列車内情報サービスシステム、電子チケット及び発券装置
【課題】 乗客との関係を明確にして、状況に応じて動的に適切な情報を流すことができる列車内情報サービスシステムを提供する。
【解決手段】 鉄道車両1内の各指定席2に対応して配置されたモニタ3と、鉄道車両1内に設けられ、鉄道車両1外から指定席を特定して送信される情報を蓄積し、該情報を該特定された指定席のモニタ3に表示させる制御装置6と、鉄道車両1外に設けられた情報システムサーバ11と、乗客が乗車する列車及び指定席の情報を格納した電子チケット8が通過したことに応じて、チケット8に格納された情報をサーバ11に通知する改札装置7とを備え、サーバ11は、チケット8の発行を受けた乗客が、鉄道車両1内でサービスの提供を受けたい情報を登録する登録手段と、改札装置7からの通知に応じて、改札装置7を通過したチケット8の発行を受けた乗客が登録手段で登録した情報を、指定席3を特定して制御装置6に送信する送信手段とを有する。
【解決手段】 鉄道車両1内の各指定席2に対応して配置されたモニタ3と、鉄道車両1内に設けられ、鉄道車両1外から指定席を特定して送信される情報を蓄積し、該情報を該特定された指定席のモニタ3に表示させる制御装置6と、鉄道車両1外に設けられた情報システムサーバ11と、乗客が乗車する列車及び指定席の情報を格納した電子チケット8が通過したことに応じて、チケット8に格納された情報をサーバ11に通知する改札装置7とを備え、サーバ11は、チケット8の発行を受けた乗客が、鉄道車両1内でサービスの提供を受けたい情報を登録する登録手段と、改札装置7からの通知に応じて、改札装置7を通過したチケット8の発行を受けた乗客が登録手段で登録した情報を、指定席3を特定して制御装置6に送信する送信手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両等で旅行する旅客に対する情報サービスシステムに関する。特に、各個人が要求した情報を、乗車前に予め車上のデータベースに蓄積し、スピーディーな操作環境で情報提供したり、走行する運用計画や乗客の嗜好推定結果に合わせて、効果的な広告情報や有用な社会情報を提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT(インフォメーションテクノロジー)の進展や処理装置の高速化で、列車や航空機、自動車にも高速なネットワークや、高速なマイクロ処理装置が搭載されるようになってきた。この機能を利用して、列車走行時に旅客に対して様々な情報を提供するシステムが実現されるようになってきている。
【0003】
IT技術を用いた電車として、駅案内情報や広告情報を表示するための表示装置を、扉の上部に取り付けたものが開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。これらの情報サービスは、前述したように鉄道で旅行中に一般的に有用と考えられる情報と共に、広告情報や、文字ニュース情報、駅構内の階段の配置等の駅に関する情報等々が流されている。即ち、何時もそこを使用している乗客への情報サービスに加えて、交通弱者的な存在となる当該路線についてあまり知識を持っていない乗客に対しても、安心感を与えるような情報の提供で乗客をサポートし、旅行の安心感を与えようとする意図がうかがえる。文字ニュース情報等は、ビジネスマンの利用が多い都市交通機関では乗客の関心が高い情報と考えられて流されているものと思われる。
【0004】
【非特許文献1】是此田真由美、他6名 「列車内情報サービス提供システムの開発 ―ACトレインにおける新しい情報提供システム―」 平成14年鉄道技術連合シンポジウム予稿集 p.583〜584
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術では個人嗜好にまで踏み込んで、尚且つ簡単なシステムで高品質な情報を提供する点でまだ配慮が欠けていた。一方個人を特定しない最大公約数的な情報を提供する場合でも、その情報を見る乗客とのマッチング度をより高めて、広告等のスポンサーの満足度を高めると共に、乗客に取っても受ける情報の有用度をさらに向上させるところまでは実現されていない。
【0006】
即ち、これまで実現されてきたシステムでは、鉄道を利用する人にとって一般的に有用であろうという情報を中心に提供していた。例えば、線区の特徴や、季節、時間帯等で、どのような層の乗客が当該列車に多く乗っているか過去の統計的な経験を基に情報を提供している。
【0007】
本発明は、従来技術ではまだ機能的に十分に実現されていない乗客との関係を明確にして、状況に応じて動的に適切な情報を流すことができるシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る列車内情報サービスシステムでは、鉄道車両内に、各指定席に対応してモニタを配置するとともに、これらのモニタに情報を表示させる制御装置とを設ける。この制御装置は、鉄道車両外から指定席を特定して送信される情報を蓄積し、その情報をその特定された指定席のモニタに表示させる。また、鉄道車両外に、情報システムサーバと、この情報システムサーバとの通信機能を有する改札装置とを設ける。この改札装置は、乗客が乗車する列車及び指定席の情報を格納した電子チケットが通過したことに応じて、その電子チケットに格納された情報を情報システムサーバに通知する。
【0009】
電子チケットの発行を受けた乗客は、この情報システムサーバに、鉄道車両内でサービスの提供を受けたい情報を登録することができる。そして、前記改札装置からの通知に応じて、この改札装置を通過した電子チケットの発行を受けた乗客が登録した情報を、指定席を特定して鉄道車両内の前記制御装置に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る列車内情報サービスシステムによれば、列車の乗客が会員登録して、該乗客が列車に乗車中に見たい情報を乗車前に予め要求した場合、その要求した情報を車上にセットできるので、個人の嗜好に合わせて高品質な情報サービスを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の基本構成の一例を示したものである。本図は、車上での情報サービスを受けるために、予め会員制等の仕組みを取りサービスを受けるための形態のもとで、会員となっている旅行者が情報サービスを受ける場合を示している。後ほど、図2では、会員以外の旅行者向け情報サービスシステムについて説明する。図1に戻り、鉄道車両1は模擬的に1両の車両を書いているが、この車両は何両であっても構わない。また、この図1で説明するサービスでは、指定席サービスを受けられることを前提としていて、指定席2を示している。指定席2には、個人用のモニタ付き情報端末3を設備する。本図面では、会員登録している旅行者が、指定席2に着席する予定であり、その座席の個人用の情報端末3に乗車前に必要な情報を表示してほしいと要求を出した場合について、その流れに沿って説明する。
【0012】
サービスを受けたい旅行者は予め情報サービスサーバ11に会員登録し、電子チケットを受領する。会員登録手法に関しては、一般的に行われているどのような手法をとってもよく、本発明内容とは関係ない。事前に登録してある旅行者が、チケット8で改札装置7を通ると、改札装置7は、その旅行者がどの列車に乗車しどこに着席するかを示す情報をチケット8から読み取り、その情報を鉄道用ネットワーク9を通して情報サービスサーバ11に送信する。近年、改札装置としては、例えばICチップを搭載した電子チケットから情報を読み取る機能及び鉄道用ネットワークを通して情報を送信する機能を有するものが実用化されているので、そうした改札装置を応用または改良して改札装置7として用いることが可能である。チケット8は、電子チケットや通常の磁気乗車券等幾つかの形態が有り得るので、後ほど詳しく説明する。
【0013】
該旅行者が、鉄道を利用するときに提供してほしい情報として、例えば、最新の株価情報や国際情勢などのジャンルを情報サービスサーバ11に登録しておけば、情報サービスサーバ11は、情報蓄積装置12からそのジャンルの情報を読み出して、駅ホーム14に停車中に駅構内地上車上間通信装置5を通して車上通信装置4に送信する。また、情報蓄積装置12に最新情報が無ければ、情報サービスサーバ11は、情報サービスを行っている情報ソースが接続されているネットワーク10を通して、契約情報ソースや独自構築或いはインターネット等に接続されている情報サーバ13から必要な最新情報を取得し、情報蓄積装置12に一旦蓄積すると共に、駅ホーム14に停車中に駅構内地上車上間通信装置5を通して、車上通信装置4に送信する。このように、必要な情報を、移動しながらの通信ではなく、駅で停車中の予め通信環境が安定した状態の無線通信を用いて車上に前もって伝達するので、走行中に乗客が情報サービスを受けたときに、情報の乱れなどが発生しない高品質な情報を提供することができる。
【0014】
なお、停車中にセットしきれない情報は、ここでは特に図示しないが、様々な移動体通信手段、例えば携帯電話網や鉄道用の通信網などを用いて随時セットする。また、放送を受信するようなものは、随時受信して車内に情報を流す。車上で受信した該情報は、列車を統括的に制御する車上制御装置6に蓄積され、情報の配信先を特定し、個人用の情報端末3に送信する。
【0015】
本システムの、改札装置7から鉄道用ネットワーク9を通して情報サービスサーバ11に接続する通信機能やプロトコルは、一般的なセキュリティ機能を持ったもので構築してもよいし、或いは強固なセキュリティ機能を持たせた独自のネットワークでも構わない。また、電子乗車券の改札情報を取得する手法についても、改札装置7でチケット8を認識して通過を許可する判断をする度、即ちイベントドリブンで情報サービスサーバ11に送信しても良いし、情報サービスサーバ11からポーリングして、改札装置7に対して電子乗車券の改札状況を送信せよと要求しても構わない。即ち、これらのネットワーク構築手法に関しては、本発明においては通信遅延として数秒程度の遅延であれば大きなシステム障害とはならないので、構築手法は多くの変形バージョンでの構築が可能であり、これということで特定するものでは無い。但し、通信遅延が分のオーダーを越えると、乗客が列車に乗る前に要求した情報のセットが間に合わない可能性があるので、分程度の通信遅延とならないように構築する。情報サービスサーバ11については、本発明の鉄道システム用に特殊な機能を持つ必要があり、後ほど図面を用いて機能を説明する。車内監視装置22、重量センサ23、ホーム監視装置24の利用については、後ほど図2の説明の中で記述する。
【0016】
図2は、会員向け情報サービスではなく、一般乗客向け情報サービスをする場合の、本発明の基本構成を示している。即ち、全指定席列車でなければ、個人乗客がどの区間何時どこに着席するかを特定することはできないので、当該列車に対して最適な情報サービスとなると推定した情報を提供する。図1と異なるところは、ここでは鉄道車両1の車両を自由席車両として、自由席座席20を示して、複数人単位、例えば車両前部に一箇所或いは数箇所単位で設置する情報表示装置21を示している。このシステムを構築するためには、情報サービスサーバ11でのチケット8の情報を、図1で説明した同様のルートで取り込み乗客層をリアルタイムで分析する機能や、本システムとは異なるところで取得した統計情報を収集する旅客情報収集装置15を用いて、乗客層を高精度に推定するための情報を乗客情報収集ネットワーク16を通して収集する。
【0017】
旅客推定情報ソース17は、以下に示すように複数あるが、ここでは一括して示している。旅客推定情報ソース17の中には、図4で示す電子チケット8−1を購入した購入個人情報、例えば、年齢や職業など、或いは、クレッジト機能付き電子チケット8−2を購入した同様の個人情報、みどりの窓口を管理する指定券発行装置の発券情報、即ち子供指定券の発券数や通常の大人指定券の発行情報、或は、指定券発券機に付属させた家族発券やビジネス発券の情報、或は、運行管理装置からの情報、例えば、修学旅行指定列車やイベント列車、季節の臨時増発便の列車等々が含まれる。これらの情報を旅客情報収集装置15で収集し、該情報を、情報サービスサーバ11に転送する。情報サービスサーバ11で当該列車で最適となるサービス情報を選択し、駅で停車中に車上に情報を送信する。現在、指定券発券装置には、家族指定で発券したかや、ビジネス関係で発券したかの情報を入力することはできないので、本発明では、該機能を持たせた指定券発券装置も接続できるようにしている。
【0018】
ここでは、自由席車両を例に説明したが、この機能は、対象としている列車が全指定席列車であっても、図1で説明したような会員の乗客だけが乗車するとは限らないし、会員であっても個人的な情報サービスを要求しない乗客も考えられることから、図1に示した機能を実現するためにも、より良い情報サービスを行うために必要な機能である。
【0019】
また、乗客層の推定や、乗車人数の推定には、車内監視装置22や重量センサ23も利用することが可能である。車内監視装置22に人を計数する機能を持たせ車両毎に計数することも可能であるし、子供推定も画像処理機能を用いればある程度の精度で可能である。重量センサは、実際にブレーキの強さの制御等にも用いられているものであり、この情報を用いることで、乗車人数の推定に利用できる。さらに、事故防止のために、ホームにホーム監視装置24が設置されている場合は、ホームの状況を解析することで混雑の度合いなどを推定でき、前述のように画像を解析することで大人と子供の割合なども推定できる。システム的に使用可能なセンサを適宜用いて、乗客層や乗客人数の推定に利用すればよい。
表示装置については、ここでは、複数人が同時に見られる構造で説明したが、座席個々に端末が設備される車両では、該個別の表示装置に前記最適と判断した情報を表示すればよい。
【0020】
図2のシステムにより、一般乗客、即ち自由席に乗車している乗客や、個人的な情報サービスを要求していない乗客に対しても、乗客層を推定した結果から適切であろうと思われる情報を流すことができ、乗客の旅行中の満足度を向上させることができる。情報サービスサーバ11の機能については、後ほど図面を用いて詳しく説明する。
【0021】
図3は、図1或いは図2のシステム(便宜上図1のシステムを元に図面は書いている)で、広告情報をサービスする場合のシステムを示している。システムを運用するためには、初期装置コストや運用のための費用が必要である。鉄道乗車料金に上乗せする手法や、広告収入で補う手法等が一般的に考えられる。ここでは、鉄道移動中の吊り広告等に対する注視率の高さに着目したシステムを提供し、広告効果を従来以上に高めて、該利用料金で該コストを賄う方式を取っている。乗車中に乗客が吊り広告等を見る割合は、広告情報だけと知っていても、聞き取り調査などによると凡そ10人のうち7人程度と高く、注視率から考えると広告効果が高いとの傾向があることが知られている。本発明のシステムは、図1のシステムの場合には乗客が自分で要求した情報を乗車中に提供することができ、図2のシステムの場合には乗客層を分析しリアルタイムに乗客層に合わせて提供情報を変更できるので、情報への注視率をさらに高めることができる。その中で提供する広告情報の効果はさらに高まることになる。また、広告情報提供元にとっても、注視率だけでなく、どのような層の人にどれだけ広告を見てもらったかは重要な指標であり、注視率に加えて乗客層まで分かるようになるので、さらに効果の向上が期待できることになり広告掲載意欲も向上することになる。また、乗客層を分析できるようになることから、広告掲載料金についても、あらたな商取引もできるようになり、費用対効果という面でよりクリアな状況にできる。
【0022】
この広告情報は、広告データベース30に蓄積され、図1や図2で動作の概要を説明した情報サービスサーバ11が、適切な広告情報を選択し、車上へ送信する。このシステム処理に関しても、幾つかのバリエーションがあるので、後ほど詳しく説明する。また、本発明の一つである商取引に関するシステムについては後ほど図10を用いて説明する。乗客層を分析してより適した情報を提供し、効果的な広告を流せるシステムを提供することで、広告情報に於ける収入増を誘発し、乗客に対する新たな負担増を招くことなく旅行中の快適性を向上させるシステムを提供できるようになる。
【0023】
図4に、本発明の1つの形態として、電子チケットを用いた場合の該電子チケットの機能を示す。ここでは、チケットの総称記号を8として、電子チケットを8-1として示している。近年電子チケットは、ICチップを搭載したものが実用化され、改札機にかざすだけで改札できるものも使用されている。電子チケット8-1には実用化されているものでも、ID番号等個人を特定できるデータを搭載しているし、プリチャージ機能を持っていれば、残高照会もしてその場で決済もできるようになっている。
【0024】
図1に示した本発明では、電子チケット8-1とそのチケットを持っている個人を結びつける機能(すなわち、その電子チケット8-1を持っている個人を特定する情報を電子チケット8-1内に格納すること)が必須で、個人を特定するID情報を持つことは必須である。そのために情報登録部40に個人ID登録部42の機能を持つ。また、この図では、電子チケットに行き先等の切符情報登録部43を持つ場合を示している。この場合は、切符情報として、乗車する列車,乗車区間及び座席の情報を登録することで、旅行者がどの列車のどの座席にどの乗車区間の間着席するかが分かる。この電子チケット8-1を持つ旅行者は、予め、例えばオフラインで、このような情報を列車に乗車中に提供してほしいと情報サービスサーバ11に登録しておく。そして、その旅行者が電子チケット8-1で改札装置7を通ると、図1に示したように、改札装置7から情報サービスサーバ11に電子チケット8-1内のID情報及び切符情報が通知され、情報サービスサーバ11が、図1に示したように、その旅行者が予め登録した情報を、列車が駅に停車中に車上にセットする。
【0025】
もし、行き先情報や指定席情報がチケット8に無くても、システム的には他の手法で特定することができる。変形例に関しては、後ほど図6,7,8を用いて説明する。図中に示した入場駅など登録機能44は、切符機能として必要な機能であり本発明では特に限定はせず、プリペイド式でもポストペイ式でも、クレジットカード式でも、乗車駅と降車駅を特定しなくては乗車料金を算定できないので、そのための機能である。この料金算定に関して、本発明では特に限定を加えるものでは無い。また改札機との通信機能41は、通常の電子チケットでも必須であるが、本発明のシステムでも必須機能である。本機能は電子チケットとして機能させるための機能であり、実用化されているものでも良く、本発明で特別な機能が具備されるものでは無い。
【0026】
図5は、情報サービスサーバ11の機能ブロック図を示している。まず図1に示した会員登録を行った旅行者が、指定席に着席することを前提とした場合に実施すべき機能について説明する。図5に示すように、処理機能部50に、会員各人を付与したIDと共に管理する会員管理機能51を有する。この会員登録に関しては、乗車前に本発明とは直接関係が無い別システム(スポーツや娯楽、ショッピング等様々なシステムで会員の登録と管理を行っているシステムを用いればよい)で行い電子チケット8-1を発行する。この電子チケット8-1の発行に関しては本発明とは関係ないので特に規定するものでは無い。この会員登録した情報を外部通信機能部60を通して入力して、会員管理機能部51で管理する。本システムでは、この電子チケット8-1と個人会員の関係を管理する機能が必須であり、例えば会員各人を付与したIDを図4の個人ID登録部42に登録している。
【0027】
そして、緑の窓口等で、会員が会員であることを提示できる手法(会員証の提示や、電子チケット8−1の利用、クレッジト機能付き電子チケット8−2等)で、乗車前に会員登録者が指定席券を予約したかどうかを判断するチケット発行管理機能52を有する。このチケット発行管理機能52は、図2に示したような旅客情報収集装置15を通して、指定券発券情報を収集して、外部通信機能部60を通して入力する。
【0028】
該収集した結果、会員が、乗車前に個人としてほしい情報を要求していれば、該要求に従って個人向け情報収集編集機能53で、車上にセットすべき情報をネットワーク10を通して収集、編集する。この個人向け情報編集機能53は、さらに個人が要求する情報の表示様式を判断する機能も持ち、例えば、使用料金等に関係する広告情報を表示するかどうかの選択機能や、情報量の制限選択、グラフィック入りやキャラクタ情報等の選択を判断する機能を持つ。会員制度の指定にもよるが、駅での通信は高品質に通信できるが、無限の通信速度持つわけではないので、貴重な通信資源をシェアすることになる。このため、ある程度の情報量のサービスまでは会員料金でコストを賄うなどのこともできるが、従量制などの制度で、大量の情報を必要とする場合は会員が負担するサービスとする機能も持つ。また、広告情報について考えると、その広告を流したことで料金をスポンサーに負担して貰うなどの形態もあり、広告情報を見るかどうかの選択を受け付け判断する機能も持つ。これらの機能に関しては、事前にオフラインで登録することも可能であるが、例えば、一般的な電話網や、移動体通信網を経由して逐次要求を受け付ける(例えば、定型のフォーマットで指定するメールや、電話でのオペレータによるオンコール対応等)ように前述の情報サービスサーバ11の外部システムとして設置することを前提とした会員管理システム機能を構築することで対応する。これらの情報は、外部通信機能部60を通して授受する。個人でカスタマイズできる設定の一例を表1に示す。
【表1】
【0029】
次に、図2に示した、個人を特定しないで車上で情報サービスを行う場合について説明する。今まで、車上での情報サービスは、広告情報や駅の案内情報、テロップでのニュース情報が主体であった。これらの情報も一定の乗客を想定して、平均的な情報の満足度、或いは広告効果を期待して情報サービスされていた。本システムでは、列車毎に乗客層を推定し、最も適した情報を提供するために、動的に列車の乗客層を推定するリアルタイム乗客層判定機能54を持つ。以下に、リアルタイム乗客層判定機能54が乗客層を推定するための処理を列挙する。
【0030】
第1の乗客層推定処理は、電子チケット8−1が用いられた場合は、本発明の機能とは直接関係しない会員管理装置内に職業や年齢情報等も個人情報として蓄積されている情報から、個人の属性と電子チケット8−1を関係付け、また、電子チケット8−1が用いられて指定券が購入された場合も、購入した旅行者の属性と乗車する列車の関係を情報サービスサーバ11で取り込み、図1や2に示したシステム構成で情報を取り込み、該情報を乗客層の判断材料の一つとして用いるものである。
【0031】
第2の乗客層推定処理は、乗車中に個人情報サービスを受ける会員として登録されてはいないが、図6に示すような機能を持ったクレジット機能付き電子チケット8−2で乗車券や指定券を購入した情報を用いるものである。クレジット機能付き電子チケット8−2は、図4で示した電子チケット8-1の機能と大きな違いは無く、行き先等の切符情報43の代わりに、クレジット機能45を装備させたものである。即ち、該カードを購入するときに、電子チケット8−1を持つときと同じように、本発明の外部システムで購入者の個人属性を管理する。そして、該クレジット機能付き電子チケット8−2を用いて乗車券や指定券を購入した情報を、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して読み込み、該指定席券を購入した列車の乗客層の判断材料の一つとして利用する。
【0032】
第3の乗客層推定処理は、現在の乗車券、指定席券発券装置から、調べたい列車の子供乗車券、大人乗車券の発行状況の情報を取得するものである。このために、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して、指定券発行システムにアクセスし、前記情報を読み込み、列車の乗客層の判断材料の一つとして利用する。或いは、図7に示す磁気乗車券8−3に書き込まれたチケット情報46を改札機から読み出せるようにして、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して改札機の管理装置にアクセスして子供乗車券、大人乗車券の発行状況を読み出し、該列車の乗客層の判断材料の一つとして利用する。
【0033】
第4の乗客層推定処理は、現在の乗車券、指定席券発券装置に、家族連れやビジネス利用等の購入者の属性の情報を入力できる機能を持たせて、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して、該指定券発行システムにアクセスし、前記情報を読み込み、列車の乗客層の判断材料の一つとして用いるものである。
【0034】
第5の乗客層推定処理は、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して、運行管理システムにアクセスし、運行情報、修学旅行特定列車やイベント列車、季節の臨時増発便の情報等を読み込み、前記情報を列車の乗客層の判断材料の一つとして用いるものである。
【0035】
その他の推定処理としては、従来から用いられている、季節や曜日や時間帯による統計的な波動を利用する手法を用いる。例えば、統計的に、学校が始まる時間帯や終了する時間帯であれば学生が多く、会社が始まる時間帯や終了する時間帯であれば社会人が多い、土曜日や日曜日であれば家族連れで子供も多く乗車するなどの大まかな傾向は、当然と認められているところである。しかし、これだけでは大まかな傾向であり、前述のような手法で、指定券の購入情報や、改札装置からの通学定期券で改札を通ったことを通知する情報や、購入者の属性を判断することで、動的に列車単位で精度良く乗車している旅行者層を推定することが可能になる。また、一般的に何かイベントなどがあった場合その会場近くでは、イベントが対象とする層の旅行者が多く乗車するなどの傾向があり、これらの情報も入手することで、さらにきめ細かく乗客層を推定できる。該情報も、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して、外部イベント管理装置にアクセスし情報を読み込み、列車の乗客層の判断材料の一つとして用いるものである。
【0036】
以上のシステム概要を纏めて図示すると、図8のようになる。図1、図2と異なり、情報サービスサーバ11が乗客層を推定するためにアクセスするシステムのみをピックアップして示している。即ち、情報サービスサーバ11は鉄道用ネットワーク9を通して、旅客情報収集装置15に対して乗客層推定に必要な情報を要求する。旅客情報収集装置15は、鉄道用ネットワーク9や運行管理用ネットワーク70や鉄道業務用ネットワーク71を通して、改札装置7や稼動中の発券装置72から、子供券や大人券の指定席の発券状況、電子チケット8-1やクレジット機能付き電子チケット8−2に対応可能な発券装置73からは、旅行者の個人属性まで関連付けられる該電子チケット8-1や該クレジット機能付き電子チケット8−2のID情報と指定席券の情報、家族利用やビジネス利用等旅行者の属性を入力できる発券装置74の発券情報、旅行者の季節波動や曜日波動、時間波動等、過去の統計情報を管理処理する旅行者波動管理装置75からは定性的な旅行者の動向情報、運行管理装置76からは修学旅行列車やイベント対応列車などの情報を入手し、これら入手した情報を、情報サービスサーバ11の要求に従って送信するか、定期的に送信するなど適した送信手段を用いて送信する。
【0037】
情報サービスサーバ11が持つリアルタイム乗客層判定機能54の処理について、図9を用いて説明する。図8に示したような発券情報や個人属性情報をもとに乗客層を推定するが、収集した情報を分類すると、指定券の発行件数80、発行した指定券の個人属性81、旅行者波動統計82、子供・大人券の発行状況83、運行管理情報84になる。これらの情報をもとに、リアルタイム乗客層判定機能54で、判定分類(基本分類)85に示すカテゴリーの中から、列車毎に最も合致する状況を選択し、選択結果86を出力する。
【0038】
例えば、ウィークデイの列車で東京到着時刻が10時ごろで、大人券の発券が多く、電子チケット8-1やクレジット機能付き電子チケット8−2の情報からもビジネスマンが多いと判断できる場合は、1)強ビジネス用途列車であると判断する。また、春や秋の観光シーズンの週末で、行き先が観光名所であり、電子チケット8-1やクレジット機能付き電子チケット8−2の情報から女性などの用途が多く見られる場合は3)強観光用途列車と判断する。また、夏休み期間中の週末で、行き先が海浜の観光地で、子供券の発券が多い場合は5)強家族用途列車と判断する。イベント用途列車であれば、当然イベントが対象とする観客層の乗客が多いと判断する。しかし、乗客層がミックスされる場合もあり、乗客層の傾向はあるが強いと判断できない場合は、2)、4)、6)に示すような弱い傾向とする。また、どうしても傾向が掴めない場合は、8)その他多用途列車と判断する。ここで示した分類は、基本分類であり、これらが混ざって、2)弱ビジネス用途と4)弱観光用途が混ざる場合も十分に考えられる。情報サービスを提供する情報内容の分類に従って、適切に傾向分けできるように、判定結果の分岐数を決めればよい。
【0039】
列車毎に乗客層を推定した結果を利用して、適切な情報を車上に送信するために、情報サービスサーバ11に不特定多数向け情報収集編集機能55を具備する。即ち推定した乗客層に最適な情報を該不特定多数向け情報収集編集機能55で収集編集するが、既に列車に提供すべき情報が送信されていれば、情報を車内で流す時刻等を指定する指令情報を送信する。列車側にその情報が無ければ、図1、や2に示すように情報サービスサーバ11が情報サービスを行っている情報ソースが接続されているネットワーク10を通して、契約や独自構築或いはインターネット等に接続されている情報サーバ13から取得して編集し、情報蓄積装置12に一旦蓄積する。そして、該編集した情報を対象列車に駅構内地上車上間通信装置5を主として用いて送信する。例えば、強ビジネス用途列車と判断した場合は、最新ニュース情報や株価情報、ビジネス誌の情報等を収集して編集し送信する。また、強観光用途列車であれば、季節に合わせて沿線の観光情報を収集して編集し送信する。受信した鉄道車両1では、該情報と共に受信した、提供指令、例えば時刻や頻度を判断し、車上で情報を流す。
【0040】
次に、前述したような個人旅行客からの要求情報やリアルタイムに乗客を推定して車上で提供する情報に加えて、広告情報を流す手法について説明する。列車毎に最適な情報を提供でき、その間に流す広告情報も旅行客層に合わせれば、広告効果を上げることができる。該広告の提供様式を制御するため、広告情報提供制御機能56を持つ。該広告情報提供制御機能56の制御機能を表2に示す。
【表2】
【0041】
まず、情報蓄積装置12の管理機能である情報蓄積装置管理機能は、広告スポンサーが車上で提示することを依頼した広告情報の管理、更新、分類を制御する。本発明では、高精度に推定した乗客層の情報も、流すべき広告選択の条件として用いるので、広告スポンサーがどのような乗客層に対して流してほしいと要求しているかの属性情報も含めて、分類管理する機能を持つ。
【0042】
広告情報提供条件管理機能は、推定した乗客層に対応して流すべき広告情報の車内提示条件の管理を行う。例えば、広告情報の流し方としては、推定乗客層に無関係に従来と同じようにある期間提示する、曜日を決めて提示する、提示する時間帯を指定する、強ビジネス用途と推定された列車である期間何回以上車内で提示する、或いは、車上で位置を特定できる場合はどこの駅の近くなど、列車の走行条件も考慮しながら流せるように制御する。
【0043】
編集制御機能は、会員向けに広告情報を編集するのか、不特定多数の情報提供の合間等に流すのかなど、広告情報を提供するシチュエーション毎に、広告情報を編集すべきフォーマットを管理制御する。
【0044】
広告情報バージョン管理機能は、各列車にどの広告情報がセットされているか常に管理して、必要な広告情報だけを地上から車上に送る。各列車に対して広告情報以外の情報を随時送信するが、広告情報も広告スポンサーからの要求に従って、随時車上にセットする必要がある。限られた地上と車上間の通信容量であり、無駄に何回も同じ広告情報を車上に送ると、貴重な地上車上間通信を阻害することになるので、この機能を設けて、必要な広告情報だけを地上から車上に送れるようにしている。以上のように、車上に必要な広告情報をセットし、車上では広告情報提供制御機能56からの指示に従い、広告情報以外のサービス情報に挿入して広告情報を提示する。
【0045】
図10は、新たな広告情報提示のためのビジネス形態を示している。従来は、車上の広告は紙での広告が主体であり、乗客層に合わせて動的に広告を変えることはできなかったので、ある期間を決めて事前に取り決めた線区の車両内に広告を掲示してもらうことを条件にビジネス取引が行われるのが通常であった。本発明では、列車に乗車している乗客を推定して情報サービスをし、その情報サービスに挿入して広告情報を提示する形態となっている。このような形態をとることで、図10に示す新たなビジネス形態が可能となる。
【0046】
図10では、ビジネス形態を説明する機能だけに絞り込んで記述しており、その他の機能は省いて示しているが、図1や図2のシステムの通信機能や処理機能を使用して、システムを実現している。新たなビジネス形態の動作を順を追って説明する。まず図に丸付きの数字1で示すように、広告を掲示すべき線区や列車の種別、期間や乗客層等の条件を取り決めて情報サービスサーバ11にセットする。
【0047】
情報サービスサーバ11では、条件を判断して、丸付きの数字2で示すように、提示する広告情報と条件を列車に通知する。鉄道車両1では、通知された条件に従い広告を車内に提示して該提示したログを広告提示ログ装置90に保存する。該保存したログ情報を地上車上通信、或いは、人手でログ装置を取り出す等して、丸付きの数字3で示すように、情報サービスサーバ11に実績ログとして通知する。
【0048】
情報サービスサーバ11では、丸付きの数字4〜6で示すように、実績ログを分析し、契約条件に従って広告提示料金を算出して、決算システムへ通知する。ここでは、決算システムは示さないが、通常の商取引を行うシステムを用いればよい。そして、広告を提示した該実績ログ結果を広告スポンサーが確認し、料金の取引が行われ契約が完了する。このように、動的に列車の乗客層を推定し、その情報を利用することで、新たに広告効果に対するコストが明確になる広告ビジネスの商取引も可能になる。
【0049】
このように、本システムによれば、会員登録した乗客が要求した情報を提供するとき、会員の嗜好に合わせた広告情報まで流すことができ、該広告情報視聴するかどうかを、該会員に選択させる機能を持ち、広告情報の視聴如何で、該会員の視聴料金を上下させることもでき、情報料金の面でも柔軟性があり、より旅行客の嗜好に合わせた情報サービスができるようになっている。
【0050】
また、一般乗客に情報を提供する場合は、広告スポンサーの出資を元に情報サービスを提供できるので、スポンサーの料金で情報サービスが賄えれば、一般乗客に対して新たな乗車料金の負担増は無く、情報サービスを提供できる。
【0051】
本発明の情報サービスシステムでは、乗客層を精度良く推定し、効果的に広告情報を流すことができるようになる。即ち、乗客の関心度が高い情報の合間に広告を流すので、該広告を見る率も高まり、広告依頼主にとっては、関心の高い多くの人々に見てもらえることから、広告を出したことへの一つの満足度の指標が高まることになる。
【0052】
また、乗客嗜好を高い精度で推定できるので、その統計情報をもとに、どこで広告を流してほしいか等のスポンサーからの指定も可能で、スポンサーとしても投資効果がよく把握できるようになり、広告意欲も大きくなる。このような動的な乗客の動向に従って広告を流す条件指定を行った場合は、乗客層と流した広告の関係を後から分析して、広告スポンサー料金を後から徴収するなど今までに無い柔軟な商取り引き形態も考えられ、より広告スポンサーの満足度を高められ、依頼主と受け手の信頼関係を高めるシステムとすることもできる。乗客に取って有用な情報と共に流される広告は、広告ビジネスにとってもまた有用であり、列車での情報サービスを行っている鉄道会社への広告スポンサーの依頼意欲も高まり、情報の提供者、スポンサー、情報の受け手である乗客にとって、良い情報を流せれば流せるほど3者の満足度は高まり、良いビジネス循環ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】情報サービス登録会員向け情報サービスを行う場合のシステム構成を示す図である。
【図2】一般乗客向け情報サービスを行う場合のシステム構成を示す図である。
【図3】広告情報を流す場合の情報サービスを行う場合のシステム構成を示す図である。
【図4】個人ID登録機能を持った電子チケットの機能的構成を示す図である。
【図5】情報サービスサーバの機能的構成を示す図である。
【図6】クレジット機能を持った電子チケットの機能的構成を示す図である。
【図7】磁気チケットの機能的構成を示す図である。
【図8】乗客層を推定するためのシステム構成を示す図である。
【図9】情報サービスサーバの乗客層推定機能の処理例を示す図である。
【図10】広告料金決済システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 鉄道車両、 2 指定席、 3 個人用の情報端末、 4 車上通信装置、 5 駅構内地上車上間通信装置、 6 車上制御装置、 7 改札装置、 8 電子チケット、 8−1 電子チケット、 8−2 クレッジト機能付き電子チケット、 9 鉄道用ネットワーク、 10 ネットワーク、 11 情報サービスサーバ、 12 情報蓄積装置、 13 情報サーバ、 14 駅ホーム、 15 旅客情報収集装置、 16 乗客情報収集ネットワーク、 17 旅客推定情報ソース、 20 自由席座席、 21 情報表示装置、 22 車内監視装置、 23 重量センサ、 24 ホーム監視装置、 30 広告データベース、 40 情報登録部、 41 通信機能、 42 個人ID登録部、 43 切符情報登録部、 44 入場駅など登録機能、 45 クレジット機能、 50 処理機能部、 51 会員管理機能、 52 チケット発行管理機能、 53 個人向け情報収集編集機能、 54 リアルタイム乗客層判定機能、 55 不特定多数向け情報収集編集機能、 56 広告情報提供制御機能、 57 広告提供結果のログ管理機能、 58 広告提示料金清算機能、 70 運行管理用ネットワーク、 71 鉄道業務用ネットワーク、 72 発券装置、 73 発券装置、 74 旅行者属性入力可能発券装置、 75 旅行者波動管理装置、 76 運行管理装置、 90 広告提示ログ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両等で旅行する旅客に対する情報サービスシステムに関する。特に、各個人が要求した情報を、乗車前に予め車上のデータベースに蓄積し、スピーディーな操作環境で情報提供したり、走行する運用計画や乗客の嗜好推定結果に合わせて、効果的な広告情報や有用な社会情報を提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT(インフォメーションテクノロジー)の進展や処理装置の高速化で、列車や航空機、自動車にも高速なネットワークや、高速なマイクロ処理装置が搭載されるようになってきた。この機能を利用して、列車走行時に旅客に対して様々な情報を提供するシステムが実現されるようになってきている。
【0003】
IT技術を用いた電車として、駅案内情報や広告情報を表示するための表示装置を、扉の上部に取り付けたものが開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。これらの情報サービスは、前述したように鉄道で旅行中に一般的に有用と考えられる情報と共に、広告情報や、文字ニュース情報、駅構内の階段の配置等の駅に関する情報等々が流されている。即ち、何時もそこを使用している乗客への情報サービスに加えて、交通弱者的な存在となる当該路線についてあまり知識を持っていない乗客に対しても、安心感を与えるような情報の提供で乗客をサポートし、旅行の安心感を与えようとする意図がうかがえる。文字ニュース情報等は、ビジネスマンの利用が多い都市交通機関では乗客の関心が高い情報と考えられて流されているものと思われる。
【0004】
【非特許文献1】是此田真由美、他6名 「列車内情報サービス提供システムの開発 ―ACトレインにおける新しい情報提供システム―」 平成14年鉄道技術連合シンポジウム予稿集 p.583〜584
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術では個人嗜好にまで踏み込んで、尚且つ簡単なシステムで高品質な情報を提供する点でまだ配慮が欠けていた。一方個人を特定しない最大公約数的な情報を提供する場合でも、その情報を見る乗客とのマッチング度をより高めて、広告等のスポンサーの満足度を高めると共に、乗客に取っても受ける情報の有用度をさらに向上させるところまでは実現されていない。
【0006】
即ち、これまで実現されてきたシステムでは、鉄道を利用する人にとって一般的に有用であろうという情報を中心に提供していた。例えば、線区の特徴や、季節、時間帯等で、どのような層の乗客が当該列車に多く乗っているか過去の統計的な経験を基に情報を提供している。
【0007】
本発明は、従来技術ではまだ機能的に十分に実現されていない乗客との関係を明確にして、状況に応じて動的に適切な情報を流すことができるシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る列車内情報サービスシステムでは、鉄道車両内に、各指定席に対応してモニタを配置するとともに、これらのモニタに情報を表示させる制御装置とを設ける。この制御装置は、鉄道車両外から指定席を特定して送信される情報を蓄積し、その情報をその特定された指定席のモニタに表示させる。また、鉄道車両外に、情報システムサーバと、この情報システムサーバとの通信機能を有する改札装置とを設ける。この改札装置は、乗客が乗車する列車及び指定席の情報を格納した電子チケットが通過したことに応じて、その電子チケットに格納された情報を情報システムサーバに通知する。
【0009】
電子チケットの発行を受けた乗客は、この情報システムサーバに、鉄道車両内でサービスの提供を受けたい情報を登録することができる。そして、前記改札装置からの通知に応じて、この改札装置を通過した電子チケットの発行を受けた乗客が登録した情報を、指定席を特定して鉄道車両内の前記制御装置に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る列車内情報サービスシステムによれば、列車の乗客が会員登録して、該乗客が列車に乗車中に見たい情報を乗車前に予め要求した場合、その要求した情報を車上にセットできるので、個人の嗜好に合わせて高品質な情報サービスを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の基本構成の一例を示したものである。本図は、車上での情報サービスを受けるために、予め会員制等の仕組みを取りサービスを受けるための形態のもとで、会員となっている旅行者が情報サービスを受ける場合を示している。後ほど、図2では、会員以外の旅行者向け情報サービスシステムについて説明する。図1に戻り、鉄道車両1は模擬的に1両の車両を書いているが、この車両は何両であっても構わない。また、この図1で説明するサービスでは、指定席サービスを受けられることを前提としていて、指定席2を示している。指定席2には、個人用のモニタ付き情報端末3を設備する。本図面では、会員登録している旅行者が、指定席2に着席する予定であり、その座席の個人用の情報端末3に乗車前に必要な情報を表示してほしいと要求を出した場合について、その流れに沿って説明する。
【0012】
サービスを受けたい旅行者は予め情報サービスサーバ11に会員登録し、電子チケットを受領する。会員登録手法に関しては、一般的に行われているどのような手法をとってもよく、本発明内容とは関係ない。事前に登録してある旅行者が、チケット8で改札装置7を通ると、改札装置7は、その旅行者がどの列車に乗車しどこに着席するかを示す情報をチケット8から読み取り、その情報を鉄道用ネットワーク9を通して情報サービスサーバ11に送信する。近年、改札装置としては、例えばICチップを搭載した電子チケットから情報を読み取る機能及び鉄道用ネットワークを通して情報を送信する機能を有するものが実用化されているので、そうした改札装置を応用または改良して改札装置7として用いることが可能である。チケット8は、電子チケットや通常の磁気乗車券等幾つかの形態が有り得るので、後ほど詳しく説明する。
【0013】
該旅行者が、鉄道を利用するときに提供してほしい情報として、例えば、最新の株価情報や国際情勢などのジャンルを情報サービスサーバ11に登録しておけば、情報サービスサーバ11は、情報蓄積装置12からそのジャンルの情報を読み出して、駅ホーム14に停車中に駅構内地上車上間通信装置5を通して車上通信装置4に送信する。また、情報蓄積装置12に最新情報が無ければ、情報サービスサーバ11は、情報サービスを行っている情報ソースが接続されているネットワーク10を通して、契約情報ソースや独自構築或いはインターネット等に接続されている情報サーバ13から必要な最新情報を取得し、情報蓄積装置12に一旦蓄積すると共に、駅ホーム14に停車中に駅構内地上車上間通信装置5を通して、車上通信装置4に送信する。このように、必要な情報を、移動しながらの通信ではなく、駅で停車中の予め通信環境が安定した状態の無線通信を用いて車上に前もって伝達するので、走行中に乗客が情報サービスを受けたときに、情報の乱れなどが発生しない高品質な情報を提供することができる。
【0014】
なお、停車中にセットしきれない情報は、ここでは特に図示しないが、様々な移動体通信手段、例えば携帯電話網や鉄道用の通信網などを用いて随時セットする。また、放送を受信するようなものは、随時受信して車内に情報を流す。車上で受信した該情報は、列車を統括的に制御する車上制御装置6に蓄積され、情報の配信先を特定し、個人用の情報端末3に送信する。
【0015】
本システムの、改札装置7から鉄道用ネットワーク9を通して情報サービスサーバ11に接続する通信機能やプロトコルは、一般的なセキュリティ機能を持ったもので構築してもよいし、或いは強固なセキュリティ機能を持たせた独自のネットワークでも構わない。また、電子乗車券の改札情報を取得する手法についても、改札装置7でチケット8を認識して通過を許可する判断をする度、即ちイベントドリブンで情報サービスサーバ11に送信しても良いし、情報サービスサーバ11からポーリングして、改札装置7に対して電子乗車券の改札状況を送信せよと要求しても構わない。即ち、これらのネットワーク構築手法に関しては、本発明においては通信遅延として数秒程度の遅延であれば大きなシステム障害とはならないので、構築手法は多くの変形バージョンでの構築が可能であり、これということで特定するものでは無い。但し、通信遅延が分のオーダーを越えると、乗客が列車に乗る前に要求した情報のセットが間に合わない可能性があるので、分程度の通信遅延とならないように構築する。情報サービスサーバ11については、本発明の鉄道システム用に特殊な機能を持つ必要があり、後ほど図面を用いて機能を説明する。車内監視装置22、重量センサ23、ホーム監視装置24の利用については、後ほど図2の説明の中で記述する。
【0016】
図2は、会員向け情報サービスではなく、一般乗客向け情報サービスをする場合の、本発明の基本構成を示している。即ち、全指定席列車でなければ、個人乗客がどの区間何時どこに着席するかを特定することはできないので、当該列車に対して最適な情報サービスとなると推定した情報を提供する。図1と異なるところは、ここでは鉄道車両1の車両を自由席車両として、自由席座席20を示して、複数人単位、例えば車両前部に一箇所或いは数箇所単位で設置する情報表示装置21を示している。このシステムを構築するためには、情報サービスサーバ11でのチケット8の情報を、図1で説明した同様のルートで取り込み乗客層をリアルタイムで分析する機能や、本システムとは異なるところで取得した統計情報を収集する旅客情報収集装置15を用いて、乗客層を高精度に推定するための情報を乗客情報収集ネットワーク16を通して収集する。
【0017】
旅客推定情報ソース17は、以下に示すように複数あるが、ここでは一括して示している。旅客推定情報ソース17の中には、図4で示す電子チケット8−1を購入した購入個人情報、例えば、年齢や職業など、或いは、クレッジト機能付き電子チケット8−2を購入した同様の個人情報、みどりの窓口を管理する指定券発行装置の発券情報、即ち子供指定券の発券数や通常の大人指定券の発行情報、或は、指定券発券機に付属させた家族発券やビジネス発券の情報、或は、運行管理装置からの情報、例えば、修学旅行指定列車やイベント列車、季節の臨時増発便の列車等々が含まれる。これらの情報を旅客情報収集装置15で収集し、該情報を、情報サービスサーバ11に転送する。情報サービスサーバ11で当該列車で最適となるサービス情報を選択し、駅で停車中に車上に情報を送信する。現在、指定券発券装置には、家族指定で発券したかや、ビジネス関係で発券したかの情報を入力することはできないので、本発明では、該機能を持たせた指定券発券装置も接続できるようにしている。
【0018】
ここでは、自由席車両を例に説明したが、この機能は、対象としている列車が全指定席列車であっても、図1で説明したような会員の乗客だけが乗車するとは限らないし、会員であっても個人的な情報サービスを要求しない乗客も考えられることから、図1に示した機能を実現するためにも、より良い情報サービスを行うために必要な機能である。
【0019】
また、乗客層の推定や、乗車人数の推定には、車内監視装置22や重量センサ23も利用することが可能である。車内監視装置22に人を計数する機能を持たせ車両毎に計数することも可能であるし、子供推定も画像処理機能を用いればある程度の精度で可能である。重量センサは、実際にブレーキの強さの制御等にも用いられているものであり、この情報を用いることで、乗車人数の推定に利用できる。さらに、事故防止のために、ホームにホーム監視装置24が設置されている場合は、ホームの状況を解析することで混雑の度合いなどを推定でき、前述のように画像を解析することで大人と子供の割合なども推定できる。システム的に使用可能なセンサを適宜用いて、乗客層や乗客人数の推定に利用すればよい。
表示装置については、ここでは、複数人が同時に見られる構造で説明したが、座席個々に端末が設備される車両では、該個別の表示装置に前記最適と判断した情報を表示すればよい。
【0020】
図2のシステムにより、一般乗客、即ち自由席に乗車している乗客や、個人的な情報サービスを要求していない乗客に対しても、乗客層を推定した結果から適切であろうと思われる情報を流すことができ、乗客の旅行中の満足度を向上させることができる。情報サービスサーバ11の機能については、後ほど図面を用いて詳しく説明する。
【0021】
図3は、図1或いは図2のシステム(便宜上図1のシステムを元に図面は書いている)で、広告情報をサービスする場合のシステムを示している。システムを運用するためには、初期装置コストや運用のための費用が必要である。鉄道乗車料金に上乗せする手法や、広告収入で補う手法等が一般的に考えられる。ここでは、鉄道移動中の吊り広告等に対する注視率の高さに着目したシステムを提供し、広告効果を従来以上に高めて、該利用料金で該コストを賄う方式を取っている。乗車中に乗客が吊り広告等を見る割合は、広告情報だけと知っていても、聞き取り調査などによると凡そ10人のうち7人程度と高く、注視率から考えると広告効果が高いとの傾向があることが知られている。本発明のシステムは、図1のシステムの場合には乗客が自分で要求した情報を乗車中に提供することができ、図2のシステムの場合には乗客層を分析しリアルタイムに乗客層に合わせて提供情報を変更できるので、情報への注視率をさらに高めることができる。その中で提供する広告情報の効果はさらに高まることになる。また、広告情報提供元にとっても、注視率だけでなく、どのような層の人にどれだけ広告を見てもらったかは重要な指標であり、注視率に加えて乗客層まで分かるようになるので、さらに効果の向上が期待できることになり広告掲載意欲も向上することになる。また、乗客層を分析できるようになることから、広告掲載料金についても、あらたな商取引もできるようになり、費用対効果という面でよりクリアな状況にできる。
【0022】
この広告情報は、広告データベース30に蓄積され、図1や図2で動作の概要を説明した情報サービスサーバ11が、適切な広告情報を選択し、車上へ送信する。このシステム処理に関しても、幾つかのバリエーションがあるので、後ほど詳しく説明する。また、本発明の一つである商取引に関するシステムについては後ほど図10を用いて説明する。乗客層を分析してより適した情報を提供し、効果的な広告を流せるシステムを提供することで、広告情報に於ける収入増を誘発し、乗客に対する新たな負担増を招くことなく旅行中の快適性を向上させるシステムを提供できるようになる。
【0023】
図4に、本発明の1つの形態として、電子チケットを用いた場合の該電子チケットの機能を示す。ここでは、チケットの総称記号を8として、電子チケットを8-1として示している。近年電子チケットは、ICチップを搭載したものが実用化され、改札機にかざすだけで改札できるものも使用されている。電子チケット8-1には実用化されているものでも、ID番号等個人を特定できるデータを搭載しているし、プリチャージ機能を持っていれば、残高照会もしてその場で決済もできるようになっている。
【0024】
図1に示した本発明では、電子チケット8-1とそのチケットを持っている個人を結びつける機能(すなわち、その電子チケット8-1を持っている個人を特定する情報を電子チケット8-1内に格納すること)が必須で、個人を特定するID情報を持つことは必須である。そのために情報登録部40に個人ID登録部42の機能を持つ。また、この図では、電子チケットに行き先等の切符情報登録部43を持つ場合を示している。この場合は、切符情報として、乗車する列車,乗車区間及び座席の情報を登録することで、旅行者がどの列車のどの座席にどの乗車区間の間着席するかが分かる。この電子チケット8-1を持つ旅行者は、予め、例えばオフラインで、このような情報を列車に乗車中に提供してほしいと情報サービスサーバ11に登録しておく。そして、その旅行者が電子チケット8-1で改札装置7を通ると、図1に示したように、改札装置7から情報サービスサーバ11に電子チケット8-1内のID情報及び切符情報が通知され、情報サービスサーバ11が、図1に示したように、その旅行者が予め登録した情報を、列車が駅に停車中に車上にセットする。
【0025】
もし、行き先情報や指定席情報がチケット8に無くても、システム的には他の手法で特定することができる。変形例に関しては、後ほど図6,7,8を用いて説明する。図中に示した入場駅など登録機能44は、切符機能として必要な機能であり本発明では特に限定はせず、プリペイド式でもポストペイ式でも、クレジットカード式でも、乗車駅と降車駅を特定しなくては乗車料金を算定できないので、そのための機能である。この料金算定に関して、本発明では特に限定を加えるものでは無い。また改札機との通信機能41は、通常の電子チケットでも必須であるが、本発明のシステムでも必須機能である。本機能は電子チケットとして機能させるための機能であり、実用化されているものでも良く、本発明で特別な機能が具備されるものでは無い。
【0026】
図5は、情報サービスサーバ11の機能ブロック図を示している。まず図1に示した会員登録を行った旅行者が、指定席に着席することを前提とした場合に実施すべき機能について説明する。図5に示すように、処理機能部50に、会員各人を付与したIDと共に管理する会員管理機能51を有する。この会員登録に関しては、乗車前に本発明とは直接関係が無い別システム(スポーツや娯楽、ショッピング等様々なシステムで会員の登録と管理を行っているシステムを用いればよい)で行い電子チケット8-1を発行する。この電子チケット8-1の発行に関しては本発明とは関係ないので特に規定するものでは無い。この会員登録した情報を外部通信機能部60を通して入力して、会員管理機能部51で管理する。本システムでは、この電子チケット8-1と個人会員の関係を管理する機能が必須であり、例えば会員各人を付与したIDを図4の個人ID登録部42に登録している。
【0027】
そして、緑の窓口等で、会員が会員であることを提示できる手法(会員証の提示や、電子チケット8−1の利用、クレッジト機能付き電子チケット8−2等)で、乗車前に会員登録者が指定席券を予約したかどうかを判断するチケット発行管理機能52を有する。このチケット発行管理機能52は、図2に示したような旅客情報収集装置15を通して、指定券発券情報を収集して、外部通信機能部60を通して入力する。
【0028】
該収集した結果、会員が、乗車前に個人としてほしい情報を要求していれば、該要求に従って個人向け情報収集編集機能53で、車上にセットすべき情報をネットワーク10を通して収集、編集する。この個人向け情報編集機能53は、さらに個人が要求する情報の表示様式を判断する機能も持ち、例えば、使用料金等に関係する広告情報を表示するかどうかの選択機能や、情報量の制限選択、グラフィック入りやキャラクタ情報等の選択を判断する機能を持つ。会員制度の指定にもよるが、駅での通信は高品質に通信できるが、無限の通信速度持つわけではないので、貴重な通信資源をシェアすることになる。このため、ある程度の情報量のサービスまでは会員料金でコストを賄うなどのこともできるが、従量制などの制度で、大量の情報を必要とする場合は会員が負担するサービスとする機能も持つ。また、広告情報について考えると、その広告を流したことで料金をスポンサーに負担して貰うなどの形態もあり、広告情報を見るかどうかの選択を受け付け判断する機能も持つ。これらの機能に関しては、事前にオフラインで登録することも可能であるが、例えば、一般的な電話網や、移動体通信網を経由して逐次要求を受け付ける(例えば、定型のフォーマットで指定するメールや、電話でのオペレータによるオンコール対応等)ように前述の情報サービスサーバ11の外部システムとして設置することを前提とした会員管理システム機能を構築することで対応する。これらの情報は、外部通信機能部60を通して授受する。個人でカスタマイズできる設定の一例を表1に示す。
【表1】
【0029】
次に、図2に示した、個人を特定しないで車上で情報サービスを行う場合について説明する。今まで、車上での情報サービスは、広告情報や駅の案内情報、テロップでのニュース情報が主体であった。これらの情報も一定の乗客を想定して、平均的な情報の満足度、或いは広告効果を期待して情報サービスされていた。本システムでは、列車毎に乗客層を推定し、最も適した情報を提供するために、動的に列車の乗客層を推定するリアルタイム乗客層判定機能54を持つ。以下に、リアルタイム乗客層判定機能54が乗客層を推定するための処理を列挙する。
【0030】
第1の乗客層推定処理は、電子チケット8−1が用いられた場合は、本発明の機能とは直接関係しない会員管理装置内に職業や年齢情報等も個人情報として蓄積されている情報から、個人の属性と電子チケット8−1を関係付け、また、電子チケット8−1が用いられて指定券が購入された場合も、購入した旅行者の属性と乗車する列車の関係を情報サービスサーバ11で取り込み、図1や2に示したシステム構成で情報を取り込み、該情報を乗客層の判断材料の一つとして用いるものである。
【0031】
第2の乗客層推定処理は、乗車中に個人情報サービスを受ける会員として登録されてはいないが、図6に示すような機能を持ったクレジット機能付き電子チケット8−2で乗車券や指定券を購入した情報を用いるものである。クレジット機能付き電子チケット8−2は、図4で示した電子チケット8-1の機能と大きな違いは無く、行き先等の切符情報43の代わりに、クレジット機能45を装備させたものである。即ち、該カードを購入するときに、電子チケット8−1を持つときと同じように、本発明の外部システムで購入者の個人属性を管理する。そして、該クレジット機能付き電子チケット8−2を用いて乗車券や指定券を購入した情報を、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して読み込み、該指定席券を購入した列車の乗客層の判断材料の一つとして利用する。
【0032】
第3の乗客層推定処理は、現在の乗車券、指定席券発券装置から、調べたい列車の子供乗車券、大人乗車券の発行状況の情報を取得するものである。このために、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して、指定券発行システムにアクセスし、前記情報を読み込み、列車の乗客層の判断材料の一つとして利用する。或いは、図7に示す磁気乗車券8−3に書き込まれたチケット情報46を改札機から読み出せるようにして、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して改札機の管理装置にアクセスして子供乗車券、大人乗車券の発行状況を読み出し、該列車の乗客層の判断材料の一つとして利用する。
【0033】
第4の乗客層推定処理は、現在の乗車券、指定席券発券装置に、家族連れやビジネス利用等の購入者の属性の情報を入力できる機能を持たせて、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して、該指定券発行システムにアクセスし、前記情報を読み込み、列車の乗客層の判断材料の一つとして用いるものである。
【0034】
第5の乗客層推定処理は、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して、運行管理システムにアクセスし、運行情報、修学旅行特定列車やイベント列車、季節の臨時増発便の情報等を読み込み、前記情報を列車の乗客層の判断材料の一つとして用いるものである。
【0035】
その他の推定処理としては、従来から用いられている、季節や曜日や時間帯による統計的な波動を利用する手法を用いる。例えば、統計的に、学校が始まる時間帯や終了する時間帯であれば学生が多く、会社が始まる時間帯や終了する時間帯であれば社会人が多い、土曜日や日曜日であれば家族連れで子供も多く乗車するなどの大まかな傾向は、当然と認められているところである。しかし、これだけでは大まかな傾向であり、前述のような手法で、指定券の購入情報や、改札装置からの通学定期券で改札を通ったことを通知する情報や、購入者の属性を判断することで、動的に列車単位で精度良く乗車している旅行者層を推定することが可能になる。また、一般的に何かイベントなどがあった場合その会場近くでは、イベントが対象とする層の旅行者が多く乗車するなどの傾向があり、これらの情報も入手することで、さらにきめ細かく乗客層を推定できる。該情報も、情報サービスサーバ11が外部通信機能部60を通して、外部イベント管理装置にアクセスし情報を読み込み、列車の乗客層の判断材料の一つとして用いるものである。
【0036】
以上のシステム概要を纏めて図示すると、図8のようになる。図1、図2と異なり、情報サービスサーバ11が乗客層を推定するためにアクセスするシステムのみをピックアップして示している。即ち、情報サービスサーバ11は鉄道用ネットワーク9を通して、旅客情報収集装置15に対して乗客層推定に必要な情報を要求する。旅客情報収集装置15は、鉄道用ネットワーク9や運行管理用ネットワーク70や鉄道業務用ネットワーク71を通して、改札装置7や稼動中の発券装置72から、子供券や大人券の指定席の発券状況、電子チケット8-1やクレジット機能付き電子チケット8−2に対応可能な発券装置73からは、旅行者の個人属性まで関連付けられる該電子チケット8-1や該クレジット機能付き電子チケット8−2のID情報と指定席券の情報、家族利用やビジネス利用等旅行者の属性を入力できる発券装置74の発券情報、旅行者の季節波動や曜日波動、時間波動等、過去の統計情報を管理処理する旅行者波動管理装置75からは定性的な旅行者の動向情報、運行管理装置76からは修学旅行列車やイベント対応列車などの情報を入手し、これら入手した情報を、情報サービスサーバ11の要求に従って送信するか、定期的に送信するなど適した送信手段を用いて送信する。
【0037】
情報サービスサーバ11が持つリアルタイム乗客層判定機能54の処理について、図9を用いて説明する。図8に示したような発券情報や個人属性情報をもとに乗客層を推定するが、収集した情報を分類すると、指定券の発行件数80、発行した指定券の個人属性81、旅行者波動統計82、子供・大人券の発行状況83、運行管理情報84になる。これらの情報をもとに、リアルタイム乗客層判定機能54で、判定分類(基本分類)85に示すカテゴリーの中から、列車毎に最も合致する状況を選択し、選択結果86を出力する。
【0038】
例えば、ウィークデイの列車で東京到着時刻が10時ごろで、大人券の発券が多く、電子チケット8-1やクレジット機能付き電子チケット8−2の情報からもビジネスマンが多いと判断できる場合は、1)強ビジネス用途列車であると判断する。また、春や秋の観光シーズンの週末で、行き先が観光名所であり、電子チケット8-1やクレジット機能付き電子チケット8−2の情報から女性などの用途が多く見られる場合は3)強観光用途列車と判断する。また、夏休み期間中の週末で、行き先が海浜の観光地で、子供券の発券が多い場合は5)強家族用途列車と判断する。イベント用途列車であれば、当然イベントが対象とする観客層の乗客が多いと判断する。しかし、乗客層がミックスされる場合もあり、乗客層の傾向はあるが強いと判断できない場合は、2)、4)、6)に示すような弱い傾向とする。また、どうしても傾向が掴めない場合は、8)その他多用途列車と判断する。ここで示した分類は、基本分類であり、これらが混ざって、2)弱ビジネス用途と4)弱観光用途が混ざる場合も十分に考えられる。情報サービスを提供する情報内容の分類に従って、適切に傾向分けできるように、判定結果の分岐数を決めればよい。
【0039】
列車毎に乗客層を推定した結果を利用して、適切な情報を車上に送信するために、情報サービスサーバ11に不特定多数向け情報収集編集機能55を具備する。即ち推定した乗客層に最適な情報を該不特定多数向け情報収集編集機能55で収集編集するが、既に列車に提供すべき情報が送信されていれば、情報を車内で流す時刻等を指定する指令情報を送信する。列車側にその情報が無ければ、図1、や2に示すように情報サービスサーバ11が情報サービスを行っている情報ソースが接続されているネットワーク10を通して、契約や独自構築或いはインターネット等に接続されている情報サーバ13から取得して編集し、情報蓄積装置12に一旦蓄積する。そして、該編集した情報を対象列車に駅構内地上車上間通信装置5を主として用いて送信する。例えば、強ビジネス用途列車と判断した場合は、最新ニュース情報や株価情報、ビジネス誌の情報等を収集して編集し送信する。また、強観光用途列車であれば、季節に合わせて沿線の観光情報を収集して編集し送信する。受信した鉄道車両1では、該情報と共に受信した、提供指令、例えば時刻や頻度を判断し、車上で情報を流す。
【0040】
次に、前述したような個人旅行客からの要求情報やリアルタイムに乗客を推定して車上で提供する情報に加えて、広告情報を流す手法について説明する。列車毎に最適な情報を提供でき、その間に流す広告情報も旅行客層に合わせれば、広告効果を上げることができる。該広告の提供様式を制御するため、広告情報提供制御機能56を持つ。該広告情報提供制御機能56の制御機能を表2に示す。
【表2】
【0041】
まず、情報蓄積装置12の管理機能である情報蓄積装置管理機能は、広告スポンサーが車上で提示することを依頼した広告情報の管理、更新、分類を制御する。本発明では、高精度に推定した乗客層の情報も、流すべき広告選択の条件として用いるので、広告スポンサーがどのような乗客層に対して流してほしいと要求しているかの属性情報も含めて、分類管理する機能を持つ。
【0042】
広告情報提供条件管理機能は、推定した乗客層に対応して流すべき広告情報の車内提示条件の管理を行う。例えば、広告情報の流し方としては、推定乗客層に無関係に従来と同じようにある期間提示する、曜日を決めて提示する、提示する時間帯を指定する、強ビジネス用途と推定された列車である期間何回以上車内で提示する、或いは、車上で位置を特定できる場合はどこの駅の近くなど、列車の走行条件も考慮しながら流せるように制御する。
【0043】
編集制御機能は、会員向けに広告情報を編集するのか、不特定多数の情報提供の合間等に流すのかなど、広告情報を提供するシチュエーション毎に、広告情報を編集すべきフォーマットを管理制御する。
【0044】
広告情報バージョン管理機能は、各列車にどの広告情報がセットされているか常に管理して、必要な広告情報だけを地上から車上に送る。各列車に対して広告情報以外の情報を随時送信するが、広告情報も広告スポンサーからの要求に従って、随時車上にセットする必要がある。限られた地上と車上間の通信容量であり、無駄に何回も同じ広告情報を車上に送ると、貴重な地上車上間通信を阻害することになるので、この機能を設けて、必要な広告情報だけを地上から車上に送れるようにしている。以上のように、車上に必要な広告情報をセットし、車上では広告情報提供制御機能56からの指示に従い、広告情報以外のサービス情報に挿入して広告情報を提示する。
【0045】
図10は、新たな広告情報提示のためのビジネス形態を示している。従来は、車上の広告は紙での広告が主体であり、乗客層に合わせて動的に広告を変えることはできなかったので、ある期間を決めて事前に取り決めた線区の車両内に広告を掲示してもらうことを条件にビジネス取引が行われるのが通常であった。本発明では、列車に乗車している乗客を推定して情報サービスをし、その情報サービスに挿入して広告情報を提示する形態となっている。このような形態をとることで、図10に示す新たなビジネス形態が可能となる。
【0046】
図10では、ビジネス形態を説明する機能だけに絞り込んで記述しており、その他の機能は省いて示しているが、図1や図2のシステムの通信機能や処理機能を使用して、システムを実現している。新たなビジネス形態の動作を順を追って説明する。まず図に丸付きの数字1で示すように、広告を掲示すべき線区や列車の種別、期間や乗客層等の条件を取り決めて情報サービスサーバ11にセットする。
【0047】
情報サービスサーバ11では、条件を判断して、丸付きの数字2で示すように、提示する広告情報と条件を列車に通知する。鉄道車両1では、通知された条件に従い広告を車内に提示して該提示したログを広告提示ログ装置90に保存する。該保存したログ情報を地上車上通信、或いは、人手でログ装置を取り出す等して、丸付きの数字3で示すように、情報サービスサーバ11に実績ログとして通知する。
【0048】
情報サービスサーバ11では、丸付きの数字4〜6で示すように、実績ログを分析し、契約条件に従って広告提示料金を算出して、決算システムへ通知する。ここでは、決算システムは示さないが、通常の商取引を行うシステムを用いればよい。そして、広告を提示した該実績ログ結果を広告スポンサーが確認し、料金の取引が行われ契約が完了する。このように、動的に列車の乗客層を推定し、その情報を利用することで、新たに広告効果に対するコストが明確になる広告ビジネスの商取引も可能になる。
【0049】
このように、本システムによれば、会員登録した乗客が要求した情報を提供するとき、会員の嗜好に合わせた広告情報まで流すことができ、該広告情報視聴するかどうかを、該会員に選択させる機能を持ち、広告情報の視聴如何で、該会員の視聴料金を上下させることもでき、情報料金の面でも柔軟性があり、より旅行客の嗜好に合わせた情報サービスができるようになっている。
【0050】
また、一般乗客に情報を提供する場合は、広告スポンサーの出資を元に情報サービスを提供できるので、スポンサーの料金で情報サービスが賄えれば、一般乗客に対して新たな乗車料金の負担増は無く、情報サービスを提供できる。
【0051】
本発明の情報サービスシステムでは、乗客層を精度良く推定し、効果的に広告情報を流すことができるようになる。即ち、乗客の関心度が高い情報の合間に広告を流すので、該広告を見る率も高まり、広告依頼主にとっては、関心の高い多くの人々に見てもらえることから、広告を出したことへの一つの満足度の指標が高まることになる。
【0052】
また、乗客嗜好を高い精度で推定できるので、その統計情報をもとに、どこで広告を流してほしいか等のスポンサーからの指定も可能で、スポンサーとしても投資効果がよく把握できるようになり、広告意欲も大きくなる。このような動的な乗客の動向に従って広告を流す条件指定を行った場合は、乗客層と流した広告の関係を後から分析して、広告スポンサー料金を後から徴収するなど今までに無い柔軟な商取り引き形態も考えられ、より広告スポンサーの満足度を高められ、依頼主と受け手の信頼関係を高めるシステムとすることもできる。乗客に取って有用な情報と共に流される広告は、広告ビジネスにとってもまた有用であり、列車での情報サービスを行っている鉄道会社への広告スポンサーの依頼意欲も高まり、情報の提供者、スポンサー、情報の受け手である乗客にとって、良い情報を流せれば流せるほど3者の満足度は高まり、良いビジネス循環ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】情報サービス登録会員向け情報サービスを行う場合のシステム構成を示す図である。
【図2】一般乗客向け情報サービスを行う場合のシステム構成を示す図である。
【図3】広告情報を流す場合の情報サービスを行う場合のシステム構成を示す図である。
【図4】個人ID登録機能を持った電子チケットの機能的構成を示す図である。
【図5】情報サービスサーバの機能的構成を示す図である。
【図6】クレジット機能を持った電子チケットの機能的構成を示す図である。
【図7】磁気チケットの機能的構成を示す図である。
【図8】乗客層を推定するためのシステム構成を示す図である。
【図9】情報サービスサーバの乗客層推定機能の処理例を示す図である。
【図10】広告料金決済システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 鉄道車両、 2 指定席、 3 個人用の情報端末、 4 車上通信装置、 5 駅構内地上車上間通信装置、 6 車上制御装置、 7 改札装置、 8 電子チケット、 8−1 電子チケット、 8−2 クレッジト機能付き電子チケット、 9 鉄道用ネットワーク、 10 ネットワーク、 11 情報サービスサーバ、 12 情報蓄積装置、 13 情報サーバ、 14 駅ホーム、 15 旅客情報収集装置、 16 乗客情報収集ネットワーク、 17 旅客推定情報ソース、 20 自由席座席、 21 情報表示装置、 22 車内監視装置、 23 重量センサ、 24 ホーム監視装置、 30 広告データベース、 40 情報登録部、 41 通信機能、 42 個人ID登録部、 43 切符情報登録部、 44 入場駅など登録機能、 45 クレジット機能、 50 処理機能部、 51 会員管理機能、 52 チケット発行管理機能、 53 個人向け情報収集編集機能、 54 リアルタイム乗客層判定機能、 55 不特定多数向け情報収集編集機能、 56 広告情報提供制御機能、 57 広告提供結果のログ管理機能、 58 広告提示料金清算機能、 70 運行管理用ネットワーク、 71 鉄道業務用ネットワーク、 72 発券装置、 73 発券装置、 74 旅行者属性入力可能発券装置、 75 旅行者波動管理装置、 76 運行管理装置、 90 広告提示ログ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両内で情報サービスを行うシステムに於いて、
鉄道車両内の各指定席に対応して配置されたモニタと、
鉄道車両内に設けられ、鉄道車両外から指定席を特定して送信される情報を蓄積し、該情報を該特定された指定席の前記モニタに表示させる制御装置と、
鉄道車両外に設けられた情報システムサーバと、
乗客が乗車する列車及び指定席の情報を格納した電子チケットが通過したことに応じて、該電子チケットに格納された情報を前記情報システムサーバに通知する改札装置と
を備え、
前記情報システムサーバは、
前記電子チケットの発行を受けた乗客が、鉄道車両内でサービスの提供を受けたい情報を登録する登録手段と、
前記改札装置からの通知に応じて、前記改札装置を通過した前記電子チケットの発行を受けた乗客が前記登録手段で登録した情報を、指定席を特定して前記制御装置に送信する送信手段と
を有することを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記鉄道車両が停車しているときに、駅の通信システムを用いて前記制御装置に情報を送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記鉄道車両が停車しているときに送信できなかった情報を、移動体通信システムを用いて前記制御装置に送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバは、前記電子チケットの発行を受けた乗客の属性情報を管理する管理手段をさらに有しており、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記登録手段で情報が登録されていない場合に、前記改札装置を通過した前記電子チケットを発行した乗客に関して前記管理手段で管理されている属性情報に基いて、提供する情報を選択し、該選択した情報を前記制御装置に送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、広告情報も前記制御装置に送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記広告情報とともに、該広告情報を表示する条件を指定する指定情報を送信し、
前記制御装置は、前記指定情報に従って前記広告情報を前記モニタに表示させ、該表示させた広告情報のログ情報を前記情報システムサーバに返送する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項7】
鉄道車両内で情報サービスを行うシステムに於いて、
鉄道車両内に設けられたモニタと、
鉄道車両内に設けられ、鉄道車両外から送信される情報を蓄積し、該情報を前記モニタに表示させる制御装置と、
鉄道車両外に設けられた情報システムサーバと、
鉄道車両外に設けられた旅客情報収集装置と
を備え、
前記旅客情報収集装置は、乗車券販売装置での子供用乗車券・大人用乗車券の販売状況の情報か、個人の属性情報を格納した電子チケットに対応可能な乗車券販売装置での乗車券の販売状況の情報及び該電子チケット内の属性情報か、購入者の属性情報を入力可能な乗車券販売装置での乗車券の販売状況の情報及び該入力された属性情報か、の少なくともいずれかを収集して前記情報システムサーバに送信し、
前記情報システムサーバは、
前記旅客情報収集装置からの情報に基いて乗客層を推定する推定手段と、
前記推定手段の推定結果に基いて、提供する情報を選択し、該選択した情報を前記制御装置に送信する送信手段と
を有することを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記鉄道車両が停車しているときに、駅の通信システムを用いて前記制御装置に情報を送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項9】
請求項7に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記推定手段は、さらに、車内監視装置,車両重量検知装置,ホーム監視装置の少なくともいずれかからの情報を用いて、乗客の人数及び/または乗客層を推定する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項10】
請求項7に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記推定手段で推定された乗客層に応じた広告情報も前記制御装置に送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記広告情報とともに、該広告情報を表示する乗客層を指定する指定情報を送信し、
前記制御装置は、前記指定情報に従って前記広告情報を前記モニタに表示させ、該表示させた広告情報のログ情報を前記情報システムサーバに返送する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項12】
改札装置との間で通信を行う手段を有するとともに、購入者の個人情報を格納する手段を有する電子チケットにおいて、
前記電子チケットを用いて購入した指定券で乗車する列車及び指定席の情報を格納する手段を備えたことを特徴とする電子チケット。
【請求項13】
乗車券を発券する発券装置において、
乗車券の購入者の属性情報を入力するための入力手段と、
前記入力手段で入力された属性情報を外部に送信するための通信手段と
を備えたことを特徴とする発券装置。
【請求項1】
鉄道車両内で情報サービスを行うシステムに於いて、
鉄道車両内の各指定席に対応して配置されたモニタと、
鉄道車両内に設けられ、鉄道車両外から指定席を特定して送信される情報を蓄積し、該情報を該特定された指定席の前記モニタに表示させる制御装置と、
鉄道車両外に設けられた情報システムサーバと、
乗客が乗車する列車及び指定席の情報を格納した電子チケットが通過したことに応じて、該電子チケットに格納された情報を前記情報システムサーバに通知する改札装置と
を備え、
前記情報システムサーバは、
前記電子チケットの発行を受けた乗客が、鉄道車両内でサービスの提供を受けたい情報を登録する登録手段と、
前記改札装置からの通知に応じて、前記改札装置を通過した前記電子チケットの発行を受けた乗客が前記登録手段で登録した情報を、指定席を特定して前記制御装置に送信する送信手段と
を有することを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記鉄道車両が停車しているときに、駅の通信システムを用いて前記制御装置に情報を送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記鉄道車両が停車しているときに送信できなかった情報を、移動体通信システムを用いて前記制御装置に送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバは、前記電子チケットの発行を受けた乗客の属性情報を管理する管理手段をさらに有しており、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記登録手段で情報が登録されていない場合に、前記改札装置を通過した前記電子チケットを発行した乗客に関して前記管理手段で管理されている属性情報に基いて、提供する情報を選択し、該選択した情報を前記制御装置に送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、広告情報も前記制御装置に送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記広告情報とともに、該広告情報を表示する条件を指定する指定情報を送信し、
前記制御装置は、前記指定情報に従って前記広告情報を前記モニタに表示させ、該表示させた広告情報のログ情報を前記情報システムサーバに返送する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項7】
鉄道車両内で情報サービスを行うシステムに於いて、
鉄道車両内に設けられたモニタと、
鉄道車両内に設けられ、鉄道車両外から送信される情報を蓄積し、該情報を前記モニタに表示させる制御装置と、
鉄道車両外に設けられた情報システムサーバと、
鉄道車両外に設けられた旅客情報収集装置と
を備え、
前記旅客情報収集装置は、乗車券販売装置での子供用乗車券・大人用乗車券の販売状況の情報か、個人の属性情報を格納した電子チケットに対応可能な乗車券販売装置での乗車券の販売状況の情報及び該電子チケット内の属性情報か、購入者の属性情報を入力可能な乗車券販売装置での乗車券の販売状況の情報及び該入力された属性情報か、の少なくともいずれかを収集して前記情報システムサーバに送信し、
前記情報システムサーバは、
前記旅客情報収集装置からの情報に基いて乗客層を推定する推定手段と、
前記推定手段の推定結果に基いて、提供する情報を選択し、該選択した情報を前記制御装置に送信する送信手段と
を有することを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記鉄道車両が停車しているときに、駅の通信システムを用いて前記制御装置に情報を送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項9】
請求項7に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記推定手段は、さらに、車内監視装置,車両重量検知装置,ホーム監視装置の少なくともいずれかからの情報を用いて、乗客の人数及び/または乗客層を推定する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項10】
請求項7に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記推定手段で推定された乗客層に応じた広告情報も前記制御装置に送信する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の列車内情報サービスシステムにおいて、
前記情報システムサーバの前記送信手段は、前記広告情報とともに、該広告情報を表示する乗客層を指定する指定情報を送信し、
前記制御装置は、前記指定情報に従って前記広告情報を前記モニタに表示させ、該表示させた広告情報のログ情報を前記情報システムサーバに返送する
ことを特徴とする列車内情報サービスシステム。
【請求項12】
改札装置との間で通信を行う手段を有するとともに、購入者の個人情報を格納する手段を有する電子チケットにおいて、
前記電子チケットを用いて購入した指定券で乗車する列車及び指定席の情報を格納する手段を備えたことを特徴とする電子チケット。
【請求項13】
乗車券を発券する発券装置において、
乗車券の購入者の属性情報を入力するための入力手段と、
前記入力手段で入力された属性情報を外部に送信するための通信手段と
を備えたことを特徴とする発券装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−323667(P2006−323667A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146857(P2005−146857)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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