説明

制御性放出製剤および関連する方法

その内部に含まれる活性薬剤の放出特性に影響を与える幾何学構造を有する医薬品製剤および関連の方法が提供される。一態様では、経口投薬用徐放性薬物錠剤(10)は、第1の活性薬剤を有する第1の層(12)を含んでよく、第1の層(12)は2つの隣接する制御性放出層(14)の間に配置され、隣接する層(14)の少なくとも1つは、少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む。2つの隣接する層(14)は、それらが第1の層(12)の一部を覆うように配置される。経口用剤形の全体の構造および幾何学的設計に応じて、2つの隣接する層(14)は分離した層であってよく、または単一の連続層につながっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、経口投薬用制御性放出製剤、およびそれを使用して対象の様々な病状を治療する方法に関する。従って、本発明は、化学、薬学、医学、およびその他の健康科学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の症状を呈する病態に薬理学的に対処するため、または過剰投与することなく単一の症状の多大な改善をもたらすためのいずれかのメカニズムとして、薬剤併用療法が長年用いられている。複数の症状に対処するための併用療法の典型例の1つは、多くの店頭販売の風邪薬およびインフルエンザ薬に認められる。そのような薬は、プソイドエフェドリン等の鼻充血除去薬と臭化水素酸デキストロメトルファンのような鎮咳薬、およびアセトアミノフェン等の鎮痛薬/解熱剤を組み合わせることが多い。
【0003】
過剰投与を避けるため、または単一の鎮痛薬の総用量をせめて最低限に抑えることにより、副作用を潜在的に回避するまたは低下させるために、併用療法で治療されうる単一の症状の一例として疼痛が挙げられる。外傷性イベントの結果であることが多い急性疼痛は、オピオイド等の短時間作用型鎮痛薬の投与で効果的に治療されうる。しかし、慢性疼痛はその発生頻度および/または継続的な存在のため、効果的に管理するためには、短時間作用型鎮痛薬の1日に複数回の投与、または長時間作用型鎮痛薬のいずれかが必要となる。
【0004】
長時間作用型または「徐放性」製剤は、さもなければ不便な1日に複数回の投与を必要とするであろう、慢性疼痛のような多くの慢性症状の治療に望ましいことが実際に認められている。しかし、経口投薬用徐放性製剤はその設計が複雑な場合が多く、さらに、多くの単剤治療では効果的ではあるものの、薬剤併用療法を処方しようとする場合には多くの課題が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果、複数の活性薬剤を安定した方法で効果的に含むことができ、長時間にわたって効果的な薬剤併用療法を提供しうる、設計および構造が単純な徐放性製剤が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
従って、本発明は、特定の組成物と組み合わされた際に、その内部に含まれる活性薬剤の放出特性に影響を与える幾何学的構造を有する薬物錠剤を提供する。一態様では、経口投薬用徐放性薬物錠剤は、第1の活性薬剤を有する第1の層を含んでよく、第1の層は2つの隣接する制御性放出層の間に配置され、その隣接する層の少なくとも1つは、少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む。2つの隣接する層は、それらが第1の層の一部を覆うように配置される。経口用剤形の全体の構造および幾何学的設計に応じて、2つの隣接する層は分離した層であってよく、または単一の連続層につながっていてもよい。いくつかの態様では、これらの幾何学的に構造が決定された薬物錠剤は、第1および/または第2の活性薬剤部分の有無にかかわらず、機能性高分子および/または非機能性高分子を使用してさらにコーティングされうる。
【0007】
本発明の経口用製剤によって送達されうる多数の第1の活性薬剤が意図される。しかし、一態様では、第1の活性薬剤はオピオイドアゴニストであってよい。本発明の態様に従う経口用製剤によってあらゆるオピオイドアゴニストが送達されてよいが、非限定例は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アポモルフィン、アポコデイン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン(cyclorphen)、シプレノルフィン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキシアフェンチルブチレート(dioxyaphetyl butyrate)、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メチルモルフィン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オーメフェンタニル、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ホルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロファドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル(remifentanyl)、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、およびこれらの塩、異性体、ならびに組み合わせを含んでよい。
【0008】
同様に、様々な第1の活性薬剤と組み合わせて投与されてよい多数の第2の活性薬剤が意図される。しかし、一態様では、例えば第2の活性薬剤は非オピオイド鎮痛薬であってよい。そのような鎮痛薬は広く知られており、アセトアミノフェン、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、シクロオキシゲナーゼ(cyclooxegenase)阻害薬、NMDA受容体アンタゴニスト、GABA受容体アゴニスト、筋肉弛緩剤、およびこれらの組み合わせ含んでよいが、これらに限定されない。特定の一態様では、第1の活性薬剤はヒドロコドンであってよく、第2の活性薬剤はアセトアミノフェンであってよい。
【0009】
経口用製剤に追加の放出特性を与えるために各種のコーティングも利用されてよい。例えば、一態様では、徐放性製剤は、第3の活性薬剤を含む即時放出層を含んでよく、この場合第3の活性薬剤は、第1の活性薬剤および/または第2の活性薬剤と同じあるいは異なっていてよい。特定の一態様では、第1の活性薬剤はヒドロコドンであってよく、第2の活性薬剤はアセトアミノフェンであってよく、第3の活性薬剤はヒドロコドンであってよい。別の態様では、即時放出層は薬物錠剤を覆う即時放出性コーティングであってよい。
【0010】
本発明の別の態様では、長時間にわたって放出される第1の活性薬剤を有する第1の層および第1の層の一部への流体の接近を調節するように構成され、これにより第1の層からの第1の活性薬剤の放出を長時間にわたって制御する少なくとも2つの隣接する層を含む、徐放性薬物錠剤が提供されてよい。隣接する層は、第1の活性薬剤とは異なる、長時間にわたって放出される少なくとも1つの第2の活性薬剤を含んでよい。
【0011】
特定の一態様では、第1の活性薬剤はヒドロコドンであってよく、第2の活性薬剤はアセトアミノフェンであってよい。ある態様では、例えば、第1の層および少なくとも2つの隣接する層が、錠剤が対象に投与されてから約3時間以上後にTmaxヒドロコドン血清濃度をもたらすように、医薬品製剤が構成されてよい。別の態様では、第1の層および少なくとも2つの隣接する層が、錠剤が対象に投与されてから約3時間から約8時間後にTmaxヒドロコドン血清濃度をもたらすように、医薬品製剤が構成されてもよい。さらに別の態様では、第1の層および少なくとも2つの隣接する層が、錠剤が対象に投与されてから約4時間から約8時間後にTmaxヒドロコドン血清濃度をもたらすように、医薬品製剤がさらに構成されてもよい。さらなる態様では、第1の層および少なくとも2つの隣接する層が、錠剤が対象に投与されてから約4時間から約6時間後にTmaxヒドロコドン血清濃度をもたらすように、医薬製剤がさらに構成されてもよい。
【0012】
医薬品の投与を制御するための各種の方法も、本発明の一部として意図される。例えば一態様では、対象へ投与された経口投薬用製剤からの薬物の放出を制御するための方法が提供される。そのような方法は、少なくとも1つの第2の活性薬剤を有する2つの隣接する制御性放出層の間に前述の第1の層を配置することによって、錠剤内の第1の活性薬剤を含む層の対象の胃腸液への曝露を調節するステップを含んでよい。
【0013】
本発明の別の態様では、前述の製剤がアルコールに曝露された際に医薬品製剤からの活性薬剤の放出の加速を制限する方法が提供される。そのような方法は、前述の活性薬剤を含有する第1の層の一部への流体の接近を、第1の層のアルコールへの曝露を調節する少なくとも1つの隣接する層と接触するように前述の第1の層を配置することによって調節するステップを含んでよい。例えば、第1の層は2つの隣接する層の間に配置されてよく、この場合、隣接する層は、第1の層の表面積の大部分への流体の接近を制御する。さらに、いくつかの態様では、隣接する層は少なくとも1つの第2の活性薬剤を含んでよい。
【0014】
本発明のさらなる別の態様では、活性薬剤のアルコール誘発性の加速された放出を制限する薬物錠剤が提供される。そのような方法は、第1の活性薬剤を有する第1の層を含んでよく、第1の層は2つの隣接する層の間に配置され、隣接する層の少なくとも1つは、少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む。さらに、摂取された際に、アルコールが含まれる環境下において、第1の層の表面積の大部分へのアルコールの接近が2つの隣接する層によって制限されるように、2つの隣接する層が第1の層の一部を覆う。
【0015】
本発明のさらなる態様では、活性薬剤のアルコール誘発性の加速された放出を制限する薬物錠剤が提供される。そのような錠剤は、第1の活性薬剤を有する第1の層を含んでよく、第1の層は2つの隣接する層の間に配置され、隣接する層の少なくとも1つは、少なくとも1つの第2の活性薬剤を含み、第1の層の一部を覆う。さらに、そのような錠剤は、約1時間後で約30%から約50%、約2時間後で約45%から約75%、約4時間後で約80%から約100%の第1の活性薬剤のin vitro溶液への放出速度をもたらし、in vitro溶液は最大約40%のエタノールを含む。
【0016】
さらに、さらなる態様では、第1の活性薬剤を含む第1の層を含む経口投薬用徐放性薬物錠剤が提供され、第1の層は、そのうちの少なくとも1つが少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む2つの隣接する層の間に配置される。約1時間後で約30%から約45%、約2時間後で約43%から約75%、約4時間後で約80%から約100%の速度で、第1の活性薬剤の放出を制御するために、2つの隣接する層は第1の層の一部を覆ってよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による薬物錠剤の断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態による薬物錠剤の断面図である。
【図3】本発明のさらに別の実施形態による薬物錠剤の透視図である。
【図4】本発明のさらなる実施形態に従って表される錠剤の製造のプロセスフロー図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態に従って表されるデータのグラフ表示である。
【図6】本発明の別の実施形態に従って表されるデータのグラフ表示である。
【図7】本発明のさらに別の実施形態に従って表されるデータのグラフ表示である。
【図8】本発明のさらなる実施形態に従って表されるデータのグラフ表示である。
【図9】本発明のさらなる実施形態に従って表されるデータのグラフ表示である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に従って表されるデータのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
重要語句の定義
本発明を説明し特許請求を行う上で、下記で説明される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0019】
単数形「ある」および「その」は、明らかな別段の記載がない限り、複数の支持対象を含む。故に、例えば、「ある薬物」への言及は、1つ以上のそのような薬物への言及を含み、「ある賦形剤」への言及は、1つ以上のそのような賦形剤への言及を含む。
【0020】
本明細書で用いられる場合、語句「製剤」および「組成物」は同じ意味で用いられ、2つ以上の化合物、成分、または分子の混合物を意味する。いくつかの態様では、語句「製剤」および「組成物」は、1つ以上の活性薬剤と担体またはその他の賦形剤の混合物を意味するために用いられてよい。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「活性薬剤」、「生物活性薬剤」、「薬学的に活性な薬剤」、および「医薬品」は、有意な量または効果的な量で対象に投与された際、測定可能な特定のまたは選択された生理活性を有する、薬剤または物質を意味するために同じ意味で用いられてよい。多くの薬物およびプロドラッグは特定の生理活性を有することが知られているため、語句「薬物」が本定義に明確に含まれることが理解されるべきである。これらの専門用語は、薬学分野および医薬品分野で周知である。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「第1の活性薬剤」、「第2の活性薬剤」、および「第3の活性薬剤」は、本発明の態様に従う製剤に含まれる活性薬剤を意味する。第2の活性薬剤は第1の活性薬剤と異なっていなければならないことが理解される必要がある。さらに、第3の活性薬剤は第1および第2の活性薬剤の両方と異なっていてよく、または第3の活性薬剤は第1もしくは第2の活性薬剤のいずれかと同じであってよい。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「間」は、少なくとも2つの側面で、隣接する層によって境界される領域内に位置する第1の層を意味する。2つの隣接する層の「間」に位置する第1の層が、第1の層が隣接する層と直接接触する状態および第1の層が隣接する層の1つ以上と直接接触しない状態を含むことが理解される必要がある。
【0024】
本明細書で用いられる場合、「制御性放出」は、即時型の薬物放出から改変された、任意の形態の薬物放出を意味する。制御性放出の非限定例には、持続放出、遅延放出、パルス型放出等が含まれる。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「対象」は、本発明の薬組成物の投与または方法からベネフィットを得られる可能性がある哺乳動物を意味する。対象の例にはヒトが含まれ、ウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ、および水生哺乳動物等のその他の動物も含まれてよい。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「血液レベル」は、血液血漿濃度、血漿レベル、血漿濃度、血清レベル、血清濃度、血液血清レベル、および血液血清濃度のような語句と入れ替えて用いられてよい。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「経口用剤形」などは、経口投与経路で対象へ投与できる状態になっている製剤を意味する。既知の経口用剤形の例には、錠剤、カプセル剤、カプレット、散剤、植込用錠剤、顆粒剤等が含まれるがこれらに限定されない。そのような製剤は、任意の層が異なる薬物に相当してもよい多層錠も含む。いくつかの態様では、散剤、植込用錠剤、および顆粒剤は、例えば消化管内での安定性をさらに高めるため、または所望の放出速度を得るために、適当なポリマーまたは従来のコーティング材でコーティングされてよい。さらに、散剤、植込用錠剤、または顆粒剤を含有するカプセル剤がさらにコーティングされてよい。錠剤およびカプレットには、投薬量の分割を容易にするために割線が入れられてよい。あるいは、本発明の剤形は単位剤形であってよく、この場合、剤形は投与ごとに1つの治療用量を送達することを目的としている。
【0028】
本明細書で用いられる場合、薬物の「効果的な量」または「治療上効果的な量」は、無毒であるが、その薬物が効果的であることが知られている病態の治療において治療結果を達成するのに十分な量の薬物を意味する。ある物質がその目的とする役割を果たす能力に、各種の生物学的因子が影響を与える可能性があることが理解される。従っていくつかの例では、「効果的な量」または「治療上効果的な量」はそのような生物学的因子に依存していてよい。さらに、治療効果の達成は、医師またはその他の有資格医療従事者によって、当該技術分野で既知の評価を用いて判定されてよいが、個体間の差および治療への反応によって治療効果の達成が幾分主観的な判断となりうることが理解される。効果的な量の決定は、薬学および医学分野の通常の技術の範囲に十分に含まれる。例えば、参考として本明細書で援用される、Meiner and Tonascia,“Clinical Trials:Design,Conduct,and Analysis,”Monographs in Epidemiology and Biostatistics,Vol.8(1986)を参照されたい。
【0029】
本明細書で用いられる場合、「薬学的に許容される担体」および「担体」は入れ替えて用いられてよく、実質的に生物学的活性を持たず、製剤のかなりの部分を構成する、任意の不活性で薬学的に許容される材料を意味する。
【0030】
語句「混合された」は、担体中に薬物および/もしくはその他の原料が溶解、分散、または懸濁されうることを意味する。いくつかの例では、薬物は担体中に均一に混合されてよい。
【0031】
本明細書で用いられる場合、語句「実質的に」は、完全またはほぼ完全な程度もしくは度合いの作用、特徴、特性、状態、構造、品目、または結果を意味する。例えば、「実質的に」囲まれた対象物は、その対象物が完全に囲まれているかまたはほぼ完全に囲まれているかのいずれかを意味するものである。いくつかの例では、絶対的な完全性からの厳密な許容可能な逸脱度は、特定の文脈によって決められてよい。しかし、一般的に言えば、完全性に近いということは、あたかも絶対的かつ全面的な完全性が得られたかのような、同一の総合的な結果を生じるものとなる。作用、特徴、特性、状態、構造、品目、もしくは結果の完全な、またはほぼ完全な欠如を意味するために否定的な意味合いで使用される場合、「実質的に」が同様に使用可能である。例えば、粒子を「実質的に含まない」組成物は、完全に粒子を欠くか、または完全に粒子を欠く場合煮えられる効果が同様になるようほぼ完全に粒子を欠くかのいずれかである。換言すれば、ある原料または成分を「実質的に含まない」組成物は、それらの測定可能な効果が存在しない限り、そのような品目を実際に含んでいてもよい。
【0032】
本明細書で用いられる場合、語句「約」は、任意の値がエンドポイントを「わずかに上回って」または「わずかに下回って」もよいと定めることによって、数値域のエンドポイントに柔軟性を提供するために使用される。
【0033】
本明細書で用いられる場合、複数の品目、構造成分、組成要素、および/または材料が、便宜上共通のリストに提示されてよい。しかし、これらのリストは、あたかもそのリストの各メンバーが、別々で唯一のメンバーとして個々に特定されるかのように解釈される必要がある。従って、反対の記載なしに、そのようなリストの個々のメンバーは、それらが共通グループに提示される点のみ基づいて、同じリストの他の任意のメンバーと事実上同等のものとして解釈されるべきではない。
【0034】
濃度、量、およびその他の数値データは、本明細書において範囲形式で表示または提示されてよい。そのような範囲形式は、便宜上および簡潔さのために使用されているに過ぎず、従って、範囲の限界として明確に列挙された数値だけを含むのではなく、それぞれの数値および部分的な範囲があたかも明確に列挙されているかのように、その範囲に含まれる全ての個々の数値または部分的な範囲も含むと柔軟に解釈される必要があることが理解される。例として、「約1から約5」という数値域は、約1から約5という明確に列挙された数値だけを含むのではなく、示された範囲に含まれる個々の値および部分的な範囲も含むと解釈される必要がある。故に、この数値域に含まれるのは、2、3、および4のような個々の値、ならびに1〜3、2〜4、および3〜5等の部分的な範囲だけでなく、1、2、3、4、および5が個々に含まれる。
【0035】
この同様の原理は、ただ1つの数値を最小値または最大値として列挙している範囲にも適用される。さらに、そのような解釈は、範囲の幅または説明されている特性にかかわらず適用される必要がある。
【0036】
詳細な説明
本発明は、そのうちの少なくとも1つが、延長されたまたは持続した時間にわたって投与される、2つ以上の活性薬剤を投与するための経口用剤形を含む。いくつかの態様では、そのような経口用剤形は、異なる活性薬剤を含む複数の薬物層を有してよい。経口用剤形のある薬物層からのある活性薬剤の放出速度は、消化管の水性環境に曝露される薬物層の表面積の割合に依存する場合が多い。このことは、水性環境によってマトリックスが膨潤する(すなわち水和する)および侵食されるのに伴って活性薬剤が放出される、膨潤性/侵食性のマトリックスを有する薬物層に特に当てはまる。薬物層の表面積の一部の消化管環境への曝露を、例えば別の薬物を含む層でそれを覆うことによって物理的に制御することで、覆われた層の侵食および/または膨潤速度が制御されてよく、結果として、その内部に含まれる薬物の放出が制御されてよい。換言すれば、覆われた層に含まれる薬物の放出速度は、その層の露出表面積の量に比例する。従って、露出表面積の量が一定のままならば、覆われた層からの薬物の放出速度は比較的一定のままである。故に、薬物を含有する層の露出表面積を制御することによって、薬物の放出速度が制御されてよい。1つまたは複数の制御層が膨潤するにつれて、水和した層に含まれる薬物の拡散が増加し、放出のための表面積が増加し、層が侵食されるのに従って薬物の拡散距離が減少する。さらに侵食されると、その時点では水性環境に直接曝露されている薬物層の表面積も同様に効果的に増大する。このようにして、これらの複合効果が、覆われた層に含まれる活性薬剤の放出を増加させてよい。隣接する層に含まれる任意の第2の活性薬剤は、下にある薬物層の大部分が露出する前および露出中に放出され、こうして効果的な併用療法が達成されうる。
【0037】
本発明の医薬組成物は、組成物中に含まれる活性薬剤の少なくとも1つの持続放出をもたらすように配置された個別の薬物層を含めることによって、併用薬物治療を提供するように設計される。ここで図1を参照すると、薬物錠剤10が第1の活性薬剤を含有する第1の層12を含んでよい、本発明の一態様が示される。第1の層12はさらに、少なくとも1つの第2の活性薬剤を含有する2つの隣接する層14の間に配置される。2つの隣接する層14が第1の層12の一部を覆うように配置することによって、隣接する層14の侵食または膨潤によって第1の層12の覆われた部分16が水性環境に曝露されるまで、その部分に水溶液が直接接触するのが妨げられる。そのような曝露は、第1の層の全ての表面積にわたって同時に起こってもよいし、そうでなくてもよいことに留意すべきである。同様に、効果的な曝露とその後に起こる第1の層の覆われた部分からの第1の活性薬剤の放出は、隣接する層の完全な侵食の前に、これらの層が水溶液によって膨潤するにつれて起こってよい。隣接する層のそれぞれが、必ずしも同じ速度で膨潤または侵食されなくてもよく、故に第1の活性薬剤は、一方の遮断されたまたは阻まれた表面から、もう一方に比べてより早く放出されてよいことにも留意すべきである。
【0038】
一実施形態では、2つの隣接する層14が、第1の層12の表面積の一部のみを覆い、従って製剤は覆われていない部分18を含んでよいことを目的とする。このようにして、水性環境への曝露と同時に、覆われていない部分18から第1の活性薬剤が放出し始めてよい。特定の態様では、隣接する層14の侵食に先立って、錠剤の覆われていない部分18を介して第1の活性薬剤が最初に放出されることを目的とする。この構造によって、第1の層12の露出表面積を一定にし、こうして一定およびほぼ0次放出状態に潜在的に近づけることが可能となる。他の態様では、覆われていない部分18からの第1の活性薬剤の放出は、覆われた部分16が露出するまで比較的一定の速度で起こってよく、その後、第1の活性薬剤の放出速度は第1の層12の露出表面積の割合に応じて増加する。
【0039】
さらに、隣接する層14は、同じ第2の活性薬剤をそれぞれ含有してよい、または異なる活性薬剤をそれぞれ含有してよい。隣接する層に含まれてよい活性薬剤の非限定例は本明細書でさらに説明される。さらに、医薬組成物は、本明細書で説明されるように外層コーティングをさらに含んでよい。外層コーティングは、第1もしくは第2の活性薬剤と同じ活性薬剤、または第1および第2の活性薬剤と異なる活性薬剤を含んでよい。
【0040】
本発明の医薬組成物は、少なくとも2つの活性薬剤および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含んでよい。活性薬剤および薬学的に許容される担体は、これまで述べたように第1の層および少なくとも2つの隣接する層に配置されてよい。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤も含んでよい。医薬組成物はまた、円形、楕円形、長方形、三角形、多角形、四角形等をはじめとする多種多様な形で提供されうる。組成物は様々な大きさで作製されてもよい。一態様では、錠剤は、約0.1インチから約1.2インチの大きさであってよい。別の態様では、錠剤の大きさは約0.2インチから約1.0インチの範囲であってよい。さらに別の態様では、錠剤の大きさは約0.4インチから約0.8インチの範囲であってよい。各種カプレットの寸法も意図される。例えば一態様では、カプレットは幅が約0.1インチから約0.6インチ、長さが約0.2インチから約1.2インチであってよい。別の態様では、カプレットは幅が約0.2インチから約0.4インチ、長さが約0.6インチから約0.9インチであってよい。
【0041】
さらに、各種の層は、医薬品製剤に有用と思われる任意の厚さをとることができる。例えば一態様では、第1の層または隣接する層のうちの1つのいずれかは、約0.05インチから約0.5インチの厚さであってよい。別の態様では、第1の層または隣接する層のうちの1つのいずれかは、約0.05インチから約0.3インチの厚さをとりうる。さらに別の態様では、第1の層または隣接する層のうちの1つのいずれかは、約0.075インチから約0.125インチの厚さをとりうる。
【0042】
多数の異なる第1の層の構造が意図される。従って、第1の層は、様々な放出プロファイルで第1の活性薬剤を放出するように構成されうる。摂取時、第1の層からの放出は、露出表面積、すなわち隣接する層によって阻まれていない領域に限定される。従って、第1の層からの第1の活性薬剤の最初の放出速度は、特定の経口用剤形における第1の層の露出表面積の割合と、液体吸収によるその層の水和化特性によって決まる。隣接する層が崩壊および/または膨潤し始めるにつれ、第1の層の遮断された表面積に液体が接触し始め、露出表面積に比例して第1の活性薬剤の放出速度が加速する。しかし、第1の層内部に持続放出性材料を使用することで、第1の活性薬剤の放出特性がさらに改変されてよい。このようにして、初めは隣接する層の妨害作用によって、次に第1の層を含むマトリックスの任意の徐放特性、侵食速度、および第1の活性薬剤の溶解度によって、第1の活性薬剤の放出速度が制御されてよい。様々な放出プロファイルが達成されてよいが、一態様では、製剤からの第1の活性薬剤の放出は比較的一定の速度で起こってよい。そのような一定の放出速度は、第1の活性薬剤の放出期間の大部分を通じて未変化のままである隣接する層を、製剤中に使用することによって達成されてよい。そのような製剤は比較的一定の放出速度を維持してよく、いくつかの態様では、放出期間の大部分を通じて、周辺端部付近のみで第1の層が露出している。
【0043】
複数の医薬品の層を特定の配列に配置することによって、層の相対配向に依存する持続型放出方式で、各種の活性薬剤が経口用製剤から放出されうる。前述のように、これは、特定の層が別の層を覆うように配置することで、覆われた層の摂取後の水への曝露を最小限に抑えることによって達成されてよい。従って、異なる放出プロファイルを持つ複数の活性薬剤が同じ医薬製剤中に提供されうる。これは、相乗的に増強するかどうかにかかわらず、相前後して作用することを目的とする薬物の組み合わせに特に効果的でありうる。
【0044】
第1の層と隣接する層の物理的な相対的配向に加えて、各種の層の侵食速度が医薬品の組み合わせの放出プロファイルに寄与する可能性がある。例えば、隣接する層がよりゆっくりと侵食されるように処方することによって、医薬品の組み合わせはより長いTmaxをもたらし、従って第1の活性薬剤の持続型放出を延長する。あるいは、隣接する層がより迅速に侵食されるように処方することによって、医薬品の組み合わせはより短いTmaxをもたらし、従って第1の活性薬剤の持続型放出を短縮する。同様に、第2の活性薬剤および第1の活性薬剤の両方の放出を短縮または延長するために、隣接する層の侵食速度が利用されうる。
【0045】
第1の層および隣接する層の相対的な侵食速度は、特定の放出特性を提供するように選択されてよい。例えば、一態様では、第1の層および隣接する層の侵食速度は同じであってよい。別の態様では、隣接する層は第1の層よりも速い速度で侵食されてよい。さらに別の態様では、隣接する層は第1の層よりも遅い速度で侵食されてよい。さらに、隣接する層が互いに異なる速度で侵食されてよいことが意図される。例えば一態様では、第1の層の侵食速度よりも速い、異なる速度で隣接する層のそれぞれが侵食されてよい。別の態様では、第1の層の侵食速度より遅い、異なる速度で隣接する層のそれぞれが侵食されてよい。さらに別の態様では、1つは第1の層の侵食速度より速く、1つは第1の層の侵食速度より遅い異なる速度で、隣接する層のそれぞれが侵食されてよい。さらなる態様では、1つの隣接する層は第1の層と同じ速度で侵食されてよく、1つの隣接する層は第1の層と異なる速度で侵食されてよい。
【0046】
各種の層が水和するにつれ、それぞれの水和した層による侵食と拡散を通じて薬物の放出が起こる。水和化の度合いと、水和した層内部のそれぞれの薬物の溶解度が薬物の放出に影響を与える。従って、第1および第2の活性薬剤の放出速度は、活性薬剤のそれぞれの溶解度による影響を受けてよい。消化管内の水性環境中である活性薬剤がどれだけ溶解するかは、持続放出の経時変化を決定する一因子である。さらに、第2の活性薬剤の溶解度は、第1の層の阻まれた部分がどの程度迅速に露出されるかを決定し、両活性薬剤の放出の経時変化をある程度決定する。
【0047】
従って、第1の層と隣接する層の相対的空間関係、層の水和化および侵食速度、層の圧縮度、および活性薬剤の溶解度等の様々な因子が、第1および第2の活性薬剤双方の放出期間を決定してよい。第1の活性薬剤の持続型放出の様々な期間が意図される。例えば一態様では、医薬組成物は、少なくとも4時間にわたって第1の活性薬剤の放出をもたらしてよい。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも8時間にわたって第1の活性薬剤の放出をもたらしてよい。さらに別の態様では、医薬組成物は、少なくとも12時間にわたって第1の活性薬剤の放出をもたらしてよい。さらなる態様では、医薬組成物は、少なくとも24時間にわたって第1の活性薬剤の放出をもたらしてよい。さらに、さらなる態様では、医薬組成物は、少なくとも36時間にわたって第1の活性薬剤の放出をもたらしてよい。
【0048】
上述のように、本発明の各種の態様では、第2の活性薬剤は持続型放出として提供されてよい。そのようなものとして、幅広い範囲の放出特性が意図される。例えば一態様では、医薬組成物は、少なくとも3時間にわたって第2の活性薬剤の放出をもたらしてよい。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも6時間にわたって第2の活性薬剤の放出をもたらしてよい。さらに別の態様では、医薬組成物は、少なくとも12時間にわたって第2の活性薬剤の放出をもたらしてよい。さらなる態様では、医薬組成物は、少なくとも18時間にわたって第2の活性薬剤の放出をもたらしてよい。
【0049】
上述のように、第1の層の一部への流体の接近を物理的に遮断することによって、第1の活性薬剤が放出されうる表面積を制御するために、本発明の医薬組成物の隣接する層が利用されてよい。隣接する層は、様々な期間にわたって侵食されるように選択されてよい。従って、隣接する層は、経口用剤形の摂取後の特定の期間内において第1の活性薬剤の持続型放出速度に影響を与えるように設計されてよく、その期間中に、層が侵食されるに従って隣接する層は少なくとも1つの第2の活性薬剤を放出してよい。少なくとも1つの第2の活性薬剤を放出するために、およびそこからの第1の活性薬剤の持続型放出に影響を与えるよう第1の層に十分な遮断を提供するために、隣接する層の多くの構造が意図される。その部分に持続型放出材料を加えることによって、または隣接する層のより迅速な侵食を可能にする材料を加えることによって、隣接する層の侵食速度をさらに変化させてよい。
【0050】
本明細書で開示される経口用製剤および各種の層は、本発明の各種の態様に従う相対的配列を持つ層を有するように製剤が構成されるのであれば、当業者に既知の任意の手段、例えば圧縮、成型等を用いて形成されてよい。経口用固形剤形の作製の一般的な方法は、参考として本明細書で援用される、Remington,supra,Chapter45に記載されている。
【0051】
本発明の態様に従う経口用徐放製剤から送達されてよい多数の活性薬剤が意図される。故に、製剤は特定の分類に限定されず、長時間にわたって送達されうる少なくとも2つの活性薬剤の任意の組み合わせを含んでよい。活性薬剤の組み合わせが、関連作用または非関連作用を有してよいことが意図される。いくつかの例では、活性薬剤の組み合わせの作用が相乗的に増強してよい。当業者に既知の任意の薬物の組み合わせが、本発明の態様に従う経口投薬用製剤によって一緒に送達されてよい。薬物の主要な分類の例は、鎮痛薬、風邪薬および副鼻腔投薬、心臓の薬、血圧の薬、脂肪調節薬、セロトニン再摂取阻害剤等の神経化学的モジュレータ、抗生物質、抗ウイルス薬、および徐放性製剤として有利に投与されうるその他任意の薬剤を含んでよいがこれらに限定されない。
【0052】
さらに、活性薬剤の各種の組み合わせは、本発明の態様に従う有用な医薬組成物を提供するために一緒に処方されてよい。そのような組み合わせの例は、複数の鎮痛薬、鎮痛薬と抗炎症薬、抗ヒスタミン剤と充血除去剤、鎮痛薬と抗ヒスタミン剤または充血除去剤、鎮痛薬と解熱剤、オピオイド鎮痛薬と嘔吐抑制剤、筋肉弛緩剤とGABA受容体アゴニストなどの組み合わせを含んでよいがこれらに限定されない。
【0053】
徐放性送達によって対象にベネフィットをもたらしうる活性薬剤の分類の1つには、鎮痛用化合物が含まれる。一般的に、即時放出型鎮痛薬は頻繁に摂取されなければならず、睡眠中の治療効果が低下する傾向にある。徐放性鎮痛薬は、投薬頻度の低下と睡眠時間を延長できることから対象にとって非常に有用な可能性がある。そのようなものとして、長時間にわたる疼痛の治療的緩和をもたらすために、少なくとも2つの鎮痛薬の組み合わせが本発明の態様に従って投与されうる。
【0054】
本発明の一態様では、経口用製剤の活性薬剤の少なくとも1つはオピオイドアゴニストを含んでよい。オピオイドアゴニストの例は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アポモルフィン、アポコデイン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン(cyclorphen)、シプレノルフィン、デソモルフィン、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキシアフェンチルブチレート(dioxyaphetyl butyrate)、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メチルモルフィン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オーメフェンタニル、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ホルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロファドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル(remifentanyl)、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、およびこれらの塩または組み合わせ含んでよいがこれらに限定されない。様々なオピオイドアゴニストは1つ以上の不斉中心を含んでよく、従ってエナンチオマー、ジアステレオマー、およびその他の立体異性体を生じる。本発明はまた、そのような全ての起こりうる形態ならびに、それらのラセミ体および分解形態およびそれらの混合物を包含するものである。本明細書で説明される化合物がオレフィン二重結合またはその他の幾何学的非対称中心を含み、また別段の記載がない限りは、EおよびZ両方の幾何学的異性体を含むことを目的としている。全ての互変異性体も本発明に含まれることを目的としている。
【0055】
一態様では、経口用製剤は、ヒドロコドンのような少なくとも1つのオピオイドアゴニストを含んでよい。ヒドロコドンは塩として製剤に含まれてもよい。適当なヒドロコドンの薬学的に許容される塩には、ヒドロコドン酒石酸水素塩、ヒドロコドン酒石酸水素塩水和物、ヒドロコドン塩酸塩、ヒドロコドンp‐トルエンスルホナート、ヒドロコドンホスファート、ヒドロコドンチオセミカルバゾン、ヒドロコドンスルファート、ヒドロコドントリフルオロアセテート、ヒドロコドンヘミペンタヒドラート、ヒドロコドンペンタフルオロプロピオナート、ヒドロコドンp‐ニトロフェニルヒドラゾン、ヒドロコドンo‐メチルオキシム、ヒドロコドンセミカルバゾン、ヒドロコドンヒドロブロミド、ヒドロコドンムケート、ヒドロコドンオレアート、ヒドロコドンホスファート二塩基、ヒドロコドンホスファート一塩基、ヒドロコドン無機塩、ヒドロコドン有機塩、ヒドロコドンアセテート三水和物、ヒドロコドンビス(ヘプタフルオロブチレート)、ヒドロコドンビス(メチルカルバマート)、ヒドロコドンビス(ペンタフルオロプロピオナート)、ヒドロコドンビス(ピリジンカルボキシラート)、ヒドロコドンビス(トリフルオロアセテート)、ヒドロコドンクロルヒドラート、およびヒドロコドンスルファート五水和物が含まれる。特定の一態様では、オピオイドアゴニストはヒドロコドン酒石酸水素塩であってよい。
【0056】
あらゆる徐放性オピオイドアゴニスト製剤に発生する可能性がある問題の1つは、薬物乱用である。徐放性の経口用製剤を粉砕または噛み砕くことによって、高濃度のオピオイドアゴニストが直ちに放出されうる。そのような行為を防止するために、封入型オピオイドアンタゴニストが製剤に加えられてよい。そのような錠剤が粉砕または噛み砕かれた場合、対象の体内のオピオイド受容体と競合するために、オピオイドアンタゴニストがオピオイドアゴニストとともに放出され、これによってアゴニストの効果を低下させる。オピオイドアンタゴニストの例には、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナロキソンメチオジド、ナロルフィン、ナロキソナジン、ナリド(nalide)、ナルメキソン、ナルブフィン、ナロルフィンジニコチナート、ナルトリンドール、ナルトリンドールイソチオシアネート、ナルトリベン、ノルビナルトルフィミン、b−フナルトレキサミン、BNTX、シプロジム等が含まれるがこれらに限定されない。
【0057】
鎮痛活性薬剤は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)化合物も含んでよい。NSAIDは、投与後に、鎮痛、解熱、および抗炎症作用を対象にもたらしうる薬物である。多くのNSAIDは、酵素シクロオキシゲナーゼの非選択的阻害剤として作用し、シクロオキシゲナーゼ‐1(COX‐1)およびシクロオキシゲナーゼ‐2(COX‐2)酵素の両方を阻害し、アラキドン酸生化学的経路を通じて効果を発揮する。有用なNSAIDの例は、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサル、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン(flubufen)、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン(piroprofen)、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン(pramoprofen)、ムロプロフェン(muroprofen)、トリオキサプロフェン(trioxaprofen)、スプロフェン、アミノプロフェン、ケトロラク、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシン酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナック、オキシオピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルニサル(diflurisal)、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカム、またはイソキシカムなどを含んでよいがこれらに限定されない。そのような非ステロイド性抗炎症薬は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えばセレコキシブ(SC‐58635)、DUP‐697、フロスリド(CGP‐28238)、メロキシカム、6‐メトキシ‐2‐ナフチル酢酸(6‐MNA)、VIOXX(登録商標)(MK‐966)、ナブメトン(6‐MNAのプロドラッグ)、ニメスリド、NS‐398、SC‐5766、SC‐58215、およびアマンタジン(1‐aminoadamantine)としてのT‐614、メマンチン(3,5dimethylaminoadamantone)、それらの混合物およびそれらの薬学的に許容される塩も含む。
【0058】
有用な鎮痛薬は、特定のCOX‐2阻害剤も含んでよい。多くのNSAIDのシクロオキシゲナーゼ(cyclooxegenase)‐2酵素に対する阻害作用のために、NSAIDおよびCOX‐2阻害剤の両方に分類される特定の化合物が存在する可能性があることに留意すべきである。そのようなものとして、特定のクラスへの化合物の分類は、限定するものとして見なされるべきではない。COX‐2阻害剤の非限定例は、バルデコキシブ(BEXTRA(登録商標))、セレコキシブ(SC‐58635;CELEBREX(登録商標))、DUP‐697、フロスリド(CGP‐28238)、メロキシカム、6‐メトキシ‐2ナフチル酢酸(6‐MNA)、MK‐966(VIOXX(登録商標))、ナブメトン(6‐MNAのプロドラッグ)、ニメスリド、NS‐398、SC‐5766、SC‐58215、T‐614等を含んでよい。アセトアミノフェン等のシクロオキシゲナーゼ‐3(COX‐3)阻害剤も当該技術分野で報告されており、本発明の徐放性剤形に加えるのに有用な化合物である可能性がある。
【0059】
疼痛の治療的緩和をもたらすために、N‐メチル‐D‐アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストも本発明の徐放性製剤に加えられてよい。非限定例は、デキストロルファン、デキストロメトルファン、ケタミン、アマンタジン、メマンチン、エリプロジル、イフェンプロジル、ジゾシルピン、レマセミド、イアモトリギン(iamotrigine)、リルゾール、アプチガネル、フェンシクリジン、フルピルチン、セルフォテル(celfotel)、フェルバメート、スペルミン、スペルミジン、レベモパミル、APV、およびこれらの薬学的に許容される塩、エステル、代謝前駆体、または組み合わせを含んでよい。
【0060】
抗不安作用、抗けいれん作用など様々な治療効果をもたらすために、ガンマアミノ酪酸(GABA)アゴニストも本発明の徐放性製剤に加えられてよい。GABAアゴニストの例は、アベルメクチン、例えばドラメクチン、セラメクチン、およびイベルメクチン、バルビツール酸系化合物、ビククリン、ベンゾジアゼピン、バクロフェン、カンナビノイド(cannibinoid)、カルバマゼピン、シクロピロロン誘導体、例えばエスゾピクロンおよびゾピクロン、エタノール、ガバペンチン、ガバジン、ガンマ‐ヒドロキシ酪酸塩(GHB)、イミダゾピリジン、例えばザレプロンおよびゾルピデム、ムスシモール、フェニトイン、ピクロトキシン、プロガビド、プロポフォール、ツジョン、バルプロエート、およびこれらの薬学的に許容される塩、エステル、代謝前駆体、または組み合わせを含んでよいがこれらに限定されない。
【0061】
経口的に投与される鎮痛活性薬剤の量は、複数の異なるパラメータに従って測定されてよい。一態様では、投与される鎮痛薬の量は、治療効果を得るのに十分な量である。治療効果を得るために必要な量は、選択された特定の鎮痛活性薬剤の活性または有効性だけでなく、薬物耐性および全身代謝の問題に関しては対象間の生理的変動等多くの因子に応じて変化してよい。薬物間の補助的効果または相乗的効果に起因して、鎮痛活性薬剤の特定の組み合わせは、投与されるそれぞれの量にも影響を与えてよい。一態様では、行動的変動が、治療効果のある種の指標をもたらしうる。そのようなものとして、ある対象に対する治療上効果的な鎮痛活性薬剤の投薬量を決定することは、当業者の知識の範囲に十分に含まれ、また本開示を考慮したものである。
【0062】
本発明の特定の一態様では、ヒドロコドンを含む徐放性の第1の層、アセトアミノフェンを含有する2つの徐放性の隣接する層、およびヒドロコドンを含む即時放出性の外層を有する医薬品製剤が提供される。一態様では、即時放出性の外層は、薬物錠剤を実質的に覆う即時放出性の外層コーティングであってよい。そのような製剤は、疼痛の迅速な緩和を目的とした摂取時のヒドロコドンの即時放出と、アセトアミノフェンの持続放出、その後、長時間の疼痛の緩和を目的としたヒドロコドンの持続放出をもたらす。より具体的には、摂取直後、迅速な疼痛の緩和を対象にもたらすために、製剤の外層コーティングがヒドロコドンの即時放出を開始する。外層コーティングの侵食に伴って、アセトアミノフェンを含む隣接する層およびヒドロコドンを含む第1の層の一部が露出する。そのような露出に続いて、アセトアミノフェンが隣接する層から放出され、第1の層の露出部分からヒドロコドンの一部が放出される。第1の層から放出されるヒドロコドンの量は、その層の露出表面積の量に比例してよい。隣接する層が拡大し崩壊するにつれ、第1の層の表面積がさらに水性液体に露出するため、そこから放出されるヒドロコドンの量が増加する。
【0063】
本発明の態様に従う経口用製剤において各種用量のヒドロコドンが用いられてよい。例えば一態様では、ヒドロコドンは約1mgから約40mgの量で存在してよい。別の態様では、ヒドロコドンは約2mgから約25mgの量で存在してよい。さらに別の態様では、ヒドロコドンは約5mgから約20mgの量で存在してよい。同様に、本発明の態様に従う経口用製剤において各種用量のアセトアミノフェンが用いられてよい。例えば一態様では、アセトアミノフェンは約50mgから約1500mgの量で存在してよい。別の態様では、アセトアミノフェンは約100mgから約700mgの量で存在してよい。さらに別の態様では、アセトアミノフェンは約200mgから約500mgの量で存在してよい。
【0064】
本発明の態様に従う第1の層および隣接する層に多数の薬学的に許容される担体が利用されうる。侵食速度、活性薬剤との適合性、またはその他任意の有用な基準から、特定の担体が選択されてよい。担体の例は、乳糖、デンプン、ショ糖、ブドウ糖、デキストロース、カオリン、微結晶セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、ゴム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、タルク、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシアルキルセルロースなど、およびこれらの組み合わせを含んでよいがこれらに限定されない。
【0065】
隣接する層および第1の層へ添加するための各種の膨潤性および/または侵食性ポリマーが意図される。特定の膨潤および/または侵食速度を達成するために、特定のポリマーまたはポリマーの組み合わせが選択されてよい。そのようなポリマーの非限定例は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド‐co‐グリコリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸‐co‐グリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセチル(polyacetyl)、ポリシアノアクリレート、ポリエーテルエステル、ポリジオキサノン、ポリアルキレンアルキレート、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルの共重合体、生体分解性ポリウレタン、ヒドロゲル、これらの混合物および共重合体を含んでよい。さらなる非限定例は、高分子量の水溶性高分子、例えばポリエチレンオキシド、および、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロースを含むセルロース系ポリマー誘導体、さらには、非セルロース系材料、例えばマルトデキストリン、ポリビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ゼラチン、グアーを含む天然ゴム、これらのポリマーが軽度に架橋したもの、デンプン、澱粉グラフト共重合体なども含んでよい。
【0066】
本発明の徐放性製剤は、各種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでよい。ある製剤用の特定の賦形剤の選択は、用いられる活性薬剤、製剤の各種の層の物理的形状、徐放性効果の経時変化、およびその他の因子に依存してよい。賦形剤の非限定例は、ブドウ糖、乳糖、天然の糖類(例えばショ糖、ブドウ糖、またはコーン甘味料、ソルビトール)、天然および合成ゴム(例えばアカシアゴム、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、およびアラビアガム、ゼラチン、マンニトール、デンプン(例えばデンプン糊)、トウモロコシデンプン、またはバレイショデンプン、)三ケイ酸マグネシウム、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス類、グリセリン、ならびに、とりわけ生理食塩水を含んでよい。
【0067】
本発明の徐放性製剤は、少なくとも1つの付着防止剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、潤沢剤、または医薬品製剤に用いられることが知られているその他の原料も含んでよい。
【0068】
付着防止剤は、打錠時に、杵および臼に固形の投薬用製剤の原料が付着するのを防ぐ物質を含んでよい。そのような化合物には、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、PEG、水素化植物油、鉱油、ステアリン酸等が一例として含まれるがこれらに限定されない。
【0069】
結合剤は、製剤からの活性薬剤の制御性放出特性にさらに寄与する賦形剤を含んでよい。結合剤は、固形の投薬用製剤において粉末粒子の結合をもたらすために使用される物質を含んでよい。そのような化合物には、アカシア、トラガカント、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、圧縮糖(例、NuTab)、ブドウ糖、コーン甘味料、エチルセルロース、ゼラチン、アルブミン、コラーゲン、液状ブドウ糖、メチルセルロース、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン‐ポリプロピレン共重合体、ポリエチレンエステル、ポリエチレンソルビタンエステル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ワックス類、ポロキサマー(例、PLURONIC(登録商標)F68、PLURONIC(登録商標)F127)、ポビドン、イオン交換樹脂(例えば架橋アクリル酸およびスチレン系イオン交換樹脂)、およびアルファ化デンプン、ならびに当該技術分野で既知のその他の材料が一例として含まれるがこれらに限定されない。
【0070】
崩壊剤は、固体塊が、より容易に拡散または溶解する小さな粒子に粉砕するのを促進するため、固形剤形において使用される化合物を含む。典型的な崩壊剤は、デンプン(例えばトウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、それらのアルファ化および加工デンプン、甘味剤、粘土(例えばベントナイト)、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、セルロースポリアクリルカリウム(cellulose polyacrilin potassium)、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ゴム、カンテン、グアー、ローカストビーン、カラヤ、キサンタン、ペクチン、トラガカント、カンテン、ベントナイト、ポリビニルピロリドン、これらの組み合わせ、および当該技術分野で既知のその他の材料を含んでよいがこれらに限定されない。
【0071】
流動促進剤は、固体塊の流動性を促進するために固形の投薬用製剤において使用される物質である。例えば、そのような化合物は、コロイダルシリカ、トウモロコシデンプン、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状ケイ素(colloidal silicon)、第三リン酸カルシウム、シリコンヒドロゲル、これらの組み合わせ、および当該技術分野で既知のその他の材料を含んでよいがこれらに限定されない。
【0072】
潤沢剤は、圧縮時の摩擦を軽減するために固形の投薬用製剤に使用される物質を含む。そのような化合物は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、タルク、鉱油、ステアリン酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、これらの組み合わせ、および当該技術分野で既知のその他の材料を一例として含んでよいがこれらに限定されない。
【0073】
本発明の徐放性製剤は、少なくとも1つの酸性化剤、アルカリ化剤、抗酸化剤、緩衝剤、または医薬品製剤に使用されることが知られているその他の原料も含んでよい。
【0074】
酸性化剤は、製品安定性のための酸性媒質を提供するために使用される化合物を含んでよい。そのような化合物には、酢酸、アミノ酸、クエン酸、フマル酸、およびその他のαヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、硝酸、リン酸等が含まれるがこれらに限定されない。
【0075】
アルカリ化剤は、製品安定性のためのアルカリ媒体を提供するために使用される化合物を含んでよい。そのような化合物には、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロラミン等が含まれるがこれらに限定されない。
【0076】
抗酸化剤は、酸化を防止し、故に酸化プロセスによって製剤が劣化するのを防ぐために用いられる物質を含んでよい。そのような化合物には、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、(hypophophorous acid)、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等が含まれるがこれらに限定されない。
【0077】
緩衝剤は、希釈時のpHの変化を和らげるために使用される化合物を含んでよい。そのような化合物は、メタリン酸カリウム、酢酸1ナトリウム(monobasic sodium acetate)、酢酸ナトリウム、無水および脱水クエン酸ナトリウム等を含んでよいがこれらに限定されない。
【0078】
本発明のいくつかの態様に従う徐放性剤形は、各種コーティングをさらに含んでよい。そのようなコーティングは多くの役割を果たし、これには経口用剤形を環境から保護して安定性を高めること、好ましくない味や臭いをマスキングすること、摂取しやすくすること、製品の同一性を高めること、製造過程での取り扱いを容易にすること、損傷を減らすために機械的完全性を高めること、追加の活性薬剤の投与を提供すること、および/または徐放性製剤の放出をさらに調節することが含まれるがこれらに限定されない。図2に示すように、医薬品製剤20は、上述の特徴のうち任意のものを提供するためにコーティング22を含んでよい。製剤のコーティングは、糖衣、ポリマーフィルムコーティング、マイクロカプセル化、圧縮コーティング等が含まれるがこれらに限定されない、既知の任意の手段によって達成されてよい。様々な技術およびコーティング材が当該技術分野で既知である。例えば、腸溶コーティングとして有用な可能性がある材料は、セルロースアセテートフタラート、ポリビニルアセテートフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸‐メタクリル酸エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリタート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート等、およびこれらの組み合わせを含んでよいがこれらに限定されない。ワックス類、セラック、ゼイン、エチルセルロース、アクリル樹脂、セルロースアセテート、シリコーン・エラストマー等の混合物が、各種の徐放性コーティングを得るために使用されうる。一般的なコーティング法は、参考として本明細書で援用される、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 20th ed.(2000),Chapter46に記載がある。
【0079】
コーティングは主として保護性であってよく、従って保存期間中の医薬品の貯蔵寿命の延長をもたらす。さらに、コーティングは、第1の活性薬剤または少なくとも1つの第2の活性薬剤のいずれかと同じ、または異なる活性薬剤を含有してよい。一態様では、コーティング22に含有される活性薬剤は、第1の層12に含まれる第1の活性薬剤と同じであってよい。このようにして、経口用製剤の摂取時に、コーティングから第1の活性薬剤がただちに放出し始め、2つの隣接する層が崩壊するにつれ、第1の層からの長時間にわたるまたは持続型の放出をもたらしてよい。さらに、コーティングに含まれる活性薬剤は、第1の層および隣接する層に含まれる活性薬剤と比較して同一の、または異なる治療効果を発揮してよい。例えば、徐放性オピオイドアゴニストを含む製剤は、第1の層からのオピオイドアゴニストの放出に先立って、疼痛の緩和を目的とする迅速なCmax血液血清レベルをもたらすために、同じまたは異なるさらなるオピオイドアゴニストを即時放出性コーティング中に含んでよい。
【0080】
別の態様では、コーティング22は遅延放出型コーティングであってよい。そのようなものとして、隣接する層の侵食の開始は、摂取後のコーティング22の崩壊によって遅延されてよく、こうして第1および第2の活性薬剤の放出特性がさらに制御される。さらに、制御性放出コーティングは、隣接する層の外層の一部にのみ適用されてもよい。そのようなコーティングによって、医薬組成物がまず端から侵食され、このようにして、潜在的な放出プロファイルにさらなる変化を与えることが可能になる。遅延放出型コーティングが、第1の活性薬剤および少なくとも1つの第2の活性薬剤と同じまたは異なっていてよい活性薬剤も含んでもよいことに留意すべきである。
【0081】
コーティングとは異なる即時放出層も本発明の医薬品製剤に含まれてよい。例えば図3に示すように、薬物錠剤30は、第1の活性薬剤を含む第1の層32を含んでよく、この場合、第1の層32は、第1の層32の一部への流体の接近を遮断する、隣接する層34で囲まれている。この場合、隣接する層34は、3つの面で第1の層32を取り囲む単一の構造である。上述のように、隣接する層34は、層の侵食に伴って放出されるよう少なくとも1つの第2の活性薬剤を含んでよい。第3の活性薬剤の迅速な放出をもたらすため、即時放出層36が薬物錠剤30に含まれてよい。第3の活性薬剤は、第1の活性薬剤または第2の活性薬剤と同じまたは異なっていてよい。この特定の構造では、第2の活性薬剤の放出は即時放出層36の即時放出特性に依存しない。
【実施例】
【0082】
以下の、ヒドロコドン酒石酸水素塩およびアセトアミノフェンの製剤の実施例が、本発明の特定の実施形態のより明確な理解を促すために提供され、それについて限定するものではない。
【0083】
(実施例1)
以下は、10/500mgヒドロコドン酒石酸水素塩/アセトアミノフェン錠の処方例である。下記に例示される各部分は個別に処方され、図1に示す構造を有する単一の三層錠に圧縮される。錠剤は、2つの持続放出性アセトアミノフェン層の間に配置される持続放出性ヒドロコドン層を含む。
【0084】
【表1】

1.最終的な剤形の平均重量の合計として存在する各成分の割合(%)
2.それぞれの中間体の合計平均重量として存在する各成分の割合(%)
【0085】
【表2】

1.最終的な剤形の平均重量の合計として存在する各成分の割合(%)
2.それぞれの中間体の合計平均重量として存在する各成分の割合(%)。
【0086】
(実施例2)
以下は、図2に示す構造を有する、15/500mgヒドロコドン酒石酸水素塩/アセトアミノフェン持続放出錠の処方例である。実施例1の10/500mgヒドロコドン酒石酸水素塩/アセトアミノフェン持続放出錠は、表3に示す即時放出性ヒドロコドン酒石酸水素塩コーティングでコーティングされた。
【0087】
【表3】

1.最終的な剤形の平均重量の合計として存在する各成分の割合(%)
2.それぞれの中間体の合計平均重量として存在する各成分の割合(%)。
【0088】
(実施例3)
以下は、実施例1および2に示した錠剤を作製するために使用される製造プロセスの実施例である。
【0089】
図4に示すように、ヒドロコドンの10mg持続放出性混合物を以下のように調整した:ヒドロコドン酒石酸水素塩を、エチルセルロース水分散液とともに混合機内で造粒した。エチルセルロースを混合機内の造粒物に加えた。得られた湿潤性造粒物を乾燥機で乾燥し、粉砕し、カルナバロウおよび硫酸カルシウムと混合した。得られた混合物を、ステアリン酸マグネシウムで潤滑した。
【0090】
別の混合手順では、APAPの500mg持続放出性混合物を以下のように作製した:APAP、硫酸カルシウム、ならびにアクリル酸およびメタクリル酸の共重合体(EUDRAGIT(登録商標))を混合機内で混合した。混合物をポリビニルピロリドン水溶液とともに混合機を使用して造粒した。湿潤性造粒物を乾燥機で乾燥し、二酸化ケイ素とともに粉砕し、カルナバロウと混合した。得られた混合物を、ステアリン酸マグネシウムで潤滑した。
【0091】
これらの得られた混合物を、打錠機を使用して以下のように三層錠に圧縮した:最下層に約420mgのAPAP混合物を充填し、中間層に約200mgのヒドロコドン酒石酸水素塩混合物を充填し、最上層に約291mgのAPAP混合物を充填した。最上層および最下層それぞれに含まれるAPAP量の差によって、錠剤型製剤の圧縮性が向上する可能性があることが見出されている。
【0092】
次に、圧縮された錠剤を、市販のOpadry(登録商標)ポリマーを含有する、5mgの即時放出性ヒドロコドン酒石酸水素塩コーティングでコーティングした。
【0093】
(実施例4)
以下は、実施例2の15/500mgヒドロコドン酒石酸水素塩/アセトアミノフェン錠の溶解プロファイルの実施例である。この実施例は、アルコール存在下での錠剤の溶解プロファイルも含む。
【0094】
米国薬局方の器具1(900ml)を100rpmで使用し、3つの異なる媒質中で実施例2の15/500mgヒドロコドン酒石酸水素塩/アセトアミノフェン錠を溶解した。媒質1は、EtOHが0%の0.1NのHCl溶液であった。媒質2は、EtOHが5%の0.1NのHCl溶液であった。媒質3は、EtOHが40%の0.1NのHCl溶液であった。図5からわかるように、アルコールの存在下での薬物錠剤の溶解プロファイルの変化は非常に小さかった。特定の理論に拘束されることなく、アルコール存在下でヒドロコドン酒石酸水素塩の放出が加速しなかったのは、ヒドロコドン酒石酸水素塩持続放出層と溶解媒質間の接触を制限する、アセトアミノフェン層に起因するものであってよい。媒質1、2、および3のそれぞれにおけるAPAPの溶解プロファイルを図6に示す。
【0095】
(実施例5)
実施例2の15/500mgヒドロコドン酒石酸水素塩/アセトアミノフェン持続放出錠および対照を、非盲検単回投与2‐wayクロスオーバー試験において、15名の健康な男女の対象に投与した。各対象は、各治療を1度受け、治療の間には最短7日のウォッシュアウト期を設けた。治療1は、少なくとも10時間の夜間絶食、続いて投薬後30分以内の標準化した高脂肪の朝食の摂取で構成された。1錠の実施例2の医薬組成物、つまり15/500mgヒドロコドン/アセトアミノフェン持続放出錠を、食事開始から30分後に240mlの水とともに投与した。治療2では、少なくとも10時間の夜間絶食後、1錠の実施例2の錠剤を240mlの水とともに投与した。治療3は、少なくとも10時間の夜間絶食、それに続く1錠の10/500LORTAB(登録商標)錠の投与であった。
【0096】
【表4】

表4および図7ならびに8は試験の結果を示す。ヒドロコドンおよびアセトアミノフェン両方のTmaxが、LORTAB(登録商標)製剤に比べて実施例2の製剤で有意に大きいことに注目されたい。
【0097】
(実施例6)
表5は、図3に示される構造を持つように製造されたヒドロコドン酒石酸水素塩/APAPの製剤を示す。
【0098】
【表5】

表6は、図1に示される構造を持つように製造されたヒドロコドン酒石酸水素塩/APAPの製剤を示す。
【0099】
【表6】

(実施例7)
17名の健康な男性を対象として、絶食条件下でランダム化単回投与4‐wayクロスオーバー試験を実施した。一晩の絶食後、試験の第1日目、8日目、15日目、および22日目に対象は、1)表5のテスト品A2錠の単回経口投与、2)表6のテスト品B2錠の単回経口投与、3)表7の参照製品C1錠の、4時間おき合計3回の経口投与、または4)表7の参照製品D1錠の単回経口投与のいずれかを、1分間の間隔で順次受けた。
【0100】
【表7】

各治療後に、対象それぞれから最長24時間にわたって連続血液サンプルを採取した。高速液体クロマトグラフ質量分析法を使用して、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェン濃度についてサンプルを分析した。表8は、試験の薬物動態データ用の幾何平均を提供する。
【0101】
【表8】

図9は、テスト品A、テスト品B、および参照製品Cの平均ヒドロコドン血漿濃度のプロットを示す。テスト品Aおよびテスト品Bが、グラフ上のシングルピークで表される参照製品Cの単回投与に比べて、著しく長い経時変化をたどる単回投与を表すシングルピークを示すことに注目されたい。Tmaxが、テスト品Aでは少なくとも3時間より大きく、テスト品Bでは少なくとも4時間より大きいことに注目されたい。
【0102】
表9は、試験のアセトアミノフェン薬物動態データを提供する。
【0103】
【表9】

図10は、テスト品A、テスト品B、および参照製品Dの平均アセトアミノフェン血漿濃度のプロットを示す。
【0104】
上述の組成物および応用形態は、本発明の好ましい実施形態を示すに過ぎないことが理解される必要がある。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、多くの改変およびその他の修正が当業者によって考案されてよく、特許請求の範囲はそのような改変および修正を含むことを目的とする。故に、上記において、本発明の最も実用的かつ好ましい実施形態と現時点で考えられるものに関連して、特異点および詳細とともに本発明が説明されたが、本明細書で説明された原理および概念から逸脱することなく、大きさ、材料、形状、形態、機能および操作方式、アセンブリならびに使用における変動を含むがこれらに限定されない多数の改変が行われてよいことは当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投薬用徐放性薬物錠剤であって、該錠剤は、
第1の活性薬剤を有する第1の層を含み、該第1の層は2つの隣接する制御性放出層の間に配置され、該隣接する層の少なくとも1つは、少なくとも1つの第2の活性薬剤を含み、該2つの隣接する層は該第1の層の一部を覆う、錠剤。
【請求項2】
前記2つの隣接する層の一部が単一の連続層につながる、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
前記2つの隣接する層は、実質的には前記第1の層全体をその周辺端部を囲むように覆う、請求項1に記載の錠剤。
【請求項4】
前記第1の活性薬剤がオピオイドアゴニストである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項5】
前記オピオイドアゴニストが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アポモルフィン、アポコデイン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン(cyclorphen)、シプレノルフィン、デソモルフィン、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキシアフェンチルブチレート(dioxyaphetyl butyrate)、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メチルモルフィン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オーメフェンタニル、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ホルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロファドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル(remifentanyl)、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、およびこれらの塩、異性体、ならびに組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項6】
前記オピオイドアゴニストがヒドロコドンである、請求項5に記載の錠剤。
【請求項7】
前記第2の活性薬剤が非オピオイド鎮痛薬である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項8】
前記非オピオイド鎮痛薬が、アセトアミノフェン、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、シクロオキシゲナーゼ(cyclooxegenase)阻害薬、NMDA受容体アンタゴニスト、筋肉弛緩剤、GABA受容体アゴニスト、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項7に記載の錠剤。
【請求項9】
前記第1の活性薬剤はヒドロコドンであり、前記第2の活性薬剤はアセトアミノフェンである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項10】
第3の活性薬剤を含む即時放出層をさらに含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項11】
前記第3の活性薬剤と、前記第1の活性薬剤および前記第2の活性薬剤のいずれかとが同じである、請求項10に記載の錠剤。
【請求項12】
前記第1の活性薬剤はヒドロコドンであり、前記第2の活性薬剤はアセトアミノフェンであり、前記第3の活性薬剤はヒドロコドンである、請求項10に記載の錠剤。
【請求項13】
前記即時放出層が前記薬物錠剤を実質的に取り囲む即時放出性コーティングである、請求項10に記載の錠剤。
【請求項14】
前記2つの隣接する層が侵食性の層である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項15】
前記2つの隣接する層が膨潤性の層である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項16】
前記2つの隣接する層のそれぞれが同じ第2の活性薬剤を含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項17】
対象に投与するための経口投薬用徐放性薬物錠剤であって、該錠剤は、
長時間にわたって放出される第1の活性薬剤を含む第1の層と、
制御された様式で放出される、少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む少なくとも2つの隣接する層とを含み、
該少なくとも2つの隣接する層は、該第1の層の一部への流体の接近を調節するように構成され、これにより該第1の層からの該第1の活性薬剤の放出を長時間にわたって制御する、錠剤。
【請求項18】
前記少なくとも2つの隣接する層が、前記第1の活性薬剤が放出される前記第1の層の周辺端部のみを露出するように構成される、請求項17に記載の錠剤。
【請求項19】
前記少なくとも2つの隣接する層が、前記第1の層の前記周辺端部が前記第1の活性薬剤の一定の放出をもたらすように構成される、請求項18に記載の錠剤。
【請求項20】
前記第1の活性薬剤はヒドロコドンであり、前記第2の活性薬剤はアセトアミノフェンである、請求項17に記載の錠剤。
【請求項21】
前記第1の層および前記少なくとも2つの隣接する層の構成が前記錠剤が前記対象に投与されてから約3時間以上後にTmaxヒドロコドン血清濃度をもたらす、請求項20に記載の錠剤。
【請求項22】
前記第1の層および前記少なくとも2つの隣接する層の構成が前記錠剤が前記対象に投与されてから約3時間から約8時間後にTmaxヒドロコドン血清濃度をもたらす、請求項20に記載の錠剤。
【請求項23】
前記第1の層および前記少なくとも2つの隣接する層の構成が前記錠剤が前記対象に投与されてから約4時間から約8時間後にTmaxヒドロコドン血清濃度をもたらす、請求項20に記載の錠剤。
【請求項24】
前記第1の層および前記少なくとも2つの隣接する層の構成が前記錠剤が前記対象に投与されてから約4時間から約6時間後にTmaxヒドロコドン血清濃度をもたらす、請求項20に記載の錠剤。
【請求項25】
流体の接近が、前記第1の活性薬剤を約1時間後で約30%から約45%、約2時間後で約43%から約75%、約4時間後で約80%から約100%の速度で放出するのに十分な量に調節される、請求項20に記載の錠剤。
【請求項26】
流体の接近が、前記第1の活性薬剤を約1時間後で約37%から約44%、約2時間後で約60%から約73%、約4時間後で約85%から約97%の速度で放出するのに十分な量に調節される、請求項20に記載の錠剤。
【請求項27】
流体の接近が、前記第1の活性薬剤を約1時間後で約39%から約42%、約2時間後で約65%から約70%、約4時間後で約87%から約94%の速度で放出するのに十分な量に調節される、請求項20に記載の錠剤。
【請求項28】
対象に投与された経口投薬用錠剤からの薬物の放出を制御するための方法であって、
該錠剤中の第1の活性薬剤を含む層の該対象の胃腸液への曝露を、少なくとも1つの第2の活性薬剤を有する2つの隣接する制御性放出層の間に該第1の層を配置することによって調節するステップを含む、方法。
【請求項29】
前記第1の層の周辺端部のみが露出するように、前記第1の層が前記2つの隣接する制御性放出層の間に配置される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の活性薬剤が、前記2つの隣接する層の侵食または膨潤に伴って前記周辺端部から一定の速度で放出される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の活性薬剤の一部が、前記2つの隣接する層の実質的な侵食または膨潤に先立って放出される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の層のさらなる表面積を前記対象の消化管環境に曝露するために、前記2つの隣接する層を侵食または膨潤させるステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記経口投薬用錠剤から即時放出性の第3の活性薬剤を送達するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記第3の活性薬剤と、前記第1の活性薬剤および前記第2の活性薬剤のいずれかとが同じである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
医薬品製剤がアルコールに曝露された際に、該製剤からの活性薬剤の放出の加速を制限する方法であって、
第1の層のアルコールへの曝露を調節する少なくとも1つの隣接する層に該第1の層が接触するように配置することによって、該活性薬剤を含有する該第1の層の一部への流体の接近を調節するステップを含む、方法。
【請求項36】
流体の接近を調節するステップが、
前記第1の層を2つの隣接する層の間に配置するステップをさらに含み、該隣接する層は、該第1の層の表面積の大部分への流体の接近を制御する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの隣接する層が少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの第2の活性薬剤が非オピオイド鎮痛薬である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記非オピオイド鎮痛薬が、アセトアミノフェン、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、シクロオキシゲナーゼ(cyclooxegenase)阻害薬、NMDA受容体アンタゴニスト、筋肉弛緩剤、GABA受容体アゴニスト、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記非オピオイド鎮痛薬がアセトアミノフェンである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の活性薬剤はヒドロコドンであり、前記第2の活性薬剤はアセトアミノフェンである、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の活性薬剤がオピオイドアゴニストである、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記オピオイドアゴニストが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アポモルフィン、アポコデイン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン(cyclorphen)、シプレノルフィン、デソモルフィン、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキシアフェンチルブチレート(dioxyaphetyl butyrate)、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メチルモルフィン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オーメフェンタニル、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ホルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロファドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル(remifentanyl)、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、およびこれらの塩、異性体、ならびに組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記オピオイドアゴニストがヒドロコドンである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
活性薬剤のアルコール誘発性の加速された放出を制限する薬物錠剤であって、該錠剤は、
第1の活性薬剤を含む第1の層を含み、該第1の層は、そのうちの少なくとも1つが少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む2つの隣接する層の間に配置され、該2つの隣接する層は、アルコールが含まれる環境下で該第1の層へのアルコールの接近が該2つの隣接する層によって調節されるように該第1の層の一部を覆う、薬物錠剤。
【請求項46】
活性薬剤のアルコール誘発性の加速された放出を制限する薬物錠剤であって、該錠剤は、
第1の活性薬剤を含む第1の層を含み、該第1の層は、そのうちの少なくとも1つが少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む2つの隣接する層の間に配置され、該2つの隣接する層は、該錠剤が約1時間後で約30%から約50%、約2時間後で約45%から約75%、約4時間後で約80%から約100%のin vitro溶液への該第1の活性薬剤の放出速度をもたらすように該第1の層の一部を覆い、該in vitro溶液は最大約40%のエタノールを含む、薬物錠剤。
【請求項47】
前記in vitro溶液が約5%のエタノールを含む、請求項46に記載の薬物錠剤。
【請求項48】
前記in vitro溶液が約40%のエタノールを含む、請求項46に記載の薬物錠剤。
【請求項49】
前記2つの隣接する層は、前記錠剤が約1時間後で約37%から約48%、約2時間後で約65%から約75%、約4時間後で約90%から約100%のin vitro溶液への前記第1の活性薬剤の放出速度をもたらすように前記第1の層の一部を覆い、該in vitro溶液は約5%のエタノールを含む、請求項45に記載の薬物錠剤。
【請求項50】
前記2つの隣接する層は、前記錠剤が約1時間後で約40%から約46%、約2時間後で約68%から約73%、約4時間後で約90%から約98%のin vitro溶液への前記第1の活性薬剤の放出速度をもたらすように前記第1の層の一部を覆い、該in vitro溶液は約5%のエタノールを含む、請求項45に記載の薬物錠剤。
【請求項51】
経口投薬用徐放性薬物錠剤であって、該錠剤は、
第1の活性薬剤を含む第1の層を含み、該第1の層は、そのうちの少なくとも1つが少なくとも1つの第2の活性薬剤を含む2つの隣接する層の間に配置され、該2つの隣接する層は、約1時間後に約30%から約45%が放出され、約2時間後に約43%から約75%が放出され、約4時間後に約80%から約100%が放出されるように、該第1の活性薬剤の放出速度を制御するために、該第1の層の一部を覆う、経口投薬用徐放性薬物錠剤。
【請求項52】
前記第1の層の一部を覆う前記2つの隣接する層は、前記第1の活性薬剤のin vitro溶液への放出を1時間後に約37%から約44%、2時間後に約60%から約73%、約4時間後に約85%から約97%の速度で制御する、請求項51に記載の薬物錠剤。
【請求項53】
前記第1の層の一部を覆う前記2つの隣接する層は、前記第1の活性薬剤の放出を1時間後に約39%から約42%、2時間後に約65%から約70%、約4時間後に約87%から約94%の速度で制御する、請求項51の薬物錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−543875(P2009−543875A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520861(P2009−520861)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/016498
【国際公開番号】WO2008/011169
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(505435394)ワトソン ラボラトリーズ、インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】