説明

制動機構用摩擦部材およびシャッタ機構

【課題】仮に制動回数が多くとも、液体潤滑剤の飛散が生じなく、しかも安定したブレーキ力を得ることができる制動機構用摩擦部材およびシャッタ機構を提供すること。
【解決手段】被制動部材6,7を制動する摩擦力を生じさせる制動機構用摩擦部材14,16である。その摩擦部材14,16は、固体潤滑剤と金属材料とを含む成形体で構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動機構用摩擦部材およびシャッタ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、精緻な画像や新しい映像表現に対するユーザーの要望に応えるため、シャッタスピードの高速化やシャッタの高精度化が求められている。また、デジタルカメラ用フォーカルプレーンシャッタでは、フィルム消費の問題から解放されるので、必然的にシャッタレリーズ回数が多くなり、耐久性のさらなる向上が不可欠となってきている。
【0003】
上記要求項目の実現には、シャッタ停止時の衝撃力を減衰する制動機構となるブレーキ性能の向上が非常に重要となる。
【0004】
制動機構としては、たとえば制動レバーが用いられ、制動レバーが回動するには、皿バネの押圧力でワッシャと制動レバーとの間に摩擦力が作用し、この摩擦力で駆動レバーの回転エネルギーが吸収される。
【0005】
ワッシャと制動レバーとの摩擦面には、耐摩耗性の改善と摩擦力(即ち、ブレーキ力)の調整等を目的として、微少量の潤滑油が滴下されている。つまり、一般的なブレーキと異なり、一定の距離(ストローク)を、適当なブレーキ力がかかりながら回動することにより、シャッタ停止時の衝撃を緩和する機構となっている。
【0006】
ところが、最近では、デジタルカメラが主流となり、フィルム消費から解放されたユーザーのレリーズ回数は極端に増加する傾向にあり、結果として、液体潤滑剤の飛散が生じ、場合によっては、撮像センサに液体潤滑剤が付着してしまい、撮像画像への悪影響が生じることも懸念されるようになってきている。
【0007】
なお、下記の特許文献1に示すように、ワッシャの材質として、CFRP(炭素繊維強化複合材料)の使用が検討され、摩耗によるワッシャ厚の減少や表面保護状態の変化を防止することが試みられている。
【特許文献1】特開平8−54663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、仮に制動回数が多くとも、液体潤滑剤の飛散が生じなく、しかも安定したブレーキ力を得ることができる制動機構用摩擦部材およびシャッタ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る制動機構用摩擦部材は、
該被制動部材を制動する摩擦力を生じさせる制動機構用摩擦部材であって、
固体潤滑剤と金属材料とを含む成形体で構成してある。
【0010】
好ましくは、前記成形体が金属射出成形(MIM)により成形される。
【0011】
好ましくは、前記成形体中の固体潤滑剤の含有量が、成形体全体に対して10〜30重量%である。
【0012】
好ましくは、前記固体潤滑剤の粒径は0.5〜5μmである。
【0013】
好ましくは、前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイトのうちいずれかからなる。
【0014】
本発明のシャッタ機構は、
開口が形成された基板と、
前記開口を開閉するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を駆動する駆動レバーと、
前記駆動レバーの移動経路に設けられ、前記駆動レバーが衝突することにより移動する制動レバーとを有し、
前記制動レバーは、上記のいずれかに記載の制動機構用摩擦部材で構成してある。
【0015】
このシャッタ機構には、
前記制動レバーを支持する支持軸と、
前記支持軸に前記制動レバーを挟み込むように介装され、前記制動レバーとの間に摩擦力を発生させる摩擦部材とを備えられていても良い。
【0016】
また、このシャッタ機構には、
前記駆動レバーに前記制動レバーが衝突することにより前記制動レバーが移動する方向に設けられ、前記制動レバーの移動を制限するストッパ部材が備えられていても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0018】
図1はカメラのフォーカルプレーンシャッタ機構を示す概略図、
図2は図1に示すフォーカルプレーンシャッタ機構における開口とシャッタ羽根との関係を示す概略図、
図3は図1に示すフォーカルプレーンシャッタ機構において、先シャッタを駆動した状態を示す概略図、
図4はカメラのフォーカルプレーンシャッタ機構における制動機構の一例を示す分解斜視図である。
【0019】
本発明の一実施形態に係るデジタルカメラには、図1〜図3に示すフォーカルプレーンシャッタが装着してある。フォーカルプレーンシャッタは、開口1aが形成された基板1を有する。図2に示すように、基板1の開口1aには、先シャッタ12と、後シャッタ13とが開閉自在に装着してある。各シャッタ12および13は、それぞれ複数(図示では各4枚)のシャッタ羽根12a〜12dおよび13a〜13dで構成され、各リンク機構20および22により、それぞれ連動して動作するようになっている。
【0020】
先シャッタ12を駆動するためのリンク機構20は、リンクピン24を介して、図1および図3に示す駆動レバー6と連結してある。駆動レバー6は、回動軸6aを中心として、基板1に対して回動可能に保持してある。駆動レバー6には、スプリング8が連結してあり、スプリング8の弾力性で、駆動レバー6を回動させ、リンクピン24をリンク溝10に沿って時計回り方向に押し下げる方向に力が作用している。
【0021】
スプリング8の弾力性で、駆動レバー6を回動させ、リンクピン24をリンク溝10に沿って時計回り方向に押し下げた状態を図3に示す。その状態では、図2に示すリンク機構20がリンクピン24の動きに合わせて時計回り方向に回動させられ、シャッタ羽根12a〜12dから成る先シャッタ12が開口1aを閉じている状態から開く状態へと移動する。
【0022】
図1および図3に示すように、リンクピン24がリンク溝10に沿ってリンク溝10の下側端部に衝突する衝撃力を和らげると共に、レバー6の跳ね返りを防止するために、リンク溝10の下側端部近傍には、制動レバー14が基板1に対して回動自在に装着してある。また、制動レバー14自体の時計回り方向の回動を制限するために、制動レバー14の近くには、弾力性部材で構成してあるストッパ用ローラ15aが基板1に取り付けられている。
【0023】
シャッタ羽根12a〜12dから成る先シャッタ12が開口1aを開ける前には、図1に示すように、リンクピン24はリンク溝10の上側端部に位置し、その状態で、駆動レバー6の回動先端に対して、先羽根係止レバー2が係合する。そのため、駆動レバー6がスプリング力で時計回りに回転することが停止させられている。
【0024】
先羽根係止レバー2は、回動軸2aを介して基板1に対して回動自在に取り付けられ、スプリング4により、レバー2は、反時計回り方向に回動力が付与され、外力が作用しない状態では、レバー2は、駆動レバー6の回動先端に係止し続ける。すなわち、図2に示すように、先シャッタ12が開口1aを閉じた状態を維持する。レバー2には、カメラのシャッタボタンに連動して駆動される図示省略してあるアクチュエータにより時計回り方向の回動力が作用し、駆動レバー6との係合が外れるようになっている。
【0025】
レバー2との係合が外れた駆動レバー6は、スプリング力により回動し、リンクピン24はリンク溝10に沿って下側端部方向に移動する。その際に、駆動レバー6が制動レバー14に衝突し、その衝撃力を和らげると共に、レバー6の跳ね返りを防止する。
【0026】
図2に示す後シャッタ13を駆動するためのリンク機構22は、リンクピン26を介して、図1および図3に示す駆動レバー7と連結してある。駆動レバー7は、回動軸7aを中心として、基板1に対して回動可能に保持してある。駆動レバー7には、スプリング9が連結してあり、スプリング9の弾力性で、駆動レバー7を回動させ、リンクピン26をリンク溝11に沿って時計回り方向に押し下げる方向に力が作用している。
【0027】
スプリング9の弾力性で、駆動レバー7を回動させ、リンクピン26をリンク溝10に沿って時計回り方向に押し下げた状態は図示省略してある。その状態では、リンク機構22がリンクピン26の動きに合わせて時計回り方向に回動させられ、シャッタ羽根13a〜13dから成る後シャッタ13が開口1aを開いている状態から閉じている状態に素早く移動する。
【0028】
リンクピン26がリンク溝11に沿ってリンク溝11の下側端部に衝突する衝撃力を和らげると共に、レバー7の跳ね返りを防止するために、リンク溝11の下側端部近傍には、制動レバー16が基板1に対して回動自在に装着してある。また、制動レバー16自体の反時計回り方向の回動を制限するために、制動レバー16の近くには、弾力性部材で構成してあるストッパ用ローラ15bが基板1に取り付けられている。
【0029】
シャッタ羽根13a〜13dから成る先シャッタ13が開口1aを閉じる前には、図1に示すように、リンクピン26はリンク溝11の上側端部に位置し、その状態で、駆動レバー7の回動先端に対して、後羽根係止レバー3が係合する。そのため、駆動レバー7がスプリング力で時計回りに回転することが停止させられている。
【0030】
後羽根係止レバー3は、回動軸3aを介して基板1に対して回動自在に取り付けられ、スプリング5により、レバー3は、反時計回り方向に回動力が付与され、外力が作用しない状態では、レバー3は、駆動レバー7の回動先端に係止し続ける。レバー3には、レバー2を駆動するためのアクチュエータと同期して0.01〜0.001秒後に駆動される駆動される図示省略してあるアクチュエータにより時計回り方向の回動力が作用し、駆動レバー7との係合が外れるようになっている。
【0031】
レバー3との係合が外れた駆動レバー7は、スプリング力により回動し、リンクピン26はリンク溝11に沿って下側端部方向に移動する。その際に、駆動レバー7が制動レバー16に衝突し、その衝撃力を和らげると共に、レバー7の跳ね返りを防止する。
【0032】
すなわち、カメラのシャッタボタンが押されると、レバー2および3が所定の時間差をおいて、スプリング4,5のスプリング力に抗しつつ、回動軸2a,3aを中心に時計方向に回動駆動されて、レバー6,7とレバー2,3との係合が順次解除され、先羽根駆動レバー6及び後羽根駆動レバー7がバネ8,9の力で軸6a,7aの回りに回動させられる。そのため、先シャッタ12が開口1aを開いた直後に、後シャッタ13が開口1aを閉じ、アパーチャー1aを通過する光量が調整される。
【0033】
制動レバー14,16は、例えば図4に示す機構により、そのトルクが調整される。図4の例では、制動レバー14,16を基板1上で支持する支持軸17に一対のワッシャ18が制動レバー14,16を挟み込むように介装され、皿バネ19によりワッシャ18が制動レバー14,16側に押しつけられる。
【0034】
制動レバー14,16が回動する際には、皿バネ19の押圧力でワッシャ18と制動レバー14,16との間に摩擦力が発生し、この摩擦力でレバー6,7の回転エネルギーが吸収される。なお、図4の例では、ワッシャ18の厚さに応じてブレーキ力が変化するのでシャッタ組み付け時には、予め用意された数種類の厚さのワッシャから適切な厚さのものを1組選びだして、ブレーキ力を一定に調整している。
【0035】
従来では、ワッシャ18と制動レバー14,16との摩擦面には、耐摩耗性の改善と摩擦力(即ち、ブレーキ力)の調整等を目的として、微少量の潤滑油が滴下されている。つまり、一般的なブレーキと異なり、一定の距離(ストローク)を、適当なブレーキ力がかかりながら回動することにより、先シャッタ12または後シャッタ13停止時の衝撃を緩和する機構となっている。
【0036】
すなわち、ブレーキ力が強すぎれば、一定の角度回転をしないので、シャッタ用羽根に掛かる衝撃が大きくなり、羽根の破損などにつながるおそれがある。また逆にブレーキ力が弱すぎれば、ブレーキとして停止させる機能が低下してしまう。したがって、微妙な範囲にブレーキ力を調整するために潤滑油が必要であった。
【0037】
しかしながら、従来のように潤滑油を使用すると、潤滑油の飛散が生じ、場合によっては、撮像センサに液体潤滑剤が付着してしまい、撮像画像への悪影響が生じることも懸念されるようになってきている。
【0038】
これに対して、本実施形態では、潤滑油などの液体潤滑剤を用いることなく、レバー14,16およびワッシャ18のうちの少なくとも一つの部材を、金属射出成形(MIM)で成形してある成形体であって、固体潤滑剤と金属材料とを含む成形体(MIM成形体)で構成してある。好ましくは、レバー14,16を、MIM成形体で成形し、ワッシャ18を、カーボン繊維による繊維強化プラスチックで構成してある。あるいは、レバー14,16およびワッシャ18の全てをMIM成形体で成形してある。あるいは、ワッシャ18をMIM成形体で成形し、レバー14,16をNi−Pメッキされた鋼材で構成しても良い。
【0039】
MIM成形体に含まれる金属粉末としては、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、ニッケル、鉄ニッケル合金、ニッケル・コバルト合金、銅、銅合金、タングステン合金、モリブデン合金等が例示される。通常のMIM成形では、各金属粉末はバインダーと共に混練するが、本実施形態では、0.5〜5μm程度の大きさ(粒径)の二硫化モリブデンを、固体潤滑剤として、全体に対して10〜30重量%の割合で混入して混練し、射出成形用の造粒処理を行った。なお、固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン以外に、二硫化タングステン、グラファイトなどが用いられる。
【0040】
本実施形態において、固体潤滑剤の含有量が少なすぎると、潤滑性が乏しくなる傾向にあり、含有量が多すぎると、成形体中の金属成分の割合低下となり、制動機構用摩擦部材としてのレバーやワッシャの強度が低下する傾向にある。したがって、固体潤滑剤の含有割合は、上記の範囲が好ましい。
【0041】
また、本実施形態において、固体潤滑剤の粒径が小さすぎると、MIM成形体中での分散がしにくくなる傾向にあり、粒径が大きすぎると、潤滑性の部分的なばらつきが発生することもある。したがって、固体潤滑剤の粒径は、上記の範囲が好ましい。
【0042】
前述のようにして準備した造粒を、通常のMIM成形と同様に、所定の金型を使って成形後、脱脂、焼結処理を行うことで、二硫化モリブデン粉末を含むMIM金属成形体部品を得ることができる。この様にして得られた固体潤滑剤入りMIM成形体を、たとえば制動レバー14,16を用いることで、潤滑油を用いることなく制動レバー14,16とワッシャ18の面との摩擦力を一定に維持することができ、ブレーキ力の安定と、液体潤滑剤の飛散防止に大きく貢献することができる。
【0043】
以上説明した様に、本実施形態では、固体潤滑剤入りの金属制動レバー14,16を用いることにより、耐久回数の増加に伴うグリース飛散を防止することができると共に、これまでと同等の耐久性を同時に確保する事ができる。
【0044】
また、本実施形態は、デジタルカメラに適用した場合に効果が大きいが、フィルムを用いるカメラにももちろん適用できる。
【実施例】
【0045】
以下、さらに詳細な実施例に基づき説明する。
【0046】
実施例1
MIM用金属粉末として、ステンレス鋼(SUS630)、バインダー、二硫化モリブデン粉末(固体潤滑剤)を用意し、これらを混練機にて十分混練し、射出成形用の造粒処理を行った。二硫化モリブデン粉末の粒径は2μmであり、混入率は20重量%であった。
【0047】
MIM用成形機に別途作製した先シャッタ用制動レバー形状の金型をセットし、上記材料を使って射出成形を行った後、乾燥、脱脂、焼結処理を行い、MIM製の制動レバー部品を作製した。次に、同様の工程で、後シャッタ用の制動レバー部品を作製した。
【0048】
このようにして得られた両部品を、図4に示す制動レバー14,16として用い、ワッシャ18としてはカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)製のワッシャを用いた。また、MIM成形体からなるレバー部品と、CFRP製ワッシャ部品との摩擦面には潤滑油を塗布することなく、図1〜図3に示すように、フォーカルプレーンシャッタを作製した。
【0049】
以上のように作製したフォーカルプレンシャッタに対し、20万回の耐久試験を実施し、グリースの飛散数と耐久性への影響を評価した。その結果を表1に記す。なお、表1の幕速(シャッタ速度)は、先シャッタが開口1aを開放し始めてから完全に開放終了するまでの時間、あるいは、後シャッタが開口1aを閉鎖し始めてから完全に閉鎖終了するまでの時間を示す。
【0050】
比較例1
図4に示す制動レバー14,16を現行通りの製法で製造した。すなわち、鋼材をプレス加工後、Ni−Pめっきして、制動レバー14,16を作製した。また、ワッシャ18としては、CFRPを用い、当該ワッシャと制動レバーとの摩擦面には潤滑油を筆塗りした。上述した以外は、実施例1と同様にして、フォーカルプレンシャッタを作製し、実施例1と同様な試験を行った。結果を表1に示す。
【0051】
実施例2
二硫化モリブデンの混入率(重量%)を、10〜30重量%の範囲で変化させた以外は、実施例1と同様にして、フォーカルプレンシャッタを作製し、実施例1と同様な試験を行った。実施例1と同様な結果が得られることが確認できた。
【0052】
実施例3
ワッシャ18に関しても、実施例1における制動レバー14,16と同様にして、固体潤滑剤を含むMIM成形体で構成した以外は、実施例1と同様にして、フォーカルプレンシャッタを作製し、実施例1と同様な試験を行った。実施例1と同様な結果が得られることが確認できた。
【0053】
実施例4
ワッシャ18に関しては、実施例1における制動レバー14,16と同様にして、固体潤滑剤を含むMIM成形体で構成し、制動レバーに関しては、比較例1と同様にして現行通りの製法で製造した以外は、実施例1と同様にして、フォーカルプレンシャッタを作製し、実施例1と同様な試験を行った。実施例1と同様な結果が得られることが確認できた。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1はカメラのフォーカルプレーンシャッタ機構を示す概略図である。
【図2】図2は図1に示すフォーカルプレーンシャッタ機構における開口とシャッタ羽根との関係を示す概略図である。
【図3】図3は図1に示すフォーカルプレーンシャッタ機構において、先シャッタを駆動した状態を示す概略図である。
【図4】図4はカメラのフォーカルプレーンシャッタ機構における制動機構の一例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1… 基板
1a… 開口
6,7… 駆動レバー(被制動部材)
12… 先シャッタ
12a〜12d… シャッタ羽根
13… 後シャッタ
13a〜13d… シャッタ羽根
14,16… 制動レバー(制動機構用摩擦部材)
18… ワッシャ(制動機構用摩擦部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制動部材を制動する摩擦力を生じさせる制動機構用摩擦部材であって、
固体潤滑剤と金属材料とを含む成形体で構成してある制動機構用摩擦部材。
【請求項2】
前記成形体が金属射出成形により成形される請求項1に記載の制動機構用摩擦部材。
【請求項3】
前記成形体中の固体潤滑剤の含有量が、成形体全体に対して10〜30重量%である請求項1または2に記載の制動機構用摩擦部材。
【請求項4】
前記固体潤滑剤の粒径は0.5〜5μmである請求項1から3のいずれか1項に記載の制動機構用摩擦部材。
【請求項5】
前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイトのうちいずれかからなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の制動機構用摩擦部材。
【請求項6】
開口が形成された基板と、
前記開口を開閉するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を駆動する駆動レバーと、
前記駆動レバーの移動経路に設けられ、前記駆動レバーが衝突することにより移動する制動レバーとを有し、
前記制動レバーは、請求項1〜5のいずれかに記載の制動機構用摩擦部材で構成されていることを特徴とするシャッタ機構。
【請求項7】
前記制動レバーを支持する支持軸と、
前記支持軸に前記制動レバーを挟み込むように介装され、前記制動レバーとの間に摩擦力を発生させる摩擦部材と
を備えたことを特徴とする請求項6に記載のシャッタ機構。
【請求項8】
前記駆動レバーに前記制動レバーが衝突することにより前記制動レバーが移動する方向に設けられ、前記制動レバーの移動を制限するストッパ部材を備えたことを特徴とする請求項6または7に記載のシャッタ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−257145(P2008−257145A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102157(P2007−102157)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】