説明

列車検知装置及びそれらを用いた踏切制御装置

【課題】 ホームに進入してくる列車速度に関係なく、そのホームに隣接する踏切道の警報機の警報時間を一定にできるようにする。
【解決手段】 駅のホームの所定の停車位置に列車が停車したときのその列車の先頭部位置又は最後部位置に対向するように地上側に設けられ、かつ、その列車の走行方向に沿って所定の間隔を保って設けられた複数の列車検知センサの検知順序に基づいて上記所定の停車位置における列車の停止又は出発を検知する検知手段と、その検知手段における列車の停止検知又は出発検知に基づいて踏切警報開始タイミング信号を出力する出力手段とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は列車検知装置に係り、特に列車が駅のホームの所定の停車位置に停止したことを検知する列車検知装置に関するとともに、その列車検知装置を用いて駅の近傍の踏切道に設けられている踏切警報機器を駆動制御する踏切制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅のホームに列車(電車を含む)が進入したことを検知する列車検知装置は、駅のホームトラックに列車が進入したときの、そのホームトラックのトラックリレーの落下により検知するように構成されている。そして、その駅の近傍で、列車の進行方向側に踏切道が設けられているときは、その踏切道に設置されているしゃ断機や警報機等の踏切警報機器は、ホームトラックに列車が進入してから所定時間経過後に駆動を開始するように構成されている。
【0003】
また、駅の近傍の踏切道に設けられている踏切警報機器を駆動制御する踏切制御装置としては、構内軌道のルート構成が行われた後、踏切警報機器を駆動開始させ、その所定の時間経過後に閉そく信号機の現示に対応させて出発信号機を進行現示にし、踏切警報機器の警報時間を一定にできるようにすることが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
さらに、先行列車により踏切警報が開始され、しかもホームに停車している続行列車の進路が構成されても、出発信号機を所定の時分、進行現示にさせないようにした踏切制御装置も提案されている(特許文献2参照)。この提案装置では、先行列車が踏切道を通過後、所定の時分経過する間、踏切警報を鳴動させないので、警報時間を適正に保つことが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開平1−212664号公報
【特許文献2】特開平5−58301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記踏切制御装置のうち、ホームトラックへの進入検知に基づいて駅のホーム近傍の踏切道に設けられている踏切警報機器の駆動開始を行う踏切制御装置は、ホームへの列車の進入速度が考慮されていないので、その列車の進入速度の相違によって踏切道の閉止時間が長くなる欠点あった。
【0007】
例えば、駅のホームから220mの前方に踏切道が設けられている場合、その駅のホームトラックに列車が進入してからその踏切道に列車が到着するまでの時間、すなわち、列車がホームトラックに進入してホームの所定の停車位置に停止し、所定の停車時間経過後に出発してから踏切道に到着するまでの時間は、列車がホームに進入する速度の差によって約10秒の差が生じることが実測されている。このことは、ホームへの列車の進入速度の差によって踏切道に設けられている踏切警報機器の駆動時間に長短が生じることを意味している。この踏切警報機器の駆動時間は、ホームへの進入速度の最も速い列車に合わせて設定されるので、進入速度の遅い列車の場合は、最も速い列車のときよりも約10秒間、踏切道を閉止するという欠点があった。
【0008】
また、上述した他の従来技術においても、ホームへの列車進入速度と踏切道に設けられている踏切警報機器との関係については言及されておらず、列車がホームへ遅い速度で進入したときに踏切道の閉止時間が長くなる欠点については解決されていなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上述欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、踏切道に設けられている踏切警報機器の駆動制御に好適な列車検知装置を提供するとともに、その列車検知装置を用いた踏切制御機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る列車検知装置は、上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、駅のホームの所定の停車位置に列車が停車したときのその列車の先頭部位置又は最後部位置に対向するように地上側に設けられ、かつ、その列車の走行方向に沿って所定の間隔を保って設けられた複数の列車検知センサからなるセンサ手段と、前記複数の列車検知センサの検知順序に基づいて列車の進入、停止、出発又は進出を判定する判定手段とからなることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の列車検知装置は、前記所定の停車位置が列車の編成長の種類により複数存在するときは、前記センサ手段をそれら複数の所定の停車位置にそれぞれ対応して設けたことを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の列車検知装置は、列車検知センサは、反射型センサからなることを特徴としている。
本発明に係る踏切制御装置は、上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、駅のホームの所定の停車位置に列車が停車したときのその列車の先頭部位置又は最後部位置に対向するように地上側に設けられ、かつ、その列車の走行方向に沿って所定の間隔を保って設けられた複数の列車検知センサの検知順序に基づいて上記所定の停車位置における列車の停止又は出発を検知する検知手段と、その検知手段における列車の停止検知又は出発検知に基づいて踏切警報開始タイミング信号を出力する出力手段とを有することを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の踏切制御装置は、前記検知手段により列車の停止が検知されてから所定時間、その列車の出発を禁止する出発禁止信号を出力する禁止手段を設けたことを特徴としている。
本発明の請求項6に記載の踏切制御装置は、前記駅のホームへ進入する列車の車軸を検知する車軸検知器を設けるとともに、その車軸検知器で検知された車軸数に基づいて列車の先頭部位置又は最後部位置を推定する推定手段を設け、その推定手段により列車の先頭部位置又は最後部位置が前記列車検知センサに到着したと推定されるときまでにその列車検知センサによって検知が開始されないとき、前記出力手段は、その駅のホームトラックへの列車進入に基づいて踏切警報開始タイミング信号を出力するものであることを特徴としている。
本発明の請求項7に記載の踏切制御装置は、前記所定の停車位置が列車の編成長の種類により複数存在するときは、前記センサ手段をそれら複数の所定の停車位置にそれぞれ対応して設けたことを特徴としている。
本発明の請求項8に記載の踏切制御装置は、前記出力手段は、踏切警報開始タイミング信号の出力に代えて、又はその踏切警報開始タイミング信号の出力とともにホームの案内放送等の案内手段の駆動信号を出力するものであることを特徴としている。
本発明の請求項9に記載の踏切制御装置は、列車検知センサは、反射型センサからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の列車検知装置は、駅のホームの所定の停車位置に列車が停車したときのその列車の先頭部位置又は最後部位置に対向するように地上側に設けられ、かつ、その列車の走行方向に沿って所定の間隔を保って設けられた複数の列車検知センサからなるセンサ手段と、前記複数の列車検知センサの検知順序に基づいて列車の進入、停止、出発又は進出を判定する判定手段とからなるので、駅のホームに設けられている所定の列車の停車位置への進入、停止、その停車位置からの出発又は進出を確実に検知できるから、その検知信号を踏切警報機器の駆動信号やホームの案内放送の駆動信号等に利用することができる。
本発明の請求項2に記載の列車検知装置において、所定の停車位置が列車の編成長の種類により複数存在するときは、センサ手段をそれら複数の所定の停車位置にそれぞれ対応して設けたので、列車の編成長が変わっても確実に列車位置を検知することができる。
本発明の請求項3に記載の列車検知装置において、列車検知センサは、反射型センサからなるので、赤外線等の光線を利用した反射型センサで容易にセンサ手段を実現することができる。
本発明の請求項4に記載の踏切制御装置は、駅のホームの所定の停車位置に列車が停車したときのその列車の先頭部位置又は最後部位置に対向するように地上側に設けられ、かつ、その列車の走行方向に沿って所定の間隔を保って設けられた複数の列車検知センサの検知順序に基づいて上記所定の停車位置における列車の停止又は出発を検知する検知手段と、その検知手段における列車の停止検知又は出発検知に基づいて踏切警報開始タイミング信号を出力する出力手段とを有するので、ホームへの列車の進入速度に関係なく、踏切道に設けられている踏切警報機器の駆動時間を一定にすることができる。
本発明の請求項5に記載の踏切制御装置は、検知手段により列車の停止が検知されてから所定時間、その列車の出発を禁止する出発禁止信号を出力する禁止手段を設けたので、列車の停止が検知されてから所定時間、すなわち列車がホームへ停車している所定時間、列車の出発が禁止されるから、誤って早く出発して踏切警報機器の駆動時間が短くなるという不都合を確実に防止することができる。
本発明の請求項6に記載の踏切制御装置において、駅のホームへ進入する列車の車軸を検知する車軸検知器を設けるとともに、その車軸検知器で検知された車軸数に基づいて列車の先頭部位置又は最後部位置を推定する推定手段を設け、その推定手段により列車の先頭部位置又は最後部位置が前記列車検知センサに到着したと推定されるときまでにその列車検知センサによって検知が開始されないとき、前記出力手段は、その駅のホームトラックへの列車進入に基づいて踏切警報開始タイミング信号を出力するので、列車検知センサにより列車が検知されていない場合でも、従来と同様にホームトラックの進入検知により踏切警報機器が駆動され、安全性が確保される。
本発明の請求項7に記載の踏切制御装置において、前記所定の停車位置が列車の編成長の種類により複数存在するときは、センサ手段をそれら複数の所定の停車位置にそれぞれ対応して設けたので、列車の編成長に長短の差があっても、確実に列車位置を検知することができる。
本発明の請求項8に記載の踏切制御装置において、出力手段は、踏切警報開始タイミング信号の出力に代えて、又はその踏切警報開始タイミング信号の出力とともにホームの案内放送等の案内手段の駆動信号を出力するので、列車検知信号に基づいてホームの案内放送等を効果的に行うことができる。
本発明の請求項9に記載の踏切制御装置において、列車検知センサは、反射型センサからなるので、赤外線等の光線を利用した反射型センサで容易にセンサ手段を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る列車検知装置を適用したホームを列車イの進行方向側から見た正面図であり、本発明のセンサ手段を構成する列車検知センサ(以下、「センサ」という。)Sは、駅のホームHの天井H´に設けられている。
【0013】
このセンサSは、図2に示されるように、レールRを走行する列車イの走行方向に沿って所定の間隔(例えば1m)を保って複数個(図示の例では6個)の反射型センサS1〜S6により構成され、これら反射型センサS1〜S6の中間位置、すなわち反射型センサS3及び反射型センサS4の中間位置がホームHの列車イの所定の停車位置となるように決められている(図2の鎖線参照)。なお、図2中の黒塗りの反射型センサS1〜S3は、列車イを検知している状態を表わしている(後述する図3においても同じ)。また、レールR間中央部に設けられている四角形の部材は、列車イの運転士に停車位置を報知するためのマークMである。
【0014】
各反射型センサS1〜S6は、周知の赤外線を用いた反射型センサからなり、図示しないが、赤外線の光線を照射する発光素子と光線が物体(列車イ)に当って反射してきた光線を受光する受光素子を含んでそれぞれ構成されている。したがって、図1に示されるように、発光素子から照射される光線の向きを列車イ側に設定しておくことにより、列車イが存在するとその列車イに光線が照射され、その照射された光線の反射光が受光素子に受光されて列車イの存在を検知することができる。
【0015】
なお、上述の例では、センサSを反射型センサで構成したが、これを透過型センサで構成することもできる。透過型センサの場合は、レールRを挟んだ一方側に発光素子を設けるとともに、他方側に受光素子を設けて構成される。しかし、上述のように、センサSを反射型センサで構成したときは、レールRの一方側のみに機器を設けるだけでよいので有利である。
【0016】
図2中、1は検知回路であって、各反射型センサS1〜S6に駆動電源をそれぞれ供給するとともに、各反射型センサS1〜S6の受光素子から出力される信号を増幅処理し、所定のしきい値を用いて反射光の有無を検出し、どの受光素子(射型センサ)が検知状態にあるかを判定できるように構成されている。また、検知回路1には、受光素子(反射型センサS1〜S6)の受光順序(検知順序)により列車イの進入、停止、出発又は進出を判定できるように構成されている。
【0017】
図3は、列車イの編成長の相違により、ホームHにおける停車位置が異なる場合を示している。すなわち、この図3では、8両編成の列車イの場合はマークM1の設けられている位置が停車位置となり、6両編成の列車イの場合は、マークM1よりも所定距離後方位置に設けられているマークM2が停車位置となるように決められている。このように、車両編成長の相違により停車位置が異なる場合は、それぞれの停車位置に対応してセンサS,S′が設けられる。なお、この例では、列車の編成長の相違による停車位置が2箇所としたが、3個以上のときは、センサもそれに合せて増設される。
【0018】
図4は、列車イの最後部位置をセンサSで検知して列車イの検知を行う例が示されている。なお、図3に示されるように、列車イの編成長の相違により先頭部の停車位置が異なる場合でも、最後部位置が一致する場合は、最後部位置を検知する一つのセンサSで対処することが可能である。
【0019】
上記構成からなる列車検知装置の検知動作を、図5の反射型センサS1〜S6の検知状態図を用いて説明する。この検知状態図は、図2に示されるセンサS及び列車イの関係を示したもので、反射型センサS1が検知状態になると、列車イはセンサSの位置に進入したと判定され、反射型センサS1〜S3の検知状態が継続された時点で列車イはセンサSの位置に停止(停車)したと判定され、検知状態の反射型センサ数が増加したとき、すなわち反射型センサS4が検知を開始した時点が列車イが出発したと判定され、そしていずれの反射型センサS1〜S6によっても検知されなくなったことをもって列車イはセンサSから進出したと判定される。
【0020】
上述のように、本発明に係る列車検知装置は、駅のホームに設けられている列車の停車位置に列車が進入したか否か、列車が停車したか否か、列車が出発したか否か、そして列車が進出したか否かを確実に、しかも簡単に検知,判定できる特長を有している。
【0021】
次に、上述の列車検知装置を用いた踏切制御装置について図6〜図8を用いて説明する。図6中、10は上述の検知回路1を含んで構成されたCPUを中心に形成された制御器である。また、図6中、TRは、列車イの走行するレールRのうち、駅のホームHに対応して設けられたホームトラック(ホームTR)を示していて、このホームトラックTRの列車有無の情報、すなわちホームトラックTRのトラックリレーの情報(トラックリレーの落下,扛上の信号)は、制御器10に入力されるように構成されている。
【0022】
図6中、Xは踏切道であって、ホームHの近傍で、かつ列車イが進行していく側に設けられているとともに、その踏切道Xには、踏切警報機等からなる踏切警報機器Yが設けられている。この踏切警報機器Yは、踏切道器具箱Y′に内蔵されている図示しない制御回路によって駆動されるように構成されている。そして、この踏切道器具箱Y′には、制御器10から本発明の踏切警報開始タイミング信号に相当する制御信号が送出されてくるように構成されている。
【0023】
図6中、11は出発抑止表示灯であり、ホームトラックTRの進出側(図示の例ではホームHの右端側)に設けられていて、ホームトラックTRの進出側に設けられている地上子12に本発明の出発禁止信号に相当する早発防止用のATS信号が制御器10から送信されてくるように構成されている。そして、このATS信号が送信されている間点灯し、運転士に列車イの出発ができない旨が報知されるように構成されている。
【0024】
図6中、13はセンサSの設置位置よりも所定距離手前に設けられた車軸検知器であって、レールRを走行する列車イの車軸(車輪)の有無を検知し、その検知信号が制御器10に入力されるように構成されている。したがって制御器10では、その入力された車軸の検知信号に基づいて、ホームHにおける列車イの位置(列車イの先頭部位置又は最後部位置)を算出(推定)できるように構成されている。なお、図示の例では、車軸検知器13をホームHに対応したホームトラックTRの進入側に設けているが、これをこのホームトラックTRへ進入側のレールR、すなわち、図6において、ホームHよりも左側に位置するレールRに設けてもよい。
【0025】
制御器10には、上述の検知信号の他に列車イがホームHに停車する停車時間を選択する停車時間切替情報も図示しない列車運行管理装置から入力されるように構成されている。この停車時間切替情報は、例えばラッシュアワーにおいては駅の停車時間が30秒、それ以外では20秒となるように制御器10に入力される。また、この制御器10には、図示しない列車運行管理装置から列車選別情報も入力されるように構成されている。この列車選別情報がホームHに停車することなく通過する列車の場合は、ホームトラックTRの手前側(図6の左側)に設けられている図示しない踏切制御子が列車を検知したときに踏切警報機器Yが警報を開始するように構成されている。そして、この列車選別情報がホームHに停車するときは、後述するようにセンサS、車軸検知器13及びホームトラックTRの検知信号に基づいて踏切警報機器Yが駆動制御されるように構成されている。
【0026】
以下、図7のタイムチャート及び図8のフローチャートを用いて制御動作について説明する。図7において、V1〜V3はホームHに列車イが進入してくる速度を表わしている。そして、「従来」は、ホームトラックTR(ホームH)に列車イが進入してから所定の時間T0経過後に踏切警報機器Yの警報が開始され、その警報は列車イが図示しない踏切制御子で列車イの踏切道Xからの進出が検知されるまで継続され、その間、踏切道Xが閉止される。
【0027】
図7中、t1,t2,t3は、ホームHに列車が進入して所定の停車位置に停車するまでの列車速度毎の所要時間である。当然のことながら列車速度が速ければ短くなる性質を有している。そして、この所定の停車位置に列車イが停車してから所定の調整時間(t4)経過後に踏切警報機器Yの警報が開始される。列車イがホームHに所定の停車時間t5停車後、早発防止信号が解除されて列車イの出発が行われ、その出発から踏切道Xを列車イが通過したことが図示しない踏切制御子で検出されるまでの間(t6)、踏切警報機器Yの警報が継続される。したがって、踏切警報機器Yの警報時間t7は、列車イがホームHに進入してくる速度に関係なく、(t5+t6)の一定時間となる。
【0028】
次に図6及び図8のフローチャートを用いて説明すると、今、列車イが駅のホームHに向けて走行しているものとする(図6参照)。そして、その列車イがそのホームHに合せて設けられているホームトラックTR(ホームH)に進入すると(ステップ100肯定。以下、ステップを「S」とする。)、図示しないトラックリレーが落下してその落下信号が制御器10に入力される(図8のフローチャートでは省略)。
【0029】
列車イの走行がさらに進むと列車イの車軸が車軸検知器13で検知され(S102肯定)、その検知信号が制御器10に入力される。制御器10では、入力された車軸数及びその検知タイミングから列車イの先頭部位置と列車イの速度が算出される(S104)。算出された列車イの速度は、他の列車制御用とすることができるが、不要であれば列車速度の算出は省略される。
【0030】
車軸検知器13による列車イの先頭部位置の算出は、高精度に行われるので、その先頭部位置がセンサSの位置に達したか否かを正確に推定することができる。このため、車軸検知器13によって推定された先頭部位置がセンサSの設置範囲になり、かつ、センサSが正常であれば、センサSによる列車イの進入、停止、出発及び進出が正常に検知される(S106肯定、S108肯定)。制御器10は、センサSから得られた列車停止信号に基づいて踏切警報機器Yの駆動制御を行うことができる(S110)。
【0031】
ところで、車軸検知器13によって推定された先頭部位置がセンサSの設置範囲になっているにもかかわらず、そのセンサSによる車軸検知が開始されないときは(S106肯定、S108否定)、センサSが異常であるので、この場合は、列車イがホームトラックTRに進入した信号に基づいた従来方式で踏切警報機器の駆動制御が行われるとともに、センサSが異常である旨が制御器10から所定の図示しない管理装置に報知される(S112)。
【0032】
なお、上述の例では、列車イの先頭部位置がセンサSで検知される場合を説明したが、列車イの最後部がセンサSで検知される場合も同様に行われる。また、踏切警報機器の警報開始は、列車イがホームHの所定位置に停車した時点を基にしたが、ホームHから出発した時点を基にしてもよい。さらに、ホームHに近接する踏切道Xが1箇所としたが、この踏切道Xよりも先で、その踏切道Xに隣接している踏切道が存在するときは、制御器10からその踏切道用の踏切警報開始タイミング信号が出力される。この踏切警報開始タイミング信号は、踏切道X用の踏切警報開始タイミング信号でタイマを起動させることにより容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る列車検知装置を適用したホームを列車の進行方向側から見たときの正面図である。
【図2】列車検知装置を構成するセンサの配置例を示す図である。
【図3】車両編成長の相違により停車位置が異なる場合に対応させたセンサの配置例を示す図である。
【図4】列車の最後部位置をセンサで検知して列車検知を行う例を示す図である。
【図5】反射型センサの検知状態図である。
【図6】列車検知装置を用いた踏切制御装置の構成を示す図である。
【図7】列車の進入速度と警報開始の関係を示すタイムチャートである。
【図8】制御器における制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
イ 列車
H ホーム
M マーク
R レール
S,S′ センサ
TR ホームトラック
X 踏切道
Y′ 踏切道器具箱
1 検知回路
10 制御器
11 出発抑止表示灯
12 地上子
13 車軸検知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅のホームの所定の停車位置に列車が停車したときのその列車の先頭部位置又は最後部位置に対向するように地上側に設けられ、かつ、その列車の走行方向に沿って所定の間隔を保って設けられた複数の列車検知センサからなるセンサ手段と、
前記複数の列車検知センサの検知順序に基づいて列車の進入、停止、出発又は進出を判定する判定手段と、
からなることを特徴とする列車検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の列車検知装置において、前記所定の停車位置が列車の編成長の種類により複数存在するときは、前記センサ手段をそれら複数の所定の停車位置にそれぞれ対応して設けたことを特徴とする列車検知装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の列車検知装置において、列車検知センサは、反射型センサからなることを特徴とする列車検知装置。
【請求項4】
駅のホームの所定の停車位置に列車が停車したときのその列車の先頭部位置又は最後部位置に対向するように地上側に設けられ、かつ、その列車の走行方向に沿って所定の間隔を保って設けられた複数の列車検知センサの検知順序に基づいて上記所定の停車位置における列車の停止又は出発を検知する検知手段と、
前記検知手段における列車の停止検知又は出発検知に基づいて踏切警報開始タイミング信号を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする踏切制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の踏切制御装置において、前記検知手段により列車の停止が検知されてから所定時間、その列車の出発を禁止する出発禁止信号を出力する禁止手段を設けたことを特徴とする踏切制御装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の踏切制御装置において、前記駅のホームへ進入する列車の車軸を検知する車軸検知器を設けるとともに、その車軸検知器で検知された車軸数に基づいて列車の先頭部位置又は最後部位置を推定する推定手段を設け、その推定手段により列車の先頭部位置又は最後部位置が前記列車検知センサに到着したと推定されるときまでにその列車検知センサによって検知が開始されないとき、前記出力手段は、その駅のホームトラックへの列車進入に基づいて踏切警報開始タイミング信号を出力するものであることを特徴とする踏切制御装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれかに記載の踏切制御装置において、前記所定の停車位置が列車の編成長の種類により複数存在するときは、前記センサ手段をそれら複数の所定の停車位置にそれぞれ対応して設けたことを特徴とする踏切制御装置。
【請求項8】
請求項4から7のいずれかに記載の踏切制御装置において、前記出力手段は、踏切警報開始タイミング信号の出力に代えて、又はその踏切警報開始タイミング信号の出力とともにホームの案内放送等の案内手段の駆動信号を出力するものであることを特徴とする踏切制御装置。
【請求項9】
請求項4から8のいずれかに記載の踏切制御装置において、列車検知センサは、反射型センサからなることを特徴とする踏切制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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