分包薬剤検査装置
【課題】処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かについての分包薬剤の検査精度を向上させた分包薬剤検査装置を提供することを課題とする。
【解決手段】薬剤61を分包袋62内に収納した分包薬剤6を、単数又は複数の撮影機40で撮影して、分包袋62内の薬剤61の状態を検査する、分包薬剤検査装置1であって、撮影機40のうち少なくとも1台の撮影機40からみて、分包袋62内における薬剤61同士の重なりを解消する重なり解消機構Jを具備する分包薬剤検査装置1とする。
【解決手段】薬剤61を分包袋62内に収納した分包薬剤6を、単数又は複数の撮影機40で撮影して、分包袋62内の薬剤61の状態を検査する、分包薬剤検査装置1であって、撮影機40のうち少なくとも1台の撮影機40からみて、分包袋62内における薬剤61同士の重なりを解消する重なり解消機構Jを具備する分包薬剤検査装置1とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分包薬剤検査装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や薬局では、患者が一回ごとに服用するための錠剤やカプセルからなる薬剤を薬剤分包装置によって分包袋内に収納して分包薬剤とし、そして当該分包薬剤につき処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かの検査が行われている。
【0003】
また、このような分包薬剤につき処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かの検査を行う技術として、単数又は複数台の撮影機で分包袋内の薬剤を撮影して、係る分包袋内の薬剤の状態を検査する、分包薬剤検査装置に関する技術は公知となっている。例えば特許文献1に示す如くである。
このような分包薬剤検査装置では、分包袋内の薬剤の状態(薬剤の数量、色、形状等)を撮影機で撮影して得られる画像情報と、処方箋に関する情報とを比較して、分包薬剤の検査を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−18230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような分包薬剤検査装置では、撮影機で分包薬剤を撮影する際に、分包袋内の薬剤同士が重なり合っていた場合には、分包袋内の薬剤の状態(例えば、重なり合っている薬剤のうち下側の薬剤の状態)を正確に撮影することが困難な場合があり、ひいては、処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かについての分包薬剤の正確な検査が行われない場合がある。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かについての分包薬剤の検査精度を向上させた分包薬剤検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を分包袋内に収納した分包薬剤を、単数又は複数の撮影機で撮影して、前記分包袋内の薬剤の状態を検査する、分包薬剤検査装置であって、前記撮影機のうち少なくとも1台の撮影機からみて、前記分包袋内における薬剤同士の重なりを解消する重なり解消機構を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記分包袋は、二つの面体の各縁部同士を張り合わせ及び/又は接続するようにして構成される面状の分包袋であって、前記分包薬剤検査装置は、前記重なり解消機構の上流側に配置され、前記分包袋における面体のうち一方の面体が水平となるように該分包薬剤を搬送する搬送角度変更機構を具備するものである。
【0010】
請求項3においては、前記分包薬剤検査装置は、錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を分包袋内に収納して分包薬剤とする薬剤分包装置における前記分包薬剤の取出し口に接続される接続部を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
即ち、本発明によれば、分包薬剤検査装置における処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かについての分包薬剤の検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を用いたシステムの概念図。
【図2】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置と薬剤分包装置を示した斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した正面拡大図。
【図4】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した斜視図。
【図5】(a)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した正面図、(b)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した正面拡大断面図。
【図6】(a)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置と薬剤分包装置を示した側面断面図、(b)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置と薬剤分包装置を示した平面断面図。
【図7】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した側面断面図、(b)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した平面断面図。
【図8】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を用いたシステムのブロック図。
【図9】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置が分包薬剤を検査する一連の動作を示したフローチャート図。
【図10】分包袋を示した斜視図。
【図11】(a)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した斜視図、(b)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置の接続部を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態に係る分包薬剤検査装置1を図1から図11を用いて説明する。
【0015】
分包薬剤検査装置1は、図1及び図2に示す如く、薬剤分包装置5に接続されて、当該薬剤分包装置5から排出される分包薬剤6における分包袋62内の薬剤61の状態を検査する装置である。
【0016】
薬剤分包装置5は、PC3に接続され、当該PC3に入力された患者ごとの処方箋情報80に基づいて、その筐体内において患者が一回ごとに服用するための薬剤61を分包袋62内に収納して分包薬剤6とする装置である。なお、分包袋62は、二つの面体の各縁部同士を張り合わせ及び/又は接続するようにして面状に構成される(図10参照)。薬剤61とは、以下において、錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を示す。
【0017】
また、薬剤分包装置5は、図2及び図3に示す如く、その筐体の前面下方に分包薬剤6を排出し又は取出すための取出し口51を有する。薬剤分包装置5の取出し口51は、水平方向に長い長方形に開口された開口がこれを外部からみて左側(内部からみて右側に)に略45度傾斜するように構成される(図3参照)。
【0018】
分包薬剤検査装置1は、図1、図2及び図4に示す如く、接続部10と本体部20とで構成される。また、分包薬剤検査装置1は、接続部10の筐体側面に分包薬剤6を送入するための送入口17を有し、本体部20の筐体側面にその状態が検査された分包薬剤6を排出し又は取出すための取出し口18を有する。
【0019】
分包薬剤検査装置1の接続部10は、本体部20の筐体の一側面から側方に突出するように構成される。接続部10における本体部20と接する面には、接続部10から本体部20へ分包薬剤6を搬送可能なように互いの筐体内で連通する連通口12が形成されている(図2及び図6参照)。
分包薬剤検査装置1の取出し口18と連通口12とは、水平方向に長い長方形に開口されている。
分包薬剤検査装置1では、その送入口17と取出し口18と連通口12とがこれらを結ぶ直線が略水平な直線となるように構成されている。
【0020】
分包薬剤検査装置1の接続部10は、薬剤分包装置5の取出し口51に挿入されて薬剤分包装置5と接続可能とする挿入部16を備える(図6参照)。接続部10の挿入部16は、接続部10が突出する方向にさらに突出するように構成される。接続部10の挿入部16は、水平方向に長い長方形を外部からみて右側(内部からみて左側に)に略45度傾斜させて、薬剤分包装置5の取出し口51に挿入可能なように構成されている。
また、接続部10の挿入部16には分包薬剤検査装置1の送入口17が形成されている。接続部10における挿入部16に形成される送入口17は、当該挿入部16が薬剤分包装置5の取出し口51に挿入されて、薬剤分包装置5の取出し口51から排出される分包薬剤6が送入可能なように、水平方向に長い長方形に開口された開口がこれを外部からみたて右側(内部からみて左側に)に略45度傾斜して構成されている(図5(a)参照)。
【0021】
分包薬剤検査装置1の接続部10は、図6に示す如く、その筐体内に搬送角度変更機構Kを備える。
搬送角度変更機構Kは、第一搬送路13と、搬送ローラ14と、押えローラ15とによって構成されている。
第一搬送路13は、分包薬剤検査装置1の送入口17に送入された分包薬剤6を当該送入口17から本体部20の筐体内に搬送するための搬送路であり、当該送入口17から連通口12に渡って配置されている。
第一搬送路13は、その送入口17側の端部の搬送路面が、送入口17の傾斜に合わせるように、第一搬送路13を当該送入口17側から見て水平方向に対して右側に略45度傾斜して構成されている。また第一搬送路13は、その連通口12側の端部の搬送路面が、連通口12に合わせるように水平に構成されている。第一搬送路13は、その搬送路面が送入口17側の端部から連通口12側の端部にいくにしたがって略水平となるように構成されている。即ち、第一搬送路13は、その搬送路面が送入口17側からみて左にねじれるように構成されている(図5(b)参照)。
【0022】
接続部10における搬送ローラ14は、第一搬送路13上の分包薬剤6における所定の部位を挟持しながら回転することによって分包薬剤6を搬送する機構であり、第一搬送路13が傾斜して上方側となる当該第一搬送路13の一方の側方(搬送方向に対して左側)に沿って複数台配置されている。
接続部10における押えローラ15は、第一搬送路13上の分包薬剤6における所定の部位を押えて、当該分包薬剤6を第一搬送路13にしたがって搬送するための機構であり、第一搬送路13が傾斜して下方側となる当該第一搬送路13の他方の側方(搬送方向に対して右側)に配置される。
【0023】
分包薬剤検査装置1の本体部20は、図7に示す如く、第二搬送路23と、搬送ローラ24と、重なり解消機構Jと、撮影機40とを備える。
【0024】
本体部20における第二搬送路23とは、接続部10から連通口12に搬送された分包薬剤6を当該連通口12から分包薬剤検査装置1の取出し口18に搬送するための搬送路であり、当該連通口12から当該取出し口18に渡って配置されている。また、第二搬送路23の連通口12側の端部は、第一搬送路13における連通口12側の端部に連設されている。第二搬送路23は、その搬送路面が略水平となるように構成されている。
本体部20における搬送ローラ24は、第二搬送路23上の分包薬剤6における所定の部位を挟持しながら回転することによって分包薬剤6を搬送する機構であり、第二搬送路23における搬送方向に対して左側に配置される。
【0025】
本体部20における重なり解消機構Jとは、分包袋62内における薬剤61同士の重なりを解消する機構である。
実施形態における重なり解消機構Jは整列機構30で構成される。整列機構30は、第二搬送路23における分包薬剤6の搬送経路上の中途部に3台配置されている。
【0026】
また、整列機構30は、芯材31と玉材32とバネ材33とを備える。
整列機構30の玉材32は、円柱の上面及び底面と同一形状の底面備える2つの円錐を、当該円柱の上面と底面とに、前記円錐の底面をそれぞれ一体的に設けた形状の部材である。また、玉材32には、これの円柱の上面と底面との中途部に、円柱の側面を貫通する貫通孔32aが形成されている。
そして、当該玉材32の貫通口の両開口部にそれぞれバネ材33を配置して、玉材32の貫通孔32aとバネ材33とに芯材31が挿通されている。またバネ材33は、玉材32を両開口部側から付勢するように、玉材32と当接している側と反対側の端部をストッパ34によって芯材31に固定されている。
【0027】
そして、整列機構30は、芯材31の軸心方向が、搬送方向に対して垂直となるように、即ち、玉材32の円錐の頂点を結ぶ直線(以下、玉材32の軸芯という)が搬送方向に対して平行となるように、第二搬送路23の上方に配置される。
また、整列機構30は、少なくともその下端部が、第二搬送路23上の分包薬剤6における分包袋62内で重なっている薬剤61のうち上方の薬剤61に接触する程度の高さに配置されている。
【0028】
また、3台の整列機構30は、それぞれ上流側から順に並んで配置されている。最も上流側の整列機構30は、3台の整列機構30のうち、搬送方向に対して最も右側に配置され、その玉材32の軸心32bが平面視で第二搬送路23上の分包薬剤6における搬送方向に対して右端部と重なるように配置される。次に下流側(中間)の整列機構30は、前記最も上流側の整列機構30よりも搬送方向に対して若干左側に配置される。次に下流側(最も下流側)の整列機構30は、前記中間の整列機構30よりも搬送方向に対して若干左側に配置される。
【0029】
本体部20における撮影機40は、整列機構30の下流側における第二搬送路23の上方に配置され、カメラ41と照明機42とで構成される。
撮影機40におけるカメラ41は、第二搬送路23上の分包薬剤6を撮影して画像情報とするものであり、その撮影面が第二搬送路23の搬送路面と平行となるように、第二搬送路23の上方に配置されている。また、撮影機40における照明機42は、当該カメラ41で撮影される分包薬剤6に光を照射してカメラ41による分包薬剤6の撮影を容易にするものである。
【0030】
なお、薬剤分包装置5は、図8に示す如く、記憶装置53と分包機能54と印字機能55とを具備し、有線又は無線でPC3と接続されている。
薬剤分包装置5における記憶装置53は、種々のデータを記憶するとともに、前記種々のデータを出力するためのものである。記憶装置53は、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、HDD(Hard Disc Drive)等により構成される。
また、薬剤分包装置5における記憶装置53には、薬剤61が格納されている場所や、薬剤61が格納されている数量等の薬剤情報81が予め記憶されている。
【0031】
薬剤分包装置5における分包機能54とは、処方箋に関する情報である処方箋情報80に基づいて分包袋62に薬剤61を分包する機能である。
薬剤分包装置5における印字機能55とは、処方箋情報80に基づいて分包袋62に処方箋に関する情報を印字する機能である。
【0032】
また、分包薬剤検査装置1は、図8に示す如く、記憶装置71と判定機能72とを具備し、有線又は無線でPC3と接続されている。
分包薬剤検査装置1における記憶装置71は、種々のデータを記憶するとともに、前記種々のデータを出力するためのものである。記憶装置71は、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、HDD(Hard Disc Drive)等により構成される。
分包薬剤検査装置1における判定機能72とは、画像情報82を基に薬剤61の種類と数量、及び分包薬剤6の数量に関する情報である判定情報を生成し、当該判定情報と処方箋情報80とを比較して、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての判定を行う機能である。
【0033】
次に、薬剤分包装置5が処方箋情報80を基にして分包薬剤6とし、分包薬剤検査装置1が当該分包薬剤6を検査するまでの一連の動作について説明する。
図9に示す如く、当該一連の動作は、処方箋情報入力工程S1と、分包工程S2と、分包薬剤検査工程S3とを具備してなる動作によって実行される。
【0034】
処方箋情報入力工程S1は、処方箋情報80をPC3に入力する工程である。
処方箋情報80とは、患者の氏名や薬剤61の投与等に関する患者情報、薬剤61の種類と数量に関する情報、及び分包薬剤6の数量に関する情報からなる。
PC3によって入力された処方箋情報80は、薬剤分包装置5及び分包薬剤検査装置1に送信され、各々の記憶装置53・71に格納される。
【0035】
分包工程S2は、薬剤分包装置5が、薬剤分包装置5の記憶装置53に格納された処方箋情報80と記憶装置53に格納されている薬剤情報81とに基づいて、分包袋62内に薬剤61を収納して分包薬剤6とし、当該分包袋62に処方箋に関する情報を印字する工程である。
【0036】
分包薬剤検査工程S3は、分包薬剤検査装置1における撮影機40で撮影した分包薬剤6の状態に関する情報である画像情報82から、薬剤61の種類と数量、及び分包薬剤6の数量に関する情報である判定情報を生成し、当該判定情報と分包薬剤検査装置1の記憶装置71に格納された処方箋情報80とを比較して、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての判定を行って、当該判定結果に基づく判定情報をPC3に送信することによって、分包薬剤6の検査を行う工程である。
そして、PC3に送信された前記判定情報は、PC3の画面に所定の方法で表示される。前記所定の方法により判定情報をPC3の画面に所定の方法で表示することとは、例えば、PC3に送信された判定情報が、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されている場合には「Y」を、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されていない場合には「N」を、PC3の画面にそれぞれ表示するようにPC3を設定することにより行う。
このように判定情報をPC3の画面に表示することにより、作業者は当該判定情報をPC3の画面に表示される前記判定情報を確認するだけで、分包薬剤6が処方箋通りに薬剤61が分包袋62内に収納されているか否かについて判断して、分包薬剤6の検査を行うことができる。
【0037】
また、分包薬剤検査装置1は、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての所定のマーキングを分包薬剤60に行うマーキング機能を具備する構成としても良いものとする。前記処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての所定のマーキングを分包薬剤60に行うこととは、例えば、前記マーキング機能は判定機能72と電機的に接続されており、当該判定機能72から当該マーキング機能に送信される判定情報が、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されている場合には「Y」を、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されていない場合には「N」を、それぞれ分包薬剤60に印字(マーキング)することにより行う。
【0038】
ここで、分包薬剤6とは、シート8から成形した分包袋62内に薬剤61を収納したものである。シート8は、長尺の樹脂素材からなる半透明フィルム材であり、これを芯材に巻きつけてロール状にした状態で、薬剤分包装置5の筐体内における所定の位置に配置されている。
そして、図10に示す如く。薬剤分包装置5においてシート8における長手方向の縁部同士を重ね合わせるようにこれを二つ折りにし、当該二つ折りにした当該シート8における長手方向の縁部にヒートシールを、該シート8における短手方向の所定の部位を所定の間隔を空けてヒートシールをそれぞれ施してヒートシール部63として、シート8から分包袋62は成形される。
また、薬剤61は、薬剤分包装置5の筐体における所定の箇所に種類ごとに区別して格納されている。そして、薬剤61は、前記シート8が二つ折りにされた段階で当該シート8上に配置され、ヒートシール部で囲むように分包袋内に収納される。また、分包薬剤6はシート8の端手方向シート8の短手方向におけるヒートシール部63に当該短手方向にそって、分包薬剤6同士を容易に切り離すためのミシン切れ目64が形成されている。
このようにして、分包薬剤6は、薬剤分包装置5にて分包袋62内に薬剤61を収納して分包薬剤6とされる。
なお、以下において、分包薬剤6におけるシート8にヒートシールが施されてなる長手方向の縁部を第一縁部65と、シート8が二つ折りにされてなる長手方向の縁部を第二縁部66と称する。
【0039】
また、薬剤分包装置5における搬送路50は、分包薬剤検査装置1の取出し口18へ分包薬剤6を搬送するための搬送路であり、これを外部からみて右側(内部からみて左側に)略45度傾斜するように構成されている。
薬剤分包装置5における搬送ローラ52は、分包薬剤6の所定の部位を挟持しながら回転することによって分包薬剤6を搬送する機構であり、搬送路50が傾斜して上方側となる当該搬送路50の一方の側方(搬送方向に対して左側)に配置される。
そして、薬剤分包装置5は、その取出し口51においては、分包薬剤6の第一縁部65を上方且つ搬送方向に対して左側に、第二縁部66を下方且つ搬送方向に対して右側に位置するように、分包薬剤6を略45度に傾斜させてその搬送路50上に配置して、分包薬剤6の第一縁部65を搬送ローラ52で挟持しながら当該搬送ローラ52を回転させて薬剤分包装置5に取出し口51に搬送し、分包薬剤6を当該取出し口51から排出する。
つまり、薬剤分包装置5の取出し口51から排出される分包薬剤6は、分包薬剤6の分包袋62を構成する面体のうち分包薬剤6が搬送路50(第一搬送路13及び第二搬送路23を含む)で搬送される際に当該搬送路50の搬送路面と接する側の面体である第一面体が、薬剤分包装置5の取出し口51を外部からみて水平方向に対して左側に略45度傾斜して搬送されて当該取出し口51から排出されることとなる(図6参照)。
なお、薬剤分包装置5の取出し口51や搬送路50は、一般に前述のように略45度傾斜して構成されている。この理由として、当該取出し口51や搬送路50が、傾斜しておらず垂直又は水平に構成されている場合には、薬剤分包装置5内において分包薬剤6を取出し口51に搬送する搬送経路の取りまわしが長くなり、引いては装置が大型化することが考えられる。
【0040】
以上のように構成される分包薬剤検査装置1は、図6に示す如く、分包薬剤検査装置1における接続部10の挿入部16を、薬剤分包装置5の取出し口51に挿入して、分包薬剤6の検査に用いられる。
係る状態で薬剤分包装置5の取出し口51から排出される分包薬剤6は、前述のように、その第一縁部65を上方に、その第二縁部66を下方に位置するように、その第一面体が薬剤分包装置5の取出し口51を外部からみて水平方向に対して左側に略45度傾斜して搬送されて当該取出し口51から排出されることとなる。このため、当該分包薬剤6における分包袋62内では、薬剤61が第二縁部66側にたまって当該薬剤61同士が重なり合っている場合がある。
【0041】
当該薬剤分包装置5の取出し口51から排出される分包薬剤6は、その第一面体が分包薬剤検査装置1における接続部10の第一搬送路13を当該送入口17側から見て水平方向に対して右側に略45度傾斜して、接続部10の送入口17へ送入されることとなる。
【0042】
分包薬剤検査装置1における接続部10の送入口17へ送入された分包薬剤6は、その第一縁部65をローラによって挟持されながら、その第一面体が連通口12側にいくにしたがって送入口17側からみて左にねじれるようにして搬送される。そして当該分包薬剤6は、これが第一搬送路13における連通口12側の端部に至った際には、その第一面体が水平となるように搬送される。つまり、当該搬送角度変更機構Kによって、分包薬剤6は、その第一面体が水平となるように本体部20の筐体内へ向けて搬送されることとなる。
【0043】
そして、係る分包薬剤6の第一面体が水平の状態においては、薬剤61は水平状態の第一面体に薬剤61が載置されている状態となるため、前記分包袋62内で第二縁部66側にたまっている薬剤61は、その一部又は全部の重なりが解消される場合がある。
つまり、このように搬送角度変更機構Kを、重なり防止機構、及び撮影機40の上流側に備えることで、下流側にて分包袋62内における薬剤61同士の重なりを解消すること、分包薬剤6の状態を正確に撮影することを容易に行うことができる。
【0044】
係る状態で連通口12に搬送される分包薬剤6は、図7に示す如く、本体部20の第二搬送路23によって分包薬剤検査装置1の取出し口18に搬送される。このとき、第二搬送路23はその搬送路面が略水平となるように構成されているため、第二搬送路23上の分包薬剤6の第一面体は水平の状態が保持されたまま、分包薬剤6は当該取出し口18に搬送されることとなる。ここで、連通口12から取出し口18に搬送される初期の段階においては、多くの薬剤61は前記分包袋62内で第二縁部66側にたまっている状態にある。
【0045】
そして、分包薬剤6が第二搬送路23における分包薬剤6の搬送経路上の中途部に至った際には、重なり解消機構Jである整列機構30によって、分包袋62内における薬剤61同士の重なりは解消される。詳細には、整列装置は、その下端部が前記分包袋62内で第二縁部66側にたまって重なって薬剤61のうち上方の薬剤61に接触する程度の高さに配置されている。また、3台配置されている整列機構30のうち最も上流側の整列機構30は、その玉材32の軸心32bが平面視で第二搬送路23上の分包薬剤6における搬送方向に対して右端部、即ち分包薬剤6の第二縁部66と重なるように配置される。中間の整列機構30は、前記最も上流側の整列機構30よりも搬送方向に対して若干左側に配置される。最も下流側の整列機構30は、前記中間の整列機構30よりも搬送方向に対して若干左側に配置される。
【0046】
このため、分包薬剤6が第二搬送路23における分包薬剤6の搬送経路上の中途部に至った際には、まず、最も上流側に配置される整列機構30の玉材32に、前記分包袋62内で第二縁部66側にたまって重なっている薬剤61のうち上方の薬剤61が接触する。そして、玉材32に接触した当該上方の薬剤61は、下方の薬剤61から分包薬剤6の第一面体上に落されることとなる。重なっている薬剤61のうち分包薬剤6の第一面体上に落されなかった薬剤61であっても、下流側に搬送されることで、中間の整列機構30の玉材32に接触し、当該玉材32に接触した上方の薬剤61は、下方の薬剤61から分包薬剤6の第一面体上に落されることとなる。さらに、重なっている薬剤61のうち分包薬剤6の第一面体上に落されなかった薬剤61であっても、下流側に搬送されることで、最も下流側の整列機構30の玉材32に接触し、当該玉材32に接触した上方の薬剤61の全部又は一部は、下方の薬剤61から分包薬剤6の第一面体上に落される。
【0047】
このようにして、分包薬剤6の第二縁部66側にたまって重なっている薬剤61のうち上方の薬剤は、整列機構30によって分包薬剤6の第一面体上に落されて、分包袋62内における薬剤61同士の重なりは解消される。
【0048】
このように分包袋62内における薬剤61同士の重なりは解消された分包薬剤6は、第二搬送路23によって下流側に搬送され、整列機構30の下流側に配置されるカメラ41と照明機42とで構成される撮影機40によって撮影される。そして、分包薬剤6は、さらに下流側に搬送されて分包薬剤検査装置1の取出し口18から排出されることとなる。
このとき、第二搬送路23上の分包薬剤6の第一面体は水平の状態が保持されたまま、分包薬剤6の第一面体上に薬剤61が落された分包薬剤6は、連通口12から取出し口18向かってに搬送されることとなる。また、カメラ41の撮影面は第二搬送路23の搬送路面と平行となるように構成されている。このため、前記分包薬剤6の第一面体上に薬剤61が落された分包薬剤6は、撮影機40からみても分包袋62内における薬剤61同士の重なりは解消されているため、分包袋62内の薬剤61の状態を正確に撮影することができる。
したがって、分包薬剤検査装置1によれば、分包薬剤検査装置1における処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての分包薬剤6の検査精度を向上させることができる。また、当該分包薬剤6の検査精度を向上させた分包薬剤検査装置1を高性能の撮影機40を要さずに実現することができる。
【0049】
また、分包薬剤検査装置1は、薬剤分包装置5の取出し口51に接続可能な挿入部16を備え、接続部10の挿入部16には分包薬剤検査装置1の送入口17が形成されている。したがって、分包薬剤検査装置1では、人手を解して、分包薬剤検査装置1の送入口17に分包薬剤6を送入することなく、直接、薬剤分包装置5から分包薬剤検査装置1の送入口17に分包薬剤6を挿入して、分包薬剤を検査することができる。
【0050】
整列機構30の玉材32は、バネ材33によって玉材32の両開口部側(搬送方向に対して左右から)から付勢されている。このため、玉材32が分包袋62内の薬剤61に接触しても、薬剤61には近い外力が加わらず、玉材32が薬剤61に接触することによって薬剤61が破損してしまうことを防止することができる。
また、玉材32が薬剤61に接触した際に、当該玉材32の配置が所定の位置からずれてしまうこととなるが、当該玉材32は、バネ材33によって搬送方向に対して左右から付勢されて自動で元の位置に配置されるため、分包薬剤6が連続して搬送される場合であっても、容易に分包袋62内で重なっている薬剤61のうち上方の薬剤61に接触することができる。
【0051】
分包薬剤検査装置1の接続部10は、図9に示すごとく、本体部20と分離可能に構成して、当該接続部10の挿入部16が突出する面と反対側の面に、連通口12に挿入して本体部20と接続可能とし、互いに筐体内で連通する挿入部16を設けても良いものとする。
【0052】
なお、分包薬剤6を分包薬剤検査装置1の送入口17に挿入する際には、薬剤分包装置5の取出し口51に分包薬剤検査装置1の挿入部16を挿入して、当該薬剤分包装置5の取出し口51から分包薬剤検査装置1の送入口17に分包薬剤6を送入することに限定するものではなく、直接作業者が分包薬剤検査装置1の送入口17に分包薬剤6を送入してもよいものとする。
【0053】
搬送角度変更機構Kは、接続部10に配置されることに限定するものではなく、本体部20に配置されていてもよいものとする。
重なり解消機構Jは、本体部20に配置されることに限定するものではなく、接続部10に配置されていてもよいものとする。
【0054】
重なり解消機構Jは、例えば、第一搬送路13又は第二搬送路23を振動させて、分包薬剤6の第二縁部66側にたまって重なっている薬剤61のうち上方の薬剤61を分包薬剤6の第一面体上に落として、分包袋62内における薬剤61同士の重なりを解消する、振動機構であってもよい。
【0055】
整列機構30は、上流側から順に並んで3台配置されているが、整列機構30が3台配置されていること、及び上流側から順に並んで配置されていることに限定するものではなく、整列機構30は、単数台または4台以上配置されていても、搬送方向と平行に並んで配置されていても良いものとする。
撮影機40は単数台配置されることに限定するものではなく、複数台配置されていてもよいものとする。
【符号の説明】
【0056】
1 分包薬剤検査装置
2 分包装置
6 分包薬剤
10 接続部
20 本体部
30 整列機構
40 撮影機
J 重なり解消機構
K 搬送角度変更機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、分包薬剤検査装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や薬局では、患者が一回ごとに服用するための錠剤やカプセルからなる薬剤を薬剤分包装置によって分包袋内に収納して分包薬剤とし、そして当該分包薬剤につき処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かの検査が行われている。
【0003】
また、このような分包薬剤につき処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かの検査を行う技術として、単数又は複数台の撮影機で分包袋内の薬剤を撮影して、係る分包袋内の薬剤の状態を検査する、分包薬剤検査装置に関する技術は公知となっている。例えば特許文献1に示す如くである。
このような分包薬剤検査装置では、分包袋内の薬剤の状態(薬剤の数量、色、形状等)を撮影機で撮影して得られる画像情報と、処方箋に関する情報とを比較して、分包薬剤の検査を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−18230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような分包薬剤検査装置では、撮影機で分包薬剤を撮影する際に、分包袋内の薬剤同士が重なり合っていた場合には、分包袋内の薬剤の状態(例えば、重なり合っている薬剤のうち下側の薬剤の状態)を正確に撮影することが困難な場合があり、ひいては、処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かについての分包薬剤の正確な検査が行われない場合がある。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かについての分包薬剤の検査精度を向上させた分包薬剤検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を分包袋内に収納した分包薬剤を、単数又は複数の撮影機で撮影して、前記分包袋内の薬剤の状態を検査する、分包薬剤検査装置であって、前記撮影機のうち少なくとも1台の撮影機からみて、前記分包袋内における薬剤同士の重なりを解消する重なり解消機構を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記分包袋は、二つの面体の各縁部同士を張り合わせ及び/又は接続するようにして構成される面状の分包袋であって、前記分包薬剤検査装置は、前記重なり解消機構の上流側に配置され、前記分包袋における面体のうち一方の面体が水平となるように該分包薬剤を搬送する搬送角度変更機構を具備するものである。
【0010】
請求項3においては、前記分包薬剤検査装置は、錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を分包袋内に収納して分包薬剤とする薬剤分包装置における前記分包薬剤の取出し口に接続される接続部を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
即ち、本発明によれば、分包薬剤検査装置における処方箋通りに分包袋内に薬剤が収納されているか否かについての分包薬剤の検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を用いたシステムの概念図。
【図2】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置と薬剤分包装置を示した斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した正面拡大図。
【図4】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した斜視図。
【図5】(a)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した正面図、(b)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した正面拡大断面図。
【図6】(a)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置と薬剤分包装置を示した側面断面図、(b)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置と薬剤分包装置を示した平面断面図。
【図7】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した側面断面図、(b)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した平面断面図。
【図8】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を用いたシステムのブロック図。
【図9】本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置が分包薬剤を検査する一連の動作を示したフローチャート図。
【図10】分包袋を示した斜視図。
【図11】(a)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置を示した斜視図、(b)本発明の実施例に係る分包薬剤検査装置の接続部を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態に係る分包薬剤検査装置1を図1から図11を用いて説明する。
【0015】
分包薬剤検査装置1は、図1及び図2に示す如く、薬剤分包装置5に接続されて、当該薬剤分包装置5から排出される分包薬剤6における分包袋62内の薬剤61の状態を検査する装置である。
【0016】
薬剤分包装置5は、PC3に接続され、当該PC3に入力された患者ごとの処方箋情報80に基づいて、その筐体内において患者が一回ごとに服用するための薬剤61を分包袋62内に収納して分包薬剤6とする装置である。なお、分包袋62は、二つの面体の各縁部同士を張り合わせ及び/又は接続するようにして面状に構成される(図10参照)。薬剤61とは、以下において、錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を示す。
【0017】
また、薬剤分包装置5は、図2及び図3に示す如く、その筐体の前面下方に分包薬剤6を排出し又は取出すための取出し口51を有する。薬剤分包装置5の取出し口51は、水平方向に長い長方形に開口された開口がこれを外部からみて左側(内部からみて右側に)に略45度傾斜するように構成される(図3参照)。
【0018】
分包薬剤検査装置1は、図1、図2及び図4に示す如く、接続部10と本体部20とで構成される。また、分包薬剤検査装置1は、接続部10の筐体側面に分包薬剤6を送入するための送入口17を有し、本体部20の筐体側面にその状態が検査された分包薬剤6を排出し又は取出すための取出し口18を有する。
【0019】
分包薬剤検査装置1の接続部10は、本体部20の筐体の一側面から側方に突出するように構成される。接続部10における本体部20と接する面には、接続部10から本体部20へ分包薬剤6を搬送可能なように互いの筐体内で連通する連通口12が形成されている(図2及び図6参照)。
分包薬剤検査装置1の取出し口18と連通口12とは、水平方向に長い長方形に開口されている。
分包薬剤検査装置1では、その送入口17と取出し口18と連通口12とがこれらを結ぶ直線が略水平な直線となるように構成されている。
【0020】
分包薬剤検査装置1の接続部10は、薬剤分包装置5の取出し口51に挿入されて薬剤分包装置5と接続可能とする挿入部16を備える(図6参照)。接続部10の挿入部16は、接続部10が突出する方向にさらに突出するように構成される。接続部10の挿入部16は、水平方向に長い長方形を外部からみて右側(内部からみて左側に)に略45度傾斜させて、薬剤分包装置5の取出し口51に挿入可能なように構成されている。
また、接続部10の挿入部16には分包薬剤検査装置1の送入口17が形成されている。接続部10における挿入部16に形成される送入口17は、当該挿入部16が薬剤分包装置5の取出し口51に挿入されて、薬剤分包装置5の取出し口51から排出される分包薬剤6が送入可能なように、水平方向に長い長方形に開口された開口がこれを外部からみたて右側(内部からみて左側に)に略45度傾斜して構成されている(図5(a)参照)。
【0021】
分包薬剤検査装置1の接続部10は、図6に示す如く、その筐体内に搬送角度変更機構Kを備える。
搬送角度変更機構Kは、第一搬送路13と、搬送ローラ14と、押えローラ15とによって構成されている。
第一搬送路13は、分包薬剤検査装置1の送入口17に送入された分包薬剤6を当該送入口17から本体部20の筐体内に搬送するための搬送路であり、当該送入口17から連通口12に渡って配置されている。
第一搬送路13は、その送入口17側の端部の搬送路面が、送入口17の傾斜に合わせるように、第一搬送路13を当該送入口17側から見て水平方向に対して右側に略45度傾斜して構成されている。また第一搬送路13は、その連通口12側の端部の搬送路面が、連通口12に合わせるように水平に構成されている。第一搬送路13は、その搬送路面が送入口17側の端部から連通口12側の端部にいくにしたがって略水平となるように構成されている。即ち、第一搬送路13は、その搬送路面が送入口17側からみて左にねじれるように構成されている(図5(b)参照)。
【0022】
接続部10における搬送ローラ14は、第一搬送路13上の分包薬剤6における所定の部位を挟持しながら回転することによって分包薬剤6を搬送する機構であり、第一搬送路13が傾斜して上方側となる当該第一搬送路13の一方の側方(搬送方向に対して左側)に沿って複数台配置されている。
接続部10における押えローラ15は、第一搬送路13上の分包薬剤6における所定の部位を押えて、当該分包薬剤6を第一搬送路13にしたがって搬送するための機構であり、第一搬送路13が傾斜して下方側となる当該第一搬送路13の他方の側方(搬送方向に対して右側)に配置される。
【0023】
分包薬剤検査装置1の本体部20は、図7に示す如く、第二搬送路23と、搬送ローラ24と、重なり解消機構Jと、撮影機40とを備える。
【0024】
本体部20における第二搬送路23とは、接続部10から連通口12に搬送された分包薬剤6を当該連通口12から分包薬剤検査装置1の取出し口18に搬送するための搬送路であり、当該連通口12から当該取出し口18に渡って配置されている。また、第二搬送路23の連通口12側の端部は、第一搬送路13における連通口12側の端部に連設されている。第二搬送路23は、その搬送路面が略水平となるように構成されている。
本体部20における搬送ローラ24は、第二搬送路23上の分包薬剤6における所定の部位を挟持しながら回転することによって分包薬剤6を搬送する機構であり、第二搬送路23における搬送方向に対して左側に配置される。
【0025】
本体部20における重なり解消機構Jとは、分包袋62内における薬剤61同士の重なりを解消する機構である。
実施形態における重なり解消機構Jは整列機構30で構成される。整列機構30は、第二搬送路23における分包薬剤6の搬送経路上の中途部に3台配置されている。
【0026】
また、整列機構30は、芯材31と玉材32とバネ材33とを備える。
整列機構30の玉材32は、円柱の上面及び底面と同一形状の底面備える2つの円錐を、当該円柱の上面と底面とに、前記円錐の底面をそれぞれ一体的に設けた形状の部材である。また、玉材32には、これの円柱の上面と底面との中途部に、円柱の側面を貫通する貫通孔32aが形成されている。
そして、当該玉材32の貫通口の両開口部にそれぞれバネ材33を配置して、玉材32の貫通孔32aとバネ材33とに芯材31が挿通されている。またバネ材33は、玉材32を両開口部側から付勢するように、玉材32と当接している側と反対側の端部をストッパ34によって芯材31に固定されている。
【0027】
そして、整列機構30は、芯材31の軸心方向が、搬送方向に対して垂直となるように、即ち、玉材32の円錐の頂点を結ぶ直線(以下、玉材32の軸芯という)が搬送方向に対して平行となるように、第二搬送路23の上方に配置される。
また、整列機構30は、少なくともその下端部が、第二搬送路23上の分包薬剤6における分包袋62内で重なっている薬剤61のうち上方の薬剤61に接触する程度の高さに配置されている。
【0028】
また、3台の整列機構30は、それぞれ上流側から順に並んで配置されている。最も上流側の整列機構30は、3台の整列機構30のうち、搬送方向に対して最も右側に配置され、その玉材32の軸心32bが平面視で第二搬送路23上の分包薬剤6における搬送方向に対して右端部と重なるように配置される。次に下流側(中間)の整列機構30は、前記最も上流側の整列機構30よりも搬送方向に対して若干左側に配置される。次に下流側(最も下流側)の整列機構30は、前記中間の整列機構30よりも搬送方向に対して若干左側に配置される。
【0029】
本体部20における撮影機40は、整列機構30の下流側における第二搬送路23の上方に配置され、カメラ41と照明機42とで構成される。
撮影機40におけるカメラ41は、第二搬送路23上の分包薬剤6を撮影して画像情報とするものであり、その撮影面が第二搬送路23の搬送路面と平行となるように、第二搬送路23の上方に配置されている。また、撮影機40における照明機42は、当該カメラ41で撮影される分包薬剤6に光を照射してカメラ41による分包薬剤6の撮影を容易にするものである。
【0030】
なお、薬剤分包装置5は、図8に示す如く、記憶装置53と分包機能54と印字機能55とを具備し、有線又は無線でPC3と接続されている。
薬剤分包装置5における記憶装置53は、種々のデータを記憶するとともに、前記種々のデータを出力するためのものである。記憶装置53は、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、HDD(Hard Disc Drive)等により構成される。
また、薬剤分包装置5における記憶装置53には、薬剤61が格納されている場所や、薬剤61が格納されている数量等の薬剤情報81が予め記憶されている。
【0031】
薬剤分包装置5における分包機能54とは、処方箋に関する情報である処方箋情報80に基づいて分包袋62に薬剤61を分包する機能である。
薬剤分包装置5における印字機能55とは、処方箋情報80に基づいて分包袋62に処方箋に関する情報を印字する機能である。
【0032】
また、分包薬剤検査装置1は、図8に示す如く、記憶装置71と判定機能72とを具備し、有線又は無線でPC3と接続されている。
分包薬剤検査装置1における記憶装置71は、種々のデータを記憶するとともに、前記種々のデータを出力するためのものである。記憶装置71は、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、HDD(Hard Disc Drive)等により構成される。
分包薬剤検査装置1における判定機能72とは、画像情報82を基に薬剤61の種類と数量、及び分包薬剤6の数量に関する情報である判定情報を生成し、当該判定情報と処方箋情報80とを比較して、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての判定を行う機能である。
【0033】
次に、薬剤分包装置5が処方箋情報80を基にして分包薬剤6とし、分包薬剤検査装置1が当該分包薬剤6を検査するまでの一連の動作について説明する。
図9に示す如く、当該一連の動作は、処方箋情報入力工程S1と、分包工程S2と、分包薬剤検査工程S3とを具備してなる動作によって実行される。
【0034】
処方箋情報入力工程S1は、処方箋情報80をPC3に入力する工程である。
処方箋情報80とは、患者の氏名や薬剤61の投与等に関する患者情報、薬剤61の種類と数量に関する情報、及び分包薬剤6の数量に関する情報からなる。
PC3によって入力された処方箋情報80は、薬剤分包装置5及び分包薬剤検査装置1に送信され、各々の記憶装置53・71に格納される。
【0035】
分包工程S2は、薬剤分包装置5が、薬剤分包装置5の記憶装置53に格納された処方箋情報80と記憶装置53に格納されている薬剤情報81とに基づいて、分包袋62内に薬剤61を収納して分包薬剤6とし、当該分包袋62に処方箋に関する情報を印字する工程である。
【0036】
分包薬剤検査工程S3は、分包薬剤検査装置1における撮影機40で撮影した分包薬剤6の状態に関する情報である画像情報82から、薬剤61の種類と数量、及び分包薬剤6の数量に関する情報である判定情報を生成し、当該判定情報と分包薬剤検査装置1の記憶装置71に格納された処方箋情報80とを比較して、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての判定を行って、当該判定結果に基づく判定情報をPC3に送信することによって、分包薬剤6の検査を行う工程である。
そして、PC3に送信された前記判定情報は、PC3の画面に所定の方法で表示される。前記所定の方法により判定情報をPC3の画面に所定の方法で表示することとは、例えば、PC3に送信された判定情報が、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されている場合には「Y」を、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されていない場合には「N」を、PC3の画面にそれぞれ表示するようにPC3を設定することにより行う。
このように判定情報をPC3の画面に表示することにより、作業者は当該判定情報をPC3の画面に表示される前記判定情報を確認するだけで、分包薬剤6が処方箋通りに薬剤61が分包袋62内に収納されているか否かについて判断して、分包薬剤6の検査を行うことができる。
【0037】
また、分包薬剤検査装置1は、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての所定のマーキングを分包薬剤60に行うマーキング機能を具備する構成としても良いものとする。前記処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての所定のマーキングを分包薬剤60に行うこととは、例えば、前記マーキング機能は判定機能72と電機的に接続されており、当該判定機能72から当該マーキング機能に送信される判定情報が、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されている場合には「Y」を、処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されていない場合には「N」を、それぞれ分包薬剤60に印字(マーキング)することにより行う。
【0038】
ここで、分包薬剤6とは、シート8から成形した分包袋62内に薬剤61を収納したものである。シート8は、長尺の樹脂素材からなる半透明フィルム材であり、これを芯材に巻きつけてロール状にした状態で、薬剤分包装置5の筐体内における所定の位置に配置されている。
そして、図10に示す如く。薬剤分包装置5においてシート8における長手方向の縁部同士を重ね合わせるようにこれを二つ折りにし、当該二つ折りにした当該シート8における長手方向の縁部にヒートシールを、該シート8における短手方向の所定の部位を所定の間隔を空けてヒートシールをそれぞれ施してヒートシール部63として、シート8から分包袋62は成形される。
また、薬剤61は、薬剤分包装置5の筐体における所定の箇所に種類ごとに区別して格納されている。そして、薬剤61は、前記シート8が二つ折りにされた段階で当該シート8上に配置され、ヒートシール部で囲むように分包袋内に収納される。また、分包薬剤6はシート8の端手方向シート8の短手方向におけるヒートシール部63に当該短手方向にそって、分包薬剤6同士を容易に切り離すためのミシン切れ目64が形成されている。
このようにして、分包薬剤6は、薬剤分包装置5にて分包袋62内に薬剤61を収納して分包薬剤6とされる。
なお、以下において、分包薬剤6におけるシート8にヒートシールが施されてなる長手方向の縁部を第一縁部65と、シート8が二つ折りにされてなる長手方向の縁部を第二縁部66と称する。
【0039】
また、薬剤分包装置5における搬送路50は、分包薬剤検査装置1の取出し口18へ分包薬剤6を搬送するための搬送路であり、これを外部からみて右側(内部からみて左側に)略45度傾斜するように構成されている。
薬剤分包装置5における搬送ローラ52は、分包薬剤6の所定の部位を挟持しながら回転することによって分包薬剤6を搬送する機構であり、搬送路50が傾斜して上方側となる当該搬送路50の一方の側方(搬送方向に対して左側)に配置される。
そして、薬剤分包装置5は、その取出し口51においては、分包薬剤6の第一縁部65を上方且つ搬送方向に対して左側に、第二縁部66を下方且つ搬送方向に対して右側に位置するように、分包薬剤6を略45度に傾斜させてその搬送路50上に配置して、分包薬剤6の第一縁部65を搬送ローラ52で挟持しながら当該搬送ローラ52を回転させて薬剤分包装置5に取出し口51に搬送し、分包薬剤6を当該取出し口51から排出する。
つまり、薬剤分包装置5の取出し口51から排出される分包薬剤6は、分包薬剤6の分包袋62を構成する面体のうち分包薬剤6が搬送路50(第一搬送路13及び第二搬送路23を含む)で搬送される際に当該搬送路50の搬送路面と接する側の面体である第一面体が、薬剤分包装置5の取出し口51を外部からみて水平方向に対して左側に略45度傾斜して搬送されて当該取出し口51から排出されることとなる(図6参照)。
なお、薬剤分包装置5の取出し口51や搬送路50は、一般に前述のように略45度傾斜して構成されている。この理由として、当該取出し口51や搬送路50が、傾斜しておらず垂直又は水平に構成されている場合には、薬剤分包装置5内において分包薬剤6を取出し口51に搬送する搬送経路の取りまわしが長くなり、引いては装置が大型化することが考えられる。
【0040】
以上のように構成される分包薬剤検査装置1は、図6に示す如く、分包薬剤検査装置1における接続部10の挿入部16を、薬剤分包装置5の取出し口51に挿入して、分包薬剤6の検査に用いられる。
係る状態で薬剤分包装置5の取出し口51から排出される分包薬剤6は、前述のように、その第一縁部65を上方に、その第二縁部66を下方に位置するように、その第一面体が薬剤分包装置5の取出し口51を外部からみて水平方向に対して左側に略45度傾斜して搬送されて当該取出し口51から排出されることとなる。このため、当該分包薬剤6における分包袋62内では、薬剤61が第二縁部66側にたまって当該薬剤61同士が重なり合っている場合がある。
【0041】
当該薬剤分包装置5の取出し口51から排出される分包薬剤6は、その第一面体が分包薬剤検査装置1における接続部10の第一搬送路13を当該送入口17側から見て水平方向に対して右側に略45度傾斜して、接続部10の送入口17へ送入されることとなる。
【0042】
分包薬剤検査装置1における接続部10の送入口17へ送入された分包薬剤6は、その第一縁部65をローラによって挟持されながら、その第一面体が連通口12側にいくにしたがって送入口17側からみて左にねじれるようにして搬送される。そして当該分包薬剤6は、これが第一搬送路13における連通口12側の端部に至った際には、その第一面体が水平となるように搬送される。つまり、当該搬送角度変更機構Kによって、分包薬剤6は、その第一面体が水平となるように本体部20の筐体内へ向けて搬送されることとなる。
【0043】
そして、係る分包薬剤6の第一面体が水平の状態においては、薬剤61は水平状態の第一面体に薬剤61が載置されている状態となるため、前記分包袋62内で第二縁部66側にたまっている薬剤61は、その一部又は全部の重なりが解消される場合がある。
つまり、このように搬送角度変更機構Kを、重なり防止機構、及び撮影機40の上流側に備えることで、下流側にて分包袋62内における薬剤61同士の重なりを解消すること、分包薬剤6の状態を正確に撮影することを容易に行うことができる。
【0044】
係る状態で連通口12に搬送される分包薬剤6は、図7に示す如く、本体部20の第二搬送路23によって分包薬剤検査装置1の取出し口18に搬送される。このとき、第二搬送路23はその搬送路面が略水平となるように構成されているため、第二搬送路23上の分包薬剤6の第一面体は水平の状態が保持されたまま、分包薬剤6は当該取出し口18に搬送されることとなる。ここで、連通口12から取出し口18に搬送される初期の段階においては、多くの薬剤61は前記分包袋62内で第二縁部66側にたまっている状態にある。
【0045】
そして、分包薬剤6が第二搬送路23における分包薬剤6の搬送経路上の中途部に至った際には、重なり解消機構Jである整列機構30によって、分包袋62内における薬剤61同士の重なりは解消される。詳細には、整列装置は、その下端部が前記分包袋62内で第二縁部66側にたまって重なって薬剤61のうち上方の薬剤61に接触する程度の高さに配置されている。また、3台配置されている整列機構30のうち最も上流側の整列機構30は、その玉材32の軸心32bが平面視で第二搬送路23上の分包薬剤6における搬送方向に対して右端部、即ち分包薬剤6の第二縁部66と重なるように配置される。中間の整列機構30は、前記最も上流側の整列機構30よりも搬送方向に対して若干左側に配置される。最も下流側の整列機構30は、前記中間の整列機構30よりも搬送方向に対して若干左側に配置される。
【0046】
このため、分包薬剤6が第二搬送路23における分包薬剤6の搬送経路上の中途部に至った際には、まず、最も上流側に配置される整列機構30の玉材32に、前記分包袋62内で第二縁部66側にたまって重なっている薬剤61のうち上方の薬剤61が接触する。そして、玉材32に接触した当該上方の薬剤61は、下方の薬剤61から分包薬剤6の第一面体上に落されることとなる。重なっている薬剤61のうち分包薬剤6の第一面体上に落されなかった薬剤61であっても、下流側に搬送されることで、中間の整列機構30の玉材32に接触し、当該玉材32に接触した上方の薬剤61は、下方の薬剤61から分包薬剤6の第一面体上に落されることとなる。さらに、重なっている薬剤61のうち分包薬剤6の第一面体上に落されなかった薬剤61であっても、下流側に搬送されることで、最も下流側の整列機構30の玉材32に接触し、当該玉材32に接触した上方の薬剤61の全部又は一部は、下方の薬剤61から分包薬剤6の第一面体上に落される。
【0047】
このようにして、分包薬剤6の第二縁部66側にたまって重なっている薬剤61のうち上方の薬剤は、整列機構30によって分包薬剤6の第一面体上に落されて、分包袋62内における薬剤61同士の重なりは解消される。
【0048】
このように分包袋62内における薬剤61同士の重なりは解消された分包薬剤6は、第二搬送路23によって下流側に搬送され、整列機構30の下流側に配置されるカメラ41と照明機42とで構成される撮影機40によって撮影される。そして、分包薬剤6は、さらに下流側に搬送されて分包薬剤検査装置1の取出し口18から排出されることとなる。
このとき、第二搬送路23上の分包薬剤6の第一面体は水平の状態が保持されたまま、分包薬剤6の第一面体上に薬剤61が落された分包薬剤6は、連通口12から取出し口18向かってに搬送されることとなる。また、カメラ41の撮影面は第二搬送路23の搬送路面と平行となるように構成されている。このため、前記分包薬剤6の第一面体上に薬剤61が落された分包薬剤6は、撮影機40からみても分包袋62内における薬剤61同士の重なりは解消されているため、分包袋62内の薬剤61の状態を正確に撮影することができる。
したがって、分包薬剤検査装置1によれば、分包薬剤検査装置1における処方箋通りに分包袋62内に薬剤61が収納されているか否かについての分包薬剤6の検査精度を向上させることができる。また、当該分包薬剤6の検査精度を向上させた分包薬剤検査装置1を高性能の撮影機40を要さずに実現することができる。
【0049】
また、分包薬剤検査装置1は、薬剤分包装置5の取出し口51に接続可能な挿入部16を備え、接続部10の挿入部16には分包薬剤検査装置1の送入口17が形成されている。したがって、分包薬剤検査装置1では、人手を解して、分包薬剤検査装置1の送入口17に分包薬剤6を送入することなく、直接、薬剤分包装置5から分包薬剤検査装置1の送入口17に分包薬剤6を挿入して、分包薬剤を検査することができる。
【0050】
整列機構30の玉材32は、バネ材33によって玉材32の両開口部側(搬送方向に対して左右から)から付勢されている。このため、玉材32が分包袋62内の薬剤61に接触しても、薬剤61には近い外力が加わらず、玉材32が薬剤61に接触することによって薬剤61が破損してしまうことを防止することができる。
また、玉材32が薬剤61に接触した際に、当該玉材32の配置が所定の位置からずれてしまうこととなるが、当該玉材32は、バネ材33によって搬送方向に対して左右から付勢されて自動で元の位置に配置されるため、分包薬剤6が連続して搬送される場合であっても、容易に分包袋62内で重なっている薬剤61のうち上方の薬剤61に接触することができる。
【0051】
分包薬剤検査装置1の接続部10は、図9に示すごとく、本体部20と分離可能に構成して、当該接続部10の挿入部16が突出する面と反対側の面に、連通口12に挿入して本体部20と接続可能とし、互いに筐体内で連通する挿入部16を設けても良いものとする。
【0052】
なお、分包薬剤6を分包薬剤検査装置1の送入口17に挿入する際には、薬剤分包装置5の取出し口51に分包薬剤検査装置1の挿入部16を挿入して、当該薬剤分包装置5の取出し口51から分包薬剤検査装置1の送入口17に分包薬剤6を送入することに限定するものではなく、直接作業者が分包薬剤検査装置1の送入口17に分包薬剤6を送入してもよいものとする。
【0053】
搬送角度変更機構Kは、接続部10に配置されることに限定するものではなく、本体部20に配置されていてもよいものとする。
重なり解消機構Jは、本体部20に配置されることに限定するものではなく、接続部10に配置されていてもよいものとする。
【0054】
重なり解消機構Jは、例えば、第一搬送路13又は第二搬送路23を振動させて、分包薬剤6の第二縁部66側にたまって重なっている薬剤61のうち上方の薬剤61を分包薬剤6の第一面体上に落として、分包袋62内における薬剤61同士の重なりを解消する、振動機構であってもよい。
【0055】
整列機構30は、上流側から順に並んで3台配置されているが、整列機構30が3台配置されていること、及び上流側から順に並んで配置されていることに限定するものではなく、整列機構30は、単数台または4台以上配置されていても、搬送方向と平行に並んで配置されていても良いものとする。
撮影機40は単数台配置されることに限定するものではなく、複数台配置されていてもよいものとする。
【符号の説明】
【0056】
1 分包薬剤検査装置
2 分包装置
6 分包薬剤
10 接続部
20 本体部
30 整列機構
40 撮影機
J 重なり解消機構
K 搬送角度変更機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を分包袋内に収納した分包薬剤を、単数又は複数の撮影機で撮影して、前記分包袋内の薬剤の状態を検査する、分包薬剤検査装置であって、
前記撮影機のうち少なくとも1台の撮影機からみて、前記分包袋内における薬剤同士の重なりを解消する重なり解消機構を具備する、分包薬剤検査装置。
【請求項2】
前記分包袋は、二つの面体の各縁部同士を張り合わせ及び/又は接続するようにして構成される面状の分包袋であって、
前記分包薬剤検査装置は、前記重なり解消機構の上流側に配置され、前記分包袋における面体のうち一方の面体が水平となるように該分包薬剤を搬送する搬送角度変更機構を具備する、請求項1に記載の分包薬剤検査装置。
【請求項3】
前記分包薬剤検査装置は、錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を分包袋内に収納して分包薬剤とする薬剤分包装置における前記分包薬剤の取出し口に接続される接続部を備える、請求項1又は請求項2に記載の分包薬剤検査装置。
【請求項1】
錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を分包袋内に収納した分包薬剤を、単数又は複数の撮影機で撮影して、前記分包袋内の薬剤の状態を検査する、分包薬剤検査装置であって、
前記撮影機のうち少なくとも1台の撮影機からみて、前記分包袋内における薬剤同士の重なりを解消する重なり解消機構を具備する、分包薬剤検査装置。
【請求項2】
前記分包袋は、二つの面体の各縁部同士を張り合わせ及び/又は接続するようにして構成される面状の分包袋であって、
前記分包薬剤検査装置は、前記重なり解消機構の上流側に配置され、前記分包袋における面体のうち一方の面体が水平となるように該分包薬剤を搬送する搬送角度変更機構を具備する、請求項1に記載の分包薬剤検査装置。
【請求項3】
前記分包薬剤検査装置は、錠剤及び/又はカプセルからなる複数個の薬剤を分包袋内に収納して分包薬剤とする薬剤分包装置における前記分包薬剤の取出し口に接続される接続部を備える、請求項1又は請求項2に記載の分包薬剤検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−36485(P2011−36485A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187552(P2009−187552)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(399119550)関西セイキ工業株式会社 (10)
【出願人】(507395717)株式会社ソルブ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(399119550)関西セイキ工業株式会社 (10)
【出願人】(507395717)株式会社ソルブ (5)
【Fターム(参考)】
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