説明

分散アンテナレーダーにより放射される周波数と砲口照準合わせを管理する方法

【課題】実行される砲口照準合わせのスケジューリングを最適な手法で管理することを可能にする方法を提供する。
【解決手段】候補砲口照準合わせはレーダーにより考慮される砲口照準合わせ要求に対応する。各砲口照準合わせは、各組が特に候補砲口照準合わせ毎に定義される認可周波数の組の中から選択される一組の候補周波数である。候補周波数はレーダーにより放射される周波数のダイバーシティを保証する。砲口照準合わせはアンテナの回転速度の変動を動的な手法による。他の方法は表から選択された砲口照準合わせに対して関連する候補周波数の1つを選択する。この選択された(砲口照準合わせと周波数の)対は、対応する波形の放射を担う手段に送信される。具体的には分散スロットアンテナを有する監視レーダーによる砲口照準合わせの管理に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能電子走査レーダーを管理するシステムの一般的な分野に関する。本発明は、レーダー時間内の資源を管理する方法、すなわち実行される砲口照準合わせ(boresighting)のスケジューリングを最適な手法で管理することを可能にする方法に関する。用語「砲口照準合わせ」は、アンテナパターンにより与えられる空間のある方向へ所与の波形を放射することにより得られる信号の(同一機能を実施するための)利用を意味することを意図している。本発明は具体的には、分散スロットアンテナを有する監視レーダーによる砲口照準合わせの管理に適用する。
【背景技術】
【0002】
分散アパーチャ現象は、いくつかのレーダー(スロットアンテナレーダー)に影響を与える現象である。同現象は、周波数の関数としてアンテナビームの決定論的非砲口照準合わせ(deterministic off−boresighting)として、よく知られた手法で明白に示される。これらのレーダーは一般的にはその製作コストが比較的安い単機能監視レーダーである。
【0003】
このようなレーダーにとって、ビームの砲口照準合わせの方向に影響を与えるこの現象はごく一般的には、実時間で補正される必要のある欠点であると考えられる。したがって例えば、生じた方位角偏位は、従来は、この偏位を考慮して必要な波形が所望方向に放射されるような手法で砲口照準合わせの管理において考慮される。
【0004】
従来の監視レーダーの場合、特には分散アンテナ監視レーダーの場合、実施される操作方法の単純さは、アンテナによる空間走査の間の砲口照準合わせのスケジューリングと周波数の固定的かつ決定論的な定義を必然的に伴う。このスケジューリングは、様々な周波数計画(認可周波数および/または妨害されない周波数)に対しあらかじめ設定される。このスケジューリングは一般的には表に格納され、この表はアンテナの理論回転速度に対応する一定の周期性を有する定期的な手法で読み出される。このように所与の砲口照準合わせ方向に対し、アンテナは決定された一定の回転速度を有すると考えられるのでその波形は回転毎に決定論的な形式で実施されることが知られている。
【0005】
したがってこのタイプのレーダーでは、砲口照準合わせの適切な管理は一般的には、アンテナの回転速度の精度と安定性に依存する。したがって、アンテナの実際の回転速度が理論速度に等しくない場合、所与の時点のアンテナの位置は必要とされる位置とは異なる。また、アンテナ回転にわたる回転速度の変動の存在は、隣接ビーム間の方位角オフセットの値の制御不能な変動(この変動はレーダー時間資源の管理を担う手段により調節することができない)をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、実施される周波数のダイバーシティ(認可周波数計画に従って使用される周波数の等確率性と非予測性)と、負荷の調節(現在のレーダー時間予算とアンテナの速度の変動とに関する)と、妨害に対するレーダーの頑強性(妨害される周波数の瞬間的傍受と、妨害される周波数マップ上に回転毎に保持される情報とに関連する頑強性)とを保証しながら分散アンテナ監視レーダーをある程度まで多機能レーダーの方法で動作可能にすることにより、分散アンテナ監視レーダーの操作能力を拡張するように分散現象を活用することである。レーダー時間予算の管理に関する本発明の別の目的は、アンテナ周期がその公称値ではない(アンテナの回転が平均で遅いか速い)場合かつアンテナ回転速度が回転中にかなり大きく変動する場合の隣接する砲口照準合わせ間の瞬間的なオフセットの変動を調節してもはやこの変動に悩まされないようにすることにより、レーダーの操作使用率を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明の主題は、その速度が時間の経過と共に変化することができる分散アンテナを含むレーダーによる砲口照準合わせの放射を管理する方法であって、この管理はアンテナの回転角の関数として実行され、それぞれの候補砲口照準合わせが表内で1つまたは複数の候補周波数に関連付けられる候補砲口照準合わせに適用される、方法である。本方法は、
−対象時点でその方向を視認できる必要な砲口照準合わせを選択する工程と、
−認可周波数により選択する工程と、
−最も妨害されない適格周波数を選択する工程と、
−最も使用されない適格周波数を選択する工程と、
−新しい砲口照準合わせ要求を作成する工程と、を含み、
上記工程は順次反復されるサイクルを形成し、候補砲口照準合わせと候補周波数とを関連付ける表は各サイクルで更新される、ことを特徴とする。
【0008】
好ましい実施態様では、本発明による方法はさらに、アンテナの方向を考慮して現在の反復の完了時にもはや視認可能ではない砲口照準合わせの場合を処理するための最終の補完工程を含む。
【0009】
特定の実施態様では、本発明による方法はさらに、対象とする反復中に候補砲口照準合わせが最終的に選択された場合、その視認期間が短い一つまたは複数の他の候補砲口照準合わせの喪失を引き起こし得る候補砲口照準合わせを選択から廃棄することにその本質がある第1の中間工程を含む。この第1の中間工程は第1の主工程の後に置かれる。
【0010】
上記態様と組み合わせられる特定の実施態様では、本発明による方法はさらに、最優先順位を有すると宣言された砲口照準合わせの選択を実行する第2の中間工程を含む。この第2の中間工程は第2の主工程の後に置かれる。
【0011】
本発明による方法の好ましい実施態様では、新しい砲口照準合わせ要求を作成する工程は、候補砲口照準合わせ毎に、2つの周波数fminとfmaxにより仕切られた間隔内に含まれる周波数スパンとの関連付けを行う。周波数fmaxはレーダーに実際に割り当てられた周波数領域の最大周波数である。周波数fminは、認可周波数計画の最低周波数から、Fminより大きくfmaxより小さい周波数flimit_drawまで広がる周波数領域内で無作為な手法で選択される周波数である。
【0012】
この好ましい実施態様では、周波数fminは、周波数が増加するにつれて確率密度が減少する法則に従う無作為抽出(random draw)により得ることができる。
【0013】
この好ましい実施態様では、周波数flimit_drawは、認可周波数の数に比し小さい数nの認可周波数を含む周波数の間隔をfmaxにより定義するように決定することができる。
【0014】
本発明による方法の好ましい実施態様では、新しい砲口照準合わせ要求を作成する工程は、新しい監視砲口照準合わせを決定するために、新しい監視砲口照準合わせを決定するための視認領域と隣接する第1の角度窓と、他の新しい砲口照準合わせを決定するための第1の窓と隣接する第2の角度窓とを考慮する。角度窓は、アンテナ回転周期と砲口照準合わせの平均継続時間とを考慮するように決定される。
【0015】
この好ましい実施態様では、第1の角度窓は、1/2砲口照準合わせの最長継続時間(砲口照準合わせが選択された時点とそれが実際に放射された時点との間に存在し得る最大遅延がこれに加算される)に等しい継続時間にわたってアンテナの回転角に対応するように決定される。第2の角度窓の大きさはその一部は、部分的視認領域に対応する方位角延長値の倍数に対応するとともにいかなる場合でも完全な視認領域より小さい方位角延長値DAzLoadAdaptationに比例するものとして定義される。
【0016】
本発明による方法の好ましい実施態様では、最も妨害されない適格周波数を選択する工程は、砲口照準合わせの選択に対し最も妨害されない周波数に関する情報を2つの可能な方法、すなわち妨害される周波数の瞬間的傍受により局所的に、あるいは入手可能な妨害される周波数のマップを使用することにより全体的に考慮する。
【0017】
本発明による方法は有利には、一連の逐次的狭帯域砲口照準合わせの最適系列化により分散アンテナ上の「非協調目標識別:Recognition of non−cooperative targets」と称する広帯域砲口照準合わせの順序付けを可能にする。それぞれの狭帯域砲口照準合わせは、次から次へ狭帯域の放射を実施するためにアンテナ回転を利用することにより目標に向けて時間の経過とともに逐次的に実施される。
【0018】
また有利には、本発明による方法は2面多機能電子走査レーダーと類似の手法で行うことにより、砲口照準合わせの一般的な順序付けに際し指定砲口照準合わせ(例えば追跡砲口照準合わせ)の挿入を可能にする。
【0019】
本発明の特性と利点は、非限定的な実施例として挙げられた特定の実施形態を通して本発明を記載するとともに添付図面により支援される以下に続く明細書によってさらに良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】アンテナ回転速度の制御不能な時間的変動の存在による砲口照準合わせの管理において生じる問題を例示する。
【図2】アンテナ回転速度の制御不能な時間的変動の存在による砲口照準合わせの管理において生じる問題を例示する。
【図3】分散現象を説明するパラメーターを例示する。
【図4】本発明による方法により分散現象を利用するための原理を例示する。
【図5】本発明による砲口照準合わせを計画する方法の様々な工程の基本的なフローチャートである。
【図6−a】レーダーの動作周波数計画の分布の様々な例と砲口照準合わせに関連する周波数を管理するためのパラメーターの様々な例を示す。
【図6−b】レーダーの動作周波数計画の分布の様々な例と砲口照準合わせに関連する周波数を管理するためのパラメーターの様々な例を示す。
【図6−c】レーダーの動作周波数計画の分布の様々な例と砲口照準合わせに関連する周波数を管理するためのパラメーターの様々な例を示す。
【図7】動作周波数の窓の下限(その使用は認可されて各砲口照準合わせに割り当てられる)が無作為に抽出される手法を例示する。
【図8】管理視認領域(managed visibility domain)と、方位角という意味でのアンテナの現在位置とに基づいて砲口照準合わせを選択するための原理を例示する。
【図9】砲口照準合わせの実行可能な期間の満了のために実行さない恐れのある砲口照準合わせの数を制限する方式を例示する。
【図10】本発明による方法の第3番目の工程が動作周波数の離散的な性質を考慮し、砲口照準合わせの方向に対応する理論周波数に適合する候補離散周波数の選択を実行する手法を例示する。
【図11−a】本発明による方法の第6番目の工程により(この段階でいくつかの周波数が依然として候補である場合に)実施することができる周波数を選択するための様々な原理を例示する。
【図11−b】本発明による方法の第6番目の工程により(この段階でいくつかの周波数が依然として候補である場合に)実施することができる周波数を選択するための様々な原理を例示する。
【図12】本発明による方法の第7番目の工程の間に実施される候補砲口照準合わせの表を更新する原理を例示する。
【図13】決定された継続時間の技術的な砲口照準合わせを挿入することにより不感時間(いかなる砲口照準合わせも実施可能でない時点)を管理する原理を例示する。
【図14】期待公称値と異なるアンテナ回転速度とこの回転速度の変動とによって生じる影響を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1と図2には、その砲口照準合わせ管理システムがアンテナ回転速度の変動を考慮しない監視レーダーにより実現されるカバレッジ品質に対するアンテナ回転速度の変動の影響を図式的に例示する。
【0022】
図1は、レーダーのアンテナがよく知られた一定速度ωで高精度に回転する理論的な場合に対応する。この状況では、アンテナのローブが所定方向θに向けられる時点tを決定論的な手法で制御することは可能である。したがって、空間が規則的に探査されて図1の矢印11により区別される砲口照準合わせされた方向が規則的に離間され高精度に決定される監視動作モードを実施することは可能である。
【0023】
図2は、その一部は、回転速度が完全には調節されていないアンテナの場合を示す。ある大気条件(突風)下のこのような場合、アンテナの公称回転速度ωは理論回転速度ωと厳密には等しくない。さらに、回転速度ωは時間の経過に伴って一定ではなく、したがって実際のアンテナ回転速度は次のように書くことができる。
ω=ω+Δω+δω(t) [1]
ここで、Δωは理論回転速度ωに対する一定の偏りを表し、δω(t)は、時間の関数として(すなわちアンテナローブが配向される方向の関数として)変化する偏った速度前後の変動の項を表す。
【0024】
砲口照準合わせは図1の場合のように時間の経過に伴って規則的に指示されるが、回転速度のこの制御不能な変動は、図2の矢印21により区別される砲口照準合わせ(ビームの管理により制御されなく実行された)の不規則分布をもたらすことがある。アンテナの回転速度のこのような変動の結果は、特に、砲口照準合わせ間の角度オフセットが調節されないということである。したがって、一定の回転速度に対し最初に定義された厳格な順序付けのために、例えば所定方向において認可されていない周波数が使用されるかもしれない。実行された砲口照準合わせのこの不規則分布は、実行されるレーダー砲口照準合わせの順序付けの局所的過負荷(従来の分散アンテナタイプのレーダーが吸収することができない過負荷)を引き起こすかもしれない。
【0025】
図14により例示するように、この速度の偏りとしてそしてこの偏り前後の変動として表されるアンテナ回転速度における変動の結果は、砲口照準合わせ141は角度的に多少オフセットを与えられるということである。
【0026】
図14−aは、対応するビームの3dB減衰値に正確に対応する砲口照準合わせ同士間のオフセットを有する公称速度に対応する(−3dBでのビームの幅を表す曲線はこのとき接合点に接する)。
【0027】
図14−bは、その一部は、連続する砲口照準合わせ142と143のビーム間間隔が系統的にきつくされビームが3−dBローブ幅に対応する領域において重なる低速度に対応する。
【0028】
図14−cは、その一部は、連続する砲口照準合わせ144と145のビームが系統的にバラバラになる高速度に対応する。
【0029】
最後に、図14−dは、公称速度前後の速度変動の状況(連続する砲口照準合わせ146と147または148と149のビーム間オフセットが砲口照準合わせ毎に進化する状況)に対応する。
【0030】
したがって、認可周波数を考慮することにより瞬間的な手法で実際に砲口照準合わせされた方向の位置を制御または少なくとも調節することが望まれる場合、このアンテナの回転速度の変動の現象の最良の補償を可能にする手段を適所に置くことが必要である。本発明による方法は有利にはこのような手段を構成する。
【0031】
先に述べたように、本発明による方法の動作原理は、このようなアンテナを有するレーダーの周波数の変動によりアンテナ(例えばスロットアンテナタイプ)の放射(および受信)パターンに引き起こされる方位角の分散現象を利用することに依存する。図3には、同図の破線矢印32により示されるようなアンテナの放射パターンが、放射周波数の関数として、アンテナ方向31に対し角度シフト33(その値は放射周波数に依存する)を呈するということにより表されるこの現象を例示する。ここでは、表示アンテナ方向はアンテナの面に垂直な軸を意味するものと理解される。
【0032】
この角度シフトは、レーダーの動作周波数のスパンにより定義されるセクター34内にある。セクター34は、レーダーにより使用される周波数帯域Δfに依存し、そして帯域Δfにおいて使用することができる最小および最大周波数に依存する。図3の例では、セクター34は、アンテナ31の軸に対する進みとしてシフトされたものとして表される。しかしながら、セクター34はアンテナ31の軸に対する遅れとしてシフトされることがある。セクター34はまた、アンテナ31の軸のいずれの側に位置してもよい。この場合、スロットアンテナについて、物理的な制約条件は、「セクター34は非認可(unauthorized)中間セクターにより分離される左右の2つのサブセクターとして定義される」ことを意味する。
【0033】
逆に角度基準として砲口照準合わせ方向を取ることにより、図4により例示するように所与の方向θ41と所与の放射周波数帯域Δfについては、アンテナの回転ωを考慮して放射周波数を利用することにより、アンテナ方向42がこのセクターを走査する一方で方向θのアンテナのビームを偏向することが常に可能となるように、幅ΔθがΔθ=[θ−θmin,θ−θmax]の角度セクター43を定義することは可能であることに留意されたい。したがって所与の方向θ41については、アンテナの方向42がアンテナ回転中に角度間隔Δθ=[θ−θmin,θ−θmax]内に存在すると直ちにおよび存在する限り砲口照準合わせは分散性の存在による偏向の恩恵を受けることによりこの方向に実行することができることに留意されたい。
【0034】
本発明による方法は、単機能レーダーを多機能レーダーのようにある程度まで動作可能にするためにこの原理を実践する。この能力の限界は、分散性を利用することにより実現できる最大および最小偏向と、使用可能な最小および最大動作周波数とに特に関係する。本発明による方法はまた、アンテナ回転速度の変動を少なくとも部分的に補償するためにこの原理を実践する。
【0035】
この目的については、所与の動作周波数の所与の時点での選択は別の砲口照準合わせよりむしろ1つの砲口照準合わせを実行することを可能にするので砲口照準合わせの結果数個の順序付けが可能であることを知った上で、本方法の主機能はアンテナの回転の間に様々な波形(各波形は所与の砲口照準合わせ方向にかつ所与の時間帯に適用されなければならない)を実施することができる順序を一時的に設定することである。したがって、同じ期間内に他の砲口照準合わせを実行しなければならないことを知った上で、順序付けは、アンテナの瞬間回転速度と角度セクターΔθの値を考慮し、アンテナのビームが所与の方向に砲口照準合わせされ得る最長継続時間をとりわけ考慮して実行される。
【0036】
一般的には、レーダーによりカバーされる空間方向に実施されなければならない波形は、この方向のレーダーにより実施されなければならない機能(監視機能または例えば追跡機能等の他の指定機能)により決定される。砲口照準合わせ関連機能に特有の手法で所与の方向を照射するための所与の波形の使用に対応する砲口照準合わせについて、砲口照準合わせのよく知られた手法で述べる。目標砲口照準合わせ(aimed−boresighting)機能(例えば追跡砲口照準合わせ)に関して、後者は、一般的にはレーダーの全体管理設備により管理され、そしてアンテナの回転の間に実行される追跡砲口照準合わせの特性(方向、関連する好適な継続時間の波形、および対象とする砲口照準合わせの優先度)を定義する砲口照準合わせ要求を考慮することにより本発明による方法のレベルで示されることに留意すべきである。逆に、他方の監視機能に関して、後者は、実施される波形が一般的に決定されかつ砲口照準合わせされた方向が砲口照準合わせの継続時間、アンテナの推定瞬間回転速度、および局所的に考慮されるレーダー負荷とによって決定される限り、本発明による方法により直接管理される。ここでは、表現「レーダー負荷」は所与の期間内に実行される砲口照準合わせの数を意味するものと理解される。
【0037】
したがって、本発明による方法の主機能は、所与の時点tに、要求された一組の砲口照準合わせの中から、近い将来に所与の時点t’に実行されなければならないものをこの将来の時点t’のアンテナの予測位置を考慮して決定することにその本質がある。将来の時点t’は一般的には、時点tに実行中の砲口照準合わせの実行の終了の時点に対応するものである。このタスクを達成するために、本発明による方法は以下の制約条件を実時間で考慮するように協働する様々な処理モジュールを含む。
−レーダーの動作に割り当てられた周波数帯域内の認可放射周波数とその分布を考慮する必要性(この一組の認可周波数は隣接してよいあるいはバラバラであってよい離散周波数からなる。隣接周波数の場合、この組は、M個の利用可能な周波数の全体計画によりあるいはN個の周波数の副帯域により定義されてよい。バラバラの周波数の場合、認可周波数はP個の非隣接周波数のコーム(comb)により定義されるが単一周波数に限定されてもよい)。
−あるタイプの妨害にできるだけ対抗することができるように、各認可周波数は等確率的手法で(その回転にわたるおよび回転間にわたる平均で)かつ予測不能な手法(時点tの周波数の選択は実施される周波数の有限時間軸の知識により予測することができない)で採用されなければならないことを考慮する必要性。
−放射波形の継続時間は砲口照準合わせ毎に可変であるということを考慮する必要性。
−各砲口照準合わせにふさわしい優先順位により区別される要求砲口照準合わせの重要度における階層を考慮する必要性。
−アンテナの回転速度のあり得る変動(砲口照準合わせを実施することができる期間の条件を与える)を考慮する必要性。
−削減された数の砲口照準合わせが実行されないように保証する必要性。
−アンテナにより実行される砲口照準合わせを選択する最後の工程(候補周波数/砲口照準合わせを放射する工程と、「最も妨害されない周波数」(LJF:Least Jammed Frequency)に従って周波数を選択する工程)を有することにより瞬間的な手法で(各砲口照準合わせの放射前の傍受時間によって)妨害される周波数を考慮する必要性。
−回転間毎にかつセクター毎に保持され更新される妨害される周波数のマップの情報の関数として、回転毎に、妨害される周波数を考慮する必要性。
−その数が現在のレーダー時間予算に依存するこれらの技術的な砲口照準合わせの場合における使用中の「不感時間」(砲口照準合わせの非放射時間)を最小化する願望。
【0038】
以下、本明細書では、砲口照準合わせの計画においてこれらの様々な制約条件を考慮するために実施される様々な機能の原理についてさらに詳細に説明する。
【0039】
「レーダー砲口照準合わせ管理」(RPM:radar boresighting management)と呼ばれる本発明による方法は、レーダー動作モードの制御チェイン内に置かれ、「レーダータスク管理」(RTM:radar task management)を担うモジュールと「レーダーパルスバースト管理」(RBM:radar pulse burst management)を担うモジュール間に位置する。
【0040】
レーダータスク管理モジュール(RTM)は、本発明による方法に、タスク実行要求の形で、実行を要求する砲口照準合わせまたは砲口照準合わせのファミリー、主として追跡砲口照準合わせ、およびある特定の監視砲口照準合わせ(セクター毎に定義される監視)の特性に関する情報を与える。これらの特性は特には、砲口照準合わせの方向、実施される波形の性質、砲口照準合わせの更新時期(「追跡」などの定期的な砲口照準合わせの)、および対象とする砲口照準合わせの実行に伴う優先度である。
【0041】
本発明による方法RPMは、これらの要求を考慮し、時間の経過とともに定期的に保持する表の中へこれらの要求を有用な時間に取り込む。この表、すなわち候補砲口照準合わせの表は、所与の期間中に実施することができる砲口照準合わせに関するすべての情報を含む。ここで言う砲口照準合わせとは「候補砲口照準合わせ」である。RPM方法は、各砲口照準合わせにより、アンテナの軸の位置、瞬間的なアンテナ回転速度、および利用可能な周波数(すなわち認可され妨害されない周波数)を考慮することにより表内に格納された砲口照準合わせの順序付けを管理し、放射されるバーストの対応リストを、レーダーパルスバースト管理(RBM)を担うモジュールに配信する。
【0042】
図5により例示するように、本発明による方法(RPM)は8つの連続する工程51〜58からなる反復的方法である。工程51、58、53、55は本方法の必須の工程を構成するが2つの工程52と54は本来随意である。工程58はその一部は、その目的がアンテナの公称方向を考慮して(最終的に選択されなかったので以下の反復ではもはや視認できない)砲口照準合わせの場合を扱う方法に関連すると思われる最終工程である。
【0043】
本発明による方法は、各候補砲口照準合わせが、各反復時に、1つまたは複数の放射周波数(この工程においていくつかの候補砲口照準合わせに関連付けられる可能性がある放射周波数)に初期に関連付けられた候補砲口照準合わせの表50を構築し維持する。本発明による方法は次に、これらの候補砲口照準合わせが実施されなければならない順序を決定するために、表中に含まれる砲口照準合わせを通常の手法で解析する。特にことわらない限り、その目的は、各反復時に表50に含まれる候補砲口照準合わせの1つとこの砲口照準合わせに初期に関連付けられた候補周波数の1つを選択することである。この(砲口照準合わせと周波数)対はレーダーにより実施されるデータと言う意味では最初のものである。
【0044】
表において砲口照準合わせと周波数間の全単射は存在しないことに留意すべきである。候補砲口照準合わせはいくつかの関連周波数を有することができ、逆に候補周波数はいくつかの候補砲口照準合わせに関連付けられてよい。
【0045】
本発明によれば、各砲口照準合わせに関連する一組の放射周波数は、その動作のためにレーダーに全体的に割り当てられた周波数計画において行われる無作為抽出に基づいて決定される。本発明の好ましい実施形態では、この無作為抽出は特定の抽出であり、その主目的はレーダーにより最終的に実施される周波数のダイバーシティを(すべての砲口照準合わせをまとめて)保証することである。このようにして、各候補砲口照準合わせは所与の反復毎に自身の固有な一組の周波数に関連付けられる。しかしながら偶然2つの砲口照準合わせが、レーダーに割り当てられた周波数計画のサブセットを表す同一の組の周波数に関連付けられることも可能である。したがってこのサブセットは周波数fminと周波数fmaxにより定義される。
【0046】
(砲口照準合わせと周波数)対を選択するために、工程51〜56のそれぞれは、表内に格納された候補砲口照準合わせおよびその関連する周波数に特有の処理を適用する。各工程において適用される処理は、レーダーに割り当てられた周波数計画の1つまたは複数の砲口照準合わせ(本方法の工程51、52、54)または1つまたは複数の周波数(工程53、55、56)のいずれかを最終選択(反復の終わりの)から廃棄することを可能にする。
【0047】
所与の工程において実施される処理は、保持された候補砲口照準合わせ、または前の工程の完了時に保持された候補周波数のいずれかに適用される。
【0048】
所与の工程の完了時に廃棄されなった砲口照準合わせと周波数は以下に続く工程で選択されることになる。一方、廃棄された砲口照準合わせは以下に続く反復の間に再び解析され得るように反復の残りの間、脇に置かれる。
【0049】
したがって、本方法の最後の工程の完了時に最終的に保持された(砲口照準合わせと周波数の)対はレーダーパルスバースト管理(RBM)モジュールに送信される。
【0050】
以下、本明細書では、本発明による方法が含み得る8つの工程の組について説明するが、工程52、54が随意であることに留意すると本発明による方法は簡略版では単に6つの工程だけを含んでよい。
【0051】
図6と図8により例示されるように、第1番目の工程51は、表に含まれる候補砲口照準合わせの中から、その管理視認領域(割り当てられた視認領域の一部を表す)が対象時点のアンテナの方向を含まない砲口照準合わせ81、82を決定することにその本質がある。これらの砲口照準合わせは原理上、以降の選択からは廃棄される。
【0052】
本発明によれば、候補砲口照準合わせの表は実際は、同一時間における砲口照準合わせ毎に、砲口照準合わせに関連する波形特性、表の他の砲口照準合わせに関連して考慮される砲口照準合わせの優先順位、要求された砲口照準合わせの方向θ、砲口照準合わせの継続時間、および砲口照準合わせに割り当てられた視認領域の一部とを含む。
【0053】
本発明によれば、砲口照準合わせに関連する割当視認領域は、対象方向に砲口照準合わせを実行するための入手可能な(利用可能な)動作周波数を考慮して、対象時点にレーダービームの偏向によりアクセス可能な方位角アパーチャとして定義される。類似の手法では、砲口照準合わせに関連する管理視認領域もまた、候補砲口照準合わせの表中の対象とする砲口照準合わせに抽出により関連付けられた動作周波数(候補周波数)(これら周波数は利用可能周波数の領域から選択される)を考慮することにより、対象時点のレーダービームの偏向によりアクセス可能な方位角アパーチャとして定義される。特にことわらない限り、管理視認領域は視認領域の割り当て部分を構成する。管理視認領域は、対象とする砲口照準合わせに割り当てられた周波数スパンに基づいて決定される。この周波数スパン自体はレーダーに割り当てられた認可周波数計画のサブセットを表す。
【0054】
図6−a〜図6−cにより例示されるように、認可周波数計画はいくつかの形式をとることができる。認可周波数計画は例えば、レーダーの動作に割り当てられた全体周波数計画BをカバーするM個の連続周波数の組61(6−a)、または全体周波数帯域BのN個の隣接周波数62の副帯(6−b)からなる。認可周波数計画はまた、帯域B全体にわたってバラバラにまたは他の手法で分散されるP個の周波数63の組(スパース周波数コームと呼ぶ)からなってもよい(6−c)。レーダーに割り当てられる周波数帯域Bは、ごく一般的には、周波数Fminと周波数Fmax間に存在する一組の規則的に分離された離散周波数であることにここでは留意すべきである。
【0055】
本発明によれば、各砲口照準合わせ要求に割り当てられる周波数スパン(これら周波数は管理視認領域を形成する)は、図6の図解により例示されるように、認可周波数計画Bを構成する周波数の中から無作為処理を活用して選択された所与の周波数flimit_draw未満の最小周波数fminと、flimit_drawより大きくかつこの周波数計画の最大周波数Fmax以下の最大周波数fmaxとにより決定される。間隔[f,fmax]に属するn個の周波数の組は安全窓と呼ばれる管理視認領域の区域を形成する。本発明によれば、nは認可周波数の数に比べ小さい数として定義される。fminを決定するための原理は、工程57に関する以下の明細書に記載される。
【0056】
したがって工程51は、先に引用された基準を考慮し視認可能であると考えられる砲口照準合わせを選択し、他の候補砲口照準合わせは廃棄される。
【0057】
いくつかの候補周波数が、廃棄される候補砲口照準合わせだけに関連する場合、これらの周波数は直接の結果として、対象とする反復中に後で行われる選択から廃棄されるということにさらに留意すべきである。したがって、原理的に候補砲口照準合わせだけに関する工程51において行なわれる選択は実際上は周波数の選択に影響を与える。
【0058】
本発明によれば、第2番目の工程52は、第1番目の工程51の完了時に除去されなかった候補砲口照準合わせに適用される。第2番目の工程52は図9により例示するように、対象とする反復中に砲口照準合わせ82が最終的に選択された場合、その最終期限が近い1つまたは複数の他の候補砲口照準合わせ81(すなわち、砲口照準合わせ82が廃棄されると、対象とする反復時に保持された砲口照準合わせ82を放射するのに必要な時間を考慮すると次の反復時にもはや選択することができないであろう砲口照準合わせ81)の喪失を引き起こす可能性のある砲口照準合わせ82を廃棄することにその本質がある。これは図9により例示するようにアンテナの方向が、選択の時点に、廃棄された砲口照準合わせ(または複数の砲口照準合わせ)の管理視認領域の出口93の近くにある場合に特にそうである。したがってこの第2番目の工程の原理は、現在の反復時に行われる候補砲口照準合わせ82の選択が、次の反復時に別の候補砲口照準合わせ81(最終期限が近いこの砲口照準合わせは可能性として選択の時点で候補砲口照準合わせであるかあるいはまだそうでない)を削除することができるかどうかを判断するために問題の砲口照準合わせ81、82の実行継続時間91、92を考慮することにその本質がある。
【0059】
したがって、第2番目の工程52の完了時、選択候補砲口照準合わせは、工程51の過程で既に選択された砲口照準合わせか、あるいはその最終期限により優先度を有すると判断された砲口照準合わせのいずれかである。
【0060】
最終期限リスクに近いいくつかの砲口照準合わせが失われる場合を扱うために、本方法は最優先順位の1つで試験を反復的に開始する。この工程において残る砲口照準合わせがその周波数との関係で実施可能でない場合、以前に除外された砲口照準合わせが復活される。
【0061】
本発明による方法の第3番目の工程53の目的は、前の工程(場合によっては工程51または52)の完了時に保持された砲口照準合わせの中から、少なくとも関連する周波数(各砲口照準合わせに特有の管理視認領域に対応する認可周波数)の1つが対応する砲口照準合わせが実施される方位角の偏向(アンテナの方向に対する)に対応する砲口照準合わせをもっぱら選択することにより要求方向に砲口照準合わせを実行することである。この選択の原理は、2つの可能な場合を例示する図10−a、10−bにより示され、第1の場合10−aは2つの周波数に関連する砲口照準合わせに対応する。
【0062】
したがって砲口照準合わせ毎に、砲口照準合わせに割り当てられ、かつ選択の時点に図10−a、10−bの窓103により区切られた許容差を考慮して砲口照準合わせの要求方向101または102(理論周波数)に対応する周波数(または複数の周波数)が決定される。図10−aは、所与の砲口照準合わせ毎に、関連する周波数105の1つだけを保持することができる場合を示す。図10−bはその一部には、所与の砲口照準合わせ毎に、関連する周波数104、105の2つを保持することができる場合を示す。
【0063】
利用可能な周波数は離散的な手法で分散されるので、窓103により区切られた許容範囲は、要求方向101または102と実際に砲口照準合わせされた方向104または105との間のオフセットを制限することを可能にする。許容範囲窓はレーダーの性能制約条件の関数として定義される。
【0064】
したがって、対象とする候補砲口照準合わせに関連する候補周波数の中に、砲口照準合わせの理論的方向θに対応する周波数fの近傍に少なくとも1つの周波数(すなわち許容範囲窓内にある割り当て周波数)が存在する場合、砲口照準合わせは、この砲口照準合わせを保持できるようにしたf近傍の周波数(または複数の周波数)とともに保持される。
【0065】
したがって、候補砲口照準合わせに割り当てられた周波数のいずれもこの窓内に位置しないということを前提として、この候補砲口照準合わせは廃棄される。
【0066】
同様に、図10−aに対応して、割り当て周波数の中で単一周波数103がこの窓内にあるということを前提として、砲口照準合わせとこの周波数が保持される。
【0067】
最後に、図10−bに対応して、割り当てられた周波数のいくつか104と105がこの窓内にあることを前提として、これらの2つの周波数だけでなく砲口照準合わせも保持される。
【0068】
図10により例示するようにそして先に述べたように、候補砲口照準合わせと候補周波数間にはいかなる全単射関係も存在しない(候補周波数105はいくつかの候補砲口照準合わせに関連付けられてもよく、逆に候補砲口照準合わせはいくつかの候補周波数104、105を有してもよい)ということをここでは想起されたい。
【0069】
本発明によれば、方法の第4番目の工程54は、第3番目の工程53の完了時に除去されなかった候補砲口照準合わせに適用される。第4番目の工程54は、候補砲口照準合わせのそれぞれに割り当てられた優先順位を考慮することにその本質がある。この優先順位は、対象とする砲口照準合わせの性質と、その管理視認領域におけるアンテナの方向の現在位置とに特に依存する(例えば、監視砲口照準合わせと追跡砲口照準合わせ間の重要度などの砲口照準合わせのタイプの重要度に従って異なる優先度を割り当てることができ、アンテナ方向がその安全保護窓に入る砲口照準合わせはその優先度が上がる)。この工程の終了時に、砲口照準合わせが第3番目の工程53の終了時に保持された他の砲口照準合わせの優先順位より高い優先順位である場合、この砲口照準合わせは保持される。同様に、いくつかの砲口照準合わせが、第3番目の工程53の終了時に保持された他の候補砲口照準合わせの優先順位より高い同一の優先順位を有する場合、これらの砲口照準合わせは保持される。
【0070】
本発明による方法の第5番目の工程55の目的は、最終選択から、以前の工程(場合によっては工程53または54)で保持された候補砲口照準合わせの関連周波数(妨害されたと宣言されたすべての関連周波数)を廃棄することであり、あるいは、候補砲口照準合わせに関連する周波数がすべて妨害された場合は最も妨害されない周波数に関連するものを除いてすべての候補砲口照準合わせを廃棄することである。
【0071】
妨害される周波数の決定は様々な知られた方法で実行されてよい。例えば傍受段階中にレーダーにより設定される、妨害される周波数のマップを使用することは可能である。このマップは一般的には、レーダーの認可周波数計画全体に対し設定される。このマップは、傍受された周波数の結果の関数として、セクター毎に回転毎に保持される。あるいは、これらの妨害される周波数はまた、妨害の解析をもっぱら候補周波数すなわち現時点のレーダーにより実際にアクセス可能な認可周波数(以前の選択工程54により選択されたもの)に限定することにより動的な手法で決定されてよい。このとき解析は、砲口照準合わせの放射の前にこれら少数の周波数の限定された組を目標として傍受することによりレーダーにより実時間で行なわれる。後者の手順は「瞬間的に最も妨害されない周波数」(ILJF:Instantaneous Least Jammed Frequencies)として知られている。
【0072】
したがって、本発明による方法の第5番目の工程55は、以下の3つの場合を区別する。
−妨害されない場合、候補砲口照準合わせのいずれも廃棄されない。
−保持された候補砲口照準合わせに関連する候補周波数のいずれも妨害されない場合、候補砲口照準合わせはいずれも廃棄されない。
−すべての候補周波数が妨害された場合、保持される砲口照準合わせは最も妨害されない周波数に関連付けられたものである。
−ある候補周波数が妨害された場合、妨害された周波数だけに関連する候補砲口照準合わせだけが廃棄される。
【0073】
ILJF瞬間的傍受方法は極めて時間制約的であるので、実時間動作制約上は、工程55とそれに続く工程はRBM内に挿入されてよいことに留意すべきである。
【0074】
本発明によれば、本方法の第6番目の工程56は、第5番目の工程55の終了時に除去されなかった候補砲口照準合わせに適用される。第6番目の工程56は最後の選択工程を構成し、以前の反復の過程で最も使用されなかった候補周波数に関連する候補砲口照準合わせだけを保持することにその本質がある。この砲口照準合わせとその対応する周波数とは、最終的に選択された(砲口照準合わせと周波数の)対を形成する。
【0075】
図11により例示された第6番目の工程の過程で実行される試験は、最後のアンテナ回転中に放射された認可周波数のヒストグラム(各認可周波数に対し、この周波数で放射された砲口照準合わせの割合)に関する検討に基づく。図11の図解では、それぞれが単一周波数に関連する2つの候補砲口照準合わせだけが依然として保持される(太い直線分により表される)場合を検討する。
【0076】
本発明によれば、前の工程の終了時に保持された候補砲口照準合わせに対応する周波数111は、保持された他の周波数(図11−a、連続線における候補周波数)より低い使用率を示す場合、この周波数が選択される。したがって、対応する砲口照準合わせ(または複数の砲口照準合わせ)が保持され他の候補砲口照準合わせは廃棄される。一方、保持された砲口照準合わせに対応するすべての周波数が同一の使用率を示す(2つの周波数112と113が等しい使用率を有する図11−bにより示すような)場合、選択された周波数(113)は、関連付けられた候補砲口照準合わせの公称周波数fに最も近いものである(周波数112に対しては114、周波数113に対しては115)。したがって、この周波数が関連付けられた候補砲口照準合わせが保持され他の砲口照準合わせは廃棄される。
【0077】
最後に、いくつかの砲口照準合わせが、保持される周波数に関連付けられた場合、保持されることになる砲口照準合わせは、アンテナ方向がその管理視認領域の出口に最も近いものである(すなわち、等価的にはその一時的な最終期限が最も近い砲口照準合わせ)。
【0078】
本発明による方法の第6番目の工程56の終了時には、単一の候補砲口照準合わせが最終的には保持される。この砲口照準合わせの特性波形はレーダーパルスバースト管理(RBM:radar pulse burst management)に送信され、RBMはその後、この砲口照準合わせに対応するレーダー放射段階と受信段階の一時的な順序付けを生成する。その後、候補砲口照準合わせは、候補砲口照準合わせの表から削除されるか(監視砲口照準合わせの場合)、あるいはこの表のメモリ内に非活性化された形式で保持される(その放射周期の関数として再活性化される追跡砲口照準合わせの場合)かのいずれかである。
【0079】
本発明による方法の第6番目の工程の後には、その目的が新しい砲口照準合わせ要求に基づいて候補砲口照準合わせの表を提供することあるいはアンテナによりやがて再び視認可能となる追跡砲口照準合わせ要求を再活性化することである第7番目の工程57が続く。
【0080】
この工程は特には、各砲口照準合わせに関連付けられた周波数のスパンの選択を行なう(これらの周波数は先に述べたように特定の無作為抽出の実施により選択される)。周波数のこの無作為抽出の主目的は、すべての砲口照準合わせを考慮して、レーダーにより最終的に実施される周波数のダイバーシティを保証することである。この主目的は、「スパンの開始」周波数と「スパンの終了」周波数fminとfmaxを決定することにある。
【0081】
スパンの開始の周波数fminは、周波数ダイバーシティ制約を満足することを保証するように安全窓から十分に遠く離れたスパンの周波数の中から無作為な手法で選択される。しかしながら、砲口照準合わせに割り当てられた周波数スパンの開始を特徴付ける周波数fminの決定は、前述の周波数計画の所与の周波数が第1の周波数の抽出の区域のすべての周波数に対して同じである単純な等確率的無作為抽出(fminに対する選択の確率)からは生じない。周波数fminの決定は実際には、所与の周波数が第1の周波数の抽出の区域内のこの周波数の相対位置の減少関数(最低周波数は最高周波数より選択される機会が多い)である抽出(fminの選択の確率)の結果である。
【0082】
本発明によれば、この減少の法則は、周波数領域の最高周波数Fmaxと最高周波数Fmax未満の周波数とを脇へ置きつつ最小周波数(fmin)が抽出されるような手法で設定される。こうして周波数Fmax未満の限界最小周波数flimit_drawは、周波数fminの抽出の区域が区間[Fmin,flimit_draw]内に存在するように定義される。無作為抽出区域[Fmin,flimit_draw]は、flimit_drawを越える周波数の抽出確率が0であるようなものである。区間[Fmin,flimit_draw]における最小周波数fminの抽出確率がさらに減少する法則の効果は、最終的に砲口照準合わせに割り当てられるすべての組の交点がこれらの組における高周波数の選択の発生に有利に働く事実を有利に補償することである。
【0083】
minを抽出するための法則の減少性質(低周波数に有利に働く)は、高周波数に系統的に有利に働く誘起効果(本発明による方法の工程の間に実施される周波数の選択のモードにより自然に引き起こされる)を補償するので有利である。こうしてこの性質は、レーダーにより実施される周波数の等確率性を確立することを可能にする。
【0084】
本発明によれば、最小周波数fminを抽出するための式は、次の表現により与えられる。
freq=Nbfreq_random 1 E(Nbfreq_random Draw_uniform(.)Coeff_draw) [2]
ここで、
−Nbfreq_randomは無作為抽出のスパンの周波数の数である。
−E()は数の整数部を返す関数である。
−Draw_uniform(.)は一様分布則(uniform law)に従って0〜1の数を返す関数である。
−Coeff_drawは関数Draw_uniform(.)内で指数として使用される0〜1の実係数である。例えば0.5に等しい値をとることにより、図7により例示された場合におけるような一様な減衰(線形則)に従う法則により抽出を得ることが可能となる。あるいは、例えば0.25に等しい値をとることにより2次減衰に従う法則により抽出を得ることは可能となる。
−ifreqは選択された周波数の指標であり、無作為抽出のスパンの周波数は最低周波数の0から最高周波数の(Nbfreq_random−1)まで指標が付けられる。指標ifreqに対応する周波数は、砲口照準合わせに割り当てられた窓の周波数fminに対応する。
【0085】
本出願者により実行されたシミュレーションにより示すように、等確率的無作為抽出とは異なりこの特定の無作為抽出は、時間の経過に伴って認可周波数の一様な分布を有利に得ることに寄与する。したがってこの特定の無作為抽出は、レーダーがあるタイプの妨害に対し感度が低くなることに寄与する。
【0086】
こうして、本発明による方法の工程57は、その開始周波数(fmin)が実施される周波数のより一様な分布を生じさせるように決定される周波数スパンと候補砲口照準合わせのそれぞれとを関連付けることを可能にする。これらの周波数は、「第1の周波数の抽出区域」と呼ばれる区域を構成する。周波数の所与の数はこのようにして、各候補砲口照準合わせの表内への取込み時点にそれに割り当てられる。各候補砲口照準合わせに関連する周波数スパンの決定は有利には、砲口照準合わせ毎に完全に独立した手法で実行される。各周波数は、アンテナとその回転速度の位置を考慮して、対象とする砲口照準合わせを実行することができる可能な時点を決定する、したがって図7により例示されるように、このように決定された周波数スパンは、砲口照準合わせ要求毎に管理視認領域(アンテナ方向により横切られると、レーダーがスパンの周波数の1つを使用することにより、対応する砲口照準合わせを実施することを認可する領域)と呼ばれる可変な(無作為の)大きさの角度の区域を定義することを可能にする。このようにして、図8により例示されるように、アンテナの所与の方向に対して、アンテナ方位角が候補砲口照準合わせの視認領域の少なくとも1つ内に存在するとすぐに所与の時点に実施することができる候補砲口照準合わせ81と82を決定することが可能である。
【0087】
その後、選択された砲口照準合わせ要求と、その実施がもはや可能でない要求(これら要求の視認領域の後ろに位置するアンテナ方向)は表から削除され、一方、他の要求(これら要求の視認領域の前またはその中に位置するアンテナ方向)は次の反復において考慮されるようにそこに残る。
【0088】
各候補砲口照準合わせに関連付けられた周波数のスパンの選択に加えて、工程57はまた、図12により例示するように、考慮される新しい砲口照準合わせ要求を各反復時に動的に構築する機能を有する。これらの新しい要求は、同一時間における、レーダーの視認領域122(すべての周波数が認可された場合は完全な視認領域、あるいは周波数のいくつかだけが認可された場合は部分的な視認領域)に隣接する第1の角度窓121内にその方向が含まれる監視砲口照準合わせに対する新しい要求と、その方向が第1の窓121に隣接する第2の角度窓123内に含まれる、可能性として生じ得る他のタイプの砲口照準合わせに対する要求(例えば追跡要求)である。原点として取られるアンテナ31の位置は、最後に選択された砲口照準合わせを考慮した後に得られる位置である。
【0089】
本発明の好ましい実施態様によると、第1の角度窓121の大きさは、1/2砲口照準合わせの最長継続時間(砲口照準合わせが選択された時点とそれが実際に放射された時点との間に存在し得る最大遅延がこれに加算される)に等しい継続時間にわたってアンテナの回転角に対応するように決定される。
【0090】
この好ましい実施態様によると、第2の角度窓123の大きさはその一部は、完全な視認領域の方位角延長値の範囲内の部分的視認領域のものの倍数に対応する方位角延長値DAzLoadAdaptationに比例するものとして決定される。この窓は、例えば方位角延長値DAzLoadAdaptationの0.5倍に等しくてよい。対象とするセクターに集中した局所過負荷をもはや扱うことができない理論限界は、その一部は、部分的視認領域の2倍に等しい。
【0091】
実際は、第1の窓121内に含まれる所与の方向において監視砲口照準合わせを動的に生成するために、本発明による方法は、その方向が第2の窓123に含まれる監視砲口照準合わせと前の反復で生成された最後の監視砲口照準合わせ以外の砲口照準合わせに関する砲口照準合わせ要求を考慮する。したがって、対象とする監視砲口照準合わせの方向は、以下のように定義され計算される方位角オフセットOffsetAzSurvが加算された以前の監視砲口照準合わせの方向である。
【0092】
レーダーを負荷に適合させるこの論理の実施は、本発明による方法により課された2つの隣接する監視砲口照準合わせ間の方位角オフセットを考慮することにより行われる。この方位角オフセットOffsetAzSurvは長期成分OffsetAzSurvLTと短期成分OffsetAzSurvSTを含む。
【0093】
OffsetAzSurvLTは負荷の局所的相違による影響はほとんど受けない。その値は、砲口照準合わせの平均継続時間の間アンテナにより走査される方位角セクターに対応する。この継続時間は演繹的に固定される技術的な砲口照準合わせの割合を考慮することにより数秒の時間にわたって計算される。
【0094】
OffsetAzSurvSTはもっぱら局所負荷変動に作用する。その値は次式により与えられる。
OffsetAzSurvST=DAzLOAD OffsetAz〜SurvLT/(DAzAdaptation Load−DAzLoad) [3]
ここで、DAzLOADはレーダー負荷における上記瞬間的相違に対応し、過負荷の場合は正の方位角値そして不足負荷の場合は負の方位角値と呼ばれる。
【0095】
OffsetAzSurvSTは、過負荷の場合は正であり(監視砲口照準合わせは、レーダー負荷が徐々に解放されるようにしばらくの間、より多く廃棄される)、不足負荷の場合は負であり(監視砲口照準合わせ間の間隔は利用可能な余分のレーダー負荷から徐々に恩恵を受けるようにしばらくの間きつくされる)、そして負荷が正常な場合は0であるということに留意されたい。突然の著しい局所過負荷の場合、本方法による砲口照準合わせ間の最大間隔は制限される。
【0096】
方位角オフセットが実際上、処理区域において一定のままであるように、OffsetAzSurvSTの計算は、過負荷または不足負荷の新しい原因を検知した場合(例えば、追跡砲口照準合わせまたはアンテナ回転速度の変動を考慮する場合など)、あるいは負荷状況が正常に戻った場合にだけ実行される。後者の場合、方位角オフセットは成分OffsetAzSurvLTにより与えられると考えられる。
【0097】
このように計算される方位角オフセットの計算は、レーダーの過負荷または不足負荷の状態がDAzLoadAdaptationに等しい幅の方位角のセクターで最良に取り扱われるように事態を工夫することを可能にする。このセクターでは、監視砲口照準合わせ間の方位角オフセットはほぼ一定になり、このセクターに対する入退場はこれらのオフセットのあまりにも急激な変動なし(この点に関し、対象とするセクターの十分な幅により保証される)に発生することになる。
【0098】
このようにして、候補砲口照準合わせの表内に格納された将来の監視砲口照準合わせ毎に、対応する砲口照準合わせ方向は決定される。
【0099】
第7番目の工程57の後には最後の工程58が続く。最後の工程58は、最後の反復中に保持されなくそしてアンテナの方向がそれぞれの管理視認領域をすでに離れたため次の反復の候補にはもはやなり得ない候補砲口照準合わせを処理することにその本質がある。次の2つの場合を考慮しなければならない。
−候補砲口照準合わせが監視砲口照準合わせである場合にはこの候補砲口照準合わせは候補砲口照準合わせの表からただ単純に削除される。
−候補砲口照準合わせが監視砲口照準合わせではないが周期性がある(例えば追跡砲口照準合わせの)場合、これは候補砲口照準合わせの表内に非活性化状態で保存され(選択工程では考慮されない)、再び活性化される。このときそのパラメーター(例えば、その位置およびその管理視認領域など)は、次のアンテナ回転時に、または角度窓123を通る新しいパス中のその次の期間に更新される。
【0100】
本発明による方法の様々な工程の反復の終了時にいかなる砲口照準合わせも選択されなかった(「不感時間」が検出された)場合は技術的な砲口照準合わせが実施される(図13参照)ことに留意すべきである。新しい反復が次に起動される。
【0101】
同様に、候補砲口照準合わせが所与の反復の第1番目の工程中に数の上で不十分な場合、技術的な砲口照準合わせが選択される。不十分な数の候補砲口照準合わせの処理は、実際は、周波数を効率的に管理(すなわち、周波数の等確率性の管理)することはできないであろう。新しい反復が次に起動される。
【0102】
技術的な砲口照準合わせを挿入することにより「不感時間」を管理する原理を図13に例示する。
【0103】
所与の時点tに、アンテナの方位角を考慮して、利用可能な候補砲口照準合わせ131、132、または133の視認領域134、135、または136が時点tにアンテナビームによりアクセス可能ではないため、あるいはこれらの砲口照準合わせに関連する周波数に対応する1つまたは複数の利用可能な候補砲口照準合わせ137の視認領域138の一部が時点tにアンテナビームによりアクセス可能でない(窓103により区切られた許容範囲によってアンテナによりアクセス可能な砲口照準合わせの例を示す図10参照)ためのいずれかの理由でいかなるアクティブ候補砲口照準合わせも存在しない場合、所与の継続時間の技術的な砲口照準合わせ139が挿入される。このとき、技術的な砲口照準合わせの実行の終了の時点tが決定され、この時点でアンテナの回転を考慮して、前の候補砲口照準合わせ131、132、133、または137のいくつかがアクティブになったかどうかを調べる。
【0104】
これらがアクティブになっていた場合、これらアクティブな候補砲口照準合わせが考慮される。
【0105】
これらがアクティブになっていなかった場合、候補砲口照準合わせはまだアクセス可能でないので別の技術的な砲口照準合わせ1311が挿入される。
【0106】
この動作は、所与の時点tにこの時点のアンテナの方位角を考慮して第1の候補砲口照準合わせ132が潜在的にアクセス可能になる(アンテナの方向を考慮して)まで繰り返される。
【0107】
本発明によると、技術的な砲口照準合わせの割合は、機能57を介し調節される(砲口照準合わせ間のオフセットは、技術的な砲口照準合わせに対しオペレータにより演繹的に定義され固定される時間の割合を考慮する)ことに留意すべきである。
【0108】
アンテナが実装されるレーダーにより使用されるアンテナの分散的特性を利用することにより、本発明による方法は有利には、アンテナ回転期間中に実行される砲口照準合わせに関し、「実行の時点」の概念を「実行の期間」の概念で置き換えることを可能にする。したがって、本発明による方法は、所与の期間に実行される砲口照準合わせの実行の順序(それ自身が生成した)を決定することにより最適な手法でレーダー負荷を管理することを可能にし、目標の砲口照準合わせ(追跡砲口照準合わせなどの)を挿入することを可能にし、そしてこのレーダーを多機能のレーダーに変えることを可能にする。
【0109】
本発明による方法は、レーダー負荷変動(追跡砲口照準合わせの挿入により、そしてアンテナ回転速度の変動により引き起こされる)に対して監視砲口照準合わせのオフセットを適応することに基づいてこれらの負荷変動を調和の取れた手法で管理することを可能にする。
【0110】
本発明による方法はまた、認可されたまたは最も妨害されない周波数を無作為かつ一様な手法で実施することにより効果的に周波数を管理することを可能にする。妨害との関連では、本方法は、使用される周波数を最善に選択するために、回転毎に維持される妨害マップと最も妨害されない周波数の瞬間的傍受とに適応することを可能にする。
【0111】
多機能タイプ動作の可能性は、「アクティブ追跡」、「非協調目標識別(NCTR:Non−Cooperative Target Recognition)」、「外部指定:external designation」、およびその他のタイプの目標砲口照準合わせを動的に挿入する能力によってだけでなく、高度な妨害防止機能「Pick−A−Boo」(妨害の影響を制限するために、妨害された方向付近で砲口照準合わせにオフセットを与える)によって利用可能である。広帯域波形(ランプ周波数変調:ramp−wise frequency modulation)を有するNCTR砲口照準合わせ能力のために、そして目標の位置に対するビームの非砲口照準合わせを回避するために、砲口照準合わせは、減少された周波数ランプのいくつかのサブ砲口照準合わせ(マルチランプ波形の原理)として、本発明の方法に基づいて順序付けられる。
【符号の説明】
【0112】
ω 一定速度
ω 公称回転速度
ω 理論回転速度
Δω ωに対する偏り
δω(t) 変動項
31 アンテナ
34 セクター
50 表
51〜58 工程
81 砲口照準合わせ
82 砲口照準合わせ
91,92 実行の継続時間
93 出口
101 要求方向
102 要求方向
103 窓
104,105,111 周波数
112,113 周波数
121 第1の角度窓
122 視認領域
123 第2の角度窓
131,132,133,137 候補砲口照準合わせ
134,135,136,138 視認領域
139 技術的な砲口照準合わせ
141,142,143,144,145,146,147,148,149 砲口照準合わせ
1311 別の技術的な砲口照準合わせ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その回転速度が時間の経過と共に変化することができる回転分散アンテナを含むレーダーによる砲口照準合わせの放射を管理する方法であって、
前記管理は対象時点の前記アンテナの視認領域の関数として実行され、
前記方法は、候補砲口照準合わせに対して反復的手法で適用され、各候補砲口照準合わせは、一組の認可されたレーダー周波数の中から決定された一組の候補周波数に表内で関連付けられており、
前記方法は、各反復において、最初に実行されなければならない候補砲口照準合わせの砲口照準合わせだけでなく、その実行のためにこの砲口照準合わせに関連する周波数も選択することにその本質があり、前記方法は、
前記対象とする反復の間に、前記表中の前記候補砲口照準合わせに関連する前記周波数を考慮してその方向がアンテナローブによりアクセス可能でなくかつ前記アンテナが向けられる方向の前記候補砲口照準合わせが削除される工程(51)と、
残りの砲口照準合わせのそれぞれに対し、前記アンテナが向けられる方向を考慮して、所望方向の対象とする砲口照準合わせを実行することを可能にする理論周波数の所与の近傍内に位置しない関連候補周波数の砲口照準合わせが削除される工程(53)と、
前記残りの周波数のいくつかが妨害されるかどうかを判断し、そして前記残り周波数のすべてが妨害される場合、前記周波数のどれが最も妨害されないかを判断し、前記妨害される周波数は前記最も妨害されない周波数を除いて削除される工程(55)と、
最も使用されない周波数が前記残りの候補周波数の中から選択され、この周波数に関連しない前記残りの候補砲口照準合わせは削除され、前記最も使用されない候補周波数に関連する削除されなかった候補砲口照準合わせが、対応波形の実施を担う手段に送信される工程(56)と、
新しい砲口照準合わせ要求を作成する工程(57)であって、各新しい砲口照準合わせ要求は、新しい候補砲口照準合わせまたはまだ実行されていない候補砲口照準合わせおよび一組の関連する候補周波数からなり、これらの周波数は前記レーダーに割り当てられた周波数帯域Bにおいて無作為な手法で決定される周波数帯域に含まれる認可周波数のものである、工程(57)と、
前記アンテナの回転後の前記視認領域の移動を考慮し現在の反復の完了時にもはや視認可能ではない砲口照準合わせの場合を処理するための最終工程(58)と、を含むことを特徴とし、
前記方法の前記全ての工程は反復的手法で繰り返され、前記候補砲口照準合わせと前記候補周波数とを関連付ける表は各サイクルで更新される、方法。
【請求項2】
前記対象とする反復中に最終的に選択された場合、視認期間が短い一つまたは複数の他の候補砲口照準合わせの喪失を引き起こし得る前記候補砲口照準合わせを削除することにその本質がある中間工程(52)を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最優先順位を有すると宣言された砲口照準合わせの選択を実行するための第2の中間工程(54)を、さらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記新しい砲口照準合わせ要求を作成する工程(57)は、候補砲口照準合わせ毎に、2つの周波数fminとfmaxにより仕切られた間隔内に含まれる周波数スパンとの関連付けを行い、ここで、前記周波数fmaxは認可周波数の領域の最高周波数であり、前記周波数fminは、前記認可周波数領域の最低周波数から、Fminより大きくfmaxより小さい周波数flimit_drawまで広がる周波数領域内で無作為な手法で選択される周波数である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記周波数fminは前記周波数が増加するにつれて減少する確率密度を有する無作為抽出により得られる、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記周波数flimit_drawは、Fminとfmaxにより制限された間隔内に含まれる認可周波数の数に比し小さい数nの認可周波数を含む周波数の間隔をfmaxにより定義するように決定される、ことを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記新しい候補砲口照準合わせの前記決定に対して、前記新しい砲口照準合わせ要求を作成する工程(57)は、前記新しい監視砲口照準合わせを決定するための視認領域(122)と隣接する第1の角度窓(121)と、他の新しい砲口照準合わせを決定するための前記第1の窓(121)と隣接する第2の角度窓(123)とを考慮し、前記角度窓121と123は前記アンテナの回転を考慮するように決定される、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の角度窓(121)は、砲口照準合わせが選択された時点とそれが実際に放射された時点との間に存在し得る最大遅延がこれに加算された1/2砲口照準合わせの最長継続時間と等しい継続時間にわたって前記アンテナの前記回転角に対応するように決定され、前記第2の角度窓(123)の大きさはその一部は、部分的視認領域に対応する方位角延長値の倍数に対応するとともにいかなる場合でも完全な視認領域より小さい方位角延長値DAzLoadAdaptationに比例するものとして定義される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(55)は、前記砲口照準合わせの選択に対し最も妨害されない周波数に関する情報を2つの可能な方法、すなわち前記妨害される周波数の瞬間的傍受により局所的に、あるいは入手可能な妨害される周波数のマップを使用することにより全体的に考慮する、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−a】
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【図6−b】
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【図6−c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−a】
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【図11−b】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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