュータ500によって実施することができる。また,クライアント2として機能するコンピュータ500では,さらに入力装置(キーボード,マウス等)520,出力装置(ディスプレイ,プリンタ等)530を備える。
【0183】
また,出力情報処理サーバ1,クライアント2,共有情報管理サーバ3の各装置は,このコンピュータ500が実行可能なプログラムによっても実施することができる。この場合に,出力情報処理サーバ1,クライアント2,共有情報管理サーバ3の各装置の各々が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。提供されたプログラムを上記コンピュータ500が実行することによって,各装置の処理機能がコンピュータ500上で実現される。
【0184】
なお,上記コンピュータ500は,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,上記プログラムは,コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0185】
以上の説明では,開示された出力情報処理方法を,入力文字列に対応する表示色の表示処理に適用した場合について説明したが,これに限定されるものではなく,その記述の主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。例えば,上述する実施の形態において,出力情報は,ディスプレイ等の出力装置に出力される表示色や模様として説明したが,音声情報であってもよい。この場合に,クライアント2の出力装置26は,スピーカ等の音声情報の出力装置で実施される。
【0186】
以上説明したように,本発明によれば,秘匿文字列が登録された文字列である限り,それらの文字の入力に対応して出力される出力情報パターンが同一となる。そのため,複数の秘匿文字列を使い分ける場合でも,ユーザは,1つの出力情報パターンを記憶しておけばよく,文字の入力操作時のタイプミスに,より容易に気付くことができる。
【符号の説明】
【0187】
1,1a,1b,1c 出力情報処理サーバ
2,2a,2b,2c,2d クライアント
3,3b 共有情報管理サーバ
11,11a,11b,11c ユーザ受付部
12,12a 文字コード差分値算出部
13 文字コード差分情報記憶部
14 文字コード差分値取得部
15 表示色算出部
16,16c 出力変換値算出部
17 出力変換情報記憶部
18 出力変換値取得部
19 表示色算出部
21,21a,21b,21c,21d ユーザ登録部
22 ユーザ識別情報受付部
23 文字列受付部
24 表示処理部
25 入力装置
26 出力装置
27,27d 出力情報パターン取得部
210 出力変換値算出部
211 出力変換情報記憶部
212 出力変換値取得部
213 表示色算出部
31 基準文字列受付部
32 基準文字列記憶部
33 基準文字列取得部
34 出力情報パターン受付部
35 出力情報パターン記憶部
36 出力情報パターン取得部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する出力情報処理方法であって,
第1入力域に対するユーザ識別情報の入力を受け付ける識別情報受付ステップと,
第2入力域に対する文字の入力を受け付ける秘匿文字受付ステップと,
ユーザ識別情報に対応付けて,前記第2入力域に入力された文字の文字コード値から,該文字の入力に対応して出力される出力情報を示す出力値への変換値が順序性をもって設定された変換情報を記憶する変換情報記憶部を参照して,前記第2入力域に入力されたN個目(Nは1以上の自然数)の文字の文字コード値と,前記第1入力域に入力されたユーザ識別情報に対応付けられた変換情報に設定されたN番目の変換値とを用いて,N番目の出力値を計算する出力値計算ステップと,
複数の異なる出力値ごとの出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して,前記N番目の出力値に対応する出力情報を決定する出力情報決定ステップと,
前記決定された出力情報を,前記第2入力域に対するN個目の文字の入力に対する出力情報として出力する出力ステップとを備える
ことを特徴とする出力情報処理方法。
【請求項2】
前記出力値計算ステップにおいて,
前記変換情報記憶部に,前記変換情報として,前記第2入力域に入力される文字列として指定された第1文字列の各文字の並び順序に対応させて,前記第1文字列の文字の,前記第1文字列と異なる第2文字列において並び順序が対応する文字に対する文字コード差分値を示す文字列差分情報が記憶されている場合に,前記文字列差分情報を参照して,前記第2入力域に入力されたN個目の文字の文字コード値に,前記第1入力域に入力されたユーザ識別情報に対応する文字列差分情報のN番目の文字コード差分値を加算または減算して,前記N番目の出力値を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の出力情報処理方法。
【請求項3】
前記出力情報決定ステップにおいて,
前記変換情報記憶部に,前記変換情報として,前記出力情報の出力順序を示す出力情報パターンに対応させて,前記第2入力域に入力される文字列として指定された第1文字列の各文字の文字コード値を,前記出力情報パターンにおいて前記第1文字列の文字の並び順序が対応する出力値へ変換する出力変換値を示す出力変換情報が記憶されている場合に,前記出力変換情報を参照して,前記第2入力域に入力されたN個目の文字の文字コード値に,前記第1入力域に入力されたユーザ識別情報に対応する出力変換情報のN番目の出力変換値を加算または減算して,前記N番目の出力値を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の出力情報処理方法。
【請求項4】
第1文字列と第2文字列とを取得して,前記第1文字列のM番目(Mは1以上の自然数)の文字の文字コード値と前記第2文字列のM番目の文字の文字コード値の差分値である前記文字コード差分値を計算して,前記文字列差分情報を生成する文字列差分情報生成ステップを備える
ことを特徴とする請求項2に記載の出力情報処理方法。
【請求項5】
第1文字列と,出力順序に対応させた出力情報を示す出力情報パターンとを取得して,前記出力情報のM番目(Mは1以上の自然数)の出力情報を示す出力値と前記第1文字列のM番目の文字の文字コード値とをもとに,前記第1文字列のM番目の文字の文字コード値を,前記M番目の出力値に変換する出力変換値を計算して,前記出力変換情報を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の出力情報処理方法。
【請求項6】
第1入力域に対するユーザ識別情報の入力を受け付ける識別情報受付部と,
第2入力域に対する文字の入力を受け付ける秘匿文字受付部と,
ユーザ識別情報に対応付けて,前記第2入力域に入力された文字の文字コード値から,該文字の入力に対応して出力される出力情報を示す出力値への変換値が順序性をもって設定された変換情報を記憶する変換情報記憶部と,
複数の異なる出力値ごとの出力情報を記憶する出力情報記憶部と,
前記変換情報記憶部を参照して,前記第2入力域に入力されたN個目(Nは1以上の自然数)の文字の文字コード値と,前記第1入力域に入力されたユーザ識別情報に対応付けられた変換情報に設定されたN番目の変換値とを用いて,N番目の出力値を計算する出力値計算部と,
複数の異なる出力値ごとの出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して,前記N番目の出力値に対応する出力情報を決定する出力情報決定部と,
前記決定された出力情報を,前記第2入力域に対するN個目の文字の入力に対する出力情報として出力する出力処理部とを備える
ことを特徴とする出力情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに,
第1入力域に対するユーザ識別情報の入力を受け付ける識別情報受付処理と,
第2入力域に対する文字の入力を受け付ける秘匿文字受付処理と,
ユーザ識別情報に対応付けて,前記第2入力域に入力された文字の文字コード値から,該文字の入力に対応して出力される出力情報を示す出力値への変換値が順序性をもって設定された変換情報を記憶する変換情報記憶部を参照して,前記第2入力域に入力されたN個目(Nは1以上の自然数)の文字の文字コード値と,前記第1入力域に入力されたユーザ識別情報に対応付けられた変換情報に設定されたN番目の変換値とを用いて,N番目の出力値を計算する出力値計算処理と,
複数の異なる出力値ごとの出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して,前記N番目の出力値に対応する出力情報を決定する出力情報決定処理と,
前記決定された出力情報を,前記第2入力域に対するN個目の文字の入力に対する出力情報として出力する出力処理とを
実行させるための出力情報処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−73689(P2012−73689A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216310(P2010−216310)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】