説明

制御信号生成装置、直接形電力変換装置並びに、その制御方法、その運転方法及びその設計方法

【課題】直接形電力変換装置と商用電源との間にチョークインプット形のローパスフィルタが設けられている場合であっても、直接形電力変換装置の出力電圧の精度を向上させる。
【解決手段】バッファ回路5aのコンデンサCbを充電する電流iLのピークを電圧形インバータ6が導通する期間の中央とする。これによりフィルタ2のコンデンサCfの両端電圧vcの波形の非対称性が緩和され、引いては電圧形インバータ6の波形の非対称性を緩和する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、直接形電力変換装置並びに、その制御方法、その運転方法及びその設計方法に関し、例えば単相交流を入力して単相若しくは多相交流を出力する技術に適用される。
【背景技術】
【0002】
インバータの主回路の代表的な構成として、間接形交流電力変換回路が一般に用いられている。間接形交流電力変換回路では、整流回路及び平滑回路を介して商用交流を一旦直流に変換し、電圧形変換器により交流出力を得る、間接形交流電力変換回路が一般に用いられている。特に平滑回路で採用されるコンデンサ及びリアクトルは、商用周波数による電力脈動を平滑する機能を果たすべく、大型のものが採用される。
【0003】
一方、交流電圧から直接に交流出力を得る方式として、マトリックスコンバータを代表とする直接形交流電力変換装置が知られている。直接形交流電力変換装置では、整流回路の後段に平滑回路が不要となることから、変換器の小型化が期待でき、次世代の電力変換器として近年注目されている。
【0004】
通常、マトリックスコンバータは三相/三相変換と基本とする回路方式であるが(例えば、後掲の特許文献1参照)、単相/三相変換への応用についても検討が進められている(例えば後掲の非特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1や非特許文献1で示された制御方法では、インバータの負荷が誘導性であることから、当該負荷を電流源として捉えている。そしてコンバータとインバータとを連結する、いわゆる直流リンクに流れる電流を適切に分配することにより、コンバータに入力する電流が正弦波状かつ、力率が1となるように制御を行っている。
【0006】
そして非特許文献2に示される単相/三相の交流変換では、非特許文献1のバッファ回路が有するコンデンサを充電する回路を付加し、電圧利用率を改善している。バッファ回路や充電回路はインバータと共に、入力電流が正弦波状かつ、力率が1となるようキャリアを用いて変調する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4135026号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】大沼、伊東、「新しい単相三相電力変換器によるコンデンサ容量の低減法とその基礎検証」、電気学会半導体電力変換研究会資料、SPC−08−162(2008)
【非特許文献2】大沼、伊東、「充電回路を付加したアクティブバッファ付き単相三相電力変換器の回路構成と制御法」、平成22年電気学会全国大会、4−057(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献2で示される技術での充電回路は、バッファ回路が有するコンデンサと共に昇圧バッファを構成しており、インダクタとスイッチング素子とを有している。そして当該インダクタに流れる電流が不連続となる動作が採用されており、当該昇圧バッファは不連続モードで動作すると把握することができる。このような制御の下、直流リンクに流れる電流には充電回路の動作に従ってインダクタに流れるパルス状の波形が重畳し、波高率が大きくなる。
【0010】
通常、コンバータの入力側には商用電源との間にチョークインプット形のローパスフィルタが設けられる。そして直流リンクに流れる電流の波高率が大きくなると、当該フィルタが有するコンデンサの両端電圧の増減がキャリア周期内で非対称となる。これは、キャリアとして対称三角波を採用した変調を行う場合、インバータの出力電圧に誤差を与えてしまう。
【0011】
かかる誤差を低減するためには、当該フィルタが有するコンデンサの静電容量を増大させることで対応ができるが、電流が進相することによって軽負荷時に力率を低下させてしまう。昇圧チョッパを連続モードで動作させることも考えられるが、キャリア周波数を高める必要があり、効率を低下させてしまう。
【0012】
この発明は、直接形電力変換装置と商用電源との間にチョークインプット形のローパスフィルタが設けられている場合であっても、高効率、高力率という直接形電力変換装置の特徴を維持しつつ、当該ローパスフィルタが有するコンデンサの両端電圧の非対称性を緩和し、引いてはインバータの出力電圧の精度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明にかかる直接形電力変換装置の制御方法は、交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を制御する方法である。
【0014】
前記直接形電力変換装置は、チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備える。
【0015】
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有する。
【0016】
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられる。
【0017】
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられる。前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有する。
【0018】
そして当該制御方法の第1の態様は、対称三角波(J)が、第1の指令値(dinv)に対して、前記対称三角波が採る一対の極値(0,1)の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に前記電圧形インバータを導通させ、鋸波(J1,J2)が、第2の指令値(2dL:2(1−dL):dL)に対して、前記一方側の極値に近い値を採る場合に前記第2のスイッチング素子を導通させ、前記対称三角波が前記一方側の極値を取るタイミングで、前記鋸波が採る一対の極値(0,2;0,1)のうち、前記一方側の極値に近い方から遠い方へと遷移する。
【0019】
例えば前記鋸歯波の振幅は前記対称三角波の振幅の二倍であり、前記第2の指令値(2dL;2(1−dL))は、前記第2のスイッチング素子が導通するデューティ(dL)と、前記一方側の極値との差の二倍に設定される。
【0020】
あるいは前記鋸歯波の振幅は前記対称三角波の振幅と等しく、前記第2の指令値(dL)は、前記第2のスイッチング素子が導通するデューティ(dL)と等しい。
【0021】
そして当該制御方法の第2の態様は、対称三角波(J)が、第1の指令値(dinv)に対して、前記対称三角波が採る一対の極値(0,1)の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に前記電圧形インバータを導通させ、前記対称三角波が第2の指令値(dL)に対して前記一方側の極値に近い値を採る場合に活性となる信号(SL’’)の二値論理と、アップダウン信号(UD)の二値論理との論理積(SL’)で得られる区間で前記第2のスイッチング素子を導通させ、前記アップダウン信号は、前記対称三角波が前記一方側の極値から他方側の極値へと向かう傾斜部分において非活性であり、前記対称三角波(J)が前記他方側の極値から前記一方側の極値へと向かう傾斜部分において活性である。
【0022】
この発明にかかる制御信号生成装置は、交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を制御する制御信号を生成する。
【0023】
前記直接形電力変換装置は、チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備える。
【0024】
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有する。前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられる。
【0025】
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられる。
【0026】
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有する。
【0027】
そして当該制御信号生成装置の第1の態様は、一対の極値(0,1)を採る対称三角波(J)を生成するキャリア生成部(105)と、前記対称三角波の波形が前記一対の極値の一方から他方へと向かうときに非活性であり、前記対称三角波の波形が前記他方から前記一方へと向かうときに活性であるアップダウン信号(UD)を生成するアップダウン信号生成部(106)と、前記電圧形インバータが動作する第1のデューティ(dinv)を生成する第1のデューティ生成部(107)と、前記第1のデューティを第1の指令値として前記対称三角波と比較し、前記対称三角波が前記第1の指令値に対して前記一対の極値の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に活性となる、第1の原制御信号(Sinv)を生成する第1の比較器(108)と、前記第1の原制御信号から前記電圧形インバータの制御信号(Syp,Syn)を生成する論理演算部(109)と、前記第2のスイッチング素子が導通する第2のデューティ(dL)を生成する第2のデューティ生成部(101)と、前記第2のデューティから、前記第2のデューティ(dL)と、前記一対の極値の前記一方との差の二倍に設定される第2の指令値(2dL;2(1−dL))を生成する演算器(102)と、前記第2の指令値と前記対称三角波とを比較して、前記対称三角波が前記第2の指令値に対して前記一方側の極値に近い値を採る場合に活性となる第2の原制御信号(SL’’)を生成する第2の比較器(103)と、前記第2の原制御信号の二値論理と前記アップダウン信号(UD)の二値論理との論理積で得られる区間において活性となり、前記第2のスイッチング素子の制御信号(SL’)を生成する論理積生成部(104)とを備える。
【0028】
当該制御信号生成装置の第2の態様は、第1の一対の極値(0,1)を採る対称三角波(J)を生成する第1のキャリア生成部(105)と、第2の一対の極値(0,2;−1,1)を採り、前記対称三角波が前記第1の一対の極値の一方側の極値(0)を取るタイミングで、前記第2の一対の極値のうち、前記第1の一対の極値の前記一方側の極値に近い方から遠い方へと遷移する鋸波を生成する、第2のキャリア生成部(110)と、前記電圧形インバータが動作する第1のデューティ(dinv)を生成する第1のデューティ生成部(107)と、前記第1のデューティを第1の指令値として前記対称三角波と比較し、前記対称三角波が前記第1の指令値に対して前記一対の極値の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に活性となる、第1の原制御信号(Sinv)を生成する第1の比較器(108)と、前記第1の原制御信号から前記電圧形インバータの制御信号(Syp,Syn)を生成する論理演算部(109)と、前記第2のスイッチング素子が導通する第2のデューティ(dL)を生成する第2のデューティ生成部(101)と、前記第2のデューティから、前記第2のデューティ(dL)と、前記第1の一対の極値の前記一方との差の二倍に設定される第2の指令値(2dL;2(1−dL))を生成する演算器(102)と、前記第2の指令値と前記対称三角波とを比較し、前記対称三角波が前記第2の指令値に対して前記第1の一対の極値の前記一方側の極値に近い値を採る場合に活性となり、前記第2のスイッチング素子の制御信号(SL’)を生成する第2の比較器(103)とを備える。
【0029】
当該制御信号生成装置の第3の態様は、第1の一対の極値(0,1)を採る対称三角波(J)を生成する第1のキャリア生成部(105)と、第2の一対の極値(0,1)を採り、前記対称三角波が前記第1の一対の極値の一方側の極値(0)を取るタイミングで、前記第2の一対の極値のうち、前記第1の一対の極値の前記一方側の極値に近い方から遠い方へと遷移し、前記対称三角波の振幅と等しい振幅を有する鋸波(J2)を生成する、第2のキャリア生成部(110)と、前記電圧形インバータが動作する第1のデューティ(dinv)を生成する第1のデューティ生成部(107)と、前記第1のデューティを第1の指令値として前記対称三角波と比較し、前記対称三角波が前記第1の指令値に対して前記一対の極値の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に活性となる、第1の原制御信号(Sinv)を生成する第1の比較器(108)と、前記第1の原制御信号から前記電圧形インバータの制御信号(Syp,Syn)を生成する論理演算部(109)と、前記第2のスイッチング素子が導通する第2のデューティ(dL)を生成する第2のデューティ生成部(101)と、前記第2のデューティを第2の指令値として前記対称三角波を比較し、前記対称三角波が前記第2の指令値に対して前記第1の一対の極値の前記一方側の極値に近い値を採る場合に活性となり、前記第2のスイッチング素子の制御信号(SL’)を生成する第2の比較器(103)とを備える。
【0030】
直接形電力変換装置の第1の態様は交流/交流変換を行い、チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備える。
【0031】
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有する。
【0032】
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられる。
【0033】
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられる。
【0034】
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有する。前記充電回路と前記コンデンサとで構成される昇圧チョッパは、前記電圧形インバータが動作するデューティ(dinv)が0.5よりも小さいときに不連続モードとして動作し、前記デューティが0.5よりも大きいときに連続モードとして動作する。
【0035】
この発明にかかる直接形電力変換装置の運転方法の第1の態様は、直接形電力変換装置の第1の態様を運転する方法である。
【0036】
この発明にかかる直接形電力変換装置の設計方法は、交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を設計する方法である。前記直接形電力変換装置は、チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、前記直流リンクを介して前記コンバータ部に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備える。前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有する。前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有する。前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられる。前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有する。前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられる。前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有する。前記インダクタのインダクタンスを、前記電圧形インバータが動作するデューティの範囲内における前記交流電圧の、前記交流電圧についての指令値(vdc・dinv)に対する誤差が極大値を持つように、かつ前記誘導性負荷が大きいほど小さく選定する。
【0037】
この発明にかかる直接形電力変換装置の運転方法の第2の態様は、交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を運転する方法である。前記直接形電力変換装置は、チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、前記直流リンクを介して前記コンバータ部に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備える。前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有する。前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられる。前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有する。前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられる。前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有する。前記第2のスイッチング素子のスイッチング周波数を、前記電圧形インバータが動作するデューティの範囲内における前記交流電圧の、前記交流電圧についての指令値(vdc・dinv)に対する誤差が極大値を持つように、かつ前記誘導性負荷が大きいほど大きく設定する。
【0038】
当該運転方法では、前記誘導性負荷が大きいほど、前記第2のスイッチング素子のスイッチング周波数が大きく選定される。
【0039】
この発明にかかる直接形電力変換装置の第2の態様は交流/交流変換を行い、チョークインプット形のローパスフィルタ(2)と、前記ローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される第1の全波整流回路(3)と、高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続されるバッファ回路(5a)と、充電回路(5c,5d,5e)とを備える。
【0040】
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられる。
【0041】
前記充電回路は、前記交流電源(1)に接続される第2の全波整流回路(3)と、一対のインダクタ(Lb1,Lb2)と、前記一対のインダクタのそれぞれを介して前記第2の全波整流回路の出力側に接続される一対の端を有する第2のスイッチング素子(SL)と、第1のダイオード(Db1)とを有する。
【0042】
前記第1のダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記一対のインダクタのうち前記第2の全波整流回路の前記出力側の高電位側のものと前記第2のスイッチング素子との接続点に接続されるアノードとを有する。
【0043】
望ましくは前記充電回路は第2のダイオード(Db2)を更に有し、前記第2のダイオードは、前記第2の直流電源線(LL)に接続されるカソードと、前記一対のインダクタのうち前記第2の全波整流回路の前記出力側の低電位側のものと前記第2のスイッチング素子との接続点に接続されるアノードとを有する。
【発明の効果】
【0044】
この発明にかかる直接形電力変換装置の制御方法によれば、電圧形インバータが導通する期間の中央は、対称三角波が一方側の極値を採るタイミングに対応する。鋸波の極値は対称三角波が当該極値を取るタイミングで現れるので、対称三角波が当該極値を取るタイミングよりも前で第2のスイッチング素子が導通し、対称三角波が当該極値を取るタイミングにおいて第2のスイッチング素子が非導通となる。よって、インダクタに流れる電流がピークを採るタイミングは電圧形インバータが導通する期間の中央となり、インダクタに流れる電流が電圧形インバータの出力電圧の波形を非対称にすることが緩和される。
【0045】
この発明にかかる直接形電力変換装置の第1の態様、直接形電力変換装置の運転方法、及び直接形電力変換装置の運転方法の第1の態様及び第2の態様によれば、電圧形インバータが動作するデューティの全範囲で、その出力電圧の誤差が平均的な値をとる。
【0046】
この発明にかかる直接形電力変換装置の第2の態様によれば、ローパスフィルタのコンデンサに流れる電流が、バッファ回路が有するコンデンサの充電にかかる電流の影響を受けないので、直流リンクの電圧が傾斜する部分の波形の対称性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】単相/三相変換装置の構成を示す回路図である。
【図2】単相/三相変換装置の等価回路を示す回路図である。
【図3】等価回路の動作を模式的に示すグラフである。
【図4】等価回路の動作を模式的に示すグラフである。
【図5】等価回路のシミュレーションの結果を示すグラフである。
【図6】等価回路のシミュレーションの結果を示すグラフである。
【図7】等価回路のシミュレーションの結果を示すグラフである。
【図8】等価回路のシミュレーションの結果を示すグラフである。
【図9】シミュレーションに用いられた具体的な回路の回路図である。
【図10】インバータデューティと出力電圧誤差との関係を示すグラフである。
【図11】キャリアと制御信号との関係を示すグラフである。
【図12】キャリアと制御信号との関係を示すグラフである。
【図13】キャリアと制御信号との関係を示すグラフである。
【図14】キャリアと制御信号との関係を示すグラフである。
【図15】制御信号生成装置の構成を示すブロック図である。
【図16】制御信号生成装置の構成を示すブロック図である。
【図17】制御信号生成装置の構成を示すブロック図である。
【図18】直接形電力変換装置の諸値を示すグラフである。
【図19】直接形電力変換装置の諸値を示すグラフである。
【図20】出力電圧誤差のインバータデューティへの依存性を示すグラフである。
【図21】出力電圧誤差のインバータデューティへの依存性を示すグラフである。
【図22】出力電圧誤差のインバータデューティへの依存性を示すグラフである。
【図23】直接形電力変換装置の諸値を示すグラフである。
【図24】直接形電力変換装置の諸値を示すグラフである。
【図25】直接形電力変換装置の諸値を示すグラフである。
【図26】直接形電力変換装置の諸値を示すグラフである。
【図27】第3の実施の形態にかかる単相/三相変換装置の構成を示す回路図である。
【図28】単相/三相変換装置の等価回路を示す回路図である。
【図29】等価回路のシミュレーションの結果を示すグラフである。
【図30】等価回路のシミュレーションの結果を示すグラフである。
【図31】単相/三相変換装置の他の構成を示す回路図である。
【図32】単相/三相変換装置の他の構成を示す回路図である。
【図33】単相/三相変換装置の他の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第1の実施の形態.
図1は、本実施の形態で示される直接形電力変換装置の制御方法が適用される、単相/三相変換装置の構成を示す回路図である。このような構成を有する単相/三相変換装置は、例えば非特許文献2で例示される。
【0049】
当該単相/三相変換装置は、単相交流を入力する入力端子P1,P2と、三相交流を出力する出力端子Pu,Pv,Pwとを備えている。
【0050】
当該単相/三相変換装置は更に、ローパスフィルタ2、全波整流回路たるダイオードブリッジ3、直流リンク4、充電付きバッファ回路5、及び電圧形インバータ6を備えている。
【0051】
直流リンク4は直流電源線LH,LLを備えている。ダイオードブリッジ3、充電付きバッファ回路5、及び電圧形インバータ6は直流電源線LH,LLの間で並列接続されている。直流リンク4に流れる電流は、直流電源線LHをダイオードブリッジ3から充電付きバッファ回路5へ向かって流れる電流icnvとして示している。
【0052】
ダイオードブリッジ3は全波整流回路として機能し、ダイオードDrp,Dsp,Drn,Dsnを有している。ダイオードDrp,Dspのカソードはいずれも直流電源線LHに接続される。ダイオードDrn,Dsnのアノードはいずれも直流電源線LLに接続される。ダイオードDrpのアノードと、ダイオードDrnのカソードとの接続点はダイオードブリッジ3の一方の入力端Prを構成する。ダイオードDspのアノードと、ダイオードDsnのカソードとの接続点はダイオードブリッジ3の他方の入力端Psを構成する。
【0053】
ダイオードブリッジ3がこのような構成を有することにより、入力端Pr,Ps間に単相交流電圧が印加されると、直流電源線LHが直流電源線LLよりも高電位となる、直流リンク電圧vdcが発生する。
【0054】
ローパスフィルタ2はチョークインプット形のLCフィルタであり、インダクタLf及びコンデンサCfを備えている。具体的には、入力端子P1はインダクタLfを介して入力端Prに接続され、入力端子P2は入力端Psに接続され、コンデンサCfは入力端Pr,Psの間に接続される。
【0055】
ローパスフィルタ2がこのような構成を有することにより、入力端子P1,P2間に商用単相交流電源1が接続されると、電流icnvのキャリア電流成分を低減した交流電流irが商用単相交流電源1に流れる。
【0056】
電圧形インバータ6はスイッチング素子Syp,Syn(但し、yはu,v,wを代表する。以下、同様)を備えている。スイッチング素子Sypは出力端Pyと直流電源線LHとの間に設けられている。スイッチング素子Synは出力端Pyと直流電源線LLとの間にそれぞれ設けられている。
【0057】
電圧形インバータ6がこのような構成を有することにより、リンク電圧vdcに対してパルス幅変調に基づくパターンでスイッチング素子Syp,Synのスイッチングを行って、出力端子Pu,Pv,Pwに三相交流を出力する。スイッチング素子Syp,Synのスイッチング制御は周知であるので、その詳細については本願では詳細を割愛する。
【0058】
スイッチング素子Syp,Synは相互に並列接続されたトランジスタ及びダイオードを備えている。当該トランジスタには例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタが採用され、いずれのコレクタも直流電源線LH側に、いずれのエミッタも直流電源線LL側に、それぞれ向けて設けられる。また当該ダイオードは、いずれのアノードも直流電源線LL側に、いずれのカソードも直流電源線LH側に、それぞれ向けて設けられる。よってスイッチング素子Syp,Synにおけるトランジスタ及びダイオードの接続関係は、いわゆる逆並列接続であると言える。
【0059】
出力端子Pu,Pv,Pwには誘導性の負荷7、例えば三相モータが接続される。負荷7は、図面において、各相に対応したインダクタと抵抗との直列接続で示されている。
【0060】
充電付きバッファ回路5は、バッファ回路5aと充電回路5bとを有している。バッファ回路5aは直流電源線LH側に接続されたスイッチング素子Scと、直流電源線LL側に接続されたコンデンサCbとの直列接続からなる。当該バッファ回路5aの機能については、非特許文献1,2等によって周知であるので、その動作についての説明は本願では割愛する。
【0061】
充電回路5bは直流電源線LH側に接続されたインダクタLbと直流電源線LL側に接続されたスイッチング素子SLとの直列接続、及びダイオードDbを有している。ダイオードDbのアノードは、インダクタLbとスイッチング素子SLとの接続点に接続されている。ダイオードDbのカソードは、スイッチング素子ScとコンデンサCbとの接続点に接続されている。当該充電回路5bの機能についても非特許文献2によって公知であるので、その動作についての詳細な説明は本願では割愛し、インダクタLbに流れる電流iLに重点をおいて説明する。なお、電流iLの極性は、直流電源線LH側から直流電源線LL側へ流れる方向を正に採る。
【0062】
非特許文献3で示されたように電流iLが不連続となる動作(即ち充電回路5bとコンデンサCbとで構成される昇圧チョッパにおける不連続モード)が採用された場合、ローパスフィルタ2が有するコンデンサCfの電位vcにおける波形の非対称性が問題となる。本実施の形態で示される直接形電力変換装置の制御方法及び当該制御方法が当該問題を緩和できることを説明するため、まずこの問題点を説明する。
【0063】
図2は図1に示された単相/三相変換装置の等価回路を示す回路図である。ここではダイオードブリッジ3の機能に鑑みて、商用交流電源1は波高値vsを採る電圧vrを出力する可変直流電源として示し、ローバスフィルタ2には当該可変直流電源から電流isが供給されるとして示している。
【0064】
図1においては、ダイオードブリッジ3よりも商用交流電源1に設けられているコンデンサCfの両端電圧vcと、直流リンク電圧vdcとは区別して示されていた。しかし図2では上述の変形により、コンデンサCfには直流リンク電圧vdcが印加される態様で示されている。同様の理由により、商用交流電源1から入力端子P1へと入力する交流電流irは、図2においてはインダクタLfに流れる直流電流isとして示されている。
【0065】
また、解析を簡単に示すため、充電付きバッファ回路5よりも負荷側を単相として把握した。これにより負荷7を直流電源線LLに直流電流idcを流す電流源71として、電圧形インバータ6を単相に変形した降圧チョッパ61として、それぞれ把握した。当該降圧チョッパ61は、スイッチSinv及びダイオードDinvの直列接続として示されており、それぞれスイッチング素子Sypが有するトランジスタ及びスイッチング素子Synが有するダイオードを代表して示している。
【0066】
かかる変形に伴い、図1で示された出力端子Pu,Pv,Pwは、図2において出力端子Pyとして示されている。出力端子Pyには、スイッチSinvとダイオードDinvとの接続点、及び電流源71の入力側の端が接続されている。
【0067】
充電付きバッファ回路5において、コンデンサCbは充電された電圧vbの電池として示されている。コンデンサCbの放電時には電流iLが流れない一方、本願では電流iLが不連続となることに基づく課題を解決することを目的とするので、コンデンサCbの放電時の動作は無視して説明する。なお、コンデンサCbの放電時の動作、即ちバッファ回路5aの実質的な機能は非特許文献3で公知である。
【0068】
このように、充電付きバッファ回路5よりも負荷側を単相として把握しても、電流iLの振る舞いについては一般性を失うことなく、その解析を進めることができる。換言すれば、電圧形インバータ6としては、三相交流を出力する構成に限られず、単相交流や三相以外の多相交流を出力する構成を採用してもよい。かかる電圧形インバータ6は、総括的に降圧チョッパとして把握することができる。
【0069】
他方、充電付きバッファ回路5は、商用交流電源1から得られる電圧を一旦昇圧して直流リンク電圧vdcを得るので、昇圧チョッパとして把握することができる。但し、非特許文献2で詳細に説明されるように、バッファ回路5aの動作によって直流リンク電圧vdcの脈動が抑制されるので、コンデンサCbの静電容量は通常の昇圧チョッパに要求される静電容量と比較して非常に小さくて足りる。
【0070】
図3は図2に示された等価回路の動作を模式的に示すグラフである。降圧チョッパ61及び充電付きバッファ回路5はいずれも、対称三角波のキャリアJと指令値との比較に基づいて動作する。ここではキャリアJの最小値及び最大値をそれぞれ0,1とし、その周期をTとした。
【0071】
具体的には、降圧チョッパ61ではスイッチSinvは、キャリアJが指令値dinvよりも小さいときにオンする。即ち指令値dinvは降圧チョッパ61が動作するデューティdinvであると把握できる。
【0072】
また充電付きバッファ回路5ではスイッチング素子SLは、キャリアJが指令値dLよりも小さいときにオンする。よって指令値dLはスイッチング素子SLが導通するデューティdLとして把握することができる。
【0073】
スイッチング素子SLがオンすることにより、電流iLが流れ始めその自己インダクタンスと直流リンク電圧vdcに依存した傾きで増大する。
【0074】
以下、キャリアJがある値よりも大きい値から小さい値へと遷移することを「下抜け」と表現し、キャリアJがある値よりも小さい値から大きい値へと遷移することを「上抜け」と表現する。
【0075】
キャリアJは時刻t0,t5(=t1+T)において値1を採り、時刻t1において指令値dinvを下抜け、時刻t2において指令値dLを下抜け、時刻t3において指令値dLを上抜け、時刻t4において指令値dinvを上抜ける。
【0076】
よって、インバータに入力する電流iinvは時刻t1〜t4において電流idcとして流れ、それ以外では流れない。図3において電流iinvを示すグラフの右側縦軸は、交流成分として電流iinvを示す。この場合、電流iinvが流れる期間はdinv・Tであることに鑑みて、また電流idcが一定であると近似して、電流iinvの交流成分の最大値及び最小値は、それぞれ(1−dinv)idc、−dinv・idcと表される。
【0077】
なおキャリアJには対称三角波が採用されるので、時刻t1〜t2の間の長さと時刻t3〜t4の間の長さは等しい。
【0078】
また電流iLは時刻t2〜時刻t3において上昇する。電流iLはスイッチング素子SLがオフした後はコンデンサCbを充電するので減少し、やがて零となる。ここでは簡単のため、電流iLはその上昇するときの波形と下降するときの波形は対称三角波を呈し、かつ電流iLは時刻t3〜t4において下降してそれ以外では零となる、と近似した。
【0079】
より具体的には、スイッチング素子SLがオンからオフへと遷移する期間の中央が、キャリアJがその最小値を採るタイミングと一致する場合を示す。
【0080】
このように電流iLは不連続に流れるので、波高率が悪く、平均電流の2倍以上のピーク値となる。ここでは電流iLの最大値と最小値の差は電流idcの二倍(図において記号2idcで表記)であるとして例示した。
【0081】
図3では、電流iLを矩形波に近似した電流iLバーも破線で併記している。即ち電流iLバーは、時刻t2〜t4において電流idcと等しい大きさ(図において記号idcで表記)を採る。
【0082】
コンデンサCfに流れる電流icは、電流iinv、iLバーの合成の交流成分として示されている。電流icは、キャリアJの一周期T内においては、時刻t0〜t1、t4〜t5において最小値を採り、時刻t1〜t2においては当該最小値よりも電流idcの1倍分で大きく、時刻t1〜t2においては当該最小値よりも電流idcの2倍分で大きい値を採る。但し、電流icは、コンデンサCfからインダクタLfへと向かう方向を正に採っている。
【0083】
このように充電回路5bは降圧チョッパ61と同一のキャリアJを用いて変調されるため、キャリアJがその最小値を採るタイミング近傍で電流iLが上昇する。このため、電流iinvに対して位相が遅れてピークの高い充電電流が集中し、コンデンサCfの両端電圧vcの波形は非対称となる。
【0084】
直流リンク電圧vdcは両端電圧vcの交流成分が波高値vsに重畳した波形を呈する。そして出力端Pyの直流電源線LLに対する電圧voutは、降圧チョッパ61のスイッチング素子Sinvのスイッチングにより、期間dinv・Tにおける直流リンク電圧vdcを反映した波形を呈し、時刻t1〜t4における波形の非対称性が大きい(図3参照)。
【0085】
図3では両端電圧vcの波形を簡単に解析するために、電流iLバーを用いて電流icを評価したが、実際には電流icに寄与するのは電流iLであって、両端電圧vcは二次曲線となる。更に、電流iLの上昇/下降は対称三角波を呈すると近似したが、実際には曲線となる。よって実際の両端電圧vcにおける波形の非対称性はより顕著となり、電圧voutの波形の非対称性もより顕著となる。
【0086】
そこで、本実施の形態では、電流iLの電流iinvに対する位相を進めることで、ピークの高い充電電流の集中を回避し、以て両端電圧vcの波形の非対称性を緩和し、引いては電圧voutの波形の非対称性を緩和する。
【0087】
図4は図2に示された等価回路の動作を模式的に示すグラフである。ここでは電流iLのピークは、キャリアJがその最小値を採る時刻t8とほぼ一致している。そして電流iL、電流iLバーが立ち上がる時刻t6は電流iinvが立ち上がる時刻t1よりも遅く、電流iL、電流iLバーが立ち下がる時刻t7は電流iinvが立ち下がる時刻t4よりも早い。具体的には、スイッチング素子SLがオンからオフへと遷移するタイミングが、キャリアJがその最小値を採るタイミングと一致する場合を示す。但し、電流iLが流れる期間の長さは図3と図4とで等しく設定した。
【0088】
図4に示されたグラフは、図3に示されたグラフと比較して、電流icの波形も対称性が向上し、引いては電圧vdc,voutの波形も対称性が向上している。よって電圧形インバータ6が出力する交流電圧に誤差を与えるという問題が緩和される。そしてこのように電流iLの電流iinvに対する位相を進めるには、コンデンサCfの静電容量を増大させる必要はない。
【0089】
図3及び図4では図2に示された等価回路において電流iL、ic,iinv,idcについて単純化した解析を説明した。図5乃至図8では、より図2の等価回路に即したシミュレーションを行った結果を示すグラフである。
【0090】
図5乃至図8では、第1段目には電流iL,iinvを、第2段目には、電流icnv,isを、第3段目には電流icを、第4段目には出力電圧vout及び電圧vrを、それぞれ示している。
【0091】
図5乃至図8で採用されたシミュレーションでは、降圧チョッパ61のかわりに単相インバータ62(スイッチング素子Syp、Synにそれぞれ相当するスイッチング素子Sp、Snを有する)を採用し、電流源71の代わりにインダクタンス4mH、直列寄生抵抗10Ωの単相負荷72を採用した。また次の諸元を採用した。商用交流電源1から得られる単相交流電圧は実効値200V、周波数50Hz:コンデンサCfの静電容量は10μF:インダクタLfのインダクタンスは1mH、インダクタLfに対して並列に接続される抵抗30Ω:インダクタLbのインダクタンス(以下、当該インダクタンスにもインダクタLbと同じく記号Lbを採用する)は0.34mH:コンデンサCbの電圧vbは400V:単相インバータのスイッチング周波数5.9kHz。当該シミュレーションに用いられた具体的な回路の回路図を図9に示す。
【0092】
図5及び図6は、図3に示されるように、キャリアJと指令値dLとの比較によってスイッチング素子SLの動作を制御した場合の電流、電圧を示すグラフである。図6は図5の中央近傍を拡大して示している。
【0093】
図7及び図8は、図4に示されるように、電流iLの位相を進めた場合の電流、電圧を示すグラフである。図6は図5の中央近傍を拡大して示している。
【0094】
図5及び図6と、図7及び図8とを比較して観察すると理解されるように、電流iLの位相を進めることにより、出力電圧voutの波形の対称性は改善される(非対称性が緩和される)。また、出力電圧voutのリップルも低減している。
【0095】
このように電流iLの位相を進める一例として、スイッチング素子SLがオンからオフへと遷移するタイミングを、キャリアJがその最小値を採るタイミングと一致させる(図4参照)。直流リンク電圧vdcの波形の非対称性を緩和するためには、必ずしも上記二つのタイミングを一致させなくてもよい。但し電流icに対して電流iLの位相を進めすぎると、直流リンク電圧vdcの波形は期間dinv・Tの初頭で大きくなり、却って非対称性を増長させることも考えられるので、電流iLが上昇し始めるタイミングは、電流iinvが上昇するタイミング、即ち降圧チョッパ61が導通するタイミングよりも遅れることが望ましい。
【0096】
換言すれば、キャリアJの一周期T内において、スイッチング素子SLがオフからオンへと遷移するタイミングは降圧チョッパ61が導通するタイミングよりも遅く、かつ、スイッチング素子SLがオンからオフへと遷移するタイミングは降圧チョッパ61が非導通となるタイミングよりも早いことが望ましい。
【0097】
図10はデューティdinvと出力電圧誤差との関係を示すグラフである。出力電圧誤差は電圧voutから出力電圧指令を差し引いた値の、出力電圧指令に対する比を示し、図10では百分率で表されている。ここで出力電圧指令は、直流リンク電圧vdcとデューティdinvとの積である。黒丸は図3に示されるように、スイッチング素子SLがオンからオフへと遷移する期間の中央が、キャリアJがその最小値を採るタイミングと一致する場合を示す。白丸は図4に示されるように、スイッチング素子SLがオンからオフへと遷移するタイミングが、キャリアJがその最小値を採るタイミングと一致する場合を示す。但し、当該グラフで示したシミュレーションではインダクタンスLbは0.5mHである。
【0098】
図3に対応する場合(黒丸)は、デューティdinvに比例して増加し、最大1.5%程度の誤差が発生する。一方、図4に対応する場合(白丸)はデューティdinvに対する変動は極めて小さく、最大値でも0.5%程度に留まる。
【0099】
以上のように電流icに対して電流iLを進めるには、降圧チョッパ61の導通/非導通を制御するキャリアJと同周期の鋸波を採用するキャリアに基づいて、スイッチング素子SLのオン/オフを、制御すればよい。以下具体的な二例としてキャリアJ1,J2(それぞれ図11、図12を参照)を挙げる。
【0100】
キャリアJは一対の極値0,1を採る。そして図3,図4に示すように、キャリアJが指令値dinvよりも、一方側の極値(ここでは極値0)に近い値を採るときに、降圧チョッパ61が導通する。
【0101】
そしてキャリアJ1,J2のいずれにおいても、キャリアJが上述の一方側の極値0を採るタイミングで、極値が現れる。キャリアJ1についてみれば、キャリアJが極値0を採るタイミングで極値0,2を採る。即ちキャリアJ1の振幅はキャリアJの振幅の二倍である。キャリアJ2についてみれば、キャリアJが極値0を採るタイミングで極値0,1を採る。キャリアJ2の振幅はキャリアJの振幅と等しい。
【0102】
キャリアJ1,J2は鋸波であるので、一つのタイミングで二つの極値を採るように説明した。しかし実際には、キャリアJ1は、キャリアJの上述した一方側の極値0に近い方の極値0から遠い方の極値2へと遷移する。キャリアJ2は、キャリアJの上述した一方側の極値0に近い方の極値0から遠い方の極値1へと遷移する。よってキャリアJ1の下降部分はキャリアJの下降部分と傾きが等しいが、キャリアJ2の下降部分の傾きはキャリアJの下降部分における傾きの1/2となる。
【0103】
このような下降部分における傾きの相違により、キャリアJ1,J2のそれぞれについて、採用されるべき指令値は異なる。
【0104】
図11はキャリアJ1と制御信号SL’との関係を示すグラフであり、図12はキャリアJ2と制御信号SL’との関係を示すグラフである。
【0105】
図11を参照して、指令値dLは図3で示された指令値dLと同じであり、キャリアJと比較される。指令値dLと上述の一方側の極値0との差の二倍である、指令値2dLがキャリアJ1と比較される。そして指令値2dLに対してキャリアJ1が極値0に近い方の値を採るときに、スイッチング素子SLが導通する。
【0106】
図11では、図3で示された技術においてスイッチング素子SLのオン/オフを制御する信号にも符号SLを採用している。そして、スイッチング素子SLは制御信号SLが活性/非活性(図中、それぞれ“H”/“L”で示される:他の信号についても同様)となることで、それぞれオン/オフする。図4で示された技術について、スイッチング素子SLのオン/オフはそれぞれ制御信号SL’の活性/非活性で制御される。
【0107】
キャリアJ1の下降部分の傾きはキャリアJ1の下降部分の傾きと等しいが、キャリアJ1にはキャリアJで現れる上昇部分が現れないため、スイッチング素子SLが導通する区間は制御信号SL,SL’で等しい長さで現れる。
【0108】
具体的には時刻t6においてキャリアJ,J1は指令値2dLを下抜け、時刻t2,t3同士の差は、時刻t6,t8同士の差に等しい。そしてキャリアJ1の下降部分は、キャリアJが一方側の極値0を採る時刻t8の直前には現れるものの、時刻t8の直後には現れない。よって制御信号SL’は制御信号SLに対して、位相が進み、その進む量はスイッチング素子SLがオンする期間の半分である。このようにしてインダクタLbに流れる電流iL’が上昇する期間を時刻t6〜t8の間にして、そのピークの位相を電流iLよりも進めることができる。
【0109】
なお、必ずしも鋸波たるキャリアJ1を採用しなくても、対象三角波たるキャリアJを用いて制御信号SL’を得ることができる。
【0110】
図11においてアップダウン信号UDは、キャリアJが上昇期間(即ち一方側の極値0から他方側の極値1)にあるときに非活性であり、下降期間であるときに活性である。また制御信号SL’’は、指令値2dLに対してキャリアJが極値0に近い方の値を採るときに活性となる(活性/非活性はそれぞれ制御信号SL’’の上側/下側で表される)。
【0111】
そしてこれらの制御信号SL’’及びアップダウン信号UDについて活性/不活性をそれぞれ二値論理の“H”/“L”に対応させた論理積により、制御信号SL’(図11において○で囲まれた×は論理積を表す。)が活性となる区間が得られる。
【0112】
キャリアJ及びアップダウン信号UDを用いて制御信号SL’を得る場合、アップダウン信号が活性化する区間がキャリアJの一周期の半分となるので、制御信号SL’によって決定されるスイッチング素子SLがオンする期間はキャリアJの一周期の半分以下となる。これはキャリアJの最大値が1であることと、制御信号SL’を得るために採用される指令値が指令値2dLであることからも当然の帰結である。しかしながら、充電付きバッファ回路5においてはvb≦√2・vsの関係があることから、dL≦(1−1/√2)<1/2となる。よってキャリアJ及びアップダウン信号UDを用いて制御信号SL’を得ることが、デューティdLの上限を実質的に制限することはない。
【0113】
制御信号SL’はスイッチング素子SLのオン/オフを制御するので、制御信号SL’’は制御信号SL’の元となる原制御信号と把握することができる。
【0114】
降圧チョッパ61が導通する期間は、時刻t8を跨ぐので、制御信号SL’によってスイッチング素子SLがオンからオフへと遷移するタイミングは、降圧チョッパ61が非導通となるタイミングよりも早い。
【0115】
なお、スイッチング素子SLがオフからオンへと遷移するタイミングは降圧チョッパ61が導通するタイミングよりも遅いことが望ましいため、指令値2dLは指令値dinvよりも、キャリアJの一方側の極値0に近いことが望ましい。
【0116】
図12において、キャリアJ2の下降部分の傾きはキャリアJ1の下降部分における傾きの半分となるが、キャリアJ2にはキャリアJで現れる上昇部分が現れないため、スイッチング素子SLが導通する区間は制御信号SL,SL’で等しい長さで現れる。そして図11に示された場合と同様にして、制御信号SL’は制御信号SLに対して、位相が進み、その進む量はスイッチング素子SLがオンする期間の半分である。よって図11に示された場合と同様にして、インダクタLbに流れる電流iL’のピークの位相を電流iLよりも進めることができる。
【0117】
なお、スイッチング素子SLがオフからオンへと遷移するタイミングは降圧チョッパ61が導通するタイミングよりも遅いことが望ましいため、指令値dLは指令値dinvよりも、キャリアJの一方側の極値0に近いことが望ましい。
【0118】
以上のように、制御信号SL’’により、キャリアJが極値0を取る時刻t8よりも前でスイッチング素子SLが導通し、時刻t8においてスイッチング素子SLが非導通となる。よって、インダクタに流れる電流iL’がピークを採るタイミングは降圧チョッパ61が導通する期間の中央となり、電流iL’が出力電圧voutの波形を非対称にすることが緩和される。
【0119】
上述の例はいずれもキャリアJが指令値dinvに対して極値0を採る側で、降圧チョッパ61が導通する場合を例示した。しかし、キャリアJが指令値dinvに対して極値1を採る側で、降圧チョッパ61が導通する場合であっても、上記実施の形態は適用できる。即ち、このような場合には、指令値2dLに対してキャリアJ1が極値1に近い方の値を採るときに、あるいは指令値dLに対してキャリアJ2が極値1に近い方の値を採るときに、スイッチング素子SLが導通する。
【0120】
但し、キャリアJ1,J2はいずれも、キャリアJが極値1を採るタイミングで極値をとる。当該タイミングにおいて、キャリアJ1は、キャリアJの上述した一方側の極値1に近い方の極値1から遠い方の極値−1へと遷移する。また同様に、キャリアJ2は、キャリアJの上述した一方側の極値1に近い方の極値1から遠い方の極値0へと遷移する。
【0121】
そしてキャリアJ1を採用する代わりにキャリアJとアップダウン信号UDとを用いる場合には、アップダウン信号UDの活性/不活性を逆に採用すればよい。即ちアップダウン信号UDは、キャリアJ1がその一方側の極値1から他方側の極値0に向かう下降期間において非活性であり、キャリアJ1がその他方側の極値0から一方側の極値1に向かう上昇期間において活性となる。また、指令値2dLの代わりに、指令値dLと上述の一方側の極値1との差の二倍である、指令値2(1−dL)が採用される。
【0122】
図13及び図14は上述のようにキャリアJが指令値dinvに対して極値1を採る側で、降圧チョッパ61が導通する場合に適合させて、それぞれ図11及び図12に示された場合を変形した場合を示す。
【0123】
図15乃至図17は、本実施の形態で紹介された直接形電力変換装置を制御する制御信号を生成する制御信号生成装置の構成を示すブロック図である。図1に示された電圧形インバータ6のスイッチング素子Syp,Synは、同じ符号を用いて、信号Syp,Synによって導通/非導通が制御されるとして表した。また、図2を参照して、スイッチング素子Sinvは、同じ符号を用いて、信号Syp,Synによって導通/非導通が制御されるとして表した。
【0124】
上述のように図1に示された直接形電力変換装置では三相の電圧形インバータ6が例示されており、これは図2では降圧チョッパ61として示されている。信号Sinvから信号Syp,Synを、負荷7に流れる電流、負荷7の駆動状況(例えば三相モータの回転速度)に基づいて生成することは周知の技術であるので、以下では詳細を省略する。
【0125】
同様にして、負荷7に流れる電流、負荷7の駆動状況に基づいて各デューティdL,dinvを生成することも、非特許文献2等で公知の技術を採用して実現できるので、以下では詳細を省略する。
【0126】
図15は、図11に示された制御信号SL’を生成するに際し、鋸波を用いない場合のブロック図である。
【0127】
キャリア生成部105は対称三角波のキャリアJ(例えば最大値及び最小値としてそれぞれ1,0を採る)を生成して出力する。アップダウン信号生成部106は、キャリアJが下降しているときに活性となるアップダウン信号UDを生成して出力する。
【0128】
スイッチングデューティ生成部101は、公知の技術を用いて、デューティdLを生成する。デューティdLは、スイッチング素子SLのオン/オフについてキャリアJを採用したときに、指令値として採用されるべき値である。
【0129】
演算器102はデューティdLから指令値2dL又は指令値2(1−dL)を生成する。比較器103は指令値2dLとキャリアJとを比較し、キャリアJが指令値2dLよりも小さい(あるいは以下となる)ときに活性となる制御信号SL’’を生成して出力する。
【0130】
論理積生成部104は、制御信号SL’’及びアップダウン信号UDについて活性/不活性をそれぞれ二値論理の“H”/“L”に対応させた論理積が“H”のときに活性となる制御信号SL’を生成して出力する。制御信号SL’はスイッチング素子SLに与えられ、制御信号SL’の活性/非活性に応じてそれぞれスイッチング素子SLがオン/オフする。
【0131】
インバータデューティ生成部107はキャリアJに対する指令値となるデューティdinvを生成して出力する。比較器108はデューティdinvとキャリアJとを比較し、キャリアJがデューティdLよりも小さい(あるいは以下となる)ときに活性となる信号Sinvを生成して出力する。論理演算部109は信号Sinvを入力し、これと負荷7に流れる電流、負荷7の駆動状況とに基づいて、信号Syp,Synを生成して出力する。かかる観点から、信号Sinvは、電圧形インバータ6を制御する信号Syp,Synの元となる、原制御信号であると把握することができる。
【0132】
図13に示された方法で制御信号SL’を生成する場合には、演算部102がデューティdLから指令値2(1−dL)を生成して出力する。この場合には図15で説明された場合とは、比較器103,108において比較の大小関係が逆転し、アップダウン信号UDの活性/非活性の区間が入れ替わる。
【0133】
図16は、図11に示された制御信号SL’を生成するに際し、鋸波を用いる場合のブロック図である。ここで示される構成では、アップダウン信号生成部106は用いられず、第2キャリア生成部110が用いられる。
【0134】
第2キャリア生成部110は、対象三角波のキャリアJを入力し、鋸波のキャリアJ1を生成する。そして比較器103は指令値2dLとキャリアJ1とを比較し、キャリアJ1が指令値2dLよりも小さい(あるいは以下となる)ときに活性となる制御信号SL’を生成して出力する。
【0135】
図13に示された方法で制御信号SL’を生成する場合には、演算部102がデューティdLから指令値2(1−dL)を生成して出力する。この場合には図16で説明された場合とは、比較器103,108において比較の大小関係が逆転し、キャリアJ1の波形も異なる。
【0136】
図17は、図12に示された制御信号SL’を生成するに際し、鋸波を用いる場合のブロック図である。ここで示される構成では、演算器102は用いられず、第2キャリア生成部110はキャリアJ2を生成して出力する。そして比較器103はデューティdLを指令としてキャリアJ2と比較し、キャリアJ2が指令値dLよりも小さい(あるいは以下となる)ときに活性となる制御信号SL’を生成して出力する。
【0137】
図14に示された方法で制御信号SL’を生成する場合には、図17で説明された場合とは、比較器103,108において比較の大小関係が逆転し、キャリアJ2の波形も異なる。
【0138】
第2の実施の形態.
コンデンサCfの両端電圧vcの非対称性を緩和するには、インダクタLbに流れる電流iLのリプルを小さくすることが望ましい。これは例えば電流iLが連続となる動作(即ち充電回路5bとコンデンサCbとで構成される昇圧チョッパにおける連続モード)が採用されることで実現できる。
【0139】
図18及び図19は昇圧チョッパにおけるスイッチング周波数を高めて電流iLが連続となる場合の、直接形電力変換装置の諸値、即ち電流iL,iinv、icnv,is、ic、出力電圧vout及び電圧vrを、それぞれ示すグラフである。図19は図18の中央近傍を拡大して示している。図6や図8に示された出力電圧voutに対して、図19に示された出力電圧voutは変動の対称性が高く、しかも変動幅が小さくなっていることが分かる。
【0140】
しかしながら昇圧チョッパにおける周波数を高めると、充電付きバッファ回路5におけるスイッチング回数が増大する。そしてスイッチング回数が増大するとスイッチング損失が増加し、これは効率の低下を招来する。
【0141】
他方、フィルタ2が商用単相交流電源1とダイオードブリッジ3との間に介在することに着目すると、キャリア周波数を高くせず電流iLのリプルが大きくても、インダクタLfに流れる交流電流ir(図5〜図8、図18、図19においては等価回路2での表現に鑑みて電流isとして示される)のリプルは低減できる。
【0142】
上記の点に鑑みれば、電流iLを必ずしも連続としなくても、電圧形インバータ6が動作するデューティ(単に「インバータデューティ」とも称す)の範囲(電圧形インバータ6に対応して図2で示された降圧チョッパ61のデューティdinvが採用する範囲)において、全体的に出力電圧誤差を低減することが望ましい。換言すれば、本実施の形態ではインバータデューティが採る範囲において、電流iLが連続となる領域と不連続となる領域とが併存する。
【0143】
具体的には、後記する理由により、出力電圧誤差が最大値を採るインバータデューティよりも小さいインバータデューティで電圧形インバータ6が動作するときには電流iLは不連続となる。また出力電圧誤差が最大値を採るインバータデューティよりも小さいインバータデューティで電圧形インバータ6が動作するときには電流iLは連続となる。
【0144】
図20は負荷7の大きさ及びキャリア周波数を固定した場合の、出力電圧誤差のデューティdinvへの依存性を示すグラフである。但し、曲線K101,K102,K103は、それぞれインダクタLbのインダクタンス(以下、単に「インダクタンスLb」とも称す)が1mH、1.5mH、2mHの場合を示す。
【0145】
このように、インダクタンスLbが大きいほど、出力電圧誤差は低く、かつ出力電圧誤差の最大値をとるデューティdinvは小さい。よってデューティdinvの全範囲(約0〜約1)で出力電圧誤差が平均的な値を得るには、デューティdinvが0.5付近で出力電圧誤差が最大値をとることが望ましい。図20に即して言えば、インダクタンス値は2mHに設定することが望ましい。
【0146】
図21は負荷7が小さく、図2の等価回路でいう電流idcが小さい場合の、出力電圧誤差のデューティdinvへの依存性を示すグラフである。図21で示される場合の負荷の大きさは、図20に示された場合の半分である。曲線K201,K202,K203は、それぞれインダクタンスLbが1mH、1.5mH、2mHの場合を示す。但し負荷の大きさは図20に示された場合の半分である。
【0147】
図22は負荷7が大きく、図2の等価回路でいう電流idcが大きい場合の、出力電圧誤差のデューティdinvへの依存性を示すグラフである。図22で示される場合の負荷の大きさは、図20に示された場合の二倍である。曲線K301,K302,K303は、それぞれインダクタンスLbが1mH、1.5mH、2mHの場合を示す。
【0148】
図20乃至図22を比較して分かるように、出力電圧誤差が最大値をとるデューティdinvは負荷7の大きさに依存する。負荷が小さい場合には充電付きバッファ回路5に入力する電流iinvも小さくなるので、デューティdinvが0.5付近で出力電圧誤差が最大値をとるためには、インダクタンスは2mHという(図20に示された場合と同程度の)大きな値を選定する。負荷が大きい場合には電流iinvも大きくなるので、デューティdinvが0.5付近で出力電圧誤差が最大値をとるためには、インダクタンスは(図20に示された場合と比較して)1.5mHという小さな値を選定する。
【0149】
このように負荷7が大きいほどインダクタンスLbを小さく設計することにより、デューティdinvの全範囲(約0〜約1)で出力電圧誤差が平均的な値を得ることができる。これは出力電圧誤差を推測して電圧形インバータ6の制御を行うことが容易であるという観点で望ましい。
【0150】
デューティdLは、昇圧チョッパの不連続モードにおいて、充電付きバッファ回路5に入力する直流リンク電圧vdcとコンデンサCbの電圧vbに依存するだけではなく、インダクタLbに流れる電流iLの平方根に比例する(例えば非特許文献2参照)。他方、連続モードにおいてはデューティdLは値(vb−vdc)/vbをとり、電流iLには依存しない。
【0151】
デューティdinvが増大して電流iinvが増大すると電流iLも増大し、デューティdLも増大する。よって不連続モードではスイッチSinvがオンする期間中、電流iLが上昇し続けるため、直流リンク電圧vdcが下降する。これにより、直流リンク電圧vdc、ひいては電圧voutのパルスの対称性が崩れて出力電圧誤差が増加する。そして電流iLの波高値はデューティdLが増大して昇圧チョッパの動作が連続モードに移るまで上昇するので、デューティdLが増大すると出力電圧誤差は増加する。
【0152】
デューティdLが増大して昇圧チョッパの動作が連続モードへ以降すると、昇圧チョッパのデューティdLは電流iLに依存せず、従ってデューティdinvにも依存しないため、デューティdinvの増加に伴って電流iinvが増大しても電流iLが下降する。これにより、デューティdinvの増加に伴って直流リンク電圧vdcのリプルの対称性が向上し、出力電圧誤差が減少する。
【0153】
また、デューティdLが電流iLに依存しないため、電流iinvのリプルの振幅も一定となることから、デューティdinvの増加に伴って電流iinvが増加するほど、電圧誤差は低下することになる。
【0154】
コンデンサCbの電圧vbが、商用交流電源1から得られる交流電圧の波高値vsの√2〜2倍にまで昇圧して充電される場合が通常であることに鑑みれば、連続モードではデューティdLは、1−(1/√2)〜1−(1/2)、即ち0.3〜0.5程度になる。よってこの観点からも、昇圧チョッパの動作が連続モード/不連続モードのいずれで動作するかの境界となるデューティdinvが0.5を採ることが望ましい。
【0155】
図23及び図24は図20に示されたグラフK103について(即ちインダクタンスが2mHであって)、デューティdinvが0.5であるときの、直接形電力変換装置の諸値、即ち電流iL,iinv、icnv,is、ic、出力電圧vout及び電圧vrを、それぞれ示している。図24は図23の中央近傍を拡大して示している。電流iLは、その波形から、連続して流れる態様と、不連続で流れる態様との境界近傍の態様を示すことがわかる。
【0156】
図25及び図26は図20に示されたグラフK103について、デューティdinvが1であるときの電流iL,iinv、icnv,is、ic、出力電圧vout及び電圧vrを、それぞれ示している。図26は図25の中央近傍を拡大して示している。電流iLは、その波形から、連続して流れる態様を示すことがわかる。
【0157】
図24と図26の出力電圧voutの比較により、デューティdinvが大きいほど、出力電圧voutの波形の対称性が改善されていることがわかる。これは上述のように、電流iLが連続して流れる領域では、電流iinvが増大しても電流iLのリプルは増大しないことによる。
【0158】
このように、昇圧チョッパの動作が連続モード/不連続モードのいずれで動作するかの境界となるデューティdinvが0.5を採ることを容易にする観点からは、負荷7が大きいほどインダクタンスLbを小さく選定して設計することが望ましい。
【0159】
もちろん、上述の効率の低下について、要求される制限を緩和すれば、負荷7が大きいほど昇圧チョッパの周波数を大きくしてもよい。電流iLのリプルの振幅は当該周波数に対して反比例するからである。
【0160】
第3の実施の形態.
第1及び第2の実施の形態では、電流iLが電流icnvから分岐していたため、電流icnvを出力していたダイオードブリッジ3に対して入力される電流icに影響を与えていた。そして電流icはコンデンサCfを流れるので、電流icの波形の変動は、コンデンサCfの両端電圧vcに、引いては直流リンク電圧vdc、出力電圧voutの波形の対称性に影響を与えていた。
【0161】
本実施の形態では、電流iLを電流icnvから分岐させず、入力端子P1に入力する交流電流irから分岐させることにより、電流iLの変動がコンデンサCfの両端電圧vcに、引いては直流リンク電圧vdc、出力電圧voutの波形の対称性に影響を与えない技術を示す。
【0162】
図27は本実施の形態にかかる直接形電力変換装置たる単相/三相変換装置の構成を示す回路図である。図中、ローパスフィルタ2、ダイオードブリッジ3、バッファ回路5a、電圧形インバータ6及び負荷7は、図1に示されたものと同一であるので、詳細な説明は省略する。また図の簡単のため、電圧形インバータ6及び負荷7は単にブロックとして示した。
【0163】
但し当該実施の形態では、図1に示された充電回路5bに代えて、充電回路5cが設けられている。充電回路5cはローパスフィルタ2を介さずに商用単相交流電源1側に接続される。これにより、電流isはインダクタLfを流れる電流とは一致しない。
【0164】
充電回路5cはダイオードブリッジ51と、チョッパ回路52とを有している。ダイオードブリッジ51は入力端子P1,P2から入力された交流を全波整流して出力される電圧vr(電圧vrについては図2の説明を参照)を出力する。ここでは具体的な例として、ダイオードブリッジ51はダイオードD1p,D1n,D2p,D2nを備えており、ダイオードD1pのアノード及びダイオードD1nのカソードが入力端子P1に、ダイオードD2pのアノード及びダイオードD2nのカソードが入力端子P2に、それぞれ接続されている。電圧vrは、ダイオードD1pのカソードとダイオードD2pのカソードとの接続点を高電位側として、ダイオードD1nのアノードとダイオードD2nのアノードとの接続点を低電位側として、これら一対の接続点の間から出力される。
【0165】
チョッパ回路52は電圧vrをチョッピングしてコンデンサCbを充電する。つまりチョッパ回路52はコンデンサCbとともに昇圧チョッパを構成する。
【0166】
チョッパ回路52はインダクタLb1,Lb2、スイッチング素子SL、ダイオードDb1,Db2を備えている。インダクタLb1の一端はダイオードD1pのカソードとダイオードD2pのカソードとに接続され、インダクタLb2の一端はダイオードD1nのアノードとダイオードD2nのアノードとに接続される。そしてインダクタLb1の他端はダイオードDb1のアノードに、インダクタLb2の他端はダイオードDb2のアノードに、それぞれ接続される。スイッチング素子SLはダイオードDb1のアノードとダイオードDb2のアノードの間に接続される。かかる接続態様は、スイッチング素子SLの一対の端がそれぞれインダクタLb1,Lb2を介してダイオードブリッジ51の出力側に接続される、と把握することもできる。
【0167】
ダイオードDb1のカソードは、スイッチング素子ScとコンデンサCbとの接続点に接続される。これによりコンデンサCbは二つのインダクタLb1,Lb2及び二つのダイオードDb1,Db2を経由して、充電回路5cによって充電される。
【0168】
図28は図27に示された回路の等価回路を示す回路図であり、降圧チョッパ61及び電流源71については図2の説明において示した通りである。また、図28においてインダクタLbはインダクタLb1,Lb2の直列接続を表し、ダイオードDbはダイオードDb1,Db2の直列接続を表している。
【0169】
図29及び図30は、図28に示された等価回路についてシミュレーションされた結果を示すグラフである。図5と同様に、第1段目には電流iL,iinvを、第2段目には、電流icnv,isを、第3段目には電流icを、第4段目には出力電圧vout及び電圧vrを、それぞれ示している。図30は図29の中央近傍を拡大して示している。
【0170】
当該実施の形態ではこのように、電流icは電流icnvには依存するものの、コンデンサCbの充電にかかる電流iLの影響を受けないので、電圧vc(図27参照)や直流リンク電圧vdc(図28参照)が傾斜する部分の波形の対称性が改善される。これは出力電圧voutの波形の非対称性を緩和し、ひいては出力電圧誤差を低減する。
【0171】
なお、図28の等価回路の見かけ上、図27の回路においてインダクタLb2あるいはダイオードDb2の意義が理解しにくいため、以下に説明する。
【0172】
図31は図27の構成に対して、充電回路5cを充電回路5dに置換した構成を示す。充電回路5dは充電回路5cからインダクタLb2、ダイオードDb2を除去した構成を有している。コンデンサCfの両端電圧vcが正の場合(即ち入力端Prの電位が入力端Psの電位よりも高い場合)、電圧形インバータ6から商用単相交流電源1へ向かって流れる電流は、実線で示されるように、ダイオードブリッジ51においてはダイオードD2nを、ダイオードブリッジ3においてはダイオードDsnを、それぞれ経由する。
【0173】
しかしながら両端電圧vcが負の場合(即ち入力端Prの電位が入力端Psの電位よりも低い場合)、電圧形インバータ6から商用単相交流電源1へ向かって流れる電流は、破線で示されるように、ダイオードブリッジ51においてはダイオードD1nを経由するものの、ダイオードブリッジ3を流れない。これは直流電源線LLから見て商用単相交流電源1へ向かう経路において、ダイオードブリッジ3を経由する経路はフィルタ2のインダクタLfを経由することになり、ダイオードブリッジ51を経由する経路と比較してインピーダンスが高くなるからである。しかも両端電圧vcが負の場合に電圧形インバータ6へ向かって商用単相交流電源1から流れる電流はインダクタLfを経由しない。
【0174】
このように、両端電圧vcが負となる期間に商用単相交流電源1と電圧形インバータ6との間を流れる電流がフィルタ2を経由しなくなると、当該期間において電圧形インバータ6のスイッチングに伴うキャリア電流成分が商用単相交流電源1へと伝搬してしまい、電源環境の観点から望ましくない。よって充電回路5cがインダクタLb2を有し(更に望ましくはインダクタLb2のインダクタンスがインダクタLfのインダクタンスよりも大きく)、両端電圧vcが負の場合にも電圧形インバータ6へ向かって商用単相交流電源1から流れる電流がインダクタLfを経由することが望ましい。もちろん、図28の等価回路からも理解されるように、充電回路5cにインダクタLb2、ダイオードDb2が設けられなくても、直流リンク電圧vdcが傾斜する部分の波形の対称性は改善される。
【0175】
図32は図27の構成に対して、充電回路5cを充電回路5eに置換した構成を示す。充電回路5eは充電回路5cからダイオードDb2を除去した構成を有している。このような構成においてスイッチング素子SLがオンするとき、インダクタLb1を流れる電流は商用単相交流電源1へ向かって流れるに際して、ダイオードブリッジ51を経由せず、ダイオードブリッジ3のダイオードDsn、Drnを経由する。これは直流電源線LLから見て商用単相交流電源1へ向かう電流が流れる経路において、ダイオードブリッジ51を経由する経路はフィルタ2のインダクタLb2を経由することになり、ダイオードブリッジ51を経由する経路と比較して、特に両端電圧vcが正の場合にはインピーダンスが高くなるからである。フィルタ2において要求されるインダクタLfのインダクタンスよりも、昇圧チョッパにおいて要求されるインダクタLb2のインダクタンスの方が大きいことが通常であることに鑑みれば、上記の現象は両端電圧vcが負の場合にも発生する。
【0176】
このように、充電回路5cにおいてインダクタLb2に電流が流れなくなると、昇圧チョッパにおけるインダクタンス値にインダクタLb2が寄与しなくなり、電流iLのリプルが増大してしまう。これは直流リンク電圧vdcが傾斜する部分の波形の対称性を改善する観点からは望ましくない。よって充電回路5cがインダクタLb2のみならずダイオードDb2をも有することが望ましい。もちろん、図28の等価回路からも理解されるように、充電回路5cにダイオードDb2が設けられなくても、直流リンク電圧vdcが傾斜する部分の波形の対称性は改善されるし、図31に示された回路と比較すると、インダクタLb2が設けられていることによりキャリア電流成分の流出を回避し易い。
【0177】
図33は、図31と同様に充電回路5dが採用された場合に、フィルタ2が更にインダクタLf2を有する場合の構成を示している。かかる構成では両端電圧vcが負となる期間にもインダクタLf2とコンデンサCfによるフィルタリングが可能となり、図31の構成で示された問題点は緩和される。しかしながら両端電圧vcが正/負となる期間でフィルタ機能に寄与するのはそれぞれインダクタLf/インダクタLf2であり、構成が上長となっている。換言すればフィルタ2におけるインダクタLf,Lf2は、図27に示された構成と比較してそれぞれ利用率が半分になっている。
【0178】
以上のことから、充電回路5d,5eと比較して、インダクタLb2及びダイオードDb2が追加されている充電回路5cを採用することが望ましい。
【符号の説明】
【0179】
1 商用単相交流電源
2 ローパスフィルタ
3 ダイオードブリッジ
4 直流リンク
5 充電つきバッファ回路
5a バッファ回路
5b 充電回路
7 負荷
b コンデンサ
L デューティ(指令値)
b ダイオード
J,J1,J2 キャリア
LH,LL 直流電源線
b インダクタ
c,SL スイッチング素子
101 スイッチングデューティ生成部
102 演算器
103,108 比較器
104 論理積生成部
105 キャリア生成部
106 アップダウン信号生成部
107 インバータデューティ生成部
109 論理演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を制御する方法であって、
前記直接形電力変換装置は、
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備え、
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有し、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有し、
前記制御方法は、
対称三角波(J)が、第1の指令値(dinv)に対して、前記対称三角波が採る一対の極値(0,1)の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に前記電圧形インバータを導通させ、
鋸波(J1,J2)が、第2の指令値(2dL:2(1−dL):dL)に対して、前記一方側の極値に近い値を採る場合に前記第2のスイッチング素子を導通させ、
前記対称三角波が前記一方側の極値を取るタイミングで、前記鋸波が採る一対の極値(0,2;0,1)のうち、前記一方側の極値に近い方から遠い方へと遷移する、直接形電力変換装置の制御方法。
【請求項2】
前記鋸歯波の振幅は前記対称三角波の振幅の二倍であり、
前記第2の指令値(2dL;2(1−dL))は、前記第2のスイッチング素子が導通するデューティ(dL)と、前記一方側の極値との差の二倍に設定される、請求項1記載の直接形電力変換装置の制御方法。
【請求項3】
前記鋸歯波の振幅は前記対称三角波の振幅と等しく、
前記第2の指令値(dL)は、前記第2のスイッチング素子が導通するデューティ(dL)と等しい、請求項1記載の直接形電力変換装置の制御方法。
【請求項4】
交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を制御する方法であって、
前記直接形電力変換装置は、
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備え、
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有し、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有し、
前記制御方法は、
対称三角波(J)が、第1の指令値(dinv)に対して、前記対称三角波が採る一対の極値(0,1)の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に前記電圧形インバータを導通させ、
前記対称三角波が第2の指令値(dL)に対して前記一方側の極値に近い値を採る場合に活性となる信号(SL’’)の二値論理と、アップダウン信号(UD)の二値論理との論理積(SL’)で得られる区間で前記第2のスイッチング素子を導通させ、
前記アップダウン信号は、前記対称三角波が前記一方側の極値から他方側の極値へと向かう傾斜部分において非活性であり、前記対称三角波(J)が前記他方側の極値から前記一方側の極値へと向かう傾斜部分において活性である、直接形電力変換装置の制御方法。
【請求項5】
交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を制御する制御信号を生成する制御信号生成装置であって、
前記直接形電力変換装置は、
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備え、
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有し、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有し、
前記制御信号生成装置は、
一対の極値(0,1)を採る対称三角波(J)を生成するキャリア生成部(105)と、
前記対称三角波の波形が前記一対の極値の一方から他方へと向かうときに非活性であり、前記対称三角波の波形が前記他方から前記一方へと向かうときに活性であるアップダウン信号(UD)を生成するアップダウン信号生成部(106)と、
前記電圧形インバータが動作する第1のデューティ(dinv)を生成する第1のデューティ生成部(107)と、
前記第1のデューティを第1の指令値として前記対称三角波と比較し、前記対称三角波が前記第1の指令値に対して前記一対の極値の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に活性となる、第1の原制御信号(Sinv)を生成する第1の比較器(108)と、
前記第1の原制御信号から前記電圧形インバータの制御信号(Syp,Syn)を生成する論理演算部(109)と、
前記第2のスイッチング素子が導通する第2のデューティ(dL)を生成する第2のデューティ生成部(101)と、
前記第2のデューティから、前記第2のデューティ(dL)と、前記一対の極値の前記一方との差の二倍に設定される第2の指令値(2dL;2(1−dL))を生成する演算器(102)と、
前記第2の指令値と前記対称三角波とを比較して、前記対称三角波が前記第2の指令値に対して前記一方側の極値に近い値を採る場合に活性となる第2の原制御信号(SL’’)を生成する第2の比較器(103)と、
前記第2の原制御信号の二値論理と前記アップダウン信号(UD)の二値論理との論理積で得られる区間において活性となり、前記第2のスイッチング素子の制御信号(SL’)を生成する論理積生成部(104)と
を備える、制御信号生成装置。
【請求項6】
交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を制御する制御信号を生成する制御信号生成装置であって、
前記直接形電力変換装置は、
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備え、
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有し、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有し、
前記制御信号生成装置は、
第1の一対の極値(0,1)を採る対称三角波(J)を生成する第1のキャリア生成部(105)と、
第2の一対の極値(0,2;−1,1)を採り、前記対称三角波が前記第1の一対の極値の一方側の極値(0)を取るタイミングで、前記第2の一対の極値のうち、前記第1の一対の極値の前記一方側の極値に近い方から遠い方へと遷移する鋸波を生成する、第2のキャリア生成部(110)と、
前記電圧形インバータが動作する第1のデューティ(dinv)を生成する第1のデューティ生成部(107)と、
前記第1のデューティを第1の指令値として前記対称三角波と比較し、前記対称三角波が前記第1の指令値に対して前記一対の極値の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に活性となる、第1の原制御信号(Sinv)を生成する第1の比較器(108)と、
前記第1の原制御信号から前記電圧形インバータの制御信号(Syp,Syn)を生成する論理演算部(109)と、
前記第2のスイッチング素子が導通する第2のデューティ(dL)を生成する第2のデューティ生成部(101)と、
前記第2のデューティから、前記第2のデューティ(dL)と、前記第1の一対の極値の前記一方との差の二倍に設定される第2の指令値(2dL;2(1−dL))を生成する演算器(102)と、
前記第2の指令値と前記対称三角波とを比較し、前記対称三角波が前記第2の指令値に対して前記第1の一対の極値の前記一方側の極値に近い値を採る場合に活性となり、前記第2のスイッチング素子の制御信号(SL’)を生成する第2の比較器(103)と
を備える、制御信号生成装置。
【請求項7】
交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を制御する制御信号を生成する制御信号生成装置であって、
前記直接形電力変換装置は、
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備え、
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有し、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有し、
前記制御信号生成装置は、
第1の一対の極値(0,1)を採る対称三角波(J)を生成する第1のキャリア生成部(105)と、
第2の一対の極値(0,1)を採り、前記対称三角波が前記第1の一対の極値の一方側の極値(0)を取るタイミングで、前記第2の一対の極値のうち、前記第1の一対の極値の前記一方側の極値に近い方から遠い方へと遷移し、前記対称三角波の振幅と等しい振幅を有する鋸波(J2)を生成する、第2のキャリア生成部(110)と、
前記電圧形インバータが動作する第1のデューティ(dinv)を生成する第1のデューティ生成部(107)と、
前記第1のデューティを第1の指令値として前記対称三角波と比較し、前記対称三角波が前記第1の指令値に対して前記一対の極値の一方(0)側の極値に近い値を採る場合に活性となる、第1の原制御信号(Sinv)を生成する第1の比較器(108)と、
前記第1の原制御信号から前記電圧形インバータの制御信号(Syp,Syn)を生成する論理演算部(109)と、
前記第2のスイッチング素子が導通する第2のデューティ(dL)を生成する第2のデューティ生成部(101)と、
前記第2のデューティを第2の指令値として前記対称三角波を比較し、前記対称三角波が前記第2の指令値に対して前記第1の一対の極値の前記一方側の極値に近い値を採る場合に活性となり、前記第2のスイッチング素子の制御信号(SL’)を生成する第2の比較器(103)と
を備える、制御信号生成装置。
【請求項8】
交流/交流変換を行う直接形電力変換装置であって、
前記直接形電力変換装置は、
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備え、
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有し、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有し、
前記充電回路と前記コンデンサとで構成される昇圧チョッパは、前記電圧形インバータが動作するデューティ(dinv)が0.5よりも小さいときに不連続モードとして動作し、前記デューティが0.5よりも大きいときに連続モードとして動作する、直接形電力変換装置。
【請求項9】
請求項8記載の直接形電力変換装置を運転する方法であって、
前記誘導性負荷が大きいほど、前記第2のスイッチング素子のスイッチング周波数が大きく選定される、直接形電力変換装置の運転方法。
【請求項10】
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)と、
前記ローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される第1の全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記全波整流回路に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続されるバッファ回路(5a)と、
充電回路(5c,5d,5e)とを備え、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は、
前記交流電源(1)に接続される第2の全波整流回路(3)と、
一対のインダクタ(Lb1,Lb2)と、
前記一対のインダクタのそれぞれを介して前記第2の全波整流回路の出力側に接続される一対の端を有する第2のスイッチング素子(SL)と、
第1のダイオード(Db1)と
を有し、
前記第1のダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記一対のインダクタのうち前記第2の全波整流回路の前記出力側の高電位側のものと前記第2のスイッチング素子との接続点に接続されるアノードとを有する、直接形電力変換装置。
【請求項11】
前記充電回路は第2のダイオード(Db2)を更に有し、
前記第2のダイオードは、前記第2の直流電源線(LL)に接続されるカソードと、前記一対のインダクタのうち前記第2の全波整流回路の前記出力側の低電位側のものと前記第2のスイッチング素子との接続点に接続されるアノードとを有する、請求項10記載の直接形電力変換装置。
【請求項12】
交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を設計する方法であって、
前記直接形電力変換装置は、
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記コンバータ部に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備え、
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有し、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有し、
前記インダクタのインダクタンスを、前記電圧形インバータが動作するデューティの範囲内における前記交流電圧の、前記交流電圧についての指令値(vdc・dinv)に対する誤差が極大値を持つように、かつ前記誘導性負荷が大きいほど小さく選定する、直接形電力変換装置の設計方法。
【請求項13】
交流/交流変換を行う直接形電力変換装置を運転する方法であって、
前記直接形電力変換装置は、
チョークインプット形のローパスフィルタ(2)を介して交流電源(1)に接続される全波整流回路(3)と、
高電位側の第1の直流電源線(LH)と低電位側の第2の直流電源線(LL)を有する直流リンク(4)と、
前記直流リンクを介して前記コンバータ部に接続され、誘導性負荷(7)に交流電圧(vout)を供給する電圧形インバータ(6)と、
前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で前記全波整流回路及び前記電圧形インバータと並列に接続される充電付きバッファ回路(5)とを備え、
前記充電付きバッファ回路はバッファ回路(5a)と充電回路(5b)とを有し、
前記バッファ回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第1のスイッチング素子(Sc)およびコンデンサ(Cb)を有し、前記第1のスイッチング素子は前記第1の直流電源線側に、前記コンデンサは前記第2の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記充電回路は前記第1の直流電源線と前記第2の直流電源線との間で直列に接続される第2のスイッチング素子(SL)およびインダクタ(Lb)と、ダイオード(Db)とを有し、前記第2のスイッチング素子は前記第2の直流電源線側に、前記インダクタは前記第1の直流電源線側に、それぞれ設けられ、
前記ダイオードは、前記第1のスイッチング素子と前記コンデンサとの接続点に接続されるカソードと、前記第2のスイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続されるアノードとを有し、
前記第2のスイッチング素子のスイッチング周波数を、前記電圧形インバータが動作するデューティの範囲内における前記交流電圧の、前記交流電圧についての指令値(vdc・dinv)に対する誤差が極大値を持つように、かつ前記誘導性負荷が大きいほど大きく設定する、直接形電力変換装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−135184(P2012−135184A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287624(P2010−287624)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】