説明

出力装置、データサーバ及びデータダウンロード装置

【課題】店舗等に設置された出力装置において利用者が出力結果を入手するための待ち時間を削減できるようにする。
【解決手段】出力装置130の識別情報取得部311は、出力装置130が設置された店舗等に出向いたユーザが携帯する無線機器320を検知すると、無線機器320から無線通信によって、無線機器320が保持する識別情報を取得する。出力データ取得部312は、識別情報取得部313によって取得された無線機器320の識別情報をNPSサーバ120に送信し、当該識別情報に対応する文書ファイルをNPSサーバ120からダウンロードして、出力データ格納部313に格納する。出力処理部314は、ユーザによってプリント予約番号が入力されて、プリント出力指示がされると、入力されたプリント予約番号に対応する文書ファイルを出力データ格納部313から取得し、取得した文書ファイルに基づいてプリント出力を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバから出力データ等の電子データをダウンロードしてプリント出力等する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、外出先等でのプリントニーズに応えるため、コンビニエンス・ストアなどの店舗等に設置されている多機能出力装置でプリント出力が行えるネットプリントサービスが存在する。
【0003】
通常、このようなネットプリントサービスでは、利用者は、まず、自分のパーソナルコンピュータ(PC)等からサービスを提供しているサーバ(NPS(Network Print System)サーバ)にアクセスして、出力したいドキュメント(文書ファイル等)をNPSサーバに登録(アップロード)する。NPSサーバへのドキュメントの登録が完了すると、NPSサーバによって、登録したドキュメントに対応した予約コードが発行され、PC等の画面上の表示や、電子メール等で利用者に通知される。そして、利用者が、外出先の店舗等に設置された多機能出力装置の操作画面で、通知された予約コードを入力すると、NPSサーバに登録されている対応ドキュメントが、多機能出力装置で出力可能なデータに変換されて、予約コードを入力した多機能出力装置から出力される。
【0004】
ところで、外出先においてドキュメントを出力する場合は、時間的に余裕のない場合も少なくない。しかし、上記ネットプリントサービスでは、予約コードの入力後に、出力データをNPSサーバから多機能出力装置にダウンロードするため、ファイルサイズが大きかったり、大量のドキュメントを出力したりする場合、ダウンロードに多くの時間を要することとなる。その結果、利用者が出力結果を入手するのに長い時間待たされることにもなっていた。また、利用者がドキュメントの出力を待っている間、多機能出力装置は、当該利用者に占有されることになり、その間、他の利用者は、多機能出力装置の他のサービスを利用しようとする者もあっても、当該多機能出力装置を利用することはできないことになっていた。
【0005】
なお、ネットワーク上のプリンタを占有する時間を削減するような方法としては、例えば、特許文献1に記載されたような方法が存在する。
【0006】
この特許文献1には、ネットワーク上のプリンタで機密文書の印刷指示や中止を行う際に、機密性を確保するとともに、操作性の向上およびシステムの占有時間を短縮させるため、携帯端末からプリンタへの電子メールによって、プリンタでの機密文書の出力指示や出力中止を行うプリントシステムが開示されている。
【0007】
しかし、この特許文献1に記載された方法では、ユーザは、電子メールを携帯端末からプリンタへ送信するという煩わしい操作を行う必要があるため、ユーザにとっては、操作開始からプリント終了までの時間をみた場合、時間短縮にはなっていない。
【特許文献1】特開2005−222213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、店舗等に設置された出力装置等において利用者が出力結果等を入手するための待ち時間を削減できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る出力装置は、利用者が携帯する無線機器から無線通信によって、当該無線機器が保持する識別情報を取得する識別情報取得部と、前記識別情報取得部によって取得された識別情報をデータサーバに通知し、当該識別情報に対応する出力データを前記データサーバから取得する出力データ取得部と、前記出力データ取得部によって取得された出力データを格納する出力データ格納部と、前記出力データ格納部に格納された出力データに基づいた出力処理を行う出力処理部とを備えている。
【0010】
この場合において、前記出力処理部は、利用者からの出力指示に応じて、出力処理を開始するようにしてもよい。また、前記出力データ格納部は、前記出力データ取得部によって取得された出力データを、前記データサーバから通知される出力データの予約識別情報と対応付けて管理するようにしてもよい。更に、前記出力処理部は、利用者から通知される予約識別情報に対応する出力データを前記出力データ格納部から取得して出力処理を行うようにしてもよい。
【0011】
また、以上の場合において、前記出力データ格納部は、前記出力処理部による出力が終了した出力データを削除するようにしてもよい。また、前記出力データ格納部は、格納後一定時間以上出力されなかった出力データを削除するようにしてもよい。また、前記出力データ格納部は、前記出力データ取得部によって取得された出力データを、前記識別情報と対応付けて管理するようにしてもよい。更に、前記識別情報取得部は、利用者が携帯する無線機器が所定の範囲外に出たことを検知すると、その旨を前記出力データ格納部に通知し、前記出力データ格納部は、当該通知を受けると、前記無線機器が保持する識別情報に対応する出力データを削除するようにしてもよい。
【0012】
[データサーバ]
本発明に係るデータサーバは、利用者からの出力データの登録を受け付けて、当該出力データに対応する予約識別情報を発行する予約受付部と、利用者が登録した出力データを、前記予約受付部によって発行された予約識別情報及び前記利用者が携帯する無線機器が保持する識別情報と対応付けて保管する出力データ保管部と、出力装置から通知される前記無線機器が保持する識別情報に対応する出力データを、前記出力データ保管部から取得して、前記出力装置に送信する出力データ送信部とを備えている。
【0013】
[データダウンロード装置]
本発明に係るデータダウンロード装置は、利用者が携帯する無線機器から無線通信によって、当該無線機器が保持する識別情報を取得する識別情報取得部と、前記識別情報取得部によって取得された前記識別情報をデータサーバに通知し、当該識別情報に対応するデータを前記データサーバからダウンロードするデータ取得部とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、店舗等に設置された出力装置等において利用者が出力結果等を入手するための待ち時間を削減することが可能になるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明が適用されるネットワーク・プリント・システムの構成を示す図である。
【0017】
同図に示すように、本発明が適用されるネットワーク・プリント・システム100は、クライアントPC110と、NPSサーバ120と、出力装置130とを備える。クライアントPC110とNPSサーバ120とは、インターネット140を介して接続されており、NPSサーバ120と出力装置130とは、コンビニエンス・ストアの内部ネットワークであるコンビニネット150を介して接続されている。
【0018】
クライアントPC110は、ユーザが外出先等で出力したい文書ファイルや画像ファイルを、NPSサーバ120に登録等するためのものであって、例えば、通常のパーソナルコンピュータ(PC)その他のコンピュータで構成される。より具体的には、クライアントPC110は、CPU、メインメモリ、ハードディスク装置、光ディスクドライブ、ネットワークインタフェース部、表示装置、入力装置等を備える。表示装置は、例えば、CRT表示装置やLCD表示装置等によって構成され、入力装置は、例えば、キーボードやマウスその他のポインティングデバイス等によって構成される。
【0019】
NPSサーバ120は、ネットプリントサービスを提供するためのサーバであって、クライアントPC110からインターネット140を介して送られてくる文書ファイル等を保管しておき、出力装置130からの出力要求に応じて、保管しておいた文書ファイル等をコンビニネット150を介して出力装置130に送信するものである。NPSサーバ120は、例えば、クライアントPC110と同様に、通常のPCその他のコンピュータで構成される。
【0020】
出力装置130は、例えば、コンビニエンス・ストア等の各店舗に置かれて利用されるものであって、ネットプリントサービスを提供するものである。すなわち、ユーザからの出力指示に応じて、NPSサーバ120から、ユーザが登録した文書ファイル等をダウンロードして、プリント出力する。更に、出力装置130は、文書ファイル等を登録したユーザが携帯する無線機器が登録されている場合は、当該ユーザが携帯する無線機器を検知した時点で、ユーザからの出力指示を待たずして、当該ユーザが登録した文書ファイル等のダウンロードを開始する。当該動作の詳細については後述する。
【0021】
図2は、このような動作を行う出力装置130の装置構成を示す図である。
【0022】
同図に示すように、出力装置130は、画像入出力装置131と、制御装置132と、ユーザインタフェース(UI)装置133と、無線通信装置134と、課金装置135とを備える。
【0023】
画像入出力装置131は、文書ファイル等の用紙へのプリント出力や、原稿画像のスキャン入力を行うものであって、例えば、通常のディジタル複合機によって構成される。より具体的には、画像入出力装置131は、CPU、メモリ、プリントエンジン、スキャナ等を備える。
【0024】
制御装置132は、出力装置130の各種制御を行うものであり、例えば、クライアントPC110と同様に、通常のPCその他のコンピュータで構成される。より具体的には、制御装置132は、CPU、メインメモリ、ハードディスク装置、光ディスクドライブ、各種インタフェース部(例えば、ネットワークインタフェース部)等を備え、CPUがメインメモリ上にロードされたプログラムを実行することで各種制御を行う。制御装置132は、出力装置130を構成する他の装置131、133〜135と、適当なインタフェースを介して接続されている。また、制御装置132は、コンビニネット150にも接続されている。
【0025】
ユーザインタフェース(UI)装置133は、ユーザからの指示を入力したり、ユーザに対して各種情報(各種メニューや各種メッセージ等)を提示したりするものであり、例えば、入力装置及び表示装置としてのタッチパネル付き液晶ディスプレイによって構成される。
【0026】
無線通信装置134は、ユーザが携帯する無線機器(例えば、無線通信機能を備えたモバイルPCやPDA等の各種情報端末や非接触ICカード等)との間で無線通信を行うものであって、当該無線機器を携帯するユーザが近づいてきたことを検知すると、当該無線機器から無線通信によって、当該無線機器が保持する情報(識別情報)を取得するものである。無線通信装置134は、実装条件(どの位置でユーザを検知するか等)に応じて、出力装置130を構成する他の装置の近くに置かれたり、出力装置130を構成する他の装置から離して(例えば、店舗の入口付近に)置かれたりする。
【0027】
無線通信装置134に利用する無線技術としては、例えば、各種無線LAN、RFID(Radio Frequency IDentification)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信等が考えられ、無線通信装置134は、例えば、無線LANのアクセスポイントやRFIDリーダとして構成される。そして、無線通信装置134は、ユーザが携帯する無線機器が無線LAN機能を備えたモバイルPC等の場合は、MAC(Medium Access Control)アドレスやPCのホストネーム等を機器(又はユーザ)の識別情報として取得し、ユーザが携帯する無線機器が非接触ICカードやRFIDタグを内蔵した端末等の場合は、Felica(登録商標)のID等のRFIDタグの情報を機器(又はユーザ)の識別情報として取得する。また、利用する無線技術が、Bluetoothや赤外線通信の場合は、無線通信装置134は、ユーザが携帯する無線機器から送信される情報を機器(又はユーザ)の識別情報として受信する。
【0028】
課金装置135は、出力装置130が提供するサービス(本実施形態では、ネットプリントサービス)に対する課金を行うものであり、硬貨や紙幣を投入するための投入口や、硬貨や紙幣を返却するための返却口や、投入された硬貨や紙幣の種類を認識して、投入された金額を計数する金額計数部等を備える。
【0029】
図3は、NPSサーバ120及び出力装置130の機能構成を示す図である。
【0030】
同図に示すように、NPSサーバ120は、予約受付部301と、出力データ保管部302と、出力データ送信部303とを備える。一方、出力装置130は、識別情報取得部311と、出力データ取得部312と、出力データ格納部313と、出力処理部314とを備える。
【0031】
NPSサーバ120の予約受付部301は、ユーザからの文書ファイル等の登録(プリント予約)を受け付けて、当該文書ファイル等に対応するプリント予約番号(予約識別情報)を発行し、ユーザに通知するものである。
【0032】
NPSサーバ120の出力データ保管部302は、ユーザが登録(アップロード)した文書ファイル等を、予約受付部301によって発行されたプリント予約番号及びユーザが携帯する無線機器が保持する識別情報と対応付けて保管するものである。ユーザが携帯する無線機器が保持する識別情報は、ユーザ登録時又はプリント予約時に、ユーザによってNPSサーバ120に登録される。
【0033】
NPSサーバ120の出力データ送信部303は、出力装置130から送られてくる無線機器が保持する識別情報を受け取ると、当該識別番号に対応する文書ファイル等を、出力データ保管部302から取得して出力装置130に送信するものである。なお、出力データ送信部303は、文書ファイル等と共に、当該文書ファイル等に対応するプリント予約番号も出力装置130に送信する。
【0034】
一方、出力装置130の識別情報取得部311は、ユーザが携帯する無線機器320を検知すると、無線機器320から無線通信によって、無線機器320が保持する識別情報を取得するものである。識別情報取得部311によって取得された識別情報は、出力データ取得部312に通知される。
【0035】
出力装置130の出力データ取得部312は、識別情報取得部311から通知される識別情報を、NPSサーバ120に送信し、当該識別情報に対応する文書ファイル等をNPSサーバ120からダウンロードするものである。
【0036】
出力装置130の出力データ格納部313は、出力データ取得部312によってダウンロードされた文書ファイル等を格納するものである。出力データ格納部313は、ダウンロードされた文書ファイル等を、無線機器320が保持する識別情報及びダウンロード時にNPSサーバ120から通知されるプリント予約番号と対応付けて管理する。また、出力データ格納部313は、ダウンロードされた文書ファイル等が出力処理部314によってプリント出力されると、当該文書ファイル等を削除する。更に、ダウンロード後、プリント出力されることなく、一定時間以上経過した場合、又は、無線機器320を携帯するユーザが所定の範囲外(例えば、店舗外や、無線通信可能な範囲外)に出たことを検知した場合、該当する文書ファイル等を削除する。
【0037】
出力装置130の出力処理部314は、ユーザからの出力指示に応じて、出力データ格納部313に格納されている文書ファイル等に基づいた出力処理を行うものである。すなわち、ユーザによってプリント予約番号が入力されて、プリント出力指示がされると、入力されたプリント予約番号に対応する文書ファイル等を出力データ格納部313から取得し、取得した文書ファイル等に基づいてプリント出力を行う。なお、入力されたプリント予約番号に対応する文書ファイル等が出力データ格納部313に存在しない場合は、当該プリント予約番号が出力データ取得部312に通知され、出力データ取得部312が、当該プリント予約番号に対応する文書ファイル等をNPSサーバ120からダウンロードして、出力データ格納部313に渡す。
【0038】
次に、以上のような構成を有するネットワーク・プリント・システム100の動作について説明する。
【0039】
ここでは、図1に示したネットワーク・プリント・システム100において、クライアントPC110からNPSサーバ120に登録した文書ファイルを、外出先近くの店舗に設置された出力装置130で出力する場合について説明する。
【0040】
図4は、ユーザが登録した文書ファイルを出力装置130で出力する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
同図に示すように、まず、ユーザは、クライアントPC110からNPSサーバ120へアクセスし、外出先でプリントしたい文書ファイルをNPSサーバ120に対してアップロードして、プリント予約(文書ファイル登録)を行う(S401)。この時、ユーザは、必要に応じて、自己が携帯する無線機器の登録を併せて行う。すなわち、自己が携帯する無線機器が保持する情報を機器(又はユーザ)識別情報としてNPSサーバ120に登録する。なお、当該識別情報は、ネットプリントサービスの利用を開始する際のユーザ登録時に登録することもできる。
【0042】
文書ファイルの登録を受け付けると、NPSサーバ120(予約受付部301)は、当該文書ファイルに対応するプリント予約番号(予約識別情報)を発行して、クライアントPC110に対して送信する(S402)。NPSサーバ120(出力データ保管部302)は、登録された文書ファイルを、プリント予約番号と対応付けて保管する。更に、NPSサーバ120(出力データ保管部302)は、プリント予約時あるいはユーザ登録時に、ユーザが、自己が携帯する無線機器が保持する情報を機器(又はユーザ)識別情報として登録していた場合は、当該識別情報も対応付けて、登録された文書ファイルを保管する。
【0043】
次に、ユーザは、外出先において、登録した文書のプリント出力を行うため、出力装置130が設置された店舗に出向く。このとき、ユーザは、登録した識別情報を保持する無線機器を携帯して店舗に出向くものとする。
【0044】
当該ユーザが、出力装置130が設置された店舗に出向き、無線通信装置134に近づいて、無線通信可能な範囲内に入ると、無線通信装置134(識別情報取得部311)は、当該ユーザが携帯する無線機器を自動的に検知し、当該無線機器から無線通信により、当該無線機器が保持する識別情報を取得する(S403)。そして、取得した識別情報を、制御装置132(出力データ取得部312)に通知する。
【0045】
無線通信装置134(識別情報取得部311)から識別情報を受け取った制御装置132(出力データ取得部312)は、当該識別情報を、コンビニネット150を介して、NPSサーバ120に送信して、当該識別情報に対応する出力データ(文書ファイル)をダウンロードする(S404)。すなわち、出力装置130では、無線通信装置134がユーザが携帯する無線機器を検知すると、ユーザの出力装置130(UI装置133)に対する操作を待たずに、文書ファイルのダウンロードを開始する。NPSサーバ120からダウンロードされた文書ファイルは、制御装置132(出力データ格納部313)が備えるハードディスク装置に格納され、ユーザが携帯する無線機器から取得した識別情報及びNPSサーバ120から文書ファイル等と共に送られてくるプリント予約番号と対応付けて管理される。なお、NPSサーバ120(出力データ保管部302)に、出力装置130から通知される識別情報に対応する文書ファイル等が存在しない場合は、その旨がNPSサーバ120から出力装置130(出力データ取得部312)に通知されてダウンロードは行われない。
【0046】
以上のようにして文書ファイルのダウンロードが自動的に開始される一方で、ユーザは、登録した文書ファイルのプリント出力を行うため、出力装置130の前で、UI装置133を操作して、ネットプリントサービスを選択し、UI装置133に表示される画面に従って、プリント予約番号を入力すると共に、必要な料金を課金装置135に投入し、登録文書ファイルのプリント出力を指示する(S405)。
【0047】
ユーザからプリント出力を指示された出力装置130(出力処理部314)は、まず、入力されたプリント予約番号に対応する文書ファイルが既にNPSサーバ120からダウンロードされているか否か確認する(S406)。その結果、既にダウンロード済みであった場合は(S406:Yes)、当該ダウンロード済みの文書ファイルを、画像入出力装置131によってプリント出力する(S408)。一方、例えば、ユーザが無線機器の登録をしていなかったり、登録した無線機器を携帯していなかったりして、ダウンロードが自動的にされていない場合は(S406:No)、入力されたプリント予約番号をNPSサーバ120に送って、当該プリント予約番号に対応する出力データ(文書ファイル)をNPSサーバ120からダウンロードし(S407)、画像入出力装置131によってプリント出力する(S408)。
【0048】
以上のようにして、ユーザから指示されたプリント出力が終了すると、制御装置132(出力データ格納部313)は、NPSサーバ120からダウンロードしてハードディスク装置に格納している文書ファイルを削除する(S409)。なお、ユーザが、何らかの理由でプリント出力を指示することなく出力装置130が設置された店舗を立ち去ったり、そもそもプリント出力することを意図しないで出力装置130が設置された店舗を訪れたりすることもあるので、制御装置132(出力データ格納部313)は、ダウンロード後、一定時間が経過しても、ユーザからのプリント出力指示がない文書ファイルについては自動的に削除する。また、ユーザが無線通信装置134から遠ざかり、所定の範囲外(例えば、店舗外や無線通信可能な範囲外)に出たことを検知できる場合は、所定の範囲外に出たことを検知した時点(あるいは、ユーザが携帯する無線機器を認識できなくなったことを確認した時点)で、ユーザが携帯する無線機器の検知に伴ってダウンロードした文書ファイルを自動的に削除するようにしてもよい。
【0049】
なお、無線通信装置134によってユーザが携帯する無線機器から識別情報を取得し、当該識別情報に対応する文書ファイルをNPSサーバ120からダウンロードする処理と、UI装置133を介したユーザからのプリント出力指示に応じてプリント出力を行う処理とは独立に制御されるので、例えば、第一のユーザがプリント出力を行っている最中に、第二のユーザが出力装置130が設置された店舗にやって来ると、第一のユーザのプリント出力処理と平行に、第二のユーザが携帯する無線機器から識別情報を取得等する処理が行われることになる。
【0050】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、近隣のユーザが携帯する無線機器を無線通信によって自動的に検知して、当該無線機器が保持する識別情報を取得し、当該識別情報に対応する出力データのダウンロードを、ユーザからの出力指示がある前に開始するようにしているので、ユーザがプリント出力を指示してから、出力結果を入手するまでの待ち時間を削減することができ、その結果、装置占有率を下げることが可能となる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、ユーザが近づいたことを検知した時点で文書ファイル等のダウンロードを開始し、ユーザがプリント予約番号を入力することで実際のプリント出力を開始しているが、例えば、本発明を課金を行わないプリント・システムに適用した場合は、ユーザが近づいたことを検知した時点で、プリント出力を開始するような実施形態も考えられる。また、上述した実施形態では、サーバからダウンロードされた文書ファイル等に基づいてプリント出力を行う出力装置に本発明を適用した場合について説明を行っているが、例えば、他の目的で所定の電子データをサーバからダウンロードするデータダウンロード装置に本発明を適用することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明が適用されるネットワーク・プリント・システムの構成を示す図である。
【図2】出力装置130の装置構成を示す図である。
【図3】NPSサーバ120及び出力装置130の機能構成を示す図である。
【図4】ユーザが登録した文書ファイルを出力装置130で出力する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
100 ネットワーク・プリント・システム
110 クライアントPC
120 NPSサーバ
130 出力装置
131 画像入出力装置
132 制御装置
133 ユーザインタフェース(UI)装置
134 無線通信装置
135 課金装置
140 インターネット
150 コンビニネット
301 予約受付部
302 出力データ保管部
303 出力データ送信部
311 識別情報取得部
312 出力データ取得部
313 出力データ格納部
314 出力処理部
320 無線機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が携帯する無線機器から無線通信によって、当該無線機器が保持する識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部によって取得された識別情報をデータサーバに通知し、当該識別情報に対応する出力データを前記データサーバから取得する出力データ取得部と、
前記出力データ取得部によって取得された出力データを格納する出力データ格納部と、
前記出力データ格納部に格納された出力データに基づいた出力処理を行う出力処理部と
を備えた出力装置。
【請求項2】
前記出力処理部は、利用者からの出力指示に応じて、出力処理を開始する請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記出力データ格納部は、前記出力データ取得部によって取得された出力データを、前記データサーバから通知される出力データの予約識別情報と対応付けて管理する請求項1又は2に記載の出力装置。
【請求項4】
前記出力処理部は、利用者から通知される予約識別情報に対応する出力データを前記出力データ格納部から取得して出力処理を行う請求項3に記載の出力装置。
【請求項5】
前記出力データ格納部は、前記出力処理部による出力が終了した出力データを削除する請求項1から4のいずれか1項に記載の出力装置。
【請求項6】
前記出力データ格納部は、格納後一定時間以上出力されなかった出力データを削除する請求項1から5のいずれか1項に記載の出力装置。
【請求項7】
前記出力データ格納部は、前記出力データ取得部によって取得された出力データを、前記識別情報と対応付けて管理する請求項1から5のいずれか1項に記載の出力装置。
【請求項8】
前記識別情報取得部は、利用者が携帯する無線機器が所定の範囲外に出たことを検知すると、その旨を前記出力データ格納部に通知し、
前記出力データ格納部は、当該通知を受けると、前記無線機器が保持する識別情報に対応する出力データを削除する請求項7に記載の出力装置。
【請求項9】
利用者からの出力データの登録を受け付けて、当該出力データに対応する予約識別情報を発行する予約受付部と、
利用者が登録した出力データを、前記予約受付部によって発行された予約識別情報及び前記利用者が携帯する無線機器が保持する識別情報と対応付けて保管する出力データ保管部と、
出力装置から通知される前記無線機器が保持する識別情報に対応する出力データを、前記出力データ保管部から取得して、前記出力装置に送信する出力データ送信部と、
を備えたデータサーバ。
【請求項10】
利用者が携帯する無線機器から無線通信によって、当該無線機器が保持する識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部によって取得された識別情報をデータサーバに通知し、当該識別情報に対応するデータを前記データサーバからダウンロードするデータ取得部と、
を備えたデータダウンロード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−117349(P2008−117349A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302491(P2006−302491)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】