説明

制御メッセージと音声ペイロードとを分別する方法及び装置

基地局は移動局がDTXモードから連続伝送モードに移行したことを検出する。基地局は、移動局がDTXモードである間に、アップリンク伝送期間中の移動局によるアップリンク伝送をスケジュールし、スケジュールされたアップリンク伝送期間中に移動局からアップリンクLLC PDUを受信する。基地局は、受信されたアップリンクLLC PDUのサイズに基づいて移動局の動作モードを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に無線ネットワーク上のパケットデータ通信に関し、より具体的には非連続モードと連続な移行モードとの間を移動局がいつ移行したかを検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動局にパケットデータ・サービスを提供するために、GSMパケット無線サービス(GPRS)標準が発展してきた。GPRS標準により、アップリンク通信用の同一のタイムスロット又はタイムスロット群を複数の移動局で共有することが可能となる。パケットデータのセッションが確立される際に、移動局はアップリンク及びダウンリンクにおける一つ以上のタイムスロットを割当てられる。チャネル割当てにおいて、移動局は一時ビットフロー識別子(TFI)及びアップリンク状態フラグ(USF)を与えられる。
【0003】
ダウンリンク通信に関して、ダウンリンクで送信されるデータブロックは、データブロックの宛先の移動局を識別するために、ヘッダ内にTFIを含む。移動局はダウンリンク伝送のためにダウンリンク上の自身に割当てられたタイムスロットを監視し、自身のTFIを含むデータブロックを復号する。
【0004】
アップリンク通信に関して、基地局のスケジューラは同一のタイムスロット又はタイムスロット群を共有する移動局をスケジューリングする。スケジューラは、移動局による所与のアップリンクのタイムスロットでの送信がいつスケジュールされたかを、対応するダウンリンクのタイムスロットで送信されるデータブロック内の当該移動局のUSFに含めることによって示す。移動局は、ダウンリンクのタイムスロットで送信されたデータブロック内に自身のUSFを検出した場合に、対応するアップリンクで送信することを許される。
【0005】
干渉を軽減し、バッテリ電力を節約するために、移動局は非連続伝送モード(DTX)で動作してもよい。DTXモードでは、移動局は送るデータが何もない期間の間は自身の送信機を停止していてもよい。例えば、ボイス・オーバ・アイピー(VoIP)において、ユーザは遠隔ユーザの話を聞いているかもしれない。当該ユーザは発声していないため、送るデータはない。従って、DTXモードにより干渉は軽減するだろうし電力は節約されるだろう。ユーザが発声を始めると、移動局は連続伝送モード(CTX)に戻すように切り替えてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、移動局が非連続転送モードである場合に、基地局のスケジューラは、移動局が基地局に送るデータを何も持っていないことによるアップリンク帯域の浪費を避けるために、DTXモードに移動局がいつ移行したかを通知され、または他の方法で判定される。同様に、移動局がDTXモードからCTXモードに戻るように移行する際に、ユーザが自分から発声する場合に必要となる移動局に対する通常のUSFスケジューリングが再開されるように、スケジューラは、CTXモードへの移行がいつ発生したかを通知され、又は他の方法で判定される必要がある。VoIPのようないくつかの用途では、遅延に対してとても影響を受けやすい。従って、移動局がDTXモードからCTXモードに移行した際に、通常のUSFスケジューリングは、音声ペイロードの遠端ユーザへの伝達における遅延を避けるために、できるだけ早く再開される必要がある。過度の遅延は言語ペイロードが廃棄され、従って、音声における際立った中断(すなわち音声の欠落)と接続の知覚される品質の低下とが結果として生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、DTXモードである移動局がCTXモードにいつ移行していたかを判定し、その結果として通常のUSFスケジューリングが再開されてもよい方法を提供する。サイレンス・インサーション・ディスクリプタ(SID)フレームのような音声コーダ制御メッセージをネットワークに転送することを移動局に可能とするために、移動局がDTXモードである間、アップリンク伝送期間中に低減されたレートで(すなわち、通常のUSFスケジューリング・レートよりも遅く)アップリンク伝送のために、基地局はなおも移動局をスケジュールする。DTXモードの間の音声コーダのエンド・ツー・エンドの適切な動作を維持するために、これらの制御メッセージは重要である。移動局は、(実際のユーザ音声ペイロードを含まない)これら音声コーダ制御メッセージと(実際のユーザ音声ペイロードからなる)ユーザデータとのいずれかを送るために、スケジュールされたアップリンク伝送を用いてもよい。RLCデータブロックが所与のスケジュールされたアップリンク伝送期間に基地局20で受信された場合に、RLCデータブロックが音声コーダ制御メッセージとユーザデータとのどちらを含んでいるかを判定できることは有益である。RLCデータブロックが音声コーダ制御メッセージを含む場合に、基地局は移動局がなおもDTXモードであると想定してもよい。一方、RLCデータブロックがユーザデータ(例えば、音声)を含む場合に、基地局は、移動局がDTXモードを離れ、CTXモードに移行したと想定してもよく、従って、この移動局に対して通常のUSFスケジューリングをすぐに再開することによって応答してもよい。よって、ユーザデータを含むRLCデータブロックの受信は、DTXモードからCTXモードに移行したことを暗示的に合図することに用いられる。
【0008】
本発明の一つの実施形態では、基地局は、音声コーダ制御メッセージを含むRLCデータブロックと音声を含むRLCデータブロックとを、RLCデータブロックにより運ばれる上位層のデータパケット(すなわち、LLC PDU)のサイズに基づいて分別する。一つのLLC PDUを送信するために一つ以上のRLCデータブロックが要求されるかもしれないことに留意されたい。基地局が移動局からアップリンクLLC PDUを受信し、LLC PDUが所定の閾値より小さい場合に、移動局がDTXモードであると基地局はみなす。なぜなら、この場合、音声コーダ制御メッセージが受信されているだろうからである。同様に、LLC PDUのサイズが所定の閾値より大きい場合に、移動局がDTXモードを離れ、CTXモードに入ったと基地局はみなす。なぜなら、この場合、ユーザデータすなわち音声ペイロードが受信されているだろうからである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】GSM/EDGEネットワークの主な機能要素のブロック図を示す。
【図2】GPRSネットワークにおけるパケットデータ伝送に関する例示的なプロトコル・アーキテクチャを示す。
【図3】GPRSネットワークにおけるパケットデータの伝送を示す。
【図4】GPRSネットワークにおけるUSFベースのスケジューリングを示す。
【図5】移動局がDTXモードから連続伝送モードにいつ移行したかを判定する例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、GSM/EDGEネットワークのような第3世代(3G)移動体通信ネットワークの文脈で説明される。しかしながら、当業者は、他の標準を実装するシステムに本発明が適用可能であることを理解するだろう。従って、本説明により本発明がGSM/EDGEネットワークに制限されると解釈されるべきではない。
【0011】
図1は、参照符号10により全体的に指し示される例示的なGSM/EDGEネットワークを説明する。GSM/EDGEネットワーク10はGSM/EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)12とコア・ネットワーク14とを備える。GERAN12は一般的に一つ以上の基地局サブシステム(BSS)20を備え、基地局サブシステム20は以下で単に基地局20と呼ばれる。各基地局20は、基地局制御装置(BSC)22と一つ以上の基地送受信局(BTS)24とを備える。BTS24は、移動局との通信に必要となるアンテナ、RF装置、及びベースバンド処理回路を備える。BSC22はBTS20をコア・ネットワーク14に接続し、GERAN12の無線リソースを制御する。BSC22は、移動局による共有パケットデータ・チャネル上でのアップリンク伝送をスケジューリングするためのスケジューラ26を含んでもよい。BSC22はさらに、移動局がDTXモードから連続伝送モードに移行したことを検出する検出ユニット28を含んでもよい。スケジューラ26及び検出ユニット28の機能は一つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、ハードウェア、又はこれらの組み合わせを用いて実装されてもよい。
【0012】
コア・ネットワーク14は少なくとも一つの移動通信交換局(MSC)30、一つのホーム・ロケーション・レジスタ(HLR)32、少なくとも一つのアクセス側GPRSノード(SGSN)34、及び一つ以上の関門GPRSノード(GGSN)36を備える。コア・ネットワーク14は、回線交換通信とパケットデータ通信との両方を様々な外部ネットワークに提供する。先行技術で知られているように、MSC30は回線交換通信を扱い、公衆交換電話網(PSTN)42に接続する。HLR32は加入者情報と加入者の現在位置とを記憶する。SGSN34は移動局とのパケットデータ通信を扱う。GGSN36は、インターネットのような外部のパケット交換ネットワーク40への接続を提供する。
【0013】
図2は移動局とSGSN34との間のパケットデータの転送を可能とする、GPRSネットワークで用いられるパケットデータ・プロトコルを説明する。GPRSプロトコルは、ネットワーク層、サブネットワーク依存コンバージェンス・プロトコル(SNDCP)層、論理リンク制御(LLC)層、無線リンク制御(RLC)層、媒体アクセス制御(MAC)層、BSS GPRSプロトコル(BSSGP)層、ネットワーク・サービス(NS)層、及び物理層(PL)を含む。SNDCP層は、ネットワーク層からIPパケットのようなデータパケットを受信する。SNDCP層はIPパケットを圧縮し、異なるソースからのIPパケットを多重化することを担当する。LLC層は移動局とSGSN34との間のパケットデータの転送を担当する。LLC層はSNDCP層から受信したPDUをLLCプロトコル・データ・ユニット(PDU)に挿入し、これらはRLC層に伝えられる。RLC層は移動局と基地局20との間のデータの転送を担当する。RLC層は、送信機で各LLC−PDUを一つ以上のRLCデータブロックに分割し、受信機でRLCデータブロックをLLC−PDUに再構築する。RLC層はまた、欠落したRLCデータブロックの再送を受信機が要求することを可能とする再送プロトコルを実装する。本発明では、検出ユニット28もRLC層の一部である。MAC層は移動局の多重化を扱い、複数の移動局が同一のパケットデータ・チャネルを共有することを可能とする。スケジューラ26はMAC層の一部である。BSSGP層は基地局20とSGSN34の間のルーティング及びサービス品質(QoS)関連の情報を伝達する。BSSGP層はSGSN34と基地局20との間のLLC PDUの輸送を提供する。NS層は、SGSN34と基地局20との間のBSSGPシグナリング・データ・ユニット(SDU)のための輸送を提供する。
【0014】
図3はIPパケットのようなデータパケットがGPRSネットワーク上でどのように送信されるかを説明する。ネットワーク層から受信されたIPパケットは一つ以上のSNDCP PDUに結び付けられ(map)、各SNDCP PDUは一つのLLC PDUに結び付けられる。LLCフレームとも呼ばれる各LLC PDUは、フレーム・ヘッダ(FH)、情報フィールド、及びフレームチェックシーケンス(FCS)を含む。各LLC PDUは順々に一つ以上のRLCデータブロックに結び付けられる。RLCデータブロックはブロック・ヘッダ(BH)、情報フィールド、及びブロックチェックシーケンス(BCS)を含み、ブロックチェックシーケンスはRLCデータブロック内のエラーをチェックするために受信機によって用いられてもよい。その後に、RLCデータブロックは物理層の無線ブロックすなわちバーストに結び付けられる。一般的なGPRSシステムでは、一つのRLCデータブロックは四つの物理層のバーストに結び付けられ、これは一つのタイムスロットで送信されてもよい。
【0015】
ダウンリンク方向において、RLCデータブロックのBHは、アップリンク上の移動局の動的スケジューリングをサポートするためのアップリンク状態フラグ(USF)を含む。アップリンク・パケットデータ・チャネルを共有する各移動局は一意的なUSFを割り当てられる。USFは一般的に3ビットを含み、アップリンク・パケットデータ・チャネルが8人までの異なるユーザにより共有されることを可能となる。次回のアップリンク・タイムスロットにスケジュールされた移動局を示すために、ダウンリンクで送信される各RLCデータブロックのヘッダにUSFが含まれる。同じアップリンク・タイムスロットを共有する移動局は、対応するダウンリンク・タイムスロット上の伝送を監視する。移動局がダウンリンク伝送内に自身のUSFを検出した場合に、図4に示されるように、この移動局は次回のアップリンク・タイムスロットで自由に送信できる。図4は6個の連続するタイムスロットを説明する。第1の移動局(MS1)は最初の二つのアップリンク・タイムスロットで送信するようにスケジュールされ、第2の移動局(MS2)は3番目のアップリンク・タイムスロットで送信するようにスケジュールされ、第3の移動局(MS3)は4番目のアップリンク・タイムスロットで送信するようにスケジュールされ、第4の移動局(MS4)は5番目及び6番目のアップリンク・タイムスロットで送信するようにスケジュールされる。BSC22のスケジューラはどの移動局がどのタイムスロットで送信することが許されるかを判定する。
【0016】
バッテリ電力を節約し、干渉を軽減するために、移動局は不連続伝送(DTX)モードで動作してもよい。DTXモードでは、移動局は、送るデータ(すなわち、音声ペイロード)が何もない間は、送信機を停止している。例えば、ボイス・オーバ・アイピー(VoIP)において、移動局ベースのユーザはネットワーク内の遠隔ユーザの話を聞いているかもしれない。移動局ベースのユーザは発声していないため、送るデータはない。従って、移動局の送信機をオフにすることで、干渉が軽減され、電力が節約されるであろう。移動局ベースのユーザが発声を再開した場合に、移動局は連続伝送(CTX)モードに戻すように切り替えてもよい。
【0017】
移動局がDTXモードである場合に、基地局20のスケジューラ26は、移動局がDTXモードのままである限り、通常のUSFスケジューリングに従ってスケジューラ26が移動局をスケジュールしないように通知される。通常のUSFスケジューリングを用いてDTXモードの移動局をスケジュールすることにより、アップリンク・リソースが浪費されるであろう。なぜなら、移動局は送るユーザデータを有していないからである。移動局が送るユーザデータを有する場合に、移動局はDTXモードからCTXモードに移行するだろう。VoIPのようないくつかの用途は、遅延による影響を受けやすい。従って、移動局がDTXモードからCTXモードに移行する場合に、過度のパケット遅延を避けるために、可能な限り速く通常のUSFスケジューリングが再開される必要がある。
【0018】
本発明は移動局がDTXモードからCTXモードに移行したことを検出する方法を提供する。説明のために、以下の記述では移動局がVoIPアプリケーションをサポートしていると想定する。移動局がDTXモードである間は、移動局がなおも音声コーダ制御メッセージをネットワークに周期的に転送するために、基地局20のスケジューラ26は低減されたレートで移動局のアップリンク伝送をスケジュールし続けてもよい。DTXモードの移動局のためのスケジュールされたアップリンク伝送は、アップリンク・リソースが浪費されないようにするため、連続伝送モードの移動局のためにスケジュールされた伝送よりも低い頻度となるだろう。低減されたスケジューリング・レートはDTXモードで送られた音声コーダ制御メッセージの周期性の知識を考慮に入れてもよい。DTXモードの移動局がアップリンク伝送のためにスケジュールされている場合に、音声コーダ制御メッセージ(例えば、SIDフレーム)又はユーザデータ(例えば、音声)のいずれかを送信するために、当該移動局はスケジュールされたアップリンク伝送を用いてもよい。どちらの場合も、制御メッセージ又はユーザデータは一つのLLC PDU内で運ばれ、LLC PDUは一つ以上のRLCデータブロックを用いて順々に伝達される。RLCデータブロックが基地局20で受信された場合に、基地局20は、RLCデータブロックにより伝達されたLLC PDUが音声コーダ制御メッセージとユーザデータとのどちらを含んでいるかを判定する。LLC PDUが音声コーダ制御メッセージを含んでいる場合に、基地局20は移動局がなおもDTXモードであると想定してもよい。一方、LLC PDUがユーザデータ(例えば、音声)を含んでいる場合に、基地局20は移動局がCTXモードに移行したと想定してもよく、従って、通常のUSFスケジューリングを再開してもよい。よって、音声を含むRLCデータブロックの受信は、DTXモードからCTXモードへに移行したことを暗示的に合図するのに用いられる。
【0019】
GPRSシステムでは、音声コーダ制御メッセージとユーザデータとの両方が移動局から基地局20にRLCデータブロックを用いて送られる。従って、基地局20は、音声コーダ制御メッセージを含むRLCデータブロックとユーザデータを含むRLCデータブロックとを分別する使い勝手のよい方法を必要とする。基地局20が、一つ以上のアップリンクRLCデータブロックの列によって伝達されるLLC PDUがユーザデータを含むと誤って想定し、この移動局のために通常のUSFスケジューリングを再開した場合に、アップリング帯域は浪費されるかもしれない。なぜなら、基地局20に送るユーザデータを移動局が何も有していないかもしれないからである。
【0020】
本発明の一つの実施形態では、基地局20は、音声コーダ制御メッセージを含むRLCデータブロックとユーザデータを含むRLCデータブロックとを、RLCデータブロックで輸送されるLLC PDUのサイズに基づいて分別する。DTXモードの移動局により送られる制御メッセージは、一般的には30−40オクテットのオーダの小さなLLC PDUに含まれるだろう。良好な無線状況のもと、LLC PDU全体は一つのRLCデータブロックを用いて基地局20に送信されてもよい。移動局が送るユーザデータを有する場合に、例えば発声行動が再開したような場合に、音声を含む最初のLLC PDUのサイズは約150−200オクテットのオーダとなるだろう。移動局がDTXモードであると基地局20が考える場合に、基地局20は、音声コーダ制御メッセージとユーザデータとのいずれを含むかを判定するために、移動局によって送信されるLLC PDUのサイズを用いてもよい。着信LLC PDUのサイズは、LLC PDUを運ぶ一つ以上のRLCデータブロックのRLCデータブロック・ヘッダ情報を用いて基地局20により判定されてもよい。
【0021】
一つの例示的な実施形態では、基地局20のスケジューラ26は、DTXモードの移動局にアップリンク伝送の機会を提供する場合にはいつでも、無線状況に依存して、所与のタイムスロット上の、二つの背合わせの(すなわち、連続した)アップリンク無線ブロック伝送までスケジュールするように構成されてもよい。二つの背合わせのアップリンク無線ブロック伝送のスケジューリングは、無線状況が貧弱な場合であっても、制御メッセージを含む完全なLLC PDUを送るのに十分な連続するアップリンク帯域を常に有するだろうことを保証するだろう。基地局20は、スケジュールされたアップリンク伝送の間に、対応するアップリンクLLC PDUが受信されない場合、又は短いLLC PDUが受信された場合に、移動局がDTXモードのままであるとみなしてもよい。この場合に、基地局20は、移動局がDTXモードであるという想定のもとでアップリンク伝送のスケジューリングを続ける。一つ以上のRLCデータブロックがLLC PDUを含んで受信された場合に、移動局20は一つ以上のRLCデータブロック内のヘッダ情報を検査し、LLC PDUのサイズに基づいて、移動局がDTXモードからCTXモードに移行していたかどうかを判定する。何らかの理由で、移動局が連続伝送モードに移行したと誤って基地局20が想定した場合に、移動局は必要よりも広いアップリンク帯域を割り当てられるだろう。この誤った想定がなされたとしても、所定の時間期間内にユーザデータが連続して送信されない場合に、これ以上のアップリンク・リソースの浪費を避けるために、移動局がDTXモードであると基地局20がみなしてもよい。
【0022】
図5は、移動局がDTXモードからCTXモードにいつ移行していたかを判定する、基地局20により実装される例示的な方法100を説明する。手順は移動局がDTXモードであると判定された際に開始する。この判定が行われる方法は重要ではない。移動局は、DTXモードに移行した際に(例えば明示的な無線インターフェース・シグナリングを用いて)基地局20に合図することができるだろう。これにかえて、基地局20は、移動局がDTXモードであることを、一つ以上の連続するスケジュールされた伝送機会においてユーザデータを含む無線ブロックを送信することを移動局が失敗したことに基づいて、判定できるだろう。移動局がDTXモードである場合に、移動局に音声コーダ制御メッセージを送信する機会を提供するために、基地局20のスケジューラ26は、通常のUSFスケジューリングよりも低い頻度でアップリンク伝送のために移動局を周期的にスケジュールする(ブロック102)。移動局からのアップリンク伝送がスケジュールされた後に、基地局20はスケジュールされたアップリンク・タイムスロット内のRLCデータブロックが受信されるのを待つ(ブロック104)。RLCデータブロックが受信されない場合、基地局は通常よりも低いレートでのDTXアップリンクのUSFスケジューリングを続ける(ブロック102)。RLCデータブロックが受信された場合に、基地局20の検出ユニット28は、RLCデータブロック・ヘッダ内の長さ表示フィールドを用いてLLC PDUのサイズを判定する(ブロック106)。LLC PDUが複数のRLCデータブロックにまたがっている場合には、LLC PDUの正確なサイズを判定するために、基地局20が一つよりも多いRLCデータブロックを受信する必要があるかもしれないことに留意されたい。基地局20の検出ユニット28はその後に、LLC PDUのサイズに基づいて、LLC PDUが音声を含むかどうかを判定する(ブロック108)。この判定は、ブロック106で判定されたLLC PDUのサイズを所定の閾値と比較することによって行われてもよい。LLC PDUのサイズが閾値よりも低い場合に、LLC PDUが音声コーダ制御メッセージを含むと想定されてもよい。この場合に、移動局は、通常よりも低いレートでのDTXアップリンクのUSFスケジューリングを続ける(ブロック102)。LLC PDUのサイズが閾値以上の場合に、基地局20はLLC PDUが音声を含むと判定してもよい。この場合、基地局20は移動局がDTXモードからCTXモードに移行したと想定してもよく、スケジューラ26は通常のUSFスケジューリングを再開してもよい(ブロック110)。
【0023】
本発明はもちろん、本発明の範囲と不可欠な特徴とから逸脱することなく、明細書で説明された方法以外のその他の個別の方法で実行されてもよい。従って、提供される実施形態は、すべて説明的であって限定的ではないとみなされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意義と均等な範囲とから生じるすべての変形はここに包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局の動作モードがDTXモードから連続伝送モードに変化したことを検出する方法であって、
前記移動局が前記DTXモードである間に、アップリンク伝送期間中の前記移動局によるアップリンク伝送をスケジュールする工程と、
前記スケジュールされたアップリンク伝送期間中に前記移動局からのアップリンク・データパケットの少なくとも一部を受信する工程と、
前記アップリンク・データパケットのサイズに基づいて前記移動局の動作モードを判定する工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アップリンク・データパケットの前記サイズに基づいて前記移動局の前記動作モードを判定する工程は、前記移動局が前記DTXモードから前記連続伝送モードに移行したかどうかを前記データパケットの前記サイズに基づいて判定する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データパケットの前記サイズが所定の量より小さい場合に、前記移動局が前記DTXモードであると判定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記移動局が前記DTXモードであると判定された場合に、前記DTXモード用のアップリンク伝送をスケジューリングし続ける工程をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記データパケットの前記サイズが所定の量より大きい場合に、前記移動局が前記連続伝送モードであると判定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記移動局が前記連続伝送モードであると判定された場合に、前記連続伝送モード用のアップリンク伝送をスケジューリングする工程をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
スケジュールされたアップリンク伝送期間中にデータパケットが存在しないことに基づいて、前記移動局の前記動作モードがDTXモードから前記連続伝送モードに変化したことを検出する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アップリンク・データパケットは論理リンク制御(LLC)フレームを備え、前記アップリンク・データパケットのサイズに基づいて前記移動局の動作モードを判定する工程は、前記LLCフレームのサイズを判定する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スケジュールされたアップリンク伝送期間中に前記移動局からのアップリンク・データパケットの少なくとも一部を受信する工程は、前記LLCフレームを含んだ一つ以上のRLCデータブロックを受信する工程を備え、前記LLCフレームのサイズを判定する工程は、前記一つ以上のRLCデータブロック内のヘッダ情報に基づいて前記サイズを判定する工程を備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
基地局であって、
パケットデータを移動局と送受信する基地送受信局と、
前記移動局がDTXモードである間に、アップリンク伝送期間中の前記移動局によるアップリンク伝送をスケジュールするスケジューラと、
前記スケジュールされたアップリンク伝送期間中に受信されたアップリンク・データパケットのサイズに基づいて前記移動局の動作モードを判定する検出ユニットと
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項11】
前記検出ユニットは、前記移動局が前記DTXモードから連続伝送モードに移行したことを、前記データパケットの前記サイズに基づいて判定することを特徴とする請求項10に記載の基地局。
【請求項12】
前記検出ユニットは、前記データパケットの前記サイズが所定の量より小さい場合に、前記移動局が前記DTXモードであると判定することを特徴とする請求項11に記載の基地局。
【請求項13】
前記スケジューラは、前記移動局が前記DTXモードであると判定された場合に、前記DTXモード用のアップリンク伝送をスケジューリングし続けることを特徴とする請求項12に記載の基地局。
【請求項14】
前記検出ユニットは、前記データパケットの前記サイズが所定の量より大きい場合に、前記移動局が前記連続伝送モードであると判定することを特徴とする請求項11に記載の基地局。
【請求項15】
前記スケジューラは、前記移動局が前記連続伝送モードであると判定された場合に、前記連続伝送モード用の通常のアップリンク・スケジューリングを再開することを特徴とする請求項14に記載の基地局。
【請求項16】
前記検出ユニットは、スケジュールされたアップリンク伝送期間中にデータパケットが存在しないことに基づいて、前記移動局の前記動作モードが前記DTXモードから前記連続伝送モードに変化したことをさらに検出することを特徴とする請求項15に記載の基地局。
【請求項17】
前記アップリンク・データパケットは論理リンク制御(LLC)フレームを備え、前記検出ユニットは、前記LLCフレームのサイズに基づいて前記移動局の動作モードを判定することを特徴とする請求項10に記載の基地局。
【請求項18】
前記基地局は前記LLCフレームを含んだ一つ以上のRLCデータブロックを受信し、前記検出ユニットは前記一つ以上のRLCデータブロック内のヘッダ情報に基づいて前記LLCフレームの前記サイズを判定することを特徴とする請求項10に記載の基地局。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−518742(P2010−518742A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549042(P2009−549042)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050011
【国際公開番号】WO2008/097167
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】