説明

制御された嵩密度を有する生分解性インプラント

透水性ポリマーと、薬物を含む浸透活性な薬物配合物とを含有する固形透水性インプラントが開示され、該固形透水性インプラントは、該薬物配合物の浸透圧に対する該固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rは約0.244g/mL・気圧よりも大きい。そのような固形透水性インプラントの製造方法および使用方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様では、本発明は、固形透水性インプラント、特に、透水性ポリマーと、薬物を含む浸透活性な薬物配合物と、を含む固形透水性インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
連続長期薬物送達法は、長期にわたり血流中の薬物の所望の血中レベルを達成しうるという点で特定の利点を有しうる。いくつかの投与形態の連続用量長期送達デバイスが使用または提案されてきた。これらのうちの1つは、皮下インプラントの使用であり、これは、性質の特に望ましい組合せを提供して局所的もしくは全身的な物質投与を可能にする。この目的のために、薬物の徐放が可能なデポー剤として機能する皮下インプラントが提案されてきた。こうしたインプラントは、比較的均一な送達速度および所望により安定的な血中レベルを達成する長期にわたる連続投与の実現可能性を示唆する。過剰濃度の薬物が体液に進入することは決してないので、パルス進入の問題は克服され、代謝半減期は支配的重要因子ではない。
【0003】
インプラントから薬物を投与するという利点にもかかわらず、この目的でデザインされた先行技術のデバイスは、その許容性および有効性を制限する1つ以上の欠点を有していた。そのような欠点として挙げられるのは、除去のために外科的手順を必要とする可能性がある非生分解性、体内への望ましくないさらには有害な物質の導入を引き起こす可能性がある非生体適合性、系内で不要な抗原体の生起をもたらす可能性がある抗原性、および薬物放出速度の制御の困難さである。このほかに、従来の送達デバイスは、長期投与を支援するのに十分な長期薬物送達速度を提供しない場合があり、しかも一日累積薬物放出量が不適切に多いという問題を抱えている場合がある。そのように一日累積薬物放出量が多いと、従来のデバイスが施された被験体において高い全身薬物レベルに起因して有害イベントが発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べた問題に対処する組成物および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、透水性ポリマーと、薬物を含む浸透活性な薬物配合物と、を含む固形透水性インプラントを提供するステップと(ただし、固形透水性インプラントは、薬物配合物の浸透圧に対する固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rは、約0.244グラム/ミリリットル・気圧を超える)、被験体に固形透水性インプラントを施すステップと、固形透水性インプラントを施した後、少なくとも約1週間にわたり固形透水性インプラントから持続可能に薬物を放出するステップと、を含む方法に関する。
【0006】
他の態様では、本発明は、透水性ポリマーと、薬物を含む浸透活性な薬物配合物と、を含む固形透水性インプラントを形成するステップを含む方法に関する。ただし、固形透水性インプラントは、薬物配合物の浸透圧に対する固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rは、約0.244グラム/ミリリットル・気圧を超える。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明について詳細に説明する前に、本発明は、特に例示された材料またはプロセスパラメーターに限定されるものではないことを理解しなければならない。なぜなら、当然のことながら、それらは変更可能であるからである。また、本明細書中で用いられる用語は、本発明の特定の実施形態を説明することだけを目的としたものにすぎず、限定することが意図されたものではないことも理解しなければならない。
【0008】
以上以下を問わず、本明細書中で引用される出版物、特許、および特許出願はすべて、それらの全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、内容上明らかに異なる場合を除いて、複数の参照対象を包含する。たとえば、「ポリマー」が参照された場合、2種以上のそのような分子の混合物が包含され、「溶媒」が参照された場合、2種以上のそのような組成物の混合物が包含され、「接着剤」が参照された場合、2種以上のそのような材料の混合物が包含され、他も同様である。
【0010】
A. 序
本発明者らは、透水性ポリマーと、薬物を含む浸透活性な薬物配合物と、を含む固形透水性インプラントを提供するステップと(ただし、固形透水性インプラントは、薬物配合物の浸透圧に対する固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rは、約0.244グラム/ミリリットル・気圧を超える)、被験体に固形透水性インプラントを施すステップと、固形透水性インプラントを施した後、少なくとも約1週間にわたり固形透水性インプラントから持続可能に薬物を放出するステップと、を含む方法を提供することにより、予期せずして、当技術分野の上述の問題に対処しうることを見いだした。さらに、発明者らは、透水性ポリマーと、薬物を含む浸透活性な薬物配合物と、を含む固形透水性インプラントを形成するステップを含む方法を提供することにより、予期せずして、当技術分野の上述の問題に対処しうることを見いだした。ただし、固形透水性インプラントは、薬物配合物の浸透圧に対する固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rは、約0.244グラム/ミリリットル・気圧を超える。
【0011】
本発明者らは、固形透水性インプラントの嵩密度がインプラントの薬物放出量性能、特に一日累積薬物放出量性能の重要な決定因子でありうることを確認した。特に、浸透活性な薬物配合物を含むインプラントの場合、薬物配合物の浸透圧に対する固形透水性インプラントの嵩密度の比Rにより、インプラントの薬物放出量性能を予測することが可能である。
【0012】
この発見の一例として、本発明者らは、酢酸ロイプロリドをサンプル化合物として選択した。次に、本発明者らは、水中の酢酸ロイプロリドの浸透圧が室温で約5気圧であることを実験により確認した。
【0013】
次に、実施例1〜5(試験1〜17、それぞれの試験データは表1に報告されている)において、本発明者らは、固形透水性インプラントの嵩密度が1.22グラム/ミリリットル未満である場合、固形透水性インプラント中に存在する薬物の初期全重量を基準にして、一日累積薬物放出量が平均で5.77重量パーセントであることを確認した。これとは対照的に、本発明者らは、固形透水性インプラントの嵩密度が1.22グラム/ミリリットル超である場合、固形透水性インプラント中に存在する薬物の初期全重量を基準にして、一日累積薬物放出量が平均でわずか2.73重量パーセントであることを確認した。言いかえれば、平均一日累積薬物放出量は、1.22グラム/ミリリットル未満の嵩密度を有する固形透水性インプラントの場合、1.22グラム/ミリリットル超の嵩密度を有する固形透水性インプラントの場合の約2倍である。次に、この嵩密度カットオフポイントを対象の薬物の浸透圧に対して比で表すことにより、優れた性能特性を有する固形透水性インプラントを特徴付けるために使用可能な無単位量を得ることが可能である。そのような固形透水性インプラントを作製および使用するための方法および材料について本明細書中でさらに説明する。
【0014】
次に、本発明についてより詳細に説明する。
【0015】
B. 定義
特に断りのないかぎり、パーセントはすべて、重量パーセントである。
【0016】
本明細書中で引用される参考文献はすべて、あたかもそれぞれの個々の刊行物または特許または特許出願が具体的かつ個別的に示されてその全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み入れられかつ/または完全に転載されたがごとく同一程度まで、それらの全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み入れられるものとする。本明細書中の参考文献についての論述は、それらの著者らによりなされた主張を単に要約することを意図するものであり、いずれの参考文献も先行技術を構成することを承認するものではない。出願人は、引用文献の正確性および妥当性を検証する権利を留保する。
【0017】
本発明は、本明細書中に提供される以下の定義、図面、および例示的開示を参照することにより、最もよく理解される。
【0018】
「固形」とは、物体または材料が一定の形状および体積を有することを意味し、そのような物体または材料は、液状でもガス状でもない。
【0019】
「透水性」とは、物体または材料が物体または材料への水の浸透または貫通を可能にする性質を有することを意味する。
【0020】
「インプラント」とは、インプラントから持続可能に薬物を放出する目的で被験体内に配置または形成された塊を意味する。
【0021】
「生分解性」とは、ポリマーなどの材料がin vivoで分解または腐食してより小さい化学種を形成することを意味し、分解は、たとえば、酵素的過程、化学的過程、および物理的過程に起因しうる。
【0022】
「生体適合性」とは、ポリマーなどの材料および材料の任意の分解産物が被験体に対して非毒性でありかつ被験体の身体に対して著明な有害作用や悪影響を示さないことを意味する。
【0023】
「ポリマー」とは、連結された一連の反復ユニットで構成された天然に存在する化合物または合成の化合物を意味する。ポリマーとしては、熱可塑性ポリマーおよび熱硬化性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリマーは、線状ポリマーおよび/または分岐状ポリマーを包含しうる。ポリマーは、単一のモノマー種から合成可能であるか、または2種以上のモノマー種から合成可能なコポリマーでありうる。一部の好ましい実施形態では、ポリマーは、生体適合性および/または生分解性でありうる。
【0024】
好適なポリマー、好ましくは生体適合性および/または生分解性のポリマーの例としては、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボネート、ポリアミド、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい材料は、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、およびそれらのコポリマーである。代表的な天然ポリマー材料としては、多糖およびタンパク質が挙げられる。
【0025】
「浸透活性」とは、材料が半透膜を介して浸透圧を生じることを意味する。
【0026】
「薬物配合物」とは、薬物を含みかつ本発明の実施に有用である医薬組成物を意味する。
【0027】
「薬物」とは、疾患または障害の治療、治癒、または予防のための医薬として内用または外用される任意の物質を意味し、例としては、免疫抑制剤、抗酸化剤、麻酔剤、化学療法剤、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、抗ウイルス剤、抗菌類剤、抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、抗凝血剤、抗光老化剤、メラノサイト刺激性(melanotropic)ペプチド、非ステロイド系およびステロイド系の抗炎症性化合物、抗精神病剤、および放射線吸収剤(UV吸収剤を含む)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
代表的な治療活性剤としては、免疫抑制剤、抗酸化剤、麻酔剤、化学療法剤、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、抗ウイルス剤、抗菌類剤、抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、抗凝血剤、抗光老化剤、メラノサイト刺激性ペプチド、非ステロイド系およびステロイド系の抗炎症性化合物、抗精神病剤、および放射線吸収剤(UV吸収剤を含む)が挙げられる。活性剤の他の例としては、抗感染症剤、たとえば、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、抗生物質、たとえば、ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ナイスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、およびアジスロマイシン、スルホンアミド類、たとえば、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、およびスルフィソキサゾール、ならびに抗ウイルス剤、たとえば、イドクスウリジン、抗アレルゲン剤、たとえば、アンタゾリン、メタピリレン(methapyritene)、クロルフェニラミン、ピリラミン、プロフェンピリダミン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−リン酸、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム、および酢酸プレドニゾロン、脱感作剤、たとえば、ブタクサ花粉抗原、枯草熱花粉抗原、ダスト抗原、およびミルク抗原、充血除去剤、たとえば、フェニレフリン、ナファゾリン、およびテトラヒドラゾリン、縮瞳剤および抗コリンエステラーゼ剤、たとえば、ピロカルピン、サリチル酸エセリン(esperine salicylate)、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸、ヨウ化ホスホリン、および臭化デメカリウム、副交感神経遮断剤、たとえば、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、オイカトロピン、およびヒドロキシアンフェタミン、交感神経様作用剤、たとえば、エピネフリン、鎮静剤および催眠剤、たとえば、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタールナトリウム、コデイン、(α−ブロモイソバレリル)尿素、カルブロマール、精神賦活剤、たとえば、3−(2−アミノプロピル)インドール酢酸および3−(2−アミノブチル)インドール酢酸、精神安定剤、たとえば、レセルピン、クロルプロマジン(chlorpromayline)、およびチオプロパゼート、アンドロゲン性ステロイド類、たとえば、メチル−テストステロンおよびフルオキシメステロン(fluorymesterone)、エストロゲン類、たとえば、エストロン、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、およびジエチルスチルベストロール、プロゲステロン様作用剤、たとえば、プロゲステロン、メゲストロール、メレンゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、ノルエチノドレル、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、および17−β−ヒドロキシ−プロゲステロン、体液性作用剤、たとえば、プロスタグランジン類、たとえば、PGE1、PGE2、およびPGF2、解熱剤、たとえば、アスピリン、ナトリウムサリチレート、およびサリチルアミド、鎮痙剤、たとえば、アトロピン、メタンテリン、パパベリン、および臭化メトスコポラミン、抗マラリア剤、たとえば、4−アミノキノリン類、8−アミノキノリン類、クロロキン、およびピリメタミン、抗ヒスタミン剤、たとえば、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレンナミン、ペルフェナジン、およびクロルフェナジン(chlorphenazine)、心臓作用剤、たとえば、ジベンズヒドロフルメチアジド(dibenzhydroflume thiazide)、フルメチアジド、クロロチアジド、およびアミノトレート、天然および合成の生物活性なペプチド類およびタンパク質類、たとえば、増殖因子、細胞接着因子、サイトカイン類、および生物学的応答調節剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
一実施形態では、組み込まれる材料はワクチンであり、送達される物質は抗原である。抗原は、細胞、細菌、もしくはウイルス粒子、またはそれらの一部分に由来しうる。本明細書中で定義される場合、抗原は、動物、たとえば、哺乳動物、トリ、またはサカナにおいて免疫原性応答を誘発するタンパク質、ペプチド、多糖、糖タンパク質、糖脂質、核酸、またはそれらの組合せでありうる。免疫原性応答は、体液性または細胞媒介性でありうる。免疫原性応答を誘発する対象の材料が不十分な抗原性である場合、標準的共有結合技術を用いて、たとえば、いくつかの市販の試薬キットのうちの1つを用いて、アルブミンなどの担体またはハプテンにコンジュゲートすることが可能である。好ましい抗原の例としては、ウイルスタンパク質、たとえば、インフルエンザタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)タンパク質、およびA型肝炎、B型肝炎、またはC型肝炎のタンパク質、ならびに細菌タンパク質、リポ多糖、たとえば、グラム陰性細菌細胞壁およびナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhea)タンパク質、さらにはパルボウイルスが挙げられる。
【0030】
「嵩密度」とは、単位体積あたりの物品の質量を意味する。それは、円柱状インプラントの場合、インプラントの測定された直径および長さを用いて体積を決定することにより算出可能である。インプラントの直径および長さは、校正されたカリパスにより測定可能である。インプラントの嵩密度は、化学天秤により決定されるインプラントの全重量を測定して、上記のように決定される計算された単位体積で除算することにより算出される。
【0031】
「薬物の浸透圧」とは、より低い薬物濃度の溶液からより高い薬物濃度の溶液への半透膜を介した溶媒分子(たとえば水)の正味の流動を阻止するために溶液に加えなければならない圧力を意味する。薬物の浸透圧は、Vapro(登録商標)蒸気圧浸透圧計などの蒸気圧浸透圧計を用いて実験により決定可能である。
【0032】
「投与すること」または「投与」とは、薬理学的に有用な形で被験体に薬物を提供することを意味する。
【0033】
「被験体」は、「個体」と同義的に用いられ、本発明の実施対象とすることが望まれる任意のヒトを意味する。「被験体」という用語は、特定の年齢を表すものではないので、本系は、乳児、青年、成人、および高齢被験体のような任意の年齢の被験体に使用するのに適している。特定の実施形態では、被験体は、患者を包含しうる。
【0034】
「持続可能に放出すること」または「持続放出」とは、約12時間超、好ましくは約24時間超、より好ましくは約1週間超、より好ましくは約2週間超、さらにより好ましくは約3週間超、最も好ましくは約4週間超の連続期間にわたり薬物またはある用量の薬物を連続放出することまたはその連続放出を意味する。
【0035】
C. インプラント
本発明に係るインプラントを作製するためのさまざまな方法が存在する。
【0036】
一部の実施形態には、湿式紡糸、乾式紡糸、および溶融紡糸が含まれるが、これらに限定されるものではない。湿式紡糸は、オリフィスを介してポリマーの溶液を非溶媒中に押し出してポリマーを凝集させることを含む。乾式紡糸プロセスでは、薬物配合物とポリマーとを含む溶液をオリフィス中に圧入して加熱された塔内に供給することにより溶媒を蒸発させてフィラメントを形成する。溶融紡糸では、熱可塑性ポリマーをその融点超に加熱し、オリフィスを介して薬物配合物と一緒に押し出し、そして冷却してフィラメントを形成する。インプラントが同軸インプラントであることが望まれる場合、速度制御ポリマー膜(「シース」とも呼ばれる)と同時に同軸インプラントのコア内に薬物を押し出すことが可能である。典型的な同軸紡糸口金は、2個の同心リングよりなる。薬物は、純粋形であっても高分子もしくは非高分子のマトリックス中に分散されていても、内側リングを介してポンプ注入されてコアを形成する。速度制御ポリマーは、外側リングを介してポンプ注入されてシースを形成する。両方の材料ストリームが紡糸口金から送出される時、それらは、固化して同軸インプラントを形成する。2種の材料を同軸紡糸口金にポンプ注入する速度は、シース膜の厚さおよびインプラントのサイズを決定する。
【0037】
押出しによりインプラントを形成する場合、ポリマーおよび/または薬物は、押出しのために溶融または溶媒中への溶解のいずれかにより液化される。押出しインプラントの好ましい作製方法は、溶融押出しである。インプラント配合物は、押出しダイに供給される。インプラントの直径は、ダイの寸法、押出し条件、2つの押出し機の押出し速度、および引取り速度により制御される。このようにして、インプラントの直径および厚さは制御される。
【0038】
インプラントはまた、従来の経口錠剤の作製に使用される従来の圧縮プロセスにより作製することも可能である。そのようなプロセスでは、薬物配合物を含む粒子または顆粒は、単一の圧縮形態を形成するように2つのパンチ間のダイ内で圧縮される。圧縮前の粒子または顆粒は、ローラーコンパクション/ミリング、スプレー乾燥、溶媒顆粒化、またはより大きい粒子のサイズ減少のような種々の技術を用いて作製可能である。そのような錠剤を製造するための一般的な処方およびプロセスについては、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol 1 , Second Edition, Edited by H. A. Liberman, J. Schwartz, L. Lachman, CRC Press, 1989に記載されている。
【0039】
他の選択肢として、射出成形により本発明に係るインプラントを作製することが可能である。射出成形プロセスでは、薬物配合物を含む溶融材料をインプラント/製品の形状の逆形状である成形型内に高圧で射出する。成形型は、一般的には、鋼で作製され、最終インプラントの形状およびサイズが得られるように精密機械加工される。制御薬物送達のためのポリマー成形技術の一般的使用については、"Controlled Drug Delivery", edited by J. R. Robinson and V.H. Lee (1978)に記載されている。
【0040】
薬物配合物は、さまざまな方法でポリマーと組み合わせることが可能である。ポリマーが液体担体を含有する場合、薬物配合物およびポリマー/担体混合物を混合してスラリーを形成することが可能である。他の選択肢として、溶媒ブレンディング、ドライブレンディング、または溶融ブレンディングにより、薬物配合物およびポリマーを混合することが可能である。薬物配合物−ポリマーマトリックスを2回押し出すことにより、より均一な混合を達成することが可能である。好ましい実施形態では、薬物配合物およびポリマーをドライブレンドし、ブレンドを溶融押出しし、そして押出し物を粉砕して第2の押出し用の供給原料を形成することにより、インプラントを作製する。
【0041】
一般的には断面が円形である形状で形成されるが、任意の他の断面形状、たとえば、楕円形、葉形、四角形、または三角形を有するインプラントを作製することも可能である。インプラントは、好ましくはロッドの形状を有するが、特定の好ましい実施形態では、略球形状をとることも可能である。
【0042】
液体担体またはポリマーのいずれかがインプラント中で使用される場合、インプラント中の薬物充填率は、インプラントの全重量を基準にして、約0.1〜約80重量%の範囲内でありうる。より好ましい充填率は、インプラントの全重量を基準にして、約10〜約60重量の範囲内であり、最も好ましい充填率は、約20〜約50重量%の範囲内である。
【0043】
インプラントは、薬物の全用量および想定される投与方法に依存して、さまざまなサイズで作製可能である。好ましい実施形態では、全直径は0.05〜5.0mmである。ヒトにおいて皮下投与に供する場合、1.0〜4.0mmの全直径がより好ましい。インプラントの長さは、典型的には約0.3cm〜10cmである。皮下留置に供する場合、より好ましい長さは約0.3cm〜3.0cmである。
【0044】
ポリマーおよび薬物配合物を溶媒ブレンドする場合、プロセスで使用される溶媒の選択は、一般的には、選択されるポリマーおよび薬物配合物さらには利用される特定の溶媒除去手段に依存する。アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルラクテート、エチルアセテート、ジクロロメタン、およびエチルアセテート/アルコールブレンドのような有機溶媒は、好ましい溶媒である。
【0045】
好適な治療活性剤および/または予防活性剤の例としては、タンパク質、たとえば、ホルモン、抗原、および増殖因子、核酸、たとえば、アンチセンス分子、ならびにより小さい分子、たとえば、抗生物質、ステロイド類、充血除去剤、神経作用剤、麻酔剤、鎮静剤、および抗体、たとえば、成長ホルモンレセプターに結合する抗体(ヒト化抗体を含む)、アジュバント、さらにはそれらの組合せが挙げられる。好適な診断活性剤および/または治療活性剤の例としては、放射性同位体および放射線不透剤が挙げられる。
【0046】
組み込まれる薬物の量および製造プロセスで使用される量は、特定の薬物、計画された放出レベルでの薬物の所望の効果、および薬物を放出させるべき期間に依存して異なるであろう。本発明に係る方法を用いて2種以上の薬物を本発明に係るインプラント中に組み込むことが可能である。薬物はまた、当技術分野で公知の1種以上の賦形剤たとえば安定化剤と混合可能である。
【0047】
本発明に係るインプラントは、放出が望まれる部位で侵襲性を最小限に抑えた手順を用いて留置可能である。これらは、トロカールまたはカテーテルを用いて、皮下、腹腔内、筋肉内、および管腔内(膣内、子宮内、直腸、歯周)に留置可能である。インプラントは、マトリックス、移植片、プロテーゼ、またはコーティングの一部として、たとえば血管内に構築可能である。
【0048】
インプラントの作製に関するさらなる一般情報は、たとえば、Cowsar and Dunn, Chapter 12 "Biodegradable and Nonbiodegradable Delivery Systems" pp. 145-162、Gibson, et al., Chapter 31 "Development of a Fibrous IUD Delivery System for Estradiol/Progesterone" pp. 215-226、Dunn, et al., "Fibrous Polymers for the Delivery of Contraceptive Steroids to the Female Reproductive Tract" pp. 125-146、Dunn, et al., "Fibrous Delivery Systems for Antimicrobial Agents" from Polymeric Materials in Medication ed. C.G. Gebelein and Carraher (Plenum Publishing Corporation, 1985) pp 47-59、米国特許第3,518,340号明細書、同第3,773,919号明細書、同第4,351,337号明細書、および同第5,366,734号明細書、国際出願公開第2004/110400号パンフレットおよび同第2006/071208号パンフレット、ならびに米国特許出願公開第20030007992号明細書に見いだしうる。
【0049】
D. 嵩密度の制御
本発明者らは、本発明に係るインプラントの嵩密度を制御するいくつかの方法を特定した。一方法は、押出し溶融体中のガス量を制御することである。これは、少なくとも2つの方式で、すなわち、供給物の状態調節を行う方式および押出し溶融体オフガスを除去する方式で、実施可能である。
【0050】
押出し供給材料は、真空乾燥により状態調節可能である。そのような実施形態では、事前に最終押出し前に真空下(約29水銀柱インチ)で少なくとも10時間、好ましくは少なくとも15時間、より好ましくは少なくとも24時間にわたり供給材料を乾燥させることが可能である。好ましい実施形態では、真空乾燥は、室温で実施可能である。より好ましい実施形態では、真空乾燥は、グローブボックスのアンティチャンバーのような閉じ込められた環境中で室温で実施可能である。
【0051】
特定の実施形態では、押出し機の動作時に押出し溶融体からオフガスを除去することが望ましいこともある。そのような場合、供給ホッパーでまたは押出し機バレルに沿って種々の箇所で押出し機をベントするかまたは真空下に配置することにより、押出し溶融体オフガスを除去することが可能である。
【0052】
本実施形態に適用される本発明の特徴および利点を説明および指摘してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく本明細書中に記載の方法に種々の修正、変更、追加、および省略を行いうることは、医療技術分野の当業者であればわかるであろう。
【0053】
本発明は、本発明の個々の態様を単に例示することが意図された本出願に記載の特定の実施形態に限定されるものではない。当業者には自明なことであろうが、本発明の多くの修正および変更をその趣旨および範囲から逸脱することなく行うことが可能である。本明細書中に列挙されたもの以外の本発明の範囲内にある機能的に等価な方法は、以上の説明から当業者には自明であろう。そのような修正および変更は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。本発明は、添付の特許請求の範囲(そのような特許請求の範囲の権利が及ぶ等価物の全範囲を包含する)によってのみ限定されるものとする。
【0054】
以下の実施例は、特許請求された本発明の例示を意図したものであり、なんら限定するものではない。
【実施例】
【0055】
E. 実施例
実施例1(試験1〜3):
インプラントを次のように作製した。Inversina Mixerを用いて、ステンレス鋼容器内で、25.28グラムのミリングされた酢酸ロイプロリドおよび74.84グラムの90/10ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)−メトキシポリ(エチレングリコール)750を10分間ブレンドした。
【0056】
このブレンドを次のプロセス条件でRandcastle 3/8”押出し機に通して処理した。スクリュー速度は10rpmであり、押出し機温度は、ゾーン1=175°F、ゾーン2=215°F、ゾーン3=238°Fであり、そしてダイ温度は238°Fであった。この押出し物をペレット化し、14000rpmでRetschミルを用いて液体窒素で凍結粉砕することによりサイズをさらに減少させた。凍結粉砕された材料をグローブボックス中で圧縮乾燥空気下のグローブボックスの乾燥環境下で約18時間加温させた。この供給材料を押出しプロセスを用いた最終インプラントの作製に使用した。
【0057】
状態調節された供給原料を10rpmで動作するRancastle 3/8”一軸スクリュー押出し機に導入してバルクロッドを作製し、これをインプラントの形態にカットした。押出し機温度は、ゾーン1=175°F、ゾーン2=215°F、ゾーン3=238°Fであり、ダイ温度は238°Fであった。ダイの直径は0.059”であり、フィラメントの最終直径は約1.5mmに制御された。インプラントの効力に基づいて、インプラント1個あたり約11.3mgの長さにインプラントをカットした。インプラント1個あたりの重量として長さを表した。
【0058】
次に、式ρ=m/Vを用いてインプラントの嵩密度を決定した。式中、「m」は、mg単位のインプラントの重量であり、「V」は、mm単位のインプラントの体積である。カリパスを用いて決定されたインプラントの直径および長さの測定値を用いることにより、インプラントの体積を計算した。
【0059】
放出試験開始後1日で放出された酢酸ロイプロリドの累積量を次のように決定した。各インプラントを清浄なシンチレーションバイアル中に入れた。次に、0.5%アジ化ナトリウムを有する10mLの67mMリン酸緩衝液(pH7.4)をシンチレーションバイアルに添加した。サンプルを37℃のインキュベーター内に貯蔵した。1日後、放出された酢酸ロイプロリドの量に関して緩衝液媒体を試験した。
【0060】
この実施例に係るインプラントの嵩密度および累積一日放出量のデータを表1に示す。
【0061】
実施例2(試験3):
インプラントを次のように作製した。Inversinaミキサーを用いて、ステンレス鋼容器内で、24.657グラムのミリングされた酢酸ロイプロリドおよび70.339グラムの90/10ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)−メトキシポリ(エチレングリコール)750を10分間ブレンドした。
【0062】
このブレンドを次のプロセス条件でRandcastle 3/8”押出し機に通して処理した。スクリュー速度は10rpmであり、押出し機温度は、ゾーン1=170°F、ゾーン2=205°F、ゾーン3=213°Fであり、そしてダイ温度は213°Fであった。この押出し物をペレット化し、8000rpmでRetschミルを用いて液体窒素で凍結粉砕することによりサイズをさらに減少させた。凍結粉砕された材料を圧縮乾燥空気下のグローブボックスアンティチャンバーの乾燥環境中で約15時間加温させた。この供給材料を押出しプロセスを用いた最終インプラントの作製に使用した。
【0063】
供給原料を10rpmで動作するRancastle 3/8”一軸スクリュー押出し機に導入してバルクロッドを作製し、これをインプラントの形態にカットした。押出し機温度は、ゾーン1=170°F、ゾーン2=205°F、ゾーン3=215°Fであり、ダイ温度は215°Fであった。
【0064】
次に、実施例1の方法に従ってインプラントの嵩密度を決定した。放出試験開始後1日で放出された酢酸ロイプロリドの累積量を実施例1の方法に従って決定した。この実施例に係るインプラントの嵩密度および累積一日放出量のデータを表1に示す。
【0065】
実施例3(試験4):
インプラントを次のように作製した。Inversinaミキサーを用いて、ステンレス鋼容器内で、39.872グラムのミリングされた酢酸ロイプロリドおよび110.148グラムの90/10ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)−メトキシポリ(エチレングリコール)750を10分間ブレンドした。
【0066】
このブレンドを次のプロセス条件でRandcastle 3/8”押出し機に通して処理した。スクリュー速度は10rpmであり、押出し機温度は、ゾーン1=175°F、ゾーン2=215°F、ゾーン3=238°Fであり、そしてダイ温度は238°Fであった。この押出し物をペレット化し、14000rpmでRetschミルを用いて液体窒素で凍結粉砕することによりサイズをさらに減少させた。凍結粉砕された材料を圧縮乾燥空気下のグローブボックスアンティチャンバーの乾燥環境中で約18時間加温させた。この供給材料を押出しプロセスを用いた最終インプラントの作製に使用した。
【0067】
供給原料を10rpmで動作するRancastle 3/8”一軸スクリュー押出し機に導入してバルクロッドを作製し、これをインプラントの形態にカットした。最初のプロセス温度は、ゾーン1=175°F、ゾーン2=215°F、ゾーン3=238°Fであり、ダイ温度は238°Fであった。押出し物の排出は、より迅速であることが特筆すべき点であり、フィラメントは、低い溶融強度を有していた。プロセスを制御するために、押出し機温度をゾーン1=167°F、ゾーン2=204°F、ゾーン3=227°Fに、ダイ温度を227°Fに変更した。
【0068】
次に、実施例1の方法に従ってインプラントの嵩密度を決定した。放出試験開始後1日で放出された酢酸ロイプロリドの累積量を実施例1の方法に従って決定した。この実施例に係るインプラントの嵩密度および累積一日放出量のデータを表1に示す。
【0069】
実施例4(試験5〜9):
インプラントを次のように作製した。Inversinaミキサーを用いて、ステンレス鋼容器内で、36.432グラムのミリングされた酢酸ロイプロリドおよび113.636グラムの90/10ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)−メトキシポリ(エチレングリコール)750を10分間ブレンドした。
【0070】
このブレンドを次のプロセス条件でRandcastle 3/8”押出し機に通して処理した。スクリュー速度は10rpmであり、押出し機温度は、ゾーン1=175°F、ゾーン2=215°F、ゾーン3=238°Fであり、そしてダイ温度は238°Fであった。この押出し物をペレット化し、14000rpmでRetschミルを用いて液体窒素で凍結粉砕することによりサイズをさらに減少させた。凍結粉砕された材料を圧縮乾燥空気下のグローブボックスアンティチャンバーの乾燥環境中で約15時間加温させた。この供給材料を押出しプロセスを用いた最終インプラントの作製に使用した。
【0071】
供給原料を10rpmで動作するRancastle 3/8”一軸スクリュー押出し機に導入してバルクロッドを作製し、これをインプラントの形態にカットした。押出し機温度は、ゾーン1=175°F、ゾーン2=215°F、ゾーン3=238°Fであり、ダイ温度は238°Fであった。
【0072】
次に、実施例1の方法に従ってインプラントの嵩密度を決定した。インプラントの嵩密度は、1.25mg/mmであった。放出試験開始後1日で放出された酢酸ロイプロリドの累積量を実施例1の方法に従って決定した。この実施例に係るインプラントの嵩密度および累積一日放出量のデータを表1に示す。
【0073】
実施例5(試験10〜17):
1mmスクリーンを備えかつ約14,000rpmで動作するRetsch ZM 100 Ultracentrifugal Millを用いて、0.87dL/g(30℃のCHCl)のインヘレント粘度を有するmPEG 750開始90:10ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)すなわちmPEG−750 90:10 DL−PLGを極低温で粉砕した。ポリマーペレットを液体窒素(LN)と組み合わせ、過熱を防止するのに十分な遅い速度でミルに添加した。ミリングされた材料を回収し、周囲温度で真空下で約75時間乾燥させた。次に、キャリアガスとしてNを用いてTrost Gem−T Jet Millにより酢酸ロイプロリド(LA)(Genzyme Pharmaceuticals Lot M0057)をミリングした。ガラス製の乳鉢および乳棒を用いてLA(56.3g)を予備粉砕し、次に、サクションフィーダーを用いてミルに供給した。ミリングされたLAをミルから回収し、周囲温度で真空下で約70時間乾燥させた。次に、約6gのLAおよび約14gのmPEG−750 90:10 DL−PLGを組み合わせ、手動で混合した。ブレンドを周囲温度で約46時間真空乾燥させた。乾燥後、約1.6mmの開口を有する丸孔ダイを備えたRandcastle 0.375−in押出し機を用いて、ブレンドを押し出した。以下の目標温度で約10rpmで押出し機を動作させた:
ゾーン1=180°F
ゾーン2=225°F
ゾーン3=248°F
ダイ=248°F
溶融体=235〜240°F
【0074】
得られたロッド材を回収し、小片に破壊し、そして上記のように極低温でミリングしてミリングされた材料を得た。ミリングされた材料を周囲温度で真空下で約21時間乾燥させた。
【0075】
同一の装置を用いて、ミリングされたLA/ポリマーブレンドの2回目の押出しを行った。以下の目標温度で押出し機を動作させた:
ゾーン1=200°F
ゾーン2=225°F
ゾーン3=248°F
ダイ=248°F
溶融体=251〜252°F
【0076】
最初に、スクリュー速度を約10RPMに設定したが、後で、圧力増加およびモーター負荷を補償するために7.6rpmに減少させた。定常状態圧力を1600〜1830psigの範囲内に保持した。約20〜30cmの長さのロッド材を回収し、試験まで乾燥剤上で貯蔵した。
【0077】
次に、実施例1の方法に従ってインプラントの嵩密度を決定した。放出試験開始後1日で放出された酢酸ロイプロリドの累積量を実施例1の方法に従って決定した。この実施例に係るインプラントの嵩密度および累積一日放出量のデータを表1に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
透水性ポリマーと、薬物を含む浸透活性な薬物配合物とを含む固形透水性インプラントを準備するステップであって、該固形透水性インプラントは、該薬物配合物の浸透圧に対する該固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rは約0.244g/mL・気圧よりも大きいステップ;
該固形透水性インプラントを被験体に施すステップ;および
該固形透水性インプラントを施した後、少なくとも約1週間、該固形透水性インプラントから該薬物が持続的に放出されるステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記固形透水性インプラントが、前記透水性ポリマーと、前記薬物を含む前記浸透活性な薬物配合物とを含む第2の固形透水性インプラントと比較して、低下した一日累積薬物放出を示し、該第2の固形透水性インプラントが、該薬物配合物の浸透圧に対する該固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rが0.244g/mL・気圧未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薬物が、前記固形透水性インプラントを施した後、少なくとも約2週間、前記固形透水性インプラントから持続的に放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記透水性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボネート、ポリアミド、またはそれらのコポリマーもしくはブレンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記薬物が酢酸ロイプロリドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
以下のステップ:
透水性ポリマーと、薬物を含む浸透活性な薬物配合物とを含む固形透水性インプラントを形成するステップであって、該固形透水性インプラントは、該薬物配合物の浸透圧に対する該固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rは約0.244g/mL・気圧よりも大きいステップ
を含む方法。
【請求項7】
以下のステップ:
形成された固形透水性インプラントを被験体に施すステップ;および
該固形透水性インプラントを施した後、少なくとも約1週間、該固形透水性インプラントから該薬物が持続的に放出されるステップ
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記固形透水性インプラントが、前記透水性ポリマーと、前記薬物を含む前記浸透活性な薬物配合物とを含む第2の固形透水性インプラントと比較して、低下した一日累積薬物放出を示し、該第2の固形透水性インプラントが、該薬物配合物の浸透圧に対する該固形透水性インプラントの嵩密度の比Rを有し、Rが0.244g/mL・気圧未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記薬物が、前記固形透水性インプラントを施した後、少なくとも約2週間、前記固形透水性インプラントから持続的に放出される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記透水性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボネート、ポリアミド、またはそれらのコポリマーもしくはブレンドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記薬物が酢酸ロイプロリドを含む、請求項6に記載の方法。

【公表番号】特表2011−500688(P2011−500688A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529982(P2010−529982)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/011967
【国際公開番号】WO2009/051845
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(508027589)デュレクト コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】