説明

切断装置及び該切断装置を備えた解体作業車

【課題】 鋼製梁、脚、柱などに使用されているH形鋼等を剪断する際に、切断装置に対抗してしっかり押さえなくても、被切断物が逃げ難い切断装置を得る。
【解決手段】 一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、この刃部支点で前記一対の切り刃部を開閉駆動する開閉駆動手段とを備えた切断装置において、刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば自動車スクラップの解体作業、建築物の分別解体作業等を行うに好適な切断装置及びこの切断装置を備えた解体作業車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今となっては過去のことになるが、自動車スクラップの解体作業は、山積みされた廃車ボデイをクレーンで一台ずつ降ろして運搬車両により運搬し、スクラップ工場の作業場で切断トーチ等により、非能率的に切断や、部品の取外しを行なっていた。
【0003】
これに対して、本発明者は、先端に開閉作業工具を有する油圧操作ブームを旋回及び伏仰可能に備えた自走車両の車体部に水平方向に開閉する一対の開閉アームを取り付け、この開閉アームに、スクラップ対象物を回動可能に挟持する挟持具や対象物を破断または圧潰するための割り工具などの各種作業ハンドを取り付けるようにした解体装置(例えば特許文献1参照)を提案し、解体作業を足回りよく効率的に、しかもスクラップの或る程度の分別回収も行えるようにした。
【0004】
また、種々のスクラップの中には、例えば家電品や建築廃材等の他のスクラップの解体は通常の取り扱い対象外としていたので、各地に各種のスクラップがそれぞれ集積されて解体を待つ状況となりつつある。例えば電気洗濯機などのスクラップでは、外側の筐体及び洗濯槽と内部の電動機とを分別解体しなければならず、また電気冷蔵庫でも筐体と内側断熱材およびコンプレッサーなどを分別解体しなければならない。しかしながら、従来の解体作業車ではブーム先端の開閉作業工具によってこれらの内部の電動機やコンプレッサーを直接取り出すことができず、別の手作業による解体またはやむなく一体のまま処分する等の処理が行われていた。
【0005】
このような状況の下、本発明者は、スクラップ対象物の分別回収の取り扱い範囲を寸法及び強度の面で拡大して廃車を始めとする各種のスクラップの分別解体作業をそれらの集積場所において効率的に行うことのできる多用途型のスクラップ解体作業車(例えば、特許文献2参照)を提案した。
【0006】
また、例えば配水配管のスクラップのように配管部分とバルブ部分のように分別回収すべき異種金属部品が小型硬質でしかも強固に固着しているようなものもあり、このようなものは従来の解体作業車では取り扱うことができないので、多くの場合は分別回収せずに処分していた。この場合、配管部分は比較的廉価な鉄スクラップであり、バルブ部分は比較的高価な砲金などであり、分別回収すれば経済効果が得られるのに対して、一体のまま処理すれば高価な砲金などが無駄になる。
【0007】
更に、近年よりリサイクル思想が高まり、建築廃材についても、埋め立て廃棄するよりは再利用できるものは再利用しようとの気運が高まってきた。例えば、マンション等の大規模住宅では、各戸に配電する配電線が銅資源として、アルミサッシ枠がアルミ資源として、鉄筋コンクリート中の鉄筋が鉄資源として、そしてコンクリート片は道路舗装用砂利として再利用可能である。
【0008】
大規模住宅の配電線は太いもので、断面積が400mm (より線)のものもあり、その材質は良質な銅である。この配電線の資源化に際しては、従来の解体作業車に備わっている作業具では、切断も難しく、ましてや、良質な銅材の分別のために絶縁層を剥離することも行えない状態であった。
【0009】
このために、本発明者は、車体の前部又は後部に起伏駆動可能に装備された開閉駆動可能な左右一対の作業アームの間に、一対の切り刃部の各々の車体側の一端部で一対の切り刃部を互いに擦り合うように枢動する切断装置を備えた解体作業車を提案(特許文献3参照)し、この高出力の切断装置によって、スクラップの中でも高価で希少価値のある砲金や銅を回収することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平3−78460号公報
【特許文献2】特許第3101717号公報
【特許文献3】特開2006−57331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この高出力の切断装置を備えた解体作業車では、橋梁・鉄塔建築物等の大型鋼製梁、脚、柱などに使用されているH形鋼を始めとする鋼材を解体目的で剪断刃により切断する際に、一対の切り刃部同士を擦り合わせると鋼材を始めとする硬い被切断物は徐々に前方に移動し、この被切断物が擦り合わせ外側へ逃げないようにしっかりと押さえる必要があった。
【0012】
本発明は、自動車スクラップの解体作業、建築物の分別解体作業等を行うに好適な切断装置及びこの切断装置を備えた解体作業車を得ることを目的とし、特に、橋梁・鉄塔建築物等の大型鋼製梁、脚、柱などに使用されているH形鋼を始めとする鋼材等の被切断物を解体目的で剪断刃により切断する際に、被切断物を切断装置に対抗してしっかり押さえなくても、被切断物が擦り合わせ外側へ逃げない切断装置及びこの切断装置を備えた解体作業車を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載された発明に係る切断装置は、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、この刃部支点で前記一対の切り刃部を開閉駆動する開閉駆動手段とを備えた切断装置において、
前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2に記載された発明に係る切断装置は、請求項1に記載の一対の突部が、隣接して配される部分切り刃の縁部を段状に配したものであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に記載された発明に係る切断装置を備えた解体作業車は、自走車両の車体上に旋回可能に搭載された起伏可能な油圧作動ブームと、前記ブーム先端に取付けられた遠隔操作によって開閉作動する解体作業用ペンチャーとを備えた解体作業車において、
前記解体作業用ペンチャーが、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、この刃部支点で前記一対の切り刃部を開閉駆動する開閉駆動手段と、前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項4に記載された発明に係る切断装置を備えた解体作業車は、自走車両の車体上に旋回可能に搭載された起伏可能な油圧作動ブームと、前記ブーム先端に取付けられた遠隔操作によって開閉作動する解体作業用ペンチャーと、前記車体の前部又は後部に起伏駆動可能に装備された開閉駆動可能な左右一対の作業アームと、前記一対の作業アームの枢動支点に近接した位置に被切断物を切断する切断装置を備えた解体作業車において、
前記切断装置が、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、前記切り刃部の各々の他端部と前記一対の作業アームの各々とに連結してアームの開閉動を各々の切り刃部に伝える連結具と、前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、橋梁・鉄塔建築物等の大型鋼製梁、脚、柱などに使用されているH形鋼を始めとする鋼材等の被切断物であっても、被切断物を切断装置に対抗してしっかり押さえなくても、被切断物が擦り合わせ外側へ逃げないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の切断装置を備えた解体作業車の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の解体作業車の作業アームの平面図である。
【図4】図3の斜視図である。
【図5】図3の作業アーム間の切断装置の動作を説明する説明図である。
【図6】作業アームの別の実施例の平面図である。
【図7】本発明の切断装置を備えた解体作業車の別の実施例を示す正面図である。
【図8】図7に示した解体作業用ペンチャーの構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明においては、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、この刃部支点で前記一対の切り刃部を開閉駆動する開閉駆動手段とを備えた切断装置において、前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備える。これにより、先ず一対の突部が被切断物に食い込むことになり、この突部の食い込みにより、被切断物を切断装置に対抗してしっかり押さえなくても、被切断物が擦り合わせ外側へ逃げないという効果を奏する。
【0020】
本発明の切断装置としては、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、この刃部支点で前記一対の切り刃部を開閉駆動する開閉駆動手段とを備えるものであれば良い。
【0021】
本発明の突部としては、刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設されたものであればよい。より具体的には、刃部支点で閉回動した際に突設が被切断物を刃部支点方向に押し入れるように突設の形状や先端の方向を調節したものが好ましい。
【0022】
具体的な本発明の突部の構成としては、平面が半円状、三角形状、四角形状等の突部形状をなすものが挙げられる。好ましい態様としては、一対の突部が、隣接して配される部分切り刃の縁部を段状に配したものである。また、その個数についても、少なくとも一対備えればよいため、一対のみの突部を対向させて配しても良いし、複数の突部を連続して組み合わせて歯形状に並べても良い。
【0023】
本発明の切断装置は、自動車スクラップの解体作業、橋梁・鉄塔建築物等の大型鋼製梁、脚、柱などに使用されているH形鋼を始めとする鋼材の解体作業等を行うに好適であるため、解体作業車に取付けられる。具体的には、特許文献2や特許文献3等における解体作業車の自走車両の車体上に旋回可能に搭載された起伏可能な油圧作動ブーム先端に取付けられた遠隔操作によって切り刃が開閉作動する解体作業用ペンチャーは元より、同じく特許文献2や特許文献3等における車体の前部又は後部に起伏駆動可能に装備された高出力で開閉駆動可能な左右一対の作業アームの枢動支点に近接した位置に被切断物を剪断する切断装置が挙げられる。
【0024】
より具体的には、自走車両の車体上に旋回可能に搭載された起伏可能な油圧作動ブームと、前記ブーム先端に取付けられた遠隔操作によって開閉作動する解体作業用ペンチャーとを備えた解体作業車において、前記解体作業用ペンチャーが、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、この刃部支点で前記一対の切り刃部を開閉駆動する開閉駆動手段と、前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備える。これにより、解体作業用ペンチャーで被切断物を切断する際に、被切断物が擦り合わせ外側へ逃げることが無く切断作業を容易に行うことができる。
【0025】
また、自走車両の車体上に旋回可能に搭載された起伏可能な油圧作動ブームと、前記ブーム先端に取付けられた遠隔操作によって開閉作動する解体作業用ペンチャーと、前記車体の前部又は後部に起伏駆動可能に装備された開閉駆動可能な左右一対の作業アームと、前記一対の作業アームの枢動支点に近接した位置に被切断物を切断する切断装置を備えた解体作業車において、前記切断装置が、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、前記切り刃部の各々の他端部と前記一対の作業アームの各々とに連結してアームの開閉動を各々の切り刃部に伝える連結具と、前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備える。これにより、作業アームの開閉動作で被切断物を切断する際に、被切断物を切断装置に対抗してしっかり押さえなくても、擦り合わせ外側へ逃げることが無く切断作業を容易に行うことができる。
【実施例】
【0026】
図1は本発明の切断装置を備えた解体作業車の一例を示す正面図であり、図2は図1の平面図である。図は自走車両として油圧バックホーを利用した例を示している。図3は図1に示した解体作業用ペンチャーの構成を説明する説明図である。図4は図3の斜視図である。図5は図3の作業アーム間の切断装置の動作を説明する説明図である。図6は作業アームの別の実施例の平面図である。
【0027】
図1及び図2において、一対のトラックベルト4で移動可能な車両1にはエンジン出力の一部で駆動される旋回ステージ2が搭載されている。また、このステージ2の後方には搭載された各油圧ピストンシリンダ装置の駆動源としてのる油圧発生装置5が搭載されている。ステージ2上には、走行時に前向きとなるように運転キャビン3が前部左側に設けられており、また中央部にはブーム6が起伏シリンダ7で起伏可能に枢支されている。
【0028】
このブーム6は搬送する際には折りたたまれ、その先端には解体作業用ペンチャー20が搭載されている。このペンチャー20は、油圧作動ブーム6の先端にペンチャー回転台19を介して取付けられている。ペンチャー回転台19はキャビン3からの油圧又は電動式の遠隔操作で、その軸心回りにペンチャー20を正逆回動させ、所望の向きにすることができる。
【0029】
ペンチャー20は、回転台19に固定された固定アーム部21aと、油圧によって支点22を中心にして開閉駆動する駆動アーム部21bとの一対のアーム部からなる。一対のアーム部の対向側には、支点22から外方に向かって切断刃23と挟持部24とが順に配されている。
【0030】
また、車両1の前部には、支持ブロック8が枢支軸9によって上下に伏仰可能に取り付けられ、この支持ブロック8の伏仰は、車体1から前方へ着き出して設けられた油圧ピストンシリンダ装置10によって駆動されるようになっている。支持ブロック8の前面には互いに近接配置された枢軸支点11a,11bによって水平方向に開閉可能な一対のアーム12a,12bが前方へ突き出すように設けられており、各アームの中ほどには、支持ブロック8との間でアームの開閉動作をするための油圧ピストンシリンダ装置13a,13bのピストンロッド先端が滑節軸14a,14bにより連結されている。
【0031】
両アーム12a,12bの互いに対面する内側の面には、枢軸支点11a,11b側から順に、前記アーム12a,12bの閉動作により挟圧して被切断物を2つに剪断する切断装置25と、被切断物をアーム間で挟持するためのお椀状の凹面からなる先端面をもつ挟持具15a,15bとが固定されている。
【0032】
挟持具15a,15bの上部には、一対の突設工具16a,16bが立設されている。この一対の突設工具16a,16bは、上方に向かうに従い互いに離反するように、途中で曲折されている。この突設工具16a,16bを用いることにより、解体対象物の開裂分断作業が可能である。
【0033】
また、挟持具15a,15bの上部に立設されたこの突設工具16a,16bを用いることにより、解体対象物が環状のものは、環状の内径を引っ掛けて、アーム12a,12bの開動作を行うことにより、径方向に引っ張られる。この間をブーム先端の解体作業用ペンチャー20で破断することにより、効率よく切断することができる。
【0034】
図2、図3、図4及び図5に示す通り、切断装置25は、一対の切り刃部26a,26bの車体側の端部に形成された刃部支点27で一対の切り刃部26a,26bを互いに擦り合うように枢動される。また、一対の切り刃部26a,26bの他端部には、各々連結具28a,28bが備わり、これら連結具28a,28bによって、各々のアーム12a,12bに連結されている。アーム12a,12bを開閉することにより、図5に示すように各々の切り刃部26a,26bが開閉して、間に挟んだ被切断物を剪断する。
【0035】
一対の切り刃部26a,26bに着脱自在に装着される部分切り刃29の刃線は、擦り合い面の反対側を研いだ片刃であり、これにより、被切断物を切断した際に切屑が出難く、良好な解体作業を行うことができる。部分切り刃29は支点27に最も近接した部分切り刃29aの端縁位置が他の部分切り刃29の端縁位置よりも切り刃部側に引っ込んだ状態となり、段状となっている。
【0036】
このため、支点27に最も近接した部分切り刃29aの外方に隣接する部分切り刃29の支点27側が突部となり、大型鋼製梁、脚、柱などに使用されているH形鋼等の大型の被切断物を切断装置に対抗してしっかり押さえなくても、被切断物が擦り合わせ外側へ逃げ難い。更に、部分切り刃29aの外方に隣接する部分切り刃29の支点27側の突部は、先端の方向が支点27側に(内側に)調製されているため、切り刃部26a、26bを閉回動した際に突設が被切断物を刃部支点方向に押し入れることになっている。これにより、一対のアーム12a,12bの開閉動作で被切断物を切断する際に、被切断物を切断装置25に対抗してしっかり押さえなくても、擦り合わせ外側へ逃げることが無く切断作業を容易に行うことができる。尚、図5に示す通り、部分切り刃29は一枚の刃としているが、切り刃部26との取付け深さを深くして2枚を積層させて取付けるようにしても良い。これにより、擦り合う部分切り刃の一方が欠けても積層された第2の刃が対応可能となり、また積層された部分切り刃の積層を替えることにより交換も容易となる。
【0037】
図6は作業アームの別の実施例の平面図である。尚、図6に示した作業アームは図3に示した作業アームのうち、切断装置30のみを相違させたものである。このため、図1〜図4の作業アームと同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。図6に示す通り、切断装置30は、一対の切り刃部31a,31bの車体側の端部に形成された刃部支点32で一対の切り刃部31a,31bが互いに擦り合うように枢動される。また、一対の切り刃部31a,31bの他端部には、各々連結具33a,33bが備わり、これら連結具33a,33bによって、各々のアーム12a,12bに連結されている。
【0038】
一対の切り刃部31a,31bに着脱自在に装着される部分切り刃34の刃線は、擦り合い面の反対側を研いだ片刃であり、これにより、被切断物を切断した際に切屑が出難く、良好な解体作業を行うことができる。部分切り刃34は支点32に最も近接した部分切り刃34aから外側に向かって順に端縁位置が対向する切り刃部の方に伸長した部分切り刃34b、34c、34dを装着し、階段状となっている。
【0039】
このため、支点32に最も近接した部分切り刃34aの外方に隣接する部分切り刃34bの支点32側が第1の突部となり、部分切り刃34cの支点32側が第2の突部、更に、最外の部分切り刃34dの支点32側が第3の突部となり、大型鋼製梁、脚、柱などに使用されているH形鋼等の大型の被切断物を切断装置に対抗してしっかり押さえなくても、被切断物が擦り合わせ外側へ逃げない構成となっている。
【0040】
更に、第1の突部、第2の突部、第3の突部の何れも、先端の方向が支点32側に調製されているため、切り刃部31a、31bを閉回動した際に突設が被切断物を刃部支点方向に押し入れることになっている。これにより、一対のアーム12a,12bの開閉動作で被切断物を切断する際に、被切断物を切断装置30に対抗してしっかり押さえなくても、擦り合わせ外側へ逃げることが無く切断作業を容易に行うことができる。
【0041】
図7は本発明の切断装置を備えた解体作業車の別の実施例を示す正面図である。図8は図7に示した解体作業用ペンチャーの構成を説明する説明図である。尚、図7に示した解体作業車は図1に示した解体作業車のうち、解体作業用ペンチャー40のみを相違させたものである。このため、図1と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0042】
ペンチャー40は、回転台19に固定された一対のアーム部41と、これら一対のアーム部41を各々の支点42を中心にして開閉駆動する一対の油圧ピストンシリンダ装置43とを備える。一対のアーム部41の先端部を除く擦り合わせ対向位置には、複数枚の切断刃44が配されている。
【0043】
複数枚の切断刃44は、図3に示した切断装置25と同様に、各々の支点42に最も近接した切断刃44aの端縁位置が他の切断刃44の端縁位置よりもアーム部側に引っ込んだ状態となり、段状となっている。このため、支点42に最も近接した切断刃44aの外方に隣接する切断刃44の支点42側が突部となり、硬い被切断物や太い被切断物を切断装置に対抗してしっかり押さえなくても、被切断物が擦り合わせ外側へ逃げ難い。
【0044】
尚、太い棒状のものであれば一対のアーム部41の先端部で挟持可能であるため、先端部を今日治具として使用することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…車両、
2…旋回ステージ、
3…運転キャビン、
4…トラックベルト、
5…油圧発生装置、
6…ブーム、
7…起伏シリンダ、
8…支持ブロック、
9…枢支軸、
10…油圧ピストンシリンダ装置、
11a,11b…枢軸支点、
12a,12b…作業アーム、
13a,13b…油圧ピストンシリンダ装置、
14a,14b…滑節軸、
15a,15b…挟持具、
16a,16b…突設工具、
19…回転台、
20…ペンチャー、
21a…固定アーム部、
21b…駆動アーム部、
22…支点、
23…切断刃、
24…挟持部、
25…切断装置、
26a,26b…切り刃部、
27…刃部支点、
28a,28b…連結具、
29…部分切り刃、
29a…支点に最も近接した部分切り刃、
30…切断装置、
31a,31b…切り刃部、
32…刃部支点、
33a,33b…連結具、
34…部分切り刃、
34a…支点に最も近接した部分切り刃、
34b…34aの外隣の部分切り刃、
34c…34bの外隣の部分切り刃、
34d…34cの外隣の部分切り刃、
40…ペンチャー、
41…一対のアーム部、
42…支点、
43…一対の油圧ピストンシリンダ装置、
44…切断刃、
44a…支点に最も近接した切断刃、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、この刃部支点で前記一対の切り刃部を開閉駆動する開閉駆動手段とを備えた切断装置において、
前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備えたことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記一対の突部が、隣接して配される部分切り刃の縁部を段状に配したものであることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
自走車両の車体上に旋回可能に搭載された起伏可能な油圧作動ブームと、前記ブーム先端に取付けられた遠隔操作によって開閉作動する解体作業用ペンチャーとを備えた解体作業車において、
前記解体作業用ペンチャーが、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、この刃部支点で前記一対の切り刃部を開閉駆動する開閉駆動手段と、前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備えたことを特徴とする解体作業車。
【請求項4】
自走車両の車体上に旋回可能に搭載された起伏可能な油圧作動ブームと、前記ブーム先端に取付けられた遠隔操作によって開閉作動する解体作業用ペンチャーと、前記車体の前部又は後部に起伏駆動可能に装備された開閉駆動可能な左右一対の作業アームと、前記一対の作業アームの枢動支点に近接した位置に被切断物を切断する切断装置を備えた解体作業車において、
前記切断装置が、一対の切り刃部と、これら一対の切り刃部の各々の一端部で互いに擦り合うように枢動する刃部支点と、前記切り刃部の各々の他端部と前記一対の作業アームの各々とに連結してアームの開閉動を各々の切り刃部に伝える連結具と、前記刃部支点に近接した一対の切り刃部の各々に互いに向かい合うように突設された一対の突部とを備えたことを特徴とする解体作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−64025(P2011−64025A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216494(P2009−216494)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(508127915)株式会社とわに (11)
【Fターム(参考)】