説明

分散プロット分布を用いてスライドを分類するシステム

【課題】
【解決手段】 生体試料を分類するシステム。生体試料中の関心のある対象物の数を同定する。関心のある各対象物の第1の特徴(例えば、核の面積)と、関心のある各対象物の第2の特徴(例えば、核の積分光学濃度)を測定し、この第1及び第2の特徴の分散プロットを生成する。この分散プロット内のポイント分布に基づいて試料が正常か、擬似に分類される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、生体試料を分析するシステムに関し、特に、分散プロット分布を用いて、正常、異常、擬似、に生体試料を分類するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
医療業界では、特定の細胞型の存在を確認するための細胞試料の観察を行う、例えば細胞検査技師などの研究技師が必要とされる。例えば、目下のところ、悪性細胞または前悪性細胞の存在を確認する頸膣部のパパニコロウ塗沫標本スライドを観察する必要がある。50年前に導入されて以来、パパニコロウ塗沫標本は、癌性および前癌性の頸部疾病検査用の強力なツールであった。この間、パパニコロウ塗沫標本は子宮癌の死亡率を70%ほど低減したと考えられている。しかしながら、この急激な死亡率の低下は緩慢になってきており、米国におけるこの防止できる疾病による死亡率は、1980年代半ば以来、年間約5,000人で実質的に一定している。従って、未だに毎年、子宮癌を患っている15,000人の女性のうち三分の一が、癌の発見が遅すぎたために死亡している。更なる懸念は、国立癌研究所のデータが、1986年以来50歳以下の白人女性の侵襲性子宮頸癌の発生率が毎年3%増加していることである。
【0003】
いくつものファクタが現状のスレッシュホールドに関与しており、そのなかでもとりわけ、多くの女性、特にリスクの高い年齢の女性が、ルーチンで子宮頸癌スクリーニングを行わないという事実がある。より注目すべき別の寄与ファクタは、従来のパパニコロウ塗沫標本法自体の制限である。
【0004】
頸部スクリーニング法の信頼性と効率は、前癌性の損傷を診断する能力(感度)で図ることができると同時に、誤った肯定的診断を防ぐこと(特異性)で測られる。次いで、これらの基準は、細胞学的分析の正確さに依存している。伝統的には、病理学者が個々の細胞核の特徴を見ることによって生体試料に単純な細胞分析を行うか、あるいは、スライド上に現れる細胞の構造の特徴パターンを探して生体試料のコンテクスト分析を行う。
【0005】
単純な細胞の分析とコンテクスト分析の双方を実行した場合でも、従来のパパニコロウ塗沫標本法では、10−50%の率で誤ったネガティブな評価がでていた。これは、ほとんどが、わずかな数の癌性あるいは前癌性細胞の存在を決定するのに技術者が観察しなければならない細胞と対象物の数が莫大な数である(通常、100,000から200,000ほど)ためである。従って、パパニコロウ塗沫テストは、生体材料を詳細に観察する必要がある他のテストと同様に、技術者が疲労するため誤ったネガティブ判定がなされる率が高いと言う問題があった。
【0006】
この観察プロセスを容易にするために、自動スクリーニングシステムが開発された。通常のシステムでは、撮像機を操作して、細胞試料スライドの一連の画像を提供する。各画像は、スライドの異なる部分を表している。次いで、プロセッサがこの画像を処理して、試料に関する量的な情報と、兆候的情報を与える。プロセッサは、診療情報を提供するに当たり、単純な細胞分析とコンテクスト分析のいずれか、あるいは両方を実行することができる。単純な細胞分析を実行する場合、プロセッサは、細胞質領域の割合、核の積分光学濃度、核の平均光学濃度、核のテクスチュア、および細胞質の色などの細胞特性を決定することができる。コンテクスト分析を行う場合は、プロセッサは、(1)クラスタ内の核間平均距離;(2)細胞質グレィ値の標準偏差;(3)裸核の平均面積;(4)裸核面積の標準偏差;(5)クラスタの平均細胞質面積;および(6)反核間距離などのアーキテクチュア特性を決定することができる。単純な細胞分析とコンテクスト分析の結果を組み合わせて診断に至る。
【0007】
いくつかの自動スクリーニングシステムでは、プロセッサは診断情報を用いて、「正常」スライドと、「擬似」スライドを線引きする。医療研究所では、「擬似」とされたスライドのみを細胞検査技師によって検査するようにして、仕事の負担を低減している。別の自動スクリーニングシステムでは、プロセッサは診断情報を用いて、各試料内の正常な生体材料と、擬似の生体材料を線引きする。すなわち、プロセッサは残りの細胞には更なる観察を行わない可能性があるとして、細胞検査技師の注意を最も適切な細胞に向ける。この場合、スクリーニング装置は診断情報を用いて、最も関係の深い生体対象物(例えば、悪性あるいは前悪性細胞に合致する特性を最も有していそうな細胞および細胞クラスタ)と、スライド上のその位置を決定する。次いで、この位置情報が顕微鏡に送られ、顕微鏡で自動的に処理を行って、細胞検査技師による観察のために生体対象物の位置と中心を決める。次いで、細胞検査技師は、病理学者の観察用に最も関係のある生体対象物(例えば、悪性あるいは前悪性細胞に合致する特性を有する対象物)にマークをつける。
【0008】
一般的に、自動スクリーニングシステムの使用は、技術者の注意が擬似のスライド、あるいは各スライド中、より関連性の高い数が限られた対象物に向けられるので、成功を収めてきた。しかしながら、どの自動装置も、実現できる十分に低いコストで誤ったネガティブ判定や誤ったポジティブ判定をなくすことができなかった。更に、経済的な問題も考慮しなければならない。パパニコロウ塗沫標本などの細胞試料の観察のために研究所が負担する費用は、各スライドを観察する技術者がかけた時間に少なくとも部分的に関連する。すなわち、細胞検査技師が観察しなければならないスライドが多いほど、あるいは各スライドを観察する技術者がかける時間が多いほど、研究所が負担する労働コストが多くなる。逆に言えば、技術者が観察しなければならないスライドが少ないほど、技術者がスライドの観察にかかる時間が短くなり、研究所が節約することができる金額が多くなる。
【0009】
時に、染色の質が低い生体試料から、誤ったポジティブ判定が生じる。例えば、技術者は、生体試料に特定の染色を施すための正しいプロトコルを行いそこねることがあり、または、染色が正しく施された場合でも、染料の貯蔵寿命が切れてしまっていることもある。しばしば、細胞検査技師による手動による観察がなされた後にも、低品質の染色によって試料にフラッグが付されないことがあり、これによって貴重な時間が浪費される。
【0010】
発明の概要
本発明の一実施例では、生体試料を分類する方法が、生体試料中の関心のある対象物(OOIs)の数を同定するステップを具える。このステップは、生体試料の画像を取得して、その画像を処理してOOIsを同定することによって実現される。この方法は、更に、各OOIの第1の特徴(すなわち、核の面積)と第2の特徴(すなわち、核の積分光学濃度(IOD))を測定するステップと、測定した第1の特徴対測定した第2の特徴の分散スポットを生成するステップを具える。次いで、少なくとも部分的に、この分散プロット内のポイントの分布に基づいて試料が(例えば、正常あるいは擬似として)分類される。一の実施例では、ポイント分布の広がりに基づいて試料を正常と分類する。これは、正常な細胞特性を示す試料の場合は比較的小さく、異常細胞特性を示す試料の場合は比較的大きい。この場合、ポイント分布の広がりが、スレッシュホールド以下であれば試料が正常に分類される。試料は、少なくとも部分的に分散プロット内のポイント分布に基づいて擬似に分類される。この場合、ポイント分布の広がりがスレッシュホールド以上であれば、擬似であると分類される。この分類は、例えば、正常なスライドを次の観察からはずす、またはその他の装置用の標準を提供するなど、様々なすべてのシナリオに適用することができる。
【0011】
一の実施例では、正常な試料に更なる観察が不要とのフラッグが付けられており、この場合、試料の次の観察は都合良くパスすることができ、これによって、細胞検査技師が観察しなければならないスライドの数を減らすことができる。逆に、擬似の試料は、更なる観察が必要であるとのフラッグが付けられる。試料の次の観察は、様々な態様のどれにおいても実行することができるが、細胞検査技師の注意を擬似である対象物に向けるために、OOIsを含めて関心のある分野が複数生じることが好ましい。
【0012】
一の実施例では、様々な技術のうちのいずれかを用いて、ポイント分布の広がりを量子化する。例えば、この量子化ステップは、ジオメトリック形状(例えば、楕円)をポイントに合致させるステップと、このジオメトリック形状の少なくとも一の大きさを決定するステップと、この大きさの関数である値を計算するステップとを具えていても良い。例えば、合成スコア(この場合2つの大きさ)を計算することができる。次いで、計算した値を、スレッシュホールド値と比較することができる。
【0013】
選択的に、この方法は試料の少なくとも一の追加の特徴を測定するステップを具え、この追加で測定された特徴に基づいて試料を正常と分類する。限定しない例として、この追加の情報は、分散プロットが信頼できるものであるかどうかを決定するのに使用することができる。この追加の特徴は、試料のOOIs、試料の人工産物の総数、OOIsの核の平均光学濃度を含むあらゆる好適な特徴であってもよい。
【0014】
本発明の別の実施例では、生体試料を分類する生体スクリーニングシステムが提供されている。このシステムは、試料の画像を得て、この画像から画像データを生成する画像ステーションを具える。本システムは、更に、画像データを処理して(例えば、フィルタリング処理)生体試料内のOOIsの数を同定し、各OOIの第1の特徴を測定し、各OOIの第2の特徴を測定し、第1の特徴対第2の特徴の分散プロットを作り、少なくとも部分的にこの分散プロットの広がりに基づいて試料を分類する少なくとも一のプロセッサを具える。これらの機能は、上述した態様と同様に実行することができる。関心のある分野(FOIs)が選択的に発生する場合は、本システムは、各FOIに対する視野(FOV)を走査して、各FOI内に一又はそれ以上のOOIsを提供する自動あるいは半自動の観察ステーションを具える。
【0015】
実施例の詳細な説明
図2を参照して、本発明の一実施例によって構成した生体スクリーニングシステム10を説明する。システム10は一連の顕微鏡スライド12を処理して、生体試料14(図1に示す)を、細胞検査技師による観察を必要としない「正常」か、あるいは、細胞検査技師による観察が必要な「擬似」であるかに分類するように構成されている。
【0016】
システム10は、あらゆる生体試料を正常か擬似かに分類するのに使用することができるが、システム10はパパニコロウ塗沫標本スライドに典型的に見られるような、細胞学的な子宮頸部または膣試料のプレゼンテーションに向いている。The Bethesda System for Reporting Cervical/Vaginal Cytologic Diagnosisで規定されているその他の細胞学的カテゴリと同様に、細胞はLow Grade Squamous Intraepithelial Lesions (LGSIL) 又はHigh Grade Squamous Intraepithelial Lesions (HGSIL)のような、異常性(例えば、細胞崩壊、萎縮、感染、ダメージ)、悪性または前悪性を反映している。生体試料14は、通常薄い細胞層としてスライド12上に配置される。好ましくは、カバースリップ(図示せず)を試料14に貼って、これによって試料14をスライド12の正しい位置に固定する。試料14は、パパニコロウ染料などの、いずれかの好適な染料で染色するようにしても良い。
【0017】
処理を行う間に、システム10は、通常カセット(図示せず)の中に収納されているスライド12に担持されている生体試料14の画像を得る。画像処理を行う間に、スライド12は連続的に、各カセットから取り出され、デジタル画像とされ、カセットに戻される。次いで、システム10は、デジタル画像(各スライドが処理されるよう連続して、あるいは全ての処理が終わったときにオフラインで)を分析して、試料14を正常であるか、擬似であるか、分類する。
【0018】
画像処理操作を実行する場合、システム10はカメラ16と、顕微鏡18と、モータステージ20を具える。カメラ16は、顕微鏡18を介してスライド12の拡大画像をとらえる。カメラ16は電荷転送装置(CCD)など、様々な従来のカメラのいずれであっても良い。このカメラは単独で、又は、アナログ−デジタル(A/D)コンバータなどのその他の部材と共に、十分な解像度を持つデジタル出力を生成し、とらえた画像を処理して、例えば、640x480ピクセルの解像度を持つデジタル画像とする。好ましくは、各ピクセルが、その光学透過特性に応じて、ピクセルを透過する光の最小量に割り当てられた値が「00000000」であり、ピクセルを通過する光の最大値に割当てられた値が「11111111」である、8ビットの値(0−255)に変換される。スライド12は、モータステージ20上に装着され、顕微鏡18の視覚領域に対してスライド12を走査する間に、カメラ16が生体試料12の様々な領域の画像をとらえる。カメラ16のシャッタスピードが比較的早く、走査速度及び/又は撮影する画像数を最大にすることができることが好ましい。
【0019】
分析機能を実行するに際して、システム10は、カメラ16から得られるデジタル画像上で様々な動作を行う画像プロセッサ22を具える。例えば、画像プロセッサ22は、一次分割、二次分割、分類、コンテクスト分析動作を行って、各スライド12が正常であるか擬似であるかを決定することができる。
【0020】
一次分割操作において、画像プロセッサ22は、人工産物を更なる考慮から除去する。画像プロセッサ22は、その明るさによって細胞の核でなさそうなデジタル画像データのピクセルを更なる考慮からマスキングすることによってこれを行う。デジタル画像の残りのピクセルは、あらゆる形状およびサイズを有する「ブロブ」を形成する。画像プロセッサ22は、径と、ブロブから延在するか隣り合うブロブを連結している細いひもが数ピクセルであるブロブを更なる考慮からはずすためにブロブに侵食プロセスを行う。画像プロセッサ22は、ブロブ中のピクセル数によって、画像中の各ブロブが独立した対象であるか、クラスタ対象であるかを決定する。例えば、一のブロブに590以上のピクセルがある場合はクラスタ対象と考えることができ、ピクセル数が590あるいはそれ以下の場合は独立した対象物であると考えられる。独立した対象物については、全体の面積、外周部対面積比、光学濃度基準偏差、グレイスケールの平均ピクセル値に関する所定の基準に合致しないブロブは考慮されない。
【0021】
二次分割操作では、画像プロセッサ22が独立したセルあるいはクラスタセルでありそうもないブロブを除去する。独立した対象については、画像プロセッサ22が一連の侵食作用を実行し、小さな対象を除去し、残りのブロブから突起を削除する。また、拡大動作を実行して、残りのブロブから孔を除去する。クラスタ対象については、画像プロセッサ22が対象物の角部を鋭角にして、明確なボーダとする。明確にしたクラスタ対象物から、画像プロセッサ22は特別な形状の条件を満たしている核積分光学濃度(IOD)が高い独立した対象物を選択する。クラスタ対象物から取り出した独立対象物には、クラスタ抽出対象物であるとのフラグが付けられる。
【0022】
分類操作において、画像プロセッサ22は各独立対象物とクラスタ対象物についての様々な特徴を測定し、これらの特徴の測定値に基づいて各対象物の対象スコアを計算する。このスコアに基づいて、画像プロセッサ22が人工産物らしい独立対象物とクラスタ対象物を除去する。残りの独立対象物は、関心のある対象物(OOIs)であると考えられる。画像プロセッサ22は、核のIOD(正しいもの、正しくないもの、いずれも)に対するOOIsを評価し、OOIsをIODの値に従ってランク付けする。画像プロセッサ22は、以下に述べるとおり、コンテクスト分析用に各OOIsの核の面積を測定する。次いで、画像プロセッサ22は、メモリ24に、各デジタル画像について、そのランキング、測定した核の面積および核IODsと共に、フレームデータレコード(FDR)としてOOIsを保存する。図に示す実施例では、各スライド12について約2000のデジタル画像が得られ、従って、各スライド12について約2000のFDRsがメモリ24内に保存される。
【0023】
コンテキスト分析動作において、画像プロセッサ22は、核の面積と100の最も高くランクされたOOIsの核IOD’sをFDRsから得て、各OOIsについての核の面積(y軸)対核IOD(x軸)の分散プロットを作成する。例えば、図3に示す分散プロットは、正常な細胞の生体試料を担持したスライドから得たものであり、図4に示す分散プロットは、異常な細胞の生体試料を担持したスライドから得たものである。分散プロットに基づいて、画像プロセッサ22は試料14を正常であると分類し、生体試料14に細胞検査技師による更なる観察は不要であるとのフラッグを付けるか、試料14を擬似であると分類し、生体試料14に細胞検査技師による更なる観察が必要であるとのフラッグを付ける。
【0024】
一般的には、図4に示すように、異常性を反映する細胞を含む生体試料は、核の面積と各IODの双方が広い分布を示す傾向にある(すなわち、分散ポイントがあいまいな境界領域を形成する傾向にある)。これに対して、図3に示すように、正常な細胞を含む生体試料は、核の面積と各IODの双方が狭い分布を示す傾向にある(すなわち、分散ポイントが密集した境界領域を形成する傾向にある)。従って、分散ポイント分布の広がりは、スライド12上にある生体試料14が正常であるか擬似であるかの徴候を提供する。図3及び図4に示す分散プロットの差は、異常細胞が正常細胞より、核の面積がより広く、核のIODsがより高い傾向にあり(クロマチン量が増えているため)、従って分散ポイントが、正常細胞による分散ポイント分布で規定されている領域から遠くへ拡がるであろうと言う事実に由来している。
【0025】
分散ポイントの分布は、様々な方法で量子化することができるが、好ましい実施例では、図3及び図4に示すように、分散ポイント上にジオメトリックフィットを実行している。特に、正常なスライドからの分散ポイントの分布はいくらか楕円形となる傾向にあり、従って、楕円フィットが好ましい。生体試料は、分散ポイント分布がこの境界がはっきりした楕円形から変化するほど、より擬似であるという一般的な原理を用いて、短軸と長軸で測定した楕円のサイズが、生体試料が正常であるか擬似であるかの表示を提供する。長短の軸の長さは重み付けが行われ、合成スコアを計算するのに使用される。
【0026】
スコアがコンピュータで計算されて、スレッシュホールド値と比較する。このスコアが、スコアが上がるに従って生体試料の擬似性が上がるというように計算されるとすると、スレッシュホールド値より高いスコアは、生体試料が擬似であることを表示し、スレッシュホールド値より低いスコアは生体試料が正常であることを表示する。この場合、画像プロセッサ22は、スコアがスレッシュホールド値未満であれば試料14を正常であると分類し、スコアがスレッシュホールド値異常であれば、試料14を擬似であると分類する。
【0027】
スレッシュホールド値の選択は、誤ったネガティブの発生(すなわち、正常であると特定された異常細胞を含むスライド)と誤ったポジティブの発生(すなわち、擬似であると特定された正常細胞を含むスライド)の、二つの競合するファクタによる。一般的に、誤診の可能性は、不必要な細胞検査技師による観察が必要である可能性に重みがおかれているので、誤ったネガティブ判定の発生は、誤ったポジティブの発生より受け入れられない。このため、スレッシュホールド値は、誤ったネガティブの確率が低いレベル、すなわち5%に維持され、誤ったポジティブの確率が高いレベル、すなわち50%に増えるように選択することが好ましい。この場合、必要な数の2倍のスライドが連続して観察されることになるが、細胞検査技師による実際に観察するスライドの数は半分に減少する。
【0028】
特に、分析されたOOIsの数の制限(すなわち、100のOOIsのみが分散プロットの生成に使用される)は、処理条件を低減するばかりではく、分散プロットが擬似OOIsの強化セットから生じると考えられるので、誤ったネガティブ判定に対するセーフガードとして働く。
【0029】
誤ったネガティブ判定を更に少なくするために、追加情報を使用して最もランクの高いOOIsから発生する分散プロットの信頼性を確実なものにすることができる。例えば、全てのOOIsの核のIODsの核の面積に基づく分散プロットを作って、もう一つのスコアを発生させるのに使用することができる。このスコアは、最もランクの高いOOIsから発生した分散プロットから生じるスコアのような、スレッシュホールド値と比較して、試料14を正常とすべきかまたは擬似と分類するべきかどうかを決定するのに使用される。この場合、両方の分散プロットからのスコアのいずれもがそれぞれのスレッシュホールド値以上であれば、試料14が擬似であると分類される。従って、試料14を正常であると分類するには、両方のスコアがそれぞれのスレッシュホールド値以下でなくてはならない。代替的に、両方の分散プロットから取り出したスコアを、重み付けしてトータルスコアにまとめてから、単一のスレッシュホールド値と比較することができる。
【0030】
その他の情報を用いて、ランクが最も高いOOIsから発生した分散プロットが信頼できるかどうかを決定することができる。例えば、数の上昇は当てにならないことが多い生体試料内の人工産物の数を測定して、スレッシュホールド値と比較することができる。人工産物の数がスレッシュホールド値以上であれば、分散プロットから得られるスコアがスライド12が正常であると表示している場合であっても、試料14は擬似であると分類される。
【0031】
また、OOIsの数を測定してスレッシュホールド値あるいはスレッシュホールド範囲と比較することができる。例えば、OOIsの数が比較的少ない場合は、分散プロットが発生するOOIsのプールが、統計的に正確な結果を提供するには小さすぎる。あるいは、OOIsの数が比較的多い場合は、人工産物の数が多くなり、分散プロットから得れる結果をゆがめてしまうことがある。この場合、OOIsの数が低いスレッシュホールド値より小さいあるいはOOIsの高いスレッシュホールド値より大きい、すなわち、OOIsの数がスレッシュホールド範囲外にある場合、分散プロットから得られるスコアがスライド12が正常であると表示するような場合であっても、試料14は擬似に分類される。
【0032】
少ないOOIsあるいは全てのOOIsの平均光学濃度(正しいものもあるいは正しくないものも)を測定して、スレッシュホールド値またはスレッシュホールド範囲と比較することができる。例えば、比較的低い光学濃度は、試料が十分に染色されていないことを表し、一方で、比較的高い光学濃度は、試料が過剰に染色されていることを示す。いずれの場合も、核のIOD測定をゆがめてしまい、これによって信頼できないスコアが生じることがある。この場合、平均光学濃度が低いスレッシュホールド値より小さい、あるいは高いスレッシュホールド値より大きい、すなわち、平均光学濃度がスレッシュホールド範囲外にある場合、分散プロットから得られるスコアがスライド12が正常であると表示するような場合であっても、試料14は擬似であると分類される。
【0033】
システム10は、スライドを細胞検査技師によって観察するべきであるかどうかを決定する以外の目的で、試料を分類することができる。例えば、システム10によって正常に分類された試料は、細胞検査技師が全てのスライドを観察する必要があるスクリーニングシステムなどの装置の標準化に使用することができる。例えば、スクリーニングシステムを通じて正常な試料を処理して、標準化した核の平均光学濃度を提供することができる。次の未処理の試料は、スクリーニングシステムを通じて処理することができる。次の試料が、標準化した核の平均光学濃度から所定の量だけ異なる平均光学濃度を測定したら(例えば、次の試料が過剰に染色されているあるいは過小に染色されているなど)、その結果をはねる。
【0034】
分散プロットの使用は、各試料内で正常な細胞材料と擬似の細胞材料の間を線引きするスクリーニングシステムに使用することができる。特に、図6を参照すると、本発明の別の実施例によって構成された生体スクリーニングシステム110が記載されている。このスクリーニングシステム110は、システム110が細胞検査技師に全てのスライド112(一つを図5に示す)を連続的に観察することを要求する点を除いて、上述した一般的システム10と同じであり、細胞検査技師の注意を擬似である試料114のこの領域(関心のある領域(FOIs)と呼ぶ)にのみ集めている。すなわち、どのスライド112(擬似のものでも)も細胞検査技師の観察の前に切り捨てられることがない。システム110は、分散プロットを用いてスライド112が擬似であることを表示し、これによって細胞検査技師に擬似であるスライドに特別な注意を払わせるようにしている。
【0035】
システム110は、一般的に、(1)スライド112上に含まれる生体材料の走査画像を得て、この画像から電子画像データを生成するためのイメージングステーション118と;(2)画像データをフイルタリングしてOOIsを得て、各FOIに一又はそれ以上のOOIsを振り分けるためのサーバ120と;(3)複数の観察ステーション122(3つが示されている)であって、各々が各FOIに対して走査した視野(FOV)を提供して細胞検査技師にOOIsを提示する(図7に示す)ステーションと;を具える。システム110は、モニタ、キーボード、およびマウス(図示せず)などを含むユーザインターフェース(図示せず)を具え、細胞検査技師がシステム110と相互作用できるようにしている。
【0036】
イメージングステーション118は、スクリーニングシステム10に対して上述したと同様の方法でスライド112を撮像するように構成されている。このため、イメージングステーション118は、上述したカメラ16、顕微鏡18、及びモータステージ20と同様に、カメラ124、顕微鏡126、および上述のモータステージ128を具える。モータステージ128は、カメラ124でとらえた画像のx−y軸のトラックを保持する。例えば、エンコーダ(図示せず)をモータステージ128の各モータに取り付けて、撮像中にxおよびy方向に移動するネット距離を追跡することができる。これらの座標は、スライド112(図5に示す)に付けた起点となるマーク116に対して測定される。以下により詳細に説明するように、これらの起点マーク116は、各観察ステーション122によって、観察プロセスの間にスライド112のx−y軸が、撮像プロセスで得られるスライド112のx−y軸に確実に関連づけられるようにすることができる。
【0037】
サーバ120は、(1)カメラ124から得た画像データからOOIsを得るように構成された画像プロセッサ130と;(2)各FOIにOOIsを割り当てるように構成されているFOIプロセッサ132と;(3)観察ステーション122が一のFOIから次のFOIへ走査するのに使用するルーティングパスをマッピングするように構成されたルーティングプロセッサ134と;(4)OOIsとFOIsと、OOIsのランクとx−y軸と、FOIs用のルーティングパスを保存するように構成されたメモリ136と;を具える。各プロセッサ132、134、および136で実行される機能を、単一のプロセッサで実行するか、あるいは代替的に3つ以上のプロセッサで実行することができることは自明である。同様に、メモリ136を複数のメモリに分割できることも自明である。
【0038】
画像プロセッサ130は、ABCs(すなわち、異常クラスタ)をランク付けし、そのランクに応じてFDRsと共にABCsを保存することを除いて、上述した画像プロセッサ22と同様である。画像プロセッサ130は、FDRs内のOOIsとABCsの座標を更に保存する。画像プロセッサ22と同様に、画像プロセッサ130はFDRsから、最もランクの高い100のOOIsの核面積と核のIOD’sを得て、核面積(y軸)対各OOIsの核IOD(x軸)の分散プロットを発生する。画像プロセッサ130は、分散プロットと、選択的にあらゆる追加の情報とを基にしてスライド112を正常あるいは擬似であると分類する。スライド112が擬似に分類されると、画像プロセッサ130はメモリ112にそのように表示したフラッグを保存する。
【0039】
FOIプロセッサ132は、OOIsのx−y座標を基にしてFOIsを規定する。図に示す実施例では、22のFOIsが規定されており、その内の20がOOIs用に保存され、二つがABCs、すなわち、異常クラスタ用に保存されている。最も単純なケースでは、20のFOIsが最も高くランクされている20のOOIsの上に集まっており、残り2つのFOIsが最も高くランクされている2つのABCsの上に集まっている。代替的に、FOIsは、すでに他のFOI内に含まれているOOIsとABCsをFOIに含まないようにするように規定されていてもよい。このようにして、OOIsとABCsは、協同作用するようにFOIs内にグループ分けされており、FOIs内に含まれているOOIsとABCsの数を最大にすることができる。代替的に、FOIsの数が固定されていない場合は、必要なFOIsの数を最小にして、全部のOOIsとABCsを含むようにすることができる。
【0040】
FOIsが発生した後、FOIプロセッサ134はメモリ138内の全てのFOIsのx−y座標を保存しておくルーティングプロセッサ136で後に使用する。特に、ルーティングプロセッサ136は、観察ステーション122内でFOIsを表すのに最も効率的なビューイングルートを決定する「トラベリングセールスマン」アルゴリズムなど、好適なルーティングアルゴリズムを用いて、FOIsのx−y座標をマッピングする。ルーティングプロセッサ136は、観察ステーション122によって逐次アクセスするためにメモリ134内に、ルーチングプラン(図に示す実施例では、単に観察のためにFOIsをリストに載せることによって行われる)に沿ってFOIsのx−y座標を保存する。
【0041】
図6を参照すると、一実施例において、全部で3つの観察ステーション122がサーバ120に接続されており、最大で3人の細胞検査技師がサーバ120内に保存されている関連する情報に同時にアクセスすることができる。特に、システム10は通常、細胞検査技師がスライドを観察するより迅速にスライド112を処理することができる。システム110の試料処理スピードが細胞検査技師の試料処理スピードより遅い場合でも、細胞検査技師は一日8時間働くだけであるが、システム110は通常24時間稼働させることができる。従って、スクリーニング処理の問題となるものは、人間のレベル、すなわち、スライド112上の生体材料の詳細な観察において生じる。従って、複数の観察ステーション122の使用がこの問題を解消して、より効果的なプロセスを提供することは明らかである。
【0042】
観察ステーション122の詳細を論じる前に、各観察ステーション122がFOIの上に集中する例示的なFOVを示す図7を参照する。図に示す実施例では、FOVは直径2.2mmであり、FOIは、FOVによって外接された0.4mmx0.4mm平方によって規定されている。実際の実施例では、FOIのボーダは、虚像であり見ることはできないので、OOIsの細胞検査技師の視界は邪魔されない。細胞検査技師の注意をより迅速にFOIに向けて、一般的にFOIの虚ボーダによって境界付けられる実際の領域を表示する基準を提供するために、L字型のマークインディケータ142が設けられている。マークインディケータ142は、FOIをとらえる(すなわち、マークインディケータ142のオープンスクエア部分144が、FOIの左側と下側を境界づけている)。マークインディケータ142のボーダとFOIの虚ボーダとの間に0.05mmのマージンが設けられており、FOIの左側と底側のボーダの外側に延在するOOIsの部分(FOl内に含まれているOOIの結果であるが、FOlの左側と底側のボーダ近傍で集中している)が、マークインディケータ142によって邪魔されないようにする。マークインディケータ142は、病理学者による更なる観察が要求される場合(例えば、OOIが悪性または悪性の疑いがあるような場合)に、細胞検査技師にFOIを電子的にマークする手段(例えば、マークインディケータ52を電子的に色づけするボタンを押すなどによって)を提供するよう動作する。
【0043】
図6を参照すると、各観察ステーション122は、顕微鏡138とモータステージ140を具える。スライド112は、(画像処理の後に)メモリ136から得たルーティングプランとFOIsのx−y座標に基づいて顕微鏡138の視野に対してスライド112を移動させるモータステージ140の上に装着される。スライド112は(画像処理の後に)メモリ138から得たルーティングプラントFOIsのx−y座標の移動に基づいて、顕微鏡138の視野に対してスライド112を移動させるモータステージ140の上に装着される。特に、画像ステーション118のx−y座標システムに対して得られるこれらのx−y軸は、スライド112に付けられた機転マーク116(図5を参照)を用いて観察ステーション122のx−y座標システム内に転送される。従って、観察プロセスにおいてスライド112のx−y座標が、撮像プロセスにおけるスライド112のx−y座標に確実に相互に関連する。モータステージ140は、次いで、FOIsの転送されたx−y座標に基づいて、ルーティングプランが示すとおりに移動する。図に示す実施例では、一のFOIを別のFOIに進めるために、細胞検査技師はアクティベーションスイッチ(図示せず)を押す。この意味で、観察ステーション122は半自動である。代替的に、FOIsは自動的に次から次へと進められる。この場合、モータステージ140は選択的に、各FOIに対して所定の時間だけ休止することができる。この意味で、観察ステーション122は全自動である。
【0044】
選択されたFOIsが顕微鏡138のFOV内に存在する場合、細胞検査技師は、FOIsを検査して、もしあれば、細胞の異常性のレベルについて決定を行う。細胞検査技師は、疑わしいFOIsに電子的にマークを付ける。細胞検査技師は、以前に観察したFOIに戻って、FOIsに囲まれていないスライド上の位置を手動で移動させて観察することができる。スライド112の観察に続いて、FOIsのいずれかが細胞検査技師にマークされている場合は、観察ステーション122は自動的に生体試料112を全体的に走査して、100%の観察範囲を確実な者にする。細胞検査技師は、スライド112の位置を代えたり、スライド112の位置にアクセスするために、自動スキャンを停止させ、所望の場合はステージ140を移動させることができる。
【0045】
特に、観察ステーション122は、試料114が擬似であると分類されると、(例えば可聴あるいは可視信号を提供することによって、細胞検査技師に通知をして)、この場合、細胞検査技師は、正常であると分類された試料を担持したスライドに行う観察に比べて、より全体的にスライド112を観察するようにする。
【0046】
分散プロットを使用して、試料バッチの染色の質を決定することもできる。染色の質が低い(例えば、染色プロトコルがきちんと実行されていないか、染料が貯蔵寿命を越えており劣化したなど)生体試料は、核の面積と核IODの双方が広く分布する傾向にある(すなわち、分散ポイントが、境界が曖昧な領域を作る傾向にある)ことがわかっている。これに対して、高品質に染色した生体試料は、核の面積と核IODの双方が狭く分布する傾向にある(すなわち、分散ポイントが境界がはっきりした領域を作る傾向にある)ことがわかっている。従って、分散ポイントの分布の広がりが、スライド12の上の生体試料14の染色の品質を表している。高品質のプロットおよび低品質の分散プロットの差は、低品質の染料は均一でないため、はっきりした領域から分散ポイントが外へ拡がることからくるものであり、そうでなければ均一で細胞質のコントラストは、はっきりする。
【0047】
各試料の分散ポイント分布は、様々なアプローチで量子化することができる。一の実施例では、ジオメトリックフィットを分散ポイントに実行して、上述した試料が正常か擬似かを決定するのと同じ方法で値を計算する。従って、組み合わさせた値が試料バッチ用に計算した値(例えば100の試料)から計算されて、試料バッチの全体の染色の質が量子化される。試料のポイント分布の中間値を計算することができる。代替的に、試料の割合に対するポイント分布の中間値(例えば10の最も低いポイント分布値)を計算することもできる。中間値を用いるのではなく、ポイント分布値のモードあるいは平均値を用いることもできる。
【0048】
中間値を計算して、現在の試料が正しく染色されたものであるかどうかを決定するのに使用することができる。これは、様々な方法で行うことができる。例えば、正しく染色されていることがわかっている試料からコンピュータで計算したベースライン値と中間値を比較することができる(例えば、ポイント分布値の平均値を用いて)。ベースラインの中間値の比較に使用する試料数は、画像システムが配置されているサイトを通して処理する、試料の正常なサンプリングを行うのに十分な数であることが好ましい。
【0049】
ポイント分布値が、試料の染色の質が下がるときにものが上がるように計算されると仮定すると、ベースライン値より所定の値だけ高い中間値は、現在の試料バッチが質の低い染色がなされていることを表示することになる。この場合、イメージプロセッサ22は、エラーか、以前に分析した試料が正しく染色されていないかも知れない旨を表示するフラッグを生成する。これらの疑わしい試料のサブセットを手動で観察して、染色の質を視覚的に確認することができる。
【0050】
代替的に、Chi-Square統計法を用いて現在の試料バッチの中間の値を以前の試料バッチの中間の値に比較して評価することができる。例えば、式

を与え、最も後ろの試料バッチが低質の染色がなされているかどうかを決定することができる。ここで、cは、Chi-Squareであり、fは得られた平均値であり、fは、期待平均値である。例えば、最後の試料バッチの平均値が、それぞれ、130,150,110,100および170であれば、fは、(130+150+110+100+170)/5=132となり、cは、(130−132)/132+(150−132)/132+(110−132)/132+(100−132)/132+(170−132)/132=0.0303+2.4545+3.6667+7.7575+10.9393=24.8483である。
【0051】
標準的な統計ハンドブックを用いて、Chi-Squarecを、試料バッチの平均値が正常分布内にあるかどうかを決定する所定の信頼レベルで、カットオフ値に比較することができる。正常分布内にない場合は、最後の試料バッチが低質の染色であると決定される。
【0052】
代替的に、コンピュータで計算したポイント分布値から平均を決定して、ベースライン値とその平均を比較する代わりに、ポイント分布値をベースライン値と直接比較することができる。この場合、ベースライン値を所定の値だけ越えるポイント分布値の数を計算して、スレッシュホールド数と比較することができる。例えば、ポイント分布値の20%がスレッシュホールド値を所定の数だけ超えている場合、染色の質が疑わしく、これによってエラーあるいはフラッグの発生を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図面は、本発明の実施例のデザインとユーティリティを示すものであり、同じ要素には共通の符号が付されている。
【図1】図1は、生体試料を担持する標準顕微鏡スライドを示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例に従って構成した生体スクリーニングシステムを示す平面図である。
【図3】図3は、正常な生体試料に見られる関心のある対象物の核の面積(y軸)対核の積分光学濃度(x軸)の分散プロットである。
【図4】図4は、擬似の生体試料に見られる関心のある対象物の核の面積(y軸)対核の積分光学濃度(x軸)の分散プロットである。
【図5】図5は、生体試料を担持する別の標準顕微鏡スライドを示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施例によって構成した生体スクリーニングシステムの平面図である。
【図7】図7は、図5に示すシステムで用いられている顕微鏡の視野を通して示された関心のある範囲とマーカインディケータを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を分類する生体スクリーニングシステムにおいて:
試料の走査画像を得ると共に、当該走査画像から画像データを生成する画像ステーションと;
前記画像データをフィルタリングしてOOIsを得、前記生体試料内の関心のある対象物(OOIs)の数を同定し、各OOIの核の面積を測定し、各OOIの核の積分光学濃度を測定し、当該測定した核の面積対核の積分光学濃度の分散プロットを発生し、前記分散プロット内のポイント分布に少なくとも部分的に基づいて前記試料を正常であると分類する少なくとも一のプロセッサと;
を具えることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、正常な試料に更なる観察が不要であるとのフラッグを付けることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、前記試料を前記ポイント分布に基づいて正常か擬似のいずれかであると分類することを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、正常試料に更なる観察が不要であるとのフラッグを付けると共に、擬似試料に更なる観察が必要であるとのフラッグを付けることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記試料が前記ポイント分布の広がりに基づいて正常であると分類されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記試料が前記ポイント分布の広がりがスレッシュホールド以下である場合に正常であると分類されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項7】
請求項5に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが、更に、前記ポイント分布の広がりを量子化し、スレッシュホールド値を規定し、量子化したポイント分布の広がりを前記スレッシュホールド値に比較して、前記試料がこの比較に基づいて正常であると分類されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが、ジオメトリックな形状を前記ポイントに合致させることによって前記ポイント分布の広がりを量子化して、前記ジオメトリックな形状の少なくとも一の大きさを決定し、前記少なくとも一の大きさの関数である値を計算し、前記少なくとも一のプロセッサが、その計算した値をスレッシュホールド値と比較することによって、前記量子化したポイント分布の広がりを前記スレッシュホールド値と比較することを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項9】
請求項8に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記ジオメトリック形状が楕円であることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項10】
請求項7に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、少なくとも一のプロセッサが、一の値を計算することで前記ポイント分布の広がりを量子化し、この計算された値がスレッシュホールド値と比較されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、前記生体試料の少なくとも一の追加の特徴を測定し、前記試料が更に前記少なくとも一の追加で測定された特徴に基づいて正常であると分類されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、前記少なくとも一の追加で測定された特徴に基づいて前記分散プロットが信頼性があると決定することを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項13】
請求項11に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一の追加で測定された特徴が、前記生体試料内のOOIsの総数であることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項14】
請求項11に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一の追加で測定された特徴が、前記生体試料内の人工産物の総数であることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項15】
請求項11に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一の追加で測定された特徴が、前記OOIsの核の平均光学濃度であることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項16】
請求項1に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記OOIsの数が予め決められていることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項17】
請求項3に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、前記試料が擬似と分類されている場合にOOIsを含めるために複数の関心のあるフィールドを生成し、前記システムが更に、前記OOIsを与えるため各関心のあるフィールドに対して視野を走査する自動、あるいは半自動の観察ステーションを具えることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項18】
生体試料を分類する生体スクリーニングシステムにおいて:
前記試料の走査画像を得ると共に、前記走査画像から画像データを生成するイメージングステーションと;
前記画像データをフィルタリングしてOOIsを得、前記生体試料内の関心のある対象物(OOIs)の数を同定し、各OOIの第1の特徴を測定し、核OOIの第2の特徴を測定し、当該測定した第1の特徴対第2の特徴の分散プロットを発生し、前記分散プロットが広がりを有するポイント分布を有すると共に、前記ポイント分布の広がりに少なくとも部分的に基づいて前記試料を正常であると分類する少なくとも一のプロセッサと;
を具えることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項19】
請求項18に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、正常な試料に更なる観察が不要であるとのフラッグを付けることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項20】
請求項18に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、前記試料を前記ポイント分布に基づいて正常か擬似のいずれかであると分類することを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項21】
請求項20に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、正常試料を更なる観察が不要であるとのフラッグを付けると共に、擬似試料に更なる観察が必要であるとのフラッグを付けることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項22】
請求項18に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記試料が前記ポイント分布の広がりがスレッシュホールド以下である場合に正常であると分類されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項23】
請求項18に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが、更に、前記ポイント分布の広がりを量子化し、スレッシュホールド値を規定し、量子化したポイント分布の広がりを前記スレッシュホールド値に比較して、前記試料がこの比較に基づいて正常であると分類されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項24】
請求項23に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが、ジオメトリックな形状を前記ポイントに合致させることによって前記ポイント分布の広がりを量子化して、前記ジオメトリックな形状の少なくとも一の大きさを決定し、前記少なくとも一の大きさの関数である値をコンピュータ計算し、前記少なくとも一のプロセッサが、そのコンピュータ計算した値をスレッシュホールド値と比較することによって、前記量子化したポイント分布の広がりを前記スレッシュホールド値と比較することを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項25】
請求項24に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記ジオメトリック形状が楕円であることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項26】
請求項23に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、少なくとも一のプロセッサが、一の値を計算することで前記ポイント分布の広がりを量子化し、この計算された値がスレッシュホールド値と比較されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項27】
請求項18に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、前記生体試料の少なくとも一の追加の特徴を測定し、前記試料が前更に記少なくとも一の追加で測定された特徴に基づいて正常であると分類されることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項28】
請求項27に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、前記少なくとも一の追加で測定された特徴に基づいて前記分散プロットが信頼性があると決定することを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項29】
請求項27に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一の追加で測定された特徴が、前記生体試料内のOOIsの総数であることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項30】
請求項27に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一の追加で測定された特徴が、前記生体試料内の人工産物の総数であることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項31】
請求項27に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一の追加で測定された特徴が、前記OOIsの核の平均光学濃度であることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項32】
請求項18に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記OOIsの数が予め決められていることを特徴とする生体スクリーニングシステム。
【請求項33】
請求項18に記載の生体スクリーニングシステムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが更に、前記試料が擬似と分類されている場合にOOIsを含めるために複数の関心のあるフィールドを生成し、前記システムが更に、前記OOIsを与えるのに各関心のあるフィールドに対して視野を走査する自動、あるいは半自動の観察ステーションを具えることを特徴とする生体スクリーニングシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−504478(P2007−504478A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533247(P2006−533247)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/015834
【国際公開番号】WO2005/001438
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505364083)サイティック コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】