説明

分散剤、樹脂組成物製造方法ならびにポリイミド樹脂成形品製造方法

【課題】加熱工程などにおける変色の発生を抑制しつつ無機物粒子の分散性を向上させ得る分散剤、無機物粒子が良好なる分散状態で含有されており加熱成形時などにおける変色の発生を抑制し得る樹脂組成物の製造方法、ならびに、無機物粒子が良好なる分散状態で分散されており、変色の抑制されたポリイミド樹脂成形品製造方法などの提供を課題としている。
【解決手段】無機物粒子が分散されてなる樹脂組成物に用いられる分散剤であって、前記分散剤には、ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖に酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して一般式(1)で表される末端基が結合されてなる化合物が含有されていることを特徴とする分散剤などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機物粒子が分散されてなる樹脂組成物に用いられる分散剤、樹脂に分散剤存在下で無機物粒子を分散させて樹脂組成物を製造する樹脂組成物製造方法、ならびに、ポリアミド酸に分散剤存在下で無機物粒子を分散させて樹脂組成物を作製し、該樹脂組成物で形成された成形物を加熱することにより前記ポリアミド酸のイミド化を実施するポリイミド樹脂成形品製造方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂の破壊強度や靱性などの機械的強度の向上、電気絶縁性などの電気特性の向上、熱伝導率、熱拡散定数などの熱伝導性の向上、さらには、屈折率や紫外線透過率などといった光学特性の調整などを目的として、充填剤やフィラーなどと呼ばれる無機物粒子を樹脂に分散させることが行われている。
例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または、チタン酸バリウムなどを樹脂中に分散させることで樹脂が本来有している屈折率とは異なる屈折率を有する樹脂組成物を作製することが行われたりしている。
また、酸化亜鉛や酸化チタンなどの微粒子を透明樹脂中に分散させた樹脂組成物を用いて、透明でありながら紫外線を遮蔽するフィルムや樹脂板などの成形品を作製することなども行われている。
【0003】
この紫外線遮蔽フィルムなどにおいては、無機物粒子の凝集などを防止して良好な分散状態を形成させることで可視光の透過率をより向上させることができる。
また、機械的特性、電気特性、熱伝導性などについても、無機物粒子の分散性を向上させることで、通常は、それぞれの特性も向上される。
しかし、無機物粒子は、一般的に凝集力が高く、樹脂組成物中における良好な分散状態を形成させることが困難である。
特に、ナノ粒子などと呼ばれる一次粒子径が200nm以下の粒子を良好な分散状態で樹脂組成物中に分散させることは困難である。
【0004】
このことに対し、従来、無機物粒子が分散されてなる樹脂組成物には、無機物粒子の分散性を向上させるための分散剤が用いられている。
例えば、特許文献1には、酸化チタン粒子の分散性を向上させるべく有機リン酸系分散剤を用いることが記載されている。
【0005】
ところで、このような分散剤を無機物粒子とともに含有する樹脂組成物については、その成形品を作製する際においては、通常、加熱工程を経て加工される。
ここで、特許文献2にも記載されているように、従来の分散剤においては、加熱工程で黄変などの変色を発生させてしまうという問題を有している。
そして、近年においては、より耐熱性に優れた分散剤が求められるようになってきている。
【0006】
この分散剤の耐熱性については、特許文献3には、ポリアミド酸を分散剤として用いることで耐熱性を向上させ得ることが記載されているが、ポリアミド酸そのものは、樹脂組成物における無機物粒子の分散性を向上させる効果が不十分なものである。
すなわち、従来の分散剤においては、加熱工程における変色の発生を抑制しつつ無機物粒子の分散性を向上させ得るものは見出されていない。
そのため、無機物粒子が良好なる分散状態で含有され加熱成形時などにおける変色の発生が抑制された樹脂組成物を得ることも困難となっている。
さらには、ポリイミドなどの高温で加熱成形されたりするような樹脂を用いた成形品においては、無機物粒子が良好なる分散状態で分散され変色が抑制されたものを得ることが困難となっている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−25320号公報
【特許文献2】特開2006−28252号公報
【特許文献3】特開2004−59694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、加熱工程などにおける変色の発生を抑制しつつ無機物粒子の分散性を向上させ得る分散剤、無機物粒子が良好なる分散状態で含有されており加熱成形時などにおける変色の発生を抑制し得る樹脂組成物の製造方法、ならびに、無機物粒子が良好なる分散状態で分散されており、変色の抑制されたポリイミド樹脂成形品製造方法などの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無機物粒子が分散されてなる樹脂組成物に用いられる分散剤であって、ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖に酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して下記一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
(なお、Zは、カルボキシル基、リン酸基、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、アミド基、または、下記一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(なお、R1、R2、および、R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、X-は、アニオンを示す。)で表される基を示しており、mは、1〜5の整数を示す。)で表される末端基が結合されてなる化合物が含有されていることを特徴とする分散剤を提供する。
【0014】
また、本発明は、樹脂に分散剤存在下で無機物粒子を分散させて樹脂組成物を製造する樹脂組成物製造方法であって、前記分散剤には、ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖に酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して前記一般式(1)で表される末端基が結合されてなる化合物が含有されていることを特徴とする樹脂組成物製造方法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、ポリアミド酸に分散剤存在下で無機物粒子を分散させて樹脂組成物を作製し、該樹脂組成物で形成された成形物を加熱することにより前記ポリアミド酸のイミド化を実施するポリイミド樹脂成形品製造方法であって、前記分散剤には、ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖に酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して前記一般式(1)で表される末端基が結合されてなる化合物が含有されていることを特徴とするポリイミド樹脂成形品製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の分散剤には、ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖を備えた化合物が用いられていることから、優れた耐熱性を有する。
したがって、樹脂組成物の加熱工程などにおいて、変色が発生することを抑制させ得る。
しかも、分散剤に含有されている化合物は、無機物粒子への親和性に優れた前記一般式(1)に示す末端基が酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して主鎖に結合されていることから変色の発生を抑制させつつ無機物粒子の分散性を向上させ得る。
すなわち、本発明の分散剤によれば、加熱工程などにおける変色の発生を抑制しつつ無機物粒子の分散性を向上させ得る。
【0017】
また、本発明の樹脂組成物製造方法によれば、無機物粒子が良好なる分散状態で含有されており加熱成形時などにおける変色の発生を抑制し得る樹脂組成物を製造し得る。
【0018】
さらに、本発明のポリイミド樹脂成形品製造方法によれば、無機物粒子が良好なる分散状態で分散されており、変色の抑制されたポリイミド樹脂成形品を製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本実施形態における樹脂組成物には無機物粒子が分散剤とともに含有されており、前記無機物粒子が樹脂組成物中に分散されている。
【0020】
前記分散剤には、ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖に酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して下記一般式(1)
【0021】
【化3】

【0022】
(なお、Zは、カルボキシル基、リン酸基、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、アミド基、または、下記一般式(2)
【0023】
【化4】

【0024】
(なお、R1、R2、および、R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、X-は、アニオンを示す。)で表される基を示しており、mは、1〜5の整数を示す。)で表される末端基が結合されてなる化合物が含有されている。
【0025】
なお、前記一般式(1)で示される末端基が、窒素原子を介して主鎖に結合されている場合においては、窒素原子には、主鎖と前記一般式(1)との他に、通常、水素原子または一価の有機基が結合された状態となる。
【0026】
この分散剤に用いられている化合物の主鎖部分については、ポリイミド、ポリアミド酸またはこれらの共重合体構造を有するものであれば特に限定されず、例えば、溶媒中でテトラカルボン酸成分とジアミン成分を略等モル反応させて形成させたり、前記反応により、一旦ポリアミド酸構造を形成させた後に、その一部または全部をイミド化して形成させたりすることができる。
【0027】
前記テトラカルボン酸成分としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、1,4−ジフルオロピロメリット酸、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、2,2’−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン〕−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物などを例示することができ、これらは、単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0028】
また、前記ジアミン成分としては、上記ジアミン化合物は、特に限定されることなく、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフュノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾニトリル、6,6’−ビス(2−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルなどを例示することができ、これらは単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0029】
また、この分散剤に用いられている化合物の末端基については、一旦、前記テトラカルボン酸成分と前記ジアミン成分とを反応させて主鎖となる部分を形成させた後に、下記一般式(3)
【0030】
【化5】

【0031】
(なお、Zは、カルボキシル基、リン酸基、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、アミド基、または、下記一般式(2)
【0032】
【化6】

【0033】
(なお、R1、R2、および、R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、X-は、アニオンを示す。)で表される基を示しており、Yは、水酸基、1級または2級アミノ基、または、メルカプト基を示しており、mは、1〜5の整数を示す。)
で表される物質とを反応させることで形成させることができる。
しかも、このような方法によれば予め前記一般式(3)における繰り返し数(m)を所定の値に調整しておくこともでき、所望の構造の化合物を容易に形成させ得る。
【0034】
この分散剤におけるテトラカルボン酸成分とジアミン成分との比率については特に限定されるものではないが、一分子中におけるテトラカルボン酸成分のモル数をXc、ジアミン成分のモル数をXa、前記一般式(3)における繰り返し数をmとした場合に、分散性能や樹脂との相溶性を良好にさせ得る点において(Xc):(Xa):(m)=(4〜6):(2〜4):(1〜4)の範囲とされることが好ましい。
【0035】
また、前記一般式(3)における繰り返し数“m”は、1〜5の整数であり、分散剤の分散性能や樹脂との相溶性を良好にさせ得る点において、前記一般式(3)における繰り返し数“m”は、2〜4とされることが好ましい。
また、親水性表面を有する無機物粒子に用いられる場合には、前記一般式(3)における末端の官能基“Z”は、カルボキシル基、リン酸基であることが好ましい。
さらに、疎水性表面を有する無機物粒子に用いられる場合には、前記一般式(3)における末端の官能基“Z”は、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、アミド基であることが好ましい。
【0036】
前記無機物粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、および、二酸化ケイ素の内の少なくとも一種以上の物質により形成された無機物粒子が、前記分散剤により好適に分散させ得る。
特に、従来、良好なる分散状態を形成させることが困難であった一次粒子径が0.005〜0.2μmのものを用いる場合には、本発明の効果をより顕著に発揮させ得る。
なお、“一次粒子径が0.005〜0.2μm”とは、“一次粒子の平均粒子径が0.005〜0.2μmのいずれかの値である”ことを意図しており、この平均粒子径については、レーザー回折法によるD50値を測定することにより求めることができる。
【0037】
また、前記無機物粒子が、酸化チタンにより形成された無機物粒子であり、しかも、ルチル型酸化チタンにより形成された無機物粒子である場合においては、特に、樹脂組成物に透明性を付与させることが容易であり、しかも、樹脂組成物を加熱工程に供した場合などにおける変色の発生を、他の無機物粒子が用いられる場合に比べて、さらに抑制させ得る。
【0038】
この無機物粒子と前記分散剤とは、無機物粒子の種類や粒子径、分散剤の分子量などによっても異なるが、通常、無機物粒子100質量部に対して、分散剤1〜20質量部となる割合で樹脂組成物に含有される。
【0039】
前記無機物粒子を、前記分散剤存在下で分散させる樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、通常、比較的高温において加工が施されることから、変色を抑制するという本発明の効果をより顕著に発揮させ得る点において、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が好適であり、中でも、ポリイミド樹脂が特に好適である。
【0040】
また、本実施形態の樹脂組成物には、前記のような樹脂成分、無機物粒子、分散剤など以外に、老化防止剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料などといった樹脂組成物に一般に用いられる各種配合剤を本発明の効果を損なわない範囲において適宜加えることができる。
【0041】
次いで、樹脂組成物としてポリアミド酸樹脂組成物を用いてポリイミド樹脂製透明フィルムを製造する場合を例にポリイミド樹脂成形品製造方法について説明する。
【0042】
まず、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどから選ばれる溶媒にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを加えて該テトラカルボン酸成分と前記ジアミン成分とを反応させ、さらに、前記一般式(3)で表される物質を加えて反応させた後に加熱状態で攪拌して、未反応のテトラカルボン酸成分、ジアミン成分、ならびに前記一般式(3)で表される物質や溶媒などを除去して分散剤を作製する。
次いで、分散剤を溶媒に溶解させた溶液を作製し、該溶液に無機物粒子を加えて、ビーズミキサーやホモジナイザーなどを用いて無機物粒子を分散させた混和物を作製する。
その後、ポリアミド酸溶液に前記混和物を添加して攪拌脱泡して液状のポリアミド酸樹脂組成物を作製し、該ポリアミド酸樹脂組成物を、ガラス板、ステンレス基板、ステンレスベルトなどの基材上に流延した後、加熱乾燥させるとともにポリアミド酸の一部または全部をイミド化してポリイミド樹脂製透明フィルムを作製することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、分散剤、樹脂組成物製造方法、ならびに、ポリイミド樹脂成形品製造方法を、上記のような場合を例に説明したが、本発明の分散剤、樹脂組成物製造方法、ならびに、ポリイミド樹脂成形品製造方法をこのような上記例示に限定するものではない。
【実施例】
【0044】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
(分散剤の作製)
(実施例1)
攪拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド(以下「3−BAPS」ともいう)4.54g(10.5ミリモル)と2−アミノエタノール0.55g(9ミリモル)をジメチルアセトアミド22gに溶解させた後、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(以下「ODPA」ともいう)4.65g(15ミリモル)を加え、ゆっくり攪拌した。
溶媒を留去して、ε−カプロラクトン3.08g(27ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、160℃で5時間反応を行った。
反応後、80℃に冷却して、ポリリン酸混和物(84質量%が五酸化二リンであり、残部がポリリン酸である混和物)0.76gを加え、窒素を吹き込みながら、3時間反応を行い前記一般式(3)における末端の官能基“Z”が、リン酸基となっている実施例1の分散剤を作製した。
【0046】
(実施例2)
3−BAPSの使用量を、4.54g(10.5ミリモル)に代えて5.19g(12ミリモル)とし、2−アミノエタノールの使用量を0.55g(9ミリモル)に代えて0.65g(10.6ミリモル)とし、ε−カプロラクトンの使用量を、3.08g(27ミリモル)に代えて2.05g(18ミリモル)とし、ポリリン酸混和物の使用量を、0.76gに代えて0.51gとした以外は、実施例1と同様にして分散剤を作製した。
【0047】
(実施例3)
2−アミノエタノール0.55g(9ミリモル)に代えてm−アミノフェノール0.98g(9.0ミリモル)とした以外は、実施例1と同様にして分散剤を作製した。
【0048】
(実施例4)
3−BAPS4.54g(10.5ミリモル)に代えて3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(以下「3,3’−DDS」ともいう)2.98g(12ミリモル)とし、ODPA4.65g(15ミリモル)に代えて3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下「BPDA」ともいう)4.41g(15ミリモル)とした以外は実施例1と同様にして分散剤を作製した。
【0049】
(実施例5)
3,3’−DDS2.98g(12ミリモル)に代えて、m−キシリレンジアミン1.63g(12ミリモル)とした以外は実施例4と同様にして分散剤を作製した。
【0050】
(比較例1〜3)
ビックケミー社より商品名「Disperbyk−111」として市販の分散剤(平均粒子径:62nm)を比較例1とし、ルブリゾール社より商品名「ソルスパース2000」として市販の分散剤(平均粒子径:105nm)を比較例2とした。
また、ODPAとBAPSとを等モル反応させて得られた、前記一般式(1)で表される末端基を有していないポリアミド酸粒子(平均粒子径:105nm)を比較例3の分散剤とした。
【0051】
(ポリイミド樹脂製透明フィルムの製造)
(製造例1)
石原産業社製ルチル型酸化チタン粒子1.0gと実施例1の分散剤0.2gとをジメチルアセトアミド3.8gとともにガラス瓶に投入し、直径約0.1mmのジルコニアビーズ30gをさらに投入してペイントシェーカーで2時間分散を実施し分散液を作製した。
なお、この分散液に含まれる酸化チタン粒子の平均粒子径を測定したところ約65nmであった。
3−BAPSとODPAとを用いて形成されたポリアミド酸が溶媒中に固形分濃度35%となるよう含有されているポリアミド酸溶液1.43gに前記分散液0.4gを加えて、製造されるポリイミド樹脂製透明フィルムに酸化チタン粒子が5体積%で含有されるべく調整された樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液をガラス板上に塗工して、80℃で1時間加熱した後に150℃で1時間加熱し、さらに、250℃で1時間加熱して乾燥させるとともにイミド化を実施して厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを得た。
この製造例1のポリイミド樹脂製透明フィルムは、目視において透明であることが確認でき、プリズムカプラーによる屈折率を測定したところ、532nmの波長の光に対する屈折率が1.719であり、633nmの波長の光に対する屈折率が1.700であった。
【0052】
(製造例2)
酸化チタン粒子の含有量が10体積%となるように、分散液の添加量を0.4gに代えて0.83gとした以外は、製造例1と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
この製造例2のポリイミド樹脂製透明フィルムは、目視において透明であることが確認でき、プリズムカプラーによる屈折率を測定したところ、532nmの波長の光に対する屈折率が1.747であり、633nmの波長の光に対する屈折率が1.727であった。
【0053】
(製造例3)
実施例1の分散剤に代えて実施例2の分散剤を用いたこと以外は製造例2と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
なお、この製造例3において作製された分散液に含まれる酸化チタン粒子の平均粒子径を測定したところ約58nmであった。
この製造例3のポリイミド樹脂製透明フィルムは、目視において透明であることが確認でき、プリズムカプラーによる屈折率を測定したところ、532nmの波長の光に対する屈折率が1.742であり、633nmの波長の光に対する屈折率が1.721であった。
【0054】
(製造例4)
実施例1の分散剤に代えて実施例3の分散剤を用いたこと以外は製造例2と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
なお、この製造例4において作製された分散液に含まれる酸化チタン粒子の平均粒子径を測定したところ約78nmであった。
この製造例4のポリイミド樹脂製透明フィルムは、目視において透明であることが確認でき、プリズムカプラーによる屈折率を測定したところ、532nmの波長の光に対する屈折率が1.740であり、633nmの波長の光に対する屈折率が1.726であった。
【0055】
(製造例5)
実施例1の分散剤に代えて実施例4の分散剤を用いたこと以外は製造例2と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
なお、この製造例5において作製された分散液に含まれる酸化チタン粒子の平均粒子径を測定したところ約64nmであった。
この製造例5のポリイミド樹脂製透明フィルムは、目視において透明であることが確認でき、プリズムカプラーによる屈折率を測定したところ、532nmの波長の光に対する屈折率が1.747であり、633nmの波長の光に対する屈折率が1.731であった。
【0056】
(製造例6)
実施例1の分散剤に代えて実施例5の分散剤を用いたこと以外は製造例2と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
なお、この製造例6において作製された分散液に含まれる酸化チタン粒子の平均粒子径を測定したところ約69nmであった。
この製造例6のポリイミド樹脂製透明フィルムは、目視において透明であることが確認でき、プリズムカプラーによる屈折率を測定したところ、532nmの波長の光に対する屈折率が1.745であり、633nmの波長の光に対する屈折率が1.728であった。
【0057】
(製造例7)
3−BAPSに代えてm−キシリレンジアミンを用いて形成されたポリアミド酸を使用したこと以外は製造例6と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
この製造例7のポリイミド樹脂製透明フィルムは、目視において透明であることが確認でき、プリズムカプラーによる屈折率を測定したところ、532nmの波長の光に対する屈折率が1.739であり、633nmの波長の光に対する屈折率が1.718であった。
【0058】
(製造例8)
無機物粒子として、石原産業社製ルチル型酸化チタン粒子に代えてゾル−ゲル法により合成されたアナターゼ型の酸化チタン粒子を用いたこと以外は製造例2と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
この製造例8のポリイミド樹脂製透明フィルムは、目視においてわずかに変色が認められた。
【0059】
(製造例9)
実施例1の分散剤に代えて比較例1の分散剤(「Disperbyk−111)を用いたこと以外は製造例2と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
この製造例9のポリイミド樹脂製透明フィルムは、大きく茶色に変色していることが目視にて認められた。
なお、変色が大きく屈折率の測定はできなかった。
【0060】
(製造例10)
実施例1の分散剤に代えて比較例2の分散剤(ソルスパース2000)を用いたこと以外は製造例2と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
この製造例10のポリイミド樹脂製透明フィルムは、大きく茶色に変色していることが目視にて認められた。
なお、変色が大きく屈折率の測定はできなかった。
【0061】
(製造例11)
実施例1の分散剤に代えて比較例3の分散剤を用いたこと以外は製造例2と同様に厚み約15μmのポリイミド樹脂製透明フィルムを作製した。
この製造例10のポリイミド樹脂製透明フィルムは、やや白色を呈し透明性に欠けており、屈折率の測定はできなかった。
【0062】
このことからも、本発明の分散剤は、加熱工程などにおける変色の発生を抑制しつつ無機物粒子の分散性を向上させ得るものであることがわかる。
また、この分散剤が用いられた樹脂組成物は加熱成形時などにおける変色の発生を抑制させ得ることもわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物粒子が分散されてなる樹脂組成物に用いられる分散剤であって、
ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖に酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して下記一般式(1)
【化1】

(なお、Zは、カルボキシル基、リン酸基、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、アミド基、または、下記一般式(2)
【化2】

(なお、R1、R2、および、R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、X-は、アニオンを示す。)
で表される基を示しており、mは、1〜5の整数を示す。)
で表される末端基が結合されてなる化合物が含有されていることを特徴とする分散剤。
【請求項2】
前記化合物が、ポリイミド、ポリアミド酸またはこれらの共重合体と、下記一般式(3)
【化3】

(なお、Zは、カルボキシル基、リン酸基、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、アミド基、または、下記一般式(2)
【化4】

(なお、R1、R2、および、R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、X-は、アニオンを示す。)
で表される基を示しており、Yは、水酸基、1級または2級アミノ基、または、メルカプト基を示しており、mは、1〜5の整数を示す。)
で表される物質とが反応されたものである請求項1記載の分散剤。
【請求項3】
前記樹脂組成物が、無機物粒子がポリイミド樹脂に分散されてなるポリイミド樹脂組成物である請求項1または2に記載の分散剤。
【請求項4】
前記無機物粒子は、一次粒子径が0.005〜0.2μmであり、しかも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、および、二酸化ケイ素の内の少なくとも一種以上の物質により形成された無機物粒子である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項5】
前記無機物粒子が、酸化チタンにより形成された無機物粒子であり、しかも、ルチル型酸化チタンにより形成された無機物粒子である請求項4記載の分散剤。
【請求項6】
樹脂に分散剤存在下で無機物粒子を分散させて樹脂組成物を製造する樹脂組成物製造方法であって、
前記分散剤には、ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖に酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して下記一般式(1)
【化5】

(なお、Zは、カルボキシル基、リン酸基、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、アミド基、または、下記一般式(2)
【化6】

(なお、R1、R2、および、R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、X-は、アニオンを示す。)
で表される基を示しており、mは、1〜5の整数を示す。)
で表される末端基が結合されてなる化合物が含有されていることを特徴とする樹脂組成物製造方法。
【請求項7】
ポリアミド酸に分散剤存在下で無機物粒子を分散させて樹脂組成物を作製し、該樹脂組成物で形成された成形物を加熱することにより前記ポリアミド酸のイミド化を実施するポリイミド樹脂成形品製造方法であって、
前記分散剤には、ポリイミド、ポリアミド酸およびこれらの共重合体のいずれかの構造を有する主鎖に酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子のいずれかを介して下記一般式(1)
【化7】

(なお、Zは、カルボキシル基、リン酸基、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、アミド基、または、下記一般式(2)
【化8】

(なお、R1、R2、および、R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、X-は、アニオンを示す。)
で表される基を示しており、mは、1〜5の整数を示す。)
で表される末端基が結合されてなる化合物が含有されていることを特徴とするポリイミド樹脂成形品製造方法。
【請求項8】
前記無機物粒子は、ルチル型酸化チタンにより形成された一次粒子径が0.005〜0.2μmの無機物粒子である請求項7に記載のポリイミド樹脂成形品製造方法。
【請求項9】
ポリイミド樹脂製透明フィルムの製造に用いられる請求項7または8記載のポリイミド樹脂成形品製造方法。

【公開番号】特開2008−297351(P2008−297351A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142090(P2007−142090)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】