分光光度計用フローセル
【課題】比較的容易に製造可能な分光光度計用のフローセルを提供する。
【解決手段】分光光度計内で使用されるフローセル100は、中間部材114が他の2つの部材112,116の間に配設されて構成されている。各部材は機械ネジ134,136で互いに締結されている。そのため、セルは容易に製造可能である。互いに締結された部材が流れの通路を規定するが、この流路は中間部材114を貫通する穴118と、前記穴の一端に位置する液体流入領域と前記穴の他端に位置する液体流出領域とを含み、これらの領域は両部材の間に配設されたシール用ガスケット130,132内の回廊150,152によって構成できる。部材112,116はそれぞれ、透明な窓142,146を含み、それにより流れの通路の一部を通過する光路A,A'を構成する。液体流入領域と液体流出領域とは、光路A,A'へ流入し、またそこから流出する液体の流れが、光路に沿った流れを横切るように光の窓に隣接して生じるように構成されている。
【解決手段】分光光度計内で使用されるフローセル100は、中間部材114が他の2つの部材112,116の間に配設されて構成されている。各部材は機械ネジ134,136で互いに締結されている。そのため、セルは容易に製造可能である。互いに締結された部材が流れの通路を規定するが、この流路は中間部材114を貫通する穴118と、前記穴の一端に位置する液体流入領域と前記穴の他端に位置する液体流出領域とを含み、これらの領域は両部材の間に配設されたシール用ガスケット130,132内の回廊150,152によって構成できる。部材112,116はそれぞれ、透明な窓142,146を含み、それにより流れの通路の一部を通過する光路A,A'を構成する。液体流入領域と液体流出領域とは、光路A,A'へ流入し、またそこから流出する液体の流れが、光路に沿った流れを横切るように光の窓に隣接して生じるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体流内に溶解している物質を分析するための分光光度計内で使用されるフローセルに関する。本発明は、高速液体クロマトグラフィーでの使用に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
本発明が行われた経緯を説明するために、本発明の背景について以下に述べる。これは、この内容のいずれかの部分が本願の優先日付の時点でオーストラリアにおいて公表されているか、周知であるか、または公知の一般的な知識の一部であることを認めるものではない。
例えば高速液体クロマトグラフの流出液のような流れる液体中に様々な濃度で溶解している様々な化学物質を検出し、その濃度を求めることが有用なことが多い。そのような化学物質が特徴的な波長の光を吸収すると、それらは分光光度計で検出できる。分光光度計による連続測定のためには、フローセルを通して液体流(またはその代表的な部分)を流すことが便利である。クロマトグラフのカラムから流出する各種の化学物質を高い分解能で求めるためには、フローセルを通過するその通路の中で、流出する液体が可能な限り混合しないことが重要である。これは、セルの体積を小さく維持し、またセルを通過する管路または流通路の全体が、流れる液体によって効率的に掃引されるようにすることによって可能となる。かかる特性を有するフローセルの一例が、BerickおよびMagnussen.Jr.によって下記特許文献1(1983年2月22日)で開示されている。別の例がMagnussen.Jr.によって下記特許文献2(1991年11月12日)で開示されている。これらの開示のそれぞれのフローセルでは、通路に流入する液体の流れの特性を調整する手段が、通路を通過する流れの入り口端に隣接し、また通路を取り囲んで備えられている。かかる手段は、通路に流入する流れを円周に沿って一様に分布させ、それにより望ましくない流れの混合を軽減する。しかしこれらのフローセルは両方とも製造が困難である。
【特許文献1】米国特許第4,374,620号明細書
【特許文献2】米国特許第5,064,287号明細書
【特許文献3】米国特許第5,062,706号明細書
【特許文献4】米国特許第5,214,593号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、比較的容易に製造可能な分光光度計用のフローセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、流れる液体中に溶解している化学物質を分析するための分光光度計で使用されるフローセルが提供され、前記フローセルは、他の2つの部材の間に配設された中間部材を含む複数の部材を備えており、前記複数の部材は互いに締結されており、体積の小さな流れの通路を形成し、前記流れの通路の一部が、中間部材を貫通する穴と、穴の一端に位置する液体流入領域および穴の他端に位置する液体流出領域とを含み、他の2つの部材が各々、中間部材を貫通する穴のそれぞれの端に位置合わせされた透明な窓と関連付けられ、それにより前記流れの通路の前記部分を通る光路を形成し、前記流入および流出領域はそれぞれ、前記穴の方向を横切って、前記透明な窓に非常に近く隣接して前記領域に流入し、またはそこから流出する液体の流れの通路の一部によって形成されている。
【0005】
本発明の1実施形態において、前記流れの通路の前記部分は各々、中間部材と前記他の部材の一方との対向する両表面の間に配設された弾力性のあるガスケット内の回廊によって形成され、前記回廊は部材中の穴とオフセット流入/流出ダクトとの間の液体流路を提供している。ガスケットは、各部材が互いに締結されたときにそれらの間のシールを構成する。
【0006】
本発明の別の実施形態において、前記流れの通路のそれぞれの前記部分は、部材の中に形成された回廊によって提供され、回廊は部材中の穴とオフセット流入/流出ダクトとの間の液体流路を形成している。この実施形態でも、各部材が互いに締結されたときに隣接する部材の間をシールするために弾力性のあるガスケットを備えることができるが、2つの隣接する部材のうち少なくとも1つを弾力性のある材料で形成することにより、かかるガスケットを省略することができ、この場合はそれらの部材が互いに締結されたときに必要なシールの役割をこの弾力性のある部材が果たす。ガスケットを備えていない実施形態では、中間部材を適当に弾力性のある材料で構成することが好ましい。
【0007】
ここで、「回廊(ギャラリー)」という言葉は、弾力性のあるガスケットまたは部材中の空間、例えば開口、穴、凹部、空洞、通路またはダクトなどで形成されるものを規定すると理解され、そのガスケットまたは部材が他の部材と共に組み立てられて前記空間を閉じたときに、液体の流路を形成するものである。
上記の2実施形態のいずれにおいても、3個の部材だけ、すなわち光路の主要部分を構成する穴を有する中間部材と、その両側に配設されて、各部材が互いに締結されたときに前記穴と並ぶ透明な窓がそれぞれ取り付けられた他の部材とがあるだけでよい。回廊を含む弾力性のあるガスケットが備えられる場合、これらは3個の部材の間に挟まれる。
【0008】
別の実施形態では、フローセルは5個の部材、すなわち前記穴を有する中間部材と、その両側に配設(間に弾力性のあるガスケットがはさまれていてもよい。)された透明板と、各透明板の「外」側に配設された別の部材とを備えている。前記別の部材は、中間部材を貫通する前記穴と位置合わせされた穴を有することができる。部材のこのような組み合わせを有するフローセルの実施形態では、前記透明板が透明な窓を構成する。
【0009】
例えばチタンのような耐腐食性の金属、またはポリエーテルエーテルケトンのような適当なエンジニアリング樹脂で形成することのできる複数の部材でフローセルを構成することは、適当な形状の部材を機械加工または成型によって容易に製造することができるという利点を有する。部材は複雑な形状ではなく、大略的に直方体形状であり、また例えば機械ネジ、ナット付ボルト、または外部固定具により容易に互いに締結することができる。透明な窓は、適当な材料の窓を各部材の間に挿入し、流通路を通過する高圧の液体流に対して部材を適当にシールすることにより形成される。シーリング構造の一例がMagnussen.Jr.によって上記特許文献3(1991年11月5日)で開示されているが、当業者であれば別の適当なシール方法を知っているであろう。別の方法として上で述べたように、透明材料製の板を弾力性のあるガスケットと部材との間に挟むことにより、窓を形成することができる。弾力性のあるガスケットを使用することにより、流れる液体の漏れに対するシールが得られ、特に高圧の液体流に耐えるフローセルを容易に製造する上で利点をもたらす。以上のように、本発明は比較的容易に製造できる分光光度計用フローセルを提供する。
【0010】
ガスケット内で、またはガスケット中で穴に接する部材内で、適当な形状を有する回廊を使用して、流通路の光路の部分を通って液体を流すことにより、混合を最小に抑えながら次々と増加する液体によって光路を効率的に掃引し、または洗うことができることがわかった。光路内に入る方向に、そこから出る方向に、または各光路の間に液体を運ぶ回廊の断面積は、光路を効率的に掃引し、または洗うために適当なように、液体の速度を増加または減少するように設計できる。したがって本発明は、液体流の中の吸光性物質の敏感な検出を可能にしながら、流れの後に続く部分の中に含まれる各種物質の分解能を維持する。
【0011】
部材は好適には、流通路の別の部分を通る第二の光路をも形成している。流通路のこの他の部分は好適には、最初に述べた光路よりも短い。この特徴は、長さの異なる2つの光路を使用することにより、測定濃度範囲を拡大することを可能にする。例えば、化学物質の濃度が1つの光路内で正確に測定するには高すぎるかまたは低すぎる吸光度を生じるようなレベルである場合は、別の光路でより適当な吸光度を測定することができる。
【0012】
部材はまた、セルを通過する参照ビームのために、流通路から離れた光路を提供していてもよい。参照ビームが通過するためのこの光路は、流通路を通る光路と同様に構成し、その光学的特性が同様になるようにすることができる。
本発明の他の特徴および利点は、本発明をより良く理解するために、またそれがどの様に実施できるかを示すために、その好適な、しかし限定的ではない実施形態に関する添付の図面を参照しながら以下の説明を読めば明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず図1Aを参照して、3つの部材112,114および116を備えたフローセル100を示す。部材114は、部材112と116との間に配設されている中間部材である。これは平行な2つの平坦な面を有しており、その1つの面からそれを通って垂直に延びる4つの穴118,120,122および124を含む。部材112および116はそれぞれ平行な平坦面126および128を備えている。部材112および116は、中間部材114を通る穴122および124と一直線に並ぶ貫通穴を含み、以下で述べるようにフローセルを組み立てるようにしている。部材112を貫通する穴には、参照符号129で示すようにネジを切ってもよい。セル100を形成するために、例えばテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体(デュポン社製のFEP)製のガスケット130(図1B参照)を部材112の平らな面126の上に載置し、部材114をガスケット130上に載置し、ガスケット132(図1C参照)を部材114の反対側の平らな面上に載置し、そして部材116の平らな面128をガスケット132上に載置する。機械ネジ134および136を、それぞれ穴122および124に通し、部材116内の位置合わせされた穴と、ガスケット130および132内の対応する穴とに通し、更に部材112内のねじ穴129にねじ込むことにより、図示のように各部材が互いに締結されたアセンブリーが固定される。部材116中の凹部140内に配設された座金セット138(皿座金(ベルヴィルワッシャ))とネジ134および136とが組み合わされて、ガスケット130および132に対する部材112,114および116の封止圧力が維持される。
【0014】
部材112には、高圧周辺シール144(例えば上記特許文献3に開示)を含む第一の光学的窓アセンブリー142が備えられ、部材116にはそれに対応して高圧周辺シール148を含む第二の光学的窓アセンブリー146が備えられている。窓アセンブリー142および146は、それぞれ部材112および116を通る透明な光路を形成する。窓アセンブリー142および146は、それぞれの表面126および128と面一である平らな透明の表面を形成している。セル100が図1Aに示すように組み付けられると、窓142はガスケット130の中で回廊(ギャラリー)150と位置合わせされ、窓146はガスケット132の中で回廊152と位置合わせされる。回廊(ギャラリー)150および152は、それぞれ穴118の隣接する端と位置合わせされ、その結果、セル100内を通る光路A,A’が形成される。部材112には、平坦面126内の穴を終端とするダクト156に開口する液体ポート154が備えられている。ガスケット130内の回廊150は、ダクト156を、中間部材114を貫通する穴118の隣接する端部に結合している。同様に部材116には、平坦面128内の穴を終端とするダクト160に開口する液体ポート158が備えられ、ガスケット132内の回廊152は、ダクト160を穴118の隣接する端部に結合している。これにより、液体ポート154と158との間で回廊150,152および穴118を通って流れる液体の通路が構成される。この通路を通って流れる液体は光路A,A’内にあり、窓アセンブリー142と窓アセンブリー146との間の穴118に含まれる液体部分に対して分光光度測定を行うことができる。液体の前記部分を通る光の光路長は、それぞれ部材112および116の対応する平坦面126と平坦面128との間の距離で規定される。この距離は第一義的には穴118の長さ、すなわち中間部材114の厚みによって定められる。光路A,A’内の液体の体積は、主に穴118の長さと直径とで規定される。
【0015】
図1Aに、フローセル100を示す。フローセル100は、かくして他の2つの部材112,116の間に配設された中間部材114を含む複数の部材を含み、前記複数の部材は(ネジ134、136によって)互いに締結されており、体積の小さな流れの通路(ポート154−ダクト156−回廊150−穴118−回廊152−ダクト160−ポート158)を形成し、前記流れの通路の一部が、中間部材114を貫通する穴118と、穴118(回廊150)の一端に位置する液体流入領域および穴118の他端に位置する液体流出領域(回廊152)とを含む。他の2つの部材112,116が各々、中間部材114を貫通する穴118のそれぞれの端に位置合わせされた透明な窓142,146と結び付けられ、それにより前記流れの通路の前記部分を通る光路A,A’を形成している。穴118のそれぞれの端の前記液体流入および流出領域を形成する回廊150および152は、前記穴118の方向を横切って、前記透明な窓142または146に非常に近く隣接して前記領域に流入し、またはそこから流出する液体の流れを実現するようになされる。
【0016】
分光光度計用のフローセルの設計にはつきものであるが、非常に小さな体積(分解能の点から好ましい)を実現することと、許容可能な信号雑音比を得るために十分な光のスループットを実現することとの間での兼ね合いの問題がある。本発明者は、穴118の直径を1.4mm、長さを9.0mmとすることで、本発明者が使用する分光光度計では非常に満足すべき性能が得られることを見いだした。この寸法を有する穴118の体積は13.9マイクロリットルである。穴118のそれぞれの端部での回廊150および152の部分の体積を追加すると、光路A,A’内の液体の体積は合計で約15マイクロリットルとなる。穴118の寸法として別の有用な組み合わせは、例えば直径0.5mm、長さ4.0mmである。当業者であれば、そのセルが使用される分光光度計のビーム形状を考慮して穴118の寸法を選定しなければならないことを理解するであろう。ここで述べた寸法は単なる例に過ぎない。
【0017】
中間部材114内の穴120と、部材112および116内の対応する穴162および164と、更にガスケット130および132内の穴166および168とにより、それぞれ光路A,A’と平行な第二の光路B,B’がフローセル100を通って形成されている。中間部材114内の穴120の中には光学的スペーサー170が備えられ、また部材112および116内に窓アセンブリー172および174が備えられ、それにより第二の光路B,B’が光路A,A’と同様の光学的特性を有するようになされている。第二の光路B,B’は、参照ビームをフローセル100に通すのに有用である。このような参照ビームは、当該技術で知られているように、光路A,A’内の液体の分光光度測定に有用である。レンズ176,178,180および182が、対応する窓アセンブリー146,174,172および142の一部を形成し、それぞれの光路を通る光を焦点に集める。使用時には、分光光度計のサンプルビームがA,A’に沿って通過し、参照ビームがB,B’に沿って通過するように、セル100を分光光度計(図示せず)内に配設する。流れる液体の分光光度測定を行うためには、2つの液体ポート154および158の一方を、高速液体クロマトグラフのカラムの流出口のような液体流の発生源に接続する。前記2つの液体ポート154および158の他方は排出ダクトに接続され、液体流が制御された仕方で流出できるようにする。
【0018】
ここで図2Aを参照して、フローセル200は3個の部材212,214および216を含む。中間部材214は平行な2つの平坦な面を有し、その1つの面から垂直に延びる5つの穴218,220,222,224および226を含む。光学的スペーサー/窓アセンブリー228を取り付けられるように、穴222は図示のように段差を有し、また面取りされている。窓アセンブリー228は高圧周辺シール(例えば上記特許文献3に開示されているもの)を含む。部材212および216はそれぞれ平行な平面230と232とを有する。セル200を構成するために、部材212の平面230上にガスケット234(図2B参照)が載置され、ガスケット234上に部材214が載置され、部材214の反対の平面上にガスケット236(図2C参照)が載置され、ガスケット236上に部材216の平面232が載置される。中間部材214内の穴224および226をそれぞれ貫通し、部材216および212内およびガスケット234および236の対応する穴を貫通する(図1Aの実施形態と同様に)機械ネジ238および240が、図示のようにアセンブリーを締結している。図1Aの実施形態と同様に、座金242,244を備えたネジ238および240の頭は部材216内の凹部245の中に納められ、各ネジは部材212内のねじ穴247に係合している。座金セット242および244(皿座金)はネジ238および240と共に、ガスケット234および236上における部材212,214の封止圧力を保持する。
【0019】
部材212には第一の光学的窓アセンブリー246が備えられ、部材216には対応する第二の光学的窓アセンブリー248が備えられている。窓アセンブリー246および248はそれぞれ、部材212および216を通る透明な光路を形成し、また液体の流れに対する障壁となる。窓アセンブリー246および248はそれぞれ表面230および232と同一平面内にある透明な平面を形成している。セル200が図示のように組み付けられると、窓246はガスケット234内の回廊250と位置合わせされ、窓248はガスケット236内の回廊252と位置合わせされる。回廊250および252はそれぞれ穴218の隣接する端部と位置合わせされ、図示のようにセル200を通って第一の光路C,C’が形成される。
【0020】
部材216には、平面232内の穴で終端するダクト256に開口する液体ポート254が備えられている。ガスケット236内の回廊252は、ダクト256を中間部材214を通る穴218の隣接する端部に接続する。穴218の反対側の端は、ガスケット234内の第一の回廊250の一端と連通している。回廊250の反対側の端は、中間部材214を通る穴222の端と連通している。部材212には、回廊250を通って穴222に入る光路を形成する第三の窓アセンブリー258が備えられている。穴222内の環状スペーサー260(図5Aおよび図5B参照)が、回廊250によって作られる間隙を除いてガスケット234に対するシールを行う。スペーサー260の反対側の面は部材214内の光学的スペーサー/窓アセンブリー228の窓262に嵌合している。光学的スペーサー/窓アセンブリー228は、部材214と216との間のガスケット236内の穴264を通って、部材216内の第四の窓アセンブリー266への光路を形成している。これにより、セル200を通る第二の光路D,D’が形成される。光学的スペーサー/窓アセンブリー228の窓262に隣接する環状スペーサー260は、部分268および270(図5Aおよび図5B参照)が切り欠かれており、スペーサー260の内部272からガスケット234内の第二の回廊274への通路が形成されている。第二の回廊274は、ガスケット236内の穴276と連通する中間部材214を通る穴220への経路を形成している。ガスケット236内の穴276は、部材216内の液体ポート280につながるダクト278と連通している。これにより、液体ポート254と液体ポート280との間の液体流のための通路が形成されている。
【0021】
液体は光路C,C’およびD,D’内の前記通路を流れ、窓アセンブリー246と248との間の穴218の中に含まれる液体部分に対して、また窓アセンブリー258と光学的スペーサー/窓アセンブリー228との間の流路のその部分の中に含まれる液体部分に対して、分光光度測定を別々に行うことができる。穴218内の液体の部分を通る光の光路長は、部材212および216のそれぞれの対応する平面230と平面232との間の距離によって規定される。この距離は第一義的には穴218の長さ、すなわち部材214の厚みによって定められる。光路C,C’内の液体の体積は主に穴218の長さと直径とで規定される。本発明者は、穴218の有用な寸法は、例えば長さが9.0mmで直径が1.9mmであり、ある特定の分光光度計でセル200を使用した場合は長さが4.0mmで直径が2.0mmであることを見いだした。当業者であれば、そのセル200が使用される分光光度計のビーム形状を考慮して穴218の寸法を選定しなければならないことを理解するであろう。ここで述べた寸法は単なる例に過ぎない。
【0022】
窓アセンブリー258と光学的スペーサー/窓アセンブリー228との間の液体部分を通る光の光路長は、第一義的には窓アセンブリー258の窓と光学的スペーサー/窓アセンブリー228の窓262との間の距離で規定される。この距離は第一義的には環状スペーサー260の厚みによって定められる。窓262の長さは、窓262のガスケット234に環状スペーサー260を押しつけたときに、環状スペーサー260とガスケット234との間がしっかりとシールされるようなものでなければならない。光路D,D’内の液体の体積は主に、環状スペーサー260内のスペース272の長さおよび直径と、窓258と窓262との間の回廊250のその部分とで規定される。本発明者は、適切な環状スペーサー260の内径が2.4mmで厚みが1mmであることを見いだした。穴218の内径が1.9mmで長さが9mmのときに、流れる液体を通る光路長C,C’およびD,D’の比が9:1となるので、これらの寸法が有用である。当業者であれば、セル200が使用される分光光度計のビーム形状を考慮してスペーサー260内のスペース272の寸法を選定しなければならないことを理解するであろう。ここで述べた寸法は単なる例に過ぎない。
【0023】
使用においては、当該技術で既知のように(例えば上記特許文献4を参照)、2つのサンプルビームを有する特殊な分光光度計(図示せず)内にセル200を配設する。セル200は、分光光度計の一方のサンプルビームがC,C’に沿って通過し、他のサンプルビームがD,D’に沿って通過するような位置に置かれる。C,C’を通る液体流路を通過する光路長は、D,D’を通る光路長よりもはるかに大きい。吸光量は、吸収する化学種の濃度と同時に光路長にも比例する。したがって、既知のように長さの異なる2つの光路を使用することにより、測定濃度範囲を拡大することができる。流れる液体の分光光度測定を行うには、液体ポート254を高速液体クロマトグラフのカラムの流出口のような液体流の発生源に接続し、液体ポート280を排出ダクトに接続し、液体流が制御された仕方で流出できるようにする。
【0024】
図3A〜図3Dおよび図4A〜図4Dに、本発明者が試験をした回廊150および152(図1Bおよび図1Cに示したガスケット130および132内)の各種形状150a〜150dおよび152a〜152dをそれぞれ示す。これらすべてにおいて、図1Aのセル100が前に述べたように組み付けられたとき、回廊150および152の広くなった端は、穴118内の中に開口する。回廊150および152の狭い方の端は、それぞれセル100の対応するダクト156または160内の中に開口する。回廊150および152に対して図示された形状を試験して、異なる形状の回廊から予想された異なる流れの特性がフローセル100の性能に何らかの影響を有するかどうかを調べた。その結果、そのような影響は見いだされなかった。図示した各種形状のすべてが、試験された流量についてセル100を十分に洗うという結論が得られた。
【0025】
ただし、セル100の流れの通路の入り口側にあるガスケット内の回廊を螺旋形状、例えば図9で示したガスケット132e内の回廊152eのような形状に作ることにより得られる利点がある(図9のガスケットは図4A〜図4Dのガスケットと類似している)。その結果、そうでない場合と比べて、流入する液体が回廊132eを通って移動するのにある程度長い時間を要する。その理由は、セルと、クロマトグラフからセル内に流入する液体との間に、わずかな温度差があるからである。この温度差の結果、流入する液体の密度、したがってまた屈折率が、既にセル内にある液体のものと少し異なることになる。液体をクロマトグラフに流すポンプ中の機械的な脈動のために、液体をセル内に供給する流量は完全に一様ではない。ポンプが送り出す液体とセルとの間に温度差がある場合は、この供給する流量の変化のためにベースラインが変化するが、これは明らかに望ましくない。本発明者は、ほぼ螺旋形の形状を有する回廊132eは流入する液体の温度がセルの温度に近づくことを可能とし、その結果ベースラインの顕著な安定化が得られることを見い出した。回廊132eが厳密に螺旋形であることは重要ではなく、液体のための滑らかな長細い経路を形成すればよい。
【0026】
図6,図7および図8は、1つの光路を含む本発明の別の実施形態の部分の模式的な横断面を示す等角投影図である。各部を互いに適当に締結した状態に維持して、上の説明において例示されたセルを形成する手段(図示せず)が備えられていると理解すべきであり、またそのようなセルは全て上の説明において例示したように、1つよりも多くの光路を含むことができると理解されるべきである。
【0027】
図6を参照して、セル300は部材301,302および303と、弾力性のあるガスケット304および305と、そして透明板311および312とを含む。光路A,A’が部材302内の穴308を通る。穴308は、部材303内の液体ポート309から透明板312内の穴313,ガスケット305内の回廊307、穴308、ガスケット304内の回廊306および透明板311内の穴314を通って部材301内の液体ポート310まで延びる体積の小さな流れる液体の流路の一部を形成する。本発明のこの実施形態の不利な点は、透明板312および311を貫通する穴313および314を開ける必要があることである。これは、図7および図8に示す別の実施形態を使用することにより回避できる。
【0028】
図7を参照して、セル500は部材501,502および503と、透明板511および512と、弾力性のあるガスケット504および505とを含む。光路A,A’が中間部材502内の穴508を通っている。穴508は、中間部材502内の液体ポート509から中間部材502内の回廊507と、中間部材502内の穴508および別の回廊506とを通って中間部材502内の液体ポート510まで延びる体積の小さな流れる液体の流路の一部を形成している。本発明のこの実施形態では、回廊506および507が穴508に入る点は、透明板511および512のすぐ隣ではなく、それぞれ弾力性のあるガスケット504および505の厚みだけ透明板511および512から離れて透明板に隣接している。その結果、液体ポート509と液体ポート510との間を流れる液体によって、透明板511と透明板512との間に形成される光学的セルを洗う効率が多少減少する可能性がある。これは、図8に示す別の実施形態を使用することにより回避できる。この不利を回避する更に別の方法は、ガスケット504および505を省略できるように、中間部材502を適当に弾力性のある材料で構成することである。
【0029】
図8を参照して、フローセル600は、部材601,602および603と、透明板611および612と、弾力性のあるガスケット604および605とを含んでいる。光路A,A’が中間部材602内の穴608を通っている。穴608は、中間部材602内の液体ポート609からガスケット605内の回廊607、中間部材602内の穴608およびガスケット604内の回廊606を通って中間部材602内の液体ポート610まで延びる体積の小さな流れる液体の流路の一部を形成している。
【0030】
本発明によるフローセルの使用によって得られる分解能の改善が、実験結果により示された。その実験では、高速液体クロマトグラフからの流出液を従来技術のセル(15マイクロリットルのVarian Prostar 310フローセル)を使用して分析し、次に同じサンプルを図1Aに示した本発明の実施形態による15マイクロリットルのフローセルを使用して同じ条件で分析した。従来技術のセルで得られたピークの半値幅は9.7マイクロリットルであったが、図1Aに示したセルの場合はわずか7.0マイクロリットルであった。半値幅が小さいほど分解能が高いことを示す。分解能を規定する示性数(フィギュアオブメリット)は分散と呼ばれる。これは、従来のセルでは16.9マイクロリットル2乗であり、図1Aに示したセルの場合は8.84マイクロリットル2乗であった。
【0031】
更に上に述べた全ての実施形態から、通常の形状(例えば直方体)を有する複数の部材を互いに締結したものを含むフローセルは、比較的簡単に製造できることが理解できるであろう。かかる部材は容易に製造でき、またそれらを互いに締結することは簡単に達成できる。また、一対の透明な窓の間の光路に流入し、またそこから流出する液体の流れは、光路に沿った流れを横切って窓にかなり近く隣接して生じる。したがって流入および流出する液体は窓を横切って掃引し、そしてこの動作が、後から続く液体が、混合を最小にしながら光路を十分に洗う、すなわち掃引すると考えられる。
【0032】
以上説明した発明には、具体的に説明した以外の様々な変形や変更および/または追加を行うことができ、本発明は以下に述べる特許請求の範囲内のかかる変形や変更および/または追加を全て含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】液体の流れを通る単一の光路と参照ビームの通過を可能にする分離した光路とを提供する本発明の実施形態の断面図である。
【図1B】図1Aの実施形態のガスケットを示す図である。
【図1C】図1Aの実施形態のガスケットを示す図である。
【図2A】液体の流れを通る長さの異なる2つの光路を提供する本発明の実施形態の断面図である。
【図2B】図2Aの実施形態のガスケットを示す図である。
【図2C】図2Aの実施形態のガスケットを示す図である。
【図3A】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Bのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図3B】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Bのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図3C】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Bのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図3D】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Bのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図4A】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Cのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図4B】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Cのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図4C】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Cのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図4D】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Cのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図5A】図2Aに示した本発明の実施形態で使用される環状スペーサーを示す図である。
【図5B】図2Aに示した本発明の実施形態で使用される環状スペーサーを示す図である。
【図6】平坦な透明板を窓として有する本発明の実施形態の一部の断面を示す模式的な等角投影図である。
【図7】平坦な透明板を窓として有し、またガスケット内ではなく部材内に形成された回廊を有する本発明の実施形態の一部の断面を示す模式的な等角投影図である。
【図8】平坦な透明板を窓として有する本発明の別の実施形態の一部の断面を示す模式的な等角投影図である。
【図9】本発明の実施形態における流通路の入り口側で使用するための螺旋形の回廊を含むガスケットの別の例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体流内に溶解している物質を分析するための分光光度計内で使用されるフローセルに関する。本発明は、高速液体クロマトグラフィーでの使用に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
本発明が行われた経緯を説明するために、本発明の背景について以下に述べる。これは、この内容のいずれかの部分が本願の優先日付の時点でオーストラリアにおいて公表されているか、周知であるか、または公知の一般的な知識の一部であることを認めるものではない。
例えば高速液体クロマトグラフの流出液のような流れる液体中に様々な濃度で溶解している様々な化学物質を検出し、その濃度を求めることが有用なことが多い。そのような化学物質が特徴的な波長の光を吸収すると、それらは分光光度計で検出できる。分光光度計による連続測定のためには、フローセルを通して液体流(またはその代表的な部分)を流すことが便利である。クロマトグラフのカラムから流出する各種の化学物質を高い分解能で求めるためには、フローセルを通過するその通路の中で、流出する液体が可能な限り混合しないことが重要である。これは、セルの体積を小さく維持し、またセルを通過する管路または流通路の全体が、流れる液体によって効率的に掃引されるようにすることによって可能となる。かかる特性を有するフローセルの一例が、BerickおよびMagnussen.Jr.によって下記特許文献1(1983年2月22日)で開示されている。別の例がMagnussen.Jr.によって下記特許文献2(1991年11月12日)で開示されている。これらの開示のそれぞれのフローセルでは、通路に流入する液体の流れの特性を調整する手段が、通路を通過する流れの入り口端に隣接し、また通路を取り囲んで備えられている。かかる手段は、通路に流入する流れを円周に沿って一様に分布させ、それにより望ましくない流れの混合を軽減する。しかしこれらのフローセルは両方とも製造が困難である。
【特許文献1】米国特許第4,374,620号明細書
【特許文献2】米国特許第5,064,287号明細書
【特許文献3】米国特許第5,062,706号明細書
【特許文献4】米国特許第5,214,593号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、比較的容易に製造可能な分光光度計用のフローセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、流れる液体中に溶解している化学物質を分析するための分光光度計で使用されるフローセルが提供され、前記フローセルは、他の2つの部材の間に配設された中間部材を含む複数の部材を備えており、前記複数の部材は互いに締結されており、体積の小さな流れの通路を形成し、前記流れの通路の一部が、中間部材を貫通する穴と、穴の一端に位置する液体流入領域および穴の他端に位置する液体流出領域とを含み、他の2つの部材が各々、中間部材を貫通する穴のそれぞれの端に位置合わせされた透明な窓と関連付けられ、それにより前記流れの通路の前記部分を通る光路を形成し、前記流入および流出領域はそれぞれ、前記穴の方向を横切って、前記透明な窓に非常に近く隣接して前記領域に流入し、またはそこから流出する液体の流れの通路の一部によって形成されている。
【0005】
本発明の1実施形態において、前記流れの通路の前記部分は各々、中間部材と前記他の部材の一方との対向する両表面の間に配設された弾力性のあるガスケット内の回廊によって形成され、前記回廊は部材中の穴とオフセット流入/流出ダクトとの間の液体流路を提供している。ガスケットは、各部材が互いに締結されたときにそれらの間のシールを構成する。
【0006】
本発明の別の実施形態において、前記流れの通路のそれぞれの前記部分は、部材の中に形成された回廊によって提供され、回廊は部材中の穴とオフセット流入/流出ダクトとの間の液体流路を形成している。この実施形態でも、各部材が互いに締結されたときに隣接する部材の間をシールするために弾力性のあるガスケットを備えることができるが、2つの隣接する部材のうち少なくとも1つを弾力性のある材料で形成することにより、かかるガスケットを省略することができ、この場合はそれらの部材が互いに締結されたときに必要なシールの役割をこの弾力性のある部材が果たす。ガスケットを備えていない実施形態では、中間部材を適当に弾力性のある材料で構成することが好ましい。
【0007】
ここで、「回廊(ギャラリー)」という言葉は、弾力性のあるガスケットまたは部材中の空間、例えば開口、穴、凹部、空洞、通路またはダクトなどで形成されるものを規定すると理解され、そのガスケットまたは部材が他の部材と共に組み立てられて前記空間を閉じたときに、液体の流路を形成するものである。
上記の2実施形態のいずれにおいても、3個の部材だけ、すなわち光路の主要部分を構成する穴を有する中間部材と、その両側に配設されて、各部材が互いに締結されたときに前記穴と並ぶ透明な窓がそれぞれ取り付けられた他の部材とがあるだけでよい。回廊を含む弾力性のあるガスケットが備えられる場合、これらは3個の部材の間に挟まれる。
【0008】
別の実施形態では、フローセルは5個の部材、すなわち前記穴を有する中間部材と、その両側に配設(間に弾力性のあるガスケットがはさまれていてもよい。)された透明板と、各透明板の「外」側に配設された別の部材とを備えている。前記別の部材は、中間部材を貫通する前記穴と位置合わせされた穴を有することができる。部材のこのような組み合わせを有するフローセルの実施形態では、前記透明板が透明な窓を構成する。
【0009】
例えばチタンのような耐腐食性の金属、またはポリエーテルエーテルケトンのような適当なエンジニアリング樹脂で形成することのできる複数の部材でフローセルを構成することは、適当な形状の部材を機械加工または成型によって容易に製造することができるという利点を有する。部材は複雑な形状ではなく、大略的に直方体形状であり、また例えば機械ネジ、ナット付ボルト、または外部固定具により容易に互いに締結することができる。透明な窓は、適当な材料の窓を各部材の間に挿入し、流通路を通過する高圧の液体流に対して部材を適当にシールすることにより形成される。シーリング構造の一例がMagnussen.Jr.によって上記特許文献3(1991年11月5日)で開示されているが、当業者であれば別の適当なシール方法を知っているであろう。別の方法として上で述べたように、透明材料製の板を弾力性のあるガスケットと部材との間に挟むことにより、窓を形成することができる。弾力性のあるガスケットを使用することにより、流れる液体の漏れに対するシールが得られ、特に高圧の液体流に耐えるフローセルを容易に製造する上で利点をもたらす。以上のように、本発明は比較的容易に製造できる分光光度計用フローセルを提供する。
【0010】
ガスケット内で、またはガスケット中で穴に接する部材内で、適当な形状を有する回廊を使用して、流通路の光路の部分を通って液体を流すことにより、混合を最小に抑えながら次々と増加する液体によって光路を効率的に掃引し、または洗うことができることがわかった。光路内に入る方向に、そこから出る方向に、または各光路の間に液体を運ぶ回廊の断面積は、光路を効率的に掃引し、または洗うために適当なように、液体の速度を増加または減少するように設計できる。したがって本発明は、液体流の中の吸光性物質の敏感な検出を可能にしながら、流れの後に続く部分の中に含まれる各種物質の分解能を維持する。
【0011】
部材は好適には、流通路の別の部分を通る第二の光路をも形成している。流通路のこの他の部分は好適には、最初に述べた光路よりも短い。この特徴は、長さの異なる2つの光路を使用することにより、測定濃度範囲を拡大することを可能にする。例えば、化学物質の濃度が1つの光路内で正確に測定するには高すぎるかまたは低すぎる吸光度を生じるようなレベルである場合は、別の光路でより適当な吸光度を測定することができる。
【0012】
部材はまた、セルを通過する参照ビームのために、流通路から離れた光路を提供していてもよい。参照ビームが通過するためのこの光路は、流通路を通る光路と同様に構成し、その光学的特性が同様になるようにすることができる。
本発明の他の特徴および利点は、本発明をより良く理解するために、またそれがどの様に実施できるかを示すために、その好適な、しかし限定的ではない実施形態に関する添付の図面を参照しながら以下の説明を読めば明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず図1Aを参照して、3つの部材112,114および116を備えたフローセル100を示す。部材114は、部材112と116との間に配設されている中間部材である。これは平行な2つの平坦な面を有しており、その1つの面からそれを通って垂直に延びる4つの穴118,120,122および124を含む。部材112および116はそれぞれ平行な平坦面126および128を備えている。部材112および116は、中間部材114を通る穴122および124と一直線に並ぶ貫通穴を含み、以下で述べるようにフローセルを組み立てるようにしている。部材112を貫通する穴には、参照符号129で示すようにネジを切ってもよい。セル100を形成するために、例えばテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体(デュポン社製のFEP)製のガスケット130(図1B参照)を部材112の平らな面126の上に載置し、部材114をガスケット130上に載置し、ガスケット132(図1C参照)を部材114の反対側の平らな面上に載置し、そして部材116の平らな面128をガスケット132上に載置する。機械ネジ134および136を、それぞれ穴122および124に通し、部材116内の位置合わせされた穴と、ガスケット130および132内の対応する穴とに通し、更に部材112内のねじ穴129にねじ込むことにより、図示のように各部材が互いに締結されたアセンブリーが固定される。部材116中の凹部140内に配設された座金セット138(皿座金(ベルヴィルワッシャ))とネジ134および136とが組み合わされて、ガスケット130および132に対する部材112,114および116の封止圧力が維持される。
【0014】
部材112には、高圧周辺シール144(例えば上記特許文献3に開示)を含む第一の光学的窓アセンブリー142が備えられ、部材116にはそれに対応して高圧周辺シール148を含む第二の光学的窓アセンブリー146が備えられている。窓アセンブリー142および146は、それぞれ部材112および116を通る透明な光路を形成する。窓アセンブリー142および146は、それぞれの表面126および128と面一である平らな透明の表面を形成している。セル100が図1Aに示すように組み付けられると、窓142はガスケット130の中で回廊(ギャラリー)150と位置合わせされ、窓146はガスケット132の中で回廊152と位置合わせされる。回廊(ギャラリー)150および152は、それぞれ穴118の隣接する端と位置合わせされ、その結果、セル100内を通る光路A,A’が形成される。部材112には、平坦面126内の穴を終端とするダクト156に開口する液体ポート154が備えられている。ガスケット130内の回廊150は、ダクト156を、中間部材114を貫通する穴118の隣接する端部に結合している。同様に部材116には、平坦面128内の穴を終端とするダクト160に開口する液体ポート158が備えられ、ガスケット132内の回廊152は、ダクト160を穴118の隣接する端部に結合している。これにより、液体ポート154と158との間で回廊150,152および穴118を通って流れる液体の通路が構成される。この通路を通って流れる液体は光路A,A’内にあり、窓アセンブリー142と窓アセンブリー146との間の穴118に含まれる液体部分に対して分光光度測定を行うことができる。液体の前記部分を通る光の光路長は、それぞれ部材112および116の対応する平坦面126と平坦面128との間の距離で規定される。この距離は第一義的には穴118の長さ、すなわち中間部材114の厚みによって定められる。光路A,A’内の液体の体積は、主に穴118の長さと直径とで規定される。
【0015】
図1Aに、フローセル100を示す。フローセル100は、かくして他の2つの部材112,116の間に配設された中間部材114を含む複数の部材を含み、前記複数の部材は(ネジ134、136によって)互いに締結されており、体積の小さな流れの通路(ポート154−ダクト156−回廊150−穴118−回廊152−ダクト160−ポート158)を形成し、前記流れの通路の一部が、中間部材114を貫通する穴118と、穴118(回廊150)の一端に位置する液体流入領域および穴118の他端に位置する液体流出領域(回廊152)とを含む。他の2つの部材112,116が各々、中間部材114を貫通する穴118のそれぞれの端に位置合わせされた透明な窓142,146と結び付けられ、それにより前記流れの通路の前記部分を通る光路A,A’を形成している。穴118のそれぞれの端の前記液体流入および流出領域を形成する回廊150および152は、前記穴118の方向を横切って、前記透明な窓142または146に非常に近く隣接して前記領域に流入し、またはそこから流出する液体の流れを実現するようになされる。
【0016】
分光光度計用のフローセルの設計にはつきものであるが、非常に小さな体積(分解能の点から好ましい)を実現することと、許容可能な信号雑音比を得るために十分な光のスループットを実現することとの間での兼ね合いの問題がある。本発明者は、穴118の直径を1.4mm、長さを9.0mmとすることで、本発明者が使用する分光光度計では非常に満足すべき性能が得られることを見いだした。この寸法を有する穴118の体積は13.9マイクロリットルである。穴118のそれぞれの端部での回廊150および152の部分の体積を追加すると、光路A,A’内の液体の体積は合計で約15マイクロリットルとなる。穴118の寸法として別の有用な組み合わせは、例えば直径0.5mm、長さ4.0mmである。当業者であれば、そのセルが使用される分光光度計のビーム形状を考慮して穴118の寸法を選定しなければならないことを理解するであろう。ここで述べた寸法は単なる例に過ぎない。
【0017】
中間部材114内の穴120と、部材112および116内の対応する穴162および164と、更にガスケット130および132内の穴166および168とにより、それぞれ光路A,A’と平行な第二の光路B,B’がフローセル100を通って形成されている。中間部材114内の穴120の中には光学的スペーサー170が備えられ、また部材112および116内に窓アセンブリー172および174が備えられ、それにより第二の光路B,B’が光路A,A’と同様の光学的特性を有するようになされている。第二の光路B,B’は、参照ビームをフローセル100に通すのに有用である。このような参照ビームは、当該技術で知られているように、光路A,A’内の液体の分光光度測定に有用である。レンズ176,178,180および182が、対応する窓アセンブリー146,174,172および142の一部を形成し、それぞれの光路を通る光を焦点に集める。使用時には、分光光度計のサンプルビームがA,A’に沿って通過し、参照ビームがB,B’に沿って通過するように、セル100を分光光度計(図示せず)内に配設する。流れる液体の分光光度測定を行うためには、2つの液体ポート154および158の一方を、高速液体クロマトグラフのカラムの流出口のような液体流の発生源に接続する。前記2つの液体ポート154および158の他方は排出ダクトに接続され、液体流が制御された仕方で流出できるようにする。
【0018】
ここで図2Aを参照して、フローセル200は3個の部材212,214および216を含む。中間部材214は平行な2つの平坦な面を有し、その1つの面から垂直に延びる5つの穴218,220,222,224および226を含む。光学的スペーサー/窓アセンブリー228を取り付けられるように、穴222は図示のように段差を有し、また面取りされている。窓アセンブリー228は高圧周辺シール(例えば上記特許文献3に開示されているもの)を含む。部材212および216はそれぞれ平行な平面230と232とを有する。セル200を構成するために、部材212の平面230上にガスケット234(図2B参照)が載置され、ガスケット234上に部材214が載置され、部材214の反対の平面上にガスケット236(図2C参照)が載置され、ガスケット236上に部材216の平面232が載置される。中間部材214内の穴224および226をそれぞれ貫通し、部材216および212内およびガスケット234および236の対応する穴を貫通する(図1Aの実施形態と同様に)機械ネジ238および240が、図示のようにアセンブリーを締結している。図1Aの実施形態と同様に、座金242,244を備えたネジ238および240の頭は部材216内の凹部245の中に納められ、各ネジは部材212内のねじ穴247に係合している。座金セット242および244(皿座金)はネジ238および240と共に、ガスケット234および236上における部材212,214の封止圧力を保持する。
【0019】
部材212には第一の光学的窓アセンブリー246が備えられ、部材216には対応する第二の光学的窓アセンブリー248が備えられている。窓アセンブリー246および248はそれぞれ、部材212および216を通る透明な光路を形成し、また液体の流れに対する障壁となる。窓アセンブリー246および248はそれぞれ表面230および232と同一平面内にある透明な平面を形成している。セル200が図示のように組み付けられると、窓246はガスケット234内の回廊250と位置合わせされ、窓248はガスケット236内の回廊252と位置合わせされる。回廊250および252はそれぞれ穴218の隣接する端部と位置合わせされ、図示のようにセル200を通って第一の光路C,C’が形成される。
【0020】
部材216には、平面232内の穴で終端するダクト256に開口する液体ポート254が備えられている。ガスケット236内の回廊252は、ダクト256を中間部材214を通る穴218の隣接する端部に接続する。穴218の反対側の端は、ガスケット234内の第一の回廊250の一端と連通している。回廊250の反対側の端は、中間部材214を通る穴222の端と連通している。部材212には、回廊250を通って穴222に入る光路を形成する第三の窓アセンブリー258が備えられている。穴222内の環状スペーサー260(図5Aおよび図5B参照)が、回廊250によって作られる間隙を除いてガスケット234に対するシールを行う。スペーサー260の反対側の面は部材214内の光学的スペーサー/窓アセンブリー228の窓262に嵌合している。光学的スペーサー/窓アセンブリー228は、部材214と216との間のガスケット236内の穴264を通って、部材216内の第四の窓アセンブリー266への光路を形成している。これにより、セル200を通る第二の光路D,D’が形成される。光学的スペーサー/窓アセンブリー228の窓262に隣接する環状スペーサー260は、部分268および270(図5Aおよび図5B参照)が切り欠かれており、スペーサー260の内部272からガスケット234内の第二の回廊274への通路が形成されている。第二の回廊274は、ガスケット236内の穴276と連通する中間部材214を通る穴220への経路を形成している。ガスケット236内の穴276は、部材216内の液体ポート280につながるダクト278と連通している。これにより、液体ポート254と液体ポート280との間の液体流のための通路が形成されている。
【0021】
液体は光路C,C’およびD,D’内の前記通路を流れ、窓アセンブリー246と248との間の穴218の中に含まれる液体部分に対して、また窓アセンブリー258と光学的スペーサー/窓アセンブリー228との間の流路のその部分の中に含まれる液体部分に対して、分光光度測定を別々に行うことができる。穴218内の液体の部分を通る光の光路長は、部材212および216のそれぞれの対応する平面230と平面232との間の距離によって規定される。この距離は第一義的には穴218の長さ、すなわち部材214の厚みによって定められる。光路C,C’内の液体の体積は主に穴218の長さと直径とで規定される。本発明者は、穴218の有用な寸法は、例えば長さが9.0mmで直径が1.9mmであり、ある特定の分光光度計でセル200を使用した場合は長さが4.0mmで直径が2.0mmであることを見いだした。当業者であれば、そのセル200が使用される分光光度計のビーム形状を考慮して穴218の寸法を選定しなければならないことを理解するであろう。ここで述べた寸法は単なる例に過ぎない。
【0022】
窓アセンブリー258と光学的スペーサー/窓アセンブリー228との間の液体部分を通る光の光路長は、第一義的には窓アセンブリー258の窓と光学的スペーサー/窓アセンブリー228の窓262との間の距離で規定される。この距離は第一義的には環状スペーサー260の厚みによって定められる。窓262の長さは、窓262のガスケット234に環状スペーサー260を押しつけたときに、環状スペーサー260とガスケット234との間がしっかりとシールされるようなものでなければならない。光路D,D’内の液体の体積は主に、環状スペーサー260内のスペース272の長さおよび直径と、窓258と窓262との間の回廊250のその部分とで規定される。本発明者は、適切な環状スペーサー260の内径が2.4mmで厚みが1mmであることを見いだした。穴218の内径が1.9mmで長さが9mmのときに、流れる液体を通る光路長C,C’およびD,D’の比が9:1となるので、これらの寸法が有用である。当業者であれば、セル200が使用される分光光度計のビーム形状を考慮してスペーサー260内のスペース272の寸法を選定しなければならないことを理解するであろう。ここで述べた寸法は単なる例に過ぎない。
【0023】
使用においては、当該技術で既知のように(例えば上記特許文献4を参照)、2つのサンプルビームを有する特殊な分光光度計(図示せず)内にセル200を配設する。セル200は、分光光度計の一方のサンプルビームがC,C’に沿って通過し、他のサンプルビームがD,D’に沿って通過するような位置に置かれる。C,C’を通る液体流路を通過する光路長は、D,D’を通る光路長よりもはるかに大きい。吸光量は、吸収する化学種の濃度と同時に光路長にも比例する。したがって、既知のように長さの異なる2つの光路を使用することにより、測定濃度範囲を拡大することができる。流れる液体の分光光度測定を行うには、液体ポート254を高速液体クロマトグラフのカラムの流出口のような液体流の発生源に接続し、液体ポート280を排出ダクトに接続し、液体流が制御された仕方で流出できるようにする。
【0024】
図3A〜図3Dおよび図4A〜図4Dに、本発明者が試験をした回廊150および152(図1Bおよび図1Cに示したガスケット130および132内)の各種形状150a〜150dおよび152a〜152dをそれぞれ示す。これらすべてにおいて、図1Aのセル100が前に述べたように組み付けられたとき、回廊150および152の広くなった端は、穴118内の中に開口する。回廊150および152の狭い方の端は、それぞれセル100の対応するダクト156または160内の中に開口する。回廊150および152に対して図示された形状を試験して、異なる形状の回廊から予想された異なる流れの特性がフローセル100の性能に何らかの影響を有するかどうかを調べた。その結果、そのような影響は見いだされなかった。図示した各種形状のすべてが、試験された流量についてセル100を十分に洗うという結論が得られた。
【0025】
ただし、セル100の流れの通路の入り口側にあるガスケット内の回廊を螺旋形状、例えば図9で示したガスケット132e内の回廊152eのような形状に作ることにより得られる利点がある(図9のガスケットは図4A〜図4Dのガスケットと類似している)。その結果、そうでない場合と比べて、流入する液体が回廊132eを通って移動するのにある程度長い時間を要する。その理由は、セルと、クロマトグラフからセル内に流入する液体との間に、わずかな温度差があるからである。この温度差の結果、流入する液体の密度、したがってまた屈折率が、既にセル内にある液体のものと少し異なることになる。液体をクロマトグラフに流すポンプ中の機械的な脈動のために、液体をセル内に供給する流量は完全に一様ではない。ポンプが送り出す液体とセルとの間に温度差がある場合は、この供給する流量の変化のためにベースラインが変化するが、これは明らかに望ましくない。本発明者は、ほぼ螺旋形の形状を有する回廊132eは流入する液体の温度がセルの温度に近づくことを可能とし、その結果ベースラインの顕著な安定化が得られることを見い出した。回廊132eが厳密に螺旋形であることは重要ではなく、液体のための滑らかな長細い経路を形成すればよい。
【0026】
図6,図7および図8は、1つの光路を含む本発明の別の実施形態の部分の模式的な横断面を示す等角投影図である。各部を互いに適当に締結した状態に維持して、上の説明において例示されたセルを形成する手段(図示せず)が備えられていると理解すべきであり、またそのようなセルは全て上の説明において例示したように、1つよりも多くの光路を含むことができると理解されるべきである。
【0027】
図6を参照して、セル300は部材301,302および303と、弾力性のあるガスケット304および305と、そして透明板311および312とを含む。光路A,A’が部材302内の穴308を通る。穴308は、部材303内の液体ポート309から透明板312内の穴313,ガスケット305内の回廊307、穴308、ガスケット304内の回廊306および透明板311内の穴314を通って部材301内の液体ポート310まで延びる体積の小さな流れる液体の流路の一部を形成する。本発明のこの実施形態の不利な点は、透明板312および311を貫通する穴313および314を開ける必要があることである。これは、図7および図8に示す別の実施形態を使用することにより回避できる。
【0028】
図7を参照して、セル500は部材501,502および503と、透明板511および512と、弾力性のあるガスケット504および505とを含む。光路A,A’が中間部材502内の穴508を通っている。穴508は、中間部材502内の液体ポート509から中間部材502内の回廊507と、中間部材502内の穴508および別の回廊506とを通って中間部材502内の液体ポート510まで延びる体積の小さな流れる液体の流路の一部を形成している。本発明のこの実施形態では、回廊506および507が穴508に入る点は、透明板511および512のすぐ隣ではなく、それぞれ弾力性のあるガスケット504および505の厚みだけ透明板511および512から離れて透明板に隣接している。その結果、液体ポート509と液体ポート510との間を流れる液体によって、透明板511と透明板512との間に形成される光学的セルを洗う効率が多少減少する可能性がある。これは、図8に示す別の実施形態を使用することにより回避できる。この不利を回避する更に別の方法は、ガスケット504および505を省略できるように、中間部材502を適当に弾力性のある材料で構成することである。
【0029】
図8を参照して、フローセル600は、部材601,602および603と、透明板611および612と、弾力性のあるガスケット604および605とを含んでいる。光路A,A’が中間部材602内の穴608を通っている。穴608は、中間部材602内の液体ポート609からガスケット605内の回廊607、中間部材602内の穴608およびガスケット604内の回廊606を通って中間部材602内の液体ポート610まで延びる体積の小さな流れる液体の流路の一部を形成している。
【0030】
本発明によるフローセルの使用によって得られる分解能の改善が、実験結果により示された。その実験では、高速液体クロマトグラフからの流出液を従来技術のセル(15マイクロリットルのVarian Prostar 310フローセル)を使用して分析し、次に同じサンプルを図1Aに示した本発明の実施形態による15マイクロリットルのフローセルを使用して同じ条件で分析した。従来技術のセルで得られたピークの半値幅は9.7マイクロリットルであったが、図1Aに示したセルの場合はわずか7.0マイクロリットルであった。半値幅が小さいほど分解能が高いことを示す。分解能を規定する示性数(フィギュアオブメリット)は分散と呼ばれる。これは、従来のセルでは16.9マイクロリットル2乗であり、図1Aに示したセルの場合は8.84マイクロリットル2乗であった。
【0031】
更に上に述べた全ての実施形態から、通常の形状(例えば直方体)を有する複数の部材を互いに締結したものを含むフローセルは、比較的簡単に製造できることが理解できるであろう。かかる部材は容易に製造でき、またそれらを互いに締結することは簡単に達成できる。また、一対の透明な窓の間の光路に流入し、またそこから流出する液体の流れは、光路に沿った流れを横切って窓にかなり近く隣接して生じる。したがって流入および流出する液体は窓を横切って掃引し、そしてこの動作が、後から続く液体が、混合を最小にしながら光路を十分に洗う、すなわち掃引すると考えられる。
【0032】
以上説明した発明には、具体的に説明した以外の様々な変形や変更および/または追加を行うことができ、本発明は以下に述べる特許請求の範囲内のかかる変形や変更および/または追加を全て含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】液体の流れを通る単一の光路と参照ビームの通過を可能にする分離した光路とを提供する本発明の実施形態の断面図である。
【図1B】図1Aの実施形態のガスケットを示す図である。
【図1C】図1Aの実施形態のガスケットを示す図である。
【図2A】液体の流れを通る長さの異なる2つの光路を提供する本発明の実施形態の断面図である。
【図2B】図2Aの実施形態のガスケットを示す図である。
【図2C】図2Aの実施形態のガスケットを示す図である。
【図3A】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Bのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図3B】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Bのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図3C】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Bのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図3D】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Bのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図4A】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Cのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図4B】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Cのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図4C】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Cのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図4D】本発明の実施形態で使用するための回廊を含む図1Cのものと類似するガスケットの例を示す図である。
【図5A】図2Aに示した本発明の実施形態で使用される環状スペーサーを示す図である。
【図5B】図2Aに示した本発明の実施形態で使用される環状スペーサーを示す図である。
【図6】平坦な透明板を窓として有する本発明の実施形態の一部の断面を示す模式的な等角投影図である。
【図7】平坦な透明板を窓として有し、またガスケット内ではなく部材内に形成された回廊を有する本発明の実施形態の一部の断面を示す模式的な等角投影図である。
【図8】平坦な透明板を窓として有する本発明の別の実施形態の一部の断面を示す模式的な等角投影図である。
【図9】本発明の実施形態における流通路の入り口側で使用するための螺旋形の回廊を含むガスケットの別の例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れる液体中に溶解している化学物質を分析するための分光光度計で使用されるフローセルであって、
他の2つの部材の間に配設された中間部材を含む複数の部材であって、互いに締結されて体積の小さな流れの通路を形成するようになされた複数の部材を備え、
前記流れの通路の一部が、前記中間部材を貫通する穴と、前記穴の一端に位置する液体流入領域および前記穴の他端に位置する液体流出領域とを含み、
前記他の2つの部材が各々、前記中間部材を貫通する穴のそれぞれの端に位置合わせされた透明な窓と関連付けられ、それにより前記流れの通路の前記一部を通る光路を形成しており、
前記流入および流出領域はそれぞれ、前記穴の方向を横切って、前記透明な窓に非常に近く隣接する前記領域に液体が流入、またはそこから流出する前記流れの通路の一部によって提供されているフローセル。
【請求項2】
前記中間部材と前記他の2つの部材の各々との対向する表面の間に配設された弾力性のあるシール用ガスケットを含み、各ガスケットが前記流れの通路の前記部分を提供する回廊を含む、請求項1記載のフローセル。
【請求項3】
前記流れの通路の流入側の前記ガスケット内の前記回廊が大略的に螺旋形である、請求項2記載のフローセル。
【請求項4】
前記他の2つの部材の各々が、前記流れの通路の前記部分を提供する回廊を含むことを特徴とする請求項1のフローセル。
【請求項5】
少なくとも前記中間部材、または少なくとも前記他の2つの部材の各々が弾力性を有し、隣接する部材の間がシール性を有して接触している、請求項4記載のフローセル。
【請求項6】
前記他の2つの部材の各々と関連付けられた前記透明な窓が、1つの部材内の穴の中にシール作用を有するように取り付けられた窓アセンブリーである、請求項1ないし5のいずれかに記載のフローセル。
【請求項7】
前記他の2つの部材の各々と関連付けられた前記透明な窓が、前記中間部材と前記他の部材の一方との間に挟まれた透明板によってそれぞれ構成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のフローセル。
【請求項8】
前記各部材が直方体の形状を有する、請求項1ないし7のいずれかに記載のフローセル。
【請求項9】
前記部材がネジ式固定具によって互いに締結されている、請求項1ないし8いずれかに記載のフローセル。
【請求項10】
前記ネジ式固定具が前記他の部材の一方および前記中間部材内の穴を貫通し、前記他の部材内のねじ穴に係合している、請求項9記載のフローセル。
【請求項11】
前記流れの通路が、前記他の2つの部材と関連付けられた別の透明な窓の間に位置している別の部分を含み、それにより第二の光路を規定している、請求項1ないし10のいずれかに記載のフローセル。
【請求項12】
前記第二の光路が最初に規定された前記光路よりも短い、請求項11記載のフローセル。
【請求項13】
前記セル内を通過する参照ビームのために、前記流れの通路から離れた光路を前記部材が形成している、請求項1ないし10のいずれかに記載のフローセル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れる液体中に溶解している化学物質を分析するための分光光度計で使用されるフローセルであって、
他の2つの部材の間に配設された中間部材を含む複数の部材であって、互いに締結されて体積の小さな流れの通路を形成するようになされた複数の部材を備え、
前記中間部材は、2つの貫通穴であってそのうち少なくとも1つが前記流れの通路を部分的に規定する2つの貫通穴を含み、
前記他の2つの部材が各々、2つの透明な窓と関連付けられており、各々の窓は前記中間部材の前記貫通穴のそれぞれの端に位置合わせされており、それにより前記フローセルを通る2つの光路を形成しており、
前記流れの通路は、前記流れの通路を部分的に規定する前記貫通穴の両端に液体流入領域および液体流出領域をそれぞれ提供しており、前記貫通穴の方向を横切って、前記透明な窓に非常に近く隣接する前記領域に液体が流入し、そして、そこから流出するようになされているフローセル。
【請求項2】
前記中間部材の他の前記貫通穴の少なくとも1部が、前記体積の小さな流れの通路の別の部分を形成しており、各々の前記光路が前記流れの通路の別々の部分を通過する、請求項1記載のフローセル。
【請求項3】
前記光路が通過する前記流れの通路の各々の部分の長さが互いに異なっている、請求項2記載のフローセル。
【請求項4】
前記中間部材の前記他の貫通穴が、前記流れの通路の最初に規定された前記部分よりも長さが短い体積の小さな前記流れの通路の前記別の部分を規定している大略的に環状のスペーサーを含む、請求項3記載のフローセル。
【請求項5】
前記中間部材の前記他の貫通穴が光学的スペーサーを更に含み、それにより前記大略的に環状のスペーサーと前記光学的スペーサーとが、両端の前記透明な窓の間の前記他の貫通穴の中に延びている、請求項4記載のフローセル。
【請求項6】
前記中間部材の前記他の貫通穴およびそれと関連付けられた前記透明な窓が、それらによって形成される前記光路が前記他の貫通穴を通る前記光路に沿って前記セルを通過する参照ビームのための前記流れの通路の前記部分を通る前記光路と実質的に同じ光学的特性を有するように構成されている、請求項1記載のフローセル。
【請求項7】
前記他の貫通穴が光学的スペーサーを含み、前記参照ビームのための光路の光学的特性が前記流れの通路の前記第一の部分を通る前記光路の前記光学的特性と実質的に同じである、請求項6記載のフローセル。
【請求項8】
前記中間部材と前記他の2つの部材の各々との対向する表面の間に配設された弾力性のあるシール用ガスケットを含み、各ガスケットが前記流れの通路の前記液体流入領域および前記液体流出領域を提供する回廊を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のフローセル。
【請求項9】
前記流れの通路の流入側の前記ガスケット内の前記回廊が大略的に螺旋形である、請求項8記載のフローセル。
【請求項10】
前記他の2つの部材の各々が、前記流れの通路の前記液体流入領域および前記液体流出領域を提供する回廊を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかにフローセル。
【請求項11】
少なくとも前記中間部材、または少なくとも前記他の2つの部材の各々が弾力性を有し、隣接する部材の間がシール性を有して接触している、請求項10記載のフローセル。
【請求項12】
前記他の2つの部材の各々と関連付けられた前記2つの透明な窓の各々が、1つの部材内の穴の中にシール作用を有するように取り付けられた窓アセンブリーである、請求項1ないし11のいずれかに記載のフローセル。
【請求項13】
前記他の2つの部材の各々と関連付けられた前記2つの透明な窓の各々が、前記中間部材と前記他の部材の一方との間に挟まれた透明板によってそれぞれ構成されている、請求項1ないし11のいずれかに記載のフローセル。
【請求項14】
前記各部材が直方体の形状を有する、請求項1ないし13のいずれかに記載のフローセル。
【請求項15】
前記部材がネジ式固定具によって互いに締結されている、請求項1ないし14のいずれかに記載のフローセル。
【請求項16】
前記ネジ式固定具が前記他の部材の一方および前記中間部材内の穴を貫通し、前記他の部材内のねじ穴に係合している、請求項15記載のフローセル。
【請求項1】
流れる液体中に溶解している化学物質を分析するための分光光度計で使用されるフローセルであって、
他の2つの部材の間に配設された中間部材を含む複数の部材であって、互いに締結されて体積の小さな流れの通路を形成するようになされた複数の部材を備え、
前記流れの通路の一部が、前記中間部材を貫通する穴と、前記穴の一端に位置する液体流入領域および前記穴の他端に位置する液体流出領域とを含み、
前記他の2つの部材が各々、前記中間部材を貫通する穴のそれぞれの端に位置合わせされた透明な窓と関連付けられ、それにより前記流れの通路の前記一部を通る光路を形成しており、
前記流入および流出領域はそれぞれ、前記穴の方向を横切って、前記透明な窓に非常に近く隣接する前記領域に液体が流入、またはそこから流出する前記流れの通路の一部によって提供されているフローセル。
【請求項2】
前記中間部材と前記他の2つの部材の各々との対向する表面の間に配設された弾力性のあるシール用ガスケットを含み、各ガスケットが前記流れの通路の前記部分を提供する回廊を含む、請求項1記載のフローセル。
【請求項3】
前記流れの通路の流入側の前記ガスケット内の前記回廊が大略的に螺旋形である、請求項2記載のフローセル。
【請求項4】
前記他の2つの部材の各々が、前記流れの通路の前記部分を提供する回廊を含むことを特徴とする請求項1のフローセル。
【請求項5】
少なくとも前記中間部材、または少なくとも前記他の2つの部材の各々が弾力性を有し、隣接する部材の間がシール性を有して接触している、請求項4記載のフローセル。
【請求項6】
前記他の2つの部材の各々と関連付けられた前記透明な窓が、1つの部材内の穴の中にシール作用を有するように取り付けられた窓アセンブリーである、請求項1ないし5のいずれかに記載のフローセル。
【請求項7】
前記他の2つの部材の各々と関連付けられた前記透明な窓が、前記中間部材と前記他の部材の一方との間に挟まれた透明板によってそれぞれ構成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のフローセル。
【請求項8】
前記各部材が直方体の形状を有する、請求項1ないし7のいずれかに記載のフローセル。
【請求項9】
前記部材がネジ式固定具によって互いに締結されている、請求項1ないし8いずれかに記載のフローセル。
【請求項10】
前記ネジ式固定具が前記他の部材の一方および前記中間部材内の穴を貫通し、前記他の部材内のねじ穴に係合している、請求項9記載のフローセル。
【請求項11】
前記流れの通路が、前記他の2つの部材と関連付けられた別の透明な窓の間に位置している別の部分を含み、それにより第二の光路を規定している、請求項1ないし10のいずれかに記載のフローセル。
【請求項12】
前記第二の光路が最初に規定された前記光路よりも短い、請求項11記載のフローセル。
【請求項13】
前記セル内を通過する参照ビームのために、前記流れの通路から離れた光路を前記部材が形成している、請求項1ないし10のいずれかに記載のフローセル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れる液体中に溶解している化学物質を分析するための分光光度計で使用されるフローセルであって、
他の2つの部材の間に配設された中間部材を含む複数の部材であって、互いに締結されて体積の小さな流れの通路を形成するようになされた複数の部材を備え、
前記中間部材は、2つの貫通穴であってそのうち少なくとも1つが前記流れの通路を部分的に規定する2つの貫通穴を含み、
前記他の2つの部材が各々、2つの透明な窓と関連付けられており、各々の窓は前記中間部材の前記貫通穴のそれぞれの端に位置合わせされており、それにより前記フローセルを通る2つの光路を形成しており、
前記流れの通路は、前記流れの通路を部分的に規定する前記貫通穴の両端に液体流入領域および液体流出領域をそれぞれ提供しており、前記貫通穴の方向を横切って、前記透明な窓に非常に近く隣接する前記領域に液体が流入し、そして、そこから流出するようになされているフローセル。
【請求項2】
前記中間部材の他の前記貫通穴の少なくとも1部が、前記体積の小さな流れの通路の別の部分を形成しており、各々の前記光路が前記流れの通路の別々の部分を通過する、請求項1記載のフローセル。
【請求項3】
前記光路が通過する前記流れの通路の各々の部分の長さが互いに異なっている、請求項2記載のフローセル。
【請求項4】
前記中間部材の前記他の貫通穴が、前記流れの通路の最初に規定された前記部分よりも長さが短い体積の小さな前記流れの通路の前記別の部分を規定している大略的に環状のスペーサーを含む、請求項3記載のフローセル。
【請求項5】
前記中間部材の前記他の貫通穴が光学的スペーサーを更に含み、それにより前記大略的に環状のスペーサーと前記光学的スペーサーとが、両端の前記透明な窓の間の前記他の貫通穴の中に延びている、請求項4記載のフローセル。
【請求項6】
前記中間部材の前記他の貫通穴およびそれと関連付けられた前記透明な窓が、それらによって形成される前記光路が前記他の貫通穴を通る前記光路に沿って前記セルを通過する参照ビームのための前記流れの通路の前記部分を通る前記光路と実質的に同じ光学的特性を有するように構成されている、請求項1記載のフローセル。
【請求項7】
前記他の貫通穴が光学的スペーサーを含み、前記参照ビームのための光路の光学的特性が前記流れの通路の前記第一の部分を通る前記光路の前記光学的特性と実質的に同じである、請求項6記載のフローセル。
【請求項8】
前記中間部材と前記他の2つの部材の各々との対向する表面の間に配設された弾力性のあるシール用ガスケットを含み、各ガスケットが前記流れの通路の前記液体流入領域および前記液体流出領域を提供する回廊を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のフローセル。
【請求項9】
前記流れの通路の流入側の前記ガスケット内の前記回廊が大略的に螺旋形である、請求項8記載のフローセル。
【請求項10】
前記他の2つの部材の各々が、前記流れの通路の前記液体流入領域および前記液体流出領域を提供する回廊を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかにフローセル。
【請求項11】
少なくとも前記中間部材、または少なくとも前記他の2つの部材の各々が弾力性を有し、隣接する部材の間がシール性を有して接触している、請求項10記載のフローセル。
【請求項12】
前記他の2つの部材の各々と関連付けられた前記2つの透明な窓の各々が、1つの部材内の穴の中にシール作用を有するように取り付けられた窓アセンブリーである、請求項1ないし11のいずれかに記載のフローセル。
【請求項13】
前記他の2つの部材の各々と関連付けられた前記2つの透明な窓の各々が、前記中間部材と前記他の部材の一方との間に挟まれた透明板によってそれぞれ構成されている、請求項1ないし11のいずれかに記載のフローセル。
【請求項14】
前記各部材が直方体の形状を有する、請求項1ないし13のいずれかに記載のフローセル。
【請求項15】
前記部材がネジ式固定具によって互いに締結されている、請求項1ないし14のいずれかに記載のフローセル。
【請求項16】
前記ネジ式固定具が前記他の部材の一方および前記中間部材内の穴を貫通し、前記他の部材内のねじ穴に係合している、請求項15記載のフローセル。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2006−505779(P2006−505779A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550553(P2004−550553)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001492
【国際公開番号】WO2004/044561
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(503002042)ヴァリアン オーストラリア ピーティーワイ.エルティーディー. (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001492
【国際公開番号】WO2004/044561
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(503002042)ヴァリアン オーストラリア ピーティーワイ.エルティーディー. (5)
【Fターム(参考)】
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