説明

制御基板とこれを用いた多軸用モータ制御装置

【課題】 単独用制御基板と集合制御基板の2種類の基板を保有することなく1種類の基板でどちらにも対応できる制御基板とこれを用いた多軸用モータ制御装置を提供する。
【解決手段】 切り離すことで単独用制御基板としても使用することができる複数個の単独用制御基板を、あらかじめ複数のスリット間の連結部にてつなぎ合わせて集合用制御基板を構成し、それぞれの単独用制御基板が、2つのパッドからなるゼロオーム抵抗用パッドを介してパターン接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸用の制御基板に関するもので、特にこの制御基板を用いた多軸用モータ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば複数のモータを制御する多軸用モータ制御装置においては、例えば図6のように、個別に単独用の制御基板34〜37を搭載した4台のインバータユニット30〜33を、電線26を用いて通信回路で接続し、上位制御回路24で運転する場合がある。
また、図7のように、頻繁に使用する4台のインバータユニット30〜33を、それぞれ制御基板34〜37に接続して、1台に集約したユニットとして多軸モータ制御装置38を製作し、内部配線として通信回路を電線26で接続し、上位制御回路24で運転する場合がある。また図7の内部配線を省略する為、図8のように、4台分の制御基板を1つにまとめた4台用専用制御基板39を製作するとともに、各インバータユニット30〜33間の通信回路をパターンで接続して多軸用モータ制御装置40を製作し、電線26を介して上位制御回路24に接続して運転する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−187196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来技術においては、多軸用モータ制御装置に搭載される制御基板に関して、各インバータユニットへ個別に搭載される単独用制御基板と4台分の制御基板を1台にまとめた4台用専用制御基板のような集合制御基板の2種類の基板を保有する必要があるという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、単独用制御基板と集合制御基板の2種類の基板を保有することなく1種類の基板でどちらにも対応できる制御基板とこれを用いた多軸用モータ制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の制御基板の発明は、切り離すことで単独用制御基板としても使用することができる複数個の単独用制御基板を、あらかじめ複数のスリット間の連結部にてつなぎ合わせて集合用制御基板を構成し、それぞれの単独用制御基板が、2つのパッドからなるゼロオーム抵抗用パッドを介してパターン接続されていることを特徴とする制御基板。
請求項2に記載の制御基板の発明は、前記それぞれの単独用制御基板内に前記パターンが引き込まれて、前記パターンが通る連結部の傍らで、前記ゼロオーム抵抗用パッドと接続されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の制御基板の発明は、前記それぞれの単独用制御基板の連結部を跨いだ個所に、ゼロオーム抵抗用パッドのそれぞれのパッドを配置し、前記それぞれの単独用制御基板外で、前記ゼロオーム抵抗用パッドと前記パターンを接続していることを特徴とするものである。
請求項4に記載の制御装置の発明は、複数の制御基板を備える多軸用モータ制御装置において、前記制御基板を、請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の制御基板で構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、次のような効果がある。
請求項1に記載の制御基板の発明によれば、単独用制御基板と集合用制御基板の2種類の基板を製作することなく、1種類の基板でどちらにも対応することができる。したがって、基板の製作と管理が非常に簡単になるとともに、製造コストを低減することができる。
請求項2に記載の制御基板の発明によれば、それぞれの単独用制御基板内に前記パターンが引き込まれて、前記パターンが通る連結部の傍らで、前記ゼロオーム抵抗用パッドと接続されているので、集合制御用基板の複数の連結部を切り離して単独用制御基板として使用する際に、切断後のパターンの腐食の進行を、前記ゼロオーム抵抗用パッドの個所で止めることができる。
請求項3に記載の制御基板の発明によれば、前記それぞれの単独用制御基板の連結部を跨いだ個所に、ゼロオーム抵抗用パッドのそれぞれのパッドを配置し、前記それぞれの単独用制御基板外で、前記ゼロオーム抵抗用パッドと前記パターンを接続しているので、集合制御用基板の複数の連結部を切り離して単独用制御基板として使用する際に、パターンを切断することがなく、パターン腐食の問題が生じることがない。
請求項4に記載の多軸用モータ制御装置の発明は、複数の制御基板を備える制御装置において、前記制御基板を、請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の制御基板で構成しているので、単独用制御基板と集合用制御基板の2種類の基板を製作することなく、1種類の基板でどちらにも対応することができる。したがって、基板の製作と管理が非常に簡単になるとともに、製造コストを低減することができる多軸用モータ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施例における多軸用モータ制御装置の下半部を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例における集合用制御基板を示す平面図である。
【図3】本発明の第2の実施例を示すもので、図2における集合用制御基板から切り離して用いる単独用制御基板の正面図である。
【図4】本発明の第3の実施例における集合用制御基板を示す正面図である。
【図5】図4における集合用制御基板から切り離して用いる単独用制御基板の正面図である。
【図6】第1の従来技術における多軸用モータ制御装置の制御基板を示す正面図である。
【図7】第2の従来技術における多軸用モータ制御装置の制御基板を示す正面図である。
【図8】第3の従来技術における多軸用モータ制御装置の制御基板を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施例における多軸用モータ制御装置の下半部を示す側断面図である。図2は、図1における多軸用モータ制御装置の集合用制御基板の正面図である。
本第1の実施例では、制御基板を集合用制御基板のまま使用する例を示している。
図1および図2において、1は多軸用、たとえば4軸用のモータ制御装置、2は前記多軸用モータ制御装置1の筐体、3は前記筐体2に取り付けられた基板支持体、4は前記基板支持体3に取り付けられた集合用制御基板、5は前記前記筐体2に取り付けられたヒートシンクでベース部5aにフィン5bを備えている。6〜9は前記ヒートシンク5のベース部5a上に配置されたたとえば4個のインバータユニットである。
前記集合用制御基板4は、図2に示すように、インバータユニット6〜9の個数と同じ個数である4個の制御基板10〜13を、同一基板上に配置し、スリット14で容易に分割できる構造となっている。さらに制御基板10〜13間の通信回路がパターン15で接続され、そのパターン15には、それぞれの制御基板10〜13内において、それぞれ2つのパッドからなるゼロオーム抵抗用パッド16〜19の一方のパッドが接続されるとともに、ゼロオーム抵抗が実装されている。20〜23は前記ゼロオーム抵抗用パッド16〜19と接続されるパターン15が通る連結部である。また、制御基板10のみ上位制御回路24と接続するためのコネクタ25が実装されている。26は前記集合用制御基板4と前記上位制御回路24とを接続する電線である。
多軸用モータ制御装置の製造においては、4個の制御基板10〜13を一箇所に配置することが可能な場合は、前記集合用制御基板4をそのままの状態で、前記基板支持体3上に配置することが、組立が簡単で望ましい。
【実施例2】
【0010】
4個の制御基板10〜13を一箇所にまとめて配置することができない場合は、前記集合用制御基板4から制御基板10〜13を切り離して単独用制御基板として用い、それぞれの制御基板10〜13を適切な個所に配置することができる。
図3は、本発明の第2の実施例を示すもので、図2における集合用制御基板から切り離して用いる単独用制御基板の正面図である。
前記集合用制御基板4内の制御基板10〜13を、単独用制御基板として使用する際は、図3に示すように、前記ゼロオーム抵抗用パッド16〜19へのゼロオーム抵抗を未実装にするとともに、集合用制御基板4にて未実装であったコネクタ27,28を全て実装し、かつ、前記集合用制御基板4のスリット14の連結部(つなぎ目)をカットして切り離すようにする。
前記集合用制御基板4のスリット14の連結部をカットすると、切り離された制御基板10〜13は、パターン15が切断されて、その切断面の銅箔が剥き出しになる。銅箔が剥き出しになったパターンは、時間とともに腐食が進行するが、前記ゼロオーム抵抗用パッド16〜19へのゼロオーム抵抗を未実装にしているので、腐食は、ゼロオーム抵抗用パッド16〜19の一方のパッドまででとどめることができる。
また、前記コネクタ27,28で、電線接続が可能となるので、切断されたパターン15の代わりを、コネクタ27,28にて電線接続が可能となる。
【実施例3】
【0011】
図4は、本発明の第3の実施例における集合用制御基板を示す正面図である。図5は、図4における集合用制御基板から切り離して用いる単独用制御基板の正面図である。
第1の実施例においては、前記それぞれの単独用の制御基板10A〜13A内に前記パターン15が引き込まれて、前記ゼロオーム抵抗用パッド16〜19と接続されるようにしていたが、この第3の実施例では、集合用制御基板4Aは、前記それぞれの単独用制御基板10A〜13Aの連結部20〜23を跨いだ個所に、ゼロオーム抵抗用パッド16〜19のそれぞれのパッドを配置し、前記それぞれの単独用制御基板10A〜13A外で、前記ゼロオーム抵抗用パッド16〜19と前記パターン15を接続するようにしている。
この場合、集合制御用基板4Aの複数の連結部を切り離して単独用制御基板として使用する際に、パターン15を切断することがない。したがって、集合制御用基板4Aから切り離された単独用制御基板10A〜13Aには、パターン腐食の問題が生じることがない。
【符号の説明】
【0012】
1 多軸用モータ制御装置
2 筐体
3 基板支持体
4 集合用制御基板
5 ヒートシンク
5a ベース部
5b フィン
6 インバータユニット
7 インバータユニット
8 インバータユニット
9 インバータユニット
10 制御基板
11 制御基板
12 制御基板
13 制御基板
14 スリット
15 パターン
16 ゼロオーム抵抗用パッド
17 ゼロオーム抵抗用パッド
18 ゼロオーム抵抗用パッド
19 ゼロオーム抵抗用パッド
20 連結部
21 連結部
22 連結部
23 連結部
24 上位制御回路
25 コネクタ
26 電線
27 コネクタ
28 コネクタ
30 インバータユニット
31 インバータユニット
32 インバータユニット
33 インバータユニット
34 制御基板
35 制御基板
36 制御基板
37 制御基板
38 多軸用モータ制御装置
39 4台用専用制御基板
40 多軸用モータ制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り離すことで単独用制御基板としても使用することができる複数個の単独用制御基板を、あらかじめ複数のスリット間の連結部にてつなぎ合わせて集合用制御基板を構成し、それぞれの単独用制御基板が、2つのパッドからなるゼロオーム抵抗用パッドを介してパターン接続されていることを特徴とする制御基板。
【請求項2】
前記それぞれの単独用制御基板内に前記パターンが引き込まれて、前記パターンが通る連結部の傍らで、前記ゼロオーム抵抗用パッドと接続されていることを特徴とする請求項1に記載の制御基板。
【請求項3】
前記それぞれの単独用制御基板の連結部を跨いだ個所に、ゼロオーム抵抗用パッドのそれぞれのパッドを配置し、前記それぞれの単独用制御基板外で、前記ゼロオーム抵抗用パッドと前記パターンを接続していることを特徴とする請求項1に記載の制御基板。
【請求項4】
複数の制御基板を備える多軸制御装置において、前記制御基板を、請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の制御基板で構成したことを特徴とする多軸制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−165710(P2011−165710A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23364(P2010−23364)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】