説明

分割環状リブ型プラズマ処理装置

【課題】プラズマ処理装置におけるドロップレット捕獲用の環状リブ上に形成されたプラズマ流由来の堆積物が、プラズマ発生部へ落下して短絡を起こすことを防止する。
【解決手段】ドロップレット捕集用の環状リブ40を複数のリブ片に分割することにより、プラズマ流の物質の凝集により前記環状リブ上に形成する堆積物90の、形成当初からの細分化が達成される。この堆積物の細分化により、この堆積物が破片91としてプラズマ発生部10に落下する際に、この破片が陰極11と前記プラズマ発生部の壁面13の間に設けられる溝部14に入り込み、前記陰極と前記壁面の電気短絡が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空雰囲気下においてプラズマ発生部でアーク放電を行って発生させるプラズマにより被処理物を処理するプラズマ処理装置に関し、更に詳細には、真空アーク放電時に陰極から副生する陰極材料粒子(以下、「ドロップレット」と称する)を除去するドロップレット除去部を装備したプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物質をプラズマ化した後に被処理物上に堆積させるプラズマ処理を行うことにより、前記被処理物上に強固な薄膜を形成することができる。特に、前記物質として炭素を使用した場合は、被処理物上に、ダイアモンド構造とグラファイト構造のアモルファス混晶からなるダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を得ることができ、このDLC膜は機械的・化学的・光学的に良好な性質を有する。
【0003】
前記物質をプラズマ化する方法としては、前記物質を陰極として、陽極であるトリガ電極との間に真空状態でアーク放電を発生させることにより、前記陰極からプラズマを形成させる方法がある。この様にして形成されたプラズマは、プラズマ処理装置内においてプラズマ発生部からプラズマ流としてプラズマ進行管へ導かれ、更にプラズマ処理部へ導入されて被処理物の被膜処理に使用される。
【0004】
このアーク放電においては、プラズマ発生と同時に、サブミクロン以下から数百ミクロンの大きさのドロップレットと称される陰極物質微粒子も副生される。このドロップレットが前記プラズマ処理部まで到達して被処理物に付着した場合には、前記被処理物の薄膜に欠陥が生ずる。従って、前記薄膜の品質を保つ為には、このドロップレットを除去する手段が必要となる。
【0005】
ドロップレット捕獲手段として、プラズマ進行管内に配置される環状リブが特開2008−91184号公報(特許文献1)及び特開2008−248347号公報(特許文献2)に開示されている。図19は、この環状リブ140の斜視図である。環状リブ140はプラズマ進行管接合部141及びリブ部142を有し、プラズマ進行管接合部141をプラズマ進行管に接合して環状リブ140を配置する。プラズマ発生部において発生したドロップレットがリブ部142に衝突して捕獲される。その一方、プラズマ流は環状リブ140の中心の中空部を通過して、プラズマ処理部へ進行する。
【0006】
通常は、リブ部142は、前記プラズマ進行管の中心軸に対して、前記プラズマ流の上流方への傾斜を有し、この傾斜により前記ドロップレット捕獲の効率が向上される。
【0007】
前記環状リブには、前記ドロップレットが堆積されるが、この堆積物は、構成物質であるドロップレット同士の結合力が弱いので、極めて脆い。従って、前記環状リブから落下しても、落下時の衝撃により破砕されるので、大型破片としてプラズマ発生部内に残置することは無い。
【0008】
この環状リブ140は、ドロップレットの除去に大いに貢献することが確認され、環状リブ140を装備したプラズマ処理装置は工業的な成功を収めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−91184号公報
【特許文献2】特開2008−248347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、この環状リブは改善されるべき特性を有する。それは、この環状リブにプラズマ流の物質が凝集して堆積物を形成し、この堆積物がプラズマ発生部へ落下して、プラズマ発生部内において短絡を発生させるということである。
【0011】
前記環状リブは、ドロップレットに曝露されるだけでなく、プラズマ流にも曝露される。このプラズマ流の物質がこの環状リブに凝集して、堆積物が形成される。この堆積物は、プラズマ状態にある物質が再結晶して生成されるので、脆さを生じる粒界が非常に少ない。この為、この堆積物は強度が高く、従って前記環状リブから落下する際に大きな破片となる可能性が高い。
【0012】
図20は、従来型プラズマ処理装置101における堆積物破片191による短絡発生を示す概念透視図である。このプラズマ処理装置101のプラズマ発生部110においては、トリガ電極112に陽電圧が印加され、陰極111に陰電圧が印加される。トリガ電極112と陰極111の間に真空アーク放電が発生し、陰極111を構成する物質がプラズマ化する。このプラズマがプラズマ流としてプラズマ通行管130に導通され、折曲部150を通じて水平プラズマ進行管160に導通され、更に被処理物が配置されたプラズマ処理部へ導通される。
【0013】
真空アーク放電時において、前記プラズマ発生と同時にドロップレットが副生されるが、このドロップレットは環状リブ140に捕獲される。この環状リブ140は前記プラズマ流に曝露されているので、(20A)に示されるように、このプラズマ流の物質が環状リブ140上に凝集して堆積物190を形成する。この堆積物190の大型破片191が、(20B)に示されるように、プラズマ発生部110に落下する。
【0014】
プラズマ発生部110の壁面113はトリガ電極112と電通状態になっている。従って、壁面113にも陽電圧が印加される。この為、もし前記堆積物により壁面113と陰極111が架橋されれば、短絡が発生する。最悪の場合には、この短絡によりプラズマ処理装置101の電気的破損がおこる。前記破損が起こらない場合においても、大型破片191の急激な加熱分解により大量のドロップレットが発生し、被処理物のプラズマ処理が不均一となってしまう。陰極111と壁面113の間には溝部114が設けられ、この溝部114に入り込んだ物質は陰極111と壁面113を短絡させない。しかし、前記堆積物の破片191が溝部113に入りきれない大きさであれば、前記短絡が起こる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記問題を解決する為に為されたものであり、本発明においては、ドロップレット捕集用の環状リブを複数のリブ片に分割することにより、プラズマ流の物質の凝集により前記環状リブ上に形成する堆積物の、形成当初からの細分化が達成される。この堆積物の細分化により、この堆積物が破片としてプラズマ発生部に落下する際に、この破片が陰極と前記プラズマ発生部の壁面の間に設けられる溝部に入り込み、前記陰極と前記壁面の電気短絡が防止される。
【0016】
従って、本発明の第1の形態は、プラズマ発生部において放電により発生されたプラズマをドロップレット捕集用の複数の環状リブを内面に配置したプラズマ進行管を介してプラズマ処理部まで輸送するプラズマ処理装置において、前記環状リブの中で前記プラズマに曝露される最先端の第1環状リブを複数の切目を介して複数のリブ片に分割した多分割型環状リブから少なくとも構成することを特徴とする分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0017】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記第1環状リブよりもプラズマ流の下流側に隣接される第2環状リブを前記多分割型環状リブから構成し、前記第1環状リブの全ての切目を前記第2環状リブのリブ片で遮蔽するように前記第2環状リブを配置する分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0018】
本発明の第3の形態は、第2の形態において、前記第2環状リブよりもプラズマ流の下流側に配置される複数の環状リブの内、プラズマに曝露され易い位置に配置される環状リブを前記多分割型環状リブから構成する分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0019】
本発明の第4の形態は、第2の形態において、前記第2環状リブよりもプラズマ流の下流側に配置される全ての環状リブを前記多分割型環状リブから構成する分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0020】
本発明の第5の形態は、第2〜4の形態のいずれかにおいて、前記第1環状リブと前記第2環状リブの間隔は、他の環状リブの相互の間隔よりも、長短自在に調整できる分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0021】
本発明の第6の形態は、第2〜5の形態のいずれかにおいて、前記分割型環状リブの少なくとも2個が異なる形状を有する分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0022】
本発明の第7の形態は、第1〜6の形態のいずれかにおいて、前記切目が前記多分割型環状リブの全幅に亘って形成される分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0023】
本発明の第8の形態は、第1〜6の形態のいずれかにおいて、前記切目が前記多分割型環状リブの内部から前記多分割型環状リブの幅の一部に亘って形成される分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0024】
本発明の第9の形態は、第1〜8の形態のいずれかにおいて、前記多分割型環状リブが外部から内部に向かって下方へ斜行する分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0025】
本発明の第10の形態は、第1〜8の形態のいずれかにおいて、前記多分割型環状リブが前記プラズマ進行管の中心軸に垂直である分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0026】
本発明の第11の形態は、第1〜8の形態のいずれかにおいて、前記多分割型環状リブの前記リブ片及び/又は前記切目の面積、形状及び/又は傾斜角度が不均一である分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0027】
本発明の第12の形態は、第1〜11の形態のいずれかにおいて、前記プラズマ進行管の内部に内周管が配置され、前記内周管の内部に前記多分割型環状リブ部が配置される分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0028】
本発明の第13の形態は、第12の形態において、前記プラズマ進行管と前記内周管の間に絶縁部を介装して、前記プラズマ進行管と前記内周管を相互に電気的に独立させた分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0029】
本発明の第14の形態は、第1〜13の形態のいずれかにおいて、前記プラズマ発生部と前記プラズマ進行管の間に始端絶縁プレートを介装して、前記プラズマ発生部と前記プラズマ進行管を相互に電気的に独立させた分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0030】
本発明の第15の形態は、第1〜14の形態のいずれかにおいて、前記プラズマ進行管から供給されるプラズマにより被処理物を処理するプラズマ処理部と前記プラズマ進行管の間に終端絶縁プレートを介装して、前記プラズマ処理部と前記プラズマ進行管を相互に電気的に独立させた分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【0031】
本発明の第16の形態は、第1〜15の形態のいずれかにおいて、前記分割環状リブ型プラズマ処理装置における、前記プラズマ発生部の放電位置に配設される前記陰極と、前記放電位置から隔離された待機位置に配置される交換用陰極と、前記交換用陰極の表面を研磨する陰極研磨部と、前記陰極と前記交換用陰極を交換する陰極交換機構を具備する分割環状リブ型プラズマ処理装置である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の第1の形態によれば、プラズマ流に曝露される環状リブが多数の切目により多数のリブ片に分割されるので、前記プラズマ流の物質が前記環状リブの先端に堆積する際に、形成する堆積物が前記リブ片よりも大きくならない。従って、前記堆積物が前記リブ片から剥離して落下しても、陰極とプラズマ発生部の壁面の間の溝部に入り込むので、前記陰極と前記壁面の間に短絡が発生しない。
【0033】
プラズマ流による環状リブ上の堆積物形成は、前記環状リブが複数配置される場合は、プラズマ流の上流に配置される環状リブにおいて大となり、下流に配置される環状リブにおいて小となる。従って、プラズマ流の最上流に配置される第1環状リブのみを多分割型環状リブとすることにより、充分な堆積物細分化効果が得られる。
【0034】
本発明の多分割型環状リブにおいては、ドロップレット捕獲面積を高める為に、表面に無数の凹凸を形成する粗面処理を行っても良い。又、ドロップレットの捕獲効率を高める為に、多分割型環状リブをプラズマ進行管の中心軸に向かって下方に傾斜させても良い。
【0035】
本発明の多分割型環状リブにおいては、複数切目及び前記切目により形成される複数リブ片の面積傾斜角度などがリブ全体に亘って均一である必要はない。例えばプラズマ進行管内においてドロップレットの濃度がプラズマ流の垂直断面において不均一である場合は、前記複数リブ片の傾斜角度及び面積などを、高濃度のドロップレットに曝露されるリブ片において最適化することにより、ドロップレット捕獲効率を高めることができる。
【0036】
本発明の多分割型環状リブにおいて充分なリブ片の枚数は最小で2枚であり、最大は無限である。しかし、堆積物の細分化を達成する為には、リブ片の枚数は多い方が有利であり、好ましい最小枚数は6枚である。又、リブ片の実質的な最大枚数は、作成の実現性及び容易性により決定され、好ましい最大枚数は100枚程度である。
【0037】
本発明の第2の形態によれば、第1環状リブの全ての切目を第2環状リブのリブ片で遮蔽するので、第1環状リブの切目をすり抜けるドロップレットを第2環状リブのリブ片により捕獲することができる。従って、ドロップレット捕獲効果が向上する。又、第2環状リブを本発明の多分割型環状リブとすることにより、堆積物破片の小型化を更に徹底させることができる。
【0038】
本発明の第3の形態によれば、前記第2環状リブよりもプラズマ流の下流側に本発明の多分割型環状リブが配置されるので、堆積物の細分化を更に徹底させることができる。又、多数の多分割型環状リブの切目を通過してプラズマ処理部まで到達するドロップレットの割合を低めることができる。
【0039】
ここにおける「曝露され易い位置」とは、通常は第2環状リブの下流側にに隣接される1つまたは複数の環状リブを示す。しかし、プラズマ処理装置の設計上、第1及び第2環状リブより離れた位置にプラズマ流が高濃度となる場合は、その位置がここにおける「曝露されやすい位置」である。
【0040】
本発明の第4の形態によれば、全ての環状リブを前記多分割型環状リブとするので、前記堆積物破片の小型化を極限までに徹底させることができる。又、多数の多分割型環状リブの切目を通過してプラズマ処理部まで到達するドロップレットの割合を低めることができる。
【0041】
本発明の第5の形態によれば、前記第1環状リブと前記第2環状リブの間隔と長短自在に調整できるので、ドロップレットの捕獲効率及び作成の容易度などの条件を最適化するために間隔を調整することができる。間隔を短くすれば、曲進するドロップレットが第1環状リブの切目と第2環状リブの切目を両方通過する可能性が低くなるので、ドロップレットの捕獲効率を高めることができる。その反面、間隔を長くすれば第1環状リブと第2環状リブの配置が容易になるので、本発明のプラズマ処理装置の製造が容易になる。
【0042】
本発明の第6の形態によれば、複数配置される前記分割型環状リブの内、少なくとも2つの形状が異なるので、前記プラズマ処理装置内の条件に応じて、適切な分割型環状リブの形状を使用できる。例えば、第2環状リブの切目を第1環状リブの切目よりも浅くして、第2環状リブ上において分割されない部位を残すことにより、第1環状リブの切目をすり抜ぬけて曲進するドロップレットを、第2環状リブの前記部位により捕獲することができる。
【0043】
本発明の第7の形態によれば、前記切目が前記多分割型環状リブの全幅に亘って形成されるので、前記リブ片が相互に完全に分離され、前記リブ片に形成する堆積物の小型化が完璧に達成できる。
【0044】
本発明の第8の形態によれば、前記切目が前記多分割型環状リブの幅の一部に亘って形成されるので、前記多分割型環状リブの連続的な基端リブ部が前記プラズマ進行管の内壁に沿って形成され、従って前記リブ片による堆積物の細分化を達成できると同時に、ドロップレットの捕獲機能を確保できる。
【0045】
後に図2及び3の説明において記述する通り、ドロップレットは環状リブの外側に捕獲され易い。その反面、プラズマ流による堆積物は環状リブの内側に形成されやすい。従って、内側に分割されたリブ片を配置し、外側に連続的な基端リブ部を配置することにより、堆積物の細分化とドロップレットの捕獲を両立させることができる。本形態における部分的切目と環状リブの幅の比率は10%〜90%が好ましく、更に好ましくは25%〜75%である。
【0046】
本発明の第9の形態によれば、前記多分割環状リブが下方へ傾斜しているので、ドロップレットが前記リブと前記プラズマ進行管の内壁の間で連続反射し易い。この連続反射によりドロップレットが停止させられ、前記リブ上に捕獲される。従って、ドロップレット捕獲が効率的になる。普通に使用される傾斜角度は、前記プラズマ進行管の中心軸を基準にして15〜90°である。経験的には、最適な傾斜角度は同基準で30〜60°である。
【0047】
本発明の第10の形態によれば、前記多分割環状リブが前記プラズマ進行管の中心軸に垂直なので、前記環状リブが前記環上リブの環面に水平になる。この形状により、前記分割リブ部の製造が容易になる。
【0048】
本発明の第11の形態によれば、前記リブ片及び/又は前記切目の面積、形状及び/又は傾斜角度が不均一なので、プラズマ流やドロップレット濃度などが不均一である場合に、プラズマ進行管の各部位における堆積物形成やドロップレット捕獲などの必要性に応じてリブ片の形状などを変化させることができる。
【0049】
本発明の第12の形態によれば、内周管が形成されているので、前記多分割型環状リブを前記内周管に予め配置し、後に前記内周管を前記プラズマ進行管へ嵌め込むことができる。従って、前記プラズマ進行管への前記多分割型環状リブの配置工作を省くことができ、前記プラズマ処理装置の作成工程の簡易化及び前記プラズマ進行管の強度確保に繋がる。
【0050】
本発明の第13の形態によれば、前記内周管と前記プラズマ進行管の間に絶縁部が介装されているので、前記内周管の内部が電気的に浮動状態になる。従って前記内周管の内部における電界の制御が容易となり、前記プラズマ流の制御を緻密に行うことができる。
【0051】
本発明の第14の形態によれば、前記プラズマ発生部と前記プラズマ進行管の間に始端絶縁プレートを介装するので、前記プラズマ進行管への前記プラズマ発生部の電界による影響を低減できる。従って、前記プラズマ進行管における前記プラズマ流の制御がより容易になる。
【0052】
本発明の第15の形態によれば、プラズマ処理部と前記プラズマ進行管の間に終端絶縁プレートを介装するので、前記プラズマ処理部への前記プラズマ発生部及び前記プラズマ進行管の電界による影響を低減できる。本形態における終端絶縁プレートと第14の形態における始端絶縁プレートが両方とも介装される場合は、二つの絶縁部により前記プラズマ進行管が電気的に遊離されるので、前記内周管の内部が電気的に浮動状態になる。従って前記内周管の内部における電界の制御が容易となり、前記プラズマ流の制御を緻密に行うことができる。
【0053】
本発明の第16の形態によれば、2つの陰極が装備され、1つは使用状態にあり、残る1つは待機状態において研磨され、前記陰極交換手段により交換されるので、前記プラズマ処理装置の内部を真空状態を保ったまま前記陰極を交換できる。従って、使用により表面が消耗した陰極を、前記プラズマ処理装置作動中に、表面が研磨された陰極と交換することができるので、被処理物の被膜処理を高能率的に行うことができる。この交換手段は前記堆積物破片により生じる短絡により破損され易く、またこの交換手段の機構などが前記破片により妨害され易いが、本発明の多分割環状リブは前記破片を細分化することにより、この破損及び妨害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本願における多分割型環状リブの斜視図である。
【図2】本願におけるプラズマ処理装置における堆積物の破片による無影響を示す概念透視図である。
【図3】環状リブにおけるドロップレットの堆積を示す概念図である。
【図4】環状リブにおけるプラズマ流物質の堆積を示す概念図である。
【図5】部分的切目を有する多分割型環状リブの斜視図である。
【図6】水平に配置されたリブ片を有する多分割型環状リブの斜視図である。
【図7】リブ片及び切目の面積、形状及び傾斜角度が不均一な多分割型環状リブの斜視図である。
【図8】切目が存在しない非分割リブ部が一部形成された多分割型環状リブの斜視図である。
【図9】プラズマ進行管において多分割型環状リブが1個のみ配置された状態を示す透視斜視図である。
【図10】プラズマ進行管において多分割型環状リブが2個配置された状態を示す透視斜視図である。
【図11】プラズマ進行管において多分割型環状リブが各々の分割リブ部が回転方向にずらされて2個配置された状態を示す透視下面図である。
【図12】第1環状リブ及び第2環状リブの上方に多分割型環状リブが配置された状態を示す透視斜視図である。
【図13】プラズマ進行管内の環状リブを全て多分割型環状リブとした状態を示す透視斜視図である。
【図14】プラズマ進行管内の複数の多分割型環状リブを形状の異なる多分割型環状リブとした状態を示す透視斜視図である。
【図15】第1環状リブと第2環状リブの間隔が狭められた状態を示す透視斜視図である。
【図16】プラズマ進行管の内部に内周管が位置され、前記内周管の内部に多分割型環状リブが配置された状態を示す透視斜視図である。
【図17】水平プラズマ進行管に終端部絶縁プレートが配置されたプラズマ処理装置を示す透視斜視図である。
【図18】陰極交換部が配置されたプラズマ処理装置の正面透視図である。
【図19】従来型環状リブの斜視図である。
【図20】従来型プラズマ処理装置において堆積物破片による短絡発生を示す概念透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下において、本発明の実施形態を図面に従って詳細に説明する。図1は、本願における多分割型環状リブ40の斜視図である。図1においては、この環状リブ40はプラズマ進行管接合部41及びリブ片42から構成され、リブ片42同士が切目44により完全に分断されている。この分断により、リブ片42に堆積する堆積物の大きさがリブ片42の大きさ以上にはならない。図1における環状リブ40のリブ片42は、内側に向かって下方に傾斜している。この傾斜は、図3の説明において記述する通り、ドロップレットを連続反射させて捕獲するのに役立つ。
【0056】
リブ片42の表面は、平滑であってもよく、また表面面積を増加するために凹凸を設けてもよい。凹凸を設けた場合は、リブ片42のドロップレット捕獲効率が、リブ片42が平滑である場合よりも高くなる。その反面、リブ片42が平滑である場合は、清掃がより容易になる。
【0057】
図2は、本願におけるプラズマ処理装置1における堆積物の破片91による無影響を示す概念透視図である。プラズマ処理装置1においては、プラズマ発生部10内に配置されるトリガ電極12と陰極11のアーク放電により陰極11を構成する物質をプラズマ化して、プラズマ流としてプラズマ進行管30へ導通する。このプラズマ流は更に折曲部50を通じてプラズマ水平進行管60へ導通され、プラズマ水平進行管の終端部に設置されるプラズマ処理部に達し、前記プラズマ処理部に配置される被処理物をプラズマ処理するのに使用される。アーク放電時には、プラズマと同時にドロップレットが副生する。このドロップレットは散乱して、プラズマ進行管30内に配置された多分割型環状リブ40により捕獲される。
【0058】
環状リブ40は前記プラズマ流に曝露され、(2A)に示されるように、プラズマ流物質の一部が環状リブ40のリブ片42に凝集して堆積物90を形成する。しかし、図1の説明において記述した通り、堆積物90の大きさはリブ片42の大きさより大きくならない。従って、(2B)に示されるように、堆積物90が破片91としてプラズマ発生部10に落下しても、破片91は溝部14に入り込み、トリガ電極12と同様に陽電圧が印加される壁面13と陰極11の電気短絡を発生しない。
【0059】
図2におけるプラズマ処理装置1には、プラズマ発生部10とプラズマ進行管30の間に、始端絶縁プレートである絶縁プレート20が装備されている。この絶縁プレート20は、プラズマ進行管30を、陽電圧が印加されているプラズマ発生部10の壁面13から電気的に独立させる。プラズマ発生部10からの電気的影響を除くことにより、プラズマ進行管30内の電界制御且つプラズマ流制御が容易になる。
【0060】
図3は、環状リブにおけるドロップレット22の堆積を示す概念図である。(3A)に示される通り、プラズマ流21が直進するのに対して、ドロップレット22は散乱するので、プラズマ進行管30の内壁へ飛散する。飛散したドロップレット22は環状リブ40に衝突して前記壁面及び環状リブ40に反射した後に環状リブ40に捕獲される。ドロップレット22は、(3B)に示される通りに、前記壁面に近い場所(環状リブ40のいわゆる外側)に捕獲され易い。
【0061】
ドロップレット22は環状リブ40上に捕獲されてドロップレット堆積物92を形成する。このドロップレット堆積物92は、ドロップレット22間の分子力が弱いので、極めて脆い。従って、環状リブ40から落下してプラズマ発生部10へ落下しても、落下の衝撃力により砕かれ、溝部14に入り込むので、陰極11と壁面13を架橋して短絡させることは無い。
【0062】
図3における環状リブは、内側に向かって下方に傾斜する。この下方傾斜は、(3A)に示されたドロップレット22の前記壁面及び環状リブ40の間における連続反射を促進する。この連続反射によりドロップレット22が停止させられ、環状リブ40上に捕獲される。従って、ドロップレット22の捕獲が効率的になる。普通に使用される傾斜角度は、プラズマ進行管30の中心軸を基準にして15〜90°である。経験的には、最適な傾斜角度は同基準で30〜60°である。
【0063】
図4は、環状リブにおけるプラズマ流物質の堆積を示す概念図である。(4A)に示されるように、プラズマ流21はプラズマ進行管30内を直進するので、プラズマ進行管30の軸中心付近におけるプラズマ流21は、進行管30の壁面には接近しない。しかし、前記壁面付近におけるプラズマ流21は、環状リブ40の内側に接近して、(4B)に示されるように、プラズマ流21の物質が環状リブ40に凝集することにより堆積物90を形成する。
【0064】
この堆積物90は、プラズマ流21の物質が再結晶またはそれに近い状態で凝集して形成されるので、強度が高い。従って、環状リブ40から剥離して落下した際に、衝撃力に耐え易い。
【0065】
(4B)に示されるように、この堆積物90は環状リブ40の内側に形成されやすい。従って、環状リブ40の内側のみを分割して、外側を分割させずに連続的に保つことにより、堆積物90の細分化を達成することができることが示される。この形状を有する環状リブ40は、図5に記載される。
【0066】
図5は、部分的な切目44を有する多分割型環状リブ40の斜視図である。この部分的な切目44が環状リブ40を分割する際に、リブ片42が相互に完全に分離されないと同時に、連続した基端リブ部43が形成される。
【0067】
図4の説明において記述した通り、プラズマ流による堆積物生成は、環状リブ40の内側において起こりやすい。従って、内側のみに形成されたリブ片42は、堆積物の細分化を充分に行うことができる。その一方、図3の説明において記述した通り、ドロップレットの堆積は環状リブ40の外側において起こりやすい。従って、基端リブ部を非分割とすることにより、ドロップレットの捕獲を確実にすることができる。図5の環状リブ40における部分的切目44と環状リブ40の幅の比率は10%〜90%が好ましく、更に好ましくは25%〜75%である。
【0068】
図6は、水平に配置されたリブ片42を有する多分割型環状リブ40の斜視図である。図1及び図5における環状リブ40は、内側に向かって下方に傾斜している。その反面、ここにおける環状リブ40は、中心軸に対して垂直であり、環状リブ40の環面に対して水平である。このように前記環面と比較して環状リブ40が水平である場合は、環状リブ40が傾斜を有する場合と比較して、製造が行い易くなり、また清掃が容易になる。
【0069】
図6に記載された環状リブ40のリブ片42は、切目44により相互に完全に分断されている。しかし、リブ片42が完全に相互に分断されず、図5に記載されているものと相似する基端リブ部が形成されても良い。
【0070】
図7は、リブ片42及び切目44の面積、形状及び傾斜角度が不均一な多分割型環状リブ40の斜視図である。ここにおける環状リブ40においては、傾斜を有するリブ片42と環状リブ40の環面に水平なリブ片が混在している。又、基端リブ部43が環状リブ部40の環上における一部のみに形成されている。更に、面積が異なるリブ片42が混在している。このように形状などが異なる複数のリブ片42を混在させることにより、プラズマ進行管30内において密度及び/又は速度が不均一なプラズマ流が存在する場合、不均一な堆積物形成に対応できる。
【0071】
図8は、切目44が存在しない非分割リブ部45が一部形成された多分割型環状リブ40の斜視図である。ここにおいては、非分割リブ部45は、面積が比較的大きいリブ片と見なすこともできる。従って、ここにおける多分割型環状リブ40は、図7に示される面積、形状及び/又は傾斜角度が不均一な多分割型環状リブ40の変形と見なすことができる。図7における多分割型環状リブ40と同様に、ここにおける環状リブ40を使用することにより、プラズマ進行管30内において密度及び/又は速度が不均一なプラズマ流が存在する場合、不均一な堆積物形成に対応できる。
【0072】
図9は、プラズマ進行管30において多分割型環状リブである第1環状リブ40aが1個のみ配置された状態を示す透視斜視図である。図4の説明において記述した通り、プラズマ流の再凝集による環状リブへの堆積物形成は、プラズマ流の上流において起こりやすい。従って、最上流に配置される環状リブを本発明の多分割型環状リブとすることにより、堆積物破片の細分化の為、最も効果的な配置形状が得られる。
【0073】
図10は、プラズマ進行管において多分割型環状リブである第1環状リブ40a及び第2環状リブ40bが配置された状態を示す透視斜視図である。第1環状リブ40aには切目44が形成されている。この切目44をドロップレットが通過することにより、第1環状リブ40aを透過する。このドロップレットを捕獲する為に、第2環状リブ40bを配置する。第2環状リブ40bのリブ片42は、第1環状リブ40aの切目44を覆被するように配置される。従って、第1環状リブ40aの切目44を通過するドロップレットを第2環状リブ40bのリブ片42により捕獲することができる。
【0074】
図10においては、第1環状リブ40aと第2環状リブ40bの形状は同じである。しかし、ドロップレット通過を低減する為には、第1環状リブ40aの全ての切目44を第2環状リブ40bのリブ片42で遮蔽すれば十分であるので、第2環状リブ40bにおけるリブ片42の面積及び形状は、第1環状リブ40aにおけるリブ片42の面積及び形状と同一である必要は全くない。
【0075】
図11は、プラズマ進行管において第1環状リブ40a及び第2環状リブ40bの各々のリブ片42が回転方向にずらされて配置された状態を示す透視下面図である。この様に、第2環状リブ40bのリブ片42は、第1環状リブ40aの切目44を覆被するように配置される。この様な配置により、プラズマ物質の凝集による堆積物の細分化を達成すると同時に、ドロップレットの捕獲を確実にすることができる。
【0076】
図12は、第1環状リブ40a及び第2環状リブ40bのプラズマ流下流側に多分割型環状リブ40が配置された状態を示す透視斜視図である。この様に多分割型環状リブ40を第1環状リブ40aと第2環状リブ40bの下流側に配置することにより、プラズマ物質の凝集による堆積物90の細分化を更に達成することができる。
【0077】
これらの多分割環状リブ40、第1環状リブ40a及び第2環状リブ40bは同一の形状を有さなくても良い。又、多分割環状リブ40を第2環状リブ40bに隣接する必要は無く、プラズマ流の凝集による堆積物が形成されやすい部位であれば、第2環状リブ40bから離れた部位に配設してもよい。
【0078】
図13は、プラズマ進行管30内の環状リブを全て多分割型環状リブとした状態を示す透視斜視図である。この様に全ての環状リブとして多分割型環状リブを使用することにより、堆積物90の細分化を確実にすることができる。図11における配置と同様に、これらの多分割環状リブ40、第1環状リブ40a及び第2環状リブ40bは、同一の形状を有さなくても良い。
【0079】
図14は、プラズマ進行管30内の複数の多分割型環状リブを形状の異なる多分割型環状リブとした状態を示す透視斜視図である。この様に形状のことなる多分割型環状リブを混在させることにより、プラズマ進行管30内において密度及び/又は速度が不均一なプラズマ流が存在する場合、不均一な堆積物形成に対応できる。
【0080】
図15は、第1環状リブ40aと第2環状リブ40bの間隔が狭められた状態を示す透視斜視図である。ドロップレット22は固体物質なので、比重がプラズマと比較して大きく、従ってドロップレット22の経路は重力などの影響により曲線となる。この為、ドロップレットが第1環状リブ40a及び第2環状リブ40bの切目44を通過する可能性がある。ここにおけるように、第1環状リブ40aと第2環状リブ40bの間隔を狭めることにより、ドロップレットによる2つの多分割型環状リブの透過の可能性を低減することができる。
【0081】
又、第1環状リブ40aと第2環状リブ40bの間隔を広げても良い。この場合には、これらの環状リブのプラズマ処理装置1への配置工作がより容易になる。
【0082】
図16は、プラズマ進行管30の内部に内周管31が位置され、内周管31の内部に第1環状リブ40aとして多分割型環状リブ40が配置された状態を示す透視斜視図である。プラズマ進行管30はプラズマ処理装置1の外部と内部の圧力差による応力に耐える必要がある。この様なプラズマ進行管30に多分割型環状リブなどの配置などの加工を行うことにより、プラズマ進行管30の強度及び気密性などの低下が起こる可能性がある。ここにおける通り、内周管31内に予め多分割型環状リブを配置し、後に内周管31をプラズマ進行管30内に配置することにより、工作が単純化され、またプラズマ進行管30の強度及び気密性などを確実に確保することができる。
【0083】
図16においては、多分割型環状リブとして第1環状リブ40aのみが配置されている。しかし、多分割型環状リブの配置を図10〜15の様に行っても良いことは、言うまでもない。
【0084】
又、図16においては、内周管31とプラズマ進行管30の間に絶縁部32が設けられている。この絶縁部32は、本発明においては無くても良いし、無ければプラズマ処理装置1の製造がより容易になる。しかし、絶縁部32を配置した場合には、内周管31をプラズマ発生部10等から電気的に独立させることができるので、内周管30内の電界制御をより簡単に行うことができるという長所を有する。
【0085】
図17は、水平プラズマ進行管60に終端部絶縁プレート61が配置されたプラズマ処理装置1を示す透視斜視図である。図17においては、先端部絶縁プレートである絶縁プレート20及び終端部絶縁プレート61を設置されているが、絶縁プレート20が省かれた状態においても、水平プラズマ進行管の末部に設置されたプラズマ処理部へのプラズマ発生部10の電気的影響を除去することができ、被処理物の薄膜の品質向上に繋がる。
【0086】
図17に示される通り、2つの絶縁プレートを設置することにより、プラズマ進行管30をプラズマ処理装置1の他の部分から電気的に完全に独立させることができる。従って、プラズマ進行管30内の電界を自由自在に設定することが可能となり、プラズマ流制御の自由度が高まる。
【0087】
図18は、陰極交換部80が設置されたプラズマ処理装置1の正面透視図である。ここにおける陰極交換部80は、交換用陰極81、モータ82、陰極交換台83、2つの陰極昇降台84、グラインダ85及び前記グラインダ駆動の為のグラインダ用モータ86から構成される。交換用陰極81は、放電位置から隔離された待機位置に配置され、陰極研磨部であるグラインダ85により表面を研磨される。陰極11及び交換用陰極81は、それぞれ陰極昇降台84上に設置される。放電位置に配置される陰極11と交換用陰極81を交換する為には、2つの陰極昇降台84を降下させ、モータ82により陰極交換台83を180°回転させ、2つの陰極昇降台84を上昇させる。この陰極交換部80により、プラズマ処理装置1の内部を真空状態に保ったまま、使用により表面が消耗した陰極11を、表面が研磨された交換用陰極81と交換することができる。
【0088】
陰極交換部80は、陰極11とプラズマ発生部10の壁面14の間の短絡により破損されやすい。しかし、第1環状リブ40a、第2環状リブ40b及び他の多分割型環状リブ40により堆積物90を細分化させて、堆積物の破片91が溝部14に入り込めるようにすることにより、前記短絡を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の分割環状リブ型プラズマ処理装置により、ドロップレット除去手段である環状リブにおける、プラズマ流物質の凝集による堆積物の細分化が達成できるので、前記堆積物によるプラズマ発生部内の短絡を防止することができる。この短絡防止により、プラズマ処理装置の長寿命化及び信頼性の改善を達成でき、またプラズマ流の安定化による処理加工の安定化及び水準の改善を達成できるので、被膜加工された被処理物の品質向上及び価格低下を達成できる。
【符号の説明】
【0090】
1 プラズマ処理装置
10 プラズマ発生部
11 陰極
12 トリガ電極
13 プラズマ発生部の壁面
14 溝部
20 絶縁プレート
21 プラズマ流
22 ドロップレット
30 プラズマ進行管
31 内周管
32 絶縁部
40 多分割型環状リブ
40a 第1環状リブ
40b 第2環状リブ
41 プラズマ進行管接合部
42 リブ片
43 基端リブ部
44 切目
45 非分割リブ部
50 折曲部
60 プラズマ水平進行管
61 終端部絶縁プレート
80 陰極交換部
81 交換用陰極
82 モータ
83 陰極交換台
84 陰極昇降台
85 グラインダ
86 グラインダ用モータ
90 堆積物
91 堆積物の小型破片
92 ドロップレット堆積物
101 従来型のプラズマ処理装置
110 プラズマ発生部
111 陰極
112 トリガ電極
113 プラズマ発生部の壁面
114 溝部
120 絶縁プレート
130 プラズマ進行管
140 環状リブ
140 従来型の環状リブ
141 プラズマ進行管接合部
150 折曲部
160 プラズマ水平進行管
190 堆積物
191 堆積物の大型破片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ発生部において放電により発生されたプラズマをドロップレット捕集用の複数の環状リブを内面に配置したプラズマ進行管を介してプラズマ処理部まで輸送するプラズマ処理装置において、前記環状リブの中で前記プラズマに曝露される最先端の第1環状リブを複数の切目を介して複数のリブ片に分割した多分割型環状リブから少なくとも構成することを特徴とする分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1環状リブよりもプラズマ流の下流側に隣接される第2環状リブを前記多分割型環状リブから構成し、前記第1環状リブの全ての切目を前記第2環状リブのリブ片で遮蔽するように前記第2環状リブを配置する請求項1に記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第2環状リブよりもプラズマ流の下流側に配置される複数の環状リブの内、プラズマに曝露され易い位置に配置される環状リブを前記多分割型環状リブから構成する請求項2に記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第2環状リブよりもプラズマ流の下流側に配置される全ての環状リブを前記多分割型環状リブから構成する請求項2に記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1環状リブと前記第2環状リブの間隔は、他の環状リブの相互の間隔よりも、長短自在に調整できる請求項2〜4のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項6】
前記分割型環状リブの少なくとも2個が異なる形状を有する請求項2〜5のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項7】
前記切目が前記多分割型環状リブの全幅に亘って形成される請求項1〜6のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項8】
前記切目が前記多分割型環状リブの内部から前記多分割型環状リブの幅の一部に亘って形成される請求項1〜6のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記多分割型環状リブが外部から内部に向かって下方へ斜行する請求項1〜8のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記多分割型環状リブが前記プラズマ進行管の中心軸に垂直である請求項1〜8のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項11】
前記多分割型環状リブの前記リブ片及び/又は前記切目の面積、形状及び/又は傾斜角度が不均一である請求項1〜8のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項12】
前記プラズマ進行管の内部に内周管が配置され、前記内周管の内部に前記多分割型環状リブ部が配置される請求項1〜11のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項13】
前記プラズマ進行管と前記内周管の間に絶縁部を介装して、前記プラズマ進行管と前記内周管を相互に電気的に独立させた請求項12に記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項14】
前記プラズマ発生部と前記プラズマ進行管の間に始端絶縁プレートを介装して、前記プラズマ発生部と前記プラズマ進行管を相互に電気的に独立させた請求項1〜13のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項15】
前記プラズマ進行管から供給されるプラズマにより被処理物を処理するプラズマ処理部と前記プラズマ進行管の間に終端絶縁プレートを介装して、前記プラズマ処理部と前記プラズマ進行管を相互に電気的に独立させた請求項1〜14に記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。
【請求項16】
前記分割環状リブ型プラズマ処理装置において、前記プラズマ発生部の放電位置に配設される前記陰極と、前記放電位置から隔離された待機位置に配置される交換用陰極と、前記交換用陰極の表面を研磨する陰極研磨部と、前記陰極と前記交換用陰極を交換する陰極交換機構を具備する請求項1〜15のいずれかに記載の分割環状リブ型プラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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