説明

分注装置および分注装置における吐出状態判定方法

【課題】分岐後の何れかの流路において発生した目詰まりを即時に発見することができる分注装置および分注装置における吐出状態判定方法を提供する。
【解決手段】1つの加圧容器2と接続された送液管4から分岐した複数の分岐管9において詰り等の吐出障害が生じた場合、送液管4における流量の変化として瞬時に表れることに着目し、送液管4に設けた1つの流量検出部50で検出した流量に基づいて分岐管9における吐出障害を即時に発見するようにした。また、複数の分岐管9を単独で開いた場合の流量や所定の組み合わせで開いた場合の流量に基づいて特定の分岐管9における吐出障害をも発見することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を複数のウェルに分注する分注装置および分注装置における吐出状態判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体を複数のウェルに分注する分注装置は、一般に単数の液体供給源(容器)から延びる流路を途中で複数の流路に分岐させ、圧送によって液体供給源から各流路に分配された液体を各流路の末端に設けられたノズルからウェルに向けて吐出する構成を採用している(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平5−126690号公報
【特許文献2】特開平7−103986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に流路の目詰まり等の流通状態の不具合は流路内の圧変化に基づいて判定することができるが、分岐後の何れかの流路において目詰まり等が発生した場合であっても圧の絶対的な変化量は微小であり、また圧センサの位置によって応答時間に遅れが生じることがあり、例えば目詰まりの発生を即時に発見することは困難である。
【0004】
そこで本発明は、分岐後の何れかの流路において発生した目詰まりを即時に発見することができる分注装置および分注装置における吐出状態判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の分注装置は、液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置であって、全てのバルブを開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する第1の流量検出手段と、第1の流量検出手段によって検出された流量と全てのノズルから吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量とを比較して液体の吐出状態を判定する第1の判定手段と、各バルブを単独で開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する第2の流量検出手段と、第2の流量検出手段によって第2の流路毎に検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する第2の判定手段を備えた。
【0006】
請求項2に記載の分注装置は、液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置であって、全てのバルブを開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する第1の流量検出手段と、第1の流量検出手段によって検出された流量と全てのノズルから吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量とを比較して液体の吐出状態を判定する第1の判定手段と、開いた状態にする同数のバルブの組合せを変更しながら液体の流量を流量検出部によって検出する第2の流量検出手段と、第2の流量検出手段によって全ての組合せについて検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する第2の判定手段を備えた。
【0007】
請求項3に記載の分注装置における吐出状態判定方法は、液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置において、全てのバルブを開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、流量検出部によって検出された流量と全てのノズルから吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量とを比較する工程と、全てのバルブを開いた状態で検出された流量が前記設定流量に対し所定量以上少ない場合に各バルブを単独で開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、第2の流路毎に検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する工程を含む。
【0008】
請求項4に記載の分注装置における吐出状態判定方法は、液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置において、全てのバルブを開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、流量検出部によって検出された流量と全てのノズルから吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量とを比較する工程と、全てのバルブを開いた状態で検出された流量が前記設定流量に対し所定量以上少ない場合に開いた状態にする同数のバルブの組合せを変更しながら液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、全ての組合せについて検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する工程を含む。
【0009】
請求項5に記載の分注装置における吐出状態判定方法は、液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置において、分注動作回数もしくは時間が所定回数または所定時間を上回ると各バルブを単独で開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、第2の流路毎に検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する工程を含む。
【0010】
請求項6に記載の分注装置における吐出状態判定方法は、液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置において、分注動作回数もしくは時間が所定回数または所定時間を上回ると開いた状態にする同数のバルブの組合せを変更しながら液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、全ての組合せについて検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する工程を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1つの液体供給源と接続された第1の流路から分岐した複数の第2の流路において詰り等の吐出障害が生じた場合、第1の流路に設けた1つの流量検出部で検出した流量に基づいて第2の流路における吐出障害を即時に発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。最初に図1を参照して分注装置
の構成について説明する。加圧容器2は分注装置1において分注される液状の液体を収容する容器であり、加圧ポンプ3によって容器内を加圧することで送液管4に液体を圧送する機能を備えている。送液管4には流量センサ5を備えた流量検出部50が設けられており、流量センサ5から増幅器6を経て送信された電気信号をコンピュータ7が演算処理することで液体の流量を検出する。マニホールド8は送液管4によって圧送されてきた液体を複数の分岐管9に分岐する分岐部としての機能を備えている。各分岐管9にはそれぞれ独立して開閉自在なバルブ10が設けられており、コンピュータ7から制御指令を受けたバルブコントローラ11によって任意のバルブ10の開閉が行われる。各分岐管9の先端部には液体の吐出部として機能するノズル12が設けられている。
【0013】
以上の構成において、加圧容器2と加圧ポンプ3は分注装置1において液体を供給する液体供給源であり、送液管4は液体供給源と接続された第1の流路であり、複数の分岐管9は分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路である。
【0014】
なお、本実施の形態では流量検出部50として流量センサ5を送液管4に直接装着した例を示しているが、図9のように送液管4の途中に測定用流路42とこれを迂回するバイパス流路41を設け、測定用流路42に流量センサ5を取り付けた構成でもよい。測定量流路42を流れる液体の流量はバイパス流路41を流れる液体の流量よりも少なく設定されている。このため、流量センサ5には流量の検出範囲は狭いが分解能の高いタイプのものを使用することができる。
【0015】
次に図2を参照してコンピュータの構成について説明する。演算処理部20はプログラム記憶部21に記憶された制御プログラムに従って分注装置1の動作制御を司る。プログラム記憶部21は、通常運転プログラム21a、状態判定プログラム21b、確認運転プログラム21c、詰り検出プログラム21dの4つの制御プログラムを記憶している。データ記憶部22は制御プログラムで用いられる液体の流量の許容等の制御パラメータを記憶している。このうち通常運転プログラム21aは分注装置1における分注動作を司るメインプログラムであり、状態判定プログラム21b、確認運転プログラム21c、詰り検出プログラム21dは通常運転プログラム21aにおいて起動されるサブプログラムである。
【0016】
流量読取り部23は流量センサ5から増幅器6を経て出力された電圧を読取り、電圧の大きさに応じた流量を出力する。バルブ駆動部24は制御プログラムに従って複数のバルブ10の開閉制御を行う。操作・入力部25および表示部26はオペレータと分注装置1との間で情報のやり取りを行うためのインターフェイスであり、オペレータは操作・入力部25によって分注装置1の起動や操作、データ入力等を行い、表示部26によって分注装置1における運転状態に関する情報を取得する。
【0017】
以上の構成において、演算処理部20は液体の吐出状態を判定する第1の判定手段であるとともに詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する第2の判定手段として機能し、流量読取り部23は液体の流量を流量検出部50によって検出する流量検出手段として機能する。
【0018】
次に分注装置における分注動作について説明する。分注装置1は図3に示すフローチャートに従って通常運転プログラム21aを実行する。通常運転プログラム21aを起動すると、最初に動作カウントをi=0に設定する(ST1)。次に全てのバルブ10を開いて全てのノズル12から液体を吐出する(ST2)。このとき送液管4を圧送された液体の流量を流量読取り部23によって読取る(ST3)。バルブ10が開いてから所定時間経過したら全てのバルブ10を閉じる(ST4)。次に状態判定プログラム21bを実行し(ST5)、液体の吐出状態を判定する(ST6)。
【0019】
分注装置1は図4に示すフローチャートに従って状態判定プログラム21bを実行する。状態判定プログラム21bを起動すると、設定値と出力値(ST3で読取った流量)から相対誤差Eを求め(ST6a)、許容値Tcとの比較によって吐出状態の正常または異常の判定を行う(ST6b)。この設定値は1回の吐出動作において全てのノズル12から吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量であり、全ての分岐管9において詰りのない正常な状態を想定して設定したものである。
【0020】
相対誤差Eが許容値Tcを下回っている場合は、送液管4を圧送された液体の流量、すなわち全てのノズル12から吐出された液体の総量が設定流量と同量もしくは略同量であるということであり、このことから全ての分岐管9に詰り等の吐出障害が生じていないと判断することができる。従って、この場合は液体の吐出状態は正常と判定する。一方、相対誤差Eが許容値Tcを上回っている場合は、送液管4を圧送された液体の流量、すなわち全てのノズル12から吐出された液体の総量が設定流量に比べ所定量以上少ないということであり、このことから何れかの分岐管9に詰り等の吐出障害が生じているか、もしくはその可能性が高いと判断することができる。従って、この場合は液体の吐出状態は異常と判定する。
【0021】
吐出状態が正常であると判定されると動作カウントをカウントアップする(ST7)。カウントアップ後の動作カウント数が予めデータ記憶部22に記憶させた設定数に到達していなければ分注動作を継続し、設定数に到達した時点で通常運転プログラム21aを終了し、分注動作を停止する。一方、吐出状態が異常であると判定されると確認運転プログラム21cを起動する(ST8)。
【0022】
分注装置1は図5に示すフローチャートに従って確認運転プログラム21cを実行する。この制御プログラムでは、図6に示すように組合番号(j)毎にそれぞれ異なる分岐管9を1つずつ割り当てた組合表が用いられる。組合表はデータ記憶部22に予め記憶しており、それぞれの組合番号(j)に対する出力値(C(j)q)を関連付けて記憶できるようになっている。確認運転プログラム21cを起動すると、最初に組合番号(j=1)を選択し(ST9)、これに対応する分岐管9に設けられたバルブ10のみを開いた状態にし、他のバルブ10を全て閉じる。次に加圧ポンプ3を駆動し、バルブ10を開いた状態にした単独のノズル12から液体を吐出する(ST10)。このとき送液管4を圧送された液体の流量を流量読取り部23によって読取り(ST11)、出力値(C(j=1)q)としてデータ記憶部22に記憶する(ST12)。ここまでの動作で組合番号(j=1)に関する確認動作が終了し、次に組合番号(j=2)について同様の確認動作を実行する(ST13)。これによりバルブ10を開いた状態にした分岐管9を変更しながら確認動作を実行し、全ての組合番号(j=1、2・・・・)について出力値(C(j=1、2・・・)q)の記憶が完了すると、詰り検出プログラム21dを起動する(ST14)。
【0023】
組合表は図6に示す組合番号(j)毎にそれぞれ異なる分岐管9を1つずつ割り当てたものに限らず、図7に示す組合表のようにそれぞれ組み合わせの異なる分岐管9を2つずつ組合番号(j)毎に割り当てたものであってもよく、さらに組み合わせる分岐管9の数は2つに限定されることはない。この場合、組合番号(j)毎に開いた状態にする同数のバルブ10の組合せを変更しながら確認動作を実行することになる。このように複数のバルブ10を同時に開いた状態にするのは、1つの分岐管9を流れる液体の量が極端に小さい場合には送液管4に設けられた流量センサ5によって流量を正確に読取ることが困難であり、この場合は複数のノズル12から同時に吐出することで流量を読取り可能な数値にまで嵩上げすることが有効だからである。
【0024】
分注装置1は図8に示すフローチャートに従って詰り検出プログラム21dを実行する。この制御プログラムでは、確認運転プログラム21cによってデータ記憶部22に記憶された出力値(C(j=1、2・・・)q)が用いられる。詰り検出プログラム21dを起動すると、最初に組合番号(j=1)を選択し(ST15)、これに対応する出力値(C(j=1)q)と設定値との比較を行う(ST16)。この設定値は1つのノズル12から吐出されるべき液体の設定流量であり、分岐管9に詰りのない正常な状態を想定して設定したものである。出力値(C(j=1)q)が設定値を下回っている場合は異常と認定し、(ST17)、それ以外の場合は正常と認定する(ST18)。組合番号(j=1)以降の全ての組合番号(j=2・・・・)についても同様に出力値(C(j=2・・・)q)と設定値との比較を行い(ST19)、吐出状態が異常と判定された組合番号(j)に対する分岐管9を特定し(ST20)、表示部26に結果表示する(ST21)。これで詰り検出プログラム21dが終了し、上位プログラムである確認運転プログラム21cも終了する。
【0025】
図6に示す組合表において例えば設定値が290であれば、組合番号(j=3)に対する出力値180はこれを下回るので組合番号(j=3)に割り当てられた分岐管9が吐出状態が異常であるとして結果表示される。オペレータは結果表示に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある分岐管9についてノズル12も含めて検査を行い、吐出障害の程度によって調整や補修、もしくは分岐管やノズルの交換等の事後処理を行う。事後処理を終えたならば、当該分岐管9について再度確認運転を行い、吐出状態が正常になっていることを確認する。
【0026】
なお、表示部26には出力値(C(j)q)が異常であると判定された分岐管9を特定して表示するだけでもよいが、全ての組合番号(j=1、2・・・)についての出力値(C(j=1、2・・・)q)を表示するようにしてもよい。例えば図6に示す組合表を表示し、出力値(C(j=1、2・・・)q)に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある分岐管9をオペレータ自身が特定することも可能である。この場合、設定値と個々の出力値(C(j=1、2・・・)q)を比較するのではなく、相対的に小さい出力値180を示す組合番号(j=3)に割り当てられた分岐管9を詰りを生じているまたはその可能性のある分岐管9として特定することになる。
【0027】
図7に示すようにそれぞれ組み合わせの異なる分岐管9を2つずつ組合番号(j)毎に割り当てた組合表を用いた場合は、設定値は分岐管9に詰りのない正常な状態において2つのノズル12から吐出されるべき液体の量を想定して設定し、この設定値と組合番号(j=1)に対応する出力値(C(j=1)q)との比較を行う(ST16)。例えば設定値が580であれば、組合番号(j=2、3)に対する出力値490、475はこれを下回るので組合番号(j=2、3)に共通して割り当てられた分岐管9が吐出状態が異常であるとして結果表示される。
【0028】
なお、通常運転プログラム21aにおいて、流量の読取り(ST3)から吐出状態判定(ST6)までの工程を省略し、分注動作回数もしくは時間が所定回数または所定時間を上回ったときに確認運転プログラム21cを起動するように動作制御することも可能である。分岐管9やノズル12の形状やサイズ、液体の種類によっては詰り等の吐出障害が起こりにくい条件化で分注動作が行われる場合があり、このような条件化で一回の分注動作毎に吐出状態の判定を行うことは生産効率の観点から好ましくない。従って、より精密に吐出状態を把握したい場合には一回の分注動作毎に吐出状態の判定を行い、生産効率を重視する場合にはこれを省くことで、生産条件に適した分注動作を実現することができる。
【0029】
このように本発明は、1つの液体供給源と接続された第1の流路から分岐した複数の第2の流路において詰り等の吐出障害が生じた場合、第1の流路における流量の変化として
瞬時に表れることに着目し、第1の流路に設けた1つの流量検出部で検出した流量に基づいて第2の流路における吐出障害を即時に発見するように構成している。また、複数の第2の流路を単独で開いた場合の流量や所定の組み合わせで開いた場合の流量に基づいて特定の第2の流路における吐出障害をも発見することを可能にしている。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、1つの液体供給源と接続された第1の流路から分岐した複数の第2の流路において詰り等の吐出障害が生じた場合、第1の流路に設けた1つの流量センサで検出した流量に基づいて第2の流路における吐出障害を即時に発見することができるという効果を奏し、薬液や培養液等の液体を複数のウェルに連続して分注する分野において特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態の分注装置の全体構成図
【図2】本発明の実施の形態の分注装置の制御構成図
【図3】本発明の実施の形態の分注装置における通常運転時のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態の分注装置における吐出状態判定時のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態の分注装置における確認運転時のフローチャート
【図6】本発明の実施の形態の分注装置における確認運転時に用いる組合表を示す図
【図7】本発明の実施の形態の分注装置における確認運転時に用いる組合表を示す図
【図8】本発明の実施の形態の分注装置における詰り検出時のフローチャート
【図9】本発明の実施の形態の分注装置における流量検出部の変形例を示す図
【符号の説明】
【0032】
1 分注装置
2 加圧容器
3 加圧ポンプ
4 送液管
5 流量センサ
8 マニホールド
9 分岐管
10 バルブ
12 ノズル
20 演算処理部
23 流量読取り部
50 流量検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置であって、
全てのバルブを開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する第1の流量検出手段と、第1の流量検出手段によって検出された流量と全てのノズルから吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量とを比較して液体の吐出状態を判定する第1の判定手段と、各バルブを単独で開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する第2の流量検出手段と、第2の流量検出手段によって第2の流路毎に検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する第2の判定手段、を備えた分注装置。
【請求項2】
液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置であって、
全てのバルブを開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する第1の流量検出手段と、第1の流量検出手段によって検出された流量と全てのノズルから吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量とを比較して液体の吐出状態を判定する第1の判定手段と、開いた状態にする同数のバルブの組合せを変更しながら液体の流量を流量検出部によって検出する第2の流量検出手段と、第2の流量検出手段によって全ての組合せについて検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する第2の判定手段、を備えた分注装置。
【請求項3】
液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置において、
全てのバルブを開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、流量検出部によって検出された流量と全てのノズルから吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量とを比較する工程と、全てのバルブを開いた状態で検出された流量が前記設定流量に対し所定量以上少ない場合に各バルブを単独で開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、第2の流路毎に検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する工程、を含む分注装置における吐出状態判定方法。
【請求項4】
液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置において、
全てのバルブを開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、流量検出部によって検出された流量と全てのノズルから吐出されるべき液体の総量より導かれた設定流量とを比較する工程と、全てのバルブを開いた状態で検出された流量が前記設定流量に対し所定量以上少ない場合に開いた状態にする同数のバルブの組合せを変更しながら液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、全ての組合せについて検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する工程、を含む分注装置における吐出状態判定方法。
【請求項5】
液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置において、
分注動作回数もしくは時間が所定回数または所定時間を上回ると各バルブを単独で開いた状態での液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、第2の流路毎に検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する工程、を含む分注装置における吐出状態判定方法。
【請求項6】
液体供給源と接続された第1の流路と、第1の流路に設けられた流量検出部と、第1の流路を複数の流路に分岐する分岐部と、分岐部から分岐された流路の端部に液体の吐出部を有する複数の第2の流路と、複数の第2の流路をそれぞれ開閉する複数のバルブ、を備え、液体供給源に貯えられた液体を複数の吐出部から吐出する分注装置において、
分注動作回数もしくは時間が所定回数または所定時間を上回ると開いた状態にする同数のバルブの組合せを変更しながら液体の流量を流量検出部によって検出する工程と、全ての組合せについて検出された流量に基づいて詰りを生じているまたはその可能性のある第2の流路を特定する工程、を含む分注装置における吐出状態判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−74824(P2009−74824A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241870(P2007−241870)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】