説明

制御装置、伝送装置および伝送システム

【課題】 複数の回線からのデータが集中した場合でも、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の回線からのデータを回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置を設定制御する制御装置であって、回線に設定された送信タイミングに基づく複数のタイムスロットの組合せのうち、所定の条件を満たす組合せのタイムスロットに回線からのデータを割り当て格納させるように、伝送装置を設定する設定部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回線からのデータを多重化して伝送する制御装置、伝送装置および伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の回線からのデータを1つの伝送路で伝送するために、時間的に配列して多重化する時分割多重化(Time Division Multiplexing)などの方式が用いられる。しかしながら、複数の回線からのデータを同一のタイミングで受信し多重化すると、伝送路が輻輳(バースト)状態になることがある。そのバーストを回避するために、様々な技術が開発されている。
【0003】
例えば、回線に収容される加入者の端末装置がデータをネットワークに伝送する場合、端末装置とネットワークとを結ぶアクセスネットワーク装置および加入者交換機は、端末装置からのデータ伝送の要求に応じて、それらを結ぶ伝送路において、そのデータ伝送に必要な帯域を予約することにより、通信帯域を効率よく利用する技術がある(特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−87042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、たとえネットワーク装置と加入者交換機との間において帯域を予約したとしても、複数の回線からのデータが集中すると依然としてバーストが発生する場合がある。
【0006】
上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の目的は、複数の回線からのデータが集中した場合でも、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の制御装置は、複数の回線からのデータを回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置を設定制御する制御装置であって、回線に設定された送信タイミングに基づく複数のタイムスロットの組合せのうち、所定の条件を満たす組合せのタイムスロットに回線からのデータを割り当て格納させるように、伝送装置を設定する設定部を備える。
【0008】
また、所定の条件は、帯域使用量が最も少ないことであってもよい。
【0009】
本発明の他の制御装置は、複数の回線からのデータを回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置を設定制御する制御装置であって、乱数を発生する乱数発生部と、回線に設定された送信タイミングに基づく複数のタイムスロットの組合せのうち、乱数の値に応じた組合せのタイムスロットに回線からのデータを割り当て格納させるように、伝送装置を設定する設定部と、を備える。
【0010】
また、設定部は、乱数に応じた組合せに割り当てるにあたり、割り当て後のタイムスロットの帯域使用量を予め算出し、算出した帯域使用量が所定の閾値以上か否かを判定する判定部をさらに備え、設定部は、判定部による判定が真である場合、乱数発生部に乱数を再度発生させ、再度発生された乱数に応じた他の組合せのタイムスロットに割り当て設定してもよい。
【0011】
また、設定部は、回線における判定部による判定が真である場合の回数を数え、回数が所定の回数以上の場合、伝送装置に対する設定を中止してもよい。
【0012】
本発明の伝送装置は、複数の回線からのデータを回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置であって、回線に設定された送信タイミングに基づく複数のタイムスロットの組合せのうち、所定の条件を満たす組合せのタイムスロットに回線からのデータを割り当て格納するように設定する設定部を備える。
【0013】
本発明の他の伝送装置は、複数の回線からのデータを回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置であって、乱数を発生する乱数発生部と、回線に設定された送信タイミングに基づく複数のタイムスロットの組合せのうち、乱数の値に応じた組合せのタイムスロットに回線からのデータを割り当て格納するように設定する設定部と、を備える。
【0014】
本発明の伝送システムは、複数の回線からのデータを回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置と、伝送装置を設定制御する制御装置とを有する伝送システムであって、制御装置は、回線に設定された送信タイミングに基づく複数のタイムスロットの組合せのうち、所定の条件を満たす組合せのタイムスロットに回線からのデータを割り当て格納させるように、伝送装置を設定する設定部を備える。
【0015】
本発明の他の伝送システムは、複数の回線からのデータを回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置と、伝送装置を設定制御する制御装置とを有する伝送システムであって、制御装置は、乱数を発生する乱数発生部と、回線に設定された送信タイミングに基づく複数のタイムスロットの組合せのうち、乱数の値に応じた組合せのタイムスロットに回線からのデータを割り当て格納させるように、伝送装置を設定する設定部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の回線からのデータが集中した場合でも、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一の実施形態に係る伝送システムの構成を示す図
【図2】一の実施形態に係るサーバの構成を示す図
【図3】一の実施形態に係る伝送装置の構成を示す図
【図4】一の実施形態の伝送システムによる処理動作を示すフローチャート
【図5】回線管理テーブルの一例を示す図
【図6】回線の割り当て処理によるCHの帯域使用量の加算結果の一例を示す図
【図7】回線1および回線2の割り当て可能なCHの系列の一覧表の一例を示す図
【図8】割り当て処理による各CHの帯域使用量の分布の一例を示す図
【図9】一の実施形態の変形例に係る伝送システムの構成を示す図
【図10】一の実施形態の変形例に係る伝送装置の構成を示す図
【図11】他の実施形態の伝送システムによる処理動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
《一の実施形態》
図1は、本発明の一の実施形態に係る伝送システムSYSの構成を示す図である。
【0019】
本実施形態の伝送システムSYSは、サーバ10、伝送装置20、30から構成される。
【0020】
サーバ10は、ネットワークを介して伝送装置20、30を設定制御する制御装置として動作する。サーバ10には、一般的なコンピュータを適宜選択して用いることができる。図2は、サーバ10の構成の一例を示す。
【0021】
サーバ10は、CPU11、記憶部12、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)13、入出力I/F14から構成され、互いに情報伝達可能に接続される。また、サーバ10には、入出力I/F14を介して、伝送装置20、30などの設定情報や動作状態を表示する出力装置15、管理者からの入力を受け付ける入力装置16がそれぞれ接続される。出力装置15には、一般的な液晶モニタやプリンタなどを、入力装置16には、キーボードやマウスなどをそれぞれ適宜選択して使用できる。
【0022】
CPU11は、記憶部12に記憶されている制御プログラムを実行し、入力装置15を介して受け付ける管理者からの指示に応じて、ネットワークI/F13を介し、伝送装置20、30を設定する設定部として動作する。CPU11には、一般的なプロセッサを用いることができる。
【0023】
記憶部12は、伝送装置20、30の設定データや制御プログラムなどを記憶する。記憶部12に記憶されるデータやプログラムなどは、CPU11から適宜参照することができる。記憶部12には、一般的なハードディスク装置、光磁気ディスク装置などの記憶装置を選択して用いることができる。
【0024】
伝送装置20、30は、回線1〜10または回線11〜20から受信したTDMデータをネットワークに送信したり、ネットワークから受信したTDMデータを回線1〜10または回線11〜20のそれぞれに送信したりする。なお、本実施形態では、伝送装置20と伝送装置30との間のデータ伝送は、ギガイーサネット回線(GbE回線)で行われるものとする。図3は、伝送装置20の構成の一例を示す。なお、伝送装置30は、回線番号が異なるのみで、伝送装置20の構成と同一であるとし詳細な説明は省略する。
【0025】
伝送装置20は、CPU21、記憶部22、クロック生成部23、TDM/パケット変換部24、ネットワークI/F25を備える。
【0026】
CPU21は、伝送装置20の各部を統括的に制御するプロセッサである。例えば、CPU21は、記憶部22に記憶されている制御プログラムを実行し、クロック生成部23により出力されるフレームの開始を示すフレーム同期信号と、後述するサーバ10による回線ごとの設定とに基づいて、TDM/パケット変換部24に、各回線1〜10から受信したTDMデータをイーサフレームやIPフレームなどのフレームに格納し、そのフレームをパケットに変換させて送信させる。また、CPU21は、クロック生成部23のフレーム同期信号とサーバ10による回線ごとの設定とに基づいて、TDM/パケット変換部24に、ネットワークI/F25を介してGbE回線から受信したパケットを、各回線1〜10宛のTDMデータに組み立て直して各回線に送信させる。
【0027】
なお、TDM/パケット変換部24は、クロック生成部23のフレーム同期信号に基づいて動作するマルチプレクサ(MUX)/デマルチプレクサ(DEMUX)などのスイッチからなる。また、本実施形態におけるフレームは、125μ秒を単位時間とする2M個のタイムスロット(=チャンネル(CH))から構成される。TDM/パケット変換部24は、クロック生成部23から出力されるフレーム同期信号を基準にして、回線1〜10のTDMデータを、上記サーバ10による回線ごとの設定に基づいて、フレームの各CHに格納して多重化する。
【0028】
ここで、M=0,1,…の正数で、Mの値は伝送システムSYSの構成や回線数などに応じて決定される。本実施形態では、M=8とし、CH数を64とする。クロック生成部23は、64CH×125μ秒ごとにフレーム同期信号を出力し、TDM/パケット変換部24は、フレーム同期信号が出力されるごとに、フレームの1番目のCHから回線1〜10からのTDMデータを順次格納し、フレームをパケットに変換して伝送装置30に送信する。
【0029】
さらに、本実施形態のCPU21およびTDM/パケット変換部24は、クロック生成部23のフレーム同期信号を基準にして、125μ秒間隔でカウントすることで、いずれのCHであるかを認識する。また、本実施形態のTDM/パケット変換部24は、GbE回線を介して、伝送装置30にパケットを送信することから、フレームのヘッダに伝送装置30や送信先のIPアドレスまたはMACアドレスなどの情報を付加してもよいし、空の情報を付加してもよい。或いは、TDM/パケット変換部24は、フレームのヘッダにダミーのアドレスなどの情報を付加してもよい。
【0030】
記憶部22は、ハードディスク装置や半導体メモリなどで形成され、制御プログラムを記憶するとともに、後述するように、サーバ10によって設定される各回線1〜10からのTDMデータをいずれのCHに格納するかを指定した情報を記憶する。
【0031】
ネットワークI/F25は、一般的なネットワークインタフェースから形成され、TDM/パケット変換部24によってパケットに変換されたフレームをGbE回線に送信したり、GbE回線を介して、受信した伝送装置30からのパケットをTDM/パケット変換部24に出力したりする。また、本実施形態のネットワークI/F25は、ネットワークを介して、サーバ10からの制御信号も受信し、直接CPU21へ出力するものとする。
【0032】
次に、図4のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る伝送システムSYSにおける処理動作について説明する。
【0033】
なお、以下において、サーバ10による伝送装置20の各回線に対する割り当て処理について説明する。伝送装置30の各回線に対する割り当て処理は、伝送装置20の場合と同じであることから、詳細な説明は省略する。
【0034】
ステップS101:サーバ10のCPU11は、管理者より入力装置16を介して、伝送装置20に対するデータ伝送の設定変更指示を受け付ける。CPU11は、記憶部12から伝送装置20の各回線1〜10の回線速度F(kbps)、帯域S(byte/125μ秒)、待機回数Nからなる現在の回線管理テーブルを読み込む。CPU11は、現在の回線管理テーブルを出力装置15に表示する。CPU11は、管理者からの入力に応じて各回線のパラメータの値を適宜変更し、図5に示すような新たな回線管理テーブル40を作成し、CPU11の不図示の内部メモリに一時的に記録する。
【0035】
ステップS102:CPU11は、回線管理テーブル40に基づいて、回線1〜10のTDMデータをいずれのCHに格納するかを割り当てる割り当て処理を回線1から順次行う。なお、本実施形態では、回線1から行ったが、いずれの回線から処理を開始してもよい。
【0036】
CPU11は、図6(a)に示すように、伝送装置20における各CHの帯域使用量を、一旦「0」にリセットする。同時に、CPU11は、回線管理テーブル40の回線1の設定に基づいて、図7(a)に示す割り当て可能なCHの系列の一覧表を作成する。図7(a)に示す一覧表の「系列番号」は、各行が設定可能なCHの系列の番号を示し、「系列内のCH番号」は、各系列を構成するCH番号を示す。また、「系列内帯域の最大値」は、各系列のCHのうち、帯域使用量が最大のCHの帯域使用量を示す。なお、図7(a)は、まだ割り当て処理の開始直後により、各CHの系列の最大の帯域使用量は0である。
【0037】
ここで、CHの系列とは、回線ごとに設定される待機回数N(或いは、待機時間T=2m×125μ秒(m<M))(送信タイミング)に基づいて決まり、その回線のTDMデータを格納することができるCHの組合せである。例えば、回線1のように帯域回数Nが2m=8(m=3)と設定された場合、CH1、CH9、CH17、CH25、CH33、CH41、CH49、CH57が1つの系列であり、図7(a)に示すように8通りの組合せがある。さらに、上記のような場合、TDM/パケット変換部24は、1m秒に1回すなわち8CHおきに、例えば、回線1のCH2〜CH9の8CH分のTDMデータを、1つのCH9のタイムスロットに格納する。
【0038】
CPU11は、図7(a)に示す一覧表のうち、回線1のTDMデータを伝送するためのCHの系列として、所定の条件を満たす、例えば、帯域使用量が最も少ないCHの系列である1番目のCHの系列を割り当てる。CPU11は、図6(a)に示すCH1、CH9、CH17、CH25、CH33、CH41、CH49、CH57の帯域使用量に、回線1のTDMデータによる帯域使用量=S×N=5×8=40(byte/125μ秒)を加算する。図6(b)は、回線1の加算結果を示す。CPU11は、図6(b)の加算結果に更新するとともに、回線1に図7(a)に示すCHの系列1を割り当てることを内部メモリ(不図示)に記録する。
【0039】
次に、CPU11は、回線管理テーブル40の回線2の設定に基づいて、図7(b)に示す割り当て可能なCHの系列の一覧表を作成する。なお、CHの系列1および9の最大の帯域使用量が40であるのは、回線1による帯域使用量が加算されたためである。CPU11は、図7(b)に示す一覧表のうち、回線2のTDMデータを伝送するためのCHの系列として、帯域使用量が最も少ないCHの系列、例えば、2番目のCHの系列を割り当てる。CPU11は、図6(b)に示すCH2、CH18、CH34、CH50の帯域使用量に、回線2のTDMデータによる帯域使用量=3×16=48(byte/125μ秒)の値を加算する。図6(c)は、回線2の加算結果を示す。CPU11は、図6(c)の加算結果に更新するとともに、回線2に図7(b)に示すCHの系列2を割り当てることを内部メモリ(不図示)に記録する。
【0040】
以後、同様にして、CPU11は、回線管理テーブル40の設定に基づいて、回線3〜10に対する割り当て処理を行う。図6(d)は、回線1〜10まで割り当てた場合の各CHにおける帯域使用量の加算結果を示す。図8は、本実施形態の割り当て処理により、各CHの帯域使用量がほぼ均一で平坦に分布していることを示す。
【0041】
ステップS103:CPU11は、図5に示す回線管理テーブル40を、記憶部12に記憶されている現在の回線管理テーブルに上書きして更新する。CPU11は、内部メモリ(不図示)に記録する回線1〜10に割り当てられたCHの系列の情報を、ネットワークを介して、伝送装置20、30にそれぞれ送信する(図1の破線)。伝送装置20、30のCPU21は、ネットワークI/F25を介して受信した、回線1〜10に割り当てられたCHの系列の情報を記憶部22に記録設定する。伝送装置20のTDM/パケット変換部24は、上記CHの系列の情報に基づいて、各回線1〜10から受信したTDMデータを、フレームに格納し、そのフレームをパケットに変換して伝送装置30に送信する。
【0042】
一方、伝送装置30のTDM/パケット変換部24は、伝送装置20からのパケットを受信し、回線1〜10に割り当てられたCHの系列の情報およびクロック生成部23のフレーム同期信号に基づいて、回線1〜10ごとのTDMデータに組み立て直し、送信先の回線11〜20のいずれかに送信する。
【0043】
このように、本実施形態では、サーバ10が、各回線のTDMデータを、帯域使用量が最も少ないCHの系列に割り当てることにより、たとえ複数の回線からのTDMデータが集中したとしても、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる。
《一の実施形態の変形例1》
図9は、本発明の一の実施形態の変形例1に係る伝送システムSYS2の構成を示す図である。本実施形態に係る伝送システムSYS2の構成要素において、一の実施形態の伝送システムSYSと同じのものは同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0044】
図10は、本実施形態の伝送装置20、30の構成を示す図である。本実施形態に係る伝送装置20、30の構成要素において、一の実施形態と同じのものは同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0045】
本実施形態の伝送システムSYS2と一の実施形態の伝送システムSYSとの相違点は、1)2つのサーバ10が伝送装置20および伝送装置30にそれぞれ接続され、伝送装置20、30を制御する、2)伝送装置20、30は、入出力I/F26を備え、サーバ10の入出力I/F14を介してサーバ10と接続する。
【0046】
なお、本実施形態のサーバ10は、例えば、伝送装置20の回線1〜10に対する割り当て処理を行い、その後、ネットワークやGbE回線を介して伝送装置30に送信するのが好ましい。
【0047】
また、本実施形態における割り当て処理は、一の実施形態と同じであり、詳細な説明は省略する。
【0048】
このように、本実施形態では、サーバ10が、各回線のTDMデータを、帯域使用量が最も少ないCHの系列に割り当てることにより、たとえ複数の回線からのTDMデータが集中したとしても、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる。
《一の実施形態の変形例2》
本発明の一の実施形態の変形例2に係る伝送システムは、図9および図10に示す一の実施形態の変形例1に係る伝送システムSYS2と同じである。したがって、本実施形態に係る伝送システムSYS2およびその構成要素において、一の実施形態の変形例1と同一のものは同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施形態の伝送システムSYS2と一の実施形態の変形例1との相違点は、1)伝送装置20および伝送装置30にそれぞれ接続されたサーバ10は、伝送装置20、30の動作状態の監視のみ行う、2)伝送装置20、30は、サーバ10を介して管理者からの設定変更指示を受け付けると割り当て処理を行う。
【0050】
なお、サーバ10より設定変更指示を受け付けた後の伝送装置20、30による割り当て処理は、一の実施形態と同じであり、詳細な説明は省略する。
【0051】
このように、本実施形態では、伝送装置20、30が、各回線のTDMデータを、帯域使用量が最も少ないCHの系列に割り当てることにより、たとえ複数の回線からのTDMデータが集中したとしても、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる。
《他の実施形態》
本発明の他の実施形態に係る伝送システムは、図1に示す一の実施形態に係る伝送システムSYSと同じである。したがって、本実施形態に係る伝送システムおよびその構成要素において、一の実施形態と同じのものは同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施形態の伝送システムSYSと一の実施形態との相違点は、以下の通りである。
【0053】
1)サーバ10のCPU11は、乱数を発生して、その乱数に応じて回線のCHの系列の割り当てを行う。
【0054】
2)CPU11は、各CHに帯域使用量の閾値αを設定して、処理対象の回線に対する割り当て処理の結果、CHの帯域使用量が閾値α以上であるか否かを判定する判定部として動作し、その判定が真の場合、処理対象の回線に対する割り当て処理を再度行い、他のCHの系列に割り当てるようにする。
【0055】
3)CPU11は、同一の処理対象の回線に対する割り当て処理の回数(以下、再処理回数Kとする)が、閾値β以上の回数の場合、新たな回線管理テーブル40に基づく割り当て処理を中止し終了する。
【0056】
次に、図11のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る伝送システムSYSにおける処理動作について説明する。
【0057】
なお、以下の説明において、例えば、閾値αは150や200pbs/125μ秒の値に、閾値βは3〜5回にそれぞれ予め設定されているとする。また、再処理回数Kの値は、最初「0」に設定される。
【0058】
さらに、以下において、サーバ10による伝送装置20の各回線に対する割り当て処理について説明する。伝送装置30の各回線に対する割り当て処理は、伝送装置20の場合と同じであることから、詳細な説明は省略する。
【0059】
ステップS201:サーバ10のCPU11は、管理者より入力装置16を介して、伝送装置20に対するデータ伝送の設定変更指示を受け付ける。CPU11は、記憶部12から伝送装置20の各回線1〜10の現在の回線管理テーブル、閾値α、βを読み込む。CPU11は、現在の回線管理テーブルを出力装置15に表示する。CPU11は、管理者からの入力に応じて各回線のパラメータの値を適宜変更し、図5に示すような新たな回線管理テーブル40を作成し、内部メモリ(不図示)に一時的に記録する。
【0060】
ステップS202:CPU11は、回線管理テーブル40に基づいて、回線1〜10のTDMデータをいずれのCHに格納するかを割り当てる割り当て処理を回線1から順次行う。なお、本実施形態では、回線1から行ったが、いずれの回線から処理を開始してもよい。
【0061】
CPU11は、図6(a)に示すように、伝送装置20における各CHの帯域使用量を、一旦「0」にリセットする。同時に、CPU11は、回線管理テーブル40の回線1の設定に基づいて、図7(a)に示す割り当て可能なCHの系列の一覧表を作成する。
【0062】
本実施形態のCPU11は、乱数発生部として、例えば、図7(a)に示す一覧表におけるCHの系列1〜8の番号を範囲とする乱数を発生し、その乱数に対応した番号のCHの系列を、回線1のTDMデータを伝送するためのCHの系列として割り当てる。
【0063】
すなわち、CHの系列1が割り当てられた場合、CPU11は、図6(a)に示すCH1、CH9、CH17、CH25、CH33、CH41、CH49、CH57の帯域使用量に、回線1のTDMデータによる帯域使用量=5×8=40(byte/125μ秒)の値を加算する。CPU11は、図6(b)に示す加算結果とともに、回線1に図7(a)に示すCHの系列1を割り当てることを内部メモリ(不図示)に記録する。
【0064】
ステップS203:CPU11は、図6(b)に示すように、ステップS202における加算結果により、帯域使用量が閾値α以上となるCHが存在するか否かを判定する。CPU11は、帯域使用量が閾値α以上となったCHが存在しない場合、再処理回数K=0として、ステップS205(NO側)へ移行する。一方、CPU11は、帯域使用量が閾値α以上となったCHが存在する場合、各CHの帯域使用量をステップS202の加算処理前の値に戻すとともに、内部メモリ(不図示)に記録した回線1に図7(a)に示すCHの系列1を割り当てる情報を削除する。CPU11は、再処理回数Kを1増加させ、ステップS204(YES側)へ移行する。
【0065】
ステップS204:CPU11は、再処理回数Kが閾値β以上の回数か否かを判定する。CPU11は、再処理回数Kが閾値βより少ない回数の場合、ステップS202(NO側)へ移行し、例えば、回線1に対する割り当て処理を再度行う。一方、CPU11は、再処理回数Kが閾値β以上の回数の場合(YES側)、回線管理テーブル40による割り当て処理が失敗したと判定し、現在の回線管理テーブルを記憶部12に保持して一連の処理を中止し終了する。これにより、割り当て処理によるデッドロックなどの状態を回避することができる。
【0066】
ステップS205:CPU11は、全ての回線に対する割り当て処理が行われたか否かを判定する。CPU11は、全ての回線に対する割り当て処理が行われた場合、ステップS206(YES側)へ移行する。一方、CPU11は、割り当て処理が行われていない回線がある場合、ステップS202(NO側)へ移行し、全ての回線に対する割り当て処理が行われるまで、ステップS202〜ステップS204の処理を行う。
【0067】
ステップS206:CPU11は、図5に示す回線管理テーブル40を、記憶部12に記憶されている現在の回線管理テーブルに上書きして更新する。CPU11は、内部メモリ(不図示)に記録する回線1〜10に割り当てられたCHの系列の情報を、ネットワークを介して、伝送装置20、30にそれぞれ送信する(図1の破線)。伝送装置20、30のCPU21は、ネットワークI/F25を介して受信した、回線1〜10に割り当てられたCHの系列の情報を記憶部22に記録設定する。伝送装置20のTDM/パケット変換部24は、上記CHの系列の情報に基づいて、各回線1〜10から受信したTDMデータを、フレームに格納し、そのフレームをパケットに変換して伝送装置30に送信する。
【0068】
一方、伝送装置30のTDM/パケット変換部24は、伝送装置20からのパケットを受信し、回線1〜10に割り当てられたCHの系列の情報およびクロック生成部23のフレーム同期信号に基づいて、回線1〜10ごとのTDMデータに組み立て直し、送信先の回線11〜20のいずれかに送信する。
【0069】
このように、本実施形態では、サーバ10が、各回線のTDMデータを、乱数に基づいてCHの系列に割り当てることにより、たとえ複数の回線からのTDMデータが集中したとしても、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる。
【0070】
また、帯域使用量に閾値αを設けることで、複数の回線からのTDMデータをより効率的に分散させて伝送することができる。
《他の実施形態の変形例1》
本発明の他の実施形態の変形例1に係る伝送システムは、図9に示す一の実施形態の変形例1に係る伝送システムSYS2と同じである。したがって、本実施形態に係る伝送システムSYS2の構成要素において、一の実施形態の変形例1と同じのものは同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0071】
また、本実施形態の伝送装置20、30は、図10に示す一の実施形態の変形例1の伝送装置と同じである。したがって、本実施形態に係る伝送装置20、30の構成要素において、一の実施形態と同じのものは同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施形態の伝送システムSYS2と他の実施形態の伝送システムSYSとの相違点は、1)2つのサーバ10が伝送装置20および伝送装置30にそれぞれ接続され、伝送装置20、30を制御する、2)伝送装置20、30は、入出力I/F26を備え、サーバ10の入出力I/F14を介してサーバ10と接続する。
【0073】
なお、本実施形態のサーバ10は、例えば、伝送装置20の回線1〜10に対する割り当て処理を行い、その後、ネットワークやGbE回線を介して伝送装置30に送信するのが好ましい。
【0074】
また、本実施形態における割り当て処理は、他の実施形態と同じであり、詳細な説明は省略する。
【0075】
このように、本実施形態では、サーバ10が、各回線のTDMデータを、乱数に基づいてCHの系列に割り当てることにより、たとえ複数の回線からのTDMデータが集中したとしても、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる。
【0076】
また、帯域使用量に閾値αを設けることで、複数の回線からのTDMデータをより効率的に分散させて伝送することができる。
《他の実施形態の変形例2》
本発明の他の実施形態の変形例2に係る伝送システムは、図9および図10に示す他の実施形態の変形例1に係る伝送システムSYS2と同じである。したがって、本実施形態に係る伝送システムSYS2およびその構成要素において、他の実施形態の変形例1と同じのものは同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0077】
本実施形態の伝送システムSYS2と他の実施形態の変形例1との相違点は、1)伝送装置20および伝送装置30にそれぞれ接続されたサーバ10は、伝送装置20、30の動作状態の監視のみ行う、2)伝送装置20、30は、サーバ10を介して管理者からの設定変更指示を受け付けると割り当て処理を行う。
【0078】
なお、サーバ10より設定変更指示を受け付けた後の伝送装置20、30による割り当て処理は、他の実施形態と同じであり、詳細な説明は省略する。
【0079】
このように、本実施形態では、伝送装置20、30が、各回線のTDMデータを、乱数に基づいてCHの系列に割り当てることにより、たとえ複数の回線からのTDMデータが集中したとしても、バーストを発生させることなく効率的にデータ伝送することができる。
【0080】
また、帯域使用量に閾値αを設けることで、複数の回線からのTDMデータをより効率的に分散させて伝送することができる。
《実施形態の補足事項》
(1)上記一の実施形態では、各回線のTDMデータを伝送するためのCHの系列として、帯域使用量が最も少ないという所定の条件を満たすCHの系列を割り当てたが、本発明はこれに限定されない。例えば、伝送システムの構成や伝送装置に接続される回線数などに応じて、各回線に対して割り当てるための所定の条件を決めることが好ましく、例えば、帯域使用量が最大のCHの系列を割り当ててもよい。
【0081】
(2)上記一の実施形態では、割り当て処理において、各CHの帯域使用量に閾値αを設定していてもよい。これにより、複数の回線からのTDMデータをより効率的に分散させて伝送することができる。
【0082】
(3)上記他の実施形態では、閾値αおよび閾値βの値を、150や200pbs/125μ秒の値や、3〜5回にそれぞれ設定したが、本発明はこれに限定されず、伝送システムの構成や伝送装置に接続される回線数などに応じて設定するのが好ましい。
【0083】
また、少なくとも閾値αの設定は無くてもよい。
【0084】
(4)上記実施形態の変形例では、伝送装置20、30それぞれにサーバ10が接続されたが、本発明はこれに限定されない。1つのサーバ10を、伝送装置20および伝送装置30に交互に接続して、割り当て処理を行ってもよい。すなわち、例えば、サーバ10を最初に伝送装置20に接続し、伝送装置20の回線に対する割り当て処理を行う。その後、同じサーバ10を伝送装置30に接続し、回線1〜10に割り当てられたCHの系列の情報を伝送装置30に設定してもよい。
【0085】
(5)上記実施形態の変形例2では、サーバ10は、伝送装置20または伝送装置30に直接接続したが、本発明はこれに限定されず、図1に示すように、ネットワークを介して伝送装置20、30に接続してもよい。
【0086】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点及び利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神及び権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点及び利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良及び変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物及び均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 サーバ、11、21 CPU、12、22 記憶部、13、25 ネットワークI/F、14、26 入出力I/F、15 出力装置、16 入力装置、20、30 伝送装置、23 クロック生成部、24 TDM/パケット変換部、SYS、SYS2 伝送システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回線からのデータを前記回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、前記フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置を設定制御する制御装置であって、
前記回線に設定された前記送信タイミングに基づく前記複数のタイムスロットの組合せのうち、所定の条件を満たす組合せのタイムスロットに前記回線からのデータを割り当て格納させるように、前記伝送装置を設定する設定部を備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記所定の条件は、帯域使用量が最も少ないことであることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
複数の回線からのデータを前記回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、前記フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置を設定制御する制御装置であって、
乱数を発生する乱数発生部と、
前記回線に設定された前記送信タイミングに基づく前記複数のタイムスロットの組合せのうち、前記乱数の値に応じた組合せのタイムスロットに前記回線からのデータを割り当て格納させるように、前記伝送装置を設定する設定部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の制御装置において、
前記設定部は、
前記乱数に応じた組合せに割り当てるにあたり、割り当て後の前記タイムスロットの帯域使用量を予め算出し、算出した前記帯域使用量が所定の閾値以上か否かを判定する判定部をさらに備え、
前記設定部は、前記判定部による判定が真である場合、前記乱数発生部に乱数を再度発生させ、再度発生された前記乱数に応じた他の組合せのタイムスロットに割り当て設定する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の制御装置において、
前記設定部は、前記回線における前記判定部による判定が真である場合の回数を数え、前記回数が所定の回数以上の場合、前記伝送装置に対する設定を中止する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項6】
複数の回線からのデータを前記回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、前記フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置であって、
前記回線に設定された前記送信タイミングに基づく前記複数のタイムスロットの組合せのうち、所定の条件を満たす組合せのタイムスロットに前記回線からのデータを割り当て格納するように設定する設定部を備える
ことを特徴とする伝送装置。
【請求項7】
複数の回線からのデータを前記回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、前記フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置であって、
乱数を発生する乱数発生部と、
前記回線に設定された前記送信タイミングに基づく前記複数のタイムスロットの組合せのうち、前記乱数の値に応じた組合せのタイムスロットに前記回線からのデータを割り当て格納するように設定する設定部と、
を備えることを特徴とする伝送装置。
【請求項8】
複数の回線からのデータを前記回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、前記フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置と、前記伝送装置を設定制御する制御装置とを有する伝送システムであって、
前記制御装置は、前記回線に設定された前記送信タイミングに基づく前記複数のタイムスロットの組合せのうち、所定の条件を満たす組合せのタイムスロットに前記回線からのデータを割り当て格納させるように、前記伝送装置を設定する設定部を備える
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項9】
複数の回線からのデータを前記回線ごとに設定される送信タイミングでフレームを構成する複数のタイムスロットに格納し、前記フレームをパケットに変換してネットワークに送信する伝送装置と、前記伝送装置を設定制御する制御装置とを有する伝送システムであって、
前記制御装置は、
乱数を発生する乱数発生部と、
前記回線に設定された前記送信タイミングに基づく前記複数のタイムスロットの組合せのうち、前記乱数の値に応じた組合せのタイムスロットに前記回線からのデータを割り当て格納させるように、前記伝送装置を設定する設定部と、を備える
ことを特徴とする伝送システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−109915(P2012−109915A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259023(P2010−259023)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】