説明

制御システム、操作端末およびプログラム

【課題】ネットワーク上のプログラマブルロジックコントローラの数は1つであるとユーザが勘違いしたまま、実際には複数のプログラマブルロジックコントローラが接続されたネットワークにコンピュータをユーザが誤って接続した場合において、ユーザの勘違いによる異常な通信を防止する。
【解決手段】
制御システムは、コンピュータと、コンピュータに接続された少なくとも1つのプログラマブルロジックコントローラとを備える。コンピュータに接続されたプログラマブルロジックコントローラの数が1つであると、コンピュータは、接続されたプログラマブルロジックコントローラと通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、操作端末およびプログラムに関し、特に、操作端末と制御装置との間で通信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動化された工場などにおいて製造機械の制御装置として用いられるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)が知られている。たとえば、プログラマブルロジックコントローラは、ツールと呼ばれるソフトウェアがインストールされたコンピュータ(市販のパーソナルコンピュータなど)またはプログラマブルロジックコントローラの設定などに用いられる表示器を用いて管理される。
【0003】
プログラマブルロジックコントローラ、コンピュータおよび表示器を接続するネットワークの中には、イーサネット(登録商標)を利用するものがある。そのようなネットワーク上で、1つのプログラマブルロジックコントローラと1つのコンピュータとを接続すると、特開2009−267720号公報(特許文献1)の第3段落に記載のように、宛先のIPアドレスが不明であっても、プログラマブルロジックコントローラとコンピュータとの間で通信を確立できる。
【0004】
一方、1つのプログラマブルロジックコントローラと1つのコンピュータとが接続されたネットワークに、たとえば別のプログラマブルロジックコントローラが誤って接続されたとしても、特開2009−267720号公報に記載のように、先に接続されていたプログラマブルロジックコントローラの識別情報を記憶しておくことによって、パケットの誤送信を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−267720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2009−267720号公報においては、ネットワーク上のプログラマブルロジックコントローラの数は1つであるとユーザが勘違いしたまま、実際には複数のプログラマブルロジックコントローラが接続されたネットワークにコンピュータをユーザが誤って接続した場合については何等考慮されていない。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザの勘違いによる異常な通信を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
制御システムは、操作端末と、操作端末に接続された少なくとも1つの制御装置とを備える。操作端末は、操作端末に接続された制御装置の数が1つであるか否かを判定するための判定手段と、操作端末に接続された制御装置の数が1つであると、接続された制御装置と通信するための手段とを含む。
【0009】
操作端末は、操作端末に接続された制御装置の数が1つであるか否かを判定するための判定手段と、操作端末に接続された制御装置の数が1つであると、接続された制御装置と通信するための通信手段とを備える。
【0010】
プログラムは、操作端末に、操作端末に接続された制御装置の数が1つであるか否かを判定するステップと、操作端末に接続された制御装置の数が1つであると、接続された制御装置と通信するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作端末に接続された制御装置の数が1つであると、操作端末と制御装置との間の通信が確立される。したがって、ネットワーク上の制御装置の数は1つであるとユーザが勘違いしたまま、実際には複数の制御装置が接続されたネットワークに操作端末をユーザが誤って接続した場合には、通信が確立されない。その結果、ユーザの勘違いによる異常な通信を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】制御システムの全体を示す概略図である。
【図2】プログラマブルロジックコントローラの機能と、コンピュータの機能とを示す機能ブロック図である。
【図3】プログラマブルロジックコントローラの情報を示す図である。
【図4】ネットワークに複数のプログラマブルロジックコントローラが接続されている場合のネットワーク構成情報を示す図である。
【図5】ネットワークに1台のプログラマブルロジックコントローラが接続されている場合のネットワーク構成情報を示す図である。
【図6】プログラマブルロジックコントローラのハードウェア構成と、コンピュータのハードウェア構成とを示すブロック図である。
【図7】リンクローカルアドレスを設定するために実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図8】ネットワーク構成情報を作成するために実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】プログラマブルロジックコントローラの情報を送信するために実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図10】コンピュータが一台のプログラマブルロジックコントローラと通信するために実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図11】1台のコンピュータと1台のプログラマブルロジックコントローラとがハブを介して接続された状態を示す図である。
【図12】1台のコンピュータと1台のプログラマブルロジックコントローラとがハブを介さずに接続された状態を示す図である。
【図13】1台のコンピュータと複数のプログラマブルロジックコントローラとが接続された状態を示す図である。
【図14】ノード一覧情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、本実施の形態に係る制御システム10について説明する。制御システム10は、第1プログラマブルロジックコントローラ(以下、第1コントローラと記載する)101と、第2プログラマブルロジックコントローラ(以下、第2コントローラと記載する)102と、第3プログラマブルロジックコントローラ(以下、第3コントローラと記載する)103と、第4プログラマブルロジックコントローラ(以下、第1コントローラと記載する)104と、コンピュータ200とを備える。プログラマブルロジックコントローラの数は4つに限られず、1台以上であればいくつでもよい。
【0014】
第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104は、制御装置として用いられる。コンピュータ200は、ユーザが操作する操作端末として用いられる。
【0015】
第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200は、ネットワーク300を介して相互に電気的に接続される。
【0016】
第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200は、夫々、ネットワーク300上に設けられたハブ302に通信ケーブルによって接続される。第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200を無線で接続してもよい。
【0017】
ネットワーク300は、イーサネット(登録商標)を利用して、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200を相互に接続する。なお、イーサネット(登録商標)を利用した接続方法には周知の技術を利用すればよいため、ここではその詳細な説明は繰り返さない。イーサネット(登録商標)以外の通信規格を利用してもよい。
【0018】
第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104には、夫々異なる工作機械が接続される。第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104は、これらの工作機械の制御装置としての機能を有する。
【0019】
コンピュータ200は、たとえば市販されているパーソナルコンピュータである。コンピュータ200は、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)など、任意の形式のコンピュータが用いられ得る。
【0020】
コンピュータ200には、コンピュータ200に所望の機能を実行させるためのプログラムであるエンジニアリングツールがインストールされる。ユーザは、コンピュータ200を操作することによって、第1コントローラ101、第2コントローラ102および第3コントローラ103の設定を変更することなどが可能である。
【0021】
コンピュータ200の代わりに、もしくは加えて、プログラマブル表示器と呼ばれる専用の制御装置をネットワーク300に接続してもよい。すなわち、操作端末としてプログラマブル表示器を用いてもよい。プログラマブル表示器は、たとえば、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ103の作動状態および設定内容などを表示する。プログラマブル表示器は、たとえばタッチパネルを有する。ユーザは、タッチパネルを操作することによって、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104の設定を変更することなどが可能である。
【0022】
プログラマブル表示器を、プログラマブルコントローラの代わりに、もしくは加えてネットワーク300に接続し、制御装置として用いてもよい。
【0023】
第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200の夫々には、IPアドレスが割り当てられる。割り当てられたIPアドレスの各々は、専用のツールなどを用いて第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200に夫々登録(記憶)される。
【0024】
一例として、第1コントローラ101には、IPアドレスとして「192.168.250.1」が割り当てられる。第2コントローラ102には、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を利用してIPアドレスが割り当てられる。ただし、図1に示す例ではDHCPサーバが存在しないため、第2コントローラ102にIPアドレスを割り当てることができない。その結果、「0.0.0.0」が第2コントローラ102のIPアドレスとして示される。
【0025】
第3コントローラ103には、IPアドレスとして「192.168.70.2」が割り当てられる。第4コントローラ104には、IPアドレスとして「192.168.250.1」が割り当てられる。ただし、このIPアドレスは誤って設定されたものであって、正しくは、IPアドレスとしてたとえば「192.168.250.2」が割り当てられべきである。
【0026】
コンピュータ200には、IPアドレスとして「192.168.70.1」が割り当てられる。本実施の形態において第1コントローラ101、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200に割り当てられるIPアドレスは、たとえば製造ラインなどを設計または管理するユーザによって選択された固定のIPアドレスである。これらのIPアドレスは一例であって、割り当てられるIPアドレスはこれらに限定されない。
【0027】
第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200は、夫々、IPアドレスとは別のリンクローカルアドレスを自動的に設定する。リンクローカルアドレスは、エイリアスとして用いられ得る。このように複数のアドレスが割当てられる機能のことをIPエイリアスと呼ぶ。このIPエイリアスの機能はイーサネット(登録商標)利用技術の1つとして知られている。
【0028】
一例として、第1コントローラ101は、自己のリンクローカルアドレスに「169.254.30.1」を設定する。第2コントローラ102は、自己のリンクローカルアドレスに「169.254.78.35」を設定する。第3コントローラ103は、自己のリンクローカルアドレスに「169.254.60.57」を設定する。第4コントローラ104は、自己のリンクローカルアドレスに「169.254.78.12」を設定する。コンピュータ200は、自己のリンクローカルアドレスに「169.254.30.3」を設定する。これらのリンクローカルアドレスは一例であって、リンクローカルアドレスはこれらに限定されない。
【0029】
第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200は、他の機器において設定されたリンクローカルアドレスとは異なるリンクローカルアドレスを設定する。すなわち、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200の夫々には、異なるリンクローカルアドレスが設定される。
【0030】
図2を参照して、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200の機能について説明する。図2においては、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104のうち、第1コントローラ101のみを示す。第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104の機能は、第1コントローラ101の機能と同じ、もしくは略同じであるため、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0031】
第1コントローラ101(第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104)は、アドレス設定機能111、接続機能121および送信機能131を含む。アドレス設定機能111は、上述したリンクローカルアドレスを設定する。接続機能121は、ネットワーク300との接続(通信)を処理する。
【0032】
送信機能131は、第1コントローラ101の情報141を、ネットワーク300を介して送信する。これらの機能は、たとえば第1コントローラ101にインストールされるプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現される。
【0033】
図3に、第1コントローラ101の情報141の一例を示す。第1コントローラ101の情報141は、リンクローカルアドレス、IPアドレス、MAC(Media Access Control)アドレス、名称などの付加情報、型式およびユニットバージョンなどを含む。これらの情報は一例であって、第1コントローラ101の情報141はこれらに限定されない。
【0034】
図2に戻って、コンピュータ200は、アドレス設定機能210、接続機能220、要求機能230および受信機能240を含む。アドレス設定機能210は、上述したリンクローカルアドレスを設定する。接続機能220は、ネットワーク300との接続(通信)を処理する。
【0035】
要求機能230は、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104に各々のIPアドレスを含む情報をコンピュータ200のリンクローカルアドレスに対して送信するように要求する。第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104に各々のIPアドレスを含む情報の要求がブロードキャスト送信される。第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104は、要求を受信すると、各々の情報を、コンピュータ200のリンクローカルアドレスを宛先として送信する。
【0036】
受信機能240は、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104から送信される、各々の情報を受信する。これらの機能は、たとえばコンピュータ200にインストールされるプログラムであるエンジニアリングツールをCPUが実行することによって実現される。
【0037】
第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103または第4コントローラ104が、コンピュータ200の要求機能230および受信機能240を有するようにしてもよい。
【0038】
コンピュータ200は、各プログラマブルロジックコントローラから受信した情報から、ネットワーク構成情報250を作成する。図4に、ネットワーク構成情報250の一例を示す。ネットワーク構成情報250は、各プログラマブルロジックコントローラから受信した情報を統合することによって作成される。
【0039】
仮に、ネットワーク300に接続されたプログラマブルロジックコントローラが、第1コントローラ101のみであった場合、図5に示すように、ネットワーク構成情報250は第1コントローラ101の情報のみを含む。したがって、1つのプログラマブルロジックコントローラだけから情報を受信すると、コンピュータ200に接続されたプログラマブルロジックコントローラの数が1つであると判定できる。なお、ネットワーク構成情報250は、コンピュータ200自身の情報(IPアドレスおよびリンクローカルアドレスなど)を含んでもよい。
【0040】
図6を参照して、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200のハードウェア構成について説明する。
【0041】
図6においては、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104のうち、第1コントローラ101のみを示す。第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104のハードウェア構成は、第1コントローラ101のハードウェア構成と同じ、もしくは略同じであるため、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0042】
第1コントローラ101(第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104)は、演算装置151、不揮発性記憶装置161、揮発性記憶装置171および通信装置181を含む。
【0043】
演算装置151は、たとえばCPUである。演算装置151は、オペレーティングシステム(OS)を含む、種々のソフトウェア(プログラム)を実行する。不揮発性記憶装置161は、たとえばROM(Read Only Memory)またはHDD(Hard disk drive)である。不揮発性記憶装置161は、演算装置151が実行するソフトウェアの実行モジュールを格納する。
【0044】
揮発性記憶装置171は、たとえばRAM(Random Access Memory)である。揮発性記憶装置171は、たとえば各々のソフトウェアが必要とするワーク領域などを保持するために用いられる。
【0045】
通信装置181は、ネットワーク300を介した通信を制御するために用いられる。通信装置181は、第1コントローラ101の外部の装置であってもよい。
【0046】
コンピュータ200は、演算装置260、不揮発性記憶装置270、揮発性記憶装置280、通信装置290および表示装置292を含む。演算装置260、不揮発性記憶装置270、揮発性記憶装置280および通信装置290は、それぞれ、演算装置151、不揮発性記憶装置161、揮発性記憶装置171および通信装置181と同じ、もしくは略同じである。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0047】
表示装置292は、たとえば前述のネットワーク構成情報250などの種々の情報を表示する。表示装置292には一般的なモニターなどが用いられる。
【0048】
図7を参照して、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200が、リンクローカルアドレスを設定するときに実行するプログラムの制御構造について説明する。以下に説明するプログラムは、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104およびコンピュータ200の各々において実行される。このプログラムは、たとえば、LAN(Local Area Network)ケーブルなどの通信ケーブルが、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103、第4コントローラ104またはコンピュータ200のポートに挿入されたときに実行される。
【0049】
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、MACアドレスに基づいて、リンクローカルアドレスが生成される。周知の通り、MACアドレスは、各々の機器に取り付けられたイーサネットカードに固有のID番号である。MACアドレスは、製造者ごとに定められた固有の番号と、製造者が独自に割り当てることができる任意の番号との組み合わせによって表される。したがって、一例として、リンクローカルアドレスは、MACアドレスにおける製造者の固有の番号と、MACアドレスと重複しない範囲で無作為に定められる任意の番号との組み合わせとして生成される。リンクローカルアドレスの作成方法はこれに限定されない。
【0050】
リンクローカルアドレスが生成された後、S102にて、生成されたリンクローカルアドレスと同じリンクローカルアドレスがネットワーク300上に存在するか否かを確認するため、生成されたリンクローカルアドレスが宛先としてセットされたアドレス解決プロトコル(ARP)リクエストがブロードキャストで送信される。
【0051】
ARPリクエストに対して応答がある場合、すなわち生成されたリンクローカルアドレスと同じリンクローカルアドレスを有する機器がネットワーク300上に存在する場合(S104にてYES)、リンクローカルアドレスが再度作成される(S100)。
【0052】
ARPリクエストに対して応答がない場合、すなわち生成されたリンクローカルアドレスと同じリンクローカルアドレスを有する機器がネットワーク300上に存在しない場合(S104にてNO)、作成されたリンクローカルアドレスが自己のリンクローカルアドレスとして確定される(S106)。その後、S108にて、確定されたリンクローカルアドレスが、エイリアスとして登録される。
【0053】
図8を参照して、コンピュータ200が、前述した図4または図5に示されるネットワーク構成情報250を作成するために実行するプログラムの制御構造について説明する。本実施の形態において、以下に説明するプログラムは、コンピュータ200によって実行される。
【0054】
S200にて、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104に各々のIPアドレスを含む情報の要求が、コンピュータ200からブロードキャスト送信される。
【0055】
その後、S202にて、各プログラマブルロジックコントローラから受信した情報から、ネットワーク構成情報250が作成される。
【0056】
図9を参照して、第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103または第4コントローラ104が、各々の情報を送信するために実行するプログラムの制御構造について説明する。
【0057】
S300にて、プログラマブルロジックコントローラの、IPアドレスを含む情報を要求する要求を受信したか否かが判断される。要求を受信すると(S300にてYES)、S302にて、コンピュータ200のリンクローカルアドレスに向けて、プログラマブルロジックコントローラの情報を送信する。
【0058】
図10を参照して、コンピュータ200がプログラマブルロジックコントローラと通信するために実行するプログラムの制御構造について説明する。
【0059】
S500にて、ネットワーク構成情報250が作成される。S502にて、ネットワーク構成情報250に基づいて、コンピュータ200にイーサネット(登録商標)を利用して接続された機器が一台であるか否かが判定される。たとえば、1つの機器(プログラマブルロジックコントローラ)だけからIPアドレスを含む情報を受信すると、コンピュータ200に接続された機器の数が1つであると判定される。
【0060】
コンピュータ200にイーサネット(登録商標)を利用して接続された機器が一台であると(S502にてYES)、S504にて、コンピュータ200に接続されたプログラマブルロジックコントローラ105のリンクローカルアドレスを用いて通信が確立される。
【0061】
一方、コンピュータ200にイーサネット(登録商標)を利用して接続された機器が複数であると(S502にてNO)、S506にて、コンピュータ200に接続された機器が複数であることが表示装置292に表示される。
【0062】
したがって、図11に示すように、1台のコンピュータ200と、1台のプログラマブルロジックコントローラ(たとえば第1コントローラ101)とがハブ302を介して、または図12に示すようにハブ302を介さずに接続された場合、コンピュータ200とプログラマブルロジックコントローラとの間の通信が確立される。1台プログラマブルロジックコントローラの代わりに1台のプログラマブル表示器がコンピュータ200に接続されていても、同様に、コンピュータ200とプログラマブル表示器との間の通信が確立される。
【0063】
一方、図13に示すように、コンピュータ200に、たとえば第1コントローラ101、第2コントローラ102、第3コントローラ103および第4コントローラ104が接続された場合には、図14に示すように、ネットワーク構成情報250に基づいてコンピュータ200が作成したノード一覧情報が表示装置292に表示される。これによって、コンピュータ200に接続された機器が複数であることが表示装置292に表示される。この場合、ノード一覧情報の中からコンピュータ200と通信するプログラマブルロジックコントローラを選択するようにしてもよい。図14に示すノード一覧情報は一例であって、これに限定されない。ノード一覧情報は、コンピュータ200自身の情報(IPアドレスおよびMACアドレスなど)を含んでもよい。プログラマブルロジックコントローラの代わりにプログラマブル表示器がコンピュータ200に接続されていてもよい。
【0064】
以上のように、コンピュータ200に接続されたプログラマブルロジックコントローラの数が1つであると、コンピュータ200とプログラマブルロジックコントローラとの間の通信が確立される。したがって、ネットワーク上のプログラマブルロジックコントローラの数は1つであるとユーザが勘違いしたまま、実際には複数のプログラマブルロジックコントローラが接続されたネットワークにコンピュータ200をユーザが誤って接続した場合には、通信が確立されない。その結果、ユーザの勘違いによる異常な通信を防止できる。
【0065】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
10 制御システム、101 第1コントローラ、102 第2コントローラ、103 第3コントローラ、104 第4コントローラ、105 プログラマブルロジックコントローラ、111 アドレス設定機能、121 接続機能、131 送信機能、151 演算装置、161 不揮発性記憶装置、171 揮発性記憶装置、181 通信装置、200 コンピュータ、210 アドレス設定機能、220 接続機能、230 要求機能、240 受信機能、260 演算装置、270 不揮発性記憶装置、280 揮発性記憶装置、290 通信装置、292 表示装置、300 ネットワーク、302 ハブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末と、
前記操作端末に接続された少なくとも1つの制御装置とを備え、
前記操作端末は、
前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであるか否かを判定するための判定手段と、
前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであると、前記接続された制御装置と通信するための手段とを含む、制御システム。
【請求項2】
前記操作端末は、前記操作端末に接続された制御装置の数が複数であると、前記操作端末に接続された制御装置の数が複数であることを表示するための手段をさらに含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
操作端末であって、
前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであるか否かを判定するための判定手段と、
前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであると、前記接続された制御装置と通信するための通信手段とを備える、操作端末。
【請求項4】
前記操作端末は、前記操作端末に接続された制御装置の数が複数であると、前記操作端末に接続された制御装置の数が複数であることを表示するための手段をさらに含む、請求項3に記載の操作端末。
【請求項5】
操作端末に、
前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであるか否かを判定するステップと、
前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであると、前記接続された制御装置と通信するステップとを実行させる、プログラム。
【請求項6】
前記操作端末に、前記操作端末に接続された制御装置の数が複数であると、前記操作端末に接続された制御装置の数が複数であることを表示するステップをさらに実行させる、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記操作端末は、
前記操作端末に対して前記制御装置の情報を送信するように前記制御装置に要求するための手段と、
前記制御装置から前記制御装置の情報を受信するための手段とをさらに含み、
前記判定手段は、前記操作端末が1つの制御装置だけから情報を受信すると、前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであると判定する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記操作端末に対して前記制御装置の情報を送信するように前記制御装置に要求するための手段と、
前記制御装置から前記制御装置の情報を受信するための手段とをさらに備え、
前記判定手段は、前記操作端末が1つの制御装置だけから情報を受信すると、前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであると判定する、請求項3に記載の操作端末。
【請求項9】
前記操作端末に、
前記操作端末に対して前記制御装置の情報を送信するように前記制御装置に要求するステップと、
前記制御装置から前記制御装置の情報を受信するステップとをさらに実行させ、
前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであるか否かを判定するステップは、前記操作端末が1つの制御装置だけから情報を受信すると、前記操作端末に接続された制御装置の数が1つであると判定するステップを含む、請求項5に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−194629(P2012−194629A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56377(P2011−56377)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】