説明

分光器

【課題】回転減速機構に波動歯車装置を用いた分光器において従来よりも高い波長精度による単色光の取り出しを可能にする。
【解決手段】モータ23と、該モータ23の回転を減速するための波動歯車装置による減速手段22と、該減速手段22で減速された回転によって駆動される波長分散素子21と、前記モータ23の動作を制御する制御手段62とを備えた分光器において、前記制御手段62が、分光器から取り出される光の波長変更を行う際に、前記波動歯車装置の入力軸を180°以上回転させた上で該入力軸を目標波長に対応する角度位置に合わせるように前記モータ23の制御を行うものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光光度計等において特定波長を有する単色光を取り出すための分光器に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外可視分光光度計や原子吸光分光光度計等の分光光度計では所定波長の単色光を得るために分光器(モノクロメータ)が用いられる。分光器の構成としては、回折格子(波長分散素子)と、入射光に対して該波長分散素子の角度を変えるための回転駆動機構とを含むものが一般的である。こうした分光器は、回折格子で波長分散された光を、位置が固定された出口スリットに通すことで所定波長の単色光を取り出すものとなっており、前記の回転駆動機構により回折格子を適宜回転させることによって取り出される単色光の波長を変化させることができる。従って、この単色光の波長精度は回折格子の角度精度に大きく依存しており、波長精度を高めるには、回折格子を微小ピッチで精度よく回転駆動できる回転駆動機構が必要となる。
【0003】
従来一般に、こうした回転駆動機構としてサインバー機構を利用したものが知られている。また、減速ギアの一種である波動歯車装置を用いたものも提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
波動歯車装置は、一般にハーモニックドライブ(登録商標)と呼ばれ、図5に示すように、入力軸75に連結される楕円形のカム状部品である波動発生器(ウェーブジェネレータ)71と、その外周にベアリング72を介して取り付けられた、カップ状の弾性歯車(フレクスプライン)73と、円筒形の剛性歯車(サーキュラ・スプライン)74とで構成される。
【0005】
剛性歯車74は断面円形の形状を有し、弾性歯車73は波動発生器71によって断面楕円形に撓められる。そのため、剛性歯車74の内周面に設けられた歯と、弾性歯車73の外周面に設けられた歯は、波動発生器71の楕円の長軸付近の2箇所でのみ噛合し、短軸付近では完全に離れた状態となる。
【0006】
ここで、剛性歯車74を固定した状態で、入力軸75を介してモータの回転を波動発生器71に伝達すると、該波動発生器71の回転に伴って弾性歯車73が弾性変形し、剛性歯車74との噛み合い位置が順次移動する。弾性歯車73に設けられた歯の数は剛性歯車74に設けられた歯の数よりも2つ少ないため、波動発生器71が一回転する間に、弾性歯車73が逆方向に歯2つ分回転する。この弾性歯車73の回転が出力として取り出され、回折格子に伝達される。
【0007】
なお、波動歯車装置では、上述のように剛性歯車74を固定し、弾性歯車73の回転を出力として取り出すのが一般的であるが、逆に、弾性歯車73を固定し、剛性歯車74の回転を出力として取り出すことも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-098910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
波動歯車装置は大きな減速比が得られる優れた減速装置であるが、弾性変形を利用してギア送りを実現するため、特定位置での静止状態を継続すると前記の弾性歯車に歪みが累積して角度誤差が発生する。但し、これにより生じる角度誤差は微小なものであるため、従来の分光器ではこうした角度誤差による波長精度への影響は無視できる程度であった。
【0010】
しかしながら、近年、分光光度計等において更なる高精度・高分解能分析の実現が求められており、それに伴い、上記の波動歯車装置を含む回転駆動機構における角度精度の向上が必要となってきている。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、回転減速機構に波動歯車装置を用いた分光器において従来よりも高い波長精度による単色光の取り出しを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために成された本発明に係る分光器は、
a)モータと、
b)該モータの回転を減速するための波動歯車装置による減速手段と、
c)該減速手段で減速された回転によって駆動される波長分散素子と、
d)前記モータの動作を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段が、分光器から取り出される光の波長変更を行う際に、前記波動歯車装置の入力軸を180°以上回転させた上で該入力軸を目標波長に対応する角度位置に合わせるように前記モータを制御することを特徴としている。
【0013】
上記のような制御を行うことにより、分光器から取り出される波長を現在の波長位置から目標波長位置に移動させる間に波動歯車装置の波動発生器を180°以上回転させて弾性歯車に生じた歪みを解消することができる。これにより、該歪みの蓄積による角度誤差の発生を防止して高い波長再現性を達成することが可能となる。なお、波動発生器は断面楕円形の形状を有しており、入力軸を中心に180°の対称性を有するため、弾性歯車の歪みを解消させるためには少なくとも180°の回転を行えばよいが、該波動発生器の形状は厳密には完全な対称となっていないため、360°以上の回転とすることがより望ましい。
【0014】
更に、前記本発明に係る分光器は、
前記制御手段が、前記波長変更の際に、前記波動歯車装置の入力軸を予め定められた基準角度位置まで回転させて停止させた後に、前記目標波長に対応する角度位置に合わせるように前記モータを制御するものとすることが望ましい。
【0015】
このように、波長変更を行う際に必ず入力軸を基準角度位置に合わせてから目標波長に対応した角度位置に合わせるようにすることで、該目標波長に対応した角度位置への回転を開始する時点における弾性歯車の歪み状態を常に同一とすることができ、波長変更時の位置合わせの再現性を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したとおり、本発明に係る分光器によれば波動歯車装置の弾性歯車の歪みに起因する角度誤差の発生を防止し、従来よりも高い波長精度による単色光の取り出しを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る分光器を備えた分光光度計の要部の構成図。
【図2】上記実施例に係る分光器の動作説明図。
【図3】同実施例に係る分光器を備えた分光光度計による繰り返し測定の結果を示す図であり、(a)は動作条件1に従った動作を行ったものを、(b)は動作条件1及び2に従った動作を行ったものを示している。
【図4】従来の分光器を備えた分光光度計による繰り返し測定の結果を示す図。
【図5】波動歯車装置の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る分光器の一実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施例に係る分光器を備えた分光光度計の概略構成図である。
【0019】
図1において、光源10から発せられた光は幅広い又は複数の波長を含む光であり、分光部20においてその内の1つの波長が選択されて単色光として取り出される。分光部20は、所定角度範囲で回転する回折格子21と、回転駆動源であるモータ(例えば、ステッピングモータ)23と、そのモータ軸の回転を所定の減速比で減速させて回折格子21を回転駆動する、波動歯車装置による減速機構22と、前記回折格子21で波長分散された光の一部を外部に取り出すための出口スリット24とを含む。分光部20から取り出された単色光は試料30に照射され、該試料30で反射した又は該試料30を透過した光が光検出器40に導入されて、その光強度に応じた検出信号が出力される。この検出信号は、処理・制御部60の信号処理部61に入力され、ここで所定の演算処理が行われることによって吸光度や反射率等が計算される。
【0020】
処理・制御部60は、上記の信号処理部61の他に分光部制御部62を含む。分光部制御部62は与えられた目的波長に基づいて後述のような所定の処理を行い、その結果によりモータ駆動部50を介してモータ23を制御する。なお、この例では、分光部20、モータ駆動部50、及び分光部制御部62が本発明における分光器に相当する。処理・制御部60は、例えば、CPU、RAM、ハードディスク等を含んで構成されるパーソナルコンピュータにより具現化することができ、該パーソナルコンピュータにインストールされた所定の処理・制御プログラムを動作させることにより上記信号処理部61及び分光部制御部62の機能が達成される。
【0021】
上記の減速機構22を構成する波動歯車装置の構成は図5に示したものと同様である。即ち、上記構成から成る分光部20では、入力軸75を介してモータ23の回転が波動発生器71に伝達され、これによって波動発生器71を回転駆動することにより、その回転角度に応じた波長の光を出口スリット24から取り出すことができる。
【0022】
本実施に係る分光光度計は、上記のような波動発生器71の回転駆動によって分光部20から取り出される光の波長(以下、取り出し波長と呼ぶ)を変更する際の動作に特徴を有している。以下、この波長変更時の動作について説明する。
【0023】
分光部制御部62は、分光部20から取り出すべき目標波長が設定されると、取り出し波長を現在の波長位置(以下、初期波長位置と呼ぶ)から該目標波長の位置(以下、目標波長位置と呼ぶ)に変更する際の動作を決定する。このとき、該動作は、前記初期波長位置から目標波長位置に至る間に、波動発生器71を180°以上、望ましくは360°以上回転させることができるように決定される(これを「動作条件1」と呼ぶ)。これにより、弾性歯車73に生じた歪みを解消することができ、該歪みの蓄積による角度誤差の発生を防止して高い波長再現性を達成することができる。
【0024】
例えば、前記動作条件1における波動発生器71の回転角度を360°以上と設定した場合、取り出し波長を初期波長位置から目標波長位置まで直接移動させると波動発生器71の回転角度が360°以下となるときには、波動発生器71を360°以上回転させて取り出し波長を初期波長位置から任意の波長位置へと一旦移動させ、そこから波動発生器71を先程とは逆方向に回転させて目標波長位置に移動させるようにする。あるいは、波動発生器71を回転させて取り出し波長を初期波長位置から任意の波長位置に移動させた後、波動発生器71を逆方向に360°以上回転させることで目標波長位置に到達するようにしてもよい。
【0025】
また、上記のような波長変更を行う際には、波動発生器71を予め定められた一定の角度位置(以下、基準角度位置と呼ぶ)で一旦停止させ、その直後に目標波長位置に対応した角度位置まで回転させることが望ましい(これを「動作条件2」と呼ぶ)。このように、波動発生器71を毎回同じ角度位置に合わせてから目標波長位置に対応した角度位置に向かって回転させるようにすることで、目標波長位置への移動の直前における弾性歯車73の歪み状態を常に同一状態とすることができる。従って、これにより波長変更時の位置合わせの再現性を一層高めることができる。
【0026】
なお、上述のように取り出し波長を初期波長位置から任意の波長位置(前記基準角度位置に対応した波長位置を含む。以下同じ)を経て目標波長位置に移動させる場合、波動発生器71の180°(又は360°)以上の回転は、初期波長位置から任意の波長位置への移動時に行ってもよいが、任意の波長位置から目標波長位置への移動時に行うことが望ましい(これを「動作条件3」と呼ぶ)。これにより目標波長位置へ到達する直前の動作において弾性歯車73の歪みを解消させることができ、波長再現性をより高めることができる。また、初期波長位置から任意の波長位置への移動時、及び任意の波長位置から目標波長位置への移動時の両方において前記180°(又は360°)以上の回転を行うようにすることがより望ましい(これを「動作条件4」と呼ぶ)。
【0027】
このようにして波長変更時の動作が決定すると、分光部制御部62は該動作を実現するためのモータ23の回転角、回転方向、及び回転順序を決定し、これに従ってモータ23を制御する。なお、分光部制御部62には回転角とモータ23に与えるパルス数との対応関係を示す換算テーブルないしは換算式などの換算手段が予め用意されており、この換算手段を使用して回転角からパルス数を算出する。そして、算出されたパルス数分のパルス信号をモータ駆動部50を介してモータ23へと送出する。これによりモータ23が回転し、減速機構22により減速されて回折格子21が回動する。このようにして、回折格子21は目標波長を有する単色光が取り出されるような角度に正確に設定される。
【0028】
以下、図2を参照しつつ具体例を挙げて本実施例における波長変更時の動作を説明する。なお、分光光度計では、長波長側から短波長側に向かって波長走査を行うのが一般的であるため、これに倣い、本例では目標波長位置の長波長側から位置決めを行うものとする。
【0029】
ここでは、モータ23として0.36°/フルステップのステッピングモータを使用し、減速比を考慮してモータ23の1フルステップが取り出し波長の0.1nmに対応するように光学系を設定したものとする。なお、説明を簡単にするためモータパルス数と波長とは単純な比例関係にあるものとする。更に、図2に示すように、取り出し波長100nmに対応する波動発生器71の角度(図中の入力軸角度)を0°とする。従って、入力軸が時計回りに一回転(360°回転)して波動発生器71が再び0°の位置に戻る間に、取り出し波長は長波長側へ100nm変化することとなる。
【0030】
また、本例では剛性歯車74に対する波動発生器71の角度が図5に示す状態となった時の角度位置を0°とし、これを基準角度位置とする。即ち、図2の100nm、200nm、300nm等の位置が前記基準角度位置に対応する波長位置となる。以下、基準角度位置に対応する波長位置を基準波長位置と呼ぶ。
【0031】
まず、取り出し波長を420nmから480nmに変更する場合の動作について説明する。この場合、初期波長位置は420nm、目標波長位置は480nmとなる。420nmに対応する波動発生器71の角度位置は72°であり、480nmに対応する角度位置は288°である。仮に420nmから480nmへ直接移動させた場合、60nm分の波長移動となり波動発生器71は216°しか回転しないため、弾性歯車73の歪みの除去が不完全となる。そこで、本実施例では、まず波動発生器71を初期波長位置に対応した72°の位置から360°以上回転させ、更にそこから逆方向に回転させて目標波長位置に対応した288°の位置に合わせるものとする。但し、波動発生器71を初期波長位置に対応した72°の位置から時計回りに360°回転させた時の波長位置は520nmであり、これは上記の基準波長位置ではない。そのため、図2に示すように、取り出し波長を次の基準波長位置である600nmの位置まで移動させた上で、目標波長位置である480nmの位置まで移動させることが望ましい。
【0032】
また、取り出し波長を400nmから600nmに変更する場合、初期波長位置から目標波長位置へ直接移動させた場合でも波動発生器71は360°以上回転することとなる。但し、本例では目標波長位置に対し長波長側から位置合わせを行うため、図2に示すように、400nmの位置から目標波長位置である600nmの位置を通過して基準波長位置である700nmの位置まで移動し、そこから目標波長位置に移動させる。
【0033】
同様に、取り出し波長を400nmから550nmに変更する場合も、初期波長位置から目標波長位置へ直接移動させれば波動発生器71は360°以上回転することとなる。しかしながら、ここでは長波長側から位置合わせを行うために、まず取り出し波長を目標波長位置よりも長波長側にある基準波長位置まで移動させ、そこから目標波長位置へと移動させる。このとき、直近の基準波長位置である600nmの位置に合わせてもよいが、基準波長位置から目標波長位置への移動時にも波動発生器71を360°以上回転させることが望ましいため、図2に示すように、取り出し波長を次の基準波長位置である700nmの位置まで移動させてから目標波長位置である550nmの位置に移動させるものとする。
【0034】
また、取り出し波長を400nmから250nmに変更する場合には、初期波長位置から目標波長位置へ直接移動させることで波動発生器71を360°以上回転させ且つ長波長側からの位置合わせを行うことができる。但し、波長変更を行う間に波動発生器71を2回以上360°回転させることが望ましいため、ここでは図2に示すように、取り出し波長を一旦目標波長位置である250nmの位置に移動させた後、そこから波動発生器71を時計回りに360°以上回転させて前記目標波長位置の長波長側にある基準波長位置(400nmの位置)まで移動させ、そこから再び目標波長位置である250nmの位置に移動させる。
【0035】
即ち、図2に示した動作例における波長変更動作は以下のように概括することができる。
[1]まず取り出し波長を初期波長位置から一旦目標波長位置に移動させる(図2中の実線の矢印)。
[2]そこから波動発生器71を360°以上回転させて取り出し波長を目標波長位置より長波長側にある基準波長位置に移動させる(図2中の一点鎖線の矢印)。
[3]その後、取り出し波長を前記基準波長位置から目標波長位置に移動させる(図2中の破線の矢印)。
これにより、上述の動作条件1〜4を満たすことができ、波動歯車装置の角度誤差に起因する波長のずれを防止して波長再現性を向上させることができる。なお、目標波長位置が初期波長位置よりも長波長側にある場合は、[1]と[2]における波動発生器71の回転方向は同一となるため、この2つの段階を連続的に(即ち、波動発生器71の回転を止めることなく)実行することができる。また、図2の動作例では基準角度位置を0°としたが他の角度位置であってもよい。
【0036】
本実施例に係る分光器を備えた分光光度計による繰り返し測定の結果を図3に、従来の分光器を備えた分光光度計による繰り返し測定の結果を図4に示す。これらは、所定の波長範囲で波長走査を繰り返し行いながら重水素ランプの輝線スペクトル(656.1nm)を2nm幅のスリットにて測定したものである。具体的には、まず取り出し波長を前記波長範囲の長波長側の位置に合わせ、その後所定のピッチで前記波長範囲の短波長側に向かって走査し、一回の走査が終わる毎に再び前記波長範囲の長波長側の位置に戻って同様の波長走査を行うことを100回程度繰り返したものである。図4は、一回の走査が終わって波長範囲の短波長側の位置から長波長側の位置に戻る際に、取り出し波長を直接移動させたものであり、図3(a)は、上記の動作条件1に従った動作を、図3(b)は、上記の動作条件1及び2に従った動作を行ったものである。
なお、図3と図4では測定時期の違いによりピークのエネルギー値が異なっている。また、装置に対する波長正確さの較正処理が行われていないために図3、4におけるピーク波長は重水素ランプの輝線スペクトル(656.1nm)の位置から外れている。しかしながら、これらの測定は波長再現性の向上を確認することを目的としており、こうしたピークのエネルギー値や絶対的な波長正確さは問題とならない。
【0037】
これらの図から明らかなように、ピーク波長のずれ量は、図3(a)で約0.12nm、図3(b)で0.02nm、図4で0.22nmであり、本発明に係る分光器を用いた場合には、従来の分光器を用いた場合に比べて波長再現性が向上することが確認できた。また、動作条件1に加えて動作条件2を適用することにより、動作条件1のみを適用した場合に比べて波長のずれが一層抑えられており、波長再現性の更なる向上が認められた。
【0038】
以上、実施例を用いて本発明を実施するための形態について説明を行ったが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容されるものである。例えば、上記実施例では本発明に係る分光器を分光光度計に適用する例を説明したが、本発明は輝線の測定を行う装置全般に適用可能であり、例えば、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)等にも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
10…光源
20…分光部
21…回折格子
22…減速機構
23…モータ
24…出口スリット
30…試料
40…光検出器
50…モータ駆動部
60…処理・制御部
61…信号処理部
62…分光部制御部
71…波動発生器
72…ベアリング
73…弾性歯車
74…剛性歯車
75…入力軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)モータと、
b)該モータの回転を減速するための波動歯車装置による減速手段と、
c)該減速手段で減速された回転によって駆動される波長分散素子と、
d)前記モータの動作を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段が、分光器から取り出される光の波長変更を行う際に、前記波動歯車装置の入力軸を180°以上回転させた上で該入力軸を目標波長に対応する角度位置に合わせるように前記モータを制御することを特徴とする分光器。
【請求項2】
前記180°以上の回転が360°以上の回転であることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項3】
前記制御手段が、前記波長変更の際に、前記波動歯車装置の入力軸を予め定められた基準角度位置まで回転させて停止させた後に、前記目標波長に対応する角度位置に合わせるように前記モータを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の分光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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