説明

切断装置及び切断方法

【課題】ワークを効率良く切断加工できる切断装置及び切断方法を提供する。
【解決手段】切断装置10は、バンドソー12を切断領域においては直線状に走行するように巻き掛ける、一対のプーリー14,16と、駆動手段18と、回転軸20,22と、緊張手段24とを有し、前記プーリーは、ワークの切断幅に対応した直径を有し、前記プーリーに巻き掛けられたバンドソー12は、プーリーに巻き掛けられて直線状に走行する手前側の切断領域と向こう側の切断領域のいずれにおいてもワークを切断するように構成されるとともに、直線状に走行する一方の領域のみにおいてワークを切断するときの切り込み送り速度の2分の1以下の切り込み送り速度により、ワークの中に深く入れて切断するように構成され、前記一対のプーリー14,16に巻き掛けられたバンドソー12を、ワークの切断幅に対応した間隔をおいて、同一平面内に並設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置及び切断方法に関し、特に、エンドレスの焼入鋼帯の端面に、ダイヤ粉末を含む金属合金チップを結着したダイヤモンドバンドソーを使うバンドソーマシンを並列に等間隔に複数台並べ、被加工物たる多結晶シリコンを短冊状に角切りする切断装置及び切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダイヤモンドバンドソーマシンは、2個の回転するプーリーで無端環状の鋼板を張力をかけて高速回転させ、ガラスや結晶シリコン等の硬質脆性材料を適当な寸法でピッチ送りし、1枚ずつ切断していた。
この従来のマシンは、機械構造上、回転するバンドソーの手前側を走行する直線部分のみで、1カットずつ切断することを行われており、異なる厚さを切断するには、適する切断方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−174770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法は、材料を10mm内外の薄厚に連続的に切断するには有効であるが、100mmを超えるような厚い寸法を数回程度切断するには、効率が落ちる。そのために、回転するバンドソーの手前側の刃先だけでなく、回転するバンドソーの奥側の刃先も使えないかという要求がある。
特に、最近、太陽光発電に使用される、結晶シリコンの極薄板(ウエハー)を作るために、例えば、大型インゴット(単結晶棒)より、16〜25個の角柱を効率良く切断加工できる方法を求められている。
太陽光発電用の半導体素子である結晶形シリコンは、単結晶・多結晶の2種である。
単結晶シリコンは、丸棒型であり、外径寸法は210mmφが最大径で、角柱に加工するには、主に、丸型のダイヤカッターで切断加工している。
一方、多結晶シリコンは、鋳造法で四角い厚板状に作られ、四角の一辺が1000mmを超える大型寸法のインゴットも出現している。
このインゴットから、現状では、125〜160mm角の角柱を格子状に4〜36個が切り出されている。
一例として、一辺860mm×高230mmの素材から、一辺157mm×高230mmの角柱が切り出すとき、切断には、ダイヤモンドバンドソーにより、1カットずつ行い、左右のカットを5回、90°ターンして、手前側から向こう側のカットを5回行うことで、16個の角柱を切り出すことができる。
しかし、この方法では、1枚の刃で材料を合計10回切断して16個の角柱を切り終わるのに、約480分内外(8時間)かかる。
もう一つの問題は、切断刃の刃厚が2.5mmと厚いため、半分以下の薄厚の切断刃で切断できないかという点である。
この切断の時間と切断刃の刃厚とは相関関係があるため、両方とも満足させるのは困難である。
この発明の主たる目的は、ワークを効率良く切断加工できる切断装置及び切断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1にかかる切断装置は、間隔をおいて平行に切断する切断装置を備え、前記切断装置は、環状のバンドソーと、前記バンドソーを切断領域においては直線状に走行するように巻き掛ける、一対のプーリーと、前記プーリーを回転させる駆動手段と、前記駆動手段に連結され、一対のプーリーをそれぞれ回転させる一対の回転軸と、前記バンドソーを緊張させる、緊張手段とを有し、前記プーリーは、ワークの切断幅に対応した直径を有し、前記プーリーに巻き掛けられたバンドソーは、プーリーに巻き掛けられて直線状に走行する手前側の切断領域と向こう側の切断領域のいずれにおいてもワークを切断するように構成されるとともに、直線状に走行する一方の領域のみにおいてワークを切断するときの切り込み送り速度の2分の1以下の切り込み送り速度により、ワークの中に深く入れて切断するように構成され、前記一対のプーリーに巻き掛けられたバンドソーを有する切断装置が、ワークの切断幅に対応した間隔をおいて、同一平面内に並設された、切断装置である。
この発明の請求項2にかかる切断装置においては、バンドソーは、帯状のベルトと前記ベルトの幅方向の一端側に間隔を隔てて固着された、複数の切断刃とを含み、切断刃は、結晶形シリコンを切断するためのダイヤモンド粒子を含む砥粒子を有している、請求項1に記載の切断装置である。
この発明の請求項3にかかる切断装置においては、駆動手段は、駆動モータであり、該駆動モータの軸と回転軸とにタイミングベルトを掛け渡されて、バンドソーを回転するように形成された、請求項1又は請求項2に記載の切断装置である。
この発明の請求項4にかかる切断装置においては、更に、ワークを載置して、ワークの表面からバンドソーをワークの中に深く入れるために昇降させるワーク昇降用手段を備えた、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の切断装置である。
この発明の請求項5にかかる切断装置においては、緊張手段は、バンドソーを外側に引っ張るために回転軸に連結された、テンション装置である、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の切断装置である。
この発明の請求項6にかかる切断装置においては、緊張手段は、バンドソーに1トン以下の張力をかけて緊張させるように構成された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の切断装置である。
この発明の請求項7にかかる切断装置においては、プーリーは、外径の直径が180〜100mmである、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の切断装置である。
この発明の請求項8にかかる切断装置においては、バンドソーの帯状のベルトは、幅が50mm以下で厚さが0.4mm以下であり、バンドソーの切断刃は、厚さが0.6mm以下である、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の切断装置である。
この発明の請求項9にかかる切断方法は、ワークの切断幅に対応した直径を有する一対のプーリーに、巻き掛けられて直線状に走行する手前側の切断領域と向こう側の切断領域のいずれにおいてもワークを切断する環状のバンドソーを、ワークの切断幅に対応した間隔をおいて同一平面内に並設させ、且つ緊張させて、直線状に走行する一方の領域のみにおいてワークを切断するときの切り込み送り速度の2分の1以下の切り込み送り速度によりバンドソーをワークの中に深く入れて切り込みバンドソーを回転させ、手前側の切断領域と向こう側の切断領域のいずれにおいてもワークを切断する複数のバンドソーにより、間隔をおいて、ワークを平行な直線状に切断する、切断方法である。
この発明の請求項10にかかる切断方法においては、ワークは、結晶形シリコンであり、バンドソーの切断刃は、結晶形シリコンを切断するためのダイヤモンド粒子を含む砥粒子を有している、請求項9に記載の切断方法である。
この発明の請求項11にかかる切断方法においては、バンドソーの切り込み送り速度は、3.0〜1.0mm/分である、請求項9又は請求項10に記載の切断方法である。
この発明の請求項12にかかる切断方法においては、ワークは、160mm以下の間隔の切断幅で、平行に並列した直線状に切断される、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の切断方法である。
この発明の請求項13にかかる切断方法においては、バンドソーは、1トン以下の張力をかけて緊張させる、請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の切断方法である。
この発明の請求項14にかかる切断方法においては、ワークは、平行な上底と下底と側面とを有する、角柱状体であり、上底より下底に向って又は下底より上底に向って、複数のバンドソーにより等間隔に側面に沿って切断される、請求項9ないし請求項13のいずれかに記載の切断方法である。
この発明の請求項15にかかる切断方法においては、ワークは、平行な上底と下底と側面とを有する、角柱状体であり、上底より下底に向って又は下底より上底に向って、第1の切断線に沿って、複数のバンドソーにより等間隔に側面に沿って切断され、且つ、ワークを旋回させて、前記第1の切断線とは直交ないしは斜交する第2の切断線に沿って、上底より下底に向って又は下底より上底に向って、複数のバンドソーにより等間隔に側面に沿って切断される、請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の切断方法である。
【発明の効果】
【0006】
本件発明によれば、バンドソーの手前側の切断領域と向こう側の切断領域とにより、一度にワークを2箇所切断できるので、ワークを効率良く切断加工できる。
例えばワーク(被切断面)を下から上に切り込んで行けば、最大6カットが一時に行われる。更に、これを90°方向転換して、同様に6カットすれば、25個の角柱を切り出すことができる。
請求項2の発明によれば、結晶形シリコンを効率よく切断できる。
請求項3の発明によれば、プーリーの回転速度をワークを切断するために最適な速度に調整できる。
請求項4の発明によれば、ワークを昇降させて、バンドソーとの関係において最適な位置でワークを切断できる。
請求項5の発明によれば、バンドソーに最適な張力をかけることができる。
請求項6の発明によれば、緊張手段を小型化して設置スペースの狭小化を図ることができる。
請求項7の発明によれば、駆動手段からの切断するためのより大きな力をバンドソーに加えることができる。
請求項8の発明によれば、比較的小さな引張り張力で、バンドソーにより切断ロス(切りシロ)を少なくして効率よくワークを切断できる。
請求項9の発明によれば、バンドソーの手前側の切断領域と向こう側の切断領域とにより、一度にワークを2箇所切断できるので、ワークを効率良く切断加工できる。
請求項10の発明によれば、結晶形シリコンを効率よく切断できる。
請求項11の発明によれば、プーリーからバンドソーが外れることなく、バンドソーの手前側の切断領域と向こう側の切断領域で、ワークを切断できる。
請求項12の発明によれば、一度に最適な寸法によりワークを切断できる。
請求項13の発明によれば、緊張手段を小型化して設置スペースの狭小化を図ることができる。
【0007】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明にかかる切断装置の平面図解図である。
【図2】本発明にかかる切断装置の正面図解図である。
【図3】本発明にかかる切断装置の側面図解図である。
【図4】本発明にかかる切断装置の要部の斜視図解図である。
【図5】バンドソーの拡大断面図解図である。
【図6】本発明に係るバンドソーの第1実施形態を示す外観斜視図である。
【図7】図6に示したバンドソーの切断刃の部分を拡大した図であり、(a)は前面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【図8】図6に示したベルトを示す外観斜視図である。
【図9】図8に示したベルトの刃部を拡大した図であり、(a)は前面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【図10】切断刃用シート材を示す平面図である。
【図11】図8に示した切断刃用シート材をバンドソーに取り付ける方法の一例を説明示するための概略断面図である。
【図12】切断刃用シート材の変形例を示す横断面図である。
【図13】切断刃用シート材の形成方法を示す平面図解図である。
【図14】本発明にかかる切断方法を示す斜視図解図である。
【図15】本発明にかかる切断方法を示す平面図解図である。
【図16A】本発明にかかる切断方法及び切断装置を示す正面図解図である。
【図16B】本発明にかかる切断方法及び切断装置を示す平面図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この切断装置10は、ワーク(被切断物)Woを一定の間隔をおいて平行に切断する切断装置であって、例えばエンドレスの焼入鋼帯の端面に、ダイヤ粉末を含む金属合金チップを結着したダイヤモンドバンドソーを使う切断装置を並列に等間隔に複数台並べ、ワーク(被切断物)Woを格子状に切断する切断装置10である。
【0010】
ワーク(被切断物)Woの切断方向は、図14において示すように、横方向(Xの方向)と縦方向(Yの方向)とを有する。
切断装置10により切断される切断方向に沿った(仮想の)切断線は、横方向(Xの方向)に同一幅をおいて平行に直線状に切断するための第1の切断予定線Wo1,第2の切断予定線Wo2,第3の切断予定線Wo3,第4の切断予定線Wo4,第5の切断予定線Wo5及び第6の切断予定線Wo6とを有する。
更に、切断装置10により切断される切断方向に沿った(仮想の)切断線は、前記第1の切断予定線Wo1とは直交する縦方向(Yの方向)に同一幅をおいて平行に直線状に切断するための第11の切断予定線Wo11,第12の切断予定線Wo12,第13の切断予定線Wo13,第14の切断予定線Wo14,第15の切断予定線Wo15及び第16の切断予定線Wo16を有する。
そして、切断装置10は、前記第1の切断予定線Wo1,第2の切断予定線Wo2,第3の切断予定線Wo3,第4の切断予定線Wo4,第5の切断予定線Wo5及び第6の切断予定線Wo6に沿って、ワーク(被切断物)Woを短冊状に切断する。ワーク(被切断物)Woは、10〜18cmの幅にて直線状に切断される。
更に、切断装置10は、ワーク(被切断物)Woを90度旋回させて、前記第11の切断予定線Wo11,第12の切断予定線Wo12,第13の切断予定線Wo13,第14の切断予定線Wo14,第15の切断予定線Wo15及び第16の切断予定線Wo16に沿って、ワーク(被切断物)Woを短冊状に切断する。すなわち、ワーク(被切断物)Woを格子状に切断する。ワーク(被切断物)Woは、10〜18cmの幅にて直線状に切断される。
【0011】
一つの前記切断装置10は、環状のバンドソー12と、前記バンドソー12を切断領域においては直線状に走行するように巻き掛ける、一対のプーリー14及びプーリー16と、前記プーリー14及びプーリー16からバンドソー12が外れない走行速度でプーリー14及びプーリー16を回転させる駆動手段18と、前記駆動手段18に連結され、一対のプーリー14及びプーリー16をそれぞれ回転させる一対の回転軸20及び回転軸22と、前記バンドソー12を緊張させる、緊張手段24とを有している。
更に、切断装置10は、ワーク(被切断物)Woを載置して、ワーク(被切断物)Woを切断位置に昇降させるワーク昇降用手段26を備える。
【0012】
前記バンドソー12は、帯状の鋼帯からなるベルト112と前記ベルト112の幅方向の一端側に間隔を隔てて固着された、複数の切断刃118とを含む。
前記切断刃118は、ダイヤモンド粒子を含む砥粒子を有している。
【0013】
バンドソー12は、左右に分かれたプーリー14とプーリー16との間に、オープン型に張設される。
バンドソー12は、プーリー14とプーリー16との間において、ワーク(被切断物)Woの切断方向と平行な、直線状にのびる手前側の第1の切断領域12aと直線状にのびる向こう側の第2の切断領域12bとを形成するように、略楕円形に張設される。
バンドソー12は、プーリー14とプーリー16との回転に伴い、時計回り(又は半時計回り)に回転する。
バンドソー12は、プーリー14及びプーリー16との摩擦抵抗によってのみ保持される。
【0014】
前記プーリー14及びプーリー16は、ワーク(被切断物)Woの切断幅に対応した直径を有している。
プーリー14とプーリー16は、平プーリーであり、略々同一平面形状の円柱状である。
プーリー14は駆動側プーリーであり、プーリー16はテンション側プーリーである。
プーリー14の外形は真円であり、その直径は180〜100mmである。
【0015】
プーリー14は垂直に立設された主軸の回転軸20に固定され、プーリー16は垂直に立設された主軸の回転軸22に固定されている。
プーリー14とプーリー16とは、バンドソー12がワーク(被切断物)Woの切断方向と平行になるように、機台30に並設される。
プーリー14の上底及び下底は、水平になるように駆動側の回転軸20に固定され、プーリー16の上底及び下底は、水平になるようにテンション側の回転軸22に固定され、プーリー14の上底及び下底とプーリー16の上底及び下底とは、同一平面内に配置される。
そして、回転軸20と回転軸22とは、ワーク(被切断物)Woの幅よりも長い間隔をおいて、機台30に回転自在に平行に垂設され、プーリー14の側面とプーリー16の側面とは平行になるように形成されている。
プーリー14及びプーリー16の回転数は、1000〜3000回転/分である。
プーリー14及びプーリー16の走行速度、すなわち回転のスピードは、1000m/分以上である。
【0016】
駆動手段18は、駆動モータを備え、該駆動モータの軸と回転軸20とにタイミングベルト28を掛け渡されて、バンドソー12を回転するように形成されている。
駆動手段18は、切断方向と平行でバンドソー12の外側において機台30に設けられる。駆動手段18の回転する軸は、垂直にのびている。
タイミングベルト28は、バンドソー12と平行に回転する無端環状の歯付き伝動ベルトである。
【0017】
緊張手段24は、バンドソー12を外側に引っ張るために回転軸20に連結された、テンション装置である。
緊張手段24は、油圧シリンダなどからなる。そして、油圧によって、バンドソー12は、適度なテンション(引張り力)で張設される。
ワーク(被切断物)Woが多結晶シリコンのときは、バンドソー12のベルト112が幅50mm以下として、1トン以下の張力がかけられる。
【0018】
ワーク昇降用手段26は、ワーク(被切断物)Woを載置固定するテーブル40と、テーブル40の左右両端を支持し、且つ昇降するときにテーブル40を案内するための昇降ガイド42及び昇降ガイド44と、テーブル40の下部に連結された昇降ジャッキ46とを備える。
プーリー16は、テーブル40を昇降させる速度、すなわちワーク(被切断物)Woを切断するためにバンドソー12がワーク(被切断物)Woを切り込んでいく、切り込み送り速度を制御する、制御装置(図示せず)に接続されている。
昇降ジャッキ46は、油圧のジャッキ等が用いられ、パーソナルコンピュータや制御弁、シーケンサ等の計測機器を有する制御装置で制御される。
昇降ガイド42及び昇降ガイド44は、プーリー14及びプーリー16の内側において、垂直方向にのびるガイドレールを有する。テーブル40は、昇降ガイド42及び昇降ガイド44に摺動して垂直方向に上昇するように案内され、ワーク(被切断物)Woは、テーブル40の上昇に伴い、バンドソー12により垂直方向に切断される。
【0019】
図6は、本発明に係るバンドソーの第1実施形態を示す外観斜視図である。図7は、バンドソー12の切断刃118の部分を拡大した図であり、(a)は前面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。バンドソー12はエンドレス状のベルト112を含む。図8は、ベルト112を示す外観斜視図である。図9は、ベルト112の刃部116を拡大した図であり、(a)は前面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
ベルト112は、その幅方向の一端側(図8において上側)には、間隔を隔てて、複数の前面視U字状の切込部114が形成されている。切込部114の間にはそれぞれ、刃部116が形成されている。
【0020】
図9に示すように、刃部116は、前面116a、背面116b、端面116cおよび二つの側面116dを有している。図9(a)に示すように、前面116aは、刃部116の先端側の部分が略矩形で、根元側の部分が裾広がりの形状をしている。同様に、図9(c)に示すように、背面116bも、先端側の部分が略矩形で、根元側の部分が裾広がりの形状をしている。図9(b)に示すように、端面116cは、矩形の平面である。刃部116は、前面116aと背面116bとが略平行であり、前面116aと端面116cとが直交し且つ背面116bと端面116cとが直交している。また、側面116dは、刃部116の先端側の部分が平面で、根元側の部分が曲面である。刃部116の高さ(端面116cから根元までの距離)H1、幅W1および厚さT1は、被切断体に合わせて種々選択される。なお、厚さT1はベルト112の厚みと同じ寸法である。複数の刃部116は、その端面116cがそれぞれ略同一の高さに形成され、その前面116aがそれぞれ略同一面上に形成され、その背面116bがそれぞれ略同一面上に形成されている。ベルト112の材料としては、例えば長さが3700mm、幅が80mm、厚みが0.4mmの焼入れした帯鋼、鋼板などが用いられる。このベルト112を構成する帯鋼ないしは鋼板をリング状に繋いでベルト112を作成する。刃部116には、図7に示すように、切断刃118が固着されている。切断刃118のピッチ寸法Pおよび幅寸法Wは、被切断体に合わせて種々選択される。例えば、ピッチ寸法Pを10mm、および幅寸法Wを5mmに設計したり、ピッチ寸法Pを20mm、および幅寸法Wを10mmに設計したりする。
【0021】
切断刃118は、図10に示すように、たとえば平面視が矩形の切断刃用シート材218を、横断面が略コ字形になるように裏面側に折り曲げることによって形成されている。図7に示すように、切断刃118は、表面側に前面118a、背面118bおよび端面118cを有し、裏面側に刃部116との固着面を有している。図7(a)に示すように、前面118aは矩形状をしている。同様に、図7(c)に示すように、背面118bも矩形状をしている。切断刃118の前面118aおよび背面118bはそれぞれ、刃部116の前面116aおよび背面116b上に配設されている。切断刃118の前面118aは、刃部116の前面116aのうち上側ほぼ半分を覆うために、その高さH2は刃部116の高さH1のほぼ1/2に設計され、その幅W2は刃部116の幅W1に等しく設計されている。同様に、切断刃118の背面118bも、刃部116の背面116bのうち上側ほぼ半分を覆うために、その高さH2は刃部116の高さH1のほぼ1/2に設計され、その幅W2は刃部116の幅W1に等しく設計されている。図7(b)に示すように、切断刃118の端面118cは矩形状をしている。端面118cは、刃部116の端面116cの全面を覆うために、端面116c上に配設されている。端面118cの幅W2は刃部116の幅W1に等しく、その厚みDは刃部116の厚みT1と切断刃用シート材218の厚みの2倍とを合計した寸法である。複数の切断刃118は、その端面118cが略同一の高さに形成され、その前面118aが略同一面上に形成され、その背面118bが略同一面上に形成されている。なお、切断刃118は、刃部116の二つの側面116dには配設されていない。
【0022】
切断刃用シート材218は、薄い銅、真ちゅう、鋼などの板状の基材120の上面に、砥粒子122を含む第1砥粒層124a及び第2砥粒層124bを設けたものである。第1砥粒層124aを構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子122を基材120に固着させる接着材としての機能を有する。
第2砥粒層124bを構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子122を第1砥粒層124aに固着させる接着材としての機能を有する。
さらに、本第1実施形態では、図11に示すように、砥粒子122は重層(2層以上)に構成されている。基材120の材料としては、例えば厚さが0.05mm(代表値)の銅板などが用いられる。第1砥粒層124a及び第2砥粒層124bの砥粒子122を固着するメッキ層ないし金属層の材料としては、例えばニッケル、銅、錫、あるいはこれらの合金などが用いられる。
【0023】
砥粒子122の材料としては、例えば粒度が120#(約105μm)ないし170♯のダイヤモンド粒子、立方晶窒化ホウ素粒子、あるいはアルミナ研削粒子などが用いられる。これらの砥粒子を用いることによって、硬質脆性材料の代表的なものであるガラス、セラミック、各種結晶材料(シリコン結晶、水晶、サファイアなど)の切断に最適なバンドソー12が得られる。
特に、多結晶シリコンを切断するための砥粒子122の材料としては、例えば粒度が120#(約105μm)ないし170♯のダイヤモンド粒子が用いられる。
【0024】
さらに、このバンドソー12についてその製造方法の一例とともに詳説する。
まず、帯状の鋼板を準備し、その幅方向の一端側に、間隔を隔てて、複数の前面視U字状の切込部114をプレス加工によって形成する。これにより、切込部114の間にはそれぞれ、前面視で、先端側の部分は略矩形で、根元側の部分が裾広がりになった刃部116が形成されることになる。次に、この鋼板をリング状に繋いでベルト112を作成する。
【0025】
図10に示す切断刃用シート材218は、例えば以下に記載する方法によって作成される。
すなわち、電着法によって砥粒子122を固着するための台金となる、平面視が帯状の銅板ないしシート状物などの基材120を準備する。
台金を形成する基材120の表面に、砥粒子122が電着工程により薄いメッキ金属層で結着された第1砥粒層124aを形成し、更に、砥粒子122が電着工程により薄いメッキ金属層で結着された第2砥粒層124bを形成する。
更に、第1砥粒層124a及び第2砥粒層124bを補強するために、図12で示すように、前記第2砥粒層124b上に、合金をメッキまたはコーティングして、補強層126を形成してもよい。補強層126を形成する合金は、600℃以上で溶けるものを用いるとよい。
また、砥粒子122が固まって電着された砥粒子122の群が、図13に示すように、直線上に適宜な間隔をあけて、並んで形成され、複数列、適宜な間隔をあけて並置されるようにしてもよい。そのようにすれば、表面に並ぶ砥粒子122の分布密度を均一化できる。
切断刃用シート材218は、大きな切断刃用シート材218を適宜な大きさに切断して用いられるが(図13図示二点鎖線上を切断)、例えば、砥粒子122の群が直線状に並ぶ線上(図13図示一点鎖線上)において、ベルト112の端部形状に沿って折り曲げてもよい。これは、砥粒子群の密度等を均一化できるように、するためである。
こうして、厚みが0.25mm(代表値)の切断刃用シート材218が得られる。すなわち、薄くて均一の厚さの切断刃用シート材218が容易に形成される。
【0026】
基材120は、幅W2を刃部116の幅W1と等しい寸法に形成され、基材120の長さLを、切断刃118の前面118aおよび背面118bのそれぞれの高さH2と端面118cの長さDとを合計した寸法に調整する。
次に、図9(a)に示すように、切断刃用シート材218の下面(裏面)中央部を、ベルト112の幅方向の一端側(上側)の、刃部116の平面視矩形状の端面116cに、ロウ付け、半田付け、合成樹脂製接着剤などによって固着する。この後、ベルト112の端部形状に沿って裏面側(基材120側)に折り曲げる。すなわち、刃部116の端面116cに固着された中央部を残して、切断刃用シート材218の両側がそれぞれ、刃部116の先端部のエッジを支点にして直角に矢印Rに示すように、裏面側(基材120側)に折り曲げて刃部116を両面から挟む。そして、切断刃用シート材218の両側がそれぞれ、ロウ付けなどによって刃部116の前面116aおよび背面116bに固着される。切断刃用シート材218を折り曲げる際には、折り曲げ部分の砥粒子122が第1砥粒層124a及び第2砥粒層124bを構成するメッキ金属層から剥がれ落ちないようにするため、合金で補強をするなどの工夫がなされている。また、ベルト112にU字状の切込部114が形成されていることにより、ロウ付け時の熱が放散され、熱によるベルト112の変形を防止することができる。
【0027】
こうして、図9(b)に示すように、切断刃用シート材218は横断面がコ字形とされ、刃部116の前面116a、背面116bおよび端面116cのそれぞれに、前面118a、背面118bおよび端面118cを配設した切断刃118とされる。刃部116は、前面116aと背面116bとが略平行であり、前面116aと端面116cとが直交し且つ背面116bと端面116cとが直交しているので、切断刃用シート材218を刃部116へ容易に固着できる。切断刃118は、ベルト112の長短に関係なく、刃部116に順次、切断刃用シート材218を当てて折り曲げ加工しながら固着するという作業により容易に形成することができる。
【0028】
このバンドソー12は、薄くて均一の厚さの切断刃用シート材218を略コ字形に折り曲げて切断刃118を形成することができるので、刃厚を薄くするための煩雑な研磨作業を必要としないで、刃厚の薄い切断刃118が得られる。その厚みDは、ベルト112の厚さ(0.4mm)と、切断刃用シート材218の厚さ(0.25mm)の2倍とを合算した厚さであり、0.9mm(代表値)と薄い。
【0029】
また、このバンドソー12を用いた切断装置は、環状のベルト112を掛けて緊張させてベルト112を回転させながら、切断刃118を被切断体に当接する。それによって、切断刃118の砥粒子122によって被切断体が切断される。なお、被切断体の切断時には、水や油などの切断液が用いられる。このような切断液を用いることにより、バンドソー12が冷却され、熱によるバンドソー12の破損を防止することができる。また、切断液により、切り屑が除去される。
【0030】
このとき、砥粒子122が基材120上に間隙Gによって区切られた領域に局所的に配設されているため、バンドソー12で被切断体を切断する時に切断刃118が被切断体に接触する部分(切断刃118と被切断体との間)に発生する切粉が、間隙Gを通って容易に排出される。この結果、バンドソー12の切断能率が向上する。
【0031】
以上の構成からなるシート式バンドソー12は、薄くて均一の厚さの切断刃用シート材218を略コ字形に折り曲げて切断刃118を形成するので、刃厚を薄くするための煩雑な研磨作業や、電気めっき槽に入れて砥粒子を電着させる煩雑な作業を必要としないで、刃厚の薄い切断刃118を精度良くかつ容易に得ることができる。具体的には、切断刃118の厚み精度を50μm以内に抑えることができる。一方、切断刃用チップを研磨して薄刃を形成する従来のチップ式バンドソーの場合、切断刃の厚み精度を50μm以内に抑えることは困難である。
【0032】
また、従来の電着式バンドソーでは困難であった、肉厚の薄いベルト112の一端側(上側)に設けられた刃部116の端面116cにも砥粒子122を容易に形成させることができる。しかも、砥粒子122を重層(2層以上)にすることができるので、従来の1層の砥粒子しか形成できない電着式バンドソーと比較して、耐久性が高いバンドソー12が得られる。
【0033】
さらに、切断刃用シート材218が、基材120上に砥粒子122を含む第1砥粒層124a及び第2砥粒層124bを設けたものであるため、基材120として折り曲げ加工のし易い材料を選択することができるとともに、第1砥粒層124a及び第2砥粒層124bを形成するメッキ金属層を形成する金属等の固着材として砥粒子122を固定し易い材料を選択することができる。
【0034】
この切断装置10は、機台30に、第1の切断装置10Aと、第2の切断装置10Bと、第3の切断装置10Cとを備えている。そして、3台(組)の切断装置10A,10B,10Cが、1つの機台30に並列して設けられている。
【0035】
3組の第1の切断装置10Aと第2の切断装置10Bと第3の切断装置10Cは、それぞれ、同一の構造を備えており、それぞれ、バンドソー12,プーリー14及びプーリー16,駆動手段18,回転軸20及び回転軸22,緊張手段24を備える。
そして、第1の切断装置10Aのプーリー14及びプーリー16と、第2の切断装置10Bのプーリー14及びプーリー16と、第3の切断装置10Cのプーリー14及びプーリー16とは、ワーク(被切断物)Woの切断される間隔に対応した間隔をおいて、並設されている。
第1の切断装置10Aのプーリー14及びプーリー16と、第2の切断装置10Bのプーリー14及びプーリー16と、第3の切断装置10Cのプーリー14及びプーリー16とは、同一の間隔をおいて並設されており、プーリー14及びプーリー16の直径と略々同一の100〜180mmの間隔をおいて並設されている。
【0036】
第1の切断装置10Aのバンドソー12と第2の切断装置10Bのバンドソー12と第3の切断装置10Cの前記バンドソー12とは、ワーク(被切断物)Woの切断幅に対応した間隔をおいて、同一平面内に並設されている。
そして、第1の切断装置10Aのバンドソー12の第2の切断領域12bと第2の切断装置10Bのバンドソー12の第1の切断領域12aとは平行で、ワーク(被切断物)Woの切断幅に対応した間隔をおいて平行にのび、又、第2の切断装置10Bのバンドソー12の第2の切断領域12bと第3の切断装置10Cのバンドソー12の第1の切断領域12aとは平行で、ワーク(被切断物)Woの切断幅に対応した間隔をおいて平行にのびている。
【0037】
第1の切断装置10Aの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第1の切断予定線Wo1を切断し、第1の切断装置10Aの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第2の切断予定線Wo2を切断し、第2の切断装置10Bの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第3の切断予定線Wo3を切断し、第2の切断装置10Bの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第4の切断予定線Wo4を切断し、第3の切断装置10Cの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第5の切断予定線Wo5を切断し、第3の切断装置10Cの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第6の切断予定線Wo6を切断する。
又、ワーク(被切断物)Woを90度旋回した後、第1の切断装置10Aの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第11の切断予定線Wo11を切断し、第1の切断装置10Aの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第12の切断予定線Wo12を切断し、第2の切断装置10Bの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第13の切断予定線Wo13を切断し、第2の切断装置10Bの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第14の切断予定線Wo14を切断し、第3の切断装置10Cの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第15の切断予定線Wo15を切断し、第3の切断装置10Cの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第16の切断予定線Wo16を切断する。
【0038】
この発明にかかる切断方法は、次の通りである。
ワーク(被切断物)Woは、硬質脆性材料である、結晶形シリコンである。このワーク(被切断物)Woは、平行な上底と下底と側面とを有する、角柱状体であり、上底より下底に向って、複数のバンドソー12により等間隔に側面に沿って切断されるような構造を備える。
【0039】
ワーク(被切断物)Woは、図16に示すように、切断装置10のテーブル40の上面に載置され固定された、粘板岩などの表面が平面の石板からなる捨て板50に固定される。
捨て板50は、第1の切断予定線Wo1〜第6の切断予定線Wo6に対応した直線状の切断溝52が穿設されている。切断溝52は、第1の切断装置10Aのバンドソー12の第1の切断領域12aと第2の切断領域12bとの間隔、第2の切断装置10Bのバンドソー12の第1の切断領域12aと第2の切断領域12bとの間隔、第3の切断装置10Cのバンドソー12の第1の切断領域12aと第2の切断領域12bとの間隔に対応した間隔をおいて並列されている。切断溝52は、3組の第1の切断装置10Aのバンドソー12と第2の切断装置10Bのバンドソー12と第3の切断装置10Cのバンドソー12との間隔に対応した間隔をおいて並列されている。
更に、捨て板50は、第11の切断予定線Wo11〜第16の切断予定線Wo16に対応した直線状の切断溝54が穿設されている。切断溝54は、第1の切断装置10Aのバンドソー12の第1の切断領域12aと第2の切断領域12bとの間隔、第2の切断装置10Bのバンドソー12の第1の切断領域12aと第2の切断領域12bとの間隔、第3の切断装置10Cのバンドソー12の第1の切断領域12aと第2の切断領域12bとの間隔に対応した間隔をおいて並列されている。切断溝54は、3組の第1の切断装置10Aのバンドソー12と第2の切断装置10Bのバンドソー12と第3の切断装置10Cのバンドソー12との間隔に対応した間隔をおいて並列されている。
切断溝52及び切断溝54は、ワーク(被切断物)Woの切断時に、バンドソー12の刃部116がワーク(被切断物)Woの下面より更に下降してワーク(被切断物)Woを完全に切断できるようにするための逃げ溝を構成する。
ワーク(被切断物)Woは、捨て板50の平面状の上面に粘着剤により弱い接着力で接着される。ワーク(被切断物)Woが捨て板50に接着されることにより、ワーク(被切断物)Woは、一方向(X方向)に切断されたときに、ばらばらに離れることなく、捨て板50の表面に固定され、ワーク(被切断物)Woを90度旋回して他方向(Y方向)に切断(角切り)できる。
ワーク(被切断物)Woは、切断加工後に、捨て板50から剥離して用いられる。
【0040】
ワーク(被切断物)Woの切断方向は、図14において示すように、横方向(Xの方向)と縦方向(Yの方向)とを有する。そして、切断装置10により切断される切断方向に沿った切断線は、横方向(Xの方向)に同一幅をおいて平行に切断するための直線状の第1の切断予定線Wo1,直線状の第2の切断予定線Wo2,直線状の第3の切断予定線Wo3,直線状の第4の切断予定線Wo4,直線状の第5の切断予定線Wo5及び直線状の第6の切断予定線Wo6と、前記第1の切断予定線Wo1とは直交する縦方向(Yの方向)に同一幅をおいて平行に切断するための直線状の第11の切断予定線Wo11,直線状の第12の切断予定線Wo12,直線状の第13の切断予定線Wo13,直線状の第14の切断予定線Wo14,直線状の第15の切断予定線Wo15及び直線状の第16の切断予定線Wo16とを有する。
【0041】
切断溝52は、横方向(Xの方向)に同一幅をおいて平行に切断するための直線状のスリットである。切断溝54は、横方向(Xの方向)に同一幅をおいて平行に切断するための直線状のスリットであり、前記切断溝52とは直交するスリットである。
【0042】
そして、切断装置10は、前記第1の切断予定線Wo1に沿ってワーク(被切断物)Woを短冊状に切断し、更に、ワーク(被切断物)Woを90度旋回させて、前記第2の切断予定線Wo2に沿ってワーク(被切断物)Woを短冊状に角切り(切断)する。すなわち、ワーク(被切断物)Woを格子状に切断する。
【0043】
ワーク(被切断物)Woの切断幅に対応した直径を有する一対のプーリー14及びプーリー16に、巻き掛けられ、切断領域においては直線状に走行する環状のバンドソー12を、ワーク(被切断物)Woの切断幅(160mm以下)に対応した間隔をおいて同一平面内に並設させ、バンドソー12が外れない速度でバンドソー12を回転させて、複数のバンドソー12により一定の間隔をおいて、ワーク(被切断物)Woを平行な直線状に切断する。
【0044】
第1の切断装置10Aの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第1の切断予定線Wo1に沿って切断し、第1の切断装置10Aの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第2の切断予定線Wo2に沿って切断し、第2の切断装置10Bの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第3の切断予定線Wo3に沿って切断し、第2の切断装置10Bの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第4の切断予定線Wo4に沿って切断し、第3の切断装置10Cの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第5の切断予定線Wo5に沿って切断し、第3の切断装置10Cの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第6の切断予定線Wo6に沿って切断する。
又、ワーク(被切断物)Woを90度旋回した後、第1の切断装置10Aの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第11の切断予定線Wo11に沿って切断し、第1の切断装置10Aの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第12の切断予定線Wo12に沿って切断し、第2の切断装置10Bの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第13の切断予定線Wo13に沿って切断し、第2の切断装置10Bの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第14の切断予定線Wo14に沿って切断し、第3の切断装置10Cの直線状の第1の切断領域12aは、直線状の第15の切断予定線Wo15に沿って切断し、第3の切断装置10Cの直線状の第2の切断領域12bは、直線状の第16の切断予定線Wo16に沿って切断する。
第1の切断装置10A,第2の切断装置10B及び第3の切断装置10Cによって、ワーク(被切断物)Woは切断予定線に沿って一度に、複数列を切断され、且つ格子状に切断されて、厚板状体に成形される。
【0045】
バンドソー12の切り込み送り速度は、直線状に走行する一方の領域のみにおいてワークを切断するときの速度よりは低速である3.0〜1.0mm/分である。バンドソー12の切り込み送り速度とは、ワーク(被切断物)Woの表面(上面)から底面(下面)に向けてバンドソー12がワーク(被切断物)Woの中に深く入り込んでワーク(被切断物)Woを切り込んでいくときの垂直方向に移動するバンドソー12の送り速度、すなわち上から下に移動する速度である。
而して、バンドソー12は、ワーク(被切断物)Woの表面から底面に向けて深く入り込んで、ワーク(被切断物)Woを切断するときに、プーリー14及びプーリー16から外れることなく、プーリー14及びプーリー16の回転に伴って、ワーク(被切断物)Woを切断する。
この発明による切断では、バンドソー12の手前と奥の両方の刃で切断するため、切断の負荷抵抗が倍増するので、例えば、切り込み送り速度を1/2以下にしなければならないが、第1の切断装置10Aと第2の切断装置10Bと第3の切断装置10Cとを並列して6カット同時に切断できるので、1/2×6=3倍の能率になる。
さらに、切り込み送り速度が、従来より1/2以下とすれば、切断面の粗さが細かく、角柱のコーナー部に発生しやすいカケやチッピングが小さく、次工程でスライスするとき、歩留りが向上する。
【0046】
[実施例]
従来のダイヤモンドバンドソーは、焼入鋼帯の下端面にダイヤ粒子を含む金属合金チップを結着し、刃先とするものであるが、代表的なバンドソーの寸法は、鋼帯の厚さ1.0mm,幅160mm,長さ10m内外のものがエンドレスに接合され、2個の回転プーリーにより高速に一方向に走行している。従来のダイヤモンドバンドソーによる切断は、単刃による切断の発想で、ベルト(鋼帯)に引張張力(1.8トン)を与えて、手前側の切断刃118(第1の切断領域12a)のみで切断していた。
下端に結着しているダイヤチップは、一般的には、厚さが2.5mm内外であるため、ワーク(被切断物)Woを切断すれば、2.7mm内外の切り口となる。
使用されることが多いダイヤモンドバンドソーは、157mm幅で1.2mm厚の鋼帯を使う。
この従来のダイヤモンドバンドソーの手前側の切断領域のみによる多結晶シリコン角柱の平均的な切断精度は、表1に示す比較例1,比較例2及び比較例3の通りである。
【0047】
【表1】

【0048】
バンドソーによる切断は、ベルト(鋼帯)に引張張力を与えて、切断負荷をプーリー表面とベルト(鋼帯)との接触面の摩擦抵抗によって受けており、ベルト(鋼帯)を厚くし、幅を広くすることにより、大きな切断負荷抵抗を受けることができる。
切断速度(切り込み送り速度)を上げると、切断負荷抵抗は大きくなるので、切断厚精度を上げるためには、ベルト(鋼帯)が厚い方が有利である。
また、ベルト(鋼帯)の幅は、エンドレスに溶接接合するとき、厚みの厚いものの方が接合しやすいという利点がある。
【0049】
切断刃の刃厚が2.5mmと厚いと切断ロス(切りシロ)が発生するために、半分以下の薄厚の切断刃で切断できるようにできないかという問題点の解決を図ろうとしても、この切断の時間と切断刃の刃厚とは相関関係があるため、両方とも満足させるのは困難である。
切断刃の刃厚を薄くして、例えば、1.2mmのダイヤモンドチップを刃先とするには、ベルト(鋼帯)の厚さを少なくとも1.2mmの1/2の0.6mm以下にしなければならない。
それゆえに、バンドソー切断による材料の切断速度と精度の両方を満足させる切断方法が求められる。
【0050】
表1から分かるように、ベルト(鋼帯)の幅と厚さによるダイヤモンドバンドソーの切断性能は大きく変わるので、薄厚のダイヤモンドバンドソーで精度と能率を求めるには、多数の切断刃にしなければならない。
これまで、ダイヤモンドバンドソー切断では、単刃による切断の発想で、手前側の切断刃118(第1の切断領域12a)のみで切断していた。
奥側の切断刃118(第2の切断領域12b)と手前側の切断刃118(第1の切断領域12a)とにより切断するために、薄板を多数ピッチ送りで切断するのではなく、ダイヤモンドバンドソーを回転させるプーリー外径の寸法を、ワーク(被切断物)Woの切断するときの2条の切断溝の幅と同一の長さにして切断するような、2面が同時に切断できる方式を採用することにした。
【0051】
比較例4のバンドソーを使い、切り込み送り速度を6mm/分で、ワーク(被切断物)Woの幅300mmで高さ160mmの多結晶シリコンをバンドソー12の第1の切断領域12a及び第2の切断領域12bの両方の切断刃118を使い、高さ方向において上から下に向けて切断したが、通常の引張張力(1.8トン)では、切断の負荷抵抗に抗し切れず、バンドソー12がプーリーから外れるため、切断不能となった。
原因は、バンドソー12の第1の切断領域12a及び第2の切断領域12bの両側で切断するので、切断時の負荷が2倍になったためである。
そこで、一つの解決方法としては、引張張力を2倍に上げることを考えられるが、切断する機械の構造上、例えば、回転軸(スピンドル)、テンションシリンダ等も寸法に制約があるなど無理があるので、バンドソー12において解決を図ることが必要である。
本件発明によれば、プーリー外径が160mmφ以下で、従来のプーリーの直径の1/5以下で極端な小型である。
そして、バンドソーの手前側と向こう側の両側の切断領域で切断しなければならないため、単純には切断負荷は2倍になるが、それに対応する張力をかけることができない。
回転軸(スピンドル)、テンションシリンダ等も寸法に制約があり、大きく作ることができないため、1トンを超える張力をかけることができない。
例えば、100mmφ×0.6mm厚のベルト(鋼帯)にかかる張力は、約8トン必要であるので、160mmφ×100mmφのプーリーでは全く無理がある。
本実施例においては、50mmφ×0.3mm厚のベルト(鋼帯)で、ベルト(鋼帯)にかかる張力を0.45トンとして、更に切り込み送り速度をバンドソーの手前側のみにおいて切断していたときの切り込み送り速度に比して1/5以下にすることにより、負荷抵抗を下げている。
【0052】
実施例1のバンドソーは、鋼帯の幅100mm,鋼帯の厚さ0.6mm,切断刃厚さ1.2mmである。
実施例2のバンドソーは、鋼帯の幅100mm,鋼帯の厚さ0.6mm,切断刃厚さ1.2mmである。
実施例1及び実施例2の切断刃は、平面視が矩形の切断刃用シート材を、横断面が略コ字形になるように裏面側に折り曲げることによって形成されている。
切断刃用シート材は、薄い銅、真ちゅう、鋼などの板状の基材の上面に、砥粒子を含む第1砥粒層及び第2砥粒層を設けたものである。第1砥粒層を構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子を基材に固着させる接着材としての機能を有する。
第2砥粒層を構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子を第1砥粒層に固着させる接着材としての機能を有する。
基材の材料としては、厚さが0.05mm(代表値)の銅板などが用いられる。第1砥粒層及び第2砥粒層の砥粒子を固着するメッキ層ないし金属層の材料としては、例えばニッケル、銅、錫、あるいはこれらの合金などが用いられる。
砥粒子の材料としては、粒度が120#(約105μm)のダイヤモンド粒子が用いられる。
プーリーは、外径の直径が160mm以下である。
バンドソーは、前記通常の張力(1.8トン)より弱い1トン以下(0.45トン)の張力をかけて緊張させる。この実施例では、通常の張力の4分の1から5分の1の張力をかけて緊張させている。
実施例1及び2のバンドソーを使い、切り込み送り速度を1.5mm/分で、ワーク(被切断物)Woの幅300mmで高さ160mmの多結晶シリコンを、160mmの間隔があるバンドソー12の第1の切断領域12a及び第2の切断領域12bの両方の切断刃118を使い、高さ方向において上から下に向けて切断したところ、多結晶シリコンを、切断厚精度0.30mm及び0.10mmで切断することができた。
【0053】
実施例3のバンドソーは、鋼帯の幅50mm,鋼帯の厚さ0.3mm,切断刃厚さ0.6mm,切断刃の逃げ0.15mm,砥粒粒度120/140♯である。
実施例4のバンドソーは、鋼帯の幅50mm,鋼帯の厚さ0.3mm,切断刃厚さ0.6mm,切断刃の逃げ0.15mm,砥粒粒度120/140♯である。
実施例3及び実施例4の切断刃は、平面視が矩形の切断刃用シート材を、横断面が略コ字形になるように裏面側に折り曲げることによって形成されている。
切断刃用シート材は、薄い銅、真ちゅう、鋼などの板状の基材の上面に、砥粒子を含む第1砥粒層及び第2砥粒層を設けたものである。第1砥粒層を構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子を基材に固着させる接着材としての機能を有する。
第2砥粒層を構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子を第1砥粒層に固着させる接着材としての機能を有する。
基材の材料としては、厚さが0.05mm(代表値)の銅板などが用いられる。第1砥粒層及び第2砥粒層の砥粒子を固着するメッキ層ないし金属層の材料としては、例えばニッケル、銅、錫、あるいはこれらの合金などが用いられる。
砥粒子の材料としては、粒度が120#(約105μm)ないしは140♯のダイヤモンド粒子が用いられる。
プーリーは、外径の直径が160mm以下である。
バンドソーは、1トン以下(0.45トン)の張力をかけて緊張させる。
実施例3及び4のバンドソーを使い、切り込み送り速度を1.5mm/分及び1.0mm/分で、ワーク(被切断物)Woの幅300mmで高さ160mmの多結晶シリコンを、160mmの間隔があるバンドソー12の第1の切断領域12a及び第2の切断領域12bの両方の切断刃118を使い、高さ方向において上から下に向けて切断したところ、多結晶シリコンを、切断厚精度0.25mm及び0.15mmで切断することができた。
【0054】
実施例5のバンドソーは、鋼帯の幅50mm,鋼帯の厚さ0.25mm,切断刃厚さ0.5mm,切断刃の逃げ0.125mm,砥粒粒度140/170♯である。
実施例5の切断刃は、平面視が矩形の切断刃用シート材を、横断面が略コ字形になるように裏面側に折り曲げることによって形成されている。
切断刃用シート材は、薄い銅、真ちゅう、鋼などの板状の基材の上面に、砥粒子を含む第1砥粒層及び第2砥粒層を設けたものである。第1砥粒層を構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子を基材に固着させる接着材としての機能を有する。
第2砥粒層を構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子を第1砥粒層に固着させる接着材としての機能を有する。
基材の材料としては、厚さが0.05mm(代表値)の銅板などが用いられる。第1砥粒層及び第2砥粒層の砥粒子を固着するメッキ層ないし金属層の材料としては、例えばニッケル、銅、錫、あるいはこれらの合金などが用いられる。
砥粒子の材料としては、粒度が140#ないしは170♯のダイヤモンド粒子が用いられる。
実施例5のバンドソーを使い、切り込み送り速度を1.0mm/分で、ワーク(被切断物)Woの幅300mmで高さ160mmの多結晶シリコンを、160mmの間隔があるバンドソー12の第1の切断領域12a及び第2の切断領域12bの両方の切断刃118を使い、高さ方向において上から下に向けて切断したところ、多結晶シリコンを、切断厚精度0.30mmで切断することができた。
【0055】
実施例6のバンドソーは、鋼帯の幅40mm,鋼帯の厚さ0.3mm,切断刃厚さ0.6mm,切断刃の逃げ0.15mm,砥粒粒度120/140♯である。
実施例7のバンドソーは、鋼帯の幅40mm,鋼帯の厚さ0.3mm,切断刃厚さ0.6mm,切断刃の逃げ0.15mm,砥粒粒度120/140♯である。
実施例6及び実施例7の切断刃は、平面視が矩形の切断刃用シート材を、横断面が略コ字形になるように裏面側に折り曲げることによって形成されている。
切断刃用シート材は、薄い銅、真ちゅう、鋼などの板状の基材の上面に、砥粒子を含む第1砥粒層及び第2砥粒層を設けたものである。第1砥粒層を構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子を基材に固着させる接着材としての機能を有する。
第2砥粒層を構成するメッキ層は、薄い金属層、例えばその厚みが0.1mm(代表値)であり、砥粒子を第1砥粒層に固着させる接着材としての機能を有する。
基材の材料としては、厚さが0.05mm(代表値)の銅板などが用いられる。第1砥粒層及び第2砥粒層の砥粒子を固着するメッキ層ないし金属層の材料としては、例えばニッケル、銅、錫、あるいはこれらの合金などが用いられる。
砥粒子の材料としては、粒度が120#(約105μm)ないしは140♯のダイヤモンド粒子が用いられる。
実施例6及び7のバンドソーを使い、切り込み送り速度を1.5mm/分及び1.0mm/分で、ワーク(被切断物)Woの幅300mmで高さ160mmの多結晶シリコンを、160mmの間隔があるバンドソー12の第1の切断領域12a及び第2の切断領域12bの両方の切断刃118を使い、高さ方向において上から下に向けて切断したところ、多結晶シリコンを、切断厚精度0.30mm及び0.25mmで切断することができた。
【表2】

【0056】
鋼帯は幅広く厚い方が送り速度同一では切断精度は高く出る。
刃部の厚さが厚く、逃げが多い方が切断精度が高く出る。
切り込み送り速度が遅い方が切断精度は高く出る。
【0057】
これらの切断の実施中、改善されたことは、切断面が細かく、ワークのコーナー部にカケやチッピングが少ないことである。これは、送り速度が従来より極端に遅いため加工中の負荷の減少によるものと考えられ、材料歩留りが向上し、大きな利点である。
奥側の切断刃118(第2の切断領域12b)と手前側の切断刃118(第1の切断領域12a)を使い、2カット同時に可能となったが、これだけでは、能率面で従来のバンドソー切断には劣るので、これを並列に多段に並べることで、解決できる。
【0058】
例えば、実施例3のバンドソーを、横方向に3列に並べて切断したとき、切り込み送り速度が単独の切断刃の1/5内外の1.5mm/分でも6カット同時に行うことになるので、1.5mm×6=9mmの送り速度となる。従って、単独の切断刃の8mm/分を超えることになるので、能率が良くなる。
さらに、実施例3のバンドソーを、縦方向に3列並べ、2個の材料を同時に切断することもできるので、合計12カットを同時に行うこととなり、一度に25個の角柱が、さらに半分の時間で切断できることになる。
【0059】
能率向上のみならず、薄い切断刃を使うことにより、材料の切断ロス(切りシロ)が少なくなる。
従来、切りシロ2.5mmの単独の切断刃で12カットすると、全ての切りシロは、30mmとなるが、本発明による薄刃による全切りシロは、0.6mm×12=7.2mmと、従来の1/4以下となり、高価なシリコン素材を節減できる。
【符号の説明】
【0060】
10 切断装置
10A 第1の切断装置
10B 第2の切断装置
10C 第3の切断装置
12 バンドソー
12a 第1の切断領域
12b 第2の切断領域
14,16 プーリー
18 駆動手段
20,22 回転軸
24 緊張手段
26 ワーク昇降用手段
28 タイミングベルト
30 機台
40 テーブル
50 捨て板
52,54 切断溝
42,44 昇降ガイド
46 昇降ジャッキ
112 ベルト
114 切込部
116 刃部
116a 前面
116b 背面
116c 端面
116d 側面
118 切断刃
118a 前面
118b 背面
118c 端面
120 基材
122 砥粒子
124a 第1砥粒層
124b 第2砥粒層
126 補強層
218 切断刃用シート材
Wo ワーク(被切断物)
Wo1 第1の切断予定線
Wo2 第2の切断予定線
Wo3 第3の切断予定線
Wo4 第4の切断予定線
Wo5 第5の切断予定線
Wo6 第6の切断予定線
Wo11 第11の切断予定線
Wo12 第12の切断予定線
Wo13 第13の切断予定線
Wo14 第14の切断予定線
Wo15 第15の切断予定線
Wo16 第16の切断予定線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて平行に切断する切断装置を備え、
前記切断装置は、
環状のバンドソーと、
前記バンドソーを切断領域においては直線状に走行するように巻き掛ける、一対のプーリーと、
前記プーリーを回転させる駆動手段と、
前記駆動手段に連結され、一対のプーリーをそれぞれ回転させる一対の回転軸と、
前記バンドソーを緊張させる、緊張手段とを有し、
前記プーリーは、ワークの切断幅に対応した直径を有し、
前記プーリーに巻き掛けられたバンドソーは、プーリーに巻き掛けられて直線状に走行する手前側の切断領域と向こう側の切断領域のいずれにおいてもワークを切断するように構成されるとともに、直線状に走行する一方の領域のみにおいてワークを切断するときの切り込み送り速度の2分の1以下の切り込み送り速度により、ワークの中に深く入れて切断するように構成され、
前記一対のプーリーに巻き掛けられたバンドソーを有する切断装置が、ワークの切断幅に対応した間隔をおいて、同一平面内に並設された、切断装置。
【請求項2】
バンドソーは、帯状のベルトと前記ベルトの幅方向の一端側に間隔を隔てて固着された、複数の切断刃とを含み、
切断刃は、結晶形シリコンを切断するためのダイヤモンド粒子を含む砥粒子を有している、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
駆動手段は、駆動モータであり、該駆動モータの軸と回転軸とにタイミングベルトを掛け渡されて、バンドソーを回転するように形成された、請求項1又は請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
更に、ワークを載置して、ワークの表面からバンドソーをワークの中に深く入れるために昇降させるワーク昇降用手段を備えた、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の切断装置。
【請求項5】
緊張手段は、バンドソーを外側に引っ張るために回転軸に連結された、テンション装置である、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の切断装置。
【請求項6】
緊張手段は、バンドソーに1トン以下の張力をかけて緊張させるように構成された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の切断装置。
【請求項7】
プーリーは、外径の直径が180〜100mmである、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の切断装置。
【請求項8】
バンドソーの帯状のベルトは、幅が50mm以下で厚さが0.4mm以下であり、
バンドソーの切断刃は、厚さが0.6mm以下である、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の切断装置。
【請求項9】
ワークの切断幅に対応した直径を有する一対のプーリーに、巻き掛けられて直線状に走行する手前側の切断領域と向こう側の切断領域のいずれにおいてもワークを切断する環状のバンドソーを、ワークの切断幅に対応した間隔をおいて同一平面内に並設させ、且つ緊張させて、
直線状に走行する一方の領域のみにおいてワークを切断するときの切り込み送り速度の2分の1以下の切り込み送り速度によりバンドソーをワークの中に深く入れて切り込みバンドソーを回転させ、
手前側の切断領域と向こう側の切断領域のいずれにおいてもワークを切断する複数のバンドソーにより、間隔をおいて、ワークを平行な直線状に切断する、切断方法。
【請求項10】
ワークは、結晶形シリコンであり、
バンドソーの切断刃は、結晶形シリコンを切断するためのダイヤモンド粒子を含む砥粒子を有している、請求項9に記載の切断方法。
【請求項11】
バンドソーの切り込み送り速度は、3.0〜1.0mm/分である、請求項9又は請求項10に記載の切断方法。
【請求項12】
ワークは、160mm以下の間隔の切断幅で、平行に並列した直線状に切断される、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の切断方法。
【請求項13】
バンドソーは、1トン以下の張力をかけて緊張させる、請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の切断方法。
【請求項14】
ワークは、平行な上底と下底と側面とを有する、角柱状体であり、
上底より下底に向って又は下底より上底に向って、複数のバンドソーにより等間隔に側面に沿って切断される、請求項9ないし請求項13のいずれかに記載の切断方法。
【請求項15】
ワークは、平行な上底と下底と側面とを有する、角柱状体であり、
上底より下底に向って又は下底より上底に向って、第1の切断線に沿って、複数のバンドソーにより等間隔に側面に沿って切断され、且つ、ワークを旋回させて、前記第1の切断線とは直交ないしは斜交する第2の切断線に沿って、上底より下底に向って又は下底より上底に向って、複数のバンドソーにより等間隔に側面に沿って切断される、請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2012−240313(P2012−240313A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112816(P2011−112816)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(501417228)三和ダイヤ工販株式会社 (2)
【Fターム(参考)】