説明

分注量の自動補正方法及びその機能を有する分注装置

【課題】ピストンとシリンダのシール部材の交換だけでは分注精度を復元することが困難な場合でも、分注精度を維持できるようにする。
【解決手段】吸光度の測定が可能な溶液を用意し、該溶液を所定容器に分注した1又は2以上の定量の溶液について吸光度を測定し、測定された吸光度に基づいて基準データ(直線O)を作成すると共に、任意の設定分注量を目標に自動分注を行うピペットにより、前記溶液の分注を同種容器に実行し、設定分注量に対して分注された実分注量の溶液について吸光度を測定し、測定された実測吸光度(0.712)と、設定分注量について前記基準データから求まる基準吸光度(0.747)との差から、該設定分注量に対する分注補正量を予め求め、前記ピペットにより液体試料について設定分注量の分注を行なう際、前記分注補正量分の補正を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注量の自動補正方法及びその機能を有する分注装置、特に長期にわたって分注精度を維持する際に適用して好適な、分注量の自動補正方法及びその機能を有する分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分注装置においては、検体や試薬等の液体を試薬が固定されているマイクロプレート(試薬プレート)に分注するためのピペット(分注機)が装備され、特にEIA法(酵素免疫測定法)分析装置には、検査結果を測定するための分光分析装置も装備されている。
【0003】
上記ピペットとしては、例えば特許文献1に図7に模式的に示すものが開示されている。これは、主にピストン100、シリンダ102、ピストン100とシリンダ102との間の気密を保持するためのOリング等のシール部材(図示せず)、ピストン100を駆動するための部材、ステッピングモータ等のピストン駆動手段104、及びピペットにチップ106を接続するためのノズル部分(詳細省略)108から構成されている。
【0004】
又、このピペットは図示しない制御部と電気的に接続されており、該制御部により検体、試薬等の注入・吐出動作が制御される。即ち、ピストン100が吸引動作を行なうと、シリンダ102内が負圧となり、検体、試薬等は、ピペットのノズル部分に接続されているチップ106の先端部から吸い込まれ、該チップ106に溜められる。
【0005】
そして、ピストンが吐出動作を行なうと、シリンダ102内が加圧され、チップ106内の検体、試薬等はチップ先端から吐き出される。このとき、分注量はシリンダ内の容積変化量、即ちセンサ110により検出されるピストン100の移動距離(=a0−a1)とシリンダの断面積の積と等しく、ステッピングモータ等のピストン駆動手段104の回転量(移動量)と比例する。
【0006】
従って、必要とする目標の分注量を得るためには、シリンダ102内の容積変化量がそれと等しくなるようにステッピングモータ等104を制御部の指令により回転(移動)させることにより実現される。
【0007】
ところが、ピストンとシリンダとの間のシール部材は、その構造上必然的に摩耗が発生するが、この磨耗が進行すると、シリンダ102の内部と外部との間にリークが発生することになる。
【0008】
このリークは、ピストン100の移動に伴うシリンダ内の負圧、加圧の発生に影響を及ぼすため、分注量にも影響を及ぼすことになる。そのため、定期的にシール部材の交換を行ない、この部品交換により、分注精度を維持しようとすることが行なわれている。
【0009】
【特許文献1】特開平5−288757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の分注装置(EIA法分析装置を含む)に装備されているピペットのように、前記シール部材の交換のみにより分注精度を維持しようという手法では、シール部材の寸法のばらつき、ピストン駆動部分の経年変化及びピストン部分の経年変化等も発生するため、完全に元の分注精度に復元することは困難であるという問題があった。
【0011】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、シール部材の交換だけでは分注精度を復元することが困難な場合でも、分注精度を長期にわたって維持することができる分注量の自動補正方法及び分注装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、吸光度の測定が可能な溶液を用意し、該溶液を所定容器に分注した1又は2以上の定量の溶液について吸光度を測定し、測定された吸光度に基づいて基準データを作成すると共に、任意の設定分注量を目標に自動分注を行うピペットにより、前記溶液の分注を同種容器に実行し、設定分注量に対して分注された実分注量の溶液について吸光度を測定し、測定された実測吸光度と、設定分注量について前記基準データから求まる基準吸光度との差から、該設定分注量に対する分注補正量を予め求め、前記ピペットにより液体試料について設定分注量の分注を行なう際、前記分注補正量分の補正を行なうことにより、前記課題を解決したものである。
【0013】
本発明は、又、制御手段によりシリンダ内のピストンを進退動させる駆動手段を制御することにより液体試料を吸・排するピペットが装備された分注装置において、吸光度の測定が可能な溶液を用意し、該溶液を所定容器に分注した1又は2以上の定量の溶液について吸光度を測定し、測定された吸光度に基づいて基準データを作成すると共に、任意の設定分注量を目標に自動分注を行うピペットにより、前記溶液の分注を同種容器に実行し、設定分注量に対して分注された実分注量の溶液について吸光度を測定し、測定された実測吸光度と、設定分注量について前記基準データから求まる基準吸光度との差から、該設定分注量に対する分注補正量を予め求め、求められた分注補正量に関する補正データを前記制御手段に格納しておき、前記ピペットにより液体試料について設定分注量の分注を行なう際、前記補正データに基づいて前記駆動手段を制御し、前記分注補正量分の補正を行なうことにより、同様に前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ピペットによる分注量が経年変化する場合でも、設定分注量を目標に実際に分注した実分注量の誤差を溶液の吸光度を用いて補正することができるようにしたので、部品の交換だけでは分注精度を復元できない場合でも、分注量を正確に補正し維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1には、本発明に係る一実施形態の分注装置10の外観を示す。この分注装置10は、複数のピペット(分注機)12を備え、該ピペット12により検体や試薬等の液体試料をマイクロプレート14に形成されている凹部からなる複数のウェルWに分注するようになっている。
【0017】
上記ピペット12は、図2に拡大して示すように、液体試料を吸・排するためのノズル16と、内側にピストン18が収容されると共に、ノズル16に連通しているシリンダ20とを備えている。
【0018】
上記ピストン18は、上端に送りねじ22が同軸的に取り付けられ、この送りねじ22は、内側に雌ねじが形成されている歯車24に螺合されている。この歯車24には歯車26が噛合され、該歯車26には、ステッピングモータ(駆動手段)28の出力軸が取り付けられている。
【0019】
又、シリンダ20の上端部の内側には、ピストン18及びシリンダ20の摺動部をシールするためのピストンシール(シール部材)18Aが取り付けられている。
【0020】
上記ピペット12は、制御部30により制御されるようになっており、該制御部30により、ステッピングモータ28を駆動制御して歯車26を回転させ、歯車24の回転を介してピストン18を上昇、下降させることにより、液体の吸引、吐出(吸・排)を行なうことができると共に、後述する方法により、分注量の経年変化等を自動的に補正することが可能になっている。
【0021】
本実施形態の分注装置10には、別な設備として図3に模式的に示すような吸光度測定装置が備えられている。
【0022】
この吸光度測定装置は、断面がほぼコ字状のレンズ保持部材40を有し、その上下フレーム40A、40Bの上下方向中間位置に平行に設置されている透明な基板からなる搭載台42上に、マイクロプレート14が載置される。この搭載台42はマイクロプレート14の各ウェルWを上下方向から見れる様に各ウェルWの下部に穴が空けられている。
【0023】
本実施形態では、搭載台42は図のY方向に図示しないモータと制御装置で可動であり、レンズ保持部材40は図の紙面と垂直方向に図示しないモータと制御装置で可動となっている。この搭載台42とレンズ保持部材40が動くことによってマイクロプレート14の全てのウェルWが光ファイバ44Aと44B間に移動可能となっている。
【0024】
マイクロプレート14の上方の上フレーム40Aには、光ファイバ44Aを介して投光器(図示せず)に接続された投光レンズ46が配設されている。又、対向する下フレーム40Bには分光分析装置(図示せず)に光ファイバ44Bを介して接続された受光レンズ48が配設されている。そして、両レンズ46、48間に位置するマイクロプレート14のウェルW内に分注された液体の吸光度の測定が可能になっている。
【0025】
本実施形態では、上記吸光度測定装置を用いて、以下に詳述する原理及び方法により、前記ピペット12の分注時の補正を実現している。
【0026】
まず、吸光度の測定が可能な溶液として、着色剤により着色された水、即ち所定濃度の着色水を用意する。着色剤としては、例えば一般に食紅として使用されているアゾルビンエキストラ(Azo Rubin.Extra)、ブリリアントクリムソンレッド(Brilliant Crimson Red)を使用できる。
【0027】
着色水は着色剤の分量に比例して着色濃度が決定される。又、一定の着色濃度を持つ水を、例えば前記図1、図3に示したような8×12のウェルWが形成されている96ウェルマイクロプレートのような容器に入れると、マイクロプレートのウェル(所定容器)Wを上下方向から見た場合には、ウェルWの水平方向断面積が実質的に一定であるので、着色された水の分量、即ち高さに比例して着色濃度が変化して見える。つまり、着色濃度は同じであっても着色水の量が倍になれば、見掛け上濃度が倍に見える。言い換えれば、着色濃度によって着色水の分量を定量化することができる。
【0028】
そこで、図4にイメージを示すように、マイクロプレート14の空の状態のウェルWには予め着色されていない水を100μlずつ数箇所(図では隣接する7箇所)に定量分注しておく。更に、別な空の状態のウェルW(図では隣接する右端)に着色水を200μl定量分注しておく。この定量分注を行なうには、例えば校正されたハンドヘルドタイプのピペットを使用して正確に行なう。特に着色水は基準になるため、正確に定量分注する。
【0029】
まず、水が100μlずつ定量分注されている上記ウェルに、本実施形態の分注装置10が備えている1つのピペット12を使って着色水を10μl分注する。同様に、別のウェルに着色水を20μl分注する。このように、同一のピペット12により10、20、30、40、50、100μlの各着色水を、図5にイメージを示すように水が定量分注されている前記図4のウェルに順次自動的に分注する。このようにすると、左端のウェルには定量100μlの水のみ、その右方向に順に着色水10μl+水100μl、着色水20μl+水100μl、着色水30μl+水100μl、着色水40μl+水100μl、着色水50μl+水100μl、着色水100μl+水100μl、一番右に着色水200μlがマイクロプレートの各ウェルに入ることになる。
【0030】
その後、マイクロプレートを振盪させ、着色水と水を混合する。均等に混合された着色水が入った各ウェルを、前記図3に示したように、投光レンズ46、受光レンズ48の間に配置し、分光分析装置を使用してその特定波長域における吸光度を測定する。
【0031】
このようにしてマイクロプレート14の該当するウェルを上下方向から分光分析によって測定する吸光度は、着色濃度に比例する。従って、吸光度を比較することにより、ウェルに入っている着色水の分量を相対的に比較し、又定量化することができる。
【0032】
着色されていない水が100μl定量分注してあるウェル及び着色水のみが200μl定量分注してあるウェルの吸光度と、水を定量分注し更に着色水を分注装置のピペット12で自動分注した各ウェルの吸光度を比較する。
【0033】
つまり、水のみが100μl定量分注してあるウェル及び着色水のみが200μl定量分注してあるウェルの各吸光度の測定結果(基準データ)と、着色水と水とを混合した各ウェルの吸光度の測定結果(実測吸光度)とを比例(比較)計算することにより、分注装置のピペット12で自動分注した量を正確に求めることができる。
【0034】
この計算結果と、目標として設定した設定分注量(10、20、30、40、50、100μl)との差が自動分注の誤差量である。各設定分注量毎に分注誤差量を求めておくことにより、各設定分注量における分注誤差を分注補正量とし、前記制御部30に記憶しておく。
【0035】
このようにして求め、記憶した設定分注量毎の補正量を、設定分注量を自動分注する際のステッピングモータ28の回転量(移動量)に換算し、該制御部30から出力する目標指令値にその補正量を加味し、ピストン18の移動量が設定分注量に対する指定分移動量と補正分移動量との加算値になるように、ステッピングモータ28を駆動制御する。
【0036】
以上詳述したステッピングモータに対する駆動制御を残りの各ピペットについても同様に分注補佐量を求めて実行できるようにする。
【0037】
次に、上述した吸光度による補正値(分注補正量)の計算方法について詳細に説明する。
【0038】
水100μl及び着色水200μlの吸光度から各分注量における吸光度を求める。図6に示すように、水100μl及び着色水200μlの吸光度を直線Oで結んだ線上が、各分注量における吸光度の理想値(基準データ)となる。なお、実質的には差はないが、より理想値に近づけるために、着色水200μlの場合も水100μl加えてもよい。
【0039】
基準となる水100μl及び着色水200μlの吸光度、及び水100μl+着色水の各分注量における吸光度は、精度を高めるために複数の操作を実行し、それぞれの平均値を求めたほうが良い。
【0040】
計算では、
1μl当たりの吸光度
=((着色水200μlの吸光度)−(水100μlの吸光度))/200
として求めることができる。
【0041】
このようにして求めた理想(基準)吸光度と、実際に測定した水100μl+着色水分注における実測吸光度との差が分注の誤差量である。この誤差量が理想吸光度の何%に当たるのかを計算し、これを補正量とする。この補正量をピペットによる自動分注時のステッピングモータ等のピストン駆動手段の回転量(移動量)に置き換え、制御部30の指令にその補正量を加味してピストンの移動量を、設定分注量に対する指定分移動量+補正分移動量として分注を行なう。
【0042】
上記図6の例では、
1μl当りの吸光度
=((着色水200μlの吸光度)−(水100μlの吸光度))/200
=(3.002−0.014)/200
=0.01494
となる。
【0043】
50μl分注時の直線O上の理想吸光度は、
0.01494×50=0.747
となり、直線R上の実際の測定データ(実測吸光度)との差、つまり分注誤差量は、
0.747−0.712=0.035
である。これは理想吸光度に対して
0.035/0.712=4.915%
の割合が不足していることとなる。
【0044】
50μl分注時のステッピングモータ回転量を、例えば1000パルスとすると補正分移動量は
1000×4.915%=49.15パルス
となり、1000+49パルスを50μl分注時のステッピングモータ回転量とすれば理想値とおりの分注が可能となる。
【0045】
又は、50μl分注時の理想吸光度に対する実際の分注量(実分注量)における吸光度実測値の割合は
0.712/0.747=95.315%
であるから、50μl分注時のステッピングモータ回転量を例えば1000パルスとすると理想分注量を得るためには、
補正後のステッピングモータ回転量
=1000+1000×100%/95.315%
=1000+49.15=1049パルス
とすればよい。
【0046】
上記のように各設定分注量毎に、理想吸光度に対する、実分注量における吸光度実測値の誤差量の割合を求め、このデータ又はこのデータをステッピングモータ28のピストン駆動手段の回転量(移動量)に置き換えたデータを制御部30に記憶する。又は、理想吸光度に対する各実分注量における吸光度実測値の割合を求め、このデータ又はこのデータをステッピングモータ等のピストン駆動手段の回転量(移動量)に置き換えたデータを制御部30に記憶する。
【0047】
次に、本実施形態において実行される分注量の自動補正機能の手順について説明する。
【0048】
(1)マイクロプレートに無着色及び着色水を校正済みピペットにて定量分注

(2)無着色水が定量分注されているウェルに、分注装置のピペットで着色水を分注(10,20,30,40,50,100μl)

(3)分光分析装置にて吸光度を測定。

(4)定量分注された無着色水と着色水の吸光度から各設定分注量における理想吸光度を計算にて求める。

(5)各設定分注量毎に実分注量における吸光度と理想吸光度の誤差を計算する。
(又は、理想吸光度に対する各実分注量における吸光度実測値の割合を計算する。)

(6)上記の誤差のデータ又は誤差量をステッピングモータ等のピストン駆動手段の回転量(移動量)に置き換えたデータを制御部に記憶する。
(又は、上記の割合のデータ又はこのデータをステッピングモータ等のビストン駆動手段の回転量(移動量)に置き換えたデータを制御部に記憶する。)

(7)制御部に記憶したデータをもとに、分注時のステッピングモータ等のピストン駆動手段の回転量(移動量)を加味し、補正分注する。
【0049】
以上詳述したように、本実施形態によれば、交換したシール部材の寸法のばらつき、ピストン駆動部分の経年変化及びピストン部の経年変化等が発生しても、適宜目標とする設定分注量に対する補正量を求め、それを制御部に記憶し、その補正量に基づいて設定分注量の指令信号に対する補正を行なうことにより、ピペットによる分注量の校正を行なうことが可能となり、元の分注精度を維持することが可能となることから、その精度を悪化させることなく目標量の分注を行なうことが可能となる。
【0050】
なお、前記実施形態の分注装置としては、分注機能を持ったものに吸光度測定機能を付加したものであっても、EIA法分析装置のように、既設の分光分析装置を備えているものであってもよいことは言うまでも無い。
【0051】
又、上記の例では、理想吸光度を無着色水と着色水のみの実測吸光度から一直線にて計算したが、設定分注量に応じたいくつかの点について理想吸光度直線を求めることでより精度を高めることができる。(例えば、分注量を少、中、多の領域に分け、10〜50μl、50〜100μl、100〜200μl等でそれぞれ求める。)又、理想吸光度(基準データ)は直線ではなく曲線で求めるようにしてもよい。
【0052】
又、分注量補正後に、再度同様の手順で吸光度を測定することで、より精度を高めるようにしてもよい。
【0053】
又、吸光度の測定可能な溶液は、紫外域等に吸収特性がある無色のものであってもよい。
【0054】
又、着色剤は、例示した食紅でなくとも、その分量に比例して着色濃度が変わるものであれば制限されない。
【0055】
又、校正されたハンドヘルドタイプのピペット等による着色水、水の定量分注、分注装置(EIA法分析装置を含む)のピペットで分注する着色水の各設定分注量、及び分注量の種類等は、例に上げた数値でなくとも良い。
【0056】
更に、各設定分注量における分注誤差量(分注補正量)は、そのサンプル数を増やしてそれら全てをデータとして記憶しておいても構わないし、いくつかの記憶されたデータから設定分注量に対する分注誤差量の近似曲線を求め、計算により求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る一実施形態の分注装置の概要を示す斜視図
【図2】本実施形態の分注装置が備えているピペットの概略を示す断面図
【図3】本実施形態の分注装置が備えている吸光度測定装置を模式的に示す側面図
【図4】分注量の自動補正のための吸光度測定の手順を示す説明図
【図5】分注量の自動補正のための吸光度測定の手順を示す他の説明図
【図6】分注量と吸光度の関係を示す線図
【図7】従来の分注用ピペットの概要を示す模式図
【符号の説明】
【0058】
10…分注装置
12…ピペット
14…マイクロプレート
16…ノズル
18…ピストン
20…シリンダ
22…送りねじ
24、26…歯車
28…ステッピングモータ
30…制御部
40…レンズ保持部材
42…搭載台
44…光ファイバ
46…投光レンズ
48…受光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸光度の測定が可能な溶液を用意し、該溶液を所定容器に分注した1又は2以上の定量の溶液について吸光度を測定し、測定された吸光度に基づいて基準データを作成すると共に、
任意の設定分注量を目標に自動分注を行うピペットにより、前記溶液の分注を同種容器に実行し、
設定分注量に対して分注された実分注量の溶液について吸光度を測定し、
測定された実測吸光度と、設定分注量について前記基準データから求まる基準吸光度との差から、該設定分注量に対する分注補正量を予め求め、
前記ピペットにより液体試料について設定分注量の分注を行なう際、前記分注補正量分の補正を行なうことを特徴とする分注量の自動補正方法。
【請求項2】
制御手段によりシリンダ内のピストンを進退動させる駆動手段を制御することにより液体試料を吸・排するピペットが装備された分注装置において、
吸光度の測定が可能な溶液を用意し、該溶液を所定容器に分注した1又は2以上の定量の溶液について吸光度を測定し、測定された吸光度に基づいて基準データを作成すると共に、
任意の設定分注量を目標に自動分注を行うピペットにより、前記溶液の分注を同種容器に実行し、
設定分注量に対して分注された実分注量の溶液について吸光度を測定し、
測定された実測吸光度と、設定分注量について前記基準データから求まる基準吸光度との差から、該設定分注量に対する分注補正量を予め求め、
求められた分注補正量に関する補正データを前記制御手段に格納しておき、
前記ピペットにより液体試料について設定分注量の分注を行なう際、前記補正データに基づいて前記駆動手段を制御し、前記分注補正量分の補正を行なうことを特徴とする分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−46979(P2007−46979A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230735(P2005−230735)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】