説明

分散染料混合物、それらの調製物及び使用

本発明は、式(I)の少なくとも1種の染料
【化1】


及び式(II)の少なくとも1種の染料を含む染料混合物、
【化2】


[式中、T、T、R〜R、及びnはそれぞれ、請求項1において定義されたものである]、それらを調製するためのプロセス、及びそれらの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性織物材料を染色するための分散染料に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾジフラノンと分散アゾ染料との混合物は、すでに公知であり、たとえば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3などに記載されている。
【0003】
さらに、特許文献4には、その中で2−オキソアルキルエステルが染料発色団に結合されている分散アゾ染料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 305 886A2号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 640 667A1号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/074719A1号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2008/049758A2号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において以下に定義されるベンゾジフラノンと分散アゾ染料との混合物が、ポリエステル及びポリエステル−エラスタン材料上での染色のビルドアップ性の面で、それら個々の染料よりも明らかに改良されているということが今や見出された。
【0006】
本発明は、式(I)の少なくとも1種の染料
【化1】

及び式(II)の少なくとも1種の染料を含む染料混合物を提供する。
【化2】

[式中、
は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、−SCN、−SOCH、又はニトロであり;
は、水素、又はハロゲンであり;
は、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ハロゲン、−NHCHO、−NHCO(C〜C)−アルキル、−NHCOアリール、−NHSO(C〜C)−アルキル、又は−NHSOアリールであり;
は、水素、又はハロゲンであり;
は、水素、(C〜C)−アルキル、シアノ−、(C〜C)−アルコキシ−、フェノキシ−若しくはフェニル−置換の(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルケニル、又は置換(C〜C)−アルケニルであり;
は、水素又はメチルであり;
は、メチル又はエチルであり;
は、水素又はメチルであり;
は、水素又はメチルであり;
nは、0、1、2又は3であり;
及びRはそれぞれ独立して、水素、(C〜C)−アルコキシ、(C〜C)−アルケニルオキシ、又は−O(CH22であり;そして
qは、1〜6の整数であり;そして
22は、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、−OR23、又は−COR24であるが、ここで、
23は、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルケニル、置換若しくは非置換フェニル、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル、フェノキシ−(C〜C)−アルキル、カルボニル−(C〜C)−アルキル、カルボニル−(C〜C)−アルケニル、カルボニルフェニル、カルボニル−(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル又はカルボニルフェノキシ−(C〜C)−アルキルであり;そして
24は、(C〜C)−アルコキシ、(C〜C)−アルケニルオキシ、置換若しくは非置換フェニルオキシ、フェニル−(C〜C)−アルコキシ、フェノキシ−(C〜C)−アルコキシ、(C〜C)−アルケニルオキシ−(C〜C)−アルコキシ、又は(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルコキシである。]
【0007】
本発明においては、(C〜C)−アルキル基は、直鎖であっても分岐状であってもよく、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルである。同様の論理がアルコキシ基についてもあてはまり、それらはたとえば、メトキシ又はエトキシである。(C〜C)−アルケニル基は、より具体的には、アリルであり、(C〜C)−アルケニル基は、より具体的には、ビニル又はアリルである。
【0008】
(C〜C)−アルケニルにおける置換基は、たとえばハロゲン及びフェニルである。
【0009】
アリールは、より具体的には、フェニル又はナフチルである。フェニル又はフェノキシにおける置換基は、たとえば、ハロゲン、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシル、及びシアノである。
【0010】
−NHSOアリールは、より具体的には、フェニルスルホニルアミノである。ハロゲンは、好ましくは塩素又は臭素である。
【0011】
本発明における好ましい染料混合物は、以下のような式(I)の少なくとも1種の染料を含む:
が、水素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、又はニトロであり;
が、水素、又は塩素であり;
が、水素、塩素、メチル、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ;メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、又はフェニルスルホニルアミノであり;
が、水素、又は塩素であり;
が、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、フェニルエチル、フェノキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、又はアリルであり;
、R及びRがそれぞれ、水素であり;
がメチルであり;そして
nが、0又は1である。
【0012】
本発明における特に好ましい染料混合物は、以下のような式(I)の少なくとも1種の染料を含む:
が、水素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、又はニトロであり;
が、水素、又は塩素であり;
が、水素、メチル、又はアセチルアミノであり;
が、水素、又は塩素であり;
が、水素、メチル、エチル、n−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、フェノキシエチル、シアノエチル、又はアリルであり;
、R及びRがそれぞれ、水素であり;
がメチルであり;そして
nが、0である。
【0013】
本発明における特に好ましい染料混合物は、以下のような式(Ia)の少なくとも1種の染料を含む:
【化3】

[式中、T、T、及びR〜Rはそれぞれ、以下の表において定義されるものである。]
【0014】
【表1】

【0015】
【表2】

【0016】
本発明における好ましい染料混合物は、以下のような式(II)の少なくとも1種の染料を含む:
及びRがそれぞれ独立して、水素、(C〜C)−アルコキシ、又は−O(CH22であるが、ここで
qは、1〜3の整数であり;そして
22は、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、−OR23、又は−COR24であるが、ここで、
23は、水素、又は(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキルであり;そして
24は、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルコキシである。
【0017】
本発明におけるさらに特に好ましい染料混合物は、以下のような式(II)の少なくとも1種の染料を含む:
が、水素、(C〜C)−アルコキシ、又は−O(CH22であるが、ここで
qは、1〜3の整数であり;そして
22は、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、−OR23、又は−COR24であるが、ここで、
23は、水素、又は(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキルであり;そして
24は、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルコキシであり;
そして、
が、水素、(C〜C)−アルコキシ、又は−O(CH22であるが、ここで
qは、1〜3の整数であり;そして
22は、−COR24であり、そして
24は、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルコキシである。
【0018】
本発明におけるさらに極めて特に好ましい染料混合物は、R及びRがそれぞれ、以下の表において定義される式(II)の少なくとも1種の染料を含むが、ここで、*印は、フェニル基への結合を表している:
【0019】
【表3】

【0020】
本発明における極めて特に好ましい染料混合物は、式Ia−11、Ia−23、Ia−24、及び/又はIa−25の染料と共に、式II−1、II−2、II−3、II−8、及び/又はII−1の染料を含む。
【0021】
式Ia−24の染料と式II−3の染料とを含む本発明における染料混合物が、より特に好ましい。
【0022】
本発明における染料混合物には、式(I)及び(II)の染料を、特にはそれぞれ1重量%〜99重量%の量で、より好ましくはそれぞれ20重量%〜80重量%の量で含む。本発明における極めて特に好ましい染料混合物は、式(I)の染料を、30重量%〜45重量%の量で、そして式(II)の染料を、55重量%〜70重量%の量で含む。
【0023】
式(I)の染料:式(II)の染料の好適な比率は、90:10、80:20、75:25、70:30、60:40、55:45、50:50、45:55、40:60、30:70、25:75、20:80、又は10:90である。
【0024】
本発明における染料混合物は、式(I)及び(II)の染料を機械的に混合することによって得ることができる。より具体的には、それらの量を選択して、所望の組成を有する混合物が得られるようにする。
【0025】
式(I)の染料は公知であって、たとえば国際公開第2008/049758号パンフレットに記載されている。同様にして式(II)の染料も公知であって、たとえば、欧州特許出願公開第0 033 583A1号明細書及び欧州特許出願公開第0 397 170A1号明細書に記載されている。
【0026】
本発明における染料混合物は、疎水性材料を染色及び捺染するのに極めて有用であり、得られる染色物及び捺染物は、顕著な色調レベル(level shades)及び高い使用堅牢性を有している。特筆すべきは、特にポリエステル及びポリエステル−エラスタン材料の場合においての、良好な洗濯堅牢性及び接触堅牢性、さらには優れたカラービルドアップ性である。
【0027】
かくして、本発明はさらに、疎水性材料を染色及び捺染するため、すなわち、常法に従って、本発明の染料混合物を着色剤として使用してそのような材料を染色又は捺染するためのプロセスに、本発明の染料混合物を使用することを提供する。
【0028】
上述の疎水性の材料は、合成由来のものであっても、半合成由来のものであってもよい。例としては以下のものが挙げられる:二級セルロースアセテート、セルローストリアセテート、ポリアミド、ポリラクチド、及び特には、高分子量ポリエステル。高分子量ポリエステルからなる材料として特に挙げられるのは、ポリエチレンテレフタレート又はポリトリメチレンテレフタレートをベースとするものである。たとえばポリエステル−綿又はポリエステル−エラスタンのような混紡の布地及び混紡繊維もまた可能である。その疎水性合成材料は、自立式のフィルム/シートの形態、又は布地の形状若しくは糸の形状のものとして存在させることが可能であり、また、加工してヤーン又は織布若しくは編布に加工されたものであってもよい。繊維質織物材料が好ましく、それらはたとえばミクロ繊維の形態で存在していてもよい。
【0029】
本発明によって提供される用途における染色は、常法に従って、好ましくは水性分散体から、好ましくはキャリヤーの存在下に、吸尽プロセスによって80〜約110℃の間で、又はHTプロセスによって染色オートクレーブ中110〜140℃で、さらには、染液を用いて布地をパジングし次いで約180〜230℃で固着/セットさせる、いわゆる熱固着プロセスによって実施することができる。
【0030】
上述の材料の捺染は、本発明の染料混合物を捺染糊の中に組み入れ、それを用いて捺染すべき布地を、180〜230℃の間の温度でHTスチーム、高圧スチーム、又は乾熱を用い、適切であればキャリヤーの存在下に処理して染料を固着させることにより、自体公知の方法で実施することができる。
【0031】
本発明の染料混合物は、それらを染液、パジング液、又は捺染糊の中で使用する場合には、きわめて微細分散状態とするべきである。それらの染料は常法に従って、それらを液状媒体中、好ましくは水中で分散剤とともにスラリー化させ、その混合物に剪断力の作用を与えて、元々存在していた染料粒子を機械的に微粉化させて、最適な比表面積が得られ染料の沈降が最小となるようにすることによって、微細分散状態とする。これは、適切なミル、たとえばボールミル又はサンドミル中で実施される。染料の粒径は一般に、0.5〜5μmの間、好ましくは約1μmである。
【0032】
ミリング操作において使用される分散剤は、ノニオン性であってもアニオン性であってもよい。ノニオン性分散剤はたとえば、アルキレンオキシドたとえばエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと、アルキル化可能な化合物たとえば脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪酸、フェノール、アルキルフェノール及びカルボキサミドとの反応生成物などである。アニオン性分散剤はたとえば、リグノスルホネート、アルキル−若しくはアルキルアリールスルホネート、又はアルキルアリールポリグリコールエーテルスルフェートなどである。
【0033】
そのようにして得られた染料調製物は、ほとんどの用途では、流し込みが可能となるようにするべきである。したがって、染料と分散剤の含量は、それらの場合においては制限される。一般的には、その分散体は、50重量パーセントまでの染料含量、そして約25重量パーセントまでの分散剤含量となるように調節する。経済的な理由から、染料含量は多くの場合、15重量パーセント以上である。
【0034】
分散体には、さらなる助剤が含まれていてもよいが、そのようなものとしてはたとえば、酸化剤として機能するものたとえばm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、又は殺かび剤たとえばナトリウムo−フェニルフェノキシド及びナトリウムペンタクロロフェノキシド、特にいわゆる「酸供与体」たとえば、ブチロラクトン、モノクロロアセトアミド、クロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸のナトリウム塩、モノスルフェートエステルたとえば、ラウリルスルフェート、並びにエトキシル化及びプロポキシル化アルコールの硫酸エステルたとえば、ブチルグリコールスルフェートなどが挙げられる。
【0035】
このようにして得られた染料分散体は、染液及び捺染糊を製造するには極めて好適である。
【0036】
粉体の調製物が好ましいような、ある種の用途分野も存在する。そのような粉体には、染料、分散剤及びその他の助剤、たとえば、濡れ剤、酸化剤、保存剤及び防塵加工剤、並びに上述の「酸供与体」などが含まれる。
【0037】
粉末状の染料調製物を製造するための好適な方法は、上述の液状染料分散体から、それらの液をたとえば真空乾燥、凍結乾燥、又はドラム乾燥器上の乾燥によってストリッピングさせることからなるが、噴霧乾燥によるのが好ましい。
【0038】
それらの染液は、必要量の上述の染料調製物を、染色媒体、好ましくは水を用いて希釈して、5:1から50:1までの染色のための液比が得られるようにすることによって製造される。さらに、一般的にはその液に対して、さらなる染色助剤、たとえば分散剤、濡れ剤、及び固着助剤を添加するのが普通である。有機酸及び無機酸、たとえば酢酸、コハク酸、ホウ酸又はリン酸を加えて、pHを4〜5、好ましくは4.5に設定する。pHの設定を緩衝化させるのが有利であり、充分な量の緩衝系を添加する。酢酸/酢酸ナトリウムの系が、有利な緩衝系の一例である。
【0039】
織物の捺染においてその染料混合物を使用するために、必要量の上述の染料調製物を、増粘剤たとえばアルギン酸アルカリ金属など、及び場合によっては、さらなる添加物たとえば固着促進剤、濡れ剤、及び酸化剤と共に、常法に従って混練して捺染糊を得る。
【0040】
本発明はさらに、インクジェットプロセスによるデジタル織物捺染のためのインキも提供するが、前記インキには本発明における染料混合物が含まれる。
【0041】
本発明のインキは、水性であるのが好ましく、本発明の染料混合物を、インキの全重量を基準にして、たとえば0.1重量%〜50重量%の範囲の量、好ましくは1重量%〜30重量%の範囲の量、より好ましくは1重量%〜15重量%の範囲の量で含む。それらには、より具体的には、0.1重量%〜20重量%の分散剤を含む。好適な分散剤は当業者には公知であって、市場で入手することができ、たとえば以下のようなものが挙げられる:スルホン化若しくはスルホメチル化リグニン、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合反応生成物、場合によっては置換されたフェノールとホルムアルデヒドとの縮合反応生成物、ポリアクリレート及び対応するコポリマー、改質ポリウレタン、並びに、アルキレンオキシドと、アルキル化可能な化合物、たとえば脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪酸、カルボキサミド及び場合によっては置換されたフェノールとの反応生成物。
【0042】
本発明によるインキには、慣用される添加剤をさらに含んでいてもよく、たとえば粘度調整剤を用いて、温度範囲20〜50℃における粘度を1.5〜40.0mPasの範囲とする。好ましいインキは1.5〜20mPasの範囲の粘度を有し、特に好ましいインキは1.5〜15mPasの範囲の粘度を有する。
【0043】
適切な粘度調整剤は、レオロジー添加物たとえば、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン、及びさらにはそれらのコポリマー、ポリエーテルポリオール、連合増粘剤、ポリウレア、アルギン酸ナトリウム、変性ガラクトマンナン、ポリエーテルウレア、ポリウレタン、及びノニオン性セルロースエーテルなどである。
【0044】
さらなる添加物としては、本発明によるインキには、表面張力を20〜65mN/mの範囲に設定するための界面活性剤を含んでいてもよいが、それらは、適切であれば、使用されるプロセス(加熱式、ピエゾ式)に応じて合わせる。
【0045】
適切な界面活性剤は、たとえば、各種の界面活性剤、好ましくはノニオン性界面活性剤のブチルジグリコール及び1,2−ヘキサンジオールなどである。
【0046】
このインキには、通常使用される添加物たとえば真菌や細菌の成長を抑制するための物質を、インキの全重量を基準にして0.01重量%〜1重量%の量でさらに含んでいてもよい。
【0047】
本発明によるインキは、常法に従って水中でそれらの成分を混合させることによって得ることができる。
【実施例】
【0048】
実施例1
a)50部の染料(Ia−24)を、
【化4】

50部の染料(II−3)と機械的に混合する。
【化5】

【0049】
次いで、その混合物を、100部の高温で安定な分散剤と共に40%の水性懸濁液として、その粒径(直径)が0.1〜5マイクロメートルのサイズになるまで摩砕する。
【0050】
この分散体は、99.7部の「希釈剤(cutting agent)」を添加し、いずれも粉体の形態で噴霧乾燥器中で乾燥させることによって、25%の染料混合物と70%の分散剤とを含む固形製品として標準化する。
【0051】
b)a)に従って得られた染料混合物の2gを、40〜50℃で100mLの水の中に分散させる。11.5mLのこの水性分散体、57.5mLの脱イオン水、及び1.2mLの緩衝溶液(pH=4.5)から染浴を調製し、5gのポリエステル片を入れる。Werner Mathis高温染色機の中で、その染浴を加熱して130℃とし、130℃で45分間維持する。水を用いたすすぎと還元洗浄の後では、そのポリエステル材料は、優れた洗濯堅牢性を持つルビーレッドの色相を有している。この混合物で特に興味を引く性質は、ポリエステル及びポリエステルミクロ繊維上での優れたビルドアップ挙動である。ポリエステルミクロ繊維は、通常のポリエステルと比肩できる色濃度を与えるためには、比例的に多量の混合物を必要とする。
【0052】
同様にして実施例1を繰り返して、本発明による実施例2〜20の染料混合物を得て、ポリエステル染色させるのにそれらを使用する。以下の表では、全染料含量を基準にしたそれぞれの染料を重量%で示している。
【0053】
【表4】

【0054】
実施例21
ポリエステルからなる織布を、50g/Lの8%アルギン酸ナトリウムの溶液、100g/Lの8〜12%イナゴマメ粉エーテル溶液、及び5g/Lのリン酸一ナトリウム(水中)からなる液を用いてパジングして(pad−mangles)から、乾燥させる。湿時ピックアップは70%である。
【0055】
そのようにして前処理された織物を、先に説明したようにして調製し、以下のものを含む水性インキを用い、ドロップ・オン・デマンド(ピエゾ)インクジェット印刷ヘッドを使用して染色する:
3.5%の実施例1の染料、
2.5%のDisperbyk190分散剤、
30%の1,5−ペンタンジオール、
5%のジエチレングリコールモノメチルエーテル、
0.01%のMergal K9N殺生剤、
58.99%の水
(ドロップ・オン・デマンド(ピエゾ)インクジェット印刷ヘッドを使用)。捺染物は完全に乾燥させる。過熱水蒸気の手段を用い175℃で7分間の加熱により固着させる。次いでその染色物を、アルカリ性の還元洗浄にかけ、温水ですすいでから、乾燥させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料混合物であって、式(I)の少なくとも1種の染料、
【化1】

及び式(II)の少なくとも1種の染料を含む、染料混合物。
【化2】

[式中、
は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、−SCN、−SOCH、又はニトロであり;
は、水素、又はハロゲンであり;
は、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ハロゲン、−NHCHO、−NHCO(C〜C)−アルキル、−NHCOアリール、−NHSO(C〜C)−アルキル、又は−NHSOアリールであり;
は、水素、又はハロゲンであり;
は、水素、(C〜C)−アルキル、シアノ−、(C〜C)−アルコキシ−、フェノキシ−若しくはフェニル−置換の(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルケニル、又は置換(C〜C)−アルケニルであり;
は、水素又はメチルであり;
は、メチル又はエチルであり;
は、水素又はメチルであり;
は、水素又はメチルであり;
nは、0、1、2又は3であり;
及びRはそれぞれ独立して、水素、(C〜C)−アルコキシ、(C〜C)−アルケニルオキシ、又は−O(CH22であり;そして
qは、1〜6の整数であり;そして
22は、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、−OR23、又は−COR24であるが、ここで、
23は、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルケニル、置換若しくは非置換フェニル、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル、フェノキシ−(C〜C)−アルキル、カルボニル−(C〜C)−アルキル、カルボニル−(C〜C)−アルケニル、カルボニルフェニル、カルボニル−(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキル又はカルボニルフェノキシ−(C〜C)−アルキルであり;そして
24は、(C〜C)−アルコキシ、(C〜C)−アルケニルオキシ、置換若しくは非置換フェニルオキシ、フェニル−(C〜C)−アルコキシ、フェノキシ−(C〜C)−アルコキシ、(C〜C)−アルケニルオキシ−(C〜C)−アルコキシ、又は(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルコキシである。]
【請求項2】
が、水素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、又はニトロであり;
が、水素、又は塩素であり;
が、水素、塩素、メチル、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ;メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、又はフェニルスルホニルアミノであり;
が、水素、又は塩素であり;
が、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、フェニルエチル、フェノキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、又はアリルであり;
、R及びRがそれぞれ、水素であり;
がメチルであり;そして
nが、0又は1である、
式(I)の少なくとも1種の染料を含む、請求項1に記載の染料混合物。
【請求項3】
が、水素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、又はニトロであり;
が、水素、又は塩素であり;
が、水素、メチル、又はアセチルアミノであり;
が、水素、又は塩素であり;
が、水素、メチル、エチル、n−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、フェノキシエチル、シアノエチル、又はアリルであり;
、R及びRがそれぞれ、水素であり;
がメチルであり;そして
nが、0である、
式(I)の少なくとも1種の染料を含む、請求項1に記載の染料混合物。
【請求項4】
式(Ia)の少なくとも1種の染料を含む、請求項1に記載の染料混合物。
【化3】

[式中、T、T、及びR〜Rはそれぞれ、以下の表において定義されるものである。]
【表1】

【表2】

【請求項5】
及びRがそれぞれ独立して、水素、(C〜C)−アルコキシ、又は−O(CH22であるが、ここで
qは、1〜3の整数であり;そして
22は、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、−OR23、又は−COR24であるが、ここで、
23は、水素、又は(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキルであり;そして
24は、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルコキシである、
式(II)の少なくとも1種の染料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染料混合物。
【請求項6】
が、水素、(C〜C)−アルコキシ、又は−O(CH22であり
[式中、
qは、1〜3の整数であり;そして
22は、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、−OR23、又は−COR24であるが、ここで、
23は、水素、又は(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルキルであり;そして
24は、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルコキシである];
そして、
が、水素、(C〜C)−アルコキシ、又は−O(CH22である
[式中、
qは、1〜3の整数であり;そして
22は、−COR24であり、そして
24は、(C〜C)−アルコキシ−(C〜C)−アルコキシである]、
式(II)の少なくとも1種の染料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染料混合物。
【請求項7】
及びRがそれぞれ、次の表において定義されるものであり、そして*印が、フェニル基への結合を表している、式(II)の少なくとも1種の染料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染料混合物。
【表3】

【請求項8】
式Ia−11、Ia−23、Ia−24及び/又はIa−25の染料と、式II−1、II−2、II−3、II−8及び/又はII−1の染料とを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の染料混合物。
【請求項9】
疎水性材料を染色又は捺染するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の染料混合物の使用。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の染料混合物を含む、インクジェットプロセスによるデジタル織物捺染のためのインキ。

【公表番号】特表2013−502474(P2013−502474A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525148(P2012−525148)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061821
【国際公開番号】WO2011/020789
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(312011224)ダイスター・カラーズ・ディストリビューション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】