切り花の運搬用保水花容器
【課題】 サイズの一定しない外箱であっても安定的に収容でき、箱詰め作業も非常に簡単で、しかも、コスト面でも有利な切り花の運搬用保水花容器を提供すること。
【解決手段】 花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
花入れボックス部１の所要箇所に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を設け、このアコーディオン部２を幅方向へ圧縮することにより当該容器本体を外箱Ｂの内側に圧接状態に収容可能とした。
【解決手段】 花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
花入れボックス部１の所要箇所に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を設け、このアコーディオン部２を幅方向へ圧縮することにより当該容器本体を外箱Ｂの内側に圧接状態に収容可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、切り花の運搬用保水花容器の改良、詳しくは、サイズが一定しない外箱であっても安定的に収容することができ、箱詰め作業も簡単で、しかも、コスト面でも有利な切り花の運搬用保水花容器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年における花卉の湿式輸送の代表的な方法の一つとして、切り花を水の入ったプラスチック製容器に挿し、その保水容器ごと切り花を段ボール等の外箱に箱詰めして出荷する方法が広く知られている。
【０００３】
ところが、上記輸送方法においては、出荷する切り花の種類によってはサイズの異なる外箱を使用する必要があるため、使用する外箱によっては保水容器のサイズと合わないことがあり、その際には運搬時の揺れによって容器ごと切り花が外箱内で振動し、その振動の衝撃で切り花が傷付いてしまう憂いがあった。
【０００４】
そのため、外箱と保水容器のサイズが合わない場合には、＜特許文献１＞に示されるように、発砲スチロールやエアクッション等の緩衝材を外箱と保水容器の隙間に詰めて容器の振動による衝撃を解消する手段を講じる必要があったが、出荷する切り花が大量であると緩衝材を詰める作業が箱詰め作業を煩雑化させてしまい、敏速な出荷が難しいという問題があった。
【０００５】
一方、従来においては、＜特許文献２＞にあるような、異なる大きさの収容容器に対応できる台座等の固定手段を外箱の底部に設ける技術も公知となっているが、このような従来技術に係る固定手段を付設した外箱は通常の段ボール箱よりも単価が割高となり、特に外箱は大量に使い捨てする分コストが嵩み易いため、輸送コストの増大が激しかった。
【特許文献１】実公昭５４−５４８号公報（第２頁、第１〜３図）
【特許文献２】特開２００６−４４７２１号公報（第２−１９頁、第１〜２５図）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、サイズの一定しない外箱であっても安定的に収容することができ、箱詰め作業も非常に簡単で、しかも、コスト面でも有利な切り花の運搬用保水花容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者が、上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【０００８】
即ち、本発明は、花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
花入れボックス部１の所要箇所に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を設け、このアコーディオン部２を幅方向へ圧縮することにより当該容器本体を外箱Ｂの内側に圧接状態に収容可能とした点に特徴がある。
【０００９】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス部１の胴部両側にアコーディオン部２・２を対称的に設けるという技術的手段を採用することができる。
【００１０】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス部１の前後および左右の両側に、アコーディオン部２・２を対称的に設けて前後および左右の両方向へ弾力的に伸縮可能に構成するという技術的手段を採用することができる。
【００１１】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
複数の花入れボックス部１・１を、弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を介して一体化させ、このアコーディオン部２を幅方向に圧縮してこれら花入れボックス部１・１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能とするという技術的手段を採用することができる。
【００１２】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、アコーディオン部２を、可撓性及び形状復元性を有する合成樹脂材料により作製するという技術的手段を採用することができる。
【００１３】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス部１とアコーディオン部２とを合成樹脂材料により一体成形するという技術的手段を採用することができる。
【００１４】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス１の開口部11に切り花Ｆを挿して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
容器本体１における開口部11の口縁を含む中域部分に弾力的に伸縮可能な蛇腹部13を形成し、この蛇腹部13を幅方向に圧縮して当該花入れボックス部１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能とするという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【００１５】
本発明では、保水容器の所要箇所に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部を設けたことにより、このアコーディオン部を幅方向に圧縮すれば保水容器とサイズが異なる外箱であっても、隙間のないピッタリと弾力的にフィットした圧接状態で容器本体を安定的に収容することが可能となる。
【００１６】
さらに、外箱内で圧縮されたアコーディオン部は、その反発力により収容された保水容器の固定状態を保つことができ、しかも、外箱の激しい揺れに対しても自身の弾力性による緩衝効果を発揮して箱内における容器の振動を抑制することができるため、容器振動の衝撃で輸送中に切り花が傷付く心配を軽減することもできる。
【００１７】
また、保水容器を外箱に収容する際は、アコーディオン部を両手で圧縮して持ち、そのまま外箱内に保水容器を挿入するだけでよいため、箱詰め作業は非常に簡単で敏速な出荷が阻害されることはない。
【００１８】
他方また、保水容器を収容する外箱は、一般的に使用される安価な使い捨て段ボール箱でよく、また、保水容器の材質を繰り返し使用可能なプラスチック製等とすれば初期コストの負担で抑えられるため、輸送コストが過大となることもない。
【００１９】
したがって、本発明により、使用面での機能性に優れるだけでなく、作業面及びコスト面にでも非常に好都合な切り花の運搬用保水花容器を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【００２１】
『実施例１』
本発明の実施例１は、図１から図６に示される。同図において、符号１で指示するものは花入れボックス部であり、符号２で指示するものはアコーディオン部である。
【００２２】
この実施例１においては、水Ｗを溜めたボックス内部に開口部11から切り花Ｆを挿入可能な花入れボックス部１の両側に、長手方向に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２・２を設けている（図１参照）。
【００２３】
なお実施例１では、アコーディオン部２を可撓性及び形状復元性を有する合成樹脂材料（本実施例では、「高密度ポリエチレン(HDPE)」）から作製することにより、弾力的な伸縮性を付与している。
【００２４】
また、花入れボックス部１の開口部11には、倒れた際にボックス内の水Ｗが外に零れ出さないように内筒部12を設けている（図２参照）。
【００２５】
また実施例１では、アコーディオン部２を花入れボックス部１に対して連通して設けているため、アコーディオン部２の内部もボックスの一部として使用することもできる。
【００２６】
上記のように構成したことによって、図３(a)に示すようにアコーディオン部２を両側から押圧すれば、図３(b)に示すように折目部21・21…を屈曲させてアコーディオン部２を幅方向に圧縮することができ、更にこの状態で花入れボックス部１を外箱Ｂ内に挿入すれば、アコーディオン部２・２が復元することで当接端面22を外箱Ｂの内壁にピッタリと弾力的に密着させることができる（図４、図５参照）。
【００２７】
これにより、アコーディオン部２・２の伸縮範囲ならばサイズの一定しない外箱Ｂであっても、圧接状態で容器本体を安定的に収容することが可能となる。
【００２８】
そして、外箱内で圧縮されたアコーディオン部２・２は、その反発力により収容された容器本体の固定状態を保つことができ、しかも、外箱Ｂの大きな揺れに対してもアコーディオン部２・２が緩衝効果を発揮して容器の箱内での振動を抑制できるため、輸送中に切り花Ｆが傷付く心配も少ない。
【００２９】
また実施例１では、花入れボックス部１の胴部両側にアコーディオン部２・２を対称的に設けているため、容器振動の減衰効果は非常に高い。
【００３０】
なお、外箱Ｂ内の前後方向に大きな隙間ができる場合には、図６に示すように容器本体を並べて収容すると安定性を増すことができる。
【００３１】
また、箱入れボックス部１を外箱Ｂに収容する際は、アコーディオン部２・２を両手で圧縮して外箱内に挿入するだけでよいため、切り花Ｆの箱詰め作業は非常に簡単で敏速な出荷も可能である。
【００３２】
他方また、外箱Ｂには、一般的に使用される安価な使い捨て段ボール箱を使用することができ、更に、花入れボックス部１を繰り返し使用可能なプラスチック製としたことにより、初期コストの負担のみで輸送コストが過大となることもない。
【００３３】
しかも、実施例１では、花入れボックス部１とアコーディオン部２とをブロー成形により一体成形しているため、大量生産が容易で容器本体の初期コストも低く抑えることができる。
【００３４】
『実施例２』
次に、本発明の実施例２について図７に基いて以下に詳細に説明する。実施例２においては、花入れボックス部１の前後および左右の両側に、アコーディオン部２・２を対称的に設けて、外箱内の前後および左右の両方向への伸縮を可能に構成しており、これによって、あらゆる方向の外箱Ｂの揺れに対して優れた安定性及び緩衝効果を得ることができる（図７参照）。
【００３５】
『実施例３』
次に、本発明の実施例３について図８に基いて以下に詳細に説明する。実施例３においては、三角柱状の外箱Ｂに収容し易いように花入れボックス部１を三角柱状の形態で作製すると共に、この花入れボックス部１の各辺部にはアコーディオン部２・２…を外箱Ｂの内壁に垂直に当接するように設けており、これにより上記実施例と同様のフィット効果及び緩衝効果を得ることができるため、花入れボックス部１を他の多角柱状にした場合にも応用することができる（図８参照）。
【００３６】
『実施例４』
次に、本発明の実施例４について図９及び図１０に基いて以下に詳細に説明する。実施例４においては、二つの花入れボックス部１・１を弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を介して一体化しており、このアコーディオン部２を幅方向に圧縮してこれら花入れボックス部１・１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能としている（図９、図１０参照）。
【００３７】
これにより、アコーディオン部２によるフィット効果等に加え複数の花入れボックス部１・１を利用して異なる種類の切り花Ｆを分類して輸送することができる。
【００３８】
なお、アコーディオン部２によって３つ以上の花入れボックス部１・１…の数を連結してもよいが、安定して持ち運べる形態であることが望ましい。
【００３９】
『実施例５』
次に、本発明の実施例５について図１１に基いて以下に詳細に説明する。実施例５においては、容器本体１における開口部11の口縁を含む中域部分に弾力的に伸縮可能な蛇腹部13を形成しており、この蛇腹部13を幅方向に圧縮することにより容器本体を外箱Ｂの内側に圧接状態に収容することが可能である（図１１参照）。
【００４０】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、アコーディオン部２や花入れボックス部１の蛇腹部13には、高密度ポリエチレン以外にもポリスチレン(PS)やABS樹脂などの他の合成樹脂材料や金属材料などを採用することが可能である。
【００４１】
また、花入れボックス部１とアコーディオン部２とを一体成形以外の接着等の手段で一体化してもよく、また、花入れボックス部１とアコーディオン部２とを分離可能な構造としてもよく、何れも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【００４２】
近年の花卉輸送においては、切り花の鮮度を保持できる湿式輸送が主流となっており、切り花をより良い状態で出荷先に届けられる工夫が市場では求められている。また、切り花の状態は切り取った時点から次第に悪化していくため、切り取ってから出荷するまでの作業速度も非常に重要である。
【００４３】
そのような中で、本発明の切り花の運搬用保水花容器は、安定した状態で切り花を輸送でき、かつ、出荷作業の点でも非常に好都合な有用な技術であることから、市場における需要は大きく、本発明の産業上の利用価値は非常に高いと云える。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明の実施例１における容器本体を表わす全体斜視図である。
【図２】本発明の実施例１における切り花を挿した状態の容器本体を表わす説明断面図である。
【図３】本発明の実施例１におけるアコーディオン部の伸縮状態を表わす状態説明図である。
【図４】本発明の実施例１における外箱に容器本体を収容した状態を表わす状態説明図である。
【図５】本発明の実施例１における容器本体の外箱内への収容状態を表わす状態説明図である。
【図６】本発明の実施例１における容器本体の外箱内への収容状態を表わす状態説明図である。
【図７】本発明の実施例２における容器本体及び外箱内への収容状態を表わす全体上面図である。
【図８】本発明の実施例３における容器本体及び外箱内への収容状態を表わす全体上面図である。
【図９】本発明の実施例４における容器本体を表わす全体斜視図である。
【図１０】本発明の実施例４における容器本体の外箱内への収容状態を表わす状態説明図である。
【図１１】本発明の実施例５における容器本体及び外箱内への収容状態を表わす全体上面図である。
【符号の説明】
【００４５】
１ 芯入れボックス部
11 開口部
12 内筒部
13 蛇腹部
２ アコーディオン部
21 折目部
22 当接端面
Ｆ 切り花
Ｂ 外箱
Ｗ 水
【技術分野】
【０００１】
本発明は、切り花の運搬用保水花容器の改良、詳しくは、サイズが一定しない外箱であっても安定的に収容することができ、箱詰め作業も簡単で、しかも、コスト面でも有利な切り花の運搬用保水花容器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年における花卉の湿式輸送の代表的な方法の一つとして、切り花を水の入ったプラスチック製容器に挿し、その保水容器ごと切り花を段ボール等の外箱に箱詰めして出荷する方法が広く知られている。
【０００３】
ところが、上記輸送方法においては、出荷する切り花の種類によってはサイズの異なる外箱を使用する必要があるため、使用する外箱によっては保水容器のサイズと合わないことがあり、その際には運搬時の揺れによって容器ごと切り花が外箱内で振動し、その振動の衝撃で切り花が傷付いてしまう憂いがあった。
【０００４】
そのため、外箱と保水容器のサイズが合わない場合には、＜特許文献１＞に示されるように、発砲スチロールやエアクッション等の緩衝材を外箱と保水容器の隙間に詰めて容器の振動による衝撃を解消する手段を講じる必要があったが、出荷する切り花が大量であると緩衝材を詰める作業が箱詰め作業を煩雑化させてしまい、敏速な出荷が難しいという問題があった。
【０００５】
一方、従来においては、＜特許文献２＞にあるような、異なる大きさの収容容器に対応できる台座等の固定手段を外箱の底部に設ける技術も公知となっているが、このような従来技術に係る固定手段を付設した外箱は通常の段ボール箱よりも単価が割高となり、特に外箱は大量に使い捨てする分コストが嵩み易いため、輸送コストの増大が激しかった。
【特許文献１】実公昭５４−５４８号公報（第２頁、第１〜３図）
【特許文献２】特開２００６−４４７２１号公報（第２−１９頁、第１〜２５図）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、サイズの一定しない外箱であっても安定的に収容することができ、箱詰め作業も非常に簡単で、しかも、コスト面でも有利な切り花の運搬用保水花容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者が、上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【０００８】
即ち、本発明は、花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
花入れボックス部１の所要箇所に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を設け、このアコーディオン部２を幅方向へ圧縮することにより当該容器本体を外箱Ｂの内側に圧接状態に収容可能とした点に特徴がある。
【０００９】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス部１の胴部両側にアコーディオン部２・２を対称的に設けるという技術的手段を採用することができる。
【００１０】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス部１の前後および左右の両側に、アコーディオン部２・２を対称的に設けて前後および左右の両方向へ弾力的に伸縮可能に構成するという技術的手段を採用することができる。
【００１１】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
複数の花入れボックス部１・１を、弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を介して一体化させ、このアコーディオン部２を幅方向に圧縮してこれら花入れボックス部１・１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能とするという技術的手段を採用することができる。
【００１２】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、アコーディオン部２を、可撓性及び形状復元性を有する合成樹脂材料により作製するという技術的手段を採用することができる。
【００１３】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス部１とアコーディオン部２とを合成樹脂材料により一体成形するという技術的手段を採用することができる。
【００１４】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、花入れボックス１の開口部11に切り花Ｆを挿して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
容器本体１における開口部11の口縁を含む中域部分に弾力的に伸縮可能な蛇腹部13を形成し、この蛇腹部13を幅方向に圧縮して当該花入れボックス部１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能とするという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【００１５】
本発明では、保水容器の所要箇所に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部を設けたことにより、このアコーディオン部を幅方向に圧縮すれば保水容器とサイズが異なる外箱であっても、隙間のないピッタリと弾力的にフィットした圧接状態で容器本体を安定的に収容することが可能となる。
【００１６】
さらに、外箱内で圧縮されたアコーディオン部は、その反発力により収容された保水容器の固定状態を保つことができ、しかも、外箱の激しい揺れに対しても自身の弾力性による緩衝効果を発揮して箱内における容器の振動を抑制することができるため、容器振動の衝撃で輸送中に切り花が傷付く心配を軽減することもできる。
【００１７】
また、保水容器を外箱に収容する際は、アコーディオン部を両手で圧縮して持ち、そのまま外箱内に保水容器を挿入するだけでよいため、箱詰め作業は非常に簡単で敏速な出荷が阻害されることはない。
【００１８】
他方また、保水容器を収容する外箱は、一般的に使用される安価な使い捨て段ボール箱でよく、また、保水容器の材質を繰り返し使用可能なプラスチック製等とすれば初期コストの負担で抑えられるため、輸送コストが過大となることもない。
【００１９】
したがって、本発明により、使用面での機能性に優れるだけでなく、作業面及びコスト面にでも非常に好都合な切り花の運搬用保水花容器を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【００２１】
『実施例１』
本発明の実施例１は、図１から図６に示される。同図において、符号１で指示するものは花入れボックス部であり、符号２で指示するものはアコーディオン部である。
【００２２】
この実施例１においては、水Ｗを溜めたボックス内部に開口部11から切り花Ｆを挿入可能な花入れボックス部１の両側に、長手方向に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２・２を設けている（図１参照）。
【００２３】
なお実施例１では、アコーディオン部２を可撓性及び形状復元性を有する合成樹脂材料（本実施例では、「高密度ポリエチレン(HDPE)」）から作製することにより、弾力的な伸縮性を付与している。
【００２４】
また、花入れボックス部１の開口部11には、倒れた際にボックス内の水Ｗが外に零れ出さないように内筒部12を設けている（図２参照）。
【００２５】
また実施例１では、アコーディオン部２を花入れボックス部１に対して連通して設けているため、アコーディオン部２の内部もボックスの一部として使用することもできる。
【００２６】
上記のように構成したことによって、図３(a)に示すようにアコーディオン部２を両側から押圧すれば、図３(b)に示すように折目部21・21…を屈曲させてアコーディオン部２を幅方向に圧縮することができ、更にこの状態で花入れボックス部１を外箱Ｂ内に挿入すれば、アコーディオン部２・２が復元することで当接端面22を外箱Ｂの内壁にピッタリと弾力的に密着させることができる（図４、図５参照）。
【００２７】
これにより、アコーディオン部２・２の伸縮範囲ならばサイズの一定しない外箱Ｂであっても、圧接状態で容器本体を安定的に収容することが可能となる。
【００２８】
そして、外箱内で圧縮されたアコーディオン部２・２は、その反発力により収容された容器本体の固定状態を保つことができ、しかも、外箱Ｂの大きな揺れに対してもアコーディオン部２・２が緩衝効果を発揮して容器の箱内での振動を抑制できるため、輸送中に切り花Ｆが傷付く心配も少ない。
【００２９】
また実施例１では、花入れボックス部１の胴部両側にアコーディオン部２・２を対称的に設けているため、容器振動の減衰効果は非常に高い。
【００３０】
なお、外箱Ｂ内の前後方向に大きな隙間ができる場合には、図６に示すように容器本体を並べて収容すると安定性を増すことができる。
【００３１】
また、箱入れボックス部１を外箱Ｂに収容する際は、アコーディオン部２・２を両手で圧縮して外箱内に挿入するだけでよいため、切り花Ｆの箱詰め作業は非常に簡単で敏速な出荷も可能である。
【００３２】
他方また、外箱Ｂには、一般的に使用される安価な使い捨て段ボール箱を使用することができ、更に、花入れボックス部１を繰り返し使用可能なプラスチック製としたことにより、初期コストの負担のみで輸送コストが過大となることもない。
【００３３】
しかも、実施例１では、花入れボックス部１とアコーディオン部２とをブロー成形により一体成形しているため、大量生産が容易で容器本体の初期コストも低く抑えることができる。
【００３４】
『実施例２』
次に、本発明の実施例２について図７に基いて以下に詳細に説明する。実施例２においては、花入れボックス部１の前後および左右の両側に、アコーディオン部２・２を対称的に設けて、外箱内の前後および左右の両方向への伸縮を可能に構成しており、これによって、あらゆる方向の外箱Ｂの揺れに対して優れた安定性及び緩衝効果を得ることができる（図７参照）。
【００３５】
『実施例３』
次に、本発明の実施例３について図８に基いて以下に詳細に説明する。実施例３においては、三角柱状の外箱Ｂに収容し易いように花入れボックス部１を三角柱状の形態で作製すると共に、この花入れボックス部１の各辺部にはアコーディオン部２・２…を外箱Ｂの内壁に垂直に当接するように設けており、これにより上記実施例と同様のフィット効果及び緩衝効果を得ることができるため、花入れボックス部１を他の多角柱状にした場合にも応用することができる（図８参照）。
【００３６】
『実施例４』
次に、本発明の実施例４について図９及び図１０に基いて以下に詳細に説明する。実施例４においては、二つの花入れボックス部１・１を弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を介して一体化しており、このアコーディオン部２を幅方向に圧縮してこれら花入れボックス部１・１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能としている（図９、図１０参照）。
【００３７】
これにより、アコーディオン部２によるフィット効果等に加え複数の花入れボックス部１・１を利用して異なる種類の切り花Ｆを分類して輸送することができる。
【００３８】
なお、アコーディオン部２によって３つ以上の花入れボックス部１・１…の数を連結してもよいが、安定して持ち運べる形態であることが望ましい。
【００３９】
『実施例５』
次に、本発明の実施例５について図１１に基いて以下に詳細に説明する。実施例５においては、容器本体１における開口部11の口縁を含む中域部分に弾力的に伸縮可能な蛇腹部13を形成しており、この蛇腹部13を幅方向に圧縮することにより容器本体を外箱Ｂの内側に圧接状態に収容することが可能である（図１１参照）。
【００４０】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、アコーディオン部２や花入れボックス部１の蛇腹部13には、高密度ポリエチレン以外にもポリスチレン(PS)やABS樹脂などの他の合成樹脂材料や金属材料などを採用することが可能である。
【００４１】
また、花入れボックス部１とアコーディオン部２とを一体成形以外の接着等の手段で一体化してもよく、また、花入れボックス部１とアコーディオン部２とを分離可能な構造としてもよく、何れも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【００４２】
近年の花卉輸送においては、切り花の鮮度を保持できる湿式輸送が主流となっており、切り花をより良い状態で出荷先に届けられる工夫が市場では求められている。また、切り花の状態は切り取った時点から次第に悪化していくため、切り取ってから出荷するまでの作業速度も非常に重要である。
【００４３】
そのような中で、本発明の切り花の運搬用保水花容器は、安定した状態で切り花を輸送でき、かつ、出荷作業の点でも非常に好都合な有用な技術であることから、市場における需要は大きく、本発明の産業上の利用価値は非常に高いと云える。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明の実施例１における容器本体を表わす全体斜視図である。
【図２】本発明の実施例１における切り花を挿した状態の容器本体を表わす説明断面図である。
【図３】本発明の実施例１におけるアコーディオン部の伸縮状態を表わす状態説明図である。
【図４】本発明の実施例１における外箱に容器本体を収容した状態を表わす状態説明図である。
【図５】本発明の実施例１における容器本体の外箱内への収容状態を表わす状態説明図である。
【図６】本発明の実施例１における容器本体の外箱内への収容状態を表わす状態説明図である。
【図７】本発明の実施例２における容器本体及び外箱内への収容状態を表わす全体上面図である。
【図８】本発明の実施例３における容器本体及び外箱内への収容状態を表わす全体上面図である。
【図９】本発明の実施例４における容器本体を表わす全体斜視図である。
【図１０】本発明の実施例４における容器本体の外箱内への収容状態を表わす状態説明図である。
【図１１】本発明の実施例５における容器本体及び外箱内への収容状態を表わす全体上面図である。
【符号の説明】
【００４５】
１ 芯入れボックス部
11 開口部
12 内筒部
13 蛇腹部
２ アコーディオン部
21 折目部
22 当接端面
Ｆ 切り花
Ｂ 外箱
Ｗ 水
【特許請求の範囲】
【請求項１】
花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
花入れボックス部１の所要箇所に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を設け、このアコーディオン部２を幅方向へ圧縮することにより当該容器本体を外箱Ｂの内側に圧接状態に収容できるようにしたことを特徴とする切り花の運搬用保水花容器。
【請求項２】
花入れボックス部１の胴部両側にアコーディオン部２・２を対称的に設けたことを特徴とする請求項１記載の切り花の運搬用保水花容器。
【請求項３】
花入れボックス部１の前後および左右の両側に、アコーディオン部２・２を対称的に設けて前後および左右の両方向へ弾力的に伸縮可能に構成したことを特徴とする請求項２記載の切り花の運搬用保水花容器。
【請求項４】
花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
複数の花入れボックス部１・１を、弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を介して一体化させ、このアコーディオン部２を幅方向に圧縮してこれら花入れボックス部１・１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能としたことを特徴とする切り花の運搬用保水花容器。
【請求項５】
アコーディオン部２が、可撓性及び形状復元性を有する合成樹脂材料により作製されていることを特徴とする請求項１〜４の何れか一つに記載の切り花の運搬用保水花容器
【請求項６】
花入れボックス部１とアコーディオン部２とが合成樹脂材料により一体成形されていることを特徴とする請求項５記載の切り花の運搬用保水花容器。
【請求項７】
花入れボックス１の開口部11に切り花Ｆを挿して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
容器本体１における開口部11の口縁を含む中域部分に弾力的に伸縮可能な蛇腹部13を形成し、この蛇腹部13を幅方向に圧縮して当該花入れボックス部１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能としたことを特徴とする切り花の運搬用保水花容器。
【請求項１】
花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
花入れボックス部１の所要箇所に弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を設け、このアコーディオン部２を幅方向へ圧縮することにより当該容器本体を外箱Ｂの内側に圧接状態に収容できるようにしたことを特徴とする切り花の運搬用保水花容器。
【請求項２】
花入れボックス部１の胴部両側にアコーディオン部２・２を対称的に設けたことを特徴とする請求項１記載の切り花の運搬用保水花容器。
【請求項３】
花入れボックス部１の前後および左右の両側に、アコーディオン部２・２を対称的に設けて前後および左右の両方向へ弾力的に伸縮可能に構成したことを特徴とする請求項２記載の切り花の運搬用保水花容器。
【請求項４】
花入れボックス部１の開口部11に切り花Ｆを挿入して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
複数の花入れボックス部１・１を、弾力的に伸縮可能なアコーディオン部２を介して一体化させ、このアコーディオン部２を幅方向に圧縮してこれら花入れボックス部１・１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能としたことを特徴とする切り花の運搬用保水花容器。
【請求項５】
アコーディオン部２が、可撓性及び形状復元性を有する合成樹脂材料により作製されていることを特徴とする請求項１〜４の何れか一つに記載の切り花の運搬用保水花容器
【請求項６】
花入れボックス部１とアコーディオン部２とが合成樹脂材料により一体成形されていることを特徴とする請求項５記載の切り花の運搬用保水花容器。
【請求項７】
花入れボックス１の開口部11に切り花Ｆを挿して外箱Ｂに収容される運搬用保水花容器において、
容器本体１における開口部11の口縁を含む中域部分に弾力的に伸縮可能な蛇腹部13を形成し、この蛇腹部13を幅方向に圧縮して当該花入れボックス部１を外箱Ｂの内側に弾圧状態で収容可能としたことを特徴とする切り花の運搬用保水花容器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００９−１６６８８７（Ｐ２００９−１６６８８７Ａ）
【公開日】平成２１年７月３０日（２００９．７．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１００１６（Ｐ２００８−１００１６）
【出願日】平成２０年１月２１日（２００８．１．２１）
【出願人】（３９００１４０２９）株式会社八木熊 (31)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月３０日（２００９．７．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１月２１日（２００８．１．２１）
【出願人】（３９００１４０２９）株式会社八木熊 (31)
【Ｆターム（参考）】
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