説明

刃部交換可能な手工具

【課題】 刃部が鋏む機能を有し、刃部を快速に更新でき、更新費用を節約できる刃部交換可能な手工具を提供する。
【解決手段】 相互に枢着する二つの柄部1を含み、各柄部1の前端は柄部1を枢着するための一つの枢着部13をそれぞれ有する。枢着部13から作動部11が延在し、各作動部11の枢着部13に近接して対向する内側には刃部2を取付けるための一つの収容溝111がそれぞれ設けられている。刃部2は、少なくとも一つの鋏み段21と、少なくとも一つの係止孔22とを有し、各係止孔22に応じて刃部2を係止するための係止素子23が設けられている。刃部2が少なくとも一つの鋏み段21を有することにより、刃部2の鋏み段21が磨耗によって鋏み機能がなくなるとき、鋏み段21を更新すると、刃部2は再び使用できるようになり、手工具の更新費用を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃部交換可能な手工具に係り、特に、刃部が少なくとも一つの鋏み段を有し、且つ前記刃部が作動部に脱着可能である手工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図16に示すのは、従来の手工具であり、それは、ペンチ6であり、前記ペンチ6は二つの柄部61が枢着されて構成されたものであり、前記柄部61の前端には前記柄部61を枢着するための一つの枢着部62をそれぞれ有し、且つ枢着部62から挟み部63が延在し、各挟み部63の枢着部62に近接して対向する内側には刃部64が設けてあり、対向する前記刃部64によりワークを鋏むことができる。
【0003】
前記刃部64と挟み部63とは高周波で一体成形されて、且つ前記刃部64はもう一回の高周波熱処理を局所に実施されるので、前記刃部64は強度および硬さがより高いが、長時間使用されると、前記刃部64の靭性および延性が良くないので、破裂や割れがよくある。
【0004】
高周波熱処理の重複の実施によって発生する刃部64の破裂や割れを回避するために、もう一種類のペンチ7が開発されている。図17に示すように、前記ペンチ7は、刃部72を取付けるために、各挟み部71に一つの嵌め溝711がそれぞれ設けてあり、且つ前記刃部72が別に製造され、すなわち、刃部72を作製した後に高周波熱処理を実施して、溶接により刃部72を嵌め溝711内に固定し、この方式で作製された刃部は破裂や割れを回避できるが、溶接不良または刃部72が繰り返す応力を受けるため、刃部72が溶接点74から破壊されて二つの部分に割れ易く、前記ペンチ7の使用率が高くない。
【0005】
また、前記刃部を長時間使用すると、刃部72の鋏み機能が磨耗によってなくなり、このとき、ペンチ7は鋏むことができなくなり、ペンチ7を新品と交換して使用することが止む得ないので、使用コストが高くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、刃部が鋏む機能を有し、且つ刃部を快速に更新することができる刃部交換可能な手工具を提供する。
本発明の次の目的は、手工具の更新費用を節約できる刃部交換可能な手工具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明は、相互に枢着する二つの柄部を含み、各柄部の前端には前記柄部を枢着するための一つの枢着部をそれぞれ有し、且つ枢着部から作動部が延在し、各作動部の枢着部に近接して対向する内側には刃部を取付けるための一つの収容溝がそれぞれ設けてあり、前記刃部には少なくとも一つの鋏み段と、少なくとも一つの係止孔とを有し、各係止孔に応じて刃部を係止するための係止素子が設けてあることを特徴とする刃部交換可能な手工具であることを要旨としている。
【0008】
本発明では、各作動部の収容溝に近接する箇所には一つの係止溝がそれぞれ設けてあり、各係止溝には一つの鋏み素子がそれぞれ設置してあり、ワークを鋏むために、前記鋏み素子は若干の鋏み段を有することを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具であることを要旨としている。
【0009】
本発明では、刃部を収容するために、前記収容溝は底部の断面積が頂部よりもやや小さくなるテーパ状態であることを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具であることを要旨としている。
【0010】
本発明に係る刃部交換可能な手工具によれば、次のような効果がある。
(イ)刃部を快速に更新することができる。
(ロ)刃部が単独に作製され、且つ強化コーティングが実施されているので、刃部が適正な強度と、硬さと、靭性と、延性とを持つ。
【0011】
(ハ)刃部は少なくとも一つの鋏み段を有することにより、刃部の鋏み段が磨耗によって鋏み機能がなくなるとき、鋏み段を更新すると、刃部が再び使用できるようになり、手工具の更新費用が低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、図1から図15を参照する。第一実施例に係る刃部交換可能な手工具は、鋭いペンチを例にして説明する。第一実施例の手工具は、図1に示すように、相互に枢着する二つの柄部1を含み、各柄部1の一端にはワークを挟むための作動部11が設けてあり、各柄部1の他端には握るための握り部12が設けてあり、且つ各柄部1の枢着する箇所には一つの枢着部13がそれぞれ設けてあり、各枢着部13の中央には軸14を枢着するための枢着孔131がそれぞれ設けてあり、これにより、二つの柄部1が相互に枢着し、二つの柄部1にある握り部13が作動部11を開閉し、作動部11が開閉すると、ワークを挟むことができる。各作動部11の枢着部13に近接して対向する内側には刃部2を取付けるための一つの収容溝111がそれぞれ設けてあり、前記収容溝111は底部の断面積が頂部よりもやや小さくなるテーパ状態であり、前記刃部2は少なくとも一つの鋏み段21と、少なくとも一つの係止孔22とを有し、各係止孔22に応じて刃部2を係止するための係止素子23が設けてあり、これにより、ペンチによって鋏むことができる。
【0013】
前記刃部2は単独に作製され、且つ強化コーティングが実施され、本実施例では、前記強化コーティングはチタン成分を含むメッキであり、各鋏み段21が隣接する形式で前記刃部2の外周に設けられ、刃部2は適正な強度および硬さを持ち、且つ刃部2は適当な高周波熱処理が実施されているので、刃部2と鋏み段21は全て良好な靭性および延性を有し、且つ本実施例に係る刃部2と鋏み段21は一体成形されたものであるので、刃部2にある鋏み段21が割れないと共に、溶接不良による破壊も発生しない。
【0014】
また、図2に示すように、刃部2が交換可能な方式で作動部にある収容溝111内に設置されて、係止素子23を刃部2にある係止孔22内に挿入することにより、刃部2が作動部にある収容溝111内に係止され、刃部2が使用されているときに脱落しない。刃部2を交換しようとするときには、使用者が前記係止素子23を緩めると、刃部2を交換することができ、だから、本実施例によれば、刃部2を快速に更新することができる。
【0015】
また、図3と図4を参照する。使用者は、使用するときに、場合によって異なる形を持つ鋏み段21を有する刃部2を使用することができ、例えば、刃部2を三角形にしてもいいし、菱形にしてもいいし、四角形にしてもいい。刃部2の鋏み段21が磨耗によって鋏む機能がなくなるとき、刃部2は少なくとも一つの鋏み段21を有するので、このとき、刃部2の係止素子23を緩めてある角度に旋回させて他の鋏み段21を使用すると、鋏み作業を継続して実施でき、ペンチを更新する必要がないので、手工具の更新費用が低減できる。
【0016】
次に、図5と図6に示すのは、本発明の第二実施例であって、刃部2Aは少なくとも一つの鋏み段21Aを有し、且つ異なる鋏み方式に合うために、各鋏み段21Aは異なる形式にしてもいい。
【0017】
また、図7から図11に示すのは、本発明の第三実施例であり、本実施例では、手工具は鋏み工具であって、前記鋏み工具は鉄板や部品などのものを鋏む工具であり、各柄部3の一端にはワークを挟むための作動部32が設けてあり、各柄部3の他端には握るための握り部31が設けてあり、且つ各作動部32の枢着部33に近接して対向する内側には刃部35を取付けるための一つの収容溝34がそれぞれ設けてあり、前記刃部35は少なくとも一つの鋏み段351と、少なくとも一つの係止孔(図示せず)とを有し、係止素子36によって刃部35を係止すると、鋏み段351によって鋏むことができ、そうすると、上記実施例と同様の機能がある。
【0018】
また、図12と図13に示すのは、本発明の第四実施例であり、各作動部4には少なくとも一つのねじ穴41が開設してあり、各ねじ穴41に応じて一つの調整ねじ42がそれぞれ設けてあり、本実施例では、刃部43が二つの斜面を有し、且つ前記刃部43の底面には一つの摺動孔44が設けてあり、刃部43の全ての鋏み段431が磨耗されて鋏む機能がなくなるとき、鋏み段431を取り外して研磨して調整ねじ42によって螺着すると、刃部43の鋏み段431が再び鋏む機能を回復するために、前記摺動孔44の内部には前記調整ねじ42と対応するナット46が設けてある。
【0019】
また、図14に示すのは、本発明の第五実施例であり、各作動部4Aには少なくとも一つのねじ穴41Aが設けてあり、各ねじ穴41Aに応じて一つのピン42Aが設けてあり、且つ刃部43Aの底面には一つの摺動孔が設けてあり、刃部43Aの全ての鋏み段431Aが磨耗されて鋏む機能がなくなるとき、鋏み段431Aを取り外して研磨して前記ピン42Aによって刃部43Aを固定すると、刃部43Aの鋏み段431Aが再び鋏む機能を回復するために、前記摺動孔の内部にはナットが設けてある。
【0020】
また、図15に示すのは、本発明の第六実施例であり、各作動部5の収容溝51と反対する側には一つの係止溝52が設けてあり、各係止溝52に応じて一つの鋏み素子53が設けてあり、前記鋏み素子53は若干の鋏み段531を有し、本実施例では、前記鋏み段531がダイヤモンドで作製されたものであり、これにより、使用者は前記鋏み素子53にある鋏み段531によってワークを鋏むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一実施例による刃部交換可能な手工具を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図3】本発明の第一実施例による刃部交換可能な手工具の刃部の鋏み段が作動部の収容溝に設置されている状態を示す上面図である。
【図4】本発明の第一実施例による刃部交換可能な手工具の刃部の鋏み段が作動部の収容溝に設置されている状態を示す上面図である。
【図5】本発明の第二実施例による刃部交換可能な手工具の刃部の鋏み段の設置状態を示す上面図である。
【図6】本発明の第二実施例による刃部交換可能な手工具の刃部の鋏み段の設置状態を示す上面図である。
【図7】本発明の第三実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図8】本発明の第三実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図9】本発明の第三実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図10】本発明の第三実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図11】本発明の第三実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図12】本発明の第四実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図13】本発明の第四実施例による刃部交換可能な手工具の刃部を示す断面図である。
【図14】本発明の第五実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図15】本発明の第六実施例による刃部交換可能な手工具を示す上面図である。
【図16】従来の手工具の上面図である。
【図17】従来の手工具の上面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 柄部、2 刃部、2A 刃部、3 柄部、4 作動部、4A 作動部、5 作動部、11 作動部、12 握り部、13 枢着部、14 軸、21 鋏み段、21A 鋏み段、22 係止孔、23 係止素子、31 握り部、32 作動部、33 枢着部、34 収容溝、35 刃部、36 係止素子、41 ねじ穴、41A ねじ穴、42 調整ねじ、42A ピン、43 刃部、43A 刃部、44 摺動孔、45 収容溝、45A 収容溝、46 ナット、51 収容溝、52 係止溝、53 鋏み素子、111 収容溝、131 枢着孔、351 鋏み段、431 鋏み段、431A 鋏み段、531 鋏み段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に枢着する二つの柄部を含み、各柄部の前端には前記柄部を枢着するための一つの枢着部をそれぞれ有し、枢着部から作動部が延在し、各作動部の枢着部に近接して対向する内側には刃部を取付けるための一つの収容溝がそれぞれ設けてあり、前記刃部には少なくとも一つの鋏み段と、少なくとも一つの係止孔とを有し、各係止孔に応じて刃部を係止するための係止素子が設けてあることを特徴とする刃部交換可能な手工具。
【請求項2】
前記手工具は、ワークを挟むための挟み工具であることを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項3】
前記手工具は、ワークを鋏むための鋏み工具であることを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項4】
鋏み作業を実施するために、前記刃部は、三角形を呈することを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項5】
鋏み作業を実施するために、前記刃部は、菱形を呈することを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項6】
鋏み作業を実施するために、前記刃部は、四角形を呈することを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項7】
前記刃部の鋏み段は、直線を呈することを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項8】
前記刃部の鋏み段は、波状を呈することを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項9】
前記刃部の表面には、刃部の耐摩耗性を向上するための強化コーティングが実施してあることを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項10】
前記強化コーティングは、チタン成分を含むメッキであることを特徴とする請求項9に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項11】
各作動部には少なくとも一つのねじ穴が開設してあり、各ねじ穴に応じて一つの調整ねじがそれぞれ設けてあり、前記刃部の底面には一つの摺動孔が設けてあり、刃部の全ての鋏み段が磨耗されて鋏む機能がなくなるとき、鋏み段を取り外して研磨して調整ねじによって螺着すると、刃部の鋏み段が再び鋏む機能が回復するために、前記摺動孔の内部には前記調整ねじと対応するナットが設けてあることを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項12】
各作動部の収容溝に近接する箇所には、一つの係止溝がそれぞれ設けてあり、各係止溝には一つの鋏み素子がそれぞれ設置してあり、ワークを鋏むために前記鋏み素子は若干の鋏み段を有することを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項13】
ワークを鋏むために、各鋏み段は、ダイヤモンドで作製されたものであることを特徴とする請求項12に記載の刃部交換可能な手工具。
【請求項14】
刃部を収容するために、前記収容溝は、底部の断面積が頂部よりもやや小さくなるテーパ状態であることを特徴とする請求項1に記載の刃部交換可能な手工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−167344(P2006−167344A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367571(P2004−367571)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(500342400)
【Fターム(参考)】